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2017年05月04日

元准教授へのセクハラ処分 敗訴の宮大検証へ

西日本新聞(2017年05月03日)

 宮崎大学(宮崎市)が2012年6月、女子学生の半裸写真を卒業論文に掲載させていたなどとして、元准教授への退職金を不支給とした処分について、事実関係に疑問が生じ、同大が近く外部有識者による検証を始めることが2日分かった。元准教授が退職金の支払いを求めた訴訟で最高裁が訴えを認め、大学側の敗訴が確定。これを受け、文部科学省も大学側から事情を聴く事態となっている。

 宮崎大は同年6月、元准教授が指導する女子学生4、5人を野外に連れ出して撮影し、写真をコンピューターグラフィックス加工させ十数枚を卒論に掲載させたと認定。「懲戒解雇処分相当」として、すでに別の大学に転籍していた元准教授の退職金を不支給とし、報道機関に発表した。

 元准教授は事実無根として同年12月、大学を提訴。宮崎地裁は14年11月、元准教授の訴えを棄却した。しかし福岡高裁宮崎支部は15年10月、「男性が撮影した証拠はなく、卒論に掲載するよう指導した証拠もない」と判断。大学側に約313万円の支払いを命じ、元准教授逆転勝訴の判決を言い渡した。

 最高裁第3小法廷(大橋正春裁判長)も昨年10月、大学側の上告を退け、元准教授の勝訴が確定した。

 これを受け、文科省国立大学法人支援課は同大に事実関係や判決後の対策について事情を聴き、第三者による検証を打診。同大は弁護士など外部有識者に検証を委託し、「7月末をめどに結果をまとめてもらいたい」としている。

 元准教授を巡っては、撮影した女子学生の写真を掲載した09年の学内情報誌について、一部の女性教員が「浴衣姿など教育の場に不適切な写真がある」と抗議した問題もある。

 だが、その後、情報誌は学生が企画制作したものと判明。関わった元学生は「(被写体となった)学生たちも納得し、写真は当時の学長らの審査を経ていた。読んだ人たちの評価も高かった」と証言している。

 元准教授は国語学の専門家で、新聞連載やテレビ出演などで地域ではよく知られた存在だった。一連の問題について、元准教授は「大学は自分たちの意向に沿う証言を学生にさせ、セクハラをでっち上げた。きちんと検証して非を認めてほしい」と話している。


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