研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

2017年06月20日

山口准教授が勝訴 障害理由の授業外しは無効 岡山短大、権利乱用認める 慰謝料など110万円 地裁

毎日新聞(2017年4月16日)

 岡山短大(岡山県倉敷市)の山口雪子准教授(52)が、視覚障害を理由に授業の担当から外されたのは不当な差別だとして、短大を運営する学校法人原田学園(同市)に事務職への職務変更命令の取り消しなどを求めた訴訟の判決が3月28日、岡山地裁であった。善元貞彦裁判長は職務変更命令は無効と判断し、短大側に慰謝料など計110万円の支払いを命じた。【平井俊行】

 判決によると、山口准教授は昨年2月、授業中に飲食や無断退室をする学生を見つけられなかったとして、次年度から授業の担当を外され、学科事務を行ない、更に研究室を立ち退くよう短大側に命じられた。山口准教授は網膜色素変性症で視力が低下し、文字の判読が困難な状態だった。

 判決で善元裁判長は、山口准教授の介助者を置くなど短大側が適切な対応をすれば授業の問題は解決できると判断。「職務変更命令は山口准教授が教員として授業を行なう機会や研究発表の自由を完全に奪うものであり、短大側の権利乱用だ」と指摘した。更に「視覚補助のあり方を全体で検討し、模索することこそ、障害者に対する合理的配慮の観点からも望ましい」と述べた。また研究室からの立ち退きについては「立ち退きを命じた経緯が不当な職務変更を前提としており無効」と説明した。

原告代理人弁護士「画期的な判決」

 判決後の記者会見で山口准教授は判決内容を喜び、「1年間、授業の担当から外されて、学生を教えることは私が人生を全うするうえでかけがえのないものだと改めて感じた。教員としての本分である授業に戻れるよう頑張ります」と語った。原告代理人の水谷賢弁護士は「障害者差別解消法や改正障害者雇用促進法(ともに昨年4月施行)に定められた合理的配慮のあり方を短大側に投げかけた点で画期的な判決だ」と話した。

 短大側は同29日の点字毎日の取材に対し「(控訴するかどうか)今の段階で答えられることは何もありません」と答えた。


|