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2017年06月21日

宮崎大学解雇事件、パワハラ捏造に関して被害者早野慎吾氏による「宮崎大学学長宛公開質問状」

宮崎大学への質問状

2017年6月15日

国立大学法人宮崎大学学長池ノ上克先生

若葉青葉の候、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

 この度、文部科学省国立大学支援課より連絡を頂き、貴学に検証委員会が設置することを知りました。2016年10月の最高裁の判決で、私が貴学から不法行為を受けた被害者であることが確定しましたが、当時の貴学の対応で、いまだに理解できないことが多々あります。以下、質問状としてまとめましたのでお答えくださるよう、よろしくお願いいたします。

早野慎吾(都留文科大学教授)


宮崎大学への質問状

 宮崎大学が2012年6月、私が女子学生の半裸を卒業論文に掲載させていたなどにより退職金不支給を決定し、さらには原田宏、兒玉修(敬称略)らが記者会見で公表した事件について、2016年10月、最高裁において私の勝訴が確定し、私の無実が証明されました。判決では、退職金だけでなく、慰謝料や弁護士費用までが認められる内容となっています。

 2017年3月7日、文部科学省国立大学法人支援課より、「宮崎大学からは、今回の件についての検証委員会(第三者委員会)を設置することを決定したとの連絡がありました。」とのメールをもらいました、また、検証委員会設置の件で宮崎大学を取材した西日本新聞、朝日新聞、共同通信社の各記者から、検証委員会では手続きと調査過程の問題点を検証すると聞きました。

 私は宮崎大学から不法行為を受けた被害者として、宮崎大学に対して質問いたします。検証委員会の方には、以下の質問に対して調査し、回答をお願いいたします。また、必要な資料の提供や宮崎大学に出向いてお話しすることもやぶさかではありません。できる限りの協力を致します。

(写真-略)「特別調査委員会の設置について」原田宏

1.今回の件は、原田宏・岩本俊孝・石川千佳子ら3名による「特別調査委員会」の杜撰な調査により起きた事件です。「特別調査委員会」とは2012年3月19日付の原田からの通知(上記資料)によると、平成24年2月24日に自殺した学生の「卒論指導上、教員として適切な指導が行われたのか」を調査するために3月8日に設置されたと明記されています。

(1) 「特別調査委員会」の人選はどのように行われていたのですか。裁判でも証言しましたが、私と石川、岩本はもともと関係が良好ではありません。元同僚の松井洋子(元宮崎大学講師)もそのことを陳述書で述べています。私が予約していた公用車を、後から割り込んで岩本が使用してしまう等の嫌がらせも受けていました。そもそも、岩本と石川を選定した段階で今回の捏造事件は始まっていたと考えています。

(2) 「特別調査委員会」は、自殺した学生(以降学生B)のことを調査する目的で設置されたのに、石川千佳子(以後石川)は学生Bの自殺の要因などは調査していないと証人尋問(法廷で)証言しています。学生Bの自殺の要因を全く調べなかったのはなぜですか。私は文科省に学生Bの死因調査を依頼しています。(文科省からは、保護者でないと受けられないと拒否された。)

(3) 「特別調査委員会」は、学生Bの卒論指導について調査をする目的なのに、学生Bの卒論指導については全く調査せず、他学科で竹川昭男准教授のゼミ生である学生Yの卒論や、学生Bとは関係ないハラスメント項目を多数報告しています。設置目的の学生Bの卒論指導および卒論を全く調査していないのはなぜですか(石川らが調査した学生Kらは、そもそも学生Bの卒論指導は知らないと調書に書かれていますので、卒論指導の調査ではありません)。また、どのような権限で学生Bの卒論指導以外の調査したのですか。証拠保全資料や裏付けを全く取らずに数週間で懲戒解雇を決定している状況から考えると、調査の開始直後に、原因の解明ではなく、私を懲戒解雇処分にする理由が見つかれば何でもいいという、懲罰ありきの方針に転換したと考えられます。

(4) 裁判所が採取してきた「証拠保全検証調書」には、学生K、学生A、学生Mから、ハラスメント調査を行った書類が多く存在しています。石川は自らが中心となって調査したと法廷で証言していますが、ハラスメント行為ならば、ハラスメント委員会が調査を行う必要があります。なぜ、ハラスメント委員ではなく権限のない石川がハラスメントの調査をしたのですか。石川の行為は、学則違反ではないのですか。

(5) 石川が行った調査において、学生に対して質問はしておらず、学生Kらが言ったことだけを記録したと石川は法廷で証言していますが、学生らの調書を取っているのに何も質問をしていないなどあり得ません。「特別調査委員会」が作成した調書には、質問事項が一切書かれていないのはなぜですか。このような調書は調書としての機能を果たしておらず、誘導を隠すための行為とも考えられ、恣意的な解釈、誤解への歯止めが一切ききません。学生らの調書をとる際、録音をとっていないと石川は法廷で証言していますが、それも考えにくいことです。本当に録音をと調書をとらずに調書をとったのですか。学生Kは、石川作成の調書に対して、多くの項目に「言った覚えはない」と陳述書を提出しています。本当に学生らは証言したのですか。私は多くが石川・原田・学生Kらが誘導したか、証言していない可能性が高いと考えています。

(6) 私は、学生Bが精神疾患に気づいた際、速やかに宮崎大学安全衛生保健センター(以降センター)秋坂医師のもとに学生Bを連れていき、診察をさせました。その後、私はセンター医師とセンター紹介のタヅメクリニック医師の指示で行動しています。それは、2012年2月24日、石川の報告からもわかります。それなのに、石川はセンターには連絡すらとっていないと法廷で証言しています。学生Bに対する卒論指導を調べる目的の「特別調査委員会」が、学生Bの対応で最も重要なはずのセンターに状況を確認しなかったのはなぜですか。目的を逸脱した行為は盛んに行われているのですが、原田、岩本が、石川らの恣意的関心で動いたものですか。

(7) 宮崎大学が私の研究室から回収したとされている冊子は、学生Bの卒論ではなく、他学科の学生Yの卒論です。私は回収の際、「それは学生Bの卒論ではない」と当時学部長の兒玉修らに伝えています。さらに、学生Yが私のゼミ生でないことは、指導教員届けを確認すればすぐわかることで、実際、石川は指導教員一覧(乙43号証)で、学生Yが私の指導学生ではないことも確認しています。また、学生Bの卒論成績は2012年2月7日に提出済みの記録があり(証拠保全資料)、学生Yが2月23日に提出したと証言している卒論でないことは、成績入力記録を見れば一目瞭然です。正式な記録で学生Yは竹川昭男教員のゼミ生であり、正式な成績記録からも自殺した学生Bの卒論でないことが明白な学生Yの卒論を学生Bの卒論と偽ったのはなぜですか。

(8) 今回、中心になったのは学生Kですが、学生Kは「学生Bから会いたくないと言われた」「学生Bと連絡を取らなかった」「学生Bは自分たちのゼミには来ていなかった。学生Bのゼミは知らない」と自ら述べています。学生Bは学生Kからストーカーされたと認識しており(メールあり)、私も相談を受け、学生Kを学生Bに接触させないよう対処してきました。学生Bは自殺直前、学生Kについてセンシティブな内容のメモを書き残しています(必要ならお見せします)。調書でも学生Bから避けられていたことを自認している学生Kが学生Bについて証言したものを信頼できるとし、その証言の裏付けすら確認しなかったのはなぜですか。また、学生Kは虚言癖や盗癖があることを、学生Kをよく知る学生らが複数証言しているのも関わらず、学生Kの証言をそのまま利用したのはなぜですか。
 私は学生Bから、数人にいじめられていたと相談されていましたが、その中に、学生K、学生A、学生M、学生Yが含まれています。その学生らのいじめが事実か否かはわかりませんが、そのような学生らの言い分を一方的に採用するような宮崎大学の体質が問題であったとは思わないのですか。

(9) 学生Bの卒論指導においては、常にゼミ生Tが同席し、ゼミ生Iも時々同席していました。そのことは、ゼミ生Tが2012年5月(懲戒解雇相当と発表する前)に宮崎大学に提出した陳述書に明記されています。早野ゼミのゼミ生Tとゼミ生Iは、特別調査委員会の調査は受けると懲戒処分決定前に申し出ています。特にゼミ生Iは、そのとき在学中で、いつでも調査できる状況にありました。学生Bの卒論指導を全く知らない学生N、学生M、学生Yの3名には、2012年4月に調書を取っています。学生Bの卒論指導を調査する目的の特別調査委員会が、学生Bの卒論指導を全く知らない学生K、学生A、学生N、学生M、学生Yを調査して、学生Bの卒論ゼミを目の前で見ていたゼミ生T、ゼミ生Iを調査しなかったのはなぜですか。もし調査しないのなら、懲戒処分を決定すべきではありません。

(10) 私の懲戒処分を決めた最大の理由が学生Yの卒論となっています。しかし、特別調査委員会が学生Yからはじめて卒論の話を聞いたのは、私を懲戒解雇するとの書面が送られてきた(3月29日決定)約3週間後の4月17日(学生Yの調書)となっています。つまり、懲戒処分を先に決め、後から処分の理由を決めたことになります。学生Yから卒論の調査を全く行わず、調査もしていない学生Yの卒論を根拠に懲戒解雇を決めたのはなぜですか。学生Yの卒論のことを学生Y本人に聞かずに事実と認めるのは捏造です。もし、捏造でないと言うのなら、その根拠を明示してください。

(11) 大学側が問題にした写真撮影は、卒論とは全く関係ない学部重点研究での企画によるものです。その撮影には、学生Yの他、ゼミ生I(企画代表者)、学生B、学生O、学生H、院生Mが参加しています。学生I、院生M、学生Oは特別調査委員会の調査を応じると言っていました(学生Oは保護者同伴との条件)。学生Hは、「3月中旬、特別調査委員会に呼び出されて「真っ黒で何がわからないコピーを見せられて、これは早野が撮ったのかと聞かれたが、私は、早野先生は関係ないと答えた。」と2012年4月9日に電話で私に伝えてくれました(記録あり)。しかし、学生Hの調書は証拠保全でもありませんでした。写真撮影を問題にしておきながら、学生Yのみを調査対象者にして、調査に応じると答えた他の参加者(ゼミ生I、学生O、院生Mら)を調査しなかったのはなぜですか。

(12) マスコミ報道では、撮影参加者全員が被害者の如くなされています。しかし、裁判で虚偽の証言を繰り返した学生Yをはじめ撮影参加者6名の誰もハラスメント申立をしていません。ある撮影参加者は、「自分らは自信を持って企画を進めたのに、嘘の報道をされて非常に迷惑でした。私たちは被害者ではないが、加害者がいるとすれば嘘を発表した宮崎大学と学生Yです。できれば、原田宏と兒玉修をパワハラで訴えたい。学生Yは許せない。」とまで言っています。ハラスメント申立もしておらず、調査もしていない、逆に学生Yの証言は嘘だと証言する撮影参加者が複数いるのに、撮影参加者全員を私の被害者としてマスコミに嘘を発表したのはなぜですか。高裁判決文には不法行為と明確に書かれています。

(13) 学生Yは卒論ゼミはやっていないが研究打ち合わせはあったと主張しましたが、それは4回「3分だけで、学生Bとメールだけで打ち合わせするようになった」と学生Yの調書(3頁)に書かれています。4回×3分(計12分)だけで学生Yと学生Bがメールでした(つまり教員は打ち合わせに関わっていない)打ち合わせを、大学として卒論指導だったと主張したのはなぜですか。宮崎大学では、教員が関わらずに学生同士が12分打ち合わせしたら、6単位(卒論単位)は認められるのですか。(宮崎大学が12分で6単位認めるならば、260分の受講で卒業単位が取れてしまう)。

(14) 原田宏、兒玉修は記者会見で事実無根のハラスメントを発表しましたが、それは裁判で不法行為と認定されました。また、石川は権限のないハラスメント調査をして、虚偽の報告書を多数あげています。原田や兒玉が発表した内容が虚偽であった以上、明らかに宮崎大学の名誉を傷つけています。西日本新聞の記事をヤフーニュースで『「でっち上げ」敗訴の宮崎大学検証へ』と報道されています。特別調査委員会の原田、岩本、石川と虚偽を発表した兒玉らは、宮崎大学の名誉を傷つけたのは明らかなのに処分しないのですか。

(15) 石川らは、2012年3月13日(証拠保全200頁)、学生Bの両親に対して、学生Bと私が男女関係であったなどの虚偽をなぜ伝えたのですか。仮に学生Kと学生Aが言っていたとしても、事実確認をする前に伝えるのは余りに不適切な行為です。私は、学生Bの父親から殺人予告を受けましたが、もし事件になっていれば、石川らの行為は殺人教唆(刑法61条1項)にあたると私の代理人は判断しております。また、日野弁護士(理事)は、学生Bの両親に、私や大学を民事的に訴えることができ、「連絡頂ければ相談に乗る」と言ったと記録されていますが、この発言は大学にとっての背任行為ではないですか。この発言が事実なら、私にとっても、調査する以前から私を犯人視する行為で、弁護士としてあまりに軽率と言わざるを得ません(弁護士がこのような発言をするとは、とても信じられませんが)。この書類に書かれている、犯罪に繋がる発言をした人物たち(岩本、兒玉、石川ら)の処分はしないのですか。さらに、最高裁判決後、大学が伝えたことは、間違いであったことが判明したと、学生Bの両親に伝えたのでしょうか。文科省国立大学支援課係長は、必ず伝えるべきとおっゃっています。

2.証拠保全の資料を見ると、宮崎大学はハラスメント認定の過程で様々な捏造を行っております。ハラスメント認定過程での不正と思われる点を質問します。

(1) 3月11日のハラスメント申立書には「3月9および11日大学で事情聴取にて話したとおりです。」と書かれていますが、3月9日学生A、3月11日学生Kの調書はありますが、卒論指導上のことや学生への裸体撮影など、ハラスメント項目の大半がそれらの調書には書かれていません。また学生Kと学生Aは、それらを全く知る立場にもありません。調書に書かれていないことを書いているのですから、これは捏造であり、公文書偽造にあたると考えられます。また、申立者は学生K、学生A、学生Mの3名となっていますが、学生Mの調書はありません(学生Mの調書は4月25日)。3月11日の申立書に調査のない学生Mの名前が出ているのはなぜですか。ハラスメント申立書が農学部会計係のパソコンで作成されており、作成日が3月23日となっているのはなぜですか。「学生A・例」のように複数のハラスメント申立書が作られているのはなぜですか。申立者に学生Kの名前しかなく(学生A、学生Mはない)、直筆でもなく印鑑も押されていないのはなぜですか。なぜ、このような捏造書類がなぜ作られたのですか。

(2) 2012年3月27日、学生K・学生A・学生Mによる「ハラスメント申立書に関する調査結果について」では、石川の調査報告がそのままハラスメント認定で使われています。そして「事情聴取した殆どの学生等から具体的な証言を得ている」「(早野が)一切否定しておきながら『誰が、いつ、どこで』など具体的なことを問うてくること自体極めて不自然なことであり、このことからも、自ら関与をしめしていると考えられる。」とハラスメント行為が認定されています。根拠となる学生K、学生Aの調書に全く記載のない多くのハラスメント項目が「学生等から具体的証言を得ている」とされたのはなぜですか。これは明らかな捏造です。また、「誰が、いつ、どこで」と聞くことが極めて不自然で、自ら関与を示しているとの理由付けこそ、社会通念上極めて不自然です。そのような理由付けが宮崎大学では通用するのですか。

(3) 宮崎大学が私の解雇相当処分を決定するに当たって、「国立大学法人宮崎大学ハラスメント等の防止・対策に関する規程」に定められた、「ハラスメント申立」と「ハラスメント防止・対策委員会の対処」の手順が一切無視されています。それにも関わらず、記者会見ではいかにも大学として学則で規定した、セクハラ、パワハラの事実を確認したかのような発表をしています。解雇相当処分を急ぐために、特別調査委員及び大学執行部が学則を飛ばして、一方的にハラスメントを認定したのではないですか。

(4) 学生Kの調書・学生Aの調書の証言の多くは伝聞になっています。特に学生Aは自身がハラスメントを受けたとは言っておらず、調書でも、すべて伝聞や、伝聞の伝聞と記録されています。学生Kは、学生Bが無理矢理方言調査に連れて行かれたなど悪質な虚偽を繰り返していますが、方言調査に参加した山本友美講師、院生Mやゼミで話を聞いていたゼミ生Tらは学生Kの証言が悪質な虚偽であると大学の懲戒処分決定前に陳述書を提出しています。実際にその場にいた人たちが違うと証言しているのに、伝聞に過ぎない学生Kと学生Aの証言でハラスメント認定したのはなぜですか。

(5) 学生Kは、学生K以外の学生に私がハラスメント行為をしていたと証言しています。しかし、宮崎大学は大学関係者がハラスメントを受けたとされた人物に直接確認を取ることもなく、学生Kに確認させていたのはなぜですか。学生Kの証言はほとんどが虚偽だと、ゼミ生Tが宮崎大学に伝えていました。ハラスメント行為の確認をハラスメント委員会でもない学生(しかも申立者)にさせることは、大学として許される行為なのですか。しかも学生Kに確認させたことを根拠に懲戒解雇処分を下すなどあり得ない行為です。

(6) 本件の裁判費用や賠償金は、国民の血税もしくは学生から徴収した授業料で支払われています。原田、岩本、石川、兒玉らの行った不法行為の代償を税金や授業料で支払っておきながら、国民に対して何の説明もなく、被害者の私に対して謝罪すらないのは、税金で運営している国立大学法人として許されるのですか。

(7) 今回の検証に関しても、国民の血税もしくは学生から徴収した授業料で行われています。税金や授業料で行われる以上、検証結果を学内に周知する必要がありますが、学内に周知するのですか。また、税金が使われている以上、結果を国民に公表しないと納税者に対しての責任を果たせません。2017年5月10日の朝日新聞には「結果は公表しない」と書かれていますが、それはどうしてですか。

以上のことにお答えください。

※本質問状は、学生名のみ匿名にしております。文部科学省と大学および、各新聞社に送ったものは、全て実名を記載しています。


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