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2018年01月21日

福岡教育大、学長選巡り不当労働行為 組合活動を妨害 東京地裁判決

毎日新聞(2018年1月16日)

 福岡教育大(福岡県宗像市)が投票結果を覆す学長選びをしたため労働組合が批判するビラを配ったところ、当時の学長が組合活動を妨害する発言をしたとして、東京地裁(佐々木宗啓裁判長)が学長発言を労働組合法が禁じる不当労働行為と認定した。ビラを配るなどした教授2人への人事上不利益な取り扱いも不当労働行為と認めた。中央労働委員会による救済命令を取り消すよう求めた大学側の請求は棄却した。

 判決は昨年12月13日付。佐々木裁判長は、学長発言について「労働関係上の制裁を示唆して組合活動を弱体化させる恐れを生じさせた。言論の自由を踏まえても配慮を欠き、労使の秩序を乱した」と批判。人事上の取り扱いについても「大学自治を侵害しかねない不相当な手続きを強行した」などと指摘した。

 判決によると、学長選は2013年11月に実施され、当時の現職学長が88票、組合が推す候補が123票を獲得。しかし選考会議で当時の学長が選ばれたため組合は同年12月、「大学自治や民主主義に照らして問題だ」とするビラを配った。これに対し学長は「本学への信用失墜行為だ」と非難する文章を大学ホームページに掲載したうえで、配布した教授の研究科長への任命を拒否するなどした。

 労働組合の救済申し立てを受けた福岡県労働委員会は16年、学長発言などを不当労働行為と認め、再発防止を誓う文章の学内向けホームページ掲載などを求める救済命令を出した。中央労働委員会も17年に同大の再審査申し立てを棄却したため、同大が命令取り消しを求め東京地裁に提訴していた。福岡教育大は「判決は不服で控訴した。それ以上はコメントできない」としている。【平川昌範】


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