研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

2018年03月08日

高知県立大雇い止め訴訟、元契約職員の請求棄却 地裁判決

毎日新聞(2018年3月7日)

 県立大(高知市)で勤務していた元契約職員2人が、雇い止めは不当として大学を運営する県公立大学法人と、県立大学後援会をそれぞれ相手取り、雇用継続と給与支払いを求めた訴訟の判決が6日、高知地裁であった。西村修裁判長は「更新の上限が3年以内と明確にされており、原告の採用後に一方的に就業規則が変更されたという事情もない」などとして2人の請求を棄却した。【松原由佳】

 判決などによると、原告の女性2人は2013年からそれぞれ県公立大学法人と大学後援会に勤務。年度ごとに契約を更新していたが、就業規則に規定された3年の雇用期間を理由に、15年度末で雇い止めになった。

 原告側は、3年の雇用期間が満了しても、従来は公募を通じて事実上優先的に再雇用されてきたと指摘。そのうえで、16年度から急に雇い止めされるようになったとし、解雇権の乱用に当たると主張した。また13年に施行された労働契約法の改正で、今年4月以降、同じ職場で通算5年以上働く有期雇用者は、無期労働契約に転換できるようになる。このため、その対象になる原告2人について大学側が雇い止めにしたと訴えた。一方、大学側は、契約職員就業規則で通算雇用期間の上限を3年と明記しているなどと反論していた。

 西村裁判長は、大学側が団体交渉の場で、改正法の存在を強調するような答弁をしていたことに言及した。しかし、大学側が契約期間の上限を明記していたことや、契約職員から準職員になる制度を当時設けるなど、正規雇用主体の職員構成に転換を進めていた点を重視。「16年度に公募をしなかった判断が直ちに(無期労働契約への転換について定めた)労働契約法18条に反するものであったとは言い難い」として、原告の訴えを退けた。

   ◇ ◇

 閉廷後、原告女性2人と支援者らが高知市の高知弁護士会館で報告会を開いた。

 原告女性の1人は「誰かが声を上げないと何も変わらない。私たちの裁判を通じて同じように苦しむ全国のみなさんの心の支えになることを切に願う」と話した。また今回の争点の背景になった労働契約法の改正について「働き手を守るための法律が、逆に私たちを追い詰めることになっている」と訴えた。2人を支援してきた県立大教職員組合の田中きよむ委員長は、「無期雇用への転換を阻む脱法行為。労働契約法を改正した意味があるのか」と語気を強めた。


|