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2018年11月02日

教授会で人格侵害発言 英国籍の元准教授女性が立命館提訴

京都新聞(2018年11月01日)

 立命館大の教授会内で人格を侵害する発言を受け、学内でパワーハラスメントと認定されたにも関わらず大学の救済措置が取られなかったとして、英国籍で同大学の元准教授ブレーク・ヘイズさんが1日、学校法人立命館(京都市中京区)に対して、慰謝料など7千万円の損害賠償を求める訴えを京都地裁に起こした。

 訴状によると、ヘイズさんは2009年から国際関係学部の准教授に就き、労働経済学の研究に取り組んできた。学部長から教授への立候補を打診され、15年に学部教授会で昇任審査を受けた。その際、研究科長の男性教授らから、博士号取得に詐称の疑いがあるなど虚偽の発言をされ、投票の結果、昇任が認められなかったという。

 学内のハラスメント防止委員会は17年、教授らの発言が、職務上の地位や人間関係の優位性を利用していたと指摘。「精神的・身体的苦痛を与え、就労上の権利、人格、尊厳を侵害する言動」だったとし、昇任投票に「否定的な影響を与えた」と判断した。

 しかし大学側は、決定内容を公表せず、学部も教授会の決定を変更しないなど救済措置を取らなかったと訴えている。

 原告は同年3月末に定年退職し、教授昇任の再投票などを求めて京都簡裁に調停を申し立てたが不成立で終わった。

 1日に会見したヘイズさんは、女性研究者が日本で地位を得る際に「見えない天井」があるとした上で「大学は互いの違いを乗り越える寛容性を大切にしなければいけないのに、誤った情報で職場を追いやられて非常に残念。同じような被害を受ける人たちの力になりたい」と話した。

 学校法人立命館は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。


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