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2018年12月09日

琉球遺骨返還、京大を提訴 「盗掘し権限なく占有」

京都新聞(2018年12月8日)

 昭和初期に京都帝国大(現京都大)の人類学者が沖縄県今帰仁(なきじん)村にある地元の首長を葬った「百按司(むむじゃな)墓」から研究目的で遺骨を持ち去ったとされる問題で、首長の子孫や沖縄県出身の大学教授らが4日、遺骨を保管している京都大に対して返還や慰謝料を求める訴えを京都地裁に起こした。研究目的で持ち出された遺骨の返還訴訟は、北海道のアイヌ民族の訴訟に続き全国で2例目。

 訴状によると、返還を求める遺骨は、京都帝国大医学部解剖学教室助教授だった金関(かなせき)丈夫氏(1897~1983年)が、1928~29(昭和3~4)年に百按司墓から持ち出した26体(男性15体、女性11体)の骨。金関氏が墓を管理する親族らの許可を得ずに、盗掘したとしている。遺骨は、現在も京大が人骨標本の研究材料として、何ら権限なく占有していると訴えている。

 原告は、15世紀に琉球王朝を開き、同墓に埋葬されたとされる王族「第一尚氏」の子孫2人と、沖縄県出身で琉球民族遺骨返還研究会代表の松島泰勝・龍谷大教授ら計5人。沖縄では、先祖の霊魂は骨に宿るとして遺骨そのものが崇拝の対象となっているとし、遺骨が本来あるべき場所にないため、憲法が保障する信仰の自由や民族的、宗教的自己決定権が侵害されたと主張する。

 持ち出された遺骨が誰なのかが判明していないため、訴訟では、原告に遺骨の返還を求める権利があるのか(原告適格)が争点となるとみられる。

 京都大広報課は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。


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