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2019年02月14日

札幌大学特任准教授による地位確認および未払い賃金請求訴訟、札幌地裁不当判決(2019年2月13日)

札幌地裁判決に対する教職員組合の声明

「札幌大学特任准教授による地位確認および未払い賃金請求訴訟」
札幌地裁判決に対する教職員組合の声明

2019年2月13日

1.札幌大学教職員組合が本裁判を支援し続けてきた理由

 札幌大学教職員組合は、訴訟準備の段階から、本裁判を支援し続けてきました。その理由として、以下の3点が挙げられます。

 第一に、学校法人札幌大学(以下「法人」と略称)は、労働契約法等の改正に伴い、一定期間(10年)継続して勤めれば無期雇用へと転換を望めるとする規定を逆手にとって、その一定期間(9年)内でしか有期雇用契約は継続できないとの内規まで設けました。一定期間間近になれば直前で雇い止めされることが考えられるため、労働契約法は、継続雇用の期待があってしかるべき場合には、その期待権を保障するという形にまでなっています。にもかかわらず、こうした点を全く無視するということは、有期雇用契約の教職員を好き勝手に雇い止めできることになります。その根底には彼ら有期雇用の教職員に対する軽視があり、労働者の団体である教職員組合としては、本裁判の支援を通じて、そうした法人の有期雇用職員への態度の是正を求めたいという考えがありました。

 第二に、現在の日本の大学では、無期雇用の専任教員だけでなく、特任教員、助教や非常勤講師のような様々な有期雇用の教員も大学教育を支える重要な担い手となっています。にもかかわらず、法人が有期雇用の教員を単なる目先の「調整弁」としてのみ考え、彼らの待遇を変化させるような近視眼的な大学経営は、中長期的な継続性が求められる大学教育の維持・向上を難しくし、本学の存続すらあやうくなり、この大学で働く全ての教職員の労働環境の悪化を招くことになります。この点からも、職場の労働環境の維持・向上を守ることを使命とする教職員組合が、本訴訟を支援するのは当然といえるでしょう。

 第三に、大学の人事は、カリキュラムを通して学生に良質な教育を供給するという、大学の本質に関わることです。それが研究や教育の業績ではなく、単に縁故があるとか、友人関係であるからで左右されてはならないはずです。だからこそ、大学には教員採用のための詳細な規則が定められています。そうした規則に照らしてみても、原告には何の問題も無く、むしろ積極的に招聘すべき人材です。こうした状況を無視して雇い止めすることは、本学全体の評価を下げることになり、本学のこれからの発展にも大きく影響するでしょう。こうした法人の恣意的かつ独裁的な経営姿勢は、教職員や学生、卒業生など札幌大学に関わる全ての人々に対する背信行為です。教職員組合として到底容認することはできません。
 
2.法人に対する組合見解

 本裁判で明らかになったのは、自分たち内部の都合でしか考えない、法人執行部による大学の私物化でした。しかし、50年以上も続く札幌大学を支えてきたのは、現場で働き、大学教育を支えてきた全ての教職員一人一人です。裁判を契機に、法人は大学で働く教職員の労働環境を悪化・破壊してきたという根本的な問題を直視し、労使が協力してこの問題と誠実に向き合い、全教職員が働きやすい労働環境を作っていくことこそが、本学再生の道です。

 また、本裁判を通じて明らかとなった理事らによる一連の行為は、大学を私物化する無責任なものであり、到底学校法人の経営責任を負う者とは言えません。理事長をはじめとする理事会には猛省を求めます。

以上

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