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2019年07月13日

明治学院大学事件、本で取り上げられる

「明治学院大学事件」が取り上げられました。

■小川仁志『公共性主義とは何か――〈である〉哲学から〈する〉哲学へ』(教育評論社、2019年6月)
http://www.kyohyo.co.jp/publication/publication_105.htm

「大学教授は偉そうにしているように思われがちだが、ただの被用者にすぎない。だから解雇をちらつかせられれば、もう何もできなくなってしまうのだ。それこそ終身身分を保障するなどよほどの保障がない限り、ただのサラリーマンにすぎない。上司の恫喝の前では何もいえなくなってしまうか弱い立場なのである。

さすがに国立大学ではそこまで露骨なことはないが、私立大学では建学の精神を批判したことが遠因で、最終的に大学教授が解雇されるに至ったケースもある。最近の例でいうと明治学院大学事件がそうである(注1)。

所属するキリスト教系大学の見学の精神を批判したことで、授業を無断録音されたY教授は、そのことを大学に抗議した。すると、こともあろうに大学側は、Y教授に解雇をいい渡したのである。地裁ではY教授が勝訴したが、そもそもこんなことがまかり通ること自体に問題がある。

国立私立の別を問わず、大学という存在はすべからく公共空間であるべきである。皆が自由に発言し、批判し合える場であるべきだということである。そうでないと、学問の発展は見込めない。忖度や遠慮があってはいけないのである。真理の探究は政治とは異なる。現実に合わせるための妥協は議会や取締役会でやればいいのであって、学問の場でやることではない。まさに大学の危機である(注2)。

(注1)事件の概要については、寄川条路編『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)に詳しい。
(注2)この問題については、近く刊行予定の寄川条路編『大学の危機』に掲載される拙稿「大学教授とは何か?」を参照。」


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