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2019年09月27日

明海大学の組合役員に対する不当解雇事件、東京高裁における勝利和解にあたっての声明

■東京私大教連
 ∟●明海大学の組合役員に対する不当解雇事件、東京高裁における勝利和解にあたっての声明

<明海大学の組合役員に対する不当解雇事件>
東京高裁における勝利和解にあたっての声明

1.東京高等裁判所(以下、「東京高裁」)において、明海大学教職員組合(以下、「組合」)の執行委員である教授を学校法人明海大学(以下、「法人」)が懲戒解雇したことについて、東京高裁より、法人による懲戒解雇は無効であるとの判断が示され、法人が懲戒解雇を撤回し退職金および違法解雇の慰謝料を支払うとともに、懲戒解雇撤回を学内で公示するなどの名誉回復措置を取ることを前提として、法人が返還を求めている通勤手当の一部を当人が支払うという和解提案がありました。この内容で、2019 年 9 月 24 日に和解が成立しました。

2.本件懲戒解雇は、以下に述べるとおりきわめて不当なものでした。
①この懲戒解雇は、組合が 2017 年 1 月 13 日に、東京都労働委員会へ不当労働行為(団交拒否・支配介入)の救済を申し立てたこと(2019 年 8 月 21 日に全面勝利命令、理事会が中央労働委員会に再審査申立)への報復として、また「見せしめ」として強行された組合攻撃です。同教授は、組合結成時から書記長をはじめとする組合役員を務めてきました。そうした同教授に対して、明海大学理事会(宮田淳理事長)は、組合が不当労働行為救済申立を行った直後に通勤手当についての追及を開始し、前例を無視した勝手なルールをでっち上げて、過去 10 年にわたり通勤手当を不正受給していたとして懲戒解雇を強行しました。
②同教授は、2017 年 3 月末日で定年退職の予定でしたが、法人は、そのわずか2週間前に懲戒解雇を強行し、勤続 29 年の退職金を不支給としました。これにより、同教授の就学中の2人の子どもの養育をはじめとする人生設計は破壊され、また大学教員・研究者としての名誉が著しく傷つけられることにより、退職後の教育・研究活動の継続に重大な支障が生じています。そればかりか法人は、懲戒解雇撤回を求める同教授の提訴に対し、通勤手当の「返還」を要求する反訴を起こし、同教授の生活をさらに困窮させようとしました。
③このような不当解雇について、東京地方裁判所立川支部(以下、「一審」)は 2019 年 3 月 27日、懲戒解雇を無効とし、法人に対して、退職金および違法解雇の慰謝料の支払いを命ずる勝利判決を言い渡しました。

3.東京高裁で提示された前述の和解提案は、法人の控訴を退けて一審と同じく懲戒解雇処分を違法とし、一審判決にはその性質上含まれない名誉回復措置が盛り込まれたものであることから、裁判官の強い和解の勧めがある中で、同教授の名誉回復を第一に重視するとともに、今後の労使関係の改善を前進させるために、組合はこの高裁の和解提案を受けることにしたものです。このたびの和解は、本件懲戒解雇が、大学教職員の権利を侵害した違法な解雇であることを法人が公的な場において認めたものです。私たちは法人に対し、教職員に対する権利侵害を繰り返すことなく、組合に対する不当労働行為をやめ、教職員および教職員組合の権利を尊重し、正常な労使関係を確立することを強く求めるものです。

2019年9月24日

東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)
明海大学教職員組合
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