研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

2020年03月27日

「追手門学院大学懲戒解雇」大阪地裁判決に対する声明文

「追手門学院大学懲戒解雇」大阪地裁判決に対する声明文

2020年3月25日

「追手門学院大学懲戒解雇」大阪地裁判決に対する声明文

 追手門学院現理事長で弁護士でもある川原俊明氏が、原告落合と田中に行った懲戒解雇を無効と判じた大阪地裁の判断は、誠に合理的であり,社会的に意味のある判断だと考えます 。

 判決において、現理事長等が原告等を大学から排除する強い意志を持って、合理的事由がないにもかかわらず、本来証拠と出来ない内心をも懲戒事由とし、学院では懲戒解雇時には弁護士など専門家の意見を聞く慣例の手続きも経ず、遵守すべき事実、論理、倫理、人権をも軽んじる権力行使を行い、排除したい者を独断的に懲戒解雇できる統治のあり方が明らかにされました。そして,この統治のあり方が,「腐ったミカンはいらない 」とするターゲットとした教職員の人権をも無視する酷い手法で辞めさせることを目的に行った研修へとつながったのです。

 事の始まりは、前理事長が追手門学院大学において幹部職員(当時事務 No.2) による複数学生とチアクラブコーチとに対する深刻なセクハラ行為(大学設置調査委員会で認定)をコーチから相談された事務局長(当時)が結果として隠蔽したという事務職最高幹部二人の起こした悪質な事案であります。クラブコーチは原告田中に相談し、学長であった原告落合を長とする大学ハラスメント委員会に訴えました。そして、大学調査委員会によりセクハラが認定され、隠蔽には厳しく重い付言がつけられましたが、法人懲戒委員会では理事長一任となり、その結果、理事長が加害職員に厳重注意と謝罪文の提出を求めたのみで、自己都合による退職(退職後 、直ちに他の学校法人の常務理事に就任)を承認し、事務局長に対しても口頭による厳重注意のみで、事実上不問に付しました。事務局長と理事長の2度にわたる隠蔽でこの事案を無かったことにした学院中枢の極めて重大な事案です。特に前理事長は厳正な処分と同時になすべき被害学生等への十分な心身のケア、そして学院としての再発防止策の策定など教育機関としてのあるべき姿を全く示すことをしませんでした。

 学院のこのようなあり方に対して,クラブコーチが提訴し、原告等は自浄作用が機能しない法人では大学の機能を損なう事になると考え 、勇気ある行動を支援しました。

 これに対して、前理事長は、原告落合を自ら辞めるように、学長就任前から非協力的姿勢をあらわにし、学長就任後には合理的理由がないにもかかわらず学長辞任勧告を10ヶ月にわたり行いました。さらに学長辞任後には、現理事長等が原告落合に対して3年にわたり3度の配転を行い、研究者総覧や教員名簿、大学院の受験生用パンフレットから名前を消す、強引な統治や懲戒解雇を履行しやすくするため必ずしもデュープロセスを経ないで一方的に懲戒手続きをはじめ様々な学内規程を都合のよい内容に変更してきました。

 一方、クラブコーチは裁判の過程で訴訟を唐突に担当弁護士にも相談せずに取下げ、裁判支援のためのグループ内での情報・意見交換のメールを全て被告側に提供しました。その上クラブコーチは、自身の相談を真摯に受け止め、支えてきた原告田中を貶める多数の事実に反する発言を学院の証人として行いました。原告としては、このような理事会執行部とクラブコーチの行為を厳しく問いたいところです。

 鑑みれば、現理事長等の敗訴濃厚な落合の配転判決の直前の2015年10月25日に突如懲戒解雇され 、爾来4年5ヶ月が経過しました。懲戒解雇の結果、私達は大学教授としての教育・研究の機会を奪われ、給与も支給されない状況に置かれ,取り返しのつかない負の影響を長期間にわたり止むなく受けざるを得なくされたことは、決して許すことの出来ないことです。

 もとより、私学といえども大学は教育機関として社会の公器であります。最高学府にある大学の現理事長で、弁護士でもある川原氏は、大学が大切にしている事実に基づき、論理に沿った理性的判断、倫理と人権の尊重という学問と教育に大切な価値を全く尊重せず、従って妥当性も、適切性も認められない権力の行使を行い、自身に都合の悪い原告や教職員を学院から追放した事、自身の学院にとどまらず中京大学や名古屋芸術大学、さらには梅光学園など他の教育機関にまでもその手法を波及させていることは、追手門学院の役職はもとより、社会的な役職を自ら辞するに十分値する振る舞いであると考えます。

 最後に、本判決を得る事が出来ましたのも、提訴から4年5ヶ月余にも及び私達を支えてくださいました弁護士の先生方のおかげであり、深く感謝致します。さらに、はじめから一貫して私達の裁判を支援してくださいましたさまざまな大学の教員をはじめ、追手門学院の卒業生の皆様を含む多くの方々の支援の賜であり、皆様方に深く感謝いたします 。


田中耕二郎 ・落合正行

|