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2020年07月03日

北大学長解任 長期混乱の説明足りぬ

道新(2020/07/03)

 萩生田光一文部科学相が、北大の名和豊春学長を解任した。

 大学職員らを過度に叱責(しっせき)するなどの不適切な行為を重ねたのが理由とされる。国立大が2004年度に法人化されて以降、学長の解任は初のケースだ。

 名和氏は問題が表面化した直後から休職し、1年半にわたって学長不在という異常事態が続いている。にもかかわらず、北大側が対外的な説明を十分にしてこなかったのは納得できない。

 解任を受けた記者会見を経ても「内部で何があったのか」という疑問は残されたままだ。

 北大は問題が長期化した経緯を含め混乱の原因を明らかにし、再発防止に努めてもらいたい。

 北大によると、名和氏は学長に就任した2017年以降、職員らに過度な叱責や威圧的な言動を重ね、特定業者のために再入札を求めるなど不適切な行為を重ねた。

 これを受け北大の学長選考会議が文科相に名和氏の解任を申し立てた。文科相は調査の上、「(国立大学の)役員たるに適しない」との理由で解任を決めた。

 ただ、名和氏の行為が解任に十分相当するかの具体的根拠は示されず、処分が適正かは判断が難しい。名和氏と大学側との間でどんないきさつがあったのかも、詳しく知りたいところだ。

 名和氏は不適切な行為を否定し、「処分は不当だ」として、文科相に対する審査請求や国を相手取った処分取り消しの訴訟を起こす構えだ。

 だが、処分理由に対する反論は明確さを欠き、疑問は残る。名和氏にも説明責任はあるだろう。

 一連の混乱が学内外に及ぼした影響は小さくはない。

 新型コロナウイルスの感染拡大が、大学の授業や入試日程に影響を及ぼしている。在籍する学生や受験生らに、大学の現状や今後を不安視する向きは多かろう。

 そうした中で、大学の役員らが内部の混乱を長引かせるのでは、信頼を得ることは難しい。まずは学生らの不安を解消し、学問に落ち着いて打ち込める環境を整えるべきだ。

 北大の学内規定は、学長欠員の場合は速やかに次期学長選挙を行うと定めている。大学側は年内に行う意向を示したが、不在の長期化を考えれば、早期の決着が望ましい。

 今回のような問題の再発防止を徹底し、地域の拠点的研究・教育機関としての責任を果たしてもらいたい。


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