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2020年10月04日

菅義偉首相による日本学術会議会員推薦者の任命拒否に関する緊急声明

菅義偉首相による日本学術会議会員推薦者の任命拒否に関する緊急声明

2020年10月3日
日本私大教連中央執行委員会

 10月1日、日本学術会議の総会において、山際寿一前会長は、学術会議が推薦した新会員のうち6名が菅義偉首相により任命を拒否されたことを明らかにした。
 日本学術会議は、わが国の科学者を内外に代表する、政府から独立した機関であり、同会議の会員は、任期6年で、その半数が3年ごとに改選されるが、改選にあたっては同会議の推薦に基づき首相が任命することとなっている。会員に推薦された者をそのまま任命することは、現在の任命方式に変更される際の国会審議における政府答弁でも明言されていた。これまで半数改選に際して、被推薦者が任命されなかった例は過去になく、このことにより同会議の独立性が一定担保されてきたのである。
 政府は、昨年、首相の任命拒否が可能であるとの解釈変更を行っていた。これは、今回の任命時期にあわせて行ったもので、意図的であったことは明らかである。これは解釈権の枠を超えた、立法権の簒奪ですらある。
 今回の新会員の任命にあたって、任命されなかった被推薦者には、国会の参考人として共謀罪法案や安保法制に対して批判を行った者が含まれている。政府の政策を批判したことを理由に、任命されなかったとすれば、明らかに政治的な判断によるものと言わざるを得ない。
 政治的な判断によって会員が任命されるようになれば、学術会議は政府の御用機関となり、日本の学術が政治に従属させられることになりかねない。戦前、日本の学術が戦争に動員された反省を踏まえ、政府からの独立を保障しつつ、設けられたのが現在の日本学術会議である。
 学術は、人類共通の財産として営まれるものであり、決して権力者のものではない。
 今回の菅義偉首相による任命拒否は、日本学術会議の歴史に残る汚点となるばかりか、学問の自由を定めている日本国憲法の明確な蹂躙である。
 日本私大教連中央執行委員会は、このような暴挙を行った菅義偉首相に抗議するとともに、日本学術会議法の定めどおりに推薦された6名の会員の任命拒否を直ちに撤回することを強く要求する。あわせて日本学術会議には、引き続き6名の任命を行うよう政府に働きかけることを求める。

以上

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