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2020年10月14日

サイト紹介「ながみねWeb研究室」、早稲田大学学術研究倫理委員会は,剽窃に係わる調査報告書を公開すべきである。

■「ながみねWeb研究室」
http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/

学術研究倫理問題 : 早稲田大学学術研究倫理委員会の調査報告書

2020‐10‐09

 早稲田大学学術研究倫理委員会の調査報告書(2020‐02‐25)を、10月1日に、「原朗氏を支援する会」ウェブサイトに掲載したが、10月9日、早稲田大学学術研究倫理委員会事務局から「著作権」等を理由に削除を求められ、ひとまずは削除することになろう。

 「原朗氏を支援する会」事務局は、2020年2月25日の盗作判定から7か月以上たっても、不正行為に基づくその後の対応(処分)に関しての問い合わせに対し、早稲田からは何の反応もないので、調査報告書の公開(9月15に、回答期限を月30日までと切っておいたので)に踏み切った。それは公益を考えて、やむにやまれず執った行為であった。
 問い合わせは、6月初旬、7月末におこない、何の回答もない場合、公開に踏み切らざるを得なくなるということは、8月初めに伝えた。そして、最後に9月15日,期限を切っての問い合わせを行った。

 しかし、早稲田サイドからは、こちらの問い合わせに対し、今日現在に至るまで、まったく何の回答もない。「支援する会」ウェブサイト責任者宛てにとどいたのは、学術研究倫理調査委員会事務局からで、しかも、「著作権」を理由とする削除要求だけである。

 これは、大学として誠実なやり方であろうか? 
 自治自立の大学として制定し、内外に公開している大学規程(不正行為に関する規程公開している大学規程)に合致することか?
 
 早稲田大学規程によれば、不正行為案件を適切に公表することを規定している。たしかに、公表期限を区切ってはいないが、審理進行状況・公開見通し等を伝えるくらいは、通報者に対する責務ではないのだろうか?
 不正行為を適切に審議処理して、再発を防ぐためには、迅速な公開こそが当然ではないのか? 不正行為の再発防止という見地からは。加害者・被害者をできるだけ出さないように迅速に対応すべきではないのか?

 今問題になっている学術会議の委員任命問題では、政府の問答無用の任命拒否について、全国的に各界から批判・抗議の声明等があがっている。
 しかし、その場合にも、任命拒否できる正当な理由として、ありうるのは、候補者の学術研究上盗作があった証拠・判定が挙げられており、その場合ならば、任命拒否はありうるだろうと例示されるくらい、盗作案件は、研究者のもっとも基本的要件にかかわるものである。
 
 それだけに、学術研究倫理委員会が下した判断の意味は重い。
 その判断を大学として、今後の不正防止・学術研究の健全な発展のためにどう生かしていくのか、どのような理由付けで不正行為の証拠と判断を社会に公開するのか、その周知徹底こそは、大学の重大な社会的学術倫理的責任であろう。

 学術研究倫理委員会の調査報告書(2020年2月25日)を通報者だけに知らせて事足れり、とはならないはずである。
 学術研究倫理は、大学の生命ともいうべきものである。学生・院生・研究者の全体に知らせるべきものである。
 事実、小保方問題ではごく短期間に総長が処分を発表したのではないか?
 公開している大学規程にてらしても、それが必然ではないか。それが大学規程というものではないのか?

その点に関する当方の問い合わせには、7か月以上、何の回答もないということは、社会通念として、許されるのであろうか?
いつまで待てというのか? 

早稲田大学学術研究倫理委員会は、著作権を理由に、調査報告書の公開を削除させる権利を有するのか?
 真実・真理の探究を、著作権を理由にして重要文書を非公開にし、抑圧してもいいのか?
 それが、真実・真理探究のための学問の自由・大学の自治を基本理念とする大学の取るべき態度か?
 事実・データを隠蔽すれば、事実・データの捏造と同じく、真実・真理の解明の阻害になるのではないか? 
 これは大学の存立・核心的使命に係ることである。

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