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2021年03月26日

札幌大学、開学以来の看板「ロシア語専攻」廃止が取り沙汰

リアルエコノミー(2021/03/08)

 札大のロシア語専攻は、開学以来の看板でもある。1967年に開学した同大は、経済学部経済学科と外国語学部英語学科、ロシア語学科でスタートしたが、当時の学生募集のフレーズは『外国語に堪能なビジネスマンを養成する』というものだった。

 ロシア語学科は全国的にも珍しく、道内外から優秀な学生が集まり、ロシアに近い北海道の地政学的な関係もあって人材育成に一定の役割を果たしてきた。しかし、北方領土返還の膠着状態やロシアとの外交関係も一進一退ということもあって、同大のロシア語学科も入学定員を下回る状況が続いている。

 2013年からは、学部制を廃止して地域共創学群13専攻に改変しているが、20年度からは、地域創成専攻、現代政治専攻、中国語・中国文化専攻、異文化コミュニケーション専攻の4専攻の募集を停止した。いずれも定員充足率が50%台だったことが影響した。

 同大では、20年度の定員充足率が43%にとどまった短期大学部の募集も、本年度限りとすることを決めている。ロシア語専攻の20年度の定員充足率は60%で、全学年の定員充足率は59%となっている。こうしたことから学内外でロシア語専攻の募集停止が取り沙汰されているものだが、札大は募集停止について、「ない」(秋山一二三事務局長)としている。ただ、ロシア語専攻のOBを中心に廃止を危惧する声が巻き起こっており、3月初めには「札幌大学ロシア語学科・専攻卒業生有志の会」が荒川裕生理事長宛てに、『札幌大学ロシア語専攻廃止に抗議し、継続を求める』と題して文書を送付している。

 札大では短大と同時にロシア語専攻の募集停止も俎上に上がっていたが、ロシア語専攻の募集停止を延期することになったという話も漏れ出ている。有志の会が提出した文書には、《卒業生は皆、大学の発展に寄与したいという思いを持っているはず。大学の有意義な発展に向け邁進していただけることを心より願いロシア語専攻の継続を強く要請するものです》としている。


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