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2006年03月06日

特集「国立大学法人の役員出向 第4回(特集最終回)」 「役員出向」制度による国立大学法人理事の使い回し その3

■「意見広告の会」ニュース330より
(これまでの関連記事)
特集「国立大学法人の役員出向 第3回」「役員出向」制度による国立大学法人理事の使い回し その2
特集「国立大学法人の役員出向 第2回」、「役員出向」制度による国立大学法人理事の使い回し
特集「国立大学法人の役員出向」、04年度05年度の国立大学法人における出向役員(理事)の状況

1 「役員出向」制度による国立大学法人理事の使い回し その3

 文科省によるローテーション人事は、「法人法」審議時の政府答弁、衆参両院の「附帯決議」にも違反している。
 当時の遠山大臣、河村副大臣は、03年7月8日、次のように答弁しているのである。

河村建夫文部科学副大臣(当時)
「こうした理事の任命に当たって学長は、これは責任を持って自ら行うということになっておるわけでございまして、それに対して文部科学省が学長の意に反して理事を割り
振るというようなことは全くあり得ないと、このように考えております。」

遠山敦子文部科学大臣(当時)
「学長が適材適所の観点から自らの判断によって文部科学省職員又は職員であった者を理事に選任することもあり得るわけではございますけれども、それは大学の自主性、自律性を阻害すると批判されることがないように、法人化の趣旨を十分踏まえて私どもとしても配慮をしていきたいというふうに考えております。」

 「大学の自主性、自律性」が尊重され、「文部科学省が学長の意に反して理事を割り振るというようなことは全くあり得ない」のであるならば、なぜ「文部科学省の人事異動により」(奈良教育大学役員会」)理事が異動することが生じるのであろうか。


1-1 資料1
     03年7月8日 参議院文教科学委員会(部分)
○副大臣(河村建夫君)
 法人の適正な業務運営を確保するために運営状況の監査を行うというのが監事の職務の性格でございますが、また国立大学法人が国の財源措置を前提としているということから勘案をいたしましても、監事の任命は大臣が行うということは適当であると考えておるところでございます。そして、その任命に当たりましては、もちろん各方面の意見を聴く中で、その中で大学の意向も聴くということになろうと思いますが、これを反映するということもあると思いますが、ただ、これは監事の立場でありますから、中立的な立場を取れる人でなきゃいかぬわけでありまして、大学が推薦する人がそのまま望ましいかどうかということもございますので、意見は十分聴きながらも、そうした監事の性格を考えて、今のイメージに沿った形で任命をしていくという方向だと思います。
 また、理事につきましては、基本的には現在の副学長や学長補佐などのように全学的視点から学長を補佐する者を想定をしておるところでございまして、学外理事には、経済界や私学関係者あるいは高度専門職業人など、広く学外有識者の登用を期待をいたしておるところでございます。こうした理事の任命に当たって学長は、これは責任を持って自ら行うということになっておるわけでございまして、それに対して文部科学省が学長の意に反して理事を割り振るというようなことは全くあり得ないと、このように考えております。

○佐藤泰介君 理事の任命に当たっては大学の意向を伺い、それを反映することも考えられるという部分の答弁がありましたが、やっぱり一人は会計に精通した者、一つは業務に精通した方だというふうに答弁があったわけですから、中立といえどもやはり大学側の意向を私は十分に反映する必要があろうというふうに思います。大学側の意向を反映することが中立でなくなるということでは私はないというふうに思いますので。
 一人は全く会計の者でしょう。もう一人は業務に精通した者ということになれば、ある程度の大学の意向といいますか、そうした意向を監事の任命に当たってはやっぱり尊重されてしかるべきではないかと、このように思いますので、そこは中立ですからここからここといってこう、一名の方は全く別なんですから、もう一名の方はやっぱり大学の意向をある程度反映される、そういう配慮をすべきであるというふうに思います。どうですか。

○副大臣(河村建夫君) 大学の業務について十分精通した人と、こういうイメージでございますから、その中で適任者を選んでいくという中で当然大学側の御意見というものは十分拝聴する、また各方面からの意見も拝聴しながら決めていくということになると思いますので、委員の御指摘についてはそれは十分その選ぶ中に配慮されると、このように考えております。

○佐藤泰介君 次に、現役の官僚が本省と国立大学法人の役員ポストを行き来するようではどうしても文部科学省の方を見てしまう、またOBとして複数の法人を渡り歩くようでは天下り人事との批判は避けられないと考えるが、こういった問題についてどう考えるか、伺います。

○国務大臣(遠山敦子君) 法人化後の国立大学の理事につきましては、学長が自らの考え方に基づいて幅広い分野から任命することとされているわけでございます。学長は、私は、高い見識を持って、その点については十分配慮して任命をされると思うわけでございます。学長が適材適所の観点から自らの判断によって文部科学省職員又は職員であった者を理事に選任することもあり得るわけではございますけれども、それは大学の自主性、自律性を阻害すると批判されることがないように、法人化の趣旨を十分踏まえて私どもとしても配慮をしていきたいというふうに考えております。
 監事につきましては、既に副大臣からの答弁もありました。監事は法人の業務の適正な執行を担保するために運営状況の監査を行うという職務を持っているわけでございまして、その性格を踏まえて適材適所の考え方に基づいて選任するわけでございますが、その際に、官民を問わず幅広い分野から考えてまいりたいと考えております。
 いずれにしても、国立大学法人にかかわる人事の基本的な制度にのっとって我が省としては適正に対応してまいる考えでございます。

○佐藤泰介君 こうした人事については、人事が行われる前は大体そういう答弁なんですね。これはどこでも大体、適材適所、こう考えてこうやってやっていくと。どこの役所、あるいはそういう天下りの問題は大体そうですよ。しかし、結果としてふたを開くと天下り人事との批判を受けるんですよ。
 何としても今の大臣の答弁が過去のようにならないように、大学のとりわけこれは自律性、自主性が阻害されないようにということを言われたわけですから、相当なこれは節度ある人選をされて、結果としてふたを開いたら、まああくまで適材適所とは言われるでしょうけれども、そうでないというようなことにつながらないように、もう一度強い決意をお願いしたいと思います。

○国務大臣(遠山敦子君) そもそも今回の法人化といいますものが大学の自主性、自律性を重んじる、それを更に可能にしていくために行うものでございまして、人事についてもその考え方といいますか理念というものを全うしていくというのがあるべき姿でございますし、また、そのような形で運用してまいりたいと考えます。

1-2 資料2
     衆議院文部科学委員会附帯決議(部分) 03年5月16日
○古屋委員長 この際、ただいま議決いたしました各案に対し、鈴木恒夫君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び保守新党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。山元勉君。
○山元委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    国立大学法人法案、独立行政法人国立高等専門学校機構法案、独立行政法人大学評価・学位授与機構法案、独立行政法人国立大学財務・経営センター法案、独立行政法人メディア教育開発センター法案及び国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
 一 国立大学の法人化に当たっては、憲法で保障されている学問の自由や大学の自治の理念を踏まえ、国立大学の教育研究の特性に十分配慮するとともに、その活性化が図られるよう、自主的・自律的な運営の確保に努めること。
 二 国立大学の運営に当たっては、学長、役員会、経営協議会、教育研究評議会等がそれぞれの役割・機能を十分に果たすとともに、相互に連携を密にすることにより自主的・自律的な意思決定がなされるよう努めること。また、教授会の役割についても十分配慮すること。

1-3 資料3
     参議院文教科学委員会附帯決議(部分) 03年7月8日
 【国立大学法人法案、独立行政法人国立高等専門学校機構法案、独立行政法 人大学評価・学位授与機構法案、独立行政法人国立大学財務・経営センター 法案、独立行政法人メディア教育開発センター法案及び国立大学法人法等の 施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議】
 政府及び関係者は、国立大学等の法人化が、我が国の高等教育の在り方に与える影響の大きさにかんがみ、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
1 国立大学の法人化に当たっては、憲法で保障されている学問の自由や大学の自治の理念を踏まえ、国立大学の教育研究の特性に十分配慮するとともに、その活性化が図られるよう、自主的・自律的な運営を確保すること。
2 国立大学法人の運営に当たっては、学長、役員会、経営協議会、教育研究評議会等がそれぞれの役割・機能を十分に果たすとともに、全学的な検討事項については、各組織での議論を踏まえた合意形成に努めること。また、教授会の役割の重要性に十分配慮すること。
3 役員等については、大学の教育研究や運営に高い識見を有し、当該大学の発展に貢献し得る者を選任するとともに、選任理由等を公表すること。また、政府や他法人からの役員の選任については、その必要性を十分に勘案し、大学の自主性・自律性を阻害すると批判されることのないよう、節度を持って対応すること。監事の任命に当たっては、大学の意向を反映するように配慮すること。


投稿者 管理者 : 2006年03月06日 00:10

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