研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

2020年12月02日

明治学院大学事件と日本学術会議問題、社会批評研究会で取り上げられる!

http://chikyuza.net/

明治学院大学事件と日本学術会議問題、社会批評研究会で取り上げられる!

■社会批評研究会第5回研究会
・日時:2020年12月19日(土)14時00分~17時00分
・会場:本郷会館(東京都文京区本郷2丁目21?7)
・テーマ:明治学院大学事件と日本学術会議問題:コンプライアンス、インテグリティ、レピュテーション
・発表者:寄川条路(yorikawa@gmail.com)

■発表要旨:
学問の自由とは、政治と宗教から独立して学問の中立を守るためにヨーロッパで確立された原則であるが、歴史上この原則が破られた事件がある。宗教による学問の自由の侵害としてはガリレオ裁判があり、政治による学問の自由の侵害としては京大事件と天皇機関説事件が有名である。

今般の日本学術会議問題も政府による学問の自由の侵害であるといえるが、表現の自由を抑制し学問の自由を侵害していた事例として明治学院大学事件がある。明治学院大学事件とは、大学当局がキリスト教に反する教員の授業を盗聴し録音していた事件であり、事件をきっかけにして発表者は表現の自由と学問の自由について考えるようになった。

明治学院大学事件は宗教による学問の自由の侵害であり、日本学術会議問題は政治による学問の自由の侵害であるともいえようが、ここでは、法律上の問題として事件を取り扱うのではなく、むしろ、法律上の問題はクリアしていても道徳上の問題や倫理上の問題が残る一例として、授業を盗聴したり教科書を検閲したりして、大学の方針(キリスト教主義)に反対する教員を調査し解雇していた明治学院大学事件を検討してみたい。

会社や学校などが法令や規則を守ることをコンプライアンスと呼び、法令遵守を最低限の基準としていても、昨今ではこれだけでは足りず、経営者や設置者の高潔さや誠実さをもって法律を補完する必要が説かれるようになった。しかしながら、形式的な法令遵守であるコンプライアンスは、内面的な道徳であるインテグリティによっては補われず、社会的な倫理であるレピュテーションによって完成される、というのが発表者の差し当たっての結論である。

本発表では、明治学院大学事件と日本学術会議問題を手がかりにして、法律上のコンプライアンス問題と、それを超えた道徳上のインテグリティ問題、そして倫理上のレピュテーション問題を考えていく。そこから翻って、法律と道徳と倫理の関係のみならず、政治と宗教と学問の関係も明確にしておきたい。

■参考文献:
・寄川条路編『表現の自由と学問の自由――日本学術会議問題の背景』(社会評論社、2020年近刊)。
・寄川条路編『大学の自治と学問の自由』(晃洋書房、2020年)。
・紀川しのろ『シノロ教授の大学事件』(世界書院、2019年)。
・寄川条路編『大学の危機と学問の自由』(法律文化社、2019年)。
・寄川条路編『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)。
・寄川条路編『実録・明治学院大学事件』(近刊)。

■参考サイト:
・「明治学院大学事件」https://sites.google.com/view/meiji-gakuin-university-jiken/
・「全国国公私立大学の事件情報」http://university.main.jp/blog8/archives/cat120/

|