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2005年03月01日

新刊紹介、藤原英夫『裁かれたキャンパスの神社ー信州大学政教分離訴訟』(あずさ書店)

本書紹介にあたり,著者によるコメント

 この事件は、両神社の信州大学のキャンパス内外に所在するワンセットの事件です。
 小生は、如何なる事情、歴史的経緯、文化的視点、政治的、宗教上のいきさつがあるにせよ、このような「神社」と「学校教育、社会教育」など、その拠って来る法体系規定の習合と二重目的化の過ちを、啓発していきます。
 すなわち、学校教育法、社会教育法、教育基本法、また則っている憲法20条、信教の自由、政教分離原則、89条公の財産支出禁止などの、各規定に反する国、神社など関係機関、その責任の掌にある関係者が、教育の精神性、いわばエトスを失っていることを、残念に思います。
 提訴の当初より、歴史など学際的研究者が、暴露ないし露呈したデータを検討できるよう、判決と証拠資料を残す趣旨です。今回は、偶々、結果として「捻じれ判決」となったが、今後の判決の勝敗如何は問わないものです。こうして、歴史、文化のタブーを正確な事実として蓋を開けて明らかとし、後世に託したいものと思っています。


タイトル;『裁かれたキャンパスの神社ー信州大学政教分離訴訟』
著者;帝京大学教授 藤原英夫
定価;1,575円
出版社;あずさ書店(東京都新宿区)136ページ
発売:2月25日

内容;
 1、序;「日本の政教分離原則」ー今村嗣夫(弁護士)
 2、社会教育法と憲法政教分離の新しいケース
 3、教育基本法と憲法政教分離の新しいケース
 4、国立大学の神社と憲法問題
 5、資料;
i,写真、信州大学隣接の大天白七福稲荷神社(上記ケース2)、及び同大学の白翁稲荷神社(上記ケース3)
  ii,信州大学政教分離訴訟の違憲判決
   イ、東京地方裁判所一審判決(原告は著者)
   ロ、東京高等裁判所控訴審判決(控訴人は著者)


「あずさ書店」よる本書の紹介より

裁判の発端
 信州大学医学部敷地に、京都伏見稲荷大社の分祠がある。これは以前ここあった松本歩兵聯隊の守護神だったが、1946年に歩兵聯隊跡地へ松本医学専門学校が移転するに際しては、外部に移転させたものであった。ところが、1956年に当時の学長が杏蔭会(出入り業者の親睦会)に依頼して、祭壇を元の地に戻した。1957年の還座式には、神主のほか学長と教職員45人、杏蔭会14人が参加した。以後、毎月15日の例祭が公認されてきた。
 松本出身である原告は帝京大学教授であるが、この神社の存在を知り、信教の自由・政教分離の人権侵害に義憤を感じた。・・・・・

裁判の経緯
2003年9月18日 信教の自由と政教分離原則の憲法違反を争点に、国を被告として、東京地裁に国家賠償請求訴訟を提起。
2004年3月4日 東京地裁は、損害賠償と神社学外移転の請求を棄却したが、「信大構内に本件神社が存在していることに、当事者間に争いがなく」と認定。
2004年7月14日 東京高裁は主文請求を同じく棄却したが、「本件神社を信州大学構内に存置させたままにしてきている国ないし同大学の姿勢は、憲法第八九条の精神に明らかに反する不相当な行為と言わざるをえない」と、違憲判断を下し、この判決は確定した。

[これまでの裁判に関する新聞記事]
信州大構内の神社違憲訴訟、「憲法の精神に反し不相当」 藤原英夫帝京大学教授の賠償請求は棄却 東京高裁(2004/07/14)
信州大構内の神社違憲訴訟 東京高裁(続報)(2004/07/15)
信州大内神社訴訟 高裁判決が確定へ(2004/07/22)
信州大内の神社、「徴税すべき」 大学教授が提訴(2004/10/04)
信大キャンパス神社違憲判決の確定によせて-地方税法と憲法政教分離原則の新しいケース(2004年10月12日本ブログ記事)

投稿者 管理者 : 2005年03月01日 00:29

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