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2014年02月26日

北海道教育大学旭川校不当解雇事件、最高裁の不受理決定(2014年2月20日) 三教員の解雇無効が確定

祝! 勝訴!

 北海道教育大学旭川校における3名もの大量不当解雇事件で,最高裁は2014年2月20日付で大学側からの上告について不受理を決定した。これで一審・二審とも確定し,3名の教員の解雇無効が確定した。
 そもそもこの上告は,内容から判断して憲法に触れる問題でもなく,従来の判例を大きく変えるような事案でもない。それだけに最高裁の棄却は100%確実であった。しかし,大学当局はそれを知りながら,国民の税金を使って上告したのである(実際には,控訴を含め上告は,本部主導の下,本間学長の単独あるいは一任のもとで行われたと聞く)。無駄に費やされたのは,税金だけではない。新聞報道によれば,上告は2012年3月30日頃であるから,解雇された当事者3教員は,それから約2年近く教育・研究のための貴重な時間を奪われたことになる。
 私は,当該解雇事件に関して,解雇された当事者の教員とは面識はない。また北海道にいながらも,事件発生当初から新聞が報道する断片的な事柄以外,具体的な事実関係や真偽について知ることはできなかった。3名もの「懲戒解雇処分」という稀にみるショッキングな事件であったにも拘わらず,何らかの不当性を社会的に訴える個人や労組の取り組みや動きもなかった(あるいは伝わってこなかった)からである。したがって,暫くの間,この解雇事件が不当解雇であるのか否かも判断できなかった。
 しかし,一審(札幌地裁2010年11月12日)と二審(札幌高裁2012年3月16日)の判決がなされ,ここではじめて判決文全文を読むことが可能となり(現在,地裁・高裁とも「判例体系」に判決文全文が掲載されている),客観的な事実経過,大学側の対応等を知ることができた。これによって,この事件は解雇権の濫用であり,不当解雇であることがはじめてわかった。私が「不当」と評価する根拠は,端的に言えば,懲戒解雇処分に相当する学生への「アカハラ」の事実はないこと,加えて解雇処分手続も極めて問題があるという点にある。特に,後者の点に関わって,この事件は学生への教育指導上の問題が解雇事由となったにも拘わらず,処分に当たって当該教授会で全く議論・審議がなされていない事実は,大きな問題である。初めから処分ありきで,一方的に上から問題が処理されていったことは明らかである。したがって,いずれの裁判所も,解雇権の濫用であるとして解雇無効を判断したのは当然である。

 北海道教育大学は,控訴審判決で敗訴した後も,公式ホームページにおいて,「教員の懲戒処分にかかる学長見解」(平成21年2月20日付)を,掲げて続けている。以下がそれである。
http://www.hokkyodai.ac.jp/pdf/20090220press.pdf

ここでは,学長名で「当該准教授3名」は「学生の名誉や尊厳を著しく傷つけ人権を侵害した」と書いている。しかし,最高裁棄却決定後の2014年2月26日現在に至っても,このような文書を公に掲げているのは極めて異常である。「名誉や尊厳を著しく傷つけ」「重大な人権侵害」を行い,しかも現在に至っても行っているのは,むしろ大学当局であり学長・本間謙二氏である。また,当該事件では,その経過からして,発端において「アカハラ」を訴えた学生もいるはずである。これらの学生は課外教育を指導した教員3名の懲戒解雇を望んだとは思われないが,それら学生の「声」を重大な人権侵害たる懲戒処分に結びつけ,一方的に解雇した事実は明らかである。当該学生はこの事実をどう受けとめているのだろうか。こうしたことは,人を教え・導く人間を養成する大学で許される行為であろうか。

 北海道教育大学は,解雇権を濫用し,教育・研究者の生命を奪う処分を下したことに対して,まずもって少なくとも学長自ら3名の教員に深く謝罪し,その内容を文書で掲載すべきである。(ホームページ管理人)

[過去の記事]
http://university.main.jp/blog7/archives/cat54/
http://university.main.jp/blog8/archives/2010/11/post_341.html
http://university.main.jp/blog8/archives/2012/03/post_345.html
http://university.main.jp/blog8/archives/2012/03/post_125.html


旭敢大アカハラ訴訟 教員の解雇無効確定 最高裁

北海道新聞(2014年2月25日)

 教員の立場を利用した学生への嫌がらせ(アカデミック・ハラスメント)を理由に不当解雇されたたたとして、道教育大旭川校の元准教授の男性3人が解雇無効の確認などを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(横田尤孝裁判長)は、大学側の上告を受理しない決定をした。一、二審判決が確定し、大学側が敗訴した。決定は20日付。
 二審の札幌高裁判決は「3人に一定の懲戒処分を科すことは相当だが、減給や停職を検討しなかったのは判断の誤り。処分はいささか酷で、社会通念上、相当性を欠く」として、解雇無効とした札幌地裁判決を支持した。判決によると、3人は、学生に過大な課題を強制するなどして学生の学業に支障をもたらし、また、学内の事情聴取にも応じなかったとして、大学側に2009年、懲戒解雇された。


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