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 カテゴリー 全大教・日本私大教連

2010年02月02日

日本私大教連、学校法人会計に関する要請

日本私大教連
 ∟●学校法人会計に関する要請

学校法人会計に関する要請

 私立大学の現場では、学校法人会計基準の問題点に関連する会計処理や私大理事会の財政への誤った理解などから、さまざまな問題が生じています。また、昨年来、いくつもの学校法人で投機的な資産運用により多額の損失を発生させた事例が相次いで生じ、私たちの加盟組合のある学校法人においても、理事会が杜撰な資産運用で100億円を超える損害を与え、経営困難な財政状況に陥りかねない深刻なケースも生じています。

 こうした状況にあって、私たち日本私大教連(約250私立大学・短大の組合が加盟する私立大学教職組の全国組織、約2万名が加盟、正式名称=日本私立大学教職員組合連合。上部団体なし)は、文部科学省に対して、「学校法人会計基準『改正』についての見解…基本金組み入れ制度の抜本的見直しを求めます」(2005年9月26日、資料1)や、直近では「学校法人の資産運用に関する要請」(2009年9月25日、資料2)を公表し、要請・折衝を行ってきました。

 日本公認会計士協会は、私立学校振興助成法により公認会計士監査が義務づけられていることから、学校法人会計基準について詳細な協会通牒、学校法人委員会報告を公表し、会計実務と監査に多大な影響を与えています。この意味において、資産運用損失の扱いや学校法人会計基準の解釈と運用について、また監査を担当する会計士への指導責任を負っています。

 日本公認会計士協会が、「私立学校振興助成法第14条第3項の規定に基づく監査の取り扱い」(学校法人委員会報告第36号)を誠実に実践し、所轄庁により特に留意することと指定された事項、日本公認会計士協会の学校法人委員会報告で指定された事項を含め、厳格な監査を行うよう徹底することが重要かつ意義のあることです。

 私大の健全な運営の確保と学校法人の公共性を高める観点から、下記のとおり、要請いたします。……


全大教、2010 年度政府高等教育予算案に関する見解

全大教
 ∟●2010 年度政府高等教育予算案に関する見解

2010 年度政府高等教育予算案に関する見解

2010 年1 月21 日
全国大学高専教職員組合
中央執行委員会

 民主党を中心とする連立政権は、昨年12月25日、政権初の政府予算案を閣議決定した。税収の極端な落ち込みという逆風の中にありながら、国民の変革への期待と大学・高等教育関係者の取り組みを反映して、同予算案には国民生活の改善と大学・高等教育の充実への可能性を感じさせる点が少なくない。
 しかし、以下に指摘する政府予算案自体の問題点に加え、第二期中期目標期間における運営費交付金の算定ルールも未だ定まっておらず、今後なお一層の積極的取組みが必要である。
 私たちは高等教育分野を中心とした政府予算案について次のように評価するものである。

 第一に、政府予算案は前政権時代の抑制策から一転、子ども手当の新設などにより社会保障費は9.8%増の27兆3千億円となり、文部科学省予算も公立高校授業料の実質無償化等により5.2%増の5兆6千億円に増額された。今後、さらにこの拡充を求めていきたい。ただ、公立高校授業料の実質無償化に要する予算の増額分の一部は、他の文部科学省予算の削減によってまかなわれており、高等教育関係予算も239億円が削減された点は遺憾である。

 第二に、国立大学等の運営費交付金は110億円(0.9%)削減された。ただ、当初は2010年度に措置される予定だった大学病院診療設備費81.5億円が2009年度第二次補正予算として前倒しで措置されているため、それを加えれば削減額は28.5億円(0.2%)となる。法人化以降6ヶ年連続の減額となったことはきわめて遺憾である。
 また、運営費交付金の一部である「一般管理費」の1%(約16億円)を原資に第一期中期目標期間の評価に基づき運営費交付金に反映させる方式が具体化されたことも評価が未成熟な下での拙速な措置として批判されなければならないだろう。
 ただ、「骨太方針2006」に基づく運営費交付金前年度比マイナス1%枠の撤廃や、大学病院に対する経営改善係数2%の撤廃は、前政権の政策を転換させたものとして重要である。

 第三に、国立高専の運営交付金は総額663億円であり、前年度より7億円の削減とされ、前年比1%を越える削減が続いている。これは国立高専が独立行政法人として設置されていることに由来するものと考えられ、設置形態の抜本的改善が必要である。他方、公立高校授業料無償化の考え方に沿って、国立高専 1~3年次生について授業料が減額されたことや、授業料減免枠が拡大されたことは積極的に評価できる。

 第四に、競争的研究経費への過度な傾斜は依然として改善されていないことはきわめて遺憾である。広い裾野に支えられた学術・研究基盤を形成するためには、競争的研究経費を過度に重視する政策を改め、基盤的研究経費の充実を図る政策を推進する必要がある。

 第五に、奨学金の充実や就職支援体制の整備に関して一定の前進があったことは積極的に評価できる。しかし、財源等の制約があるとはいえ、大学・高等教育機関の高学費の改善や給付制奨学金の導入も今後の課題となっている。

 わが国における高等教育への公財政支出は、対GDP比0.5%に留まり、OECD加盟国の最下位である。また、公財政支出の少なさは、高等教育費の家計依存という構造を産み出し、若者の学ぶ機会の不平等を生み出している。
 さらに、歪みが目立つ国立大学法人等の制度設計の法人化時の国会付帯決議に沿った見直しも必要である。
 知的活動・想像力が最大の資源である我が国にとって、高等教育の危機は社会の危機でもある。

 私たちは、国・公・私立の枠を超えた大学・高等教育関係者をはじめとした共同と世論形成に努め、新政権に対して、公約に沿って高等教育が充実していく方向に一層明確に舵をきることを求めるものである。


2009年12月28日

日本私大教連、財務省「平成22年度予算編成上の主な個別論点」に対する意見

日本私大教連
 ∟●財務省「平成22年度予算編成上の主な個別論点」に対する意見

財務省「平成22年度予算編成上の主な個別論点」に対する意見

2009年12月21日 日本私大教連中央執行委員会

 貴省は、「学生数が増加しない中で、これまで私立大学経常費助成額は増加」していることを根拠として、「引き続き歳出改革を進めつつ、経営の効率化や戦略の明確化に資するような配分を推進する必要がある」などと補助額の削減を示唆しているが、この議論は以下の点からまったく失当である。

(1)私立大学等経常費補助の総額は、実額では1984年度から2006年度まで増加してはいるが、経常的経費に対する補助率でみれば1980年度の29.5%をピークに減少を続け、2008年度にはわずか10.9%にまで低下している。私立大学等経常費補助は、私立学校振興助成法制定時の国会附帯決議において「できるだけ速やかに(経常的経費の)二分の一とするよう努めること」とされている。そもそも、経常的経費の50%補助の理念から大きく乖離している現状こそが問題である。……

2009年12月09日

全大教、声明「国立大学法人運営費交付金等の高等教育予算削減に反対し、充実を求める」

全大教
 ∟●声明「国立大学法人運営費交付金等の高等教育予算削減に反対し、充実を求める」

声明
国立大学法人運営費交付金等の高等教育予算削減に反対し、充実を求める

全国大学高専教職員組合
中央執行委員会

 行政刷新会議W.G は、11 月25 日の「事業仕分け」の結果、「国立大学運営費交付金(特別教育研究経費を除く)」については「国立大学のあり方を含めて見直しを行う」とし、「国立大学運営費交付金(特別教育研究経費)」については「予算要求の縮減」との評価結果を公表しました。また、これ以外の高等教育・科学技術関係の事業についても大幅な予算削減との評価結果が出されています。
 私たちは高等教育予算削減の動きを深く憂慮し、わが国の発展を支える高等教育と科学技術の発展のために必要かつ適切な予算を確保するよう要望します。……


2009年12月01日

全大教、「行政刷新会議W.Gによる高等教育予算「事業仕分け」に関する要望書」

全大教
 ∟●「行政刷新会議W.Gによる高等教育予算「事業仕分け」に関する要望書」(行政刷新会議鳩山由紀夫議長宛)

2009年11月13日

日本私大教連、「高等教育予算の抜本的増額を求める大学人合同シンポジウム」のご案内

北海道私立学校教職員組合(道私教組)
 ∟●「高等教育予算の抜本的増額を求める大学人合同シンポジウム」のご案内

 日本私大教連は、国庫助成に関する全国私立大学教授会連合の呼びかけに応じ、高等教育予算をテーマとしたシンポジウム共催の準備を進めてまいりました。この度、シンポジウムの詳細が決定しましたのでご案内申し上げます。(詳細は別紙、ちらしにつきましてもご覧ください。)
 平日の開催のため条件が厳しいと存じますが、広く組合員の皆さんにお知らせいただき、参加を呼びかけてくださいますようお願い申し上げます。

 ◆日 時  2009年12月4日(金)14時~17時
 ◆会 場  明治大学駿河台キャンパス・リバティタワー13階1133教室
 ◆参加費  無料

以上

2009年11月04日

日本私大教連、中央教育審議会がめざす「大学像」について重大な危惧を表明する

日本私大教連
 ∟●<見解>中央教育審議会がめざす「大学像」について重大な危惧を表明する

<見解>
中央教育審議会がめざす「大学像」について重大な危惧を表明する

はじめに …中教審で行われている議論の4つの重大な問題点…

 中央教育審議会(以下、「中教審」と略)がめざしている大学像には4つの重大な問題がある。
 中央教育審議会大学分科会(以下、「中教審大学分科会」と略)は、08年9月11日の文部科学大臣からの諮問「中長期的な大学教育の在り方について」を受けて審議を行っている。中教審大学分科会は09年6月15日に『中長期的な大学教育の在り方に関する第一次報告…大学教育の構造転換に向けて…』(以下、「第一次報告」と略)を公表したのに続き、09年8月26日に『中長期的な大学教育の在り方に関する第二次報告』(以下、「第二次報告」と略)を公表した。
 日本私大教連中央執行委員会は、08年12月24日の中教審答申『学士課程教育の構築に向けて』(以下、「学士課程答申」と略)および中教審大学分科会の「第一次報告」について、大学のあり方に重大な否定的影響を与えかねないものとして、これまで注視してきた。
  (注)日本私大教連「中教審『学士課程教育の構築に向けて』答申案に対する声明」(2008年11月15日)
     日本私大教連第20回全国私立大学教育研究集会・基調報告(2009年8月8日)
 1990年代以降、基盤経費の削減と重点的・競争的資金配分による競争・淘汰政策が採られてきた。小泉構造改革のもとでは、一層の競争推進と設置規制緩和がなされたが、18歳人口の減少、さらには経済不況による学生の就学困難が加わって、大学受難の時代が続いている。こうした状況のなかで文科省の諮問機関である中教審は、高等教育政策に関する審議を行い、いくつかの答申や報告を公表しているが、私たち日本私大教連は、中教審の議論には以下の4つの重大な問題点があると考えている。……


日本私大教連、政策提言

日本私大教連
 ∟●国立大学に比して格段に厳しい私立大学生の就学困難、劣悪な教育・研究・労働環境、深刻な定員割れなど、私立大学の諸問題を解決し、大学の主要部分を担う私立大学が社会の負託に応える高等教育機関として、その役割を果たすための政策提言

国立大学に比して格段に厳しい私立大学生の就学困難、劣悪な教育・研究・労働環境、深刻な定員割れなど、私立大学の諸問題を解決し、大学の主要部分を担う私立大学が社会の負託に応える高等教育機関として、その役割を果たすための政策提言

2010年10月16日
日本私大教連中央執行委員会

はじめに
 これまで政府・文科省は、高等教育機関の国家戦略上の役割を、輸出産業中心の国際競争力を重視する観点からのみ強調し、競争と淘汰の大学政策を推進してきた。小泉改革・大学版構造改革では、わずか1割台の補助率でしかない基盤経費である私立大学経常費補助を、国立大学の運営費交付金と歩調を揃えて減額し、他方で毎年度猫の目のように看板を塗り替えるCOEやGPなど多額の競争的資金をばらまいてきた。また現在の中教審大学部会は、規制緩和から一転して、大学の質の保証システムの導入を検討しているが、この方向は、国立私立格差、都市大規模私大と地方・中小私大格差を固定化し、公費の重点配分を一層誘導する危険性をもっている。
 わが国の大学が当面している課題は、危機的状況の打開である。特に学校数では81.5%、在校生数では74.7%を占めている私立大学(短大を含む)の状況は、文字通り危機的なものとなっている。まず学生の高い学費と生活難、企業優位の就職活動による就学困難である。親の借金により入学し、アルバイトに追われ授業に集中できず、3年の秋には就職試験に駆け回る、4年の秋には内定取り消しにおびえながら卒論等に取り組んでいる。しかも卒業後には3人に1人が非正規雇用という時代に、奨学金を借りていた者には金利付きの奨学金返済が待っている。こうしたわが国の私立大学生のおかれている状況こそ、緊急に解決しなければならない最大の課題である。
 学生の学んでいる大学の教育・研究・労働条件も、私立大学は国立・公立大学に比して、劣悪そのものである。学生一人当たりにして私立大学は国立大学の14分の1しか国庫負担が行われていないことは、国立の平均1.6倍という私立の高い学費の原因であるのみならず、教員一人当たり学生数の面でも、施設の面でも劣悪なものとなっている。教員は多くの授業コマをかかえ、受験生確保のための高校回りや通年化した入試業務に追われ、加えて文科省主導の外部資金獲得のための書類づくりや会議で多忙を極めている。担当する学生達の名前も覚える暇もない教員もいる。任期付教員や非常勤教員といった身分が不安定な教員の急激な増大は、教育の継続性を損ねている。職員のアウトソーシングによって、非正規職員の割合は平均で約半分ともなっており(日本私大教連の非正規雇用教職員実態調査結果09年7月)、正規職員の業務は過重となっており、学生対応・学生支援の質は低下している。
 私大学生たちは、時間を気にせずに、学問や社会、生き方について討論できる場も十分ではなく、気を許せる友人・教員との関係がつくりにくくなっている。大学によっては学生が荷物をおける専用ロッカーすらなく、教室から教室へ移動するだけの(しかもアルバイトの合間に!)、まるで渡り鳥状態である。だれとも口をきかずにすむ学生もいる。学生の基礎学力問題やメンタルヘルスが関心を集めているが、それに対応するための人的な余力や財政余力がなくなっている私立大学も少なくない。
 もともと1割台前半の経常費補助率で財政基盤の弱い私立大学にあって、18歳人口の減少、地方経済の低迷(父母の所得減少、学生の卒業後の就職先がない)、現下の経済不況の影響を受けているのは、地方・中小規模私大である。地域でいえば北海道、宮城を除く東北、北関東、中国、四国、入学定員でいえば800人未満の私立大学の存続は厳しさを増している。もともと少人数教育を特質としている中小規模大学や地域の文化拠点である地方大学は、大規模私大に比べて、図書館や校地、必要教員数などについて規模のメリットが出にくく、加えて近年の認証評価業務や学生支援業務、入試業務が加わることで、採算がとりにくく、定員割れが採算割れに結びつきやすい。
 特に地方私立大学についていえば、地方の学生が大規模都市私大に集まる理由は地元にいても仕事がないという理由が大きい。それでも地元で進学を希望する若者について、進学機会を提供することは政府の責任であろう。
 大学は18歳青少年のみを対象とした高等教育機関ではないという議論がある。海外では、社会人の通学、またパートタイム学生の比重の高まりが指摘されている。とはいえ各大学が累積単位制度を設けたとしても、政府による財政面での支援(学費・奨学金の充実)、企業に対する指導などの強力なバックアップなしには具体化はされない。また遠隔地教育について、ITを活用した教育方法の導入が指摘されているが、これも活用できるのは一部の教育課程に過ぎず、教育の質保証の面からは、格段の条件整備が必要である。
 上記の基本認識にたって、従来の自民党政府が、大学教育の条件整備義務を怠り、貧困な財政基盤のもとで競争・淘汰の政策を進め、私立大学学生と私立大学の教育・研究条件の劣悪な状況を放置し、悪化させてきた。私たち日本私大教連は、次の政策方向によって、社会の要請に応える高等教育の充実をはかることができると考え、以下の政策を提言する。……


2009年10月23日

全大教、国立大学・高専・大学共同利用機関法人の充実・発展に関する要望書

全大教
 ∟●国立大学・高専・大学共同利用機関法人の充実・発展に関する要望書

2009 年10 月15 日

文部科学大臣
川端 達夫 殿

全国大学高専教職員組合
中央執行委員長 中嶋 哲彦

国立大学・高専・大学共同利用機関法人の充実・発展に関する要望書

 民主党を中心にした新政府が発足し、政治の新たな風を感じます。民主党の政権政策(マニフェスト)及び民主党政策集(INDEX2009)で公約された国立大学等運営費交付金削減の見直し、高校授業料の無償化等も歓迎し、その実現を期待するものです。
 国立大学法人に対する国からの運営費交付金は、前政権時代の2004 年度の法人化以降5 年間で720 億円が削減されており、これは一橋大学12 校分の運営費交付金が削減されたことになります。独立行政法人とされた国立高専の前途も多難です。
 また、国立大学法人等が総人件費改革5%削減の対象とされたことにより、教員の後補充が困難となり、教育研究に支障が生まれています。
 その中でも、国立大学・高専・大学共同利用機関は、教育、研究、地域貢献と国際化への対応等地域社会の学術文化拠点としての役割を担い必死に奮闘しています。全大教も大学・高等教育充実に向けて、様々な取り組みを進めてきました。
 高等教育への公財政支出全体で見ても、OECD 平均のGDP 比1%を大きく下回る0.5%で、加盟国中最下位です。
 根本的には、国立大学法人法成立時の附帯決議がなおざりにされ、多くの国立大学等が研究、教育、評価、財政、管理運営、教職員の労働環境等で様々な問題が露呈し、法人化の最大のメリットとされた「自主性、自律性」が発揮できない状況にされていることです。
 こうした状況を踏まえ、貴職に対し、大学・高等教育の充実・発展に向けて下記の事項について要望する次第です。……


2009年10月20日

私大の補助金増額を教職員組合が要望

http://www.asahi.com/edu/news/TKY200910190231.html

 日本私立大学教職員組合連合(私大教連)は、10年度予算で私大の経営費の補助を増額するよう求める緊急要望書を文部科学省に提出した。

 私大教連によると、私大の経常費支出総額に対する補助割合は、1980年度は29.5%だったが、07年度は11.1%まで下がった。特に学生や専任教員の数などで金額が決まり、私大の基盤経費となっている「一般補助」の削減幅は大きく、09年度までの28年間で、1大学あたり3億6千万円から2億2千万円へと4割減った。要望書は「地方や中小規模の大学は存続が危ぶまれる事態に直面している」としている。……


2009年10月13日

日本私大教連、2010年度私立大学・短期大学関連予算に関する緊急要望

日本私大教連
 ∟●2010年度私立大学・短期大学関連予算に関する緊急要望

2009年10月8日

文部科学大臣
川端 達夫 殿

2010年度私立大学・短期大学関連予算に関する緊急要望

1.経常費2分の1助成の実現を方針として明確化し、私立大学等経常費補助を一般補助中心に抜本的に増額することを求める。

 大学の基盤整備は、政府の責任である。学生の修学する権利の保証という点からみて、等しく高等教育機関である国立、公立、私立に区別はない。しかし政府は、長年にわたる私立大学・短期大学(以下、私立大学)に対する差別的扱いと責任放棄によって、わが国の高等教育機関の間に膨大な格差を生じさせ、大学全体の水準を引き下げてきた。

 政府は、私立大学の経常費支出総額に対する補助割合を、最高水準であった1980年度の29.5%から2007年度の11.1%にまで大きく引き下げてきた。とりわけ私立大学の基盤経費である一般補助の削減幅は大きく、1981年度から2009年度の28年間で、1大学当たり平均で3.6億円から2.2億円へと1.4億円(約40%)もの削減、学生1人当たりでは16万円から9万円へと7万円(約44%)もの削減となっている。

 政府はこうした私立大学に対する差別的政策を根本からあらため、私立学校振興助成法成立時の国会附帯決議に基づき速やかに経常費支出の2分の1助成を実現するために3か年程度の年次計画を策定するとともに、2010年度予算においては「骨太方針2006」による以降3年間の削減分の全面回復を含めて、一般補助を主として私大経常費補助を抜本的に増額することを要望する。……


2009年07月21日

日本私大教連、今夏の全国私大教研は北海道開催

北海道私立学校教職員組合(道私教組)
 ∟●今夏の全国私大教研は北海道開催

今夏の全国私大教研は北海道開催【お早く参加申込みを】

 今夏の全国私大教研は地元、酪農学園大学で開催されます。
 私大教職員による最大の教研集会、質の高い教研として好評です。北海道開催のこの機会を有効に生かし、各大学で旺盛な参加組織をすすめましょう。
 参加申込みは原則22日(水)まで基本です(遅くとも今月中に締め切ります)。レポート参加についても追求しながら、早めにお申込み手続きをお願いします。私大教連未加盟大学からの教研参加も歓迎します。
 1日目の夜には、現地北海道組織として歓迎交流会も企画。学びと交流を深めましょう。
 開催要項、詳細は日本私大教連HPをご参照ください。
【開催要項】http://www.jfpu.org/shidaikyoken/20shidaikyoken/20shidaiken_information.htm


2009年07月16日

日本私大教連、「2009年総選挙に向けた公開質問状」 民主党からの回答

日本私大教連
 ∟●「2009年総選挙に向けた公開質問状」 民主党からの回答

2009年07月14日

日本私大教連、2009年総選挙に向けた公開質問状

日本私大教連
 ∟●2009年総選挙に向けた公開質問状

2009年総選挙に向けた公開質問状

 ※以下の質問に対するご回答のうち、総選挙の政権公約・選挙公約に記載されるものについては、その旨書き添えていただければ幸いです。

【質問1】 私立大学の経常費総額に占める私立大学等経常費補助金の割合(経常費補助率)は1980年に29.5%に達して以降減少の一途を辿り、2007年度にはわずか11.1%にまで落ち込んでいることについて、貴党はどのように評価し、また今後どのようにしていきたいとお考えですか。

【質問2】 この間の奨学金事業の拡大は、無利子奨学金ではなく有利子奨学金の拡大のみで賄われています。日本育英会法(1984年)および独立行政法人日本学生支援機構法(2003年)の附帯決議はいずれも、無利子奨学金を根幹または基本とすることを求めていますが、無利子奨学金の貸与人員を大幅に拡大することについて、貴党のお考えをお示しください。

【質問3】 経済的に就学困難な学生を対象として各私立大学が行っている授業料減免等の支援事業に対して、国からの予算措置を国立大学並みに大幅に増額することについて、貴党のお考えをお示しください。

【質問4】 国が、私立大学生の学費を負担している家庭に対して直接に授業料等を助成する制度を創設することについて、貴党のお考えをお示しください。

【質問5】 日本政府は、高等教育の漸進的無償化を掲げている国際人権規約社会権規約第13条2項cを留保していますが、この留保を撤回することについて、貴党のお考えをお示しください。

以上


2009年06月17日

日本私大教連、声明「教育再生懇談会「第四次報告」が示す教育費負担の軽減方策に賛同する」

北海道私立学校教職員組合(道私教組)
 ∟●6月12日:日本私大教連中執声明

[声明]教育再生懇談会「第四次報告」が示す教育費負担の軽減方策に賛同する

2009年6月12日
日本私立大学教職員組合連合
中央執行委員会

 教育再生懇談会が「これまでの審議のまとめ―第四次報告―」において、「教育安心社会」の実現をかかげ、「教育費(特に就学前と高等教育期)の私費負担が大きく、家庭の所得水準によって進学機会や就学の継続に影響(格差の固定化・再生産)」しているという基本的視点から、具体的取り組みとして「高等教育における授業料負担の大幅削減を目指し、高等教育への公的支援を拡充するとともに、授業料の減免措置の拡充や給付型の奨学金の充実など奨学事業を一層充実する」ことを明確に示したことについて、私たちは賛同の意を表明するものです。
 同報告に添付された参考資料の「公私負担割合」にあるように、わが国の高等教育に対する公財政支出41.2%は、イギリス69.6%、フランス83.9%、ドイツ86.4%に比して極めて低く、OECD平均75.7%をはるかに下回っています。こうした状況の主たる原因は、学部学生数の77.4%を占める私立大学への公費助成が、経常費のわずか11.1%しかないという低い水準に抑制されていることにこそあります。
 学費の国私間格差を国立大学の学費を上げることで縮めるという本末転倒した政策により国立大学生の学費負担が急速に高まっていることも重大ですが、それでもなお私立大学の初年度納付金は国立大学の1.6倍にも上ります(08年度)。また私立大学生の無利子奨学金の受給率は国立大学の15分の8、各大学における授業料減免事業等への公費助成は一人当たり平均額で約2分の1となっているなど、等しく高等教育機関でありながら、その公財政支出には不当な国私間格差があります。
 日本私大教連はこれまで政府に対し、私大助成の拡充とともに、家計への学費直接助成制度や給付制奨学金制度の創設など、学費負担の軽減と教育を受ける機会均等の確立のための諸施策の実施を強く求めてきました。
 私たちは、政府がこの度発表された第四次報告の方向性に沿って、私立学校振興助成法の理念と同法成立時の国会附帯決議の趣旨に立ち返り、私大助成の大幅な拡充を行うとともに、国際人権規約における高等教育の漸進的無償化条項に対する留保を撤回する方向を明確にし、高等教育に対する授業料負担の大幅軽減に向けた公的支援の拡充に踏み出すことを要望するものです。

以上


2009年05月29日

全大教北海道、「不当な一時金引き下げ,一方的改悪は許さない!」

全大教北海道

不当な一時金引き下げ,一方的改悪は許さない!

 人事院は5月1日,不十分な調査で6月の期末勤勉手当を0.2ヶ月分凍結する異例の勧告行いました。
 これを受け,麻生内閣は5月15日に6月期一時金を一部「凍結」する給与法「改正」法案を閣議決定しました。
 夏の「ボーナス商戦」を前に消費マインドの大幅な低下を招くことは明らかであり,政府の景気対策の矛盾を象徴しています。

 多くの国立大学法人、高専機構は「給与を社会一般の情勢に適合させるため」を理由に、6月期の期末勤勉手当を0.2月分減額することを組合に提案してきています。
 (北大では,給与法が成立することが前提であると過半数代表者に説明=成立しなければ取り下げる?)
 国立大学法人等では,賃金・労働条件は労働法制のもとに労使交渉で決着するものであり,一方的な不利益変更は許されるものではありません。
 大学法人等が組合の反対を無視して引き下げを強行した場合,全大教は労働審判も視野に入れたとりくみを提起しています。

 国会では26日から審議される予定ですが,成立させないとりくみを強めましょう。→5/26衆議院本会議で可決(付帯決議),参議院へ


全大教北海道・北海道私大教連、大学労働フォーラム「大学が作るワーキング・プア」を6月13日開催

北海道私立学校教職員組合(道私教組)
 ∟●第1回大学労働フォーラムのチラシ・要項

第1回大学労働フォーラムのチラシ・要項

 6月13日(土)に全大教・道私大教連が共催する「労働フォーラム」が近づき、関心の声が多く寄せられています。要項チラシも配布活用をすすめていますが、下記HPでも詳しく紹介しています。ご覧ください。
【全大教HPよりダウンロードできます】http://www2.odn.ne.jp/~aai22890/

全大教北海道と共催の
「第1回労働問題フォーラム」参加組織のお願い

 毎日のご活躍、ほんとうに御苦労様です。
 さて、既にお知らせしていますが標記のとおり全大教北海道との共催フォーラムを開催します。今回は国公私を問わず各大学ですすんでいる非正規雇用の実態について取り上げ、その問題点を明らかにします。「格差と貧困」が社会問題化して久しくなりますが、私たちの周辺に蔓延する非正規問題を直視し、そこから改善を図っていく取り組みを進めている各教職員組合からの報告、および労働問題研究の専門機関である法政大学大原社研の五十嵐教授を招いた全体講演を通じて今日の雇用問題のあり方について参加者で論議します。
 全大教北海道との情報交換、共同は懸案でしたが、そうした点からも大きな意義をもつフォーラムです。現段階で私大教連執行部を中心に10名程度の参加を見込んでいますが、集会としての成功にはさらに多数の参加組織が必要です。誰でも参加することができる、時節にかなった貴重な機会です。職場全員配布用に「ちらし」をお送りします。すべての加盟大学で教職員への参加呼びかけにご協力をよろしくお願いします。

                   記
 □ と き : 2009年6月13日(土)14:00~
 □ ところ : 北海道大学 人文・社会科学総合教育棟1階W102号


2009年05月25日

法人化「ゆとりない」67%…全国大学高専教職員組合アンケート

http://osaka.yomiuri.co.jp/university/topics/20090524-OYO8T00216.htm

 大学に法人格を与えて自律的な運営を促す国立大や公立大の法人化の影響について、国公立大教員らの54%が、研究教育費の削減で必要な研究教育が行えないと感じていることが全国大学高専教職員組合のアンケートでわかった。

 教員の人件費や教育研究経費などとして国が国立大に支出する運営費交付金は2004年度の法人化以降、毎年1%ずつ削減。公立大法人の多くも自治体からの交付金が減っている。アンケートは昨年5~10月に行い、66の国公立大などの教員5659人が回答した。……


2009年04月28日

全大教、国立大学法人評価委員会「視点」に対する見解

全大教
 ∟●国立大学法人評価委員会「視点」に対する見解

国立大学法人評価委員会「視点」に対する見解

2009 年4 月18 日
全国大学高専教職員組合中央執行委員会

 本年2 月5 日、「各国立大学法人 中期目標・中期計画担当理事」宛に、「文科省高等教育局国立大学法人支援課長・永山賀久」名で、「国立大学法人の組織及び業務全般の見直しに関する視点について」と題する「事務連絡」が通知され、別添資料として国立大学法人評価委員会が作成した「国立大学法人の組織及び業務全般の見直しに関する視点」(以下「視点」と略)が付されていた。この「視点」は、今後、文科省における国立大学の組織及び業務の見直しの「内容」を策定するための、骨格となる文書である。以下、この「視点」に対して、全大教としての批判的見解を整理しておきたい。
(資料)2009 年2 月5 日付 文科省事務連絡「国立大学法人の組織及び業務全般の見直しに関する視点について」
http://www.zendaikyo.or.jp/siryou/2009/090205-monka-minaosi.pdf
……

2009年04月27日

全大教北海道と北海道私大教連、労働問題フォーラムを共催

北海道私立学校教職員組合(道私教組)
 ∟●6月私大教連・全大教共催の労働問題フォーラム

6月私大教連・全大教共催の労働問題フォーラム

 道私大教連と全大教北海道が標記の労働問題フォーラムを共催する運びとなりました。
 ご承知のとおり全大教北海道は道内の国公立大学で組織する組合です。これまでも情報交換や相互の集会参加など、さまざまな場面で私たちと協力関係がありました。そのうえで今日の厳しい大学情勢や経済情勢を踏まえ、さらに関係を深めるべく共催フォーラムを実現しよう、と意思統一してこの間協議をすすめ、雇用問題に焦点を絞った6月フォーラム開催に漕ぎつけました。
 私たちとして全大教北海道といっそうの関係強化は大きな課題であり、2者共同のフォーラムはこれまでの経過からして大きな前進です。
 とりあえず現段階で下記の通り確認し、相互の執行部で鋭意具体化をすすめています。近日中により詳しい第二次要項を発しますが、このフォーラム開催・成功にむけた加盟単組での参加者組織を含む人的配置など、今からご準備をよろしくお願いします。
                     記
■ 日 時  2009年6月13日(土)午後
■ 会 場  北海道大学構内(札幌市北区:詳細は近日中に確定)
■ テーマ  「大学がつくるワーキングプア―誇りと希望をもって大学で働き続けるために」
■ 内 容  〔第一部〕講演:五十嵐仁法政大学教授・大原社会問題研究所所長
              (雇用・労働問題)
       〔第二部〕国立大学・私立大学それぞれから非正規問題での報告・参加者討論


日本私大教連、私大助成の抜本的拡充、学費負担軽減などをもとめ、省庁等へ要請行動おこなう

日本私大教連
 ∟●私大助成の抜本的拡充、学費負担軽減などをもとめ、省庁等へ要請行動おこなう

私大助成の抜本的拡充、学費負担軽減などをもとめ、省庁等へ要請行動おこなう

 日本私大教連は4月20日、私大助成の抜本的拡充、学費負担の軽減、奨学金制度の改悪の撤回などをもとめ、財務省・文部科学省、日本私立大学連盟、日本私立大学協会、日本学生支援機構に対し、要請行動をおこないました。……


2009年04月09日

日本私大教連、教育再生懇談会の「第三次報告」に関する声明

北海道私立学校教職員組合(道私教組)
 ∟●日本私立大学教職員組合連合(日本私大教連)中央執行委員会 声明

教育再生懇談会の「第三次報告」に関する声明

2009年4月7日
日本私立大学教職員組合連合
(日本私大教連)
中央執行委員会

 政府の教育再生懇談会(以下、「懇談会」)は、2月9日付で「これまでの審議のまとめ――第三次報告――」(以下、報告)と題する文書を発表した。報告は大きく三部で構成され、「携帯電話利用の在り方について」、「大学全入時代の教育の在り方について」、「教育委員会の在り方について」という内容が盛り込まれている。
 報告の内容に入る前にまず指摘しておきたいことは、「懇談会」が時の政権によって都合よく利用される危険が大きいという点である。教育再生懇談会、その前身である教育再生会議ともに、閣議決定によって設置され、内閣官房に担当部署を置くという「教育再生懇談会担当室の設置に関する規則」が制定されているのみである。内閣府設置法を根拠に設けられている経済財政諮問会議等の重要政策会議や各種審議会など内閣府に置かれた諸会議・諸機関とはまったく性格を異にするものである。安倍首相(当時)の肝いりで設置された教育再生会議は、首相の「戦後レジームからの脱却」方針のもと、教育基本法改悪とその具体化を軸とする「教育改革」の推進装置として機能し、時の政権の恣意性を具現化する役割を担っていた。そもそも、日本の教育を議論する機関として中央教育審議会(以下、中教審)が設置されており、文部科学大臣の諮問に対して教育機関・地方自治体・実業界等から選任された委員が相応の時間を費やして審議を行い、日本の教育を左右する答申等を打ち出している。したがって、教育再生懇談会は恣意的に設置されたものであり、屋上屋を架して教育政策に百害を持ち込むものでしかない。
 さて、大学に直接関わる内容として、第二部「大学全入時代の教育の在り方」について、以下に日本私大教連中央執行委員会の見解を示す。
 全体として、2008年12月24日に中央教育審議会から答申された『学士課程教育の構築に向けて』と重複する内容が多く、重なっている論題の結論もほぼ同趣旨である。このことから、導き出す結論が先にあって、報告書が出されたという疑念を持つ。
 この報告と中教審答申を比べたとき、最大の相違点はその分量である。中教審答申が本文だけで58ページもあるのに対して、この報告では大学教育に関わる部分がわずかに5ページ分である。この分量で、「大学教育の質担保、高等教育に対する公的支援、トップクラスの人材育成」という重要課題を並べること自体に無理があろう。いずれの課題も、正確な現状認識の上に立って緻密な議論をすべき内容である。以下、各論点に対して見解を述べる。
 第二部の総論に相当する「1 危機に立つ大学教育」において、「(3)トップクラスの人材を育てられる環境となっているか」という問題設定を行っている。そもそも、「トップクラスの人材育成」という問題意識が時代錯誤的である。後の4で、これが具体的には大学院の在り方と高大連携を指していることが示されるが、その内容は大学院生への経済的支援を拡充する、大学が「優れた資質を有する」高校生をいち早く確保するという程度であり、考え方の根底には「高等教育は一部の少数者を対象とする」というエリート主義があるとの印象をもつ。また、高大連携の例として「国際科学オリンピックなどで特に顕著な成績を示した高校生に」「推薦・AO入試等の利用により」「特段の配慮を行う」という提案がなされているが、このような思いつき程度の考えを並べること自体、この会議の見識を疑う。
「2 大学教育の質を担保する」というのも、高等教育の本質に関わる論点である。この報告から窺えるのは、中教審答申とも共通する「産業界からの要請」に傾いた思考である。即ち「短大を含めた大学進学率は5割を超えているから、卒業時の質が落ちてきている」という前提での議論は、「大学を卒業して実社会に出ても即戦力になっていない」という論と結びつくであろう。その思想は「教育サービスの充実により、付加価値のある人材を送り出さなければならない」という表現に端的に現れている。さらに具体策として提示されている項目を見ると、「課題解決力、コミュニケーション能力」「英語力」など実用指向のものばかりが並べられている。一般論としてこれらが重要であることは言うまでもないが、この種の教育にばかり偏ることは高等教育の本質を見誤ることになるであろう。
「3 高等教育に対する公的支援」においても、看過できない主張がなされている。それは「質の保証をなおざりにしたまま、高等教育の量的拡大に応じて公的支援を増額することについて、納税者の賛同を得ることはできず、質の担保に努力しない大学は淘汰されることも止むを得ない」という主張である。「納税者の賛同」などという主張は、財務省の見解かと見紛うばかりである。「大学財政が私費負担に依存せざるを得ない構造を転換する」というのであれば、高等教育に対する公財政支出は経常費補助を盤石のものにすることが基本であるという認識を持つべきである。
 この報告で唯一評価できることをあげれば、「給付型奨学金」を提案している点である。国公私立を問わず高等教育の学費が高い日本において、公的な奨学金が貸与制のみであるため、学生や保護者にとっては二重の負担であった。給付型奨学金の創設は日本私大教連がかねてから要求してきたところでもあり、この制度に限っては速やかに実現することを求めるものである。ただし、報告で「優秀かつ経済的に困難な家庭の学生」に対象を限定していることは再考を要する。日本私大教連はこの報告が基本的に持っている問題点を指摘しつつ、給付型奨学金を実現させる方策については切り離して要求するものである。
 以上のとおり、今般出された教育再生懇談会の報告に対して、日本私大教連中央執行委員会は大きな危惧と憂慮を表明する。今後の大学教育のあり方を論じるならば、これまで旧文部省時代から採られてきた高等教育政策を真正面から総括し、責任の所在を論ずることから始めるのが正道であろう。この報告に盛り込まれているような雑駁な対症療法的な施策では、日本の高等教育が置かれている現状を打破することには結びつかない。
以上


日本私大教連、私立大学等の授業料減免事業等支援経費の大幅な増額ならびに学生支援機構奨学金の「回収率向上策」に関する緊急要請

2009年4月8日

文部科学大臣
 塩 谷  立  殿

日本私立大学教職員組合連合
(日本私大教連)

私立大学等の授業料減免事業等支援経費の大幅な増額ならびに
学生支援機構奨学金の「回収率向上策」に関する緊急要請

 マスメディアも頻繁に取り上げているように、経済状況の急激な悪化の影響による家計急変で就学困難に陥る学生・高校生が急激に増加していることが明らかになっています。3月23日付け北海道新聞は一面トップで、道内で600人以上の生徒が経済的事情で大学進学を断念したという衝撃的な記事を掲載しています 。
 とりわけ私立大学においては、学費負担の重さはすでに家計の限界水準に達している一方、この間の経常費補助の削減や学生数の減少による収支状況の悪化のため、学生への経済的支援策を思うように講じられない大学が少なくありません。こうした問題によって、私立大学生の就学困難状況はより深刻なものとなっています。大学に合格し意欲と希望を膨らませながら入学金が用意できず入学を断念しなければならない高校生、家計の急変により学業の継続を断念せざるを得ない学生、就職が決まっていながら学費を払えないために除籍になる学生、学費を捻出するために休学してアルバイトをしなければならない学生が増加している現実は、我が国の「教育の機会均等」保障が極めて脆弱なものであることを証明しています。
 日本私大教連はこうした事態を重く捉え、貴省に対して、去る2月9日、各私立大学が行っている家計急変に見舞われた学生・大学院生・新入生への学費負担軽減の取り組みに対して、特別補助とは別枠で緊急の予算措置を行うよう要請するとともに、国会議員や私大団体に協力を求めてきました。しかし貴省の対応は、2009年度予算案の枠組み以外の措置はできないとの回答に終始する極めて遺憾なものでした。
 厚生労働省は、今年6月までに非正規労働者19万2千人、正社員1万人以上が失職するとの調査結果を発表しています(3月31日)。経済・雇用状況が早急に回復する見込みはなく、家計の困難さが増すことにより、就学困難状況が拡大しさらに深刻化することは火を見るより明らかです。
 こうした状況に鑑み、日本私大教連は以下2点について緊急に要請いたします。

1.私立大学等が行っている経済的に就学困難な学生を対象とした授業料減免事業等支援経費(経常費補助金特別補助)を、現在検討されている2009年度補正予算において、大幅に増額すること。

 私立大学等が行っている授業料減免等奨学事業は、平成19年度で374大学・短大が実施し、要した経費は総額で約60億円(対象学生数のべ2万1千人)、1大学平均で約1600万円となっています(補助金交付実績より算定)。これに対する授業料減免事業等支援経費(経常費補助金特別補助)による交付額は総額21億円弱、1大学平均にして約558万円、対象学生1人当たりではわずか10万円弱に過ぎません 。
 補助金の配分基準では、奨学事業経費の50%以内を補助するとされていますが、同年度の補助率は50%補助で算出した交付総額が予算額(20億円)を超えたことにより圧縮され 、35%弱に落ち込んでいます。
 一方、この間の経常費補助の抑制・削減と、入学者数の減少によって、5割近くの大学が定員割れを起こし、3割以上の大学法人が経常赤字となっているなど私大の財政状況は年々悪化しており、とりわけ地方・大都市圏外の大学、小規模の大学の経営状況は大変厳しくなっています 。そうした大学では、授業料減免などの学生支援策を講じることがいっそう難しくなっています。経常費補助金特別補助の交付を受けている867大学のうち、過半数以上の493大学が授業料減免事業等支援経費の補助を受けていませんが、これらの大半が財政上の制約により奨学事業を実施できていないものと推測されます。
 以上のような実情を踏まえ、すべての私大において、財政状況に関わらず経済的に就学困難な学生に対する授業料減免等の支援策を実施できるよう、2009年度補正予算によって思い切った財政支援を行うことを要求します。具体的には少なくとも、平成19年度の事業水準で全大学が実施した場合の総事業費約140億円を、経済状況の悪化に対応するため5倍増して総額700億円と見積もり、その50%の350億円を補助することを要求します 。

2.日本学生支援機構奨学金における「個人信用情報機関の活用」を中止・撤回すること

 政府の奨学金回収強化の方針を受けて、日本学生支援機構(以下、機構)は昨年12月、「個人信用情報機関への滞納者の情報登録」を行うことを決定しました。機構は、国民各層の反対や懸念・疑問の声を無視して、2009年度の新規採用者だけでなく、現在奨学金を利用している全学生にも「個人信用情報の取扱いに関する同意書」の提出を求め、署名しなければ貸与の開始、貸与継続を認めないとの極めて乱暴な方法で手続を進めています。機構は、2010年度より3ヶ月以上の滞納者を情報機関に登録するとともに、同機関の借用情報を入手し、多重債務者に対して法的処理を行うなど、「貸金業」なみの対応を想定しています。
 2005年から2006年にかけて高校3年生とその保護者を対象とした『高校生の進路追跡調査・第1次報告書』 によれば、「返済が必要な奨学金は、将来に何か起こるかわからないので借りたくない」と回答した保護者が41.0%、「返済が必要な奨学金は、将来に子どもの負担となるので、借りたくない」が40.5%に上り、年収400万円以下の所得層でも「奨学金は借りたくない」とする家庭が4割弱になっています。生徒の回答でも「返済が不安だから、なるべく借りたくない」が47.4%に上ります。奨学金は借りにくいものという実感を抱いていることが浮き彫りになっています。今日、雇用情勢がさらに悪化していることを考えれば、将来不安がより増大し、多額の奨学金を借り入れることに対する抵抗感がさらに強まっていることが容易に想像できます。
 「個人信用情報機関の活用」はまさに奨学金滞納者のブラックリスト化にほかならず、今日の深刻な雇用・経済情勢の中で、奨学金を真に必要としている学生をますます奨学金から遠ざけるものであり、「教育の機会均等」を保障する奨学金制度の趣旨から逸脱する愚行にほかなりません。
 そもそも、奨学金延滞理由の第1位は「低所得」(45.1%) であり、本来ならば欧米諸国のように一定の所得水準に達するまで返済を猶予するなど、借りやすく返しやすい制度に改善することこそ求められています。
 以上のことから、私たちは、機構が個人信用情報機関を活用することを中止・撤回するよう強く要求します。

以上