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2004年10月04日

Academia e-Network Letter 発刊1年、「空気支配」に抗して(編集発行人)

 下記に,Academia e-Network Letter編集発行人によるレター発刊1年に際しての言葉を掲載(転載)します。発刊を続けている動機は,「日本社会の隅々に浸透している『空気支配』」への「抵抗」と表現されています。
 同発行人は,これまで国立大学独立法人化問題,あるいは横浜市立大・東京都立大などの公立大学改革問題などに関わって,精力的に活動を展開されると同時に様々な貴重な文書も数多く作成し,かつ膨大な情報を提供されてきました。そして,それらをホームページサイト(国立大学独立法人化の諸問題, Academia e-Network Project等)とニュース・メールで文字通り毎日読者に送り続けられてきました。また,数多くのネット署名の管理者として大学問題の運動を支えてこれられました。まさに驚異的なパワーであり,いつも敬服し,意志の弱い私がこうしてかろうじて続けている本サイト作成の精神的力の支えにもなっています。
 一口に,サイトの更新やニュース・メールの定期配信と言うのは簡単ですが,それを毎日のように実行することは実に大変であり,それはやった者だけがわかるのかもしれません。同編集人はこれを何年にも渡って継続されてきたわけです。そのご努力には心より敬意を表したいと思います。(ホームページ管理人)

以下,Academia e-Network Letter No 189 (2004.10.01 Fri)より転載

「空気支配」に抗して(編集発行人)
 −Academia e-Network Letter 発刊1年 −
http://ac-net.org/item/57
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AcNet Letter 発刊から1年を経過したのを機に、感じたことを少し記したい。

日本社会では、ある種の深刻な「荒廃」が着実に進行しているように感じる。荒廃の実相は注意深く覆われているようにみえ、その存在については議論が分れるような状況に留まっているようだが、着実に進行しているように思われ、もはや覆うことができない状況の到来も近いようにも感じる。しかし、この「荒廃」は学問的には社会科学・人文科学に主に属するテーマであり、社会に余り関心を持ってこなかった一数学者としては全体像が見えず、このような皮相的広報活動を続けることには躊躇の念が常につきまとっている。発刊をかろうじて続けているのは、日本社会の隅々に浸透している「空気支配」がしばしば逸脱することへの抵抗としてである、と表現できるかも知れない。

1999年に閣議決定されたとは言え、国立大学の自主的な判断にある程度委ねられた独立行政法人化について、中央省庁等改革推進本部や文部科学省の関係者による種々の誘導があったとは言え、国立大学内の空気が徐々に変化していき、2003年には国立大学法人化は独立行政法人化ではないと言って賛同するに到る経緯を目撃したことは恐るべき体験であった。1941 年の対米開戦の決定において、政府と軍の高官の大半が無謀であることをよく認識しながら、最終的な会議の空気には誰も逆らえなかった、という趣旨の手記が残されていたと思う。国立大学の独立行政法人化が日本の大学界にとって、表面的なプラス効果より深層的なマイナス効果の方が問題にならないほど規模が大きいことを、大学界の「高官」は明確に認識し公言もしていたが、全体としては空気に逆うことはなく、なし崩し的に事は決まって行った。

空気支配が、冷静な理知的判断と正反対の方向に暴走することは稀ではあると思うが、一旦暴走した時の災厄は予想外の規模となることは60年前に実証された。それにもかわらず、日本社会は60年かけても、空気支配の暴走に対する危機管理の実効的方法を形成し得なかった。そのことが、小規模な社会現象としてではあるが、大学界で確認されたと言えるだろう。このままでは、以前何度か紹介した、伊丹万作氏の不吉な「予言」(*1)は遠からず「成就」することになる。

この危険性は、イラクで人質となった邦人が解放された直後に日本で発生したおぞましい空気に多くの人々が一挙に流された「事件」で、現実性を帯びてきた。この事件では、「空気」はかなり意図的に生成されたものであったが、問題はそのことよりも、少数の人たちが作った空気に動いてしまった社会を、冷静な理知的判断の下に引戻す機能が、メディアを含め、既存の社会的システムにはなかった、ということにある。

しかし、社会学者の宮台真司氏(*) も指摘されているが、匿名掲示板と異なり、多くのブロガーはその「空気」に動かされずに合理的な判断を表明していた。この事件は、「空気支配」の暴走を制御する機能をもつ実効的システムがインターネットを通して形成される可能性を示した点で、歴史的意義を持つものと考えたい。

なお、上の空気支配が始まると同時に、京都精華大学教員有志が抗議の意見を表明し、また、ほぼ同時に、東京大学では醍醐聰氏を中心とする教員有志によるバッシング批判声明への賛同署名が行なわれ、その後、全国規模のネット署名に引きつがれ、6001名含大学関係者1684 名)が賛同し、2866名がネット上で個別のメッセージを表明した(http://ac-net.org/honor)。既存の社会的システムの中では、大学界は、空気支配の暴走への歯止めとして機能する潜在力を持つことを示す事件でもあった。

Academia e-Network Letter が、大学界における空気支配の逸脱に抗する機能をわずかでも持てばと願い、また、さらには、大学界自身が、日本社会における空気支配の大規模な暴走への抵抗装置としての潜在力を発揮することを願う。

同様の趣旨で、AcNet RSS Project (http://ac-net.org/rss )を実験的に始めた。すでに数十万のブログがあると言われているが、その中で、日本と世界で進行している「荒廃」の存在を意識したブログのRSSを定期的に収集し種々の形で表示する、というシンプルなprojectである。この趣旨に合うと思われれるブログの自薦・ 他薦をお願いしたい(連絡先:admin@rss.ac-net.org)。主に大学関係者のブログ収集するが、それに限るわけではない。
(編集発行人)

■再掲:Academia e-Network Project 2003.10.1
 http://letter.ac-net.org/03/10/04-1.html#1

Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年10月04日 02:11 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年08月19日

Academia e-Network Projectの新ブログ・サイト誕生!

 いつも,大学問題について貴重な資料や情報を提供して頂いているAcademia e-Network Projectとその通信(Academia e-Network Letter)が,新しいブログ・サイトの形で公開されています。
URLは以下です。
http://ac-net.org/index.php
 なお,Ping Serverが提供されており,ここに大学関係者が作成するブログ・サイトの記事をトラック・バックできます。その結果,同サイトでは各種サイト情報の閲覧の一元化が可能になっているようです。

■AcNet Letter一覧
http://ac-net.org/letter/log.php
■Net 署名
http://ac-net.org/index.php?itemid=5&catid=7
■実験中:Pin Server
http://ac-net.org/index.php?catid=13&itemid=16
■国立大独法化の諸問題
http://ac-net.org/dgh/blog/
■MyblogLists
http://ac-net.org/index.php?catid=8
■MyClip
http://ac-net.org/index.php?catid=9

Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年08月19日 01:03 | コメント (0) | トラックバック (0)
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