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 カテゴリー 司法制度の動向

2005年01月19日

「合格率低いと悪影響」 新司法試験で意見聴取

共同通信(1/18)

 法務省の司法試験委員会(委員長・上谷清元大阪高裁長官)は18日、2006年から併存する法科大学院修了者が対象の新司法試験と現行司法試験の合格者数の内訳について、東京都内で法科大学院の教員らからヒアリングした。
 併存は10年まで続き、この間の合格者数を新試験と現行試験でどう割り振るかが注目を集めており、ヒアリングでは教員や弁護士ら5人が意見陳述。北海道大大学院法学研究科の瀬川信久教授は「合格率が低くなると、試験の合格に関心が向かい法科大学院生の学習態度に悪影響が出る」と新試験合格者数の拡大を求めた。
 司法試験委員会は「法科大学院を中心とした新しい法曹養成制度を育てていくべきだ」として、新試験組の合格者を現行試験組より多くする方針を既に決めており、ヒアリング結果などを基に20日に詰めの議論をする。


[同ニュース]
司法試験委:法科大学院関係者らから初のヒアリング(毎日新聞1/18)
新試験割り当て「絞れば悪影響」・司法試験委員会(日本経済新聞1/18)

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2004年12月06日

日弁連、「民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案」廃案に関する会長声明

日弁連
 ∟●「民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案」廃案に関する会長声明(2004年12月3日)

「民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案」廃案に関する会長声明

「合意による弁護士報酬の敗訴者負担制度」の導入を内容とする「民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案」は、本日、廃案となった。これは、両面的敗訴者負担制度がもたらす弊害を危惧する広範な市民の運動と世論の高まりの結果であるが、同時に、この法案が重大な問題を抱えていたことを示している。

当連合会は、「弁護士報酬の敗訴者負担制度の一般的導入は、裁判を利用しやすくするという司法改革の理念に反する」と主張し、「合意による敗訴者負担制度」の法案についても、この制度の導入で私的契約上の弁護士報酬敗訴者負担条項が広がり、消費者、労働者、中小零細事業者など社会的弱者の裁判利用を萎縮させると指摘して、その弊害解消の立法上の措置を求め、それができない限り廃案とすべきであると主張し続けてきた。

そして、当連合会は、多くの市民と連携して、100万人署名、新聞意見広告、1300人パレード、パブリック・コメント募集、市民集会の実行、諸外国の敗訴者負担制度の実状を把握するための調査団の派遣など全会あげた運動に取り組んできた。

これらの当連合会の主張と諸活動が多くの国会議員と各政党に受け容れられたことが、今回の結果につながったと評価するものである。

当連合会は、敗訴者負担制度をめぐる取り組みと議論を重ねるなかで、市民に利用しやすい民事司法制度という視点からみると、わが国の諸制度には、いまだ立ち遅れている点が多々あることをあらためて痛感した。法律扶助、証拠開示、団体訴権などの抜本的拡充ないし創設を、すみやかに実現しなければならない。あわせて、社会的弱者の権利救済に資する弁護士報酬負担制度(片面的な敗訴者負担制度)の導入こそ実現されるべきである。

当連合会は、今後とも、市民の裁判を受ける権利を保障し拡充する制度改革に向けて全力を尽くす決意である。

平成16(2004)年12月3日
日本弁護士連合会
会長  梶谷 剛

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2004年11月24日

敗訴者負担法案が廃案に?

澤藤統一郎の事務局長日記(2004年11月23日)

朝日と共同通信が報道している。政府は「弁護士報酬の敗訴者負担制度」導入を断念したという。今、前国会から継続審議となっていた「民事訴訟費用法改正案」を廃案とする方針を固めた、というのだ。「方針を固めた」とは微妙な報道。複数報道だが、それぞれ独自の取材で感触を得たということなのだろう。そのアナウンス効果も大きい。

噂としては、これまでもそれに類する話は聞かされてきた。司法アクセス検討会の推進派委員が「完敗だ」といったとか。しかし、仮にも政府提出の法案、しかも推進派から見れば相当に譲歩した内容。廃案は困難、修正が現実的目標、などと考えてきた。廃案が本当なら感慨深いものがある。

この法案には、民主的な法律団体、消費者・労働・公害・患者団体などがこぞって反対してきた。当初は頼りなかった日弁連も、対策本部発足以来、本腰を据えて取り組んだ。そして、少なくない国会議員も反対に回ってくれた。訴訟は本来弱者の権利を擁護すべきもの。その弱者の司法へのアクセスを阻害する。その理が、社会に浸透した。清水鳩子さんや瀬戸・坂弁護士らを先頭とする運動あればこその成果。

だが、この問題の複雑さは、廃案だけでは問題が片づかないこと。とりわけ、格差ある当事者間の訴訟外での敗訴者負担の合意を有効と認めて良いのかという問題が残されている。消費者約款、銀行取引約款、金融商品取引約款、入院申込書、手術承諾書、借地借家契約、労働契約、就業規則等々に、管轄合意と並んで「本契約に関する訴訟においては、弁護士報酬は敗訴当事者が負担する」という条項が滑り込まされる恐れがある。これを無効とする立法措置が求められるのだ。

これまでの運動の勝利の意義を確認するとともに、残された課題での運動の再出発が必要であろう。


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2004年11月10日

新司法試験「合格枠拡大を」 政府案反対の動き、各地で

朝日新聞(11/09)

 弁護士や裁判官、検事を専門的に養成する法科大学院の教員や学生の間で、06年度からの新司法試験の合格枠を広げるよう求める動きが相次いでいる。修了者の大方が司法試験に合格するという当初の構想と異なり、受験者の約2、3割しか合格しない素案を軸に政府内の検討が進んでいるからだ。1人当たり年間三百数十万円の司法修習生への給費を廃止する法案も今国会に提出されている。受難が続く学生たちは国会にも働きかけ始めた。

 合格枠は政府が年内に決める。新司法試験の合格者確保を求める声明は10月27日に九州・沖縄地域の大学院が、28日には東京の私立の大学院の教授有志が出した。8日には関西の法科大学院有志も発表する。

 政府素案は、法科大学院に進まない人向けに残る現行試験と新試験の合格者の割合を初年度は各800人とし、1期生の合格率は34%としている。その不合格者も挑戦する次年度以降は2割程度で推移する。

 68の法科大学院でつくる法科大学院協会は修了者からの合格を「1千人程度以上」とし、現行試験組は500~600人に抑える対案を29日に公表。理事長代行の佐藤幸治・近畿大法科大学院教授は「法科大学院で講義を重視し、判例などを読み込んで考える教育が実現したのに、合格者を絞ることになれば元の暗記主義に舞い戻ってしまう」と話す。

 学生の署名活動も始まった。関西学院法科大学院の浅野信介さん(30)は「様々な分野で活躍した経験を法曹になって生かそうとする学生も多いが、受験競争が再来すると難しくなり、大きな損失だ」と訴えた。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年11月10日 00:43 | コメント (0) | トラックバック (0)
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