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2005年06月15日

公立大学という病:横浜市大時代最後の経験、市労連という病「後日談」

公立大学という病:横浜市大時代最後の経験
 ∟● I. 市労連という病 「後日談」

05/6/14 少しだけ「I. 市労連という病」の「後日談」に追記。こっちに書いてもよかったのだが、後日談ということで最後のところに追記しておいた。

後日談
(1) 私の研究室の隣りの先生は現副学長であった。私の採用責任者(審査委員長)だったが、どうも私とはそりがあわないらしく、何か用があっても、隣りの部屋にもかかわらず内線でしか私とコミュニケートしない人だった。その副学長が香川大学から私の割愛願いが出た後に、珍しく私の部屋をノックした。おそらく新任で赴任してきた時以来であろう。「吉田君、(転出を)考えなおす気はないかね」と彼は切り出した。「香川大学には私の院時代の友人もいるから、もっと早くわかれば手をまわせたんだが。」などと、翻意できないものか聞いてきた。無論、そんなことは考えられないと答えると、彼は安心したかのように「そうだよね。実は、N部長から君の転出を思い留まらせるよう説得してこいと言われてきたんだ。」と言ってそそくさと帰っていった。
その後、教授会で割愛が正式に決まった後にも「また部長から説得しろと言われたよ。君は随分とあの部長に気にいられているようだね。」と本気とも皮肉ともつかないような口調で言われた。N部長と会ったのはあの日だけ。どうしてそんなことを言われなければならないのか、いまだに不思議だ。
(2) このホームページが世間に知れはじめた05年2月末頃に市大教員組合の関係者から連絡があった。市労連の書記次長が、このホームページについて教員組合のコメントを発表しろと迫ってきているというのであった。市労連としてはこのホームページの内容が嘘であることにしたいらしく、教員組合の執行部としても対応に困っているらしいとのことであった。
 「私の方としては実際に経験したことを書いているだけだから、やましいことは何もない。もし御迷惑をおかけするようなら、お好きなように対応してくださって結構ですと、執行部には伝えておいてください。独法化を直前にひかえた大事な時期にお手を取らせるようなことになって申しわけなく思ってます」と連絡をくれた方に話しておいた。それから数ヶ月がたったが、何のアクションも教員組合は起していない。
 2005年2月25日付けのトップページに書いたことの裏にはこんなことがあったのだ。書いた本人に直接問いあわせたり、抗議したりするわけでもなく、もはや私とはなんの関係もなくなった教員組合に対して圧力をかける。それならうまく動かせるとでも思ったのだろうか。
 これが市労連のやり方であり、二度とかかわりたくなくなる体質である。(05年6月14日追記)

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2005年06月10日

横浜市立大、大学当局 任期制同意状況を公表

横浜市立大学教員組合、組合ウィークリー(2005.6.9)
大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌(2005年6月9日)より

大学当局、任期制同意状況を公表
同意、新学部で半数下回る

 最近、大学事務当局は、任期制への同意状況として、任期制を受け入れた教員の先月30日現在の人数を、下記のように発表しました(次面へ)。

              教員数    同意数    同意割合
国際総合科学部(注)  167人    79人       47.3%
医学部           227人   163人    71.8%
付属病院          93人    64人    68.8%
センター病院        129人  104人      80.6%
計                616人    410人     66.6%

 「国際総合科学部」(注)において任期制に同意した教員の数は半数を下回っています。
 当組合執行部は、3月末の段階で、任期制に同意した教員の数は金沢八景キャンパスにおいては半数を下回っていると推定していましたが(本紙3月24日号)、現段階においても基本的にその状況は変わっていないことが明らかになりました。
 病院の教員と医学部教員の多くの部分は医師であり、他の教員と条件が大きく異なっていますので、そこですら7割程度しか同意がないのは、むしろ予想を下回るものです。
 なお、この件は今月6日付け『東京新聞』神奈川版でも「統合の新設学部『同意』半数届かず」と報じられています。

(注)当局発表の「国際総合科学部」教員数は、金沢八景キャンパス勤務の専任教員(135名)に、舞岡キャンパス(14名)と鶴見キャンパスの教員(18名)を加えた数となっています。

 このうち国際総合科学部の授業を担当していない教員は学部教授会メンバーではありませんので、同教授会の構成員は144名です(学部長口頭報告による)。なにゆえ医学部・病院以外の全教員すべてを「国際文化学部[1]」に含めているのか不明です。
 なお、新しい国際総合科学部には、旧3学部(商・国際文化・理)教員のほか、総合理学研究科・経済研究所・木原生物学研究所の教員、および新任教員が含まれています。


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2005年06月07日

横浜市立大、教員任期制への「同意」状況 国際総合科学部は47.3%どまり

統合の新設学部『同意』半数届かず 横浜市大の『教員任期制』

東京新聞(6/06)

 四月に地方独立行政法人となった横浜市立大学はこのほど、教員の任期制への同意状況を公表した。国際総合科学部、医学部、付属病院、センター病院の合計六百十六人のうち、同意は66・6%。商学部など旧三学部を統合して新設した国際総合科学部では百六十七人のうち47・3%にとどまり、半数以下となった。

 市大は全教員を原則任期制とすることをうたっていたが、任期制の適用には本人の同意が必要。競争原理を持ち込み教員の質を高めたいとの考えだったが、看板の新設学部では思惑通りに進んでいない。

 旧三学部の教員が中心となっている教員組合は三月から、各教員に対し任期制の同意で態度を保留し委任状を組合に提出することを呼び掛け、四月には「旧三学部出身の教員のうち、過半数が組合に委任状を提出した」としていた。

 市大の松浦敬紀副理事長は、「文系の研究は数年で実績を挙げにくいため、任期制を敬遠する教員もいる」とした上で、「身分が任期制か否かで二分されていることで学部内に溝が生まれるとは考えていない。今後も任期制への理解を深めてもらうように努力する」としている。


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2005年06月02日

横浜市立大学教員組合、労使協定の問題

横浜市立大学教員組合
 ∟●横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー(2005.05.31)より

労使協定の問題① 時間外休日労働協定(36協定)
 教員の位置づけが必要

 就業規則は、当局が5月2日までに全事業場の就業規則を労働基準監督署に提出したことにより、いちおう成立したものとみなさざるをえません(もちろん、今後、その改訂のための闘いが必要です)。
 しかし、実際の勤務のためには、さらにいくつかの《労使協定》が締結されなければなりません。労使協定は、使用者と労働者代表(事業場の過半数代表者・過半数組合)のあいだの合意によって結ばれるのですから、わたしたちが認められないものは、成立しません。
 当局が用意している労使協定のうち問題があるのが、すでに何度か本紙も触れているように、1)時間外・休日労働に関する協定(36協定)、2)休憩時間に関する協定、3)裁量労働制に関する協定です。
 そのうち、36協定は、残業手当を支給するためにも必要なものですが、当局案に不備があるため締結に至っていません。3月末日に当局が提示した文案では、教員についての規定がありません。つまり、当局の当初案は、「教員には時間外・休日労働を命じない」、すなわち、形式上は時間外・休日労働が行なわれないことにしたいというものでした。 
 実際には教員は、入試業務等により休日に出勤しなければならないことが多く、また、時間外勤務も多いのですから、これは無理な協定です。
 そのため、現在、組合は、教員の時間外・休日労働について36協定に載せ、また、教員が行なう時間外・休日の入試、その他の必要な業務が、きちんと時間外・休日労働とみなされるようにすることを要求して、交渉を続けています。
 当局側が必要な修正をすれば、締結できる見込みです。
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労使協定の問題② 裁量労働制
任期制のための差別に利用するな!

 
 労使協定として、専門型裁量労働制についての協定も用意されていますが、これは現状ではまたく合意できません。
 当局は任期付き教員についてのみ裁量労働制を導入し、任期付きではない教員については裁量労働制を適用しない方針です(就業規則第39条第4号)。
 これは、任期制に合意した教員と、そうでない教員のあいだに格差を設けようという、差別制度です。
 任期制の導入のために、このような差別を行なうことは不当・違法であり、断じて許すことはできません。現段階で裁量労働制の労使協定に合意することは、このような差別を容認することを意味しますから、到底できることではありません。
 わたしたちは、このような差別を行なわないことを強く要求し、また当面は裁量労働制の適用がなくとも教員の研究・教育・勤務について従来どおり自主的裁量を認めることを要求し、粘り強く交渉を続けていきます。
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労使協定の問題③ 勤務時間問題
 教員のみ9時間半拘束は不当

 労使協定として「休憩時間の一斉付与の例外」についての協定が、当局から提案されています。
 一斉に休憩時間を取ることに意味はありませんから、この協定も締結したいところですが、協定の前提として定められている、教員の勤務時間の問題が未解決です。
 当局の決めた規定では、教員の勤務時間が午前8時45分から午後6時15分となっており、他の職員よりも1時間長く9時間30分拘束されることになっています。
 当局は「5限の授業があるため」としていますが、それならば、5限の授業のない場合にはどうするのかなど、問題は尽きません。
 当局も、協議のなかで、運用のしかたによって調整したいとしていますが、問題が残らないように、適切な勤務時間運営となるよう、また、その「運用」をきちんと文書化するよう、要求して交渉を続けます。


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2005年06月01日

横浜市立大、「国際化推進本部」とは一体どのような機関なのか? 

大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(5/30・31)

5月31日 ボックスには、「海外出張(大学費用)」に関する「照会」なるものが、「国際化推進本部長」名で入っていた。これも、「国際化推進本部で審査を行い、派遣を決定」するそうである。「審査」の基準は何か?だれが、判断するのか?その研究教育の内容判断は?かつての海外出張審査会と比べて、どのような審査体制の変化があるのだろう?

文部科学省・日本学術振興会の諸種の研究助成において、官僚が直接審査に立ち入ることはしない。審査はあくまでピア・レヴューシステムで行われている。そうした審査システムとなっているかどうか?

そもそも、「派遣条件」が絞り込まれている。本学の「研究戦略プロジェクト事業」に採択された調査研究で、海外において研究調査を行うことが妥当なもの、だという。審査結果をみれば、それがわかるであろう。だが、その「審査」は、だれが?

そもそも、「研究戦略プロジェクト事業」の選別も、どのように行われるのか、どのような組織によるのか、かつて理学部の吉岡教授は、外部資金を獲得するような社会的評価と受けていても内部では申請の仕様のない「研究戦略プロジェクト事業」の柱立てであるということを書いておられた。「研究戦略プロジェクト事業」の選別により、多くの人は申請すらできなくなったということなのだろう。

もうひとつ可能なのは、「国際会議・国際シンポジウムの講演」で、「各分野における国際的あるいはそれに準ずる組織が運営する国際会議等で基調講演あるいは招待講演として依頼されたもの」だそうである。

一体だれがどのような会議で「基調講演」、「招待講演」を行うのだろう。興味深い。重要な国際貢献活動として注目すべきものであろう。

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5月30日 従来の在外研究に変わる制度の「平成17年度横浜市立大学教員研究者留学派遣者」の「推薦」に関わる文書がメールで届いた。研究院全体で3名という少なさ、しかも、「研究院長、病院長の推薦により、国際化推進本部で審査のうえ、派遣者を決定する。なお、推薦人数は研究院から3名以内、各病院から1名以内とする」と。

一体、国際化推進本部は、どのような機関か? 研究教育の推進という本来的使命からすれば、教育研究審議会の下にある機構であるべきだが、そうなっているか?

「審査」を行うのはいかなる体制においてか?

規則の「改定」は、今年の5月24日という。どこで、誰が決めたのか?改定に関わる審議はどこで行われたか?その議事録は?

かつてならば、教授会や評議会で審議決定すべき重要事項だが。

在外研究できるかどうかは、研究の進展にとって非常に重要であり、人によっては死活の重要性を持つ。研究の自由、学問研究の自由のあり方にも深く関わる。大学の自治の原則の元で「審査」が行われる体制でない場合、すなわち、「上から」、「外から」任命された管理職・事務職による審査決定となる場合、重大な問題となろう。民主主義的審議機関で議論しないで、決めるのは、簡単だが、それは結局は大学の自由で民主的な生き生きとした発展には結びつかないだろう、「決定権限を持つ人々」と「研究留学したい人々」とのある種のつながりだけが優先されることになろう。民主的な公明な審査が欠如する場合、大変な問題ではなかろうか?

そのような審査過程、どのような審査機関、どのような決定となるのか、注目していこう。


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2005年05月30日

横浜市立大学、5.26教員集会「法人化1ヵ月 何が起きているか? 労働条件をめぐる交渉の経過と今後の展望」の報告

大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(5月26日)

5月26日 昨日は、法人化後初の労働組合としての教員組合の集会があった。労使協定という基本的な契約関係がいまだ締結に至らない点に関して議論となった。法人化への移行が行政主導で行われ(教員組合を正式の交渉相手としないという態度で3月末までやってきた)、諸規則案作成でいくつもの教員組合として受け入れられない「不利益措置」が盛り込まれていることがその理由として確認された。

 就業規則に関する教員組合意見書が示すように、「任期制」問題などに一体どのように対処するのか、およそ協定の合意にいたり得ないような問題点が積み残されたままである。大学教員任期法に基づくならば、まさにどのようなポストにどのような教員をあてるのか、その根本が大学の自治のもとで決定されていかなければならないだろう。違法・不当な労働基準法の適用も論外であろう。現状の定款や学則の下で、どのような自治的自立的議論・決定が可能となるのか、それが問われる。

 教員数という点では圧倒的多数を占める臨床系教員を抱える医学部の場合、これまでも3年とか5年で大学と病院等を往復していたという事情もあり、臨床系教員の場合、任期制には余り抵抗がない(抵抗してもあまり意味がないといった感覚)ということも、予想されていたことではあるが医学部からの参加者の発言でわかった(私の理解する限りで)。

 それに対して、医学部でも基礎系は「任期制」による流動化には抵抗が強いようであり、瀬戸キャンパスはもちろん圧倒的多数が任期制への移行には同意していないようである(教員組合に任せている人数だけで半分を超えるという)。

 研究教育に没頭し、まい進したい多くの教員にとって、法律的な問題、身分保障のこまごました問題は苦手であり、それにかかわることで精神的負担の大きくなることはつらい。そうした良心的教員の弱みを逆さに取ったような当局の態度に対しては、教員組合が連帯の輪を広げまた強固にしていくことが重要であると確認された、と思う。

 その点で重要なことは、3月末のあの「同意書」提出の意味合いであり、その今後の取り扱いである。3月段階において、条件が不分明ながら「同意書」を提出した教員の場合、撤回が可能であるということである。

 その同意は、制度そのものの非常に不確定ななかでの同意書であり、そうした漠然とした内容でアバウトでの同意に過ぎない。したがって、具体的な任期制の個別的契約の段階においては、当局が提示する条件が明確でない場合(いまだ明確になっていない場合)、同意書を撤回することは当然にも可能であるという点である。今後予想される契約提示とそれに対する個別同意の判断においては、非常に注意する必要があるということである。

 京都大学井上事件を見てもわかるが、「はじめに任期制ありき」の当局の姿勢で、再任しない決定を下しておいて外部評価を行うなど、社会的に説明できないような任期制の恣意的運用が現実に行われている。外部評価を行った研究者が、京都大学再生医科学研究所(その所長)のやり方を厳しく批判している文書(法廷・陳述書)が示すとおりである。

 したがって、任期制運用に関して、安心できる制度設計・合理的な制度運用のあり方が示されない限り、3月の同意はあくまでも、一般的な任期制なるものへの同意に過ぎないのであって、当局の提示する契約条件によっては(任期制の具体的制度保障・運用の合理的あり方の提示などが不十分であれば)、撤回可能だという点であろう。こうしたことも、一人一人の教員の判断ではきちんと対処できないことがある。教員組合とともに、大学の自治、学問の自由の確立を基準にして、教員が奴隷化しないように奮闘することとが求められている。

 多くの不安を持つ教員のために教員組合の正確で迅速な情報提供を求める声が、強かった。不安や危惧は、没頭すべき研究教育の質量を悪化させるものであろうから、当然の希望である。

 論点のひとつには、研究費配分をめぐる問題があった。教育研究審議会がこの間ある決定をしたようであり、それが学部長を通じて下に下ろされているようである。問題は、その教育研究審議会の決定の内容であり、その説明責任(合理性・妥当性)である。

 「評価」の問題が重要になってきていることひとつとっても、どのように研究のための予算が保障されるのか、どのような基準、どのような審査会において研究費が配分されるのか、この予算問題は研究の自由、学問の自由などと深く関わってくる。従来、ほとんど研究をしない人々(研究実績を公開していない人々)が予算配分をめぐっては力を発揮しているという噂も耳にした。内部で研究費を獲得する人と外部で研究費を獲得する人が二分化しているという噂も流れている。「内部ではあきらめている、外部だけが可能だ」と。

 集会での発言によれば、声の大きい人が大きな獲物を獲得する、という人がいるかと思えば、いやいやだまっていても、すっと大きな獲物を手に入れる人がいる、という人もいる。天網恢恢、粗にして漏らさず、とか。少なくとも多くの人の目は、なかなかに厳しそうである。教育研究審議会(そして経営審議会?)という狭い組織で重大決定したとすれば、そうした問題点の検証はどうなるのか?

 「上から」、「外から」任命された人々からなる教育研究審議会の予算配分に関する決定のあり方は、今後教員組合をはじめ各方面できちんと議論しなければならないであろう。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年05月30日 00:17 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年05月24日

今村達宜君をしのぶ

伊豆利彦のホームページ
 ∟●今村達宜君をしのぶ

今村達宜君をしのぶ

 今村君が横浜市大に在学したのは一九六〇年前後だった。激動の時代だった。大学は横浜市の人員縮小を主眼とする大学改革をめぐって大揺れに揺れていた。教授会メンバーも連日対策に奔走していたし、学生は自治会に結集して、ハンストなど、懸命な反対運動を展開していた。教師も学生も一体になってたたかうという気運があった。
 そして、あの六〇年安保闘争だった。学生たちは大きなうねりとなって連日国会前に押し寄せたし、教師もしばしば大学を出てデモをした。横浜大学人の会というようなものも出来て、国大や関東学院大などの教員との交流を深めた。
 今村君は日本史の遠山さんのゼミだったから、在学中の接触はなかった。ただ、のちに生涯の伴侶となった劉燕雪さんは、国文の学生だったから知っていた。しかし、古典専攻で西郷さんのゼミだったから、その考え方や研究の方向は知らなかった。
 結婚ということをふくめて、今村君の生涯はこの学生時代に決定されたのであったろう。闘争は人々を団結させる。大学はすべてにおいて貧困だったが、内部の精神はいきいきしていた。今村君はこの青春の記憶を生涯もちつづけ、卒業後はそれを糧として社会人として生きられたと思う。
 その後三十年たって、市長選挙に私が立候補したとき、今村君は神奈川診療所の仕事をしていて、全力をあげて選挙活動をしてくれた。私はこのとき、はじめて神奈川診療所を訪ね、民主医療活動の実態に触れた。それが地面に足をつけた地味な活動だが、市民の生活に密着して、市民から信頼される運動として発展していることを知り、これこそ民主主義運動のもっとも大きな成果であり、その発展の基盤だと思った。
 民医連の仕事は今村君の生涯を賭けた仕事であったろう。その未来の発展について、さまざまな夢を情熱的に語ってくれた。私は民医連活動で市大の卒業生が大きな役割を果たしていることを知り、現に活動している多くの人たちと接触して、地域医療における市大の役割というようなことについて考えさせられた。
 私は個人的利益を犠牲にしても地域住民の医療のために活動する精神が民医連にはあり、それを横浜市大で過ごした青春が養ったのだと思い、市大の教師として過ごした四十年が決して無駄ではなかったと思った。
 医学の分野に限らず、組合や市民運動などのさまざまな分野で、個人的利害だけにとらわれることなく活動している市大の卒業生が多いような気がする。もしかしたら、これが市大の精神といえるのかも知れないと思う。
 しかし、市大は変わった。一九六〇年代末の全共闘運動は市大を解体した。教師と学生は相互不信に陥り、大学はばらばらになった。大学自治会もなくなり、教師は知識の切り売りをし、学生は利己的目的から学ぶという傾向が強まった。そうして、ついに昨年、大学は改革という名のもとに、大学の名にあたいせぬ実用的な大学になってしまった。横浜市大は死んだのである。
 今村君をはじめ一九六〇年のたたかいをたたかった卒業生が中心になって<市民の会>をつくって反対運動を展開したが、なにしろ、現職の教師たちはひよわく、学生たちはひたすら受動的な坊っちゃん・嬢ちゃんで民主主義に対する自覚がとぼしく、辣腕の市長に立ち向かうすべを知らなかった。
 <市民の会>の奮闘にもかかわらず、結果はみじめだったが、この会の運動は楽しかった。あの時代の青春の情熱がよみがえり、現実の大学は死滅しても、この抵抗のなかに大学の精神があるのだという思いを共有することが出来た。
 今村君はすでに健康を著しく害していたが、そんなことは口にせず、いつも笑みを浮かべ、未来について語っていた。しかし、どれほど口惜しい思いを内に秘めていたかはわからない。
 いま、ここに今村君をしのぶかつての学友をはじめ、多数の仲間たちが集まった。われらが彼の霊前にささげることのできる最大のものはなにか。
 死のときまで彼が思い描いていた夢の実現に一歩でも近づく運動を前進させることだろう。市大の再建を実現するために、この運動でよみがえった市大の精神を市民のものにするために、どんなにささやかでもいいから何らかの運動の拠点を構築することができたら、彼はどんなに喜ぶだろう。
 言い遅れたが、かれの願っていたことは、いうまでもなく、日本にほんとうの民主主義社会を確立することであり、日中の揺るぎない友好とアジアの統合と発展だったと思う。彼は常に遠くを見つめていた。
 死は所詮だれもが避け得ぬものである。最後まで精神を直立させ、前方を夢見て生涯を終り、私たちに希望を残してくれたことに感謝したい。
 
   二〇〇五年五月二十一日


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年05月24日 03:20 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年05月20日

横浜市立大学、国際総合科学部第2回教授会 代議制の原則がほぼ確立

■横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー(2005.5.19)
大学改革日誌-最新日誌(5月19日(2))より
学問の自由と大学の自治の危機問題、組合ウィークリー (2005.5.19))より

国際総合科学部の教授会(12日)

12日、国際総合科学部の第2回の教授会が開催されました。前回から持ち越された代議員会の選出方法について審議が行なわれました。

その結果、大学院国際総合科学研究科教授会(先月14日)の例を参照し、学部に属する7つのコースと共通教養課程から各4名、計32名の代議員を選挙によって選ぶことが決まりました。このうち、共通教養課程の代議員については、教授会において選挙を行なうことが決定され、当日の教授会において4名の代議員が選出されました。

また、すでに、教授会の決定は代議員会のものに優越すること、教授会構成員の一定数以上の要求があった場合、教授会が開催されることが決定されています。

3月に当局が示していた案では、代議員会の構成員の大部分が、指名・任命を受けた者により構成されることになっていました。当組合は、代議員会については、民主主義と代議制の原則に基づき、教授会の全構成員が平等の権利を持つ選挙を通じて選出する制度とするべきことを訴えてきました。

今回、代議制の原則がほぼ確立されたことになります。そもそも当然そうあるべきであることだったとはいえ、多くの教員の真摯な討論と取り組みによる成果といえるでしょう。

今後、大学の自治と民主主義的運営制度の構築のためには、多くの課題があります。

その一つとして、教授会に、人事・カリキュラム編成・学則改正等の重要な事項について決定権を認めないばかりか、審議権すら保障しない学則の諸規定は、学校教育法に反するものであり、その見直しを求めることが、重要な課題となるでしょう。
(関連記事:4月6日号、15日号)

■5月12日教授会については,永岑氏が下記のような記事を書いています。

大学改革日誌-最新日誌(5月13日(1))より

5月13日(1) 昨日は、国際総合科学部(教員数144名・出席120余名、委任状15名とか・・・議事録を確認する必要あり[2])があった。代議員の選出が議題となり、選挙によって各コースから4名、共通教養から4名選出されることになった。選出方法に関して議論があったが、大学院研究科の代議員選出方法(それは学部代議員選出をめぐる4月第一回教授会の紛糾を考慮した上で考案され議論され決まったものだが)が参考にされたものとなった。

共通教養も最初、「職能的」選出が提案されたが、全メンバーで選挙するという方式が最終的に取られた(選出母体としての教授会の再確認)。実質的には、立候補はなく、共通教養で選出されるべきものとして全コースにかかわる分野、すなわち、英語・数学・情報・第二語学等の諸分野の教員個人の教授会内部からの推薦があり、それが拍手多数で承認されるということになった。

「各コース・共通教養から各4名」という教授会承認の代議員数(定数)以上の推薦(立候補)があれば、当然にも選挙となるべきもので、投票用紙は準備された。私の耳には、候補として名前が挙がったなかには出ていなかった分野(全コースにかかわる分野)として「体育からも」との声が何度か聞こえてきたが、それは大きな声にはならず(あるいは無視されて?)、したがって4名の候補者ということとなり、投票用紙を利用する必要がなかった、というのが昨日の状況であった。

教授会を構成する基礎単位構成メンバー全員から代議員が選出されるという代議制の基本システムが確認されたことは大切なことだった。

今後、基礎教授会(全体会議)、基礎コース・共通教養の基礎単位での議論・審議、それを踏まえた代議員の代議員会における議論と審議と「上から」、「外部から」任命された執行部とのあいだで、諸問題がどのように処理されていくか、その処理の仕方に「大学の自治」(学問の自由)の復権・復活・再生がかかってくるといえよう。

すでに問題になっているのは、この間凍結されていたかなりたくさんの教員(ポスト)の補充であり、また予算配分問題である。これをどのように処理するかで、「上から」「外部から」の大学支配が貫徹して、大学が専門学校化するか、それとも民主的意思形成が確立し、強靭な大学に成長していけるかがかかっているであろう。


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2005年05月19日

市大スポイチ編集長日誌、冷たい言い方だが、市ターンズとはああいうものだ…

スポイチ編集長日誌
 ∟●冷たい言い方だが、市ターンズとはああいうものだ…(2005年05月18日)

冷たい言い方だが、市ターンズとはああいうものだ…

 「前提とされるのは、大学は社会に対する効用を証明しなければならないということである。すなわち、開かれた市場に身を置き、授業料の支払いを通じて中核的資金を提供する学生たちを獲得するため競争しなければならない。もし大学の研究が価値あるならば、限られた資金を獲得するため厳しい競争の洗礼を受けることができる。…」
 ただし、上記は事務幹部官僚及び大学の”設置者”をもって自認する人には適用されないようだ。また、その「中核的資金を提供する」受験生から敬遠されるような改変をわざわざやらせておいてもその責任は負わないか、下っ端に押し付ければいいらしい。 ……


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年05月19日 00:34 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年05月17日

虚偽は虚偽を生む―抗議文への横浜市の回答への反論―

■『カメリア通信』第35号、2005年5月16日(不定期刊メールマガジン)
学問の自由と大学の自治の危機問題より
大学改革日誌-最新日誌(5月16日)より

平成17年5月15日

横浜市立大学研究院
教授 一楽重雄
教授 市田良輔

 先日、市長に宛てた抗議文に対して、横浜市からの回答が届いた。ただし、もしかすると、横浜市からの回答ではなく「横浜市都市経営局大学調整課長 中山雅裕」からの回答かも知れない。
 なにしろ、横浜市は普通の組織とは違って、市長が副市長など部下のしたことの責任は取らないらしい。横浜市として横浜市の役人がしたことも、市長は知らないことであってよいらしい。となれば、この回答も横浜市の回答かどうか怪しい、いざとなれば、中山課長個人の回答であって横浜市の回答ではないと言い出さないとも限らない。
 この回答では、次のように言っている。
 「市長の市大大学改革に係わる指示といたしましては、あくまで改革の方向性や進め方に関する基本的な考え方を示したものであり、大学改革の詳細な内容について指示をした経緯はありません。」
 誰が大学の詳細な内容を市長個人が指示すると考えるだろうか。
 「市長として、市大の中味に口を出したことは一度たりともありません。」と言う意味は何か。
 これは「市大の中味は大学が考えたのであって、横浜市が中味にまで口を出していない」ということを意味しているのである。
 中田市長個人が市大改革の詳細について指示しているかどうかが問題なのではない。今回の大学改革において、大学の中味を
 「大学が決めたのか、それとも、市が決めたのか」
 が問題なのである。「中田市長が直接指示をしたか、副市長が指示をしたのか、あるいは、担当部長が指示をしたのか」が問題なのではない。
 組織の長である市長として口を出していないということは、当然、副市長以下の部下も口を出していないことを意味する。
 特に入学志望者の半減などから、今回の改革の内容を誰が決めたのかが、これから問題になる。それを見越して、中田市長は「自分に責任はない」と言いだしたのではないか。あるいは、市長が大学の中味にまで口を出すことは「大学の自治」に反し違法であることから、「口を出していない」と強弁しているのではないか。
 中山課長は、次のように続ける。
 「ご指摘の市立大学国際総合科学部におけるコース設定につきましては、横浜市大学改革推進本部事務局(事務局長:大学改革推進部長)に大学の教員を中心に構成した「コース案等検討プロジェクト部会」を設置して検討し、「国際総合科学部(仮称)コース・カリキュラム案等報告書」(以後、報告書とします。)としてまとめ、横浜市大学改革推進本部(本部長:副市長)において承認・決定しました。」
 つまり、副市長は「口を出すどころか、その責任において決定した」のである。だけれども、「副市長は市長とは別人であるから、市長が口を出したことにはならない」ということなのだ。市長が、副市長のしたことに責任を取らないなどということが、どこの世界で通用するのだろうか。
 そして、最後は虚偽である。
 虚偽の発言を弁護するためには、やはり、虚偽が必要なのだ。
 「また、ご指摘のありました日本数学会理事長あての文書における表現につきましては、先に述べましたようにあくまでも大学を中心に組織的に検討した結果を踏まえて、最終的な決定権者としての判断をこのように表したものでございます。」
 「大学を中心に組織的に検討した」というのは、まったくの虚偽である。大学の教員は個人として協力したかも知れないが、大学という組織は検討にまったく加わっていない。大学ではなく横浜市が検討したのであるのは、直前の文章に述べられているとおりである。それを、あたかも大学が検討して決めたかのごとく思わせるために、わざわざ、虚偽を書きこんでいるのである。
 これまでも、実質的に市民を欺く「大学の教員を中心に検討した」という表現を横浜市は何度もしてきたが、これは言葉としては虚偽とは言い切れない面があった。大学ではなく、一部の教員が個人として検討に協力したことは事実であるからである。しかし、このように表現すれば、事情に詳しくない多くの人々は、当然「大学が検討した」のだと思ってしまう。
 横浜市大学改革推進本部というのは、横浜市の組織であって大学の組織ではない。大学教員の協力を得て横浜市が決定したことは、決して、大学が決定したことではなく、横浜市が決定したことである。
 中田市長自ら主張するように、民主主義の基本は情報公開であって、市民を欺き虚偽の情報を回答する行政は決して民主主義と相容れるものではない。
 改めて、市長祝辞に対して抗議をするとともに、その訂正を求めるものである。


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抗議文に対する中田宏横浜市長の回答

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●中田宏横浜市長の“ふざけた”回答 (2005.5.16)

 中田宏横浜市長が,去る4月5日の横浜市大入学式において新入生を前に,『市長として、市大の中味に口を出したことは一度たりともありません』と“大ウソ”の祝辞を述べ[1],これに対して,旧理学部の複数の教員が「抗議文05-4-26」[2]および「公開質問状05-5-9」[3]を提出したが,下記は,「抗議文05-4-26」に対する“ふざけた”としか言いようのない,(中田氏からの,部下の手を借りた)“不誠実”「回答05-5-11」である.これに対する「反論05-5-15」は[4]を参照されたい.

[1]中田市長 市大入学式で、またも、“大ウソ” 《市長として、大学の中身に口を出したことは一度もない》(2005.4.5)
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/05-04/050405oouso.htm 
[2]横浜市立大学2教授、中田宏横浜市長の“ウソ発言”に「抗議文」を提出(2005.4.27)
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/05-04/050427katayama-ichiraku.htm 
[3]吉岡直人(横浜市立大学):中田市長の“大ウソ”発言「市大の中味に口を出したことは一度たりともありません」に対する「公開質問状」(2005.5.9)
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/05-05/050509yoshioka.htm 
[4]虚偽は虚偽を生む――抗議文への横浜市の回答への反論――『カメリア通信』第35号(2005.5.16)
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/05-05/050516camellia.htm

【横浜市回答】

横浜市立大学研究院
一楽重雄様
市田良輔様

 4月5日に行われた市立大学入学式における市長祝辞については、次のように考えております。
 市長の市大大学改革に係わる指示といたしましては、あくまで改革の方向性や進め方に関する基本的な考え方を示したものであり、大学改革の詳細な内容について指示をした経緯はありません。
 ご指摘の市立大学国際総合科学部におけるコース設定につきましては、横浜市大学改革推進本部事務局(事務局長:大学改革推進部長)に大学の教員を中心に構成した「コース案等検討プロジェクト部会」を設置して検討し、「国際総合科学部(仮称)コース・カリキュラム案等報告書」(以後、報告書とします。)としてまとめ、横浜市大学改革推進本部(本部長:副市長)において承認・決定しました。その後、報告書に基づき文部科学省への申請手続きを進め、平成16年9月21日、市長名で正式に届出を行ったものです。
 市長は意思決定過程の考え方の方針を決めたものであり、市長自らがコース設定などについて直接の指示をしたことはありません。
 また、ご指摘のありました日本数学会理事長あての文書における表現につきましては、先に述べましたようにあくまでも大学を中心に組織的に検討した結果を踏まえて、最終的な決定権者としての判断をこのように表したものでございます。
 以上、今後とも横浜市立大学の円滑な運営にご理解とご協力をいただくようお願いいたします。

平成17年5月11日
横浜市都市経営局大学調整課長 中山雅裕
(大学調整課 電話:045-671-4271、ファックス:045-664-9055)
(市民からの提案 横浜市金沢区 第17-300236-1号)


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2005年05月16日

改革のための改革が変質させる大学―横浜市立大学「改革」の現状と問題-

 下記に,大学評価学会誌『現代社会と大学評価』創刊号(『「大学評価」を評価する』晃洋書房,2005年5月10日)に掲載された中西新太郎氏の論文「改革のための改革が変質させる大学―横浜市立大学「改革」の現状と問題―」を掲載します。横浜市立大学「改革」の経緯と現状,および問題点がクリアな形で理解できます。
 なお,同論文のHP掲載にあたり,著者の中西新太郎氏および大学評価学会編集委員会からご承諾を頂きました。お礼申し上げます。(ホームページ管理人)

■論文「改革のための改革が変質させる大学―横浜市立大学「改革」の現状と問題―」(208~216頁)より全文掲載(出所『「大学評価」を評価する』(大学評価学会誌『現代社会と大学評価』(創刊号)晃洋書房,2005年5月10日)
同論文(PDF版)

改革のための改革が変質させる大学
―横浜市立大学「改革」の現状と問題-

中西 新太郎

 横浜市立大学「改革」は、東京都立大学の再編と並び、巨視的にみて政治権力による大学改変の先導的モデルとなっている。石原都知事の強引な手法がきわだつ都立大の場合と比較し、横浜市大への行政介入の実態、介入メカニズムは外部から窺いにくく、「改革」モデルとしての性格もつかみにくいと思われる。そこで以下では、行政管理大学への道を歩む横浜市大「改革」の現状とその問題点について報告したい。

Ⅰ 強要された「改革」
 今回の横浜市大「改革」が2002年4月に誕生した中田宏横浜市長のイニシアティヴによることは、市長自身の言明はどうあれ、疑いえない。中田市長は、就任早々、港湾病院等と並んで大学を改革対象に挙げ、9月には、市長諮問機関「市立大学の今後のあり方懇談会」(座長・橋爪大三郎東京工業大学教授)を発足させ、改革圧力を外部から加えてゆく。翌年1月、「横浜市大の累積赤字1100億円、廃校も選択肢」という大見出しのついた橋爪座長試案の地元紙掲載(1) は、市の意に添った「改革」を受け入れさせる政治的脅迫として有効に機能した。「累積赤字」の大半は付属病院建設費を賄う市債であったが、新自由主義行政改革の財政手法であるバランスシート的手法(2)を大学部局に用い、これが大学の「赤字」と宣伝されたのである。
 こうして、独立行政法人への移行、学部統合、大学組織・教員人事制度の抜本改変を謳う「今後のあり方懇談会」答申(2003年2月)を学長に呑ませる(3)ことに成功した横浜市は、前田正子副市長を本部長とする「大学改革推進本部」を設置するとともに、大学側が「自ら」改革案を提出するよう期限付きで求めた。事務局、教員同数で組織された学内の改革案策定委員会(略称「プロジェクトR」)は、失笑を呼んだ「プラクティカルなリベラルアーツ」という理念像はもちろん、カリキュラム内容等にまで立ち入った「今後のあり方懇談会」答申の枠内で、市の意に添う改革案(「横浜市立大学の新たな大学像について」)を作成した。2005年度からの独立行政法人化、商学、理学、国際文化3学部の統合(学部名は「国際総合科学部」)、全教員の任期制移行、教授会からの教員人事権剥奪などを内容とした同案(以下、「新たな大学像」)は、2003年10月、評議会内の強い反対を押し切った学長により若干の修正を経た上で市に提出された。この過程で、商学部、国際文化学部の度重なる反対決議は一切無視された。
 「新たな大学像」を大学の自主的改革案とみなした上で、中田市長は、同年12月、独立行政法人発足時の理事長予定者を発表するとともに、大学改革推進本部に改革実行のためのプロジェクト部会を設置し、改革協力を条件に教員を組織し、行政主導の改革準備に入る。教授会はもちろん評議会もふくめ、現行大学組織はこの時点以降、改革準備から切り離され、新たに発足する大学組織と形式上無関係の状態におかれた。学則、規程はもちろん、学内での組織的手続きに一切拠ることのない改革準備が、教員人事もふくめ、現在にいたるまで進行している。その過程を振り返るなら、「自主的改革」という宣伝とは裏腹に、行政権力の介入が、脱法的とさえ言える仕方で行われてきたことはあきらかである。

Ⅱ 現状を変えることだけが至上命令とされた理念不在の改革検討
 このように強要された横浜市大「改革」の内容上の特質を押さえておこう。
 横浜市当局に大学の将来像、理念像にかんする明確な構想が存在しているとは言い難く、改革像は、この点で、財政負担の軽減や地域貢献策、実用教育への転換とリベラルアーツ教育の強化など、さまざまな要素が雑居する内容となった。「オンリーワン」たることを求める市長の意向に添うべく、ともかく現状を変更させることだけが至上命題とされ、コース名から科目名にいたるまで、「現行と同じでないこと」が追求され強要された。横浜市大の教育・研究にかんするリアルな実態分析(4)欠くそうした改革作業は、ほとんど思いつきに類する提案の混入を許し、また、「大学経営」の観点からしてもマイナスと思われる「改革」策を出現させている。たとえば、文系教職免許の廃止といった理解に苦しむ方針はその一例である。
 もちろん、大学受験界での横浜市大のパフォーマンスがこれまでほぼ良好な水準にあった(5)としても、公立大学として果たすべき役割を大学全体としてどうとらえ遂行するかは真摯に検討しなければならない課題であるし、学生教育等についての見通しをもった取り組みも不断に追求する必要がある(6) 。各研究分野の特性を踏まえながら、学部利害にとらえわれない大学理念・戦略を追求するのは当然のことである。
 しかし、上述したような理念なき改革作業の連続は、この課題追求を逆に不可能とした。「プラクティカルなリベラルアーツ」という理念像についても、この下で打ち出された種々の「改革」策についても、それなりに実効あるプランにするために不可欠な学内での検討・議論でさえ忌避されてきた。改革準備をになうプロジェクト部会は全体として密室裡に作業をすすめ、異論や別提案にたいして開かれた協議・討議を行わない。改革評価の前提となるプログラム立案の責任主体が明確にされず、なぜそのプログラムを採用するのかについて、異論等を踏まえた説明もされない。実際上準備作業にかかわる教員が存在するから、具体的検討場面での問題点の指摘は行われているが、それらが集積され大学理念を彫琢し豊富にする民主主義的な保障はまったく存在しない。たとえば、大学の地域貢献を重視すると言うなら、大学に蓄積されている諸資源の適切な評価、他方で、貢献内容についての長期的視野、発想力などが問われる。これらをあきらかにする検討機会のないまま貢献だけを強調することは、教員の意欲を喪失させる点でも、地域貢献の可能性を狭める。教育プログラムであれ、研究プログラムであれ事情は同様である(7)。「これまでとはちがう」ことだけが採用の理由(らしきもの)である「改革」理念・内容の推進は、この意味で大学を思想的に頽廃させる。

Ⅲ 企業型トップダウン組織への大学改変
 「改革」理念像の曖昧さと比して、大学組織改変の方向性はきわめて明瞭である。
 「新しい大学像」は教員が「大学あるいは組織の目標に沿って」「大学から求められた役割をきちんと果たしているか」を重視し、企業組織と同様の徹底したトップダウン型組織構造に大学組織を組み替えようとした。「新しい大学像」を承け横浜市が2004年2月に提出し市議会を通過した「公立大学法人横浜市立大学定款」は、独立行政法人化された大学のなかで最初に理事長と学長との分離を規定した定款となっている。さらに、教学側の最高審議機関である教育研究審議会よりも、経営審議会の審議事項がはるかに広く規定されており、教育研究関係規則や「大学、学部、課程その他の重要な組織の設置又は廃止」、「教育課程の編成に関する事項で法人の経営に関するもの」など、広範な権限を経営審議会が握れるようになっている。運営交付金を通じての統制のみならず、経営審議機関を通じて研究、教育の内容に行政的介入・管理の可能性が広く開かれた組織なのである。「新しい大学像」が評議会に提案された時点では、教員人事を統括する人事委員会が教育研究審議会から独立した組織とされており、これはさすがに反対に遭って「学長の下に置く」とされたものの、人事委員会構成員として事務局メンバーが加わる組織構成が想定されている。学部教授会から人事権を奪うのみならず、教学組織による人事にさえ徹底した制約を加えているのである。
 独立行政法人化にともなう組織変更の眼目を、大学事務局は、教育公務員特例法から外れることと説明し、学部教授会の権限、審議事項について、学校教育法の規定も無視して制限を加え、いわば「職員会議」と同列に扱おうとしている(8)。教員人事はもちろん、教育課程編成や科目担当まで、教員間の検討や合意を経ずに決定する組織へと大学を変貌させようとしている。そしてこれは、独立行政法人への移行過程ですでに出現している事態にほかならない。
 異様とさえ映るこうした組織改変がすすむ背景には、「教員主導の大学運営の下で、教授会自治が障害となり、かつ下働きに甘んじさせられている」という職員層の反感、憤懣がおそらくははたらいていよう。学問の自由を組織的に担保する大学自治のありようを協力して追求する教員側の努力が不十分であったことは否めず、「楽な仕事に胡座をかいている教員」という像が陰に陽に流布されるなかで、「改革」はつまるところ「教員の思い通りにさせないシステム」づくりに収斂させられてゆく。原則全員任期制への移行、企業の目標管理・成果主義人事制度(9)を持ちこんでの、「努力すれば報われる」教員人事制度(10)の導入は、そうした教員統制の体系化を志向するものであり、教員評価を処遇や研究費配分と連動させることで個々の教員を大学組織(実質は、「上司」たるコース長、学部長、学長さらには経営管理組織)の意向に従うよう強く方向づけている(11)。大学教員任期法ですら想定していない現職全教員の任期制への移行案は、2003年秋に改定された労基法14条を適用するという、これまで大学では例のないやり方(12)ですすめられようとしており、実施には個々の教員の同意を要するとはいえ、この方式が強行されるならば、今後各大学で教員の有期雇用化が恣意的に画策されるさいの悪しきモデルとなりかねない。
 ここで、教員評価とのかかわりで大学評価の課題について付言しておこう。横浜市大、都立大のみならず、処遇と連動させた教員評価が各大学で広がる可能性は今後十分にある。公正な教員評価が各大学において行われているか否か監視し検証することは第3者評価機関による大学評価の重要な一環となろう。個別大学の枠内に封じこめられずそうすべきでもない教員の営為を知的ユニバースのなかに正当に位置づけるためには、個別大学の利害、恣意から自由な評価が必要のはずだからである。

Ⅳ 広がる行政管理の危険と大学における「知」の変質
 中間的ではあるが、横浜市大「改革」が大学のあり方に及ぼす変化を予測してみよう。
 あきらかに予測できる第1のことは、大学組織のトップダウン組織への改変によって恣意的大学運営の余地が大きく広がることである。独立行政法人移行、学部統合に向け、すでに述べた意味での脱法的準備作業が行われている現時点では、この傾向はとりわけ著しい。学則、規程類の整備や説明責任の履行等により恣意的運営の危険は防げるという考え方もあろうが、教員人事手続きにみられたように、現行方式よりもはるかに不透明で公開性を欠くやり方が可能なのである。そしてそうした恣意的運営の余地は、同時に、その制度特性を利用した行政管理の可能性を出現させることにもなろう。独立行政法人化は公立大学にたいする自治体首長・行政の介入、管理を狭めるわけではない。運営交付金を通じてのコントロール、法人設置者である首長の下に置かれた評価委員会(13)によるコントロールとともに、行政組織ルートを通じた経営コントロールの可能性もまた広がるからであり、大学経営従事者はつねにそうした制約の下におかれる。
 行政管理のこのように幅広い可能性をつくりだすことが、改革作業に加わった個々の人間の意図はどうあれ、「改革」の一核心であることは疑いない。そして広げられた管理可能性は、改変された制度自体の力学によって、大学の知的営為領域にも及ぶことになる。教育課程編成等の「集権」化(14)、競争的研究費調達競争を通じての研究方向の規制、知的ユニバースから切り離され大学間競争の枠内に閉じこめられた教員評価と教員処遇などは、個々の教員及び大学が社会的責任としてになうべき「学問の自由」の確保にとって決して外面的なことがらではない。行政管理の下で「必要な研究」と「不要な研究」とを選別し、大学における知を、たとえあからさまに直接でなくとも、権力的に再編することは、ことがらの深い意味で「学問の自由」を危機にさらすものと言わねばならない。公立の中規模大学がカバーしうる研究・教育領域にはもちろん限界があり、地域社会との関係で果たすべき教育・研究上の役割も当然ながら考慮しなければならない。問題は、そうした諸課題の検討と具体化とが、その課題を現場でになう教員の議論や意思を排除し、かつ、大学における知の再組織にふさわしい手法・手続きを欠落させたかたちですすめられてきたところにある。端的に言うなら、たとえば「国際関係学科」が「国際文化創造コース」へと編入させられるような変化が、ただ便法の上でのこと以上には扱われない事態にこそ、知的変質の危機が潜んでいるのである。笑話にしか受けとれぬエピソードが積み重ねられる果てに現れるのは、およそ知的活力の源泉を見失った大学のすがたではないだろうか。

Ⅴ 公正な評価をめぐる対抗
 病院建設の「赤字」宣伝から始まった横浜市大「改革」は、大規模な組織改変を可能にする独立行政法人への移行と、医学部ならぬ3学部の統合という「果実」をもたらした。これまで述べた「改革」のありように嫌気がさし横浜市大に見切りをつけた教員の転出は後を絶たない。「改革」理由の一つに教員リストラが囁かれたが、相次ぐ転出教員の出現は労せずしてリストラを成功させたことになる。大学に失望しての転出は経営上の観点から望ましい事態とは思えないが、それは必ずしもこれまでみてきた「改革」を抑制させるものとはなっていない(15)。大学が既存の特権に安住して自浄力を持てないとは、よく喧伝される批判であるが、一つの大学を囲いこんで管理することが可能となった自治体行政権力は、そういう大学以上に自らの管理体制がもたらしている弊害を自浄する可能性に乏しい。行政権力の意向・方針にもっとも鋭敏に反応するよう秩序づけられた大学組織が負う、それは必然的なすがたと言えよう。
 もちろん、大学にとっては、受験生や受験産業による、いわばもっとも市場評価に近い評価がつきまとうから、都立大学や横浜市大の「改革」もこの評価を免れることはできない。大学間競争を勝ち抜くことが改革動機の一つである以上、受験動向という市場評価を無視できないと思われるが、しかし、そこでの「失敗」原因は、改革プランの内容よりもプランを売りこむ努力の欠如に転嫁されるにちがいない。「改革」の検証を有効かつ公正に行うためには、「市場評価」に任せるだけでは足りないのである。
 何よりも必要なのは、「改革」後の大学現場にさらされる教員が下から自律的な評価・検証を行うことである。競争的教員評価システムによる分断的統制に甘んじているかぎり、この課題は達成できない。教育・研究の専門性に依拠する自律的で共同的な評価・検証の場を広げてゆくことが求められよう。
 また、公共的で公正な大学評価のあり方、機会を広げることも重要であろう。横浜市大「改革」や都立大「改革」を大学評価の次元でどのようにとらえ、高等教育機関及び学問研究の全社会的発展の見地からどれだけ踏みこんで評価できるかは、大学評価機関の役割を占う意味でも一つの試金石となるはずである。


(注)
1『神奈川新聞』2003年1月17日。
2 バランスシート方式については、安達智則『バランスシートと自治体予算改革』自治体研究社、2002年を参照。
3 「懇談会」答申への談話を求められた学長は、答申に添った改革を進めると表明した。
4 もちろん、大学が抱える問題をあきらかにするという意味でも、である。英語担当教員による英語教育の実態分析と提案が無視された例は、現状に目をつぶる「改革」の性格をよく示している。
5 受験生向けに開催される「ワンデーオープンスクール」は毎年参加者が増加し続け、受験動向にも大きな変動はみられていなかった。
6 横浜市大におけるFDの具体例として、国際文化学部の教育実践を集めた、上杉忍・佐々木能章編『教室からの大学改革』文葉社、2004年を参照。
7 「研究は、外部資金を獲得して行う」とし、大学経費による支出は「競争的資金」のみ、という「新しい大学像」の記述にひそむ粗暴で浅薄な研究観をみよ。
8 もちろん、職員会議は教育の自律性を確保する教員の集団的で実効的意思形成の場として本来位置づけられるべきであり、現状をよしとするわけではない。
9 成果主義人事制度をめぐる諸論点については、土田道夫・山川隆一『成果主義人事制度と労働法』日本労働研究機構、2003年を参照。
10 「教育・研究評価検討プロジェクト(中間案)」(2004年6月)なお、最終案はいまだ(2004年11月現在)公表されていない。
11 「教員全体が、組織の目標や自らに求められている役割を認識し、自らの能力を高めより一掃発揮できるようにする」(「中間案」)という経営書ばりの文言には、企業組織型管理への組織改変が如実に示されている。
12 都立大の場合、「教員任期法」の適用が想定されている。「教員任期法」を労基法14条の特別法とみるなら、労基法14条に依拠しての任期制導入自体が法理に反すると言わねばならない。
13 地方独立行政法人法で規定された評価委員会は年度ごとに大学の評価を行うが、その評価は設立団体の長につたえられるのであり、議会が直接報告を受けるのではない。
14 教育課程・教育組織の「集権」化が生まれる背景には、個々の内容について開かれた議論を行う自信がない、「改革」スケジュールに追われ合意形成は障害にしか映らない、行政管理の実態を隠す余地となる、などいくつかの要因が推測される。
15 職員とくらべ、他大学への転出機会をもつ大学教員の特殊性は、「改革が嫌なら他大学へ移れるのだから、教員関係のしくみはいくらでもいじれる」という反応を生みやすい。また、新規人事により補充はいくらでも可能という受けとめ方もある。

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2005年05月12日

横浜市大新聞、数理科学の一楽教授インタビュー

横浜市大新聞 ニュースブログ
 ∟●数理科学の一楽教授インタビュー(2005年05月11日)

 本紙は9日、数理科学科(新大学から廃止)の一楽重雄教授にインタビューを行った。一楽教授はこれまで、大学改革に疑問の声を上げてきた。また先日、入学式で市長が「大学の中身に口を出したことは一度もない」と発言したことに対して、事実と異なるとして抗議する声明を発表している。改革をめぐる動きや、学科の廃止された数学分野の今後について聞いた。

 ーーー数理科学科は廃止されたが、復活する見込みは。
「改革推進本部と話し合いをしている。情報数理コースという形での復活は、将来考えられないことはない。文理共通の情報科目として実現するのもいいのではないか。しかし今は出席の取り方一つにしても混乱しているほどで、新大学を動かすだけで手一杯のようだ」

 ーーー数理科学科の廃止をどう思うか。
「(本学では)なくす理由のないのになくされている。改革の際、専門家養成の必要がないことや他大に同様の学科があることを理由にされたが、実際にはどちらもおかしい。今までは専門家を養成してきたのではなく民間企業や教員に就職していたし、近隣大学には数学の専門コースはほとんどない。入試倍率も高かったので、廃止の判断は非合理的だ」

 ーーー改革を振り返ってどう思うか。
「あり方懇談会が設置された時は、第三者として本学を見てくれると思っていたが、実際は違った。答申内容は市側の意向を示すもので、民主主義に反した手法だった。大学の自治は法体系に存在しているが、条文にないために無視されてしまった。教員も難しい判断を迫られたが、改革に協力した人の多くは複雑な気持ちだと思う」

 ーーー全国的に数学科がおかれている状況は。
「他大学でも『すぐに成果が見えるような研究を』という向きに警戒している。縮小する方向のところはあっても、本学ほどひどい状況のところはない」

 ーーー新学長への期待は。
「学生と会うのと同じように、教員とも話して欲しい。率直な方だという印象を受けた」

 ーーー改革自体は終わったが、今後は。
「首都大は実質的に教授会が人事権を取り戻している。その方向で、教授会の役割を強めたい。民主主義のためにも、声を上げていく」


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2005年05月11日

横浜市立大学吉岡直人教授、中田宏市長宛「公開質問状」を提出

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●吉岡直人(横浜市立大学):中田市長の“大ウソ”発言「市大の中味に口を出したことは一度たりともありません」に対する「公開質問状」 (2005.5.9)

公開質問状

横浜市長 中田 宏 様

 横浜市立大学に勤務する吉岡直人と申します。

 市長が本年度の本学入学式で述べられた「市長として、市大の中味に口を出したことは一度たりともありません。」(市大ホームページより引用、以下同様)という発言に疑問が沸いてきましたので質問させていただきます。

 この発言に対しては、すでに本学の旧数理科学科の2教授より、数理科学科の存続について、市長が口を出したのではないか、という疑問・抗議が寄せられていることは記憶に新しいところです。2教授の言っておられることは、まことにその通りであると私も感じておりますが、ふと立ち止まって考えてみますと、それ以前の問題として以下のことがあるのではないか、と疑問が沸いてきました。

 すなわち平成14年に、市長は「横浜市立大学あり方懇談会」なるものを立ち上げられました。あれは、何のために作られたのでしょうか?「口を出す」ための材料を取り揃えるためだったのではないかと、つい、勘ぐってしまうのです。そうではなく、意見を聞き置くためだけであった、と市長がおっしゃるのであれば、ここでは一先ずそうしておきましょう。

 ではその後に、市立大学内部の組織としてではなく、市の組織として、前田副市長を本部長として設置された「横浜市大学改革推進本部」は何のためだったのでしょうか。市長の号令でそのような組織を作ること自体「口を出す」ことに他ならないように私には思えるのですが間違っているでしょうか。
 以下、具体的にその理由を述べます。

 平成15年12月1日に、貴職は「市立大学改革案に対する設置者の基本的な考え方」と題する文書を公表されました。これには「『横浜市立大学の新たな大学像について』を基本的に尊重して、改革を推進していく」と書かれており、それぞれの項目ごとに「(設置者の考え方)」が示されています。
 たとえば、「第3章 教育研究体制の改革」の項目では、「プラクティカルなリベラルアーツ教育(実践的な教養教育)を総合的に行うことを目的として3学部を統合し国際総合科学部(仮称)とすることについては、高く評価する。」とした上で、「国際総合科学部(仮称)を構成するコースについては、編成数や内容を大学の案を参考にしながら設置者として更に検討する。」と、「中身に口を出す」ことを明言しておられるのではありませんか。また「口出し」は細かい点にまで及び、「教職課程について、大学の案では『原則として廃止する。』としているが、取得できる教員免許の教科を精選し、存続させる。」と、その内容を覆す決定もされています。これらはほんの一例にすぎず、このほかにも類似の表現が随所に見られます。

 さらに平成15年12月17日には、貴職が作られた上記「横浜市大学改革推進本部」は、「コース案等検討プロジェクト部会設置要綱(要旨)」なる文書を全教員に配布し、その中で「12月1日に公表した『市立大学改革案に対する設置者の基本的な考え方』に基づき、設置者として、コースの設定等の検討を行うため、コース案等検討プロジェクト部会を設置します。」(下線筆者)と、ここでもはっきりと「中身に口を出す」ことを公言されています。また、「2 検討内容及び検討体制」の項では、「設置者としての案を作成します。」、「大学改革推進本部等により横浜市としての意思決定を行います。」とも明言しておられます。

 「市大のことは市大でやる。(中略)大学自身が考えるべきである」(入学式挨拶より)という市長の言葉とは裏腹に、貴職がしてこられたことは、細部に至るまで「中身に口を出す」ということであったのではないでしょうか。
 コース案等検討プロジェクト部会のメンバーの何人かが本学教員であったことは言い訳にはなりません。彼らは、貴職が作られた「横浜市大学改革推進本部」の「プロジェクト部会」のメンバーに過ぎないのですから。

 これらのことから、貴職の本学入学式における「市長として、市大の中味に口を出したことは一度たりともありません。」という発言は、学生・市民を欺くものであるとの疑念が胸を去りません。このことについて、5月末日までに文書でお答えいただきたく、お願い申しあげます。
 早々

平成17年5月9日
横浜市立大学・研究院・教授
吉岡 直人

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2005年05月10日

横浜市立大学教員組合、各事業場 就業規則意見書を提出

■横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー(2005.5.9)
大学改革日誌-最新日誌(5月9日(5))
学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー(2005.5.9)

各事業場、就業規則意見書を提出

 すでにお伝えしたとおり、当組合は4月27日に、金沢八景キャンパス事業場の過半数労働組合として、就業規則に関する意見書を提出しています。
 他の事業場においても、同日から5月2日にかけて、それぞれの過半数代表者・過半数労働組合が、意見書を提出しました。
 福浦キャンパス・鶴見キャンパス(大学院総合理学研究科生体超分子システム科学専攻)・木原生物学研究所(舞岡)の3事業場の過半数代表者は、任期制・年俸制関
 連規定の問題を指摘し、任期付教員と、非任期付教員とのあいだに労働条件において格差を設けることに反対するなど、当組合と共通の立場に立っています。さらに、そ
 それぞれの事業場で提起された、さまざまな重要な意見を述べ、また、今後の労使間協議のありかたを提起しています。
 また、2附属病院における過半数労働組合である医従(横浜市立大学病院従業員労働組合)は、引き続き協議を行なうことを求めるほか、教員に関わる諸規定ついては「教員組合及び関係事業所代表者との協議結果に委ねる」とし、上記の3事業場と当組合の意見書を支持するかたちになっています。
 このように、各事業場のあいだで連携して取り組みが行なえたことは、各過半数代表者・医従とそれぞれの事業場における関係各位の、なみなみならぬ尽力のたまものです。
 今後、労使協定の締結をめぐる協議が残されています(事業場によっては、一部の労使協定をすでに締結していますが、それらは当組合も、締結して問題がないと考えているものです)。また、就業規則は、当局が労働基準監督署に提出したことにより、成立の手続を終えています(当組合HPに掲載してあります)。今後、就業規則の適用をめぐる問題が出てくるでしょうし、就業規則の修正のための協議も求めていかなくてはなりません。
 当組合は、ひきつづき、各事業場過半数代表者・医従と連携しつつ、今後の交渉に取り組みます。

横浜市立大学教員組合「各事業場の過半数代表者・過半数労働組合の就業規則意見書」より

各事業場の過半数代表者・過半数労働組合の就業規則意見書

使用者が就業規則を作成するにあたっては、各事業場の労働者の代表者から意見を聴取し、その代表者の意見書を就業規則に添付して労働基準監督署に提出することが義務づけられています。各事業場の労働者代表者(過半数代表者または過半数労働組合)が提出した意見書を掲載します。

横浜市立大学教員働組合(金沢八景キャンパス過半数労働組合) (2005年4月27日)
福浦キャンパス過半数代表者(2005年4月28日)
鶴見キャンパス過半数代表者(2005年4月27日)
舞岡キャンパス過半数代表者 (2005年5月2日)
横浜市立大学病院従業員労働組合(附属病院・附属市民操業医療センター病院過半数労働組合) (2005年4月27日)

PDF版はこちら


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2005年05月09日

横浜市立大学教員組合、「就業規則に関する意見書」および就業諸規則

横浜市立大学教員組合
 ∟●就業規則に関する意見書(および就業規則)(2005.05.07更新)

就業規則に関する意見書(および就業規則)

Ⅰ.意見書
 金沢八景キャンパス過半数労働組合(当組合)「就業規則に関する意見書」(HTML版)

Ⅱ.就業規則
就業規則本則 (PDF版)
任期規定 (PDF版)
賃金規程 (PDF版)
年俸制規程 (PDF版)
退職手当規定 (PDF版)
勤務時間・休日及び休暇等に関する規程 (PDF版)
1か月変形労働時間制勤務規程 (PDF版)
裁量労働勤務規程 (PDF版)
育児・介護休業等に関する規程 (PDF版)
兼業規程 (PDF版)
表彰規程 (PDF版)
安全衛生管理規程 (PDF版)
旅費規程 (PDF版)
服務規程 (PDF版)
職務発明規程 (PDF版)
非常勤職員就業規則 (PDF版)


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2005年04月30日

横浜市立大学教員組合、理事長宛「就業規則案に関する意見書」を提出

■横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー (2005.4.28)
学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー「就業規則に関する意見書を提出」(2005.4.28)を経由

就業規則案に関する意見書

2005年4月27日

公立大学法人横浜市立大学
 理事長 宝 田 良 一 殿

 2005年3月31日付をもって意見を求められた就業規則の案について、公立大学法人横浜市立大学金沢八景キャンパス事業場における過半数組合としての横浜市立大学教員組合を代表して、別紙のとおり意見を提出します。

横浜市立大学教員組合
執行委員長 上 杉 忍[組合印]

Ⅰ 就業規則にたいする全体的意見

(1)労使対等の原則に立った就業規則となっていない
 就業規則作成が使用者権限であるとしても、その作成は労働条件の決定が労使対等の立場で行われるべきとする労働基準法の精神(第2条)にそって行われるべきものである。提示された就業規則案は使用者の裁量範囲を広く認める一方、逆に、労働者側の遵守すべき事項・範囲については過度に広く規定している。労使が対等の立場で決定する労働条件を反映し、双方が遵守すべき就業規則のあり方にてらし、当就業規則案は著しくバランスを欠いている。

(2)大学という組織や大学教員業務の特性にたいする考慮が払われておらず、不適切な条項、規定が数多く存在する
 公立大学の地方独立行政法人への移行に当たっては大学の自律性に配慮すべきことが附帯決議として謳われているにもかかわらず、当就業規則案は、大学組織が保持すべき自律性や教員業務の特性に応じた就業条件への配慮が欠けている。
 学長、理事長分離型法人の下で教学組織の自律的決定をふまえてなされるべき事項(たとえば配置転換等)について理事長の命令権限のみを規定している。
 就業規則本則が教育職員(教員)と一般職員との区別のない規定となっており、教員の勤務実態にそぐわない規定が存在する。

(3)本来提示されるべき労働条件が提示されておらず、恣意的・差別的運用の危険性がある
 当就業規則案は教員にたいする、任期制、年俸制、評価制度の導入など、重大な労働条件の変更を規定しているにもかかわらず、その制度内容について労働者側に必要不可欠な情報が提示されておらず、規定として整備されていない。たとえば、任期制における再任条件、再任審査の公正性を担保する組織・手続要件、昇格制度、年俸制における業績評価基準、年俸水準、職位と処遇の関係、教員評価の処遇への反映方式と手続など、労働条件の根幹にかかわる重要な事項が未確定のままである。このように曖昧な規定の下では就業規則が恣意的・差別的に運用される恐れが多大に存在する。
 とりわけ座視できないのは、期間の定めのない雇用形態の下にある教員について、任期付き教員との労働条件上の差異は設けないとしつつ、その労働条件について何ら具体的規定を設けておらず、また、実質的差別扱いを示唆していることである。経営側は、公立大学法人への移行に当たって身分を承継される教員全員にたいし任期付教員への移行を促しており、昇格制度や管理職任用、労働時間制、研究条件などの差別的運用を示唆することで任期付き雇用への雇用形態変更を誘導・強要しようとしている。これは、当就業規則案が雇用形態の差異を理由として不公正かつ差別的に運用される危険性を具体的に示すものと言わざるをえない。
 そもそも、経営側が任期付き雇用に教員を移行させる根拠としている労基法14条は、「有期労働契約が労使双方から良好な雇用形態の一つとして活用されるようにすることを目的としている」(労働省労働基準局長通達第1022001号)ものであり、経営側が一方的方針にもとづいて有期労働契約の選択を迫るべきものではなく、まして、有期労働契約に同意しない承継教員にたいし差別的取扱をすることは均等待遇の原則にも悖るものである。先の労基法14条改正にさいしては、使用者側がこの改正を悪用して常用雇用の有期雇用への代替化を無限定に拡大することのないよう戒め、見直しを規定しているが、任期付き教員への移行を促す当法人経営側の姿勢は労基法の趣旨を著しく逸脱するものである。
 また、就業規則として提示されるべき非常勤講師職員、嘱託教員にかかわる規定が提示されていない。非常勤職員一般とは異なる勤務特性をもつものであり、それぞれ当該教員の要求、意見を汲んだ規定を提示すべきである。

(4)就業規則案は任期制、年俸制、勤務時間など、根幹をなす労働条件について不利益変更にあたる規定を行っている。不利益変更が合理的かつ必要不可欠である根拠は示されておらず、また補償措置についても明確に説明されていない
 雇用期間の定めない教員を任期付き教員に移行させることは、一般的には、降格にあたる不利益変更とみなされる。このことは、テニュア(終身在職権)資格の付与が昇格とみなされていることからも、明らかである。また、雇用期間の定めない教員の解雇要件に比して有期契約労働者の雇止めが容易であることも言うをまたない。就業規則案が、期間の定めない雇用形態にある承継教員にたいし任期付き教員への移行を促すべく任期制を前提とした規程整備を行っていることは、したがって、明白な不利益変更を教員に強要するものと判断されても当然である。
 年俸制についても、従来固定的手当として給付されてきた扶養手当、住居手当、調整手当等を廃止し職務・業績給原資に組み入れ、教員評価に連動させた変動給とすることは不利益変更にあたる。若干の移行措置を設けると説明しているにせよ、従来の賃金規程が引き継がれる一般職員と比しても、不利益変更となっている。
 これら不利益変更にあたる規定について同意することはできず、また変更を一方的に押しつけることは許されない。

(5)協議が不十分で拙速に作成された就業規則である
 就業規則本則及び諸規程類が提示されたのは本年2月15日であり、その後教員説明会等での変更を経て過半数代表者に提示されたのは3月31日である。この間、4月になるまで教員組合との実質協議は行われておらず、重大な労働条件変更について協議を経ぬままに推移してきた。労働条件の決定が労使対等の原則に立った協議を経て決せられるべきものとすれば、今回の就業規則提示及びその後の協議過程はきわめて不十分なものと言わざるをえない。この経緯に鑑み、就業規則の見直し、労働条件に関する未決事項について法人経営側は誠実な交渉義務を果たすべきである。


Ⅱ 個別条項にたいする意見

(1)就業規則本則

1 就業規則本則第9条(試用期間)
 教員について試用期間を6ヶ月とすることは、教員採用審査、着任後の勤務実態からみて不適切である。教員にあっては精神規定と説明しているが、より短縮した期間を教員については明文規定すべきである。

2 同10条(労働契約の締結)
 任期付き教員への移行に同意しない承継教員にたいしても「期間の定めのない労働契約を締結する」としているが、承継教員は期間の定めのない雇用を継続するものであって、新たな労働契約を締結する必要はないはずである。

3 同第14条(昇任)
 教員の昇任について適切な規定を別途設けるべきである。
 公立大学横浜市立大学職員任期規程は本規定に基づく昇任を行うとしているが、雇用形態の如何を問わず教員の昇任について本則に規定しておくべきである。

4 同15条(降任)
 任期制規程における降任の事由はこの条に規定された5項目を適用することとしているが、当本則は一般職員、教員を問わず降任にあたる事由を定めたものであり、教員における降任事由を規定する事項としては不適切である。教員の降任事由については別途定める旨規定すべきである。

5 第16条(異動)
 教員の配置換等については教員業務の専門性に鑑み、教育研究組織の自律的検討をふまえた取扱が不可欠であり、理事長命令の前提としてこの点が規定されるべきである。

6 同第24条(退職の手続)
 退職申し出を教員について「退職する日の6ヶ月前」と規定していることは、大学間での教員の移動・転出の現実にてらし無理な場合が大半である。法人経営側は努力規定としているが、その旨確認すべきである。

7 同第33条(職務専念義務)第3項
「法人がなすべき責を有する業務にのみ従事しなければならない。」という規定は、誰にも到底文字通りには実行できない事柄である。はじめから遵守できないことがわかっている規定を定めるのは法的拘束力をもつものとして不適切である。職務専念義務に関しては一般的表現にとどめるべきである。

8 第34条(服務心得)
第1項に「職員は、この規則、関係規程又は関係法令を遵守し、上司等の指揮命令に従って、その職務を遂行しなければならない。」とある。しかし、教員の活動のほとんどは、上司等の指揮命令に従って行なわれるものではない。教員については少なくとも別規定とし、「上司等の指揮命令に従って」の部分を削除すべき、あるいは他の表現に改めるべきである。

9 第35条(禁止行為)
 第4号「その他法人の秩序及び規律を乱すこと」を削除すべきである。職員の権利を不当に侵害するおそれがある。

10 同第39条3項(終業時刻)
 教員の終業時刻について18時15分として拘束時間を延長しているのは不利益変更であり、かつ合理的理由が存在しない。不必要に長い休憩時間を設け拘束時間を延長することは休憩時間の趣旨にも反する。
 法人当局は運用細則により対処するとしているが、教員の終業時刻も当就業規則本則に17時15分と規定しておくべきである。

11 同第39条4項(裁量労働)
 「任期付教員については、労基法38条の3に規定する手続を経て専門業務型裁量労働制を適用することができる」としているが、専門業務型裁量労働を適用しうるかどうかは業務の性格・様態にてらし法制上その要件が限定されている。要件に合致した労働者について労使双方の合意にもとづき裁量労働適用を決定するものであり、任期付教員に適用できるとしている本規定は根拠がなく削除すべきである。

12 同第47条(研修)
 教員の長期にわたる海外研修などの機会がどのように保障されるのか不明である。研修規程によって明記すべきである。

13 同49条(懲戒の事由)
 第5号「法人の名誉又は信用を著しく傷つけた場合」において、「法人」を「法人あるいは大学」とし、「法人あるいは大学の名誉又は信用を著しく傷つける行為に及んだ場合」とすべきである。大学のありかた、方針、制度についての自由な議論を抑圧するおそれがある。第6号「素行不良で法人の秩序又は風紀を乱した場合」を削除すべきである。「素行不良」、「法人の秩序」、「風紀」はいずれも曖昧な概念であり、恣意的な解釈によって不当に職員の権利を制限するおそれがある。第8号「私生活上の非違行為や、法人に対する誹謗中傷等によって法人の名誉を傷つけ業務に影響を及ぼすような行為があった場合」を削除すべきである。法人に関する自由な言論を圧殺する規定である。第9号「又は前各号に準ずる違反があった場合」を削除、もしくは限定的な表現に改めるべきである。このような曖昧な規定があると、恣意的な解釈によっていくらでも職員の権利を制限することができることになる。

(2)任期規程

1 再任基準
公立大学横浜市立大学職員任期規程(以下任期規程)に再任基準を明示すべきである。
 任期付教員が再任される場合の基準について任期規程は明示していない。有期労働契約において更新を認める場合、その判断基準が明示されるべきものとされており、法人当局も「普通にやっていれば再任される」という考え方を示している。この考え方を具体化した判断基準を任期規程に明記すべきである。

2 昇任規定
任期規程第5条における昇任規定は就業規則第14条の一般的昇任規定を援用しているが、就業規則第14条の昇任規定は抽象的一般的に昇任のあることを規定したものであり、任期付教員の昇任要件・基準については別途規定すべきである。

3 降任
同第5条における降任について「就業規則第15条に基づく」としているのは不適切であり、本規程において降任の要件・基準を明示すべきである。
 就業規則第15条の降任規定は、再任審査に基づく降任よりも広い降任要件を規定しており、任期制規程では再任審査によって降任と判断される場合の基準、要件を規定しておくべきである。

4 雇止と判断する基準・要件と降任と判断する基準・要件とのちがいが示されていない
同規程に基づく労働契約の更新・締結には、昇任、再任、降任の場合があると解されるが、雇止と判断する基準・要件と降任と判断する基準・要件とのちがいが示されていない。この点を明示すべきである。

5 同第6条(任期付教員の再任手続き)
 再任審査について審査及び手続の客観性、公正性、透明性を義務づける規定を設けるべきである。
 再任審査は任期付教員の労働条件に重要な変更を及ぼす手続きであり、審査が恣意的に行われることのないよう公正原則を明記するのは当然のことである。本規程がこの点にまったく触れていないことはきわめて遺憾である。

6 教員人事委員会の構成
 同条において規定されている教員人事委員会について、同委員会を教員の業績等について客観的かつ適正に審査できる構成とする旨規定すべきである。

7 同第6条及び同第7条(任期付教員の再任審査)について
 同第6条及び同第7条(任期付教員の再任審査)について、それぞれ審査手続き及び審査事項を、「学長が特に認めた場合」その「一部又は全部を省略することができる」としているが、これは再任審査の極度に恣意的な運用を可能とするものであり、削除すべきである。
 法人当局は、この規定について、博士号を持たない教員の任期上限3年を2年延長する場合に備えた簡便措置であると説明しているが、これらの規定は実質的審査に基づかない再任審査を一般的に許容することとなり、再任審査の公正さを損なうものとなっている。

8 教育研究組織の議を経る旨規定すべきである
 同第10条(その他)において、「この規程の実施に関し必要な事項は、経営審議会の議を経て理事長が定める」としているが、教員業績の審査にあたっては、その性質上、教育研究組織が実施の任にあたるものであり、教育研究組織の議を経ることが必要である。その旨規定すべきである。

9 助手及び準教授の再任回数に制限を設けるべきはない
 同附則別表において助手及び準教授の再任回数を限定していることは合理的根拠がなく、教授と同じく再任回数に制限を設けるべきではない。

(3)年俸制規程

1 年俸制については、不利益変更が生じぬよう制度設計と規定とを行うべきである公立大学法人横浜市立大学職員年俸制規程(以下年俸制規程)は、従来制度に比して不利益変更とならない年俸水準のレンジを明示すべきである。
 年俸制の導入は、職位、経験年数、職務に応じて給与水準が定められ、昇給が行われてきた従来の給与制度からの大幅な変更であり、制度の変更提案にあたっては、不利益変更が生じぬよう制度設計と規定とを行うべきである。

2 従来の扶養手当、住宅手当、調整手当等を廃止して「職務給・業績給」原資に組み入れるとしているのは、業績評価に基づいて支給水準を決定する「職務給・業績給」の性格にてらし重大な不利益変更である
 同規程第3条(年俸の構成)について、法人当局が従来の扶養手当、住宅手当、調整手当等を廃止して「職務給・業績給」原資に組み入れるとしているのは、業績評価に基づいて支給水準を決定する「職務給・業績給」の性格にてらし重大な不利益変更である。不利益変更とならない措置について規定すべきである。

3 年俸額の変動幅の限度を規定しておくべきである
 同第3条について、評価結果に応じた変動幅の限度を規定しておくべきである。なお、そのさい減額幅について労働者の生活を不安定にすることのないよう規定しておくべきである。

4 管理職手当について、支給すべき職、区分及び月額について規程において定めておくべきである
 同条6項は、管理職手当について、その支給すべき職、区分及び月額について理事長が別に定めるとしているが、規程において定めておくべきである。

5 同第4条(年俸の決定)では、公正かつ透明性のある評価を行う旨明記し、恣意的運用の余地ない記述とすべきである
 同第4条(年俸の決定)について、「年俸額は、教員評価制度による評価結果を総合的に勘案して決定する」としているが、公正かつ透明性のある評価を行う旨明記すべきである。
 また、「総合的に勘案して」とあるのは不明瞭であり、恣意的運用の余地ない記述とすべきである。

6 教員評価制度がどのように年俸決定に反映されるか規定がない同条において、教員評価制度がどのように年俸決定に反映されるか規定がなく、その制度内容次第で大きな不利益が生じる恐れがある。労働者の給与水準を決定する重要な規定が欠落しており、労働条件明示の原則からみて問題である。

7 雇用の定めのない教員について、降任、昇任時の年俸決定について規定すべきである同条2項、3項は任期付教員のみについて規定しており、雇用の定めのない教員について、降任、昇任時の年俸決定について規定すべきである。

8 事業場外の勤務にかんする条項を設けるべきである
 公立大学法人横浜市立大学職員の勤務時間・休日及び休暇等に関する規程に事業場外の勤務にかんする条項を設けるべきである。
 法人当局は当初案として示された事業場外勤務にかんする条項(「職員が出張その他の勤務場所を離れて勤務する場合で勤務時間を算定し難い場合は、上司が特に命じた場合を除き、就業規則第41条第2項に定める時間を勤務したものとみなす。」)を説明なく削除しているが、この条項を復活すべきである。大学教員の勤務については、その特性から国立大学法人においても同様の条項をおくのが一般的であり、削除する理由はない。

(4)兼業規程

 理事長の許可が必要な兼業についての規定を限定したものとするべきである公立大学法人横浜市立大学職員兼業規程第3条(兼業の種類)及び同12条(営利企業以外の団体の兼業)は、職員が勤務時間外に従事するあらゆる活動について理事長の許可が必要としているが、これは憲法上認められた市民活動の自由及び学問の自由に制限を加える条項であり、より限定した規定とすべきである。

Ⅲ 就業規則の見直し

 以上のように提示された就業規則は多数の不備、不整合をふくんでおり早急に見直しが必要である。未整備事項をはじめ就業規則の見直しに向けた組合との誠実な協議・交渉を行うべきことを強く求めるものである。

 以上。


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2005年04月28日

横浜市立大学、3月23日付教員組合要求に対する当局回答要旨

横浜市立大学教員組合週報、組合ウィークリー (2005.4.27)

以下,ごく一部のみ抜粋。全文は上記URLを参照して下さい。

11 新任人事における任期制誘導の違法性
○「期間の定めのない雇用」教員の転出・退職に当たり、後任人事を労基法14条にもとづく有期雇用契約に切り換えることは、同条改正の趣旨にあきらかに反するものである。(「今回の改正を契機として、企業において、期間の定めのない契約の労働者の退職に伴う採用や新規学卒者の採用について、期間の定めのない契約の労働者を採用することとしていた方針を有期契約労働者のみを採用する方針に変更するなど有期労働契約を期間の定めのない労働契約の代替として利用することは、今回の改正の趣旨に反するものである」労働基準局長通達「労働基準法の一部を改正する法律の施行について」)
 当局は労基法14条改正によって有期雇用契約への切り換えが可能となったとしているが、これは上記通達にてらし、労基法14条改正を悪用した典型例とみなされる。

回答:大学として任期制を取り入れることが大方針であり、後任人事にあたり方針を変更したとは考えておりません。

12 学則の整備と検討及び大学自治の原則に立った教員の自律的検討の保障
○教育研究等、大学教員の業務を遂行するに当たっては、大学自治の原則に立ち、学則に則った制度整備が必要とされる。教学組織による適正で民主的手続きにそった学則等の検討・整備ぬきに大学組織及び運営をすすめることは許されない。

回答 なし


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横浜市立大理事長宝田良一氏―大学の実力、外にアピール(焦点を聞く)

日本経済新聞地方経済面(神奈川)(2005/04/27

 今月一日から、独立法人として再スタートした横浜市立大学。その初代理事長に就任したのが宝田良一氏である。宝田氏は横浜・元町の老舗洋食器店経営者で、経営手腕を大学改革にどう生かすかが問われる。「学内に優秀な教授も学生もいる。そのことをもっとアピールしなければいけない」と、広報活動の重要性を強調する。
 ――学外から見ていた大学と違いはあったか。
 「自分自身、市大はこれまで身近な存在とはいえなかった。ところが、文部科学省が推進する世界トップレベルの研究教育拠点形成プログラム(COE)を預かる優秀な先生もいるし、卒業生には優良企業のトップもいる。専門家の間で知る人ぞ知るだったのだろうが、あまりにも知られてなさすぎた。広報活動をもっと強化したい」
 ――具体的な施策は。
 「例えば卒業生とのパイプを密にしたい。学部単位や教授レベルでは卒業生が誰で、今何をやっているかを知っている。でも大学としては把握していなかった。新入生の七割ぐらいは市外から集まってくる。横浜の知識を持って卒業した人を通じ、情報発信することは大切だと思う」
 ――今後、何を特徴にしていくのか。
 「市大ということで、横浜市とのつながりは常にある。市の持つ資源を活用できる位置にある。国際都市として、国際人脈がつくれる大学にもしたい。教授も学生も海外との交流を増やす。英語で授業することで、カタコトの日本語しかできない外国人でも留学できる環境をつくりたい」
 「学生には入学から二、三年で英語検定のTOEFL五百点をクリアさせる目標をたてている。すでに約八百五十人の新入生のうち六十人は五百点を上回り、平均でも四百五十点ある。インターンシップでは海外でも受けられるよう準備している。今夏にも日本企業の海外事務所で学生が働けるようにしたい」
 ――産学連携にも力を入れている。
 「企業との共同研究は以前からあった。今回初めての取り組みとして、大塚化学と共同研究施設をつくった。こうした連携は積極的に進めたい」
 ――財政問題はどうか
 「財政問題を含め六年間の中期経営計画を進めている。教職員の意識が変われば実行は可能だろう。私自身も教職員向けの研修を担当している。ただ改革があるから学生が集まるわけではない。素晴らしいキャンパスと、卒業して何が得られるかだ」
学内求心力、改革のカギに
 改革の旗を振ってきた孫福弘氏の急逝を受け、松浦敬紀・副理事長と二人三脚で大学改革に取り組む。理事長となるまで接点が薄かった分だけ「情報発信の少なさ」への不満も大きいようだ。広報強化には、学部統合など合理化色が強かった大学改革に前向きなイメージを加える狙いもある。
 米ボストン大卒の国際派。米国人のブルース・ストロナク学長と、国際色豊かな大学づくりを図る。外への情報発信とともに大学組織内の求心力をどう高めるか。成否のカギはそこにありそうだ。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月28日 03:21 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年04月27日

横浜市立大学2教授、中田宏横浜市長に「抗議文」を提出

一楽重雄氏ホームページ
 ∟●抗議文(2005年4月25日)
大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌(4月26日)

抗 議 文

平成17年4月25日

中田宏横浜市長殿

横浜市立大学研究院 
教授 一楽重雄
教授 市田良輔
(前理学部数理科学科所属)

 去る4月5日に挙行された横浜市立大学入学式の祝辞の中で、貴殿は次のような発言をしておられます。しかし、これは事実と大きく異なるものであり、厳重に抗議するとともにすみやかに訂正されることを要求いたします。
 「市長として、市大の中味に口を出したことは一度たりともありません。」
 私たち前理学部数理科学科に所属していた人間にとって、とりわけ、上の発言は許せないものであります。
 市大の大学改革は確かに学長が市長に提出した「新たな大学像」に基づいたものでありますが、「新たな大学像」には「数理情報コース」の設置が明言されていました。実際には、その後の横浜市大学改革本部が設置した「コース等検討プロジェクト委員会」による具体案作成の段階で数理情報コースが削除されました。
 このことは、貴殿が日本数学会理事長にあてた回答(市広聴第900665号)の中でも、「コースについては、編成数や内容を大学の案を参考にしながら設置者として更に検討することにしました」と明言し、「数理情報コースについては、数学の専門家を養成するためのコースの必要性は低いと判断し、専門のコースの設置は見直しました」と述べています。
これは「市大の中味に口を出したこと」を中田市長自らが認めていることに他なりません。一部の教員の協力があったことで、このことを決定した責任が大学に移るということはあり得ません。
以上のことから、中田市長の発言は事実をゆがめるものであり、発言の撤回と訂正を求めるものです。正確な情報の発信は民主的行政の基本であることは、市長自ら折に触れ主張されているとおりです。文書による速やかな回答を求めます。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月27日 01:30 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年04月26日

横浜市立大学、教育研究費について思うこと

■横浜市立大学教員組合、教員組合週報組合ウィークリー(2005.4.25)より一部抜粋
大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌(4月25日)を経由

教育研究費について思うこと

吉岡直人

 3月18日に開かれた法人組織説明会で、17年度の「教育研究費」について説明があった。「定額基礎分」としての一律30万円にも驚かされた(「低額」の間違いではないのか?)が、もっと腑に落ちなかったのは、「研究戦略プロジェクト事業」のほうである。そこには、(a)共同研究推進費、(b)若手研究奨励費、(c)地域貢献促進費、(d)先端的医科学先行的研究という4つの項目が並べられている。私が応募できそうなのは、(a)共同研究推進費ぐらいなのでその中身を見た。そしてもっと驚いた。重点研究分野として、①ライフサイエンス、②先端医療、③ナノテク・材料、④環境、⑤産業・地域再生、⑥都市経営・まちづくり、⑦文化・教育の7つが限定されているではないか。私は地震の震源のメカニズムに関連して、石や砂を使った実験をしており、どう強引にこじつけようとしても、上記の重点研究分野には当てはまりそうもない。どうやら応募を諦めざるを得ないようだ。しかし、これでは「競争的資金」といいながら、初めから競争に参加させない、差別的な研究費の配分と言わざるを得ないではないか。
 私は幸運にも今、科研費の恩恵に浴している。それだけではない、ここ16年の間に科研費を含め、13年間も外部資金の恩恵に浴してきた。国や学界は私のやろうとしていることを、やる価値があると認めてくれている、と私は思っている。ところが、この大学では、私がやりたいと思っている研究は意味がない、と考えており門前払いなのである。この落差に愕然とした。このようなくやしい思いをしている者は私ばかりではあるまい。
 私の敬愛してやまない寺田寅彦は、70年以上前に次のような文章を書いている。
「その当代の流行問題とは何の関係もなくて、物理学の圏外にあるように見える事柄でも、将来意外に重要な第一線の問題への最初の歩みとなり得ないとは限らない」と。そして当時はまだ誰も目を付けていなかった、今日「複雑系の科学」と呼ばれる分野の問題に、一人で果敢に挑戦したのだ。
 「学則」第1条(目的)から「真理の探究につとめ」と「世界の平和と人類の福祉に貢献し」という文言が消え、「国際都市・横浜とともに歩み・・・市民・横浜市・市内産業界及び医療の分野をはじめとする多様な市民社会の要請に応える」という、やたらに「横浜市」のみに擦り寄った(と私には思われる)文言が並べられるようになった現状では、横浜市立大学は、もはや寺田寅彦のような大きな視点とは無縁の存在になったようだ。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月26日 00:01 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年04月23日

横浜市立大の年俸制・任期制、「本当にすぐれた制度であれば,まず中田市長をはじめ市職員に率先して取り入れるべきである」

激動する現代 戦争と平和より

2277.年俸制・任期制について
名前:卒業生 日付:4月22日(金) 13時34分

横浜市立大学が改革の必要がないとは思わない。ここでいつか述べたが,教員の層が薄いことや人格的にも問題のある教員が少なくないことなどいくつかの問題がある。その点については関係者は謙虚に反省するべきであろう。しかしその改革の手法および内容が問題である。
大学改革について賛成しているのは,(削除-転載者)などの偏った考えをしているわずかに過ぎない。大多数の教員は大学改革に反対している。彼らの定年まで長い冬を越さねばならない。任期制・年俸制についてもそれが本当にすぐれた制度であれば,まず中田市長をはじめ市職員に率先して取り入れるべきである。大学教員にだけ任期制・年俸制を押し付けるのは問題がある。任期制・年俸制の表向きの理由が,教員間の競争を促し,教員の質を上げることらしいが,結果として優秀な教員は学外に逃げてゆく。これでは本末転倒であろう。
東京都立大学や横浜市立大学の教員はいままでいったい何のために学問をしてきたのだろうか。石原慎太郎・東京都知事や中田宏・横浜市長に怖くてものが言えないのでは子どもの「いじめ」と何ら変わらない。「大学改革」は教員にとっても自らの学問を試す試金石であると思う。そして問題は教員のみならず横浜市民そして日本国民にとって秘密裡にことがすすめられていることにある。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月23日 14:02 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年04月22日

横浜市大新聞、【論評】「地域貢献」を考える

横浜市大新聞 ニュースブログ
 ∟●【論評】「地域貢献」を考える(2005年04月20日)

【論評】「地域貢献」を考える

 本学の事務局が公開している「横浜市立大学の新たな大学像」には、目標のひとつに「地域貢献」が挙げられている。地域貢献への賛否はかねてより論じられているが、ここでは実際に、新しい大学が市民に貢献するものであるかどうかを考えたい。

 まず入試では、従来からあった市内在住者向けの公募制推薦が廃止された。公募制では選抜を伴うものの、横浜市内に住んでいて条件を満たせば、どこの高校からでも応募できるものだった。代わりに、実質的に試験なしで入学できる指定校推薦を導入した。市民であっても、指定されなかった高校の生徒は受験資格さえ得られず、地域貢献とは完全に逆向きである。

 またパンフレットなどでは、新大学の特長として「産学連携」「生涯学習」などが挙げられているが、これらは改革前から行われていたものだ。なぜ社会人入試の充実をはからなかったのか疑問も残る。多数の聴講生がいる授業で、新カリキュラムで廃止の決まったものもある。地域貢献という言葉は、実際にはほとんど機能していない。

 学術情報センターは市民向けの公開が行われているが、満足に雑誌も購入できない図書館を公開したところでどれだけの意味があるのか。新入生のカリキュラムをめぐる混乱はひどいもので、授業では立ち見が続出している。授業料を払ってまで入学してきた学生にすら満足な対応ができないのに、地域に貢献する余裕があるのか。

 大学事務局が真剣に「地域貢献を」というのならまず学内に目を向けるべきだ。学生に対して魅力的で充実した内容を用意して初めて、市民に向き合うことができよう。改革ありきで市民を裏切ることがないよう、何が市民にとって必要なのか、詳細に調べた上で対応することも大切だ。


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基礎学力養成へ 神奈川大新科目、横浜市大は年俸制―全入時代にらみ独自色

日本経済新聞地方経済面(2005/04/21)

改革概要を発表
 神奈川大学(横浜市)は二十日、学部・学科の新設・再編や、大学で学ぶうえで必要な基礎学力の養成を目的とした全新入生向けの必修科目を新たに設けることなどを柱とした大学改革の概要を発表した。「質の高い入学者の安定的確保」(山火正則学長)が狙いで、二〇〇六年度から実施する。あわせて半年間で授業が完結するセメスター制度に移行する。
 大学全入時代を目前に控え、県内の大学では再編・改革の動きが相次いでおり、生き残りをかけた競争が激しさを増しそうだ。
 神奈川大は十七年ぶりの新設学部となる人間科学部を設置する。同学部は心理学、健康科学などの分野を学ぶ講座が特徴。理学部では、入学時に所属学科を特定しない総合理学プログラム(定員八十人)を新設。入学後二、三年かけて自然科学の基礎を学んだ後、興味のある専門分野に進むことができる。
 一方、働きながら学ぶ学生の減少から、第二法学、第二経済学、第二工学の夜間三学部は廃止。法学部と経済学部では昼夜間教育制度を導入して対応する。
 全新入生向けの必修科目、「ファースト・イヤー・セミナー」は、リポート作成や資料収集の方法などをゼミ形式で指導。原則、全教員が担当する。神奈川大学によると、総合大学でこうした講座を設置するのは全国的にも珍しいという。
 県内の大学では、神奈川県が県立外語短期大学(横浜市)を二〇〇八年度末に閉鎖。外語短大は志願者数が長期的な低落傾向にあり、今後も大幅な増加が見込みにくいためだ。同短大は、英語教員や自治体職員の英語能力向上のための研修や、県民の生涯学習支援などを目的とした高等教育機関に転換する。
 四月から独立行政法人に移行した横浜市立大学では全教員を対象に任期制・年俸制を始めた。医学部を除く、三学部を統合して組織体制を見直したが、入試方法の変更もあり、今年の受験者数は昨年に比べ減少した。今後は地元企業との共同研究など地域貢献を積極的に進める方針だ。

【表】神奈川大学の教育改革の概要(2006年度開始)
○人間科学部の新設
○国際文化交流学科(外国語学部)の新設
○総合理学プログラム(理学部)の新設
○経済学部と工学部の4学科でカリキュラム・名称の変更
○第二法学部、第二経済学部、第二工学部の廃止
○セメスター制度への移行
○必修科目「ファースト・イヤー・セミナー」の導入
○長期履修学生制度の導入
○学生ポータルサイトの開設(05年4月から)


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2005年04月21日

現在休業中の「横浜市立大学を考える市民の会」にも頑張ってもらいたい

激動する現代 戦争と平和

2260.再び大学改革について

名前:卒業生 日付:4月20日(水) 18時9分

4月1日から大きく変わった横浜市立大学では教員のみならず学生も大きな不安と戸惑いのただなかにいるようである(横浜市立大学ニュースブログ)。この記事を読むかぎり,私だったらいまの市大には行かないだろうと思った。中田流「大学改革」がほんとうに許されてよいものなのか私はいまだに疑問である。もう一度真の「大学改革」をする必要があるであろう。現在の学長の任期は一年だが,あとは誰が学長になるか。あまりあてにはならないだろうが,少しの関心はある。

問題は市長である。来年選挙があるらしいが,一般の横浜市民は「大学改革」についてほとんど知らされていないだろう。教員の大量流出や受験生の半減など大学改革がすでに失敗に終わったことを証明する事実は今後意図的に隠されるおそれすらある。中田市政が実際に行った蛮行をしっかりと市民に伝える必要がある。そのためには(現在休業中の)「横浜市立大学を考える市民の会」にも頑張ってもらいたいと思う。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月21日 01:31 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年04月18日

横浜市立大、新制度における教授会 大学院国際総合科学研究科教授会の基本的あり方

横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー (2005.4.15)
大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌(4月14日(2))
大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌(4月04日(4))

横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー (2005.4.15)より

教授会 大学院国際総合科学研究科の教授会(14日)


 横浜市大の新制度においては、大学院は、国際総合科学研究科と医学研究科に分かれ、それぞれに教授会が設置されています。
 昨日、金沢八景キャンパスでは、大学院国際総合科学研究科の教授会が開催されました。7日の国際総合科学部の教授会と同様に、ここでも教授会の基本的なありかたと、代議員会の構成が問題になり、討論が行なわれました。
 その結果、代議員会は、専攻ごとに専攻所属の教員のなかから選挙により3人ずつを選出して代議員とすること、これに研究科長1名を加え、定員を16名とすることが決まりました。また、教授会は、研究科長が招集を決定するほか、構成員の25パーセントの要求があった場合に招集されることが決まりました。
 代議員会の構成員は、教授会の選出する者でなければならないという、学内民主主義の最低限の要件がここで確保されました。他の研究科教授会および学部教授会もこの例に従うよう、呼びかけます。

大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌(4月14日(2))より

 今日は、第一回の国際総合科学研究科の教授会があった。新しい学則における教授会と代議員会との相互関係など、学部の教授会でも問題となったことが問題となった。教授会の「代議員会」を称しながら、指名制・任命制の執行部が、最初から規定の上で、多数はいっていることが問題となった。

 上からの指名・任命の執行部と教授会との関係、その教授会から選出されて教授会の代表として重要事項の審議に参加する代議員会の構成が、根本問題として議論となったわけである。大きな研究科を機動的に動かしていく課題と民主制をどのように確保していくかという課題との調整の問題である。

 議論において、現在の学則の範囲内で、最大限可能な民主的意思決定のあり方が模索された、といえよう。

 その正確な結論は、研究科長がまとめ(文章化し)、議事録(ニュース)として一般教員によって確認されることになったが、私の理解するかぎりでは、基本的には民主的な教授会の意思決定がなんとか確保されたと思われる。「なんとか」というのは、研究科長が繰り返し主張したように、教授会の結論・決定と研究科長の結論・意思決定とが違った場合は、両論併記で教育研究審議会に提出する、ということであったから。

 そうしたありうべき危機的な深刻な対立問題を別とすれば、研究科においても、教授会が一番の土台として、すなわち直接民主制の母体として重要であることが、本日の議論で改めて確認されたとみることができよう。

 すなわち、教授会における緊急動議として、教授会開催の要求が構成員から出される場合、構成員の25%の要求で開くことが、教授会決議を持って確認された。この動議に○93(賛成)、×16(反対)、白票2であった。圧倒的多数は、教授会民主制の原則を確認したといえるだろう。いずれ議事録(ニュース)で正式なことは確認されよう。また、教員組合の評価などもいずれは発表されるのではなかろうか。

大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌(4月04日(4))より

 本日は朝から各種説明会(法人、研究院)があり、さらに国際総合科学部の第1回教授会が開催された。その審議事項は、学則が規程する「代議員会」の設置であった。①教授会(母体・基礎組織)と代議員会との権限関係、②教授会(各コース)から選出されるべき代議員と上からの指名によるコース長・委員とが「代議委員会」として構成されることの本質的問題点、などが学校教育法、従来の教授会の経験、教授会の自治の原則その他から厳しく問題とされた。

 「軍事政権ではないのだから指名制の執行部が過半数をしめ、最終的にすべてを牛耳ることができるようなシステムはおかしい。代議員会といいながら、その構成が、任命制の執行部が過半数を占め、決定権をもつような構造は根本的に問題だ」といった発言が、問題の所在を一番すっきりと抉り出したものといえよう。学則で内外に示された規定を、その下位の「規程」(しかも、未完成の「規程」、仮のもの)で換骨奪胎することはゆるされない。

 対案としては、学部運営会議17名の構成員のうち、上からの直接任命の学部長、共通教養長、コース長(合計で9名)のほかに、学部長が指名することになっている8名を、教授会(コース会議)で選出するべきだという意見、あるいは、トップダウンの17名のほか、教授会(コース会議)で下から選出される人数を各コース1名ずつ増やして16名+7名=23名にする案など提案された。

 その結果、代議員会設置に関する審議事項は、次回以降の懸案事項となった。

 しかし、学部長が議論をまとめるなかで、代議員会は、教授会から選出されるべきことという基本原則が確認された。その具体的な選出方法等詳細が、次回(以降の)教授会に審議事項として提案されることになったということである。

 教授会の運営についても「別に定めるべきこと」とが確認された。

 教授会の自治・自律がこの一点においてはかろうじて守られようとしている(教授会の選挙という洗礼を受けない学部長その他執行部という問題、当面、上からの直接任命制による執行部体制という現在の本質的問題点は何ら解決されていないが)。今後の展開が重要となる。

 教授会メンバーは現時点144名、出席が126名、委任状が6名、欠席届が3名という報告であった。私のメモが正確かどうか、いずれ、教授会議事録がきちんと整理され、次回教授会で報告され、確認されることになろう。

 今日の法人説明会で驚いたことは、事務系組織に属するのだとは思われるが、元職員で現在市長参与をしているとされる人物が、大学の「キャリア支援センター」と称する新設(名前の表すところは普通なら就職課にあたると思われるが、じっさいには学務関係事務組織を統括する)組織の「教授」として任命されたということであった。私の聞き間違いでなければ、事務職を「教授」にするという噂が本当になったわけである。

 教員に対しては、厳しい業績等の評価等が行われようとしている。人事の「透明性、公開性、客観性」は各所で出てくるスローガンである。経営審議会などしかるべき機関はどのようなデータに基づき、どのような人事選考・業績審査をおこなったのであろうか? なぜ「教授」にしなければならないのだろうか?大学に対する政治支配の象徴的事例とはならないであろうか?

 人事審査におけるその審議過程に関する議事録等は公開されるのであろうか?

 耳にした噂では、議会でもこの件は問題になったという。それが本当なら、今後、さらに問題になってくる論点であろう。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月18日 00:44 | コメント (0) | トラックバック (0)
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横浜市会委―志願倍率低下や教授退官で指摘―新しい市大めぐり論議

■神奈川新聞(2005年4月13日)
学問の自由と大学の自治の危機問題経由

 横浜市会都市経営総務財政委員会が一二日開かれ、今月から公立大学法人化された横浜市立大学の志願者倍率低下や、教授の退職をめぐり論議が交わされた。議員側からは謙虚な反省を促す指摘が相次いだ。

 同大は二〇〇五年度から、商、国際文化、理学部を国際総合科学部に統合し、入試日程を前期に一本化、二次試験を論文にするなどした。新学部の初入試は昨年前期の志願者倍率(三学部合計)が六・六倍だったのに対し、三・六倍に下がっている。

 議員側が「大学が学生を選んだ時代は過ぎ、これからは逆になる。数字は『学生に選ばれなかった』ことを最も表している」などとただしたのに対し市側は、学部再編や入試方法変更の趣旨が学生に浸透不足だったことを認めながら「倍率だけを見て判断するのは早計だ。始まったばかりなのでさまざまな角度から分析したい」と答えた。

 また、市側は〇四年度に同大を退職した教授は定年を含め一三人だったのに対し、採用が四人だったことを明らかにした上で「何かをやりたくて大学の先生は集まってくる。人が動くということは活性化の意味でも重要な部分だ」と見解を示した。これに対し、議員側からは「市大には歴史がある。外に出て行っても構わないというのは問題がある」との指摘があった。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月18日 00:38 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年04月14日

横浜市立大学、教員組合の要求書(3月8日)に対する当局の回答コメント

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2005.4.12)

当局回答要旨(先月23日)
 すでに今月1日号で触れたように、先月23日、折衝において当局側が、当組合の要求書「2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求」(3月8日付け)に関するコメントを口頭で提示しました。
 以下、整理して、当局の見解を御報告します。
 なお、当組合の23日付け要求については、当局は別途、回答を用意しているむね通告がありました。

 教員組合の3月8日要求書に対する当局の回答コメント。
 3月23日、折衝の場において中山課長(大学改革推進本部)が組合に対し、口頭で伝えたもの。
(ゴシック体の青の部分。)

……以下略,上記URLを参照して下さい。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月14日 00:46 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/04/38.html

2005年04月13日

中田市長は“官僚的不誠実回答”をいつまでくりかえすのか

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●中田市長は,“官僚的不誠実回答”をいつまでくりかえすのか?

中田市長は,“官僚的不誠実回答”をいつまでくりかえすのか?

 「横浜市立大学問題を考える大学人の会」(以下,「大学人の会」と略)が,去る3月23日に「横浜市立大学の教員全員任期制・年俸制・評価制導入の撤回を求める」-研究・教育の劣化を押しとどめるために-を記者発表し,新大学(「公立大学法人横浜市立大学」)では,《・・・それぞれ誇るべき歴史と伝統を持ち性格も違う3つの学部を、特別な理念もないまま強引に1学部に統合し、教授会から人事権のみならず教学権まで剥奪するという、まともな大学がどこもしなかった暴挙をあえて行った上で、どたんばで前代未聞の教員全員任期制・年俸制・評価制の導入を強行しようとしている。これらの制度の導入は、大学の最大の資産である「優秀な人材」の確保を保証しないばかりか、大学の存立根拠である「研究・教育の自由」を奪う怖れが極めて強く、ひいては市民の「言論の自由」の侵害にも道を拓きかねない危険性を持つものであり、認め難い。》と,中田市長および横浜市官僚による横浜市大“改革”の不当性・違法性を糾弾した[脚注1]

 これに対して,中田市長は,またも,“官僚的不誠実回答”で応じた[脚注2].今回の市長“回答”は,内容的にとくにひどく,教員全員任期制・年俸制・評価制の導入強行がもたらす弊害についての「大学人の会」の指摘に何ら答えようとせず,あいも変わらず,“横浜市大改革”が《大学自らがまとめた改革案「横浜市立大学の新たな大学像について03-10-29」》にもとづく改革である,つまり,“市長のトップダウンによる改革ではない”という,とっくに論破されてしまった虚偽の主張をくりかえすのみで,「大学人の会」の要請に対してまったく答えておらず,市長公文書としてオソマツ極まりない代物になっている.それにしても,中田市長は,真っ赤なウソも,何度も言い張ればウソではなくなるのだと確信しているらしいが,このような白を黒と言い繕って恬として恥じない態度では,すでに定着しつつある“えせ市民派”のレッテルだけでなく,“不正直”政治家・“ウソツキ”政治家のレッテルを貼られても仕方がないのではないか.

 今回の「市長回答」に対しては,永岑三千輝氏がすでに反論[脚注3]しているので,ここでは,「大学人の会」に対する今までの「市長回答」を整理し,中田市長には自分の過去の行状をよーく思い出してもらうことにする.

 上で,“またも”と言ったのは,昨年の春から夏にかけて,「大学人の会」に対して中田市長が同様の“官僚的”不誠実回答をくりかえしたからである[脚注4].その経緯を,簡単におさらいしておこう.昨年2月16日付『東京新聞』紙上[脚注5]で,《「改革」に揺れる横浜市大、密室で決定 いきなり公表 トップダウン、学部統合 全教員の任期制 研究費ゼロ》の見出しのもとに,《・・・中田市長は市民派を看板に掲げるが、改革案で会見を申し入れても、会ってくれない。煙たい市民には会わない“えせ市民派”だ。十人十色の意見があってまとまらず、業界団体のない大学が一番、経費削減の標的にしやすかっただけだ》,あるいは,《・・・大衆受けするパフォーマンス的政策を打ち出す点で両者(注:中田市長と石原都知事)は似ている。反権威主義で、エリートや学歴に対して強い反発を持っている。両者とも自己を礼賛する者しか評価しないポピュリズムの権化で、不採算部門の学問・芸術の存在が邪魔になる。その延長線上に大学改革がある》などと大きく報道されて,“市民派”市長の仮面が偽りであることを暴露され,あわてた市長が,直後の記者会見(2月19日)[脚注6]で,《・・・あそこに書いてあることは、完全に誤報のたぐいである。もしも誰かが言ったことをそのまま書くのが新聞であるというならば、それは、泥棒の理屈も全部載せてあげるべきである。私は、横浜市大の負債ということを理由に改革を持ち出したことはない。密室で決めたことは一度もない。すべて皆さんも見ていたはずである。全部、議論は一字一句、私は出している。それに、トップダウンでやっていない。市大自身がこういう改革をやりたいという報告をこちらに出してきた。・・・あれは誤報である。・・・事実関係が異なっていることを誤報というのである。・・・負債というバランスシート上の話を持ち出したことは、私は一度もない。》と,取材源である「大学人の会」の見解を,あろうことか“泥棒の理屈”呼ばわりしたことに端を発している.

 「大学人の会」は3月8日に見解を発表し,そのなかで,市長の主張である(1)「負債ということを理由に改革を持ち出したことはない」,(2)「トップダウンではない」,(3)「密室で決めたことは一度もない」が,まったくの虚偽であることを論証して市長発言の撤回を求めた[脚注7].なお,筆者も,《事実関係が異なっていることを誤報というのである》という市長発言にしたがって事実関係を徹底的に検証し,『東京新聞04-2-16』報道が《完全に誤報や100%誤報 》であるという市長発言は悪質な“言いがかり”で,それどころか,すべての点で“真実報道”であることを明らかにした[脚注8]

 これに対し,中田市長は,4月16日に第1回目の“官僚的不誠実回答”で応じ,上記3点の主張を,壊れたテープレコーダのようにくりかえした.これに対し,「大学人の会」が,市長への再質問状を発表し,そのなかで,《・・・(1)「市大の大学改革に負債ということを理由に持ち出したことはないこと」に関して.市長の諮問機関「あり方懇」が出した答申は、改革の理由の一つに市大の負債問題を取り上げています。これは市長の改革意図に反するものと考えますが、それに対して市長は反論または批判をされておりますか。(2)「トップダウンではなかったこと」について.東京新聞の特集記事(2004.4.20)で、市大の小川学長が「改革が進むなら中田市長のトップダウンで構わない」と発言し、「市長の意向を受けての改革案づくりだったことを認めた」ことについて、どうお考えですか。(3)「密室審議ではなかったこと」について.市立大学改革推進・プラン策定委員会が「改革案」をまとめる過程で委員会のメンバーに緘口令をしいたこと、教員の任期制等重要な問題で教授会の審議を経なかったこと等、についてどうお考えですか。》と,市長の急所を鋭く突いた[脚注9]

 これに対しては,さすがに反論できないだろうと思っていたところ,驚いたことに,2ヶ月半も経った後に第2回目の“官僚的不誠実回答”(7月14日付)を「大学人の会」あてに送ってきたが,これも,直後に任期なかばで解任を告げられることも知らずに市長の“忠犬”役を懸命に努める小川学長のことばを新たな反論の“根拠”と称して引用した以外は,上記の質問にはまともに答えていない(答えられない)“はぐらかし回答”であった[脚注10]

 それにしても,主要メディアとして初めて「横浜市大問題」の真相を大きく報道し,“市民派”中田市長の仮面を剥いだ『東京新聞』(2004年2月16日付け)報道がよほどコタエタのか,中田市長による“言い逃れのための悪あがき”はまさに必死の様相を呈するものだった.すでに述べたように,まず,直後の定例記者会見(2004.2.19)において,きかれもしないのに,中田市長自らが『東京新聞』報道は《完全に誤報のたぐいである》などと長々と虚偽の主張をまくしたて[脚注11],ついで翌日(2004.2.20)付けで,“忠犬”小川学長をして,東京新聞特報部長宛に《抗議および善処方申し入れ》をさせ(実際には,おそらく,事務局の手になる作文に学長が署名)[脚注12],さらに,横浜市議会において自民党議員の(八百長)質問に答えるかたちで,小川学長および高井事務局長をして,上記の事務局作文にしたがって市長を擁護すべく“証言”という名の“ウソ答弁”を行わせしめた(2004.3.11)[脚注13]

 その後も(および,それ以前からも),あらゆる機会を通じて中田市長は,今回の“回答”にあるのと同様の発言をくりかえした.すなわち,改革案(「横浜市立大学の新たな大学像について03-10-29」)は,大学自らがまとめたもので,『東京新聞(2004.2.16)』報道にあるように「トップダウン」で決めたものではないとくりかえし強調した.たとえば『新春恒例市長対談(2004.1.1)』のなかで中田市長は,《・・・横浜市立大学についても自ら「こう変わりたい」というプランが出て参りました。》[脚注14],また,『平成16年市長年頭所感(2004.1.7)』のなかでも,《・・・横浜市立大学については、・・・横浜が税金を出すことの意味をどう定義できるか問うたところ、自らの再定義と改革案が示されました。》[脚注15],最近では,『市長定例記者会見(2005.3.9)』のなかで,《・・・横浜市立大学には、既に自ら策定した中に、当然、市民に貢献できる、市に貢献できるような大学のあり方を目指していこうということが含まれているわけです。》と述べた[脚注16].つい先日の『横浜市大入学式来賓あいさつ(2005.4.5)』のなかでも,「これから先は、それぞれに幸福感、価値観を温めなければならない。新しい大学ではこれまでの伝統の上に新たな価値を作る。市長として、大学の中身に口を出したことは一度もない」と述べた上で、昨年の浜大祭での講演と同様に「八割は市民の税金でまかなっている大学だということを頭に入れてほしい(注:この発言も事実を歪曲)」と強調した[脚注17]

 中田市長は,このような“不正直発言”・“ウソ発言”をいつまでくりかえすのか?

(2005.4.12 佐藤真彦)


[脚注]

(1)横浜市立大学問題を考える大学人の会:「横浜市立大学の教員全員任期制・年俸制・評価制導入の撤回を求める」-研究・教育の劣化を押しとどめるために- 05-3-24
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050324daigakujin.htm 
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/05-03/050324daigakujin.htm 

(2)05/4/1“市民派”中田市長、またも「大学人の会」へ“官僚的不誠実回答” (2005.4.12)
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/05-04/050412nakada-kaitou.htm 

(3)永岑三千輝氏『大学改革日誌』(2005.4.11)
http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/SaishinNisshi.htm 
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/05-04/nagamine.htm

(4)“市民派”中田市長の“官僚的”不誠実回答―“横浜市大問題”関連資料集―04-7-18
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040718nakada-siryou.htm 
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-07/040718nakada-siryou.htm 

(5)『東京新聞』2004年2月16日付 こちら特報部:『改革』に揺れる横浜市立大 学部統合全教員の任期制 研究費ゼロ
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040216tokyo.htm 
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-02/040216tokyo.htm  

(6)中田横浜市長定例記者会見2/19で東京新聞記事2/16を批判
http://www.city.yokohama.jp/se/mayor/interview/2004/040219.html 

(7)東京新聞2月16日朝刊報道に関する中田横浜市長の「誤報」発言について:市長に発言の撤回を求める04-3-8
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040308daigakujin-gohou.htm  
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-03/040308daigakujin-gohou.htm  

(8)中田市長の “東京新聞報道は 『完全に誤報』 発言” を検証する04-3-3
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040303gohou.htm 
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-03/040303gohou.htm 

(9)久保新一・柳沢 悠(「横浜市立大学問題を考える大学人の会」):「市長の『誤報』発言についての(回答)」について04-4-30
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040430daigakujin-gohou.htm 
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-04/040430daigakujin-gohou.htm 

(10)“市民派”中田市長、またもや“官僚的”不誠実回答――市長の「誤報」発言について(回答)04-7-14
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040714nakada.htm 
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-07/040714nakada.htm 

(11)「ごごご誤報ですよ!」”赤字報道”に言ったれや
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-03/040315spoichi-gohou.htm

(12)04/2/20小川学長の書簡:『東京新聞』2月16日付記事に対する抗議及び善処方申し入れ(2004.5.13 up)04-5-13
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040220ogawa.htm 
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-02/040220ogawa.htm 

(13)市会傍聴記の感想(続々々):市長の『東京新聞報道は“完全に誤報”発言』を擁護する学長ら04-3-18
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040318kansou+++.htm 
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-03/040318kansou+++.htm 

(14)青葉区 タウンニュース: 新春恒例市長対談 民との協働で新時代の横浜を 中田宏横浜市長に2004年の市政運営を聞く 
http://www.townnews.co.jp/020area_page/01_thu/01_aoba/2004_1/01_01/aoba_top1.html  

(15)平成16年1月7日 - 市長年頭記者会見 【資料1】市長年頭所感「平成16年年頭にあたって」 
http://www.city.yokohama.jp/se/mayor/interview/2004/04010703.html  

(16)横浜市、大学と都市の連携について  中田市長「横浜市立大は最も有力で最も私たちとしても期待をする大学」?!05-3-17
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050317katayama-nakada.htm 
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/05-03/050317katayama-nakada.htm 

(17)中田市長 市大入学式で、またも、“大ウソ” 《市長として、大学の中身に口を出したことは一度もない》 横浜市大新聞 ニュースブログ (2005.4.5)
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/05-04/050405oouso.htm 


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横浜市大新聞、記録残す義務がある

横浜市大新聞 ニュースブログ
 ∟●記録残す義務がある(2005年04月12日)

記録残す義務がある

 近年の大学改革をめぐって、多くの意見表明が学内でなされた。ところが、大学当局や市側の動きは新聞記事や公文書として残されるのに対して、教員・学生など学内の意見は、図書館に所蔵されるような形式でのまとまった記録がない。電子的な資料や個別の紙媒体などが出されているものの、これらが長期の保存に耐えるのか、疑問がある。

 教員の転出が相次いだため、商文棟の階段下などには大量の書籍が廃棄され積まれているが、この中に興味深い本があった。1996年に発行された『アカデミアの森へ』(編集・発行:横浜市立大学編集委員会)という、学生・教員などの随筆を集成したものだ。新入生に受験勉強とは異なる学問の世界を紹介すべく配られた「入門書」で、学術情報センターにも数冊が所蔵されている。今は亡き地震学の菊池正幸教授をはじめ、各学部・研究所から数名ずつの教授が、自らの研究領域への熱い思いを語っている。

 さらに、在学生やOB・OGも文章を寄せており、研究・部活動・留学など、自信を持って書かれた経験の一つ一つが輝いている。三枝博音元学長から受け継がれてきた「学問の自由」があった時代の貴重な記録である。昨年には、国際文化学部の教員たちによって『教室からの大学改革』という本がまとめられており、以前から行われてきた教員の自主的な努力が描かれた。どちらも、改革前の横浜市立大学を知る上でその価値はさらに増していくことだろう。

 現在、私たちは未来の大学に対して何を残すことができるだろうか。『アカデミアの森へ』のように熱い文を書くことはできないかも知れない。しかし、この大学で起こったことを、末永く残るように記録する義務があることは確かだ。どのような意見であれ、歴史の上に刻まれることにより、未来において参照され価値判断がされるだろう。100年先を見据えて考えれば、書籍という形式はなお合理的だ。大学新聞として『アカデミアの森へ』同様に集成などの方法を考えることが必要だが、学生も含めた学内の人々も、どのような記録が残せるか真剣に検討してみてはどうだろうか。


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2005年04月12日

揺れる『全員任期制』 独法化の横浜市大

東京新聞(4/12)

 四月から地方独立行政法人となった横浜市立大学で、「全教員を原則任期制とする」とした方針が揺れている。教員に任期制への同意を求めた大学側に対し、特に三学部の統合で新設された「目玉」の国際総合科学部の過半数の教員が、態度を留保するよう呼び掛けた教員組合に委任状を託す事態となっているからだ。任期制で競争原理を持ち込み教員の質を高めたいとする大学側だが、思惑通りに運ばず多難な滑り出しとなっている。 (金杉 貴雄)

■大学側、思惑通り進まず

 大学側によると、任期制により、教員は教授、準教授(旧来の助教授、講師)、助手に分類。教授は五年任期で何度も契約更新されるが、準教授は五年任期で更新は二回まで、助手は三年任期で更新は一回まで。つまり教授は継続的に雇用されるが、準教授は最長計十五年、助手は同六年で契約が切れる。

 大学側は「契約の継続を希望する準教授や助手は、契約期間中に博士号を取得したり優れた研究実績を残したりして、教授あるいは準教授への昇格を目指してもらう」とする。

 任期制は雇用形態が変更となるため、個々の教員の同意が必要とされるが、同意しない場合でも身分の継承が地方独立行政法人法で義務づけられているため、従来通りの「身分の定めのない契約」として継続される。

 だが、大学側は任期制を選べば(1)裁量労働制を結ぶことができ勤務時間の自由がきく(2)基本的な一律の研究費(年三十万円)のほかに、付加的な研究費(最高年五十万円)を優先的に配分する-などとし、有利な面があるとする。

 これに対し、市立大学教員組合は「雇用形態で差別的な扱いをすることは許されない」と反発。各教員に「任期制に同意せず組合に委任状の提出を」と呼び掛けている。

 大学側は当初、三月二十二日を同意期限としたが、同意書が集まらなかったため期限を延期している。新大学がスタートした現在でも「どの学部で何人が同意したかは、現時点で答えられない」という。

 一方、教員組合の山根徹也書記長は、新大学の二つの学部のうち組合組織率が低い医学部については不明だが、国際総合科学部(旧商・国際文化・理学部)では教員約百二十人のうち半数以上から委任状を預かっているといい、任期制に同意したのは、ごく一部ではないかとみている。

 組合側は大学側に話し合いを求めているが、教員の処遇をめぐる混乱が長引けば、学生の不安にもつながりかねない。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月12日 09:28 | コメント (0) | トラックバック (0)
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横浜市長中田宏、「横浜市立大学問題を考える大学人の会」の年俸制・評価制導入の撤回要求書に対する回答

大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(4月11日(2))

 横浜市立大学問題を考える大学人の会、「横浜市立大学の教員全員任期制・年俸制・評価制導入の撤回を求める」(2005年3月23日)に対する横浜市長中田宏氏の回答。

市広聴第903991
平成17年4月1日

横浜市立大学問題を考える大学人の会 様

横浜市長 中田 宏(印)

市立大学の制度改革について(回答)

 さきに要望(平成17年3月23日)のありましたことについて、次のとおりお答えします。

 市立大学の新たな人事制度について、ご意見をお寄せいただき、ありがとうございました。

 新たな大学における人事制度は、平成15年5月、学長を中心に大学自らがまとめた改革案「横浜市立大学の新たな大学像について」において、教員人事委員会による公募を原則とした教員選考や、総合的な評価制度に基づく任期制・年俸制の導入など、教員人事制度の改革の具体案がまとめられ、その後、大学改革推進本部が設置した「教育・研究評価検討プロジェクト」において、学内教職員によって検討され、昨年6月には、同プロジェクト(中間案)「新たな教員人事制度の構築に向けた取り組み」を発表し、さらに、具体的な制度設計を重ね、現在にいたっています。

 こうした取り組みは、横浜市が有する意義ある大学として、市民が誇りうる、市民に貢献する大学として、さらには、発展する国際都市・横浜とともに歩み、教育に重点を置き、幅広い教養と高い専門能力の育成を目指す実践的な国際教養大学を実現するためのものであり、教育システムの改革はもとより、運営面における改革を推進し、大学自らが時代の要請により迅速に応え、激化する大学間競争を勝ち抜ける活力ある大学になろうとするものです。

 これまでも学内において、新たな人事制度や勤務条件についての説明会を開催するなど、理解を得られるように努めてきましたが、地方独立行政法人としての持続可能な経営の確立に向け4月から出発しますので、ご理解いただくようお願いします。

 この旨ご了承いただき、連署の皆様によろしくお伝えください。

大学改革日誌(永岑三千輝氏)のコメント
「大学人の会」に対する市長回答は、大学人の会の声明(賛同者が増えているということである)に対して真正面から答えたものではない。大学「改革」を「大学内部から決めた」こととして、「改革」の経緯の諸事実の中から、それに照応する部分だけをとりまとめたものである。端的にいって、任期制・年俸制などについて、いくつもの教授会が反対声明を出し(商学部教授会決議をはじめとするいくつもの教授会決議や声明・意見がある)、また現在も教員組合が強く抗議して、粘り強くその不当性・非合法性などについて主張を表明していることひとつとってみても、「大学像」なるものが、市長のいうように「大学内部」の自主的な提案でないことは明らかである。「大学像」を取りまとめたプロジェクトR幹事会には行政職(その管理職)が半数はいり、行政的な強固な規律で教員サイドのさまざまの反対意見を押さえ込んで作ったという性格と位置付けるべきものである。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月12日 00:26 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年04月09日

ホームページ「学問の自由と大学の自治の危機問題」、別サーバーにて新たに復活!

学問の自由と大学の自治の危機問題(新しいサイト)
 ∟●このサイトについて(2005年4月7日)

 佐藤真彦氏(横浜市立大学大学院理学研究科元教授)は今年3月末で抗議辞職されましたが,この度それまで作成されてこられた「学問の自由と大学の自治の危機問題」のホームページを別サーバーにて新たに復活させられました。学問の自由と大学の自治を破壊する人々やその行為に対しては,これまで以上に厳しい批判が展開されるものと思います。私はこれまで佐藤真彦先生の同サイトからおびただしい数の記事を転載させて頂きました。この場を借りてお礼申し上げたいと思います。(ホームページ管理人)

このサイトについて

 このサイトは,過去2年余りの間「横浜市立大学問題」に関わってきた管理人(佐藤真彦・元横浜市立大学大学院総合理学研究科教授)が,個人の責任で管理・運営するサイトです.

 橋爪大三郎「あり方懇」座長の危険性を察知して,50年に一度(あるいは文科省によれば100年に一度)の大学制度改革(改悪)の動きに,いま反対しなければいつ反対するのかという想いで,「学問の自由と大学の自治の危機問題」というサイトを2002年の暮れに立ち上げました.その目的は,昔なら,わずかな数のビラをまいたり,掲示したりすることしかできなかったところを,インターネットの登場で,学内外のホームページおよびメール通信のネットワークとの協力が可能となり,これを利用して,横浜市大問題の真相を暴くこと,市大問題を全国問題化して中田市長らによる“大学破壊計画”を阻止すること,および,この問題の経緯を歴史に残すことにありました.そのときのモットーは,ウォルフレン氏の《日本の上層部の人びとが簡単に脅しに屈するため,多くの外国人のあいだで日本人はみな臆病者だと思われている.・・・口で言うほど容易なことではない(が,)脅しにたいする簡単な対処法ならある.生命の危険がないかぎり,無視するのだ.脅しは,それに敏感に反応する人だけに効く.最善の対処法は戦うことだ.最終的には,真の市民となるためには勇気が必要なのである.》(カレル・ヴァン・ウォルフレン「人間を幸福にしない日本というシステム」(鈴木主税訳,新潮OH!文庫,2000年,p.345,346))というものです.その結果,横浜市大問題の真相,および,首謀者(中田宏横浜市長・池田輝政総務部長・橋爪大三郎「あり方懇」座長)と学内の積極協力者(小川恵一学長・サイレントマジョリティー3教授など)の悪事を暴き,これを全国に知らせることがある程度できたと思っています.

 本サイトの管理人は2005年3月末に横浜市立大学を退職(抗議辞職)しましたが,4月に発足した新大学(「公立大学法人横浜市立大学」)では,その後も,中田市長および横浜市官僚らによる大学破壊計画の実行を押し止めるための(絶望的な)闘いが,教員組合を中心にねばり強く続けられています.本サイトの目的は,主として,その闘いを学外から支援すること,および,横浜市大問題の経緯を公開・保存し,歴史に刻むことにあります.

2005年4月7日


このページは,横浜市立大学内のサイト「学問の自由と大学の自治の危機問題」 http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/page047.html から引っ越してきたサイトです.旧サイト内のすべての文書(2005年3月31日までの文書)は,引き続き,横浜市立大学教員の自主的管理により公開・保存されますが,本サイトにおいても旧文書は,閲覧しやすいように整理した後公開・保存する予定です.本サイトでは,2005年4月以降の更新を行います.
  メールでのお問い合わせは,sato_u@kit.hi-ho.ne.jp まで

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月09日 00:23 | コメント (0) | トラックバック (0)
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横浜市立大学学則、新旧対照表

学問の自由と大学の自治の危機問題(新しいサイト)

現在,横浜市立大学で問題になっている学則について,新旧対照表が佐藤真彦氏の新たなHPに掲載されていましたので,ここにリンクします。

横浜市立大学学則 新旧対照表 05-4-1

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月09日 00:20 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年04月08日

横浜市立大教員組合、「学則の問題点 自律的・民主的な大学運営制度を求める」

横浜市立大学教員組合
 ∟●横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー(2005.4.6)
大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(4月6日(2))

学則の問題点
 自律的・民主的な大学運営制度を求める


 4日、新法人および研究院に関するそれぞれの教員説明会が行なわれ、法人組織の説明が行なわれ、また、国際総合科学部の第1回教授会が開催され、ようやくここに新法人のもとにおける大学機構と学則が明らかになりました。
 新学則の定める大学機構のありかた、特に教授会の位置づけには、大学自治と民主的運営の観点から、大きな問題があるので、ここでとりあげます。

学則の制定プロセスの問題性

 学則は、4月に発効するまで、その原案は一般の教員には示されていませんでした。大学の組織のありかたを決める学則が、このようにいわば秘密裏に、改革推進本部内部で決定されてしまったというプロセス自体に問題があります。
 本学の独立法人化の根拠法は、地方独立行政法人法ですが、同法が可決されたさいに国会が付した附帯決議は、「独立大学法人の定款の作成、総務大臣及び文部科学大臣等の認可に際しては、 憲法が保障する学問の自由と大学自治を侵すことのないよう、大学の自主性、自律性が最大限発揮しうる仕組みとすること。」としています。
 附帯決議は、法の適用に際して十分に尊重されなければなりません。
 今回の学則制定のプロセス自体、大学の自治を侵し、大学の自主性・自律性を無視するものといわざるをえません。

教授会

 新学則は、教授会の審議事項について、第77条において次のように定めています。

 学部教授会は、以下の事項を審議する。
  (1)入学、進級、卒業、休学、復学、退学、除籍、再入学、転学、転学部、転学科、留学、学士入学等学生の身分に関すること
  (2)学部運営会議から付議された、その他学部の教育に関すること

 教授会には、人事権、学則の制定、改廃、カリキュラムの改変など大学の重要事項に関する審議権があったのですが、新学則においては、それが学生の身分に限られてしまっています。学部の教育に関する事項すら、「学部運営会議」が付議することを決定しなければ、教授会が審議することもできないことになっています[注1]。
 学校教育法第59条は「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」としています。重要事項の大部分について、教授会の決定事項としないはおろか、その審議事項とすらしないのは、法の趣旨に違反するものといわざるをえません。たとえ学則が文部科学省の認可を得たものであっても、それで法的に問題がないとはいえないはずです。
 今後、このような誤った学則を修正し、大学自治のしくみを再構築する必要があります。

代議員会

 新学則は、第76条において、教授会が、代議員会を置くことを定めています。教授会の規模が大きすぎるなどの場合には、代議員会を置くことは合理的ですが、その場合、あくまで代議員会は教授会機能を代行するために、教授会が権限を委任するものであり、また、教授会の意思を十分に反映するものでなければなりません。したがって、代議員会構成員は、基本的に教授会全構成員が平等な資格で参加する選挙によって選ばれた者から成っていなければなりません。
 教授会の運営方式、代議員会に関することは、各教授会が今後、決定する事項ですから、大学の自律性と民主的運営のために何が必要か、慎重に議論されるよう、すべての教員に呼びかけます。また、学部長等、学部運営に携わる責任者には、教授会の自主的決定権を最大限に尊重するよう要請します。

自律的・民主的な大学運営制度を

 その他、任期制。年俸制、教員評価の問題とかかわる人事委員会などについては、別に論じます。
 当組合は、教員の労働条件の改善・権利の保障とともに、それと密接不可分のものとして、大学における民主主義の確立を課題としております。今後とも、大学の自律的、民主的な運営の回復を求めていきます。 注 [1]「学部運営会議」の構成は、学則では「別に定める」とのみあり(第79条第2項)、いまだ明らかではありませんが、当局説明資料においては(3月24日付け)、国際総合科学部では、学部長、コース長、共通教養長と、その他学部長の指名した教員となっており、医学部では、学部長のほかは、学科長、カリキュラム長となっています。いずれも教授会からの選出ではなく、上からの任命、指名による役職です。

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[顔]横浜市立大の学長になった ブルース・ストロナクさん

横浜市立大の新学長ブルース・ストロナク氏の任期はなぜ1年なのだろうか。1年任期の学長選任など聞いたことがないのだが…。

東京読売新聞(2005/04/06)

 ◇Bruce STRONACH 54歳
 ◆「学長のイメージ破りたい」
 「私がここにいること自体が、日本社会の変化の表れです」。法人化された横浜市立大の初代学長として、5日の入学式では、壇上から日本語と英語で語りかけた。
 国公立大の外国人学長第1号。「外国人」の肩書がニュースになることには不満もあるが、「その分、既存の学長像に収まらなくて済む。学長のイメージを破りたい」。
 専門は国際関係学。29年前に、慶応大との共同研究で来日して以来、日米両国を行ったり来たりしてきた。今回、慶大時代からの友人で、市立大の理事長に就任する予定だった孫福弘(まごふく・ひろむ)氏(昨年6月急逝)から招かれ、学長就任に結び付いた。
 市立大は今、大学改革のまっただ中。商学・理学・国際文化の3学部を統合した「国際総合科学部」の創設が目玉だが、今春の志願者は大幅に減ってしまった。
 任期は1年と短いが、「私が学長になったこと。文系と理系の垣根を低くしたこと。そうした改革の中身をアピールすることが自分の役目」と心得ている。
 日本での生活は通算15年目で、日本社会での振る舞い方も熟知し、「少し日本人になっているかも」とも感じる。かつて、大学院大学の教授として過ごした新潟県では、登山や名酒も楽しんだ。2人の娘も地元の小学校に通った。日本人の妻と、大学生、高校生になった娘を米国に残しての単身赴任だが、夏休みに家族が休暇を過ごしに来るのが楽しみだ。


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2005年04月06日

横浜市大新聞、入学式 期待と不安の新大学始まる

横浜市大新聞 ニュースブログ
 ∟●入学式 期待と不安の新大学始まる(2005年04月05日)

入学式 期待と不安の新大学始まる

 5日10時から、本学金沢八景キャンパスの総合体育館で、「公立大学法人 横浜市立大学」の平成17年度入学式が開催された。入学者数は、新しく誕生した国際総合科学部が758人、看護学科が設置された医学部139人の計897人と、大学院の261人。

 宝田良一理事長は「教育に重点を置き、実践的な教養大学を目指している。英語を軸として、国際的な人脈を構築できるようにしたい」と新しい横浜市立大学の方向を説明。ブルース・ストロナク新学長は「私と学生のみなさんが自由に話し合える場を作りたい」と述べ、後半は英語で式辞を述べた。「英語は大事。今はわからなくても、(入学生は)卒業する頃にはわかるようになるはず」。

 中田宏市長は来賓あいさつで「これから先は、それぞれに幸福感、価値観を温めなければならない。新しい大学ではこれまでの伝統の上に新たな価値を作る。市長として、大学の中身に口を出したことは一度もない」と述べた上で、昨年の浜大祭での講演と同様に「八割は市民の税金でまかなっている大学だということを頭に入れてほしい」と強調した。

 式の開始時、国際総合科学部の新入生の座席が足りないトラブルがあり、職員等が数十人分を追加で運んだ。また、来賓席には昨年度いっぱいで学長を解任された小川恵一氏の姿もあった。

 式の終了後12時過ぎからは、いちょう並木で毎年恒例の学内サークル・部活動の勧誘が行われた。昨年よりもゆっくりと新入生が会場から退出したため、勧誘は14時頃まで行われた。6日午後には、運動部連合会主催での運動部の合同説明会が開催される予定だ。


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2005年04月05日

横浜市立大教員組合、声明「公立大学法人横浜市立大学発足に当たって」

横浜市立大教員組合
 ∟●声明「公立大学法人横浜市立大学発足に当たって」(2005年4月4日)

公立大学法人横浜市立大学発足に当たって


2005年4月4日
横浜市立大学教員組合


 4月1日、横浜市立大学は独立行政法人に移行した。移行への過程は国立大学では類例をみない強引な行政介入によって大学の自律性が損なわれるものであり、重大で未解決の問題を残したまま、三学部の統合と独立行政法人への移行が強行されることとなった。独立行政法人横浜市立大学の発足に当たり、教員組合は、大学の健全な運営にとってゆるがせにできないそれらの問題点を指摘し、法人経営及び教学運営に携わる責任者が問題の解決にむけ真摯にとりくむよう求めるものである。

1 教員の処遇・勤務条件にかかわる重大な不利益変更問題が未解決のままである。

 任期付教員への移行をはじめ、従来の教員処遇を根本から変える制度変更について解決をみぬままに推移している。2月15日の当局提案にたいし教員組合は、重大な不利益変更をともなう提案と受けとめ、1次(3月8日)、2次(3月23日)の質問と要求を提出してきた。現在までのところ、1次要求につき口頭回答(3月23日)が1度あったのみであり、かつ、その間、2月末の教員説明会において新たな提案を行ったり、任期付教員に移行せず従来雇用を続けると不利益が生じると示唆する新たな文書を全教員に送付するなど、条件提示自体について曖昧な態度をとり続けている。
 処遇・勤務条件の不利益変更について組合との交渉を経ることなく当局提示の就業規則を一方的に強行することは、明白な不当労働行為にあたる。就業規則を使用者の裁量によって確定できると当局が考えているならば、それは大きな誤りである。就業規則に示される労働条件については労使の交渉が必要であり、とりわけ、従来の制度を大幅に変更する場合には、変更の合理性や不可欠性が使用者側にきびしく問われる。
 なお、このような事態に立ちいたった責任は、教員処遇の重大な変更について十分な検討、協議期間をとらず拙速かつ強権的な手法をとってきた大学改革推進本部にある。法人当局はこの現状を直視し、教員が安心して勤務できる条件を保障すべきである。

2 任期付教員への移行に同意しない教員への差別方針は大学の活力を奪うものであり、ただちに撤回すべきである

 任期付教員への移行を求めた同意書に添付された松浦CEO名の文書(「任期制運用の基本的な考え方について」3月15日)には、任期付雇用への移行に同意しない教員への差別的取扱が公然と示されており、とうてい容認できるものではない。
 「管理職」就任や昇任機会における格差づけを示唆している点でこの文書はあきらかに昇格差別を認めている。
 労使協定を要し、業務様態にそくして検討すべき裁量労働制を任期付教員にのみ適用するとしている点は、不合理であるのみならず、労使協議をつうじて実行される時間制についてあたかも当局の方針で左右できるかのように述べている点で意図的に誤解を生じさせる記述である。
 昇任にさいしては任期付教員への移行が条件となるとしており、「雇用期間の定めのない教員」について任期付教員への移行を強要する新たな条件を持ち出している。2月末の教員説明会においては、雇用期間の定めのない教員には昇任の機会を与えないとしていた福島部長発言を、3月23日口頭回答において昇任審査の対象とするむねを明らかにして事実上撤回している。その一方でこの15日文書において、昇任時に任期制への移行を強制するという新たな条件を持ち出しているのである。このことは説明会では述べておらず、組合に対する回答でも触れていない。このような重大な提示条件の変更を当組合と教員に明示していないこと自体が、労働条件周知義務違反であるとともに、有期雇用への移行を条件とする昇格制度の提案(これが提案だとすれば)は、労基法14条における雇用形態選択の趣旨にてらし、あきらかな勤務条件差別である。
 出張・研修、研究費における任期付教員の優遇を述べ、研究条件の確保が大きな意味をもつ教員の動揺を誘い、任期付教員移行への同意をあからさまに誘導している。「勤務条件について差別しない」という言明には矛盾しないと言うつもりかもしれないが、雇用形態を問わず教員評価制度が適用される教員について研究機会の格差をあらかじめ設けることは勤務条件にかかわる差別そのものである。このような差別が実行される場合には教員組合はただちにその是正を求め、必要なあらゆる手段をとるものである。なお、研究費配分等についてはそもそも教学組織が公正かつ客観的基準にてらし判断、運用すべき事項であるにもかかわらず、経営組織責任者がこれを左右する方針を明言することは大学自治の根幹にかかわる重大な問題である。教学組織責任者は、こうした差別方針について容認すべきではないし、公正な制度運用に当たるむね態度表明すべきである。

3 労使対等原則に立つ誠実な交渉をすすめるべきである。

 すでに述べたように、教員組合の要求について、当局はこれまで誠実な交渉義務を果たしてきたとはとうてい言い難い。使用者代表が直接会見して交渉することが労使交渉なのであり、これまで2回の、回答をつたえるのみの会見は交渉ではない。「大学の方針」による就業規則を教員に押しつけるかのごとき態度に終始することは労使対等原則にもとづく労働条件協議のあり方を破壊するものにほかならない。未解決の事項について、法人当局が、労組法に明示される誠実交渉義務を履行するようきびしく求めるものである。

4 大学組織、大学運営の自律的・民主的あり方を回復させるべきである

 大学が社会から負託された責任を果たし、教育研究をはじめとするさまざまな文化的貢献をなしうるために必要な改善、改革をすすめることは重要であり、教員組合はそのために必要な努力を惜しまない。法人発足に当たっていま求められているのは、大学がその社会的任務を十分に果たせるよう生き生きとした運営・組織体制を整え、横浜市立大学にかかわり学ぶ市民や学生にとって魅力ある大学となることであろう。大学組織とその運営体制について、この観点から見直し、改善すべきことがらはあまりにも多い。
 この間当局がすすめてきた強引な組織変更、制度変更は大学を沈滞させる。教員間に差別を設け、上意下達組織への変更によって教員の創意と意欲を喪失させ、評価の圧力をつうじて沈黙を強いる、そうした大学組織が「活力ある大学」をもたらすと言えるだろうか。強引な運営をしないと当局が述べたところで、その制度保障がないかぎり、人が代わり状況が変われば、そうした危険はたちまち現実のものとなる。独立行政法人として発足した横浜市立大学をそのような沈滞の道に追いこまぬために、教職員、学生の意思を反映し意欲を結集できる真に自律的で民主的な大学組織、大学運営のあり方をつくりだしてゆくべきである。教員組合はそのために今後とも力を尽くして運動をすすめてゆく。

[新聞報道]

公立大学法人化した新生横浜市大がスタート

カナロコ(4/01)

 横浜市立大学が一日、公立大学法人化され初代理事長に宝田良一氏、新学長にブルース・ストロナク氏が正式に就任した。学術や経営面での独立独歩の運営に向けた歩みが始まる。同市の中田宏市長から宝田理事長に「横浜へのより大きな貢献」の願いを込めた「中期目標」が託された。
 新法人化は地方独立行政法人法に基づき行われた。中期目標の設定は同法で義務付けられ、法人設立準備委員会や市会などでの論議、市長付属機関「市公立大学法人評価委員会」のアドバイスを経て決定した。計画期間は二〇〇五年度から一〇年度までの六年間。
 目標では「横浜市が有する意義ある大学」として「市民が誇りうる市民に貢献する大学」と「実践的な国際教養大学」の二つの方向性を掲げた。「教育重視・学生中心・地域貢献」を基本方針に(1)学生のキャリア開発を支援するためのシステム構築(2)文系と理系にまたがる共通教養教育の推進(3)研究成果や知的財産の産業界など地域への還元-などを盛り込んだ。
 中期目標提出に当たり中田市長は「この大学をみなさんがリードし多くの人が評価すれば今までの伝統を加えて価値がさらに高まる。運命を切り開いてほしい。後はみなさんにお願いします」とあいさつ。宝田理事長は「きょう(一日)は大学改革のゴールではなくスタート。努力を重ねたい」とコメントした。
 市大は新法人移行に伴い商・国際文化・理学の三学部を統合し国際総合科学部を新設、医学部との二学部編成となった。同市の交付金を受けるが基本的には学費など自主財源での運営を進めていく。新体制での「第一期生」の入学式は五日に行われる。

公立大学法人として再始動=横浜市大

時事通信(4/04)

 横浜市立大学は1日、公立大学法人として再スタートを切った。同日、横浜市の中田宏市長は、2002年サッカーワールドカップで市民の会会長を務めた宝田良一氏を初代理事長に任命。「教育重視・学生中心・地域貢献」という基本方針の下で自主・自立的に運営され、教育や研究がさらに活発に進められることを目指した、大学の「中期目標」を宝田理事長に示した。
 これに対し宝田理事長は「中期目標を実現し、真に市が有する意義ある大学となるべく、先頭に立って努力を積み重ねていく」とコメントした。(了)


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2005年04月02日

横浜市立大新学則、評議会は廃止 教授会の実質的な審議権は一切ない すべて「代議員会」

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(4月1日)

 ボックスに横浜市立大学学則(新旧対照表)が入っていた。すでに大学公式HPに掲載されているかとアクセスして見たが、掲載されていないか、見つからなかった。まずはっきりと目に付くのは、章別編成で、旧学則の「第11章 教授会、評議会及びその他の機関」が削除されたことである。評議会は廃止。教授会は、第10章の運営組織の最後尾に置かれている。すなわち、教授会には第75条、第76条があてられ、

 「第75条 大学各学部に教授会を置く 2 教授会の運営に関することは別に定める。」となっている。「別に」というがどこに定められているのか、私が失念しているのか未定なのか。

 「第76条 教授会は、その定めるところにより、教授会に属する教員のうちの一部の者をもって構成される代議員会を置く。2 代議員会の議決を持って、教授会の議決とする」と。
 つまり、教授会は一応おくが、そして、その審議事項も第77条のように定めるが、すべては「代議員会」で決めてしまう、というわけである。とすれば、教授会にはいかなる意味があるのか?名目はおいておくが、実質的な審議権は一切存在しない、というのは欺瞞的ではないか?ある意味では、これまでの評議会の権能を「代議員会」がもつ、というところだろう。

(教授会の審議事項)の名目のもとに次のように書かれている。
 「第77条 学部教授会は、以下の事項を審議する。
 (1) 入学、進級、卒業、休学、復学、退学、除籍、再入学、転学、転学部、転学科、留学、学士入学等学生の身分に関すること。
 (2) 学部運営委員会から付議された、その他学部の教育に関すること。

 しかし、第76条から明らかなように、すべては代議員会が議決するのであって、教授会の実質的権限はないということである。こういう制度は、大学の合理的な制度なのだろうか?

 大学の自治、学問の自由との関連で一番問題となる人事(権)にかんしては、人事委員会に関する第73条、第74条で規定している。
「第73条 学長の諮問機関として人事委員会を置く。
「第74条 人事委員会は、教育と研究の水準の向上を図るため、全学的な視点にたって、より優秀な人材を招聘し、確保する仕組みとして機能すること及び全教員を対象とした公募性、任期制による教員人事を、公平性・透明性・客観性をもって行い、教員人事の活性化、適正化を計ることを目的とする」と。

 しかし実際に、「より優秀な人材を招聘し確保する仕組みとして機能」するかどうか、その保障はあるのかどうか、問題はここにある。「公平性・透明性・客観性」がどのように実現されるか、これが問題となる。任期制による教員人事が、「より優秀な人材を招聘し、確保する」ということの合理的説明は、教員組合はじめ、多くの人々が問題提起し批判しているように、いっさいない。学則のこの条項に書くことが、場合によっては「優秀な人材」の応募を制限し、ひとたび選んだ「優秀な人材」の「確保」もできなくする、という根本的問題が、提起されている。「新法人・新大学の人事」だからといって昨年行われた公募人事が、その最初の試金石となる。公募は、まさに行われた。しかし、公募は本当に優秀な人材を集めようとすれば、すなわち、全国に周知徹底するためには、ある程度の期間が必要であるが、その期間はどうであったろうか? 設置申請にあわせるために、これまでの通常の期間よりも確か短かったと記憶する。「設置申請にあわせるために」必要となった人材は、これまでの教員の他大学からの割愛(従って他大学への流出)があったからではないか?

 次に公募に応じた人々に対して、これまでの教授会の選考のやり方に比べて、どこに公平性・透明性・客観性がある(あった)のか?少なくともわれわれ教員はこれまでのような教授会でのデータ(経歴・業績等)の公開がなく、審議にいっさい参加していないので、まったく不透明であり、したがって、客観性、公平性がどのようであるのか検証できない。非公式情報の「うわさ」が流れているだけである。ふつうの教員には何も知らせなくても、「透明性・客観性・公平性」は保障されているというのか?この実例を見てもわかるが、今後、この人事委員会制度とその「公平性・透明性・客観性」が実際に検証されなければならないだろう。しかし、だれがやるのだろうか? だれにその権限があるのだろうか?


 新しい組織として、「研究院」がある。第83条がそれにあたられている。
「第83条 大学に教員が研究を行う組織として研究院を置く。 2 研究院について必要な事項は別に定める。」と。
 研究をおこなう組織である以上、研究院に属する全教員が、自分たちの研究をどのようにおこなうか、どのような研究予算があり、どのような研究可能性があり、どのような研究費配分があるのか、それに関して自由に意見を述べ、配分決定に参加するシステムがなければ、恣意的な予算配分、恣意的な研究助成等で、研究の自由が左右されることになる。そうした最も肝心のことが「別に定める」となっており、それがまた不明である。誰が決めるのか? どこで決めるのか? 研究評価こそは、世界的に確立している審査原則(ピア[1]・レヴュー)の適用が必要なところだが、それはどうなっているのか?  制度運営において、ピア・レビューをはじめとする研究評価(予算配分)の公平性や客観性・透明性を保障するには、それなりの規則・ルールが必要だが、それはどうなっているのか?適正に規則・ルールが運営できるようなシステム(院長の任命なども行政組織、法人組織の意向が貫徹するようになると研究者の自立性・自律性は奪われ、ひいては研究の自由がないことになるが、その意味では研究院長が誰になるかも決定的に重要な意味を持つが)は、どうなっているのか?

 今回の学則に関して、すべての組織のあり方に関して、教授会・評議会はまったく無視されてきたということから考えれば、また、4月以降、評議会が廃止され教授会も実質審議の主体ではないとされている以上、重大な問題があってもなにも議論できない、ということになっている。しかし、今後は、真に大学の発展を考え、学則の改正等必要事項は、教員組合などが提起していかなければならないのではないか。医学部(医学科と看護学科)は明らかに専門職を養成する高度な専門学部だと思われるが、そうした医学部を含む横浜市立大学を「実践的な国際教養大学」と位置づけていいのか、という根本的な問題(理念と現実との乖離)も、冒頭、「第一章総則」のなかにすでに見られると考える。私は、これまでの学則の第一条のほうが、はるかに格調高く、大学の理念にかなったものだと考える。

 新学則、第1章 総則の「第1条 横浜市立大学(以下「大学」という。)は、発展する国際都市・横浜とともに歩み、教育に重点を置き、幅広い教養と高い専門的能力の育成を目指す実践的な国際教養大学として、教養教育と専門教育を有機的に結びつけ、国際都市横浜にふさわしい国際性、創造性、倫理観を持った人材を育てるとともに、教育・研究・運営が、市民・横浜市・市内産業界及び医療の分野をはじめとする多様な市民社会の要請に迅速に応えることを目的とする。」長期的スパンでの研究、たとえば、10年20年をかけてじっくりと取り組むような歴史研究などは必要ない、ということの表明か?小柴氏のような研究は、市民社会の要請に「迅速に応える」研究か?一般に基礎科学は、市民社会の要請に「迅速に」応えるものだろうか。小柴氏が繰り返し言っているように、彼がカミオカンデで捉えた中性子、その実証は宇宙論・世界の成り立ち・太陽系の発生と消滅などに関する決定的な貢献をなす科学的発見であるが、これは市民社会の要請に「迅速に応える」ものであろうか?市民社会の要請に「迅速に応えることを目的とする」大学は、大学に値するか? 大学が掲げる理念だろうか?「迅速」を前面に押し出すことは、学問・科学の真理探究を害しないか?これまでの学則第1条は、「迅速」などということを規定してはいない。

 これまでの学則にあって、今回の学則にない決定的に重要な文言は、「真理の探究につとめ」というところである。大学の使命は、究極のところ「真理の探究につとめる」ところにある。より深い真理、人類が到達した最新の真理認識、その探究と更なる発展、これがすべての根幹にある。真理探究につとめるがゆえに、大学では最大限完璧な自由が必要なのである。それが、憲法的保障の「学問の自由」、「大学の自治」の意味合いである。(「大学の自治」、「学問の自由」に関する憲法の代表的なスタンダードな解説:芦部憲法)真理は具体的であり、人類が発見し活用している真理は無数にあるが、科学技術の発展はまさにこの真理認識と真理の現実的適用とを意味し、これまでの到達点を乗り越えていくところに生命がある。
 最新の到達点を踏まえ発展させるためには、すべてを疑いすべてを批判しうる自由が必要である。人間的社会的事象も自然的事象も、なにが真実で何が真理にか、不明な部分が多い。まさにだからこそ、何かの差別や抑圧を恐れることなく、自由に事実に即して意見が表明できなければならない。精神的自由が保障されなければならない。自由な公論においてもっともも最先端の真理を発見し、その最先端の真理を適用してこそ、学生にも市民にも社会にも世界にも貢献することが可能になる。しかしなにが「最先端の真理」かは、その時々の世界においてはわからない。だからこそ、「探究」が必要であり、探究における自由が必要である。批判の自由は、真理探究の根底的条件である。
 この大学の使命にとって一番肝心の「真理の探究」が、新しい総則第1条に欠落しているということのなかに、今回の改革の問題が、今後克服していくべき課題が横たわっていると考えられる。大学の基本法、大学の憲法から「真理の探究につとめる」という部分が削除されたことの意味を、人はどう評価するか?私はこの文言は、絶対に入れるべきだと考える。

 新年度早々、新しい担当科目の準備をしようと研究室に出てきたが、学則新旧対照表を一瞥すると、さまざまの疑念が湧き出てきてしまった。頭のなかを駆け巡る疑問や不安をそのままにしておけなくて、一筆日誌に書き下ろした。平穏に「真理の探究につとめ」られるようになることを願うが、さてどうなるか。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月02日 00:27 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年04月01日

スポイチ編集長、横浜市大官僚の動向に注目しておこう

スポイチ編集長日誌(ブログ版)トップページ
 ∟●当該記事「オープン戦絶好調→開幕前日に緊急入院」(2005年03月31日)

 注目度は高いが,どなたが書いているかわからない「スポイチ編集長日誌」のウェブログ版です(発見しました)。掲載するには勇気が必要な場合もあるのですが,URLをお知らせするという意味も込めてここに掲載します。どなたか,コメント記事を出してみて下さい。

……
「4月1日、それさえ越せばあのうるさい奴らも黙る…。」
「貴公何が狙いだ?ポストを餌にM塾に尻尾を振るのではないのか。市大を潰すのか、潰さぬのか?」
「教員は黙ってな!」
てな感じの年度末ですが、4月以降は完全に「教員(と学生)は黙ってな!」という大学になっちゃうと思いますのでここは規制派官僚の動向に注目しておこう。まあ、そんなに”瞬間”的には何も変わらないとは思いますが。世の中の重大な出来事は徐々に進行しているので普通のヒトは変化に気づかない事もあります。そして官僚は一般人に己の悪行を感知されないように徐々に事態を進行させます。なので多くのヒトが気づいたときにはもう手遅れだったりします。
それにしても市大といい首大といい大学を北(略)のようにしたい就業規則だの何だのよく作るもんだな。素晴らしい!まるで規制派官僚の精神が形となったようだ…。って若かりし頃に北(略)みたいのがイイと本気で思って大学で暴れてたヒトなんてのがゴロゴロしてるからあんな”改革”に突っ走るんでしょうね。
「再び大学解体の理想を掲げるために、大学利権奪取のために、大学よ!私は帰ってきた!!」みたいな?
↑えー、迷惑です。(キッパリ)……

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2005年03月31日

横浜市立大、4月からの教授会自治解体の組織図

永岑三千輝氏『大学改革日誌』 (2005.3.29+30)より
学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●永岑三千輝氏『大学改革日誌』 (2005.3.29+30) 4月からの教授会、「まったく何も言う気がしなくなってくる」

 3月30日(1) 本日誌の読者の一人から、昨日の日誌(4)における私の主張に基本的に同意を示されながら、言及が足りない重要な論点の指摘をいただいた。下記に示すご指摘はまったくそのとおりである。先日の説明会(18日)で、ある教員が「まったく何も言う気がしなくなってくる」と自治解体のシステムを表現した。そのとおりで、何か発言しても、行政当局(4月以降は表面的には法人経営者)が最終的決定権を握り、それが脅かされないような完璧なシステムとなっているといえるからである。
 すなわち、教授会開催のあり方、教授会権限の執行のあり方、執行部体制のあり方に関してである。学部長だけが上からの任命というにとどまらない。通常は教授会も開かないシステムになっている。
 「教授会権限を「代議員会」に委ねてしまうこと。代議員の選出方式が、任命制にかたより、また、コースにより、代議員選出の票の重みが違うことなどにも、重大な問題があるように思われます。」
 まさにそのとおりであり、いかにも行政当局が考え出した制度、というものである。教授会とは名ばかり、ということになろう。こうしたシステムの元で、教員評価が行われたら、一体どのようなことになるのか? 一次評価者が任命制のコース長、二次評価者が任命制の学部長、最後が行政当局任命による学長、教授会を開催してもそこでは任命制のシステムが支配するようになっている、とすれば、このどこに行政当局からの大学人の自律・自治があるか?
 このようなシステムの元で、どのように自由で創造的な生き生きした研究教育となるのか?日々明らかになってこよう。
 新しいシステムでは、法人や大学執行部との関係で、それに対する自律的・自治的組織(メンバーの選挙によって選ばれたという意味での正当性・権限と権威の正統性をもつもの)は教員組合、各種従業員組合しか存在しない。したがって、現在のような新学部発足時点では、教員組織の自律的自治的組織は教員組合しかないともいえる。先日のある会合で、「教員組合が教授会だ」という人がいたが、まさにかつての教授会と同じような自律性を持つのは教員組合しかなく、この発言もそのような意味合いであったのだろう。
 教育研究に従事する人間たちの自律的自治的組織は、現時点ではそれしかないからである。
------- 
 3月29日(4) 新しい学部「国際総合科学部」の教授会召集状がメールで届いた。やはり、学校教育法、その背後にある憲法等を無視することはできない、ということが法人経営サイドにもわかったということである。
 問題は、教授会の権限であり、その権限の範囲内での責任の所在である。これを明確にするために審議事項が学則で定められなければならない。
 この間、問題となっている入試倍率の低下なども、発足時点の新学部は何ら責任の主体ではない。新学部が発足していない、ということで教授会審議の対象とならなかったからである。大学改革推進本部が旧制度の学長、旧制度の委員を適宜活用して新学部の入試を行った、ということである。
 新発足の教授会は、新学部長を選挙していない。したがって、教授会構成メンバーから自由な選挙によって選ばれておらず、オーソライズされてはいない。その学部長がどのようか権限を持つのか。これが今後、教授会の権限との関係で問題となる。
 学部長の権限をどのように規程するのか、教授会は何を審議する権限があるのか。
 教授会は何の決定に参加し、その決定に参加した範囲で責任を負うことになるのか。
 その学則規程(条項)が法律(学校教育法等)に照らして問題となる。自治・自律はどこまでのものか?
 この間の各種ワーキンググループは、大学改革推進本部という行政機関の単なる諮問委員会のようなものであった。単なる相談にあずかる、「協力する」、単に実務作業を担う(決定権はない)というものであった。

上記の主張と問題点の指摘は,外部の者には具体的に理解しにくい点がありましたが,以下の横浜市大学改革推進本部「法人組織説明会資料」(2005/3/18)によって,教授会自治解体のおよその構図がわかりました。

横浜市大学改革推進本部「法人組織説明会資料」(2005/3/18)
(出所「学問の自由と大学の自治の危機問題」より)

 この組織図をみると,教授会審議事項については,これまで有していた4つの事項(①教員人事に関すること,②研究に関すること,③学部運営に関すること,④学生の身分に関すること)から①~③を切り離し,④だけに限定されている。また,教授会は「全体会」と「代議員会」に区分され,上記永岑氏の説明によれば,「通常は教授会も開かないシステムになっている」(ここで言う「教授会」とは全体会を指しているように読める)ようだ。

法人組織説明会資料
(平成17年3月18日現在)

1 教育研究組織
 (1)教育研究に関する組織
 (2)教育研究に関する組織図
 (3)新たに導入される主な運営制度及び組織

2 法人の事務組織
 (1)法人組織図
 (2)法人事務分掌

○参考資料(別冊)教育研究組織関係資料

横浜市大学改革推進本部

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2005年03月29日

公立大学という病、横浜市大時代最後の経験 更新雑記(05/3/27)

公立大学という病:横浜市大時代最後の経験より

05/3/27 昨日まで横浜に滞在しており、市大の先生や職員の方と話をする機会があった。教員の方々は、私の予想を裏切り、随分とはつらつとしているように見えた。
教員組合が明らかにしたように、金沢八景キャンパスの教員の50%以上が任期制には同意できない意志表示として組合に委任状を提出している。また委任状を提出しないが同意書も当局に提出しないという人も多数いるらしい。当局が目指していた独法化に際して全員任期付き教員にするという無知無謀な方針は明確に頓挫した。当局は思い付き的な弥縫策を次々に出しているが、その結果、自滅への道を歩んでいるようだ。この一週間で新聞記事にいろいろと取り沙汰され、その無謀さが世間に知られたことも当局にとっては痛手であろう。だから対抗する教員にも勢いが感じられるのかもしれない。
高松に帰ってきてから知ったが、当局は任期なし教員にも昇進を認めるとしたとのことだ。この撤回が意味することは大きい。任期付きにしぶしぶながら同意書を提出した助教授以下の人達も、誤った情報に基づいたものだったとして同意書を撤回すべきであろう。今は教員が一体となって動くことが重要だ。なによりもそれを当局は恐れているからだ。四月以降は、残業、休日労働、裁量労働制等、教職員の同意なしには実施できないことが目白押しだということに当局は気づきはじめたのかもしれない。

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2005年03月28日

横浜市大学生新聞、今の「責任」も重大だ

横浜市大新聞 ニュースブログ
 ∟●今の「責任」も重大だ(2005年03月27日)

今の「責任」も重大だ

 松浦敬紀CEOが「来年度の入試には私が責任を持つ」と発言した。これによって、これまで誰も責任を持とうとしなかった大学改革の現実が、改めて浮き彫りとなった。

 ここで提起したいのは、現在、学生が被っている多大な迷惑の責任は誰がとるのか、ということである。一昨年来、商学部・国際文化学部を中心に教員の転出が著しい。後任を採用しないどころか、非常勤講師すらも配置せずに運営ができなくなったゼミさえもある。先日ストロナク参与と会談したNetwork of OutBurst(NOB)の中にも、入ろうとしたゼミが突然なくなった経験を持つ学生が多い。

 学生がかつて、改革の方法について800人近い署名を通じて提言したことがあった。しかし、後の学生向け改革説明会でその回答がないことを指摘されると、改革担当者は「それはどんな内容だったのか」などと逆に質問者に質問をしていた。意見はメールで受け付ける、という方針だったがどんな意見が集まったのか、どう対応したのかは明らかではない。

 本来保証すべきカリキュラムを保証しない、そして学生が出した意見にも返答をしない。学生を無視して改革を進めてきたことを、担当部局は反省するべきである。そして今後は、NOBや学生自治中央委員会、アンケートなどを通じて学生の声を聞き、それを改革に反映させるよう、態度を改善することを要求したい。責任とは口で言うだけでなく行動でも表すものだ。

 今回の松浦氏の発言は、入試という外部の評価に直結した責任のみの言及で、迷惑を被った在学生に向いたものではない。少しでも早く、学生と率直に向き合う「人間の顔をした改革」に転換してほしいものだ。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月28日 01:25 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年03月27日

横浜市立大当局、「任期制に同意しない教員も昇任の対象とする」 2月28日の説明会における福島部長発言を事実上撤回

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2005.3.25)
学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー (2005.3.25) 「非任期付雇用の教員も昇任の対象」福島部長発言、事実上撤回 05-3-25

横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー(2005.3.25)

「非任期付雇用の教員も昇任の対象」
 福島部長発言、事実上撤回
  23日、予備折衝において


 現在、当組合が提出した要求について交渉を求めていますが、今週に入ってから予備的な折衝が当局とのあいだでようやく始まりました。
 その折衝のなかで23日、当局は、任期制に同意しない教員、すなわち「任期付き雇用のもとにない教員(期間の定めのない雇用のもとにある教員)についても、昇任の対象とする」という方針を示しました。

 当局の2月28日における説明会において福島部長(大学改革推進本部)は、任期制に同意しない教員は、昇任の対象としないと述べています。この発言を、今回示された方針は、事実上、撤回するものであります。

 組合は要求書および本紙等を通じて、任期制に同意しない教員の昇任機会を奪うことは、労働条件のいちじるしい不利益変更であり、不当かつ違法であることを粘り強く主張しています。また、組合員および非組合員からは、説明会の場などを通じて、福島発言におけるような露骨な差別策動に対する怒りの声が、激しく挙げられて来ています。
 法制上当然のこととはいえ、こうした教員の力強い意志と発言と行動によって、当局は前言撤回を余儀なくされたのだと見てよいでしょう。
 わたしたちがみずからの権利を守るために、たがいに協力し、理にかなった主張を掲げて粘り強く行動すれば、道は開けるということが、ここでも見えてきたと言えましょう。

 わたしたちの権利を蹂躙することを許さないという声を、今後もさらに高めてまいりましょう!
====================================
発行 横浜市立大学教員組合執行委員会
〒236-0027 横浜市金沢区瀬戸22番2号
Tel 045-787-2320 Fax 045-787-2320
mail to : kumiai@yokohama-cu.ac.jp
教員組合ホームページ
 http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/index.htm

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2005年03月26日

横浜市立大、学生有志 再びストロナク参与と会談

横浜市大新聞 ニュースブログ
 ∟●学生有志、再びストロナク参与と会談(2005年03月23日)

学生有志、再びストロナク参与と会談

 23日、学生組織のメンバー4人が新学長に内定しているブルース・ストロナク参与と会談した。この組織は、本学の改革に学生の立場から提言しようと、先月有志の学生によって設立された「Network of OutBurst(NOB)」。ストロナク参与との意見交換の会談は2回目になる。NOB側は今後の計画として、まず教員・事務・学生の三者での話し合いを提案した。ストロナク参与は前段階で準備を進める必要があるとした。【写真=話を聞くストロナク参与】

 会談は本校舎2階の参与室で約一時間行われた。NOB代表の富樫耕介さんは「可能かどうかは分からないが、(新入生を迎える)4月中に教員、事務、学生の三者が参加する話し合いの場を設けたい」と提案した。ストロナク参与は「意見を出して議論することは重要だが、その前の段階としてコミュニケーションができる環境を作る必要がある。私や学生、教員などと案を作り、事務に提出したい」と述べた。

 NOBは今後、在学生からメンバーを集めて全学的な組織とすることを予定している。しかし設立から一か月しか経っておらず、学生の認知度は低いという。富樫さんは「土台がないため、時間的にも限られている。オフィシャルな組織として、他の学生たちの意見を客観的に吸収できるよう、4月までに自分達のツールを提示できるようにしたい」と、NOBが新年度へ向けての準備を進める考えを述べた。これに対してストロナク参与は「急いで考えるのではなく、10年後、20年後を考えることが大切だ」と慎重な姿勢を示した。

 NOBは、4月下旬以降に教員などを交えて改めてストロナク参与と会談する予定だ。その際に、今後の具体的な計画を立てるという。


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2005年03月25日

横浜市立大学問題を考える大学人の会、「横浜市立大学の教員全員任期制・年俸制・評価制導入の撤回を求める」

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●「横浜市立大学の教員全員任期制・年俸制・評価制導入の撤回を求める」(2005年3月23日)
大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(3月24日)

「横浜市立大学の教員全員任期制・年俸制・評価制導入の撤回を求める」
-研究・教育の劣化を押しとどめるために-

 横浜市立大学は、4月から商学部・国際文化学部・理学部を廃して「国際総合科学部」に統合し、医学部と共に地方独立行政法人化した新大学として再出発する。しかし、その再出発は、それぞれ誇るべき歴史と伝統を持ち性格も違う3つの学部を、特別な理念もないまま強引に1学部に統合し、教授会から人事権のみならず教学権まで剥奪するという、まともな大学がどこもしなかった暴挙をあえて行った上で、どたんばで前代未聞の教員全員任期制・年俸制・評価制の導入を強行しようとしている。これらの制度の導入は、大学の最大の資産である「優秀な人材」の確保を保証しないばかりか、大学の存立根拠である「研究・教育の自由」を奪う怖れが極めて強く、ひいては市民の「言論の自由」の侵害にも道を拓きかねない危険性を持つものであり、認め難い。

(1)新大学への応募倍率の低下
去る2月末新大学に学生を迎える初めての入試が行われたが、前期試験の応募倍率は、理学系の5.6倍から2.1倍への低下をはじめ、医学部を除くすべての系で半減または激減する結果となった。この数字は、教員や関係者の多くの反対にもかかわらず強行された「改革」が、受験生からも予想以上に厳しい評価を受けたことを示唆している。

(2)止まらない教員の流出
ある新聞が「隠れFA宣言」と報じたように、横浜市大からの教員の流出も止まらない。定年前に横浜市大から流出した教員は、商学部で26.4%(2002年3月現員比率、以下同)、国際文化学部で24.1%、理学部で16.4%、木原生物学研究所で22.2%に及ぶなど、高率の教員流出が続いている。流出者の中には、若手教員や現・前学部長など、大学の中核を担うと期待されていた人材が少なからず含まれていることは特に注目される。

(3)再三行ってきた批判と検証
 「横浜市大問題を考える大学人の会」は、2003年4月15日「『横浜市立大学のあり方懇談会』答申に関する訴え」を出し、任期制の問題点を明らかにしたことを始めとして、同年11月25日には「横浜市立大学の新たな大学像について」に関する声明を発表し、横浜市が導入しようとしている教員全員任期制は、特に教授会による自治が保障されない状況の下では、研究・教育の自由を侵害するおそれが強いことを指摘した。また、「教員全員に任期制を導入した場合、適任と思われる人材が応募をためらい、注目される教員は任期制でない他大学に引き抜かれるなど、研究・教育水準の低下が懸念される」と危惧を表明した。
 さらに、「大学人の会」は2004年3月28日に、成果主義賃金制度に詳しい経営コンサルタントや米国の大学での管理職経験者等を招いて「任期制・年俸制・教員評価制度の導入は研究・教育にいかなる影響を与えるか」に関するシンポジウムを行った。その結果、①民間企業でも成果主義賃金制度はうまく機能していない。原因は評価制度が社員の労働意欲を低下させてしまっている点にある。②任期制を先行導入した国立研究所では、目先の成果が上がりそうな研究テーマを選ぶようになり、仲間との交流も減った。③アメリカの大学は任期制ではなく、テニュア(終身在職権)制である。⑤日本型任期制は、京都大学の井上事件に象徴されるように「業績のある教員」を排除する制度にもなりうること、等が明らかにされた。

(4)批判と教員大量流出の現実を無視した「教員全員任期制・年俸制・評価制」の導入強行
上に記したわれわれの批判と教員の大量流出にもかかわらず、横浜市は市大における教員全員任期制・年俸制・評価制の具体案を発表し、導入を強行しようとしている。われわれは、この具体案が今後の市大における研究・教育に重大なマイナスの影響を与えるものであることを痛感し、「教員全員任期制」と「年俸制」、提案された「評価制度」の導入を停止し、以下のような措置をとることを求める。

(5)教員組合と協議しその了解を得ること
 雇用者は被雇用者(教員)の身分や労働条件の大幅な変更をともなう「改革」を行う場合には、事前に被雇用者の過半数を代表する組織の了解をえることが義務付けられている。にもかかわらず、昨年12月末に至ってようやく一部の案を提示し、本年の1月25日に初めて説明会が持たれたことが示すように、教員との協議により「改革」を進めようとする姿勢が欠けている。横浜市は性急な「改革」の強行を止め、教員組合と協議しその了解を得て「改革」を行うことをまず、要望する。

(6)「全員任期制」では、優秀な教員を採用・確保できず、教員の流出は止まらない
 京都大学再生医科学研究所における任期制(有期雇用)をめぐる裁判で明らかになったように、任期制のもとではいかに優れた研究成果をあげていても、雇用者は「再雇用をしない」ことが可能である。ほとんどの研究者にとって任期終了による失業は、避けたい事態である。先のシンポジウムでも示されたが、アメリカの大学で終身雇用保障を与える終身在職権(テニュア)制度が拡大したのは、大学間競争の中で大学が優秀な人材を確保するためであった。世界の有力大学で「全員任期制」を採用している大学が皆無であるのは、当然のことである。すでに進行している横浜市大からの人材流出が示唆するように、優秀な人材が任期制ポストへの応募をためらい、在職教員が終身雇用を保障する他大学に移出してゆくのは自然であり、横浜市の「導入の目的」(12月28日付資料)とは逆に「全員任期制」は「優秀な人材の確保」を困難にするであろう。

(7)大学における成果主義(年俸制、評価制)の導入は、研究・教育意欲を向上させない
 すでに「成果主義の導入が企業の生産性上昇を阻害する」ことは、かなり有力な学説となっている。最近の日本能率協会や労働政策・研究機構の調査でも、従業者の多くは、成果主義の導入による「勤労意欲の上昇はない」と回答し、「評価に対する納得度は低下した」と答えている。民間企業の場合、評価者は被評価者とおおよそ同一内容の業務をしており被評価者の仕事内容がかなりよく分かるはずであるにもかかわらず、評価が適切だと納得している従業員は少ない。
 大学の場合は、教員間の専門性の違いは大きく、専門分野ごとに標準的な研究や教育の方法も成果の出方も異なる。この違いを無視して共通の評価基準を作ることはほとんど不可能である。また、専門分野を知らない評価者による評価が被評価者を納得させることは難しい。正当だと思われない評価に基づいて年俸を決められた場合、研究・教育意欲の低下はまぬがれない。まして、市大の場合評価は「相対評価」で行われるから、どんなに努力して業績を上げても、何らかの理由で下位にランクされた教員は、再任の途を断たれるか減俸の対象になる。
 成果主義賃金制度を導入した数少ない大学の一つである北陸大学の場合、制度の導入によって「意欲が高まった」と答えた教員は回答者中の4%に過ぎず、63%は「低下した」と答えている(北陸大学教職員組合調査による)。「不透明、不公平、恣意的な業績評価、それに基づく人事考課は不信と諦めを生み出すだけだ」という意見は、アンケートにみる代表的な意見である。意欲の低下に加え、結果が予想できない困難な研究課題への挑戦を避け、数年で消費され尽すような研究であっても、短期的に成果が予想できる課題を研究テーマに選ぶようになる可能性は高い。

(8)研究・教育の自由を奪う制度
 横浜市立大学の場合、評価を担当する学部・コース・研究院などの組織の長は、教員によって選出されるのでなく、「上から」の一方的任命である。全国の国立大学法人や首都大学東京でさえも、「教員人事に関する事項」は教育研究審議会(評議会)の審議事項であるが、横浜市立大学定款では、教員人事は教育研究審議会(評議会)の審議事項から除外されている。理事会は、横浜市長が任命する理事長がほとんどの理事を決められる制度となっており、横浜市の意向を体したもののみが教員組織の長に任命される、という事態を防止する制度的保障は全くない。憲法が保障する学問の自由と、大学の自治や「大学には重要事項を審議する為に教授会を置く」とする学校教育法の精神に反した制度になっている。
 このように「上から」選ばれた組織の長が、教員の活動の評価者となるため、横浜市の行政に対する忠誠度や思想、個人的関係など学問外の要因が評価に影響する可能性は小さくないし、被評価者が、そうした非学問的な要因や第一次評価者の主観的判断が評価に影響していると推測する可能性は高い。
 まして、横浜市立大学の場合、この評価制度は任期制と結合した「相対評価」だから、威力は相当なものになるであろう。その結果は、評価を上げて再任されるために、教員は、評価者や横浜市の意向に、学問的に、政治的に、社会的に、擦り寄ることを強要されることになりかねない。評価者や設置者の顔色をうかがい、批判的精神を失った研究・教育を行う大学は、大学が社会から負託された社会的責務に応ええないものに変質するといわなければならない。

(9)全員任期制の承認を踏み絵にしてはならない
 横浜市は、任期制度の導入を強行するために「任期制に同意しない教員については(助教授から教授などへの)昇任を認めない」方針である、と伝えられている。教員の昇任は、当該教員の研究・教育の成果に関する専門性をもつ教員集団を中心とした評価と適格性の判断によって決められるべき性格の問題である。「任期制に同意しないと昇任させない」という筋違いの条件をつけること自体、任期制が研究・教育の自由を侵害する怖れが極めて強いものであることを物語っている。

(10)「教員全員任期制・年俸制・評価制」の導入強行に反対し、中止と撤回を求める
 以上、私たちは、横浜市による市大への教員全員任期制・年俸制・評価制の導入強行に反対し、その中止と撤回を求める。それは「研究・教育の自由」を侵害するのみならず、市民の「言論の自由」の抑圧に道を拓くことになる可能性が強いからである。人事制度の変更については教員組合の同意をえること、教員の人事権、教学権については教授会に戻し、教授会の自治ならびに大学の自治を回復することを強く訴える。

2005年3月23日

「横浜市立大学問題を考える大学人の会」(・印呼びかけ人)
相原光(横浜市立大学名誉教授)、浅野洋(神奈川大学特任教授)、伊豆利彦(横浜市立大学名誉教授)、板垣文夫(横浜商科大学教授)、伊東昭雄(横浜市立大学名誉教授)、・伊藤成彦(中央大学名誉教授)、・今井清一(横浜市立大学名誉教授)、・久保新一(関東学院大学教授)、・田中正司(横浜市立大学名誉教授)、玉野研一(横浜国立大学教授)、津久井康之(専修大学教授)、土井日出夫(横浜国立大学教授)、田畑光永(神奈川大学教授)、中川淑郎(横浜市立大学名誉教授)、長谷川宏(東京都立大学教授)、平塚久裕(横浜市立大学名誉教授)、本間龍雄(東京工業大学名誉教授)、宮崎伸光(法政大学教授)、安田八十五(関東学院大学教授)、・柳澤悠(千葉大学教授)、矢吹晋(横浜市立大学名誉教授)、・山極晃(横浜市立大学名誉教授)、吉川智教(早稲田大学大学院教授)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月25日 01:19 | コメント (0) | トラックバック (0)
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横浜市立大学、任期契約に個別同意していない人が多数派 三学部で50%

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー(2005.3.24)
大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(3月24日)

横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー

(2005.3.24)

もくじ
●要求Ⅱを提出
●委任状の受け付け状況 同意していない人が多数派
●当局文書を批判する  同意書を提出しないのはあたりまえ
●看護短大学習会
●大学人の会、声明発表
●メディアが注目 各紙、市大問題を報道
●「2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求Ⅱ」全文(添付)
======================================

要求Ⅱを提出
時間・兼業・就業規則などについて

 当組合は、昨日、当局に対し、要求書「2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求Ⅱ」を提出しました。
 前回8日の要求書の後半部分にあたるもので、おもに、勤務時間制度、兼業規程、その他の規程類、および就業規則本則についての要求と質問を掲げ、回答を求めています。
 全体として、教職員の活動を制限し、不利益を与える、もしくは与えるおそれのある規定・制度、本人の自由な判断に委ねられるべきことを、理事長の裁量権限のもとに置こうとする規定が数多く、労使対等の原則にもとるという問題点を中心に、数多くの問題点、許されない点を指摘しています。
 当局は早急に回答し、交渉に入るべきです。(全文を7ページ以下に掲載)


委任状の受け付け状況
 八景、同意していない人が多数派 三学部で50%

 当組合は、任期制への同意を保留するさいに、個人に不当な圧力がかかるのを防ぐために、執行委員長宛てに同意についての委任状を提出するよう呼びかけています(本紙2月28日号)。
 23日現在の集計の結果、組合で受け付けた委任状のうち、金沢八景三学部(商・理・国際文化)所属の教員からの提出数は60となり、三学部所属の全教員数から転出予定者および中西執行委員長を除いた数120人(当組合推計。管理職・管理職就任予定者を含む。)の、ちょうど50%に達しました。さらに、組合に委任状を提出しようと思っているが、まだ出していない人や、委任状は提出しないが任期制に同意しないという人が多くいることを勘案すると、金沢八景キャンパス所属の教員のうち、半数を相当うわまわる数の教員が、当局設定の期限であった22日までには、任期制同意書を提出していないことは明らかです。
 もちろんほかの部局の教員からも多くの委任状が集まっていますし、同意しないつもりであるという人もますます増えている模様です。
 仲間は多いのです。安心して同意書提出をみあわせましょう。

当局文書を批判する
同意書を提出しないのはあたりまえ

15日文書

 前号(3月)で報じたように、当局は15日付で、任期制への同意を求める文書を教員に配布しました。この文書には、形式にも内容にも重大な問題と欠陥があり、およそ有効なものとはいえません。

同意する必要はありません

 この文書に応じて同意する必要はありません。
 任期制度案の内容が変わって、労働者として十分に納得できるものになり、かつ当局の行動のしかたが誠実なものへと変化すれば別ですが、当面、同意することは不利ですし、以下に示すように、同意を拒否しても不利になる可能性はそれほど高くはありません。
 また、当局は来年度途中での同意書提出も可としていますから、今後も様子を見ながら、ゆっくり検討すればよいのです。

多数が同意せず

 実数は把握できませんが、多くの教員が昨日の締切までには同意書を提出していないと思われます。同意を保留するための委任状も、しだいに組合に提出する教員が増えてきました(前の記事参照)。

返事をしない・撤回する

 引き続き、返事をしない、同意はしない、少なくとも保留、という方針を貫きましょう。
 また、こんなこととは知らずについ同意書を出してしまったという人は、同意が無効ですので、撤回することは法的に可能です。「しまった、撤回したい」と思ったら、組合に連絡を取ってください。
 以下、当局文書の問題点と、わたしたちとして注意すべきと思われる点を示します。

○同意を求めたこと自体不当

 当局が、現時点で個別に任期制への同意を取り付ける作業に入ったこと自体、不当であります。任期制を含む労働条件の変更については、当組合と交渉中、というよりは、ようやく交渉の前提としての条件案提示を当局が終えたばかりです。当局に対する当組合の要求は、誠実な交渉をすることをめざして、可能なかぎり早期に提出しています(3月8日)。それにもかかわらず、当局は交渉のプロセスを無視して、今回の行動に踏み切ったのであります。これは、単に道義的に不当であるばかりではなく、労働諸法令の定める、誠実交渉義務を無視する、不誠実な行動であり、当組合として断固、抗議します。
 また、このように交渉が進んでいないこととあわせて、当局の提示する制度内容は、曖昧であり、さまざまな問題点をどのように解決するのか、示されていません。条件が曖昧なまま提出された同意書は、労働契約として不完全であり、その有効性に重大な瑕疵があります。

○医学部における配布のしかた

 この文書は、金沢八景キャンパスでは、各教員自宅宛てに簡易書留郵便で送られ、看護短大では各教員の研究室に事務側から直接届けられた。それに反して、医学部では「所属」の教授をとおして各教員に手渡すという方法が取られました。なにゆえ、医学部においてのみこのようなしかたになったのか疑問です。すでに解体されたはずの「講座制」を利用しようとするもののようにもみえ、不透明なありかたです。

○同意を求める文書の性質に問題

 同意書には、松浦最高経営責任者名による「任期の定めのある雇用契約への同意について」という、同意を求める文書とともに、同最高経営責任者名の「任期制運用の基本的な考え方について」(以下、「考え方」)、ならびに個人別の年俸推計額表を同封しています。
 このことにも、以下のように重大な問題があります。

○任期制への誘導・同意しない者についての不利益変更による脅しは許されない

 「考え方」において、当局は、さまざまな点で、任期制を受け入れると有利になると宣伝しています。しかし、このような宣伝は、逆に言うと、任期制に同意しない者は不利益になると脅して、同意へと誘導する行為である。不利な労働条件を押し付けることによって、同意へと誘導することは、法の趣旨に反し、違法性があり、不当です。
 他方、以下に示すように、任期制の有利な点として示された事項も、実現しえないか、不当であって、到底容認しえないものばかりなのです。そのような事項は、当組合が粘り強く抵抗するので、その実現は当局にとってきわめて難しくなります。

・裁量労働制を利用する差別は不当、不可能
 任期付雇用の教員についてのみ、専門業務型裁量労働制を導入するとしています。しかし、裁量労働制を導入するかどうかということと、任期付雇用か否かということは無関係であり、両者を結びつける根拠に欠けます。裁量労働制を使って差別を設けようとするのであれば、不当であります。
 なお、裁量労働制については、労使協定を結ばないと導入できないことになっており、労働者の過半数代表者もしくは過半数労働組合との合意が必要です。一方的に、使用者が裁量労働制を適用することはできません。ちなみに、金沢八景キャンパスでは当組合が過半数労働組合となる見込みです。
 裁量労働制を取らない教員については、現状どおりの時間管理制度を実施するよう組合は要求していますし、現状よりも不利な制度に変更することは法的に許されません。

・兼業についても不利益変更は不可能
 裁量労働制とのかかわりで、任期付雇用のほうが、「兼業の機会もひろがることが考え」られるとしていますが、任期付雇用を選ばない場合に兼業をしにくくすることは、不利益変更であり、不可能です。兼業については従来どおり認めることは先月末の教員説明会で当局も述べています。そもそも、その根拠としている裁量労働制は上記のとおり、一方的には導入できません。

・給料増額における差別は不可能
 任期制を受け入れた者は、再任時に給料相当分の「増額の機会が広がる」ことが考えられるとしています。しかし、再任のさいには増額しない、あるいは減額となることもありうるので、なんの約束にもなっていません。また、任期付雇用のもとにない教員の給与については、当組合と使用者側の労使交渉を通じて決まるものであり、増額しないと当局が一方的に決定することはできません。

・昇任にさいしての任期制同意強制も違法
 説明会では、任期付雇用を受け入れないと昇任がないと当局は述べていましたが、今回の文書では、やや変更し、昇任のさいには任期制による労働契約を結ばせるとしています。これは、任期制に同意しないかぎり昇任させないということを結局は意味しており、今まで昇任の可能であった雇用条件を、昇任のない労働条件に変更するという不利益変更であり、違法です。

・海外出張・長期研修・研究費の面での差別は許されない
 当局はまた、海外出張・長期研修・研究費の面でも差を設けるとしていますが、このようなこともすべて不利益変更にあたり、許されません。
 また、任期制を受け入れることと、研究費等の事項は無関係です。後者は本人の利益のために行なうのではなく、研究・教育の向上のために行なうものであり、任期制を受け入れるかどうかと関連づけることは、大学の健全な研究・教育の発展を阻害することにもなります。研究・教育を任務とする大学の根本的な理念に配置する措置であり、到底、許されません。

○給与推計額は同意と無関係

 年俸制を導入した場合を想定した給与推計額を示す表が同封されていますが、給与額は任期制の同意・非同意と無関係です。
 なお、年俸制についても当組合との交渉を経ていない現在、年俸制導入を決定することは不当であります。

○当局案の任期制はキケン

 本紙において当組合が何度も示してきたように、任期制には大きな危険性がつきまといます。とりわけ、現在の当局案は、どのような基準で再任があるのか、どのようなプロセスで再任審査をするのかなど、重要な部分で不分明な点があまりに大きく、任期付教員が不当に雇い止めにされてしまうおそれがあります。
 「考え方」において当局は、任期制は「任期の期間の雇用を約束するもので、教員のリストラを第一義の目的としたものではありません。」と述べて、この制度がリストラにも利用できるものであることを、かえって示してしまっています。
 教員各位におかれては、任期制に同意する前にこうした問題と危険性をよくよく考えられるよう、切にお勧めします。


看護短大学習会ひらかれる

 8日、看護短期大学部において、野村執行委員(看護短大)の準備により、看護短期大学部に所属する非組合員を含めた教員を対象に、学習会が開催されました。
 看護短大の教員から多数の参加を得て、活発な議論がなされました。
 特に関心の集中した点は、任期制および、任期制非同意の問題、組合の委任状の意味、育児介護休業制度に関連する問題点などでした。いずれについても具体的で、重要な論点が提出され、教員をとりまく状況が明らかになりました。
 今後も看護短大や他の部局で、部局単位のこのような学習会を持ちたいと執行部では考えています。

大学人の会、声明発表

 昨日、「横浜市立大学を考える大学人の会」(呼びかけ人、久保新一氏ほか)は、声明「横浜市立大学の教員全員任期制・年俸制・評価制導入の撤回を求める 研究・教育の劣化を押しとどめるために」を発表し、中田市長、小川学長、宝田理事長予定者、松浦大学改革推進本部最高経営責任者に対して提出しました。
 全員任期制・年俸制・評価制の問題点を指摘し、その撤回を求めています。


メディアが注目 各紙、市大問題を報道

 本紙でも『朝日新聞』に市大の問題を報じる記事があったことを伝えましたが、今週に入り、各紙が市大問題に注目して報道しています。
 22日付け『毎日新聞』神奈版は、「横浜市大:教員の任期制導入で混乱」と、全員任期制導入にともなって現在、生じている問題を報じ、昨日付け『東京新聞』は、「競争力つくはずが・・・ 横浜市大 改革の責任誰に?」と、受験生志願倍率低下の問題と、教員流出の問題を報じています。
 わたしたちの直面する問題が、社会に広く認識されるようになってきたといえるでしょう。

「2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求Ⅱ」全文(添付)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月25日 01:18 | コメント (0) | トラックバック (0)
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横浜市立大学教員組合、2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求Ⅱ

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求Ⅱ 05-3-23
大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(3月24日)

2005年3月23日

横浜市立大学学長
小川惠一殿
横浜市立大学教員組合
執行委員長 中西新太郎

2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求Ⅱ

 すでに提出済みの当組合要求書「2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求」(本年3月8日付け)の後続部分をここに提出する。当組合の要求を受け入れ、また、誠実に回答することを求める。

6 勤務時間及び関連規程に関する見解と要求

◎教員の終業時刻を午後6時15分としていること(就業規則案第40条第3項)は、現行勤務時間よりも1時間拘束時間を延長するものであり、不利益変更にあたる。また、このように拘束時間を延長する合理的根拠は認め難い。現行どおりの勤務時間とすることを要求する。

 1月14日付要求においてすでに指摘したように、教員の終業時刻を1時間延長することは、たとえ休憩時間を法規どおり与えているとしても、拘束時間の延長を戒めた労基法の趣旨に反するもので認めることはできない。

 終業時刻を1時間延長する理由について、当局は、教員組合に対する2月15日付回答において、5限(午後4時10分~午後5時40分)の授業時間をカバーするためとしているが、この説明には合理的根拠がない。

 特定の教員が特定の曜日に行う5限授業の終了時刻を理由として終業時刻を一律に1時間延長する必要はない。教員の勤務様態に応じた時間管理を行うことで5限授業に対応することは十分に可能であり、また、その方が、すべての教員の終業時刻を延長するよりも合理的であるのはあきらかである。

 当局は延長保育等に問題について別途対応するとしているが、現行のままで対応できる終業時刻を延長したうえで、その結果生じる問題に別途対応するというのは問題の所在を逆転させる取扱である。

 現在行われている6限、7限授業について変形労働時間等の時間管理によって対応できるというのであれば、5限についても同様の扱いが可能であり、終業時刻を延長する特段の必要は存在しない。

○就業規則案第40条第4項において、「任期付教員については、労基法第38条の3に規定する手続を経て専門業務型裁量労働制を適用することができる」としているが、専門業務型裁量労働制を採用するかどうかは教員の勤務態様に応じて決定されるべき問題であり、裁量労働制の適用を任期付教員のみにかぎる規定は不適切であり削除すべきである。

 また、この規定を受けた「裁量労働勤務規程(案)」は、任期付教員にのみ適用させる案となっており、受け入れることはできない。

 当然ながら、「勤務時間・休日及び休暇に関する規程(案)」4条についてもこの趣旨にそって変更されねばならない。

○教員の勤務時間については、その勤務態様にてらし、6ヶ月、1年単位の変形労働時間制をふくむ変形労働時間制、裁量労働制等を適用できるとする規定が設けられるべきである。

○そもそも大学教員について裁量労働制を適用するか否かは労使協定により決せられ効力をもつのであり、当局が一方的に規程案として提示するものではない。「公立大学法人横浜市立大学職員の裁量労働勤務規程(案)」はしたがって労使協議のための労使協定案として提案されるべきものである。

 この点を確認した上で協定の内容を協議する用意はある。

○「裁量労働勤務規程(案)」第1条第2項における但書「職場秩序・勤務管理の基本的事柄についてはこの限りでない」の、職場秩序・勤務管理の基本的事柄とは何を指しているのか? 労基法第38条の3第3号は、裁量労働制をとる場合の労使協定事項として、「対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、当該対象業務に従事する労働者に対し使用者が具体的な指示をしないこと。」とある。このことと、前記但書とはどのように整合性があるのか? また、労基法に第38条において裁量労働制は計算上のみなし規定として導入されており、裁量労働時間に関する規定なのであって、但書にあるような勤務の規定にはなじまない。この但書を削除すべきである。

○「裁量労働勤務規程(案)」3条で、「深夜勤務・休日労働を行う場合は理事長の承認を得るものとする」としているが、実験等大学教員の研究活動について理事長承認をその都度得なければならないとするのは非現実的であり、専門業務の遂行を阻害する。これを削除するか、あるいは「使用者は裁量労働制を採る労働者の健康管理に注意する」という文言に変更すべきである。

○「裁量労働勤務規程(案)」5条後段の「服務に関する定めを遵守」する旨規定は裁量労働制の規定としては不要である。前段の出退勤管理については、就業規則40条の勤務時間規定に付随させ、「裁量労働制が適用される職員においては厳正に出退勤を自己管理する」旨記しておくべきである。

○年次有給休暇の取得について、「公立大学法人横浜市立大学職員の勤務時間・休日及び休暇等に関する規程(案)」13条5項は、「理事長が特に必要と認める場合」のみ「半日を単位とすることができる」としている。現行の有給休暇取得と同様の扱いとし、「理事長が特に必要と認める場合」という要件によらず半日単位の取得を可能とすべきである。

 また、教員の勤務態様の特性から授業コマ単位の取得を可能とするよう要求する。

○「公立大学法人横浜市立大学職員の育児・介護休業等に関する規程」2条は、期間雇用者であって育児休業の対象となる者について、「3歳到達日から1年を経過する日までの間に、労働契約期間が満了し、かつ、更新がないことが明らかである者」を除外している。当局の任期制規程においては助手の再任を1回限りとしているため、上記規定によると、再任後は育児休業の申請ができないこととなる。これは更新回数を限定している任期付教員とりわけ助手に対するきわめて不当な差別であり容認できない。改めるべきである。

○また、この場合、昇任の可能性が存在していることからして、「更新がないことが明らかである」とは言えないとみなしているのかどうか、明確な回答を要求する。

○介護休業についても上記と同様の問題が生じる。


7 兼業規程に関する見解と要求

 「公立大学法人横浜市立大学職員兼業規程(案)」は、以下に示すように、およそ教職員が勤務時間外に行う市民活動のすべてにたいし理事長の許可を求めさせようとするものであり、兼業規程の趣旨を逸脱する恐れがある。

○同規程案2条における「職」「業務」の範囲は無限定か、それとも一定の範囲を想定しているのか?

○同規程案4条「職員は、あらかじめ理事長の許可を得て兼業を行うことができる」という規定は、定義における「職」「業務」範囲を無限定とすれば、憲法上認められた市民活動の自由を侵害することとなるが、そうできる根拠は何か?

 この点についての回答次第では、あらゆるサークル、市民活動団体・組織への参加が規程上、許可を求められることとなる。

 2月28日教員説明会における松浦CEOの説明では、「兼業」に従事する頻度等で差異があるとしたが、規程上ではそのような差異は規定されていない。また、頻度を要件とすれば、たとえば、毎週末少年野球チームの監督ないし審判を務めるような場合には許可できないということになるのか?

○同規程12条1項3号における「法人格を有しない団体」の範囲は何か? 労働組合は「法人格を有しない団体」にふくめているか?

 規程案は、同条2項における除外例を除き、ここで規定された団体の役員に就くことを禁じている。これは2項に列挙されている以外の幅広い団体への参加を禁じるものであり、認め難い。

○同条2項における「理事長の許可」要件は、教員組合役員についても及ぶことになるが、これは団結権の不当な侵害にあたる。

 また、この規定は、学会役員等について理事長の許可なく就任できないことを明記しており、各種の学術、文化団体に対する不当な干渉を謳っていることになる。

◎営利企業以外の団体における兼業については、公立大学法人職員としての責務に反しないものであることを条件として職員の自由裁量に委ね、必要な場合に届出等の扱いとすべきである。そのさい、とりわけ許可を必要とする兼業、許可しない兼業については、その根拠を明確に説明したうえで、特に規定しておけばよい。

○同6条2項における「理事長が指定する金額を超える報酬等」の「指定する金額」とは具体的にどれだけの金額か?

 また、金額を決定する基準は何か?

○同7条における「旅費等実費」とは旅費以外に何を指しているのか?

○同条における「法人の利益に資するもの」とは、12条~20条における兼業のどの範囲、どの種類を指しているのか?

同17条5項「法令又は条例で、学識経験者からの意見聴取を行うことを義務づけられている場合」、これに応じることすらも理事長の許可事項とするのは、いちじるしく教員の公的活動を阻害することになる。この場合の兼業は、大学の業務に支障がない時間数については、その時間の基準を明示しつつ、許可を不要とすべきである。

○大学の非常勤講師を務める場合従来どおりの扱いとする旨、教員説明会において説明があったが、高等教育機関としての大学が当該大学常勤スタッフの対応できない分野について非常勤職を不可欠とし相互協力を行っている事情から、これは当然のことである。この趣旨から「賃金支給等の例外」として大学等教育研究機関における非常勤職等、教育・研究に関する職・業務について規定しておくべきである。

8 その他の規程類に関する見解と要求

① 退職規程について

○退職規程における通算手続についてその考え方と原則を示すよう求める。

② 安全衛生管理規程について

○以下のように文言を修正して、正確な表現とせよ。

・第1条「この規程は・・・、職員の健康増進と安全衛生の確保を・・・」を、「職員の健康保持増進と安全衛生の確保を・・・」に。

・第3条「職場における安全と健康の保持増進に…」を、「職場における安全の確保と健康の保持増進に・・・」に。

○各種管理者等の業務内容・権限を明記すべきである。

・第7条の「総括安全衛生管理者」の業務内容を明記すべきである。たとえば、同上第1項の「業務」を「安衛法第10条第1項の定める業務」とするべきである。

・第8条の「衛生管理者」の業務内容を同様に明記すべきである。

・第10条「衛生推進者」の業務内容を同様に明記すべきである。

・第12条「産業医」の業務内容を同様に明記すべきである。

・また、「産業医」の権限を明記すべきである。産業医が理事長または総括安全衛生管理者に対して勧告し、または、安全衛生管理者等に対して指導、もしくは助言することができるとし、理事長または総括安全衛生管理者は、前項の勧告を受けたときは、これを尊重しなければならないとすべきである。

○安全衛生委員会の運営に関する第17条において、労働安全衛生規則第23条第1項により、安全衛生委員会を月に1回以上開催することを明記せよ。

○下記の各種管理者等の選任のしかたについて、どの機関の推薦に基づき、どの機関が任命するのかを明記せよ。

・第8条の「衛生管理者」

・第10条の「衛生推進者」

・第12条の「産業医」

③ セクシャル・ハラスメント規程案について

○以下の問題点を解決するために、修正もしくは撤回せよ。

 セクシャル・ハラスメント規程案は、全体として不備であり、大学の実態と矛盾するものとなっている。

 特に、規程の目的を示す規程案第1条、「この規程は[・・・]セクシュアル・ハラスメントとの防止および排除のための措置並びにセクシュアル・ハラスメントに起因する問題が生じた場合に適切に対応するための措置に関し、教員、職員等関係者[・・・]の利益の保護等を図るため、必要な事項を定めるものとする。」という定めは、大学においては教職員のみならず学生の利益の保護を掲げなければならないという大学の実態を無視しており、到底認められない。

 就業規則この条、および同様の問題のある条項を修正するか、もしくは、この規程自体を撤回し、当面のあいだ、就業規則の関連条項では、既存の「横浜市立大学セクシュアル・ハラスメントの防止と対策に関するガイドライン」を職員が遵守すべきことを定めるのみにすべきである。

④ 教員評価制度に関する要求と見解

 教員評価制度に関して、前回提出した組合の疑問、要求について当局はほとんど回答していない。

○未回答の部分を回答するよう要求する。

○協議、折衝なく教員評価を強行することは許されない。

 教員評価制度について、とりわけ教員処遇にかかわる規定、内容をあきらかにし、必要な協議・折衝を行ったうえで、実施手続きについて協議するよう要求する。

 「実施するなかで改善していきたい」という回答は、評価制度に不可欠な試行期間をおかず、今年度からいきなり評価を実施するということであり、認められない。

○今年度試行に入るという提案であれば、試行の内容、範囲、全面実施までのプロセスを明確にし、必要な協議を行ったうえですすめるべきである。

9 就業規則(案)にたいする見解と修正要求

① 全体について

雇用者と被雇用者を拘束する就業規則

 就業規則は、労働者の服務のみを定めたものではなく、仕事遂行における雇用者(大学法人)と被雇用者(教員、職員)の守るべき規則を労働現場における両者の対等性保持を考慮して定めるものである。雇用者側がその指示、命令を一方的に正当化するために定めるものではない。就業規則案は労働者が守るべき規則に偏重しており、また雇用者の裁量範囲が非常に広く規定しており、雇用者が守るべき規則とのバランスがとれていない。

○労働者に義務づける事項をより限定し、雇用者の裁量範囲をより限定すべきである。

大学における就業規則の特性

 大学という労働現場に適用される就業規則は、大学としての根本的社会的使命である「知の継承と発展」の主たる担い手である教職員が最大限かつ多様にその能力を発揮できるものでなければならない。この観点からみると、

○就業規則案は、教職員の活動を制約し、萎縮させる項目が多く見られる。そのような項目を修正もしくは削除せよ。

○大学の他の規則(学則や学内規定)との整合性について何も述べていない。明示すべきである。

規則の適用手続の透明性

 上記(1)でも述べたように、雇用者の裁量範囲が非常に広い就業規則案は、被雇用者にとって規則の遵守を正当化できるものではない。規則の適用の公平性、客観性、公開性が確保される必要がある。

○そのために、利害関係者すべてがその規則適用の過程を知ることができ、かつ、その事実自体を第三者が知ることができる透明性を確保せよ。

職種別の規定が必要

 本就業規則の概要は、教員、看護士、技術吏員、一般職員などの区別をせず、「職員」とひとつにまとめて扱う規定となっている。これら職種の相違はひとつにまとめて扱うには大きすぎる。

○項目によっては、職種別の規定とすべきである。

② 個別条項について

採用(第7条)

 第7条で扱われる一般職員の採用と教員の採用は、その選考過程が大きく異なる。研究・教育の専門上の評価は面接、経歴評定、筆記試験ではできない。また、「その他の選考方法」では採用審査の公平性が疑われる。

○教員採用については別の定めを置くべきである。

試用期間(第9条)

 第9条の定める6か月の試用期間は法的に許容される(雇用上の不安を労働者に与えない)限度の期間である。なぜ、これほどまで、長い期間を試用期間とする必要があるのか? 

○第9条の試用期間は、法的に許されるより短い期間とすべきである。

○第1項但書「ただし、理事長が必要と認めたときは、試用期間を短縮し、又は設けないことができる。」について。試用期間はその趣旨からいえば、職種や職務内容によって客観的に決まってくるものであり、理事長の裁量で左右されてよいものではないので、明確な規定を設けるべきである。

労働契約の締結(第10条)

○ 第10条第2項の「理事長は、前項に定めるほか、任期付教員又は任期付大学専門職が[・・・]再任、[・・・]昇任及び[・・・]降任となった場合は、当該職員との間で労働契約を締結する。」とある部分については、再任・昇任のさいに、新たな労働契約によって雇用条件・労働条件を引き下げることのないよう、また降任のさいには十分に合理的な範囲を越えて引き下げないよう規定を設けるべきである(8日要求書4の③のDを参照せよ)。

○ 同条第3項、「横浜市から法人に引き継がれた教員[・・・]との間で、その同意に基づいて、期間を定めた労働契約を締結する。」を削除せよ。承継の職員について新たな労働契約を結ぶことは必要なく、また、有期雇用契約しか結ばないこととする規定は、本人同意なしに期間の定めのない雇用を有期雇用に切り変えることを予定した文言となっており、違法である。

労働条件の明示(第11条)

○ 第11条第2項の規定において、任期付教員・任期付大学専門職の再任・昇任・降任のさいに労働条件を明示するにあたって、勤務条件・労働条件を引き下げないよう規定を設けるべきである。

評価(第13条)

○第13条「勤務実績等について評価を」の「等」は曖昧であるので、削除すべきである。

昇任(第14条)

○昇任決定が公平性、公開性、客観性、透明性をもつ様にするための手続を規定すべきである。第14条第1項の「職員の昇任は理事長が行う。」では、すべて理事長の恣意にゆだねられることになり、許されない。

○第14条第2項の「勤務実績等の評価に基づいて行う。」の「等」は削除すべきである。

降任(第15条)

 第15条の扱う降任のような、職員の雇用労働条件に大きな影響を与える決定については、公平性、公開性、客観性、透明性をもつ手続が必要である。

○第1号については、「勤務成績が良くない場合」の「良くない」ことの客観的基準を示すべきである。

○第2号については、セカンドオピニオンを含む医師の診断書などを要することなど、厳格な手続きを規定すべきである。

○降格についての不服申し立て手続、その審査手続、再決定の手続を明確に規定すべきである。

○第4号の「組織改廃により職制を廃止する必要がある場合」は整理解雇四要件を満たす場合に限ることを明記するべきである。

職員の配置(第16条)

○第16条に「法人の業務上の必要に基づき本人の適性等を勘案して」とあるが、本人の意思も勘案の対象とし、事前に過半数代表者あるいは過半数労働組合もしくは労働者の過半数代表者との協議する事項とすべきである。

異動(第17条)

○第17条の扱う異動も労働条件の大きな変更となるから、一方的に雇用者側が決定し、労働者側に服従義務を負わすことはできない。異議申し立て、その審査の手続を規定するか、事前に過半数労働組合もしくは労働者の過半数代表者と協議する事項とすべきである。

○第17条第2項の「職員は、正当な理由がないときは、前項に基づく命令を拒否することができない。」は、職員に正当な理由があるときには、同条第1項に基づく命令を拒否することができることを意味するのか? 労使の対等性を保障するために、正当な理由がある場合に、職員に異動を拒否する権利を保障すべきである。

赴任(第18条)

○第18条第2号の定める赴任の命令についても、第17条と同様に、本異議申し立て手続きを規定し、労働組合、労働者過半数代表との協議事項とすべきである。

退職(第23条)

 第23条退職となる場合を列挙するなかで、第1号において「退職を申し出て、理事長から承認された場合」を挙げている。しかし、退職を申し出た場合、すなわち辞職の意思表示をした場合、使用者の承諾の有無にかかわらず、民法627条1項の定めにより、一定期間を経て労働契約は終了する。それゆえ、辞職にさいして理事長の「承認」を要するかのごとき表現は、法の趣旨に反する。

○第23条第1項の「理事長から承認された場合」を、「理事長に受理された場合」とせよ。

退職手続(第24条)

 第24条第1項は、教員が自己都合により退職するさい、「退職する日の6か月前」に理事長に申し出ることとしている。退職の告知は、期間の定めのない契約の場合、民法627条が適用され、原則2週間の告知期間が必要であり、期間の定めのある場合、民法628条のいう「已むことを得ざる事由」あるときは、直ちに契約解除ができる。また、有期労働契約においては労基法137条により、当該労働契約の初日から1年を経過した日以後においては、使用者に申し出ることにより、いつでも退職が可能である。さらに、この告知期間は就業規則で短縮はできても、延期はできず、無効となる。6か月前の告知義務は違法である。

○退職の告知期間は、民法627条および労基法137条の規定に反しない期間とすべきである。

解雇(第29条)

 第29条第2項の解雇要件のうち、

○第1号においては、専門医の診断にはセカンドオピニオンを認める旨明記せよ。

○第2号については、「勤務成績が著しく良くない場合」の客観的基準を示せ。示せなければ削除せよ。

○第3号の「事業の縮小又は組織の改廃、その他やむを得ない業務上の都合により剰員が生じ、かつ他[に]適当な配置職務がない場合」という規定は、解雇権の濫用を招く。整理解雇四要件を満たす場合に限る旨を明記せよ。

職務専念義務(第33条)

○第33条第2項は、「職員は、法人の利益と相反する行為を行ってはならない。」となっており、「法人の利益」というが、大学法人は利益、利潤をあげることを目的としている訳ではない。また、法人格は大学という組織を効率的に運営するための手段であり、「法人」とすべきではない。「大学の理念、目的」とすべきである。

○同条第3項の「法人がなすべき責を有する業務にのみ従事しなければならない。」という規定は、誰にも到底文字通りには実行できない事柄である。はじめから遵守できないことがわかっている規定を定めるのは法的拘束力をもつものとして不適切である。職務専念義務に関しては一般的表現にとどめるべきである。

○同項の「法人」を「大学」とすべきである。

服務心得(第34条)

○第34条第1項に「職員は、この規則、関係規程又は関係法令を遵守し、上司等の指揮命令に従って、その職務を遂行しなければならない。」とある。しかし、教員の活動のほとんどは、上司等の指揮命令に従って行なわれるものではない。教員については少なくとも別規定とし、「上司等の指揮命令に従って」の部分を削除すべき、あるいは他の表現に改めるべきである。

禁止行為(第35条)

○第35条第1号「法人の信用又は職員全体の名誉を傷つけること」は、表現を改め、「法人の信用又は職員全体の名誉を傷つけるような行為」とせよ。誤解を招く表現である。

○同号における「法人」は「大学」あるいは「大学あるいは法人」とすべきである。

○同条第2号の守秘義務に対し、認められるべき例外として、内部告発制度の規定を設けるべきである。

○ 同条第4号「その他法人の秩序及び規律を乱すこと」を削除せよ。職員の権利を不当に侵害するおそれがある。

○同号における「法人」は「大学」あるいは「大学あるいは法人」とすべきである。

文書配付・集会(第37条)

○「職務と関係のない」集会、文書・図画配布を制限する第37条を削除せよ。

 大学における自由な言論活動を制限する条文である。大学構成員(教員、職員、学生)すべては、判断力ある大人(市民)として行動している。大学の規則に明らかに反するものでないかぎり、集会、言論は認められるべきであって、使用者側がみだりに規制してはならない。しかも、「職務と関係がない」か否かの判断は悉意的になる。

セクシュアル・ハラスメントの防止(第39条)

○第39条については、本要求第8章③を見よ。

勤務時間(第40条)

○第40条については、本要求第6章を見よ。

研修(第48条)

○第48条では、教員の長期にわたる海外研修などの機会がどのように保障されるのか不明である。研修規程によって明記すべきである。

懲戒(第9章)

○懲戒に関して、公平性を担保するために、適切な手続きを定め、懲戒審査会を設置するなど、懲戒の手続きを公正に行うための制度的枠組みを作れ。

○懲戒審査会を設置する場合、労働者側の代表として、労働者の過半数代表者もしくは過半数労働組合の代表者を加えること。

懲戒の事由(第50条)

○第50条の懲戒事由の第5号「法人の名誉又は信用を著しく傷つけた場合」において、「法人」を「法人あるいは大学」とし、「法人あるいは大学の名誉又は信用を著しく傷つけるような行為に及んだ場合」とせよ。大学のありかた、方針、制度についての自由な議論を抑圧するおそれがある。

○同条6号「素行不良で法人の秩序又は風紀を乱した場合」を削除せよ。「素行不良」、「法人の秩序」、「風紀」はいずれも曖昧な概念であり、恣意的な解釈によって不当に職員の権利を制限するおそれがある。

○同条8号「私生活上の非違行為や、法人に対する誹謗中傷等によって法人の名誉を傷つけ業務に影響を及ぼすような行為があった場合」を削除せよ。法人に関する自由な言論を圧殺する規定である。

○同条第9号「又は前各号に準ずる違反があった場合」を削除、もしくは限定的な表現に改めよ。このような曖昧な規定があると、恣意的な解釈によっていくらでも職員の権利を制限することができることになる。

不服申し立て(第53条)

○第53条の定める懲戒への不服申し立てにさいしての再審議については、第三者が加わり、客観性、公開性、公平性、透明性が確保された審査委員会の規定が就業規則の一部として定められるべきである。

○ 前項の審査委員会においては、公平性を担保するために、労働者の過半数代表者もしくは過半数労働組合の代表者を加えること。

○ 不服申し立て期間が7日と異常に短く設定されており、不服申立制度として機能しない。公平性と合理性を確保するために、より長い期間とせよ。

10 就業規則案及び関連規程類についての協議・交渉

○就業規則案及び関連規程類について、今回要求した事項の他に問題点、疑問が生じた場合、組合の要求に応じ協議、交渉を行うこと。

○1年後に規則、規程を見直し、必要な変更、改善を行うこと。見直しにあたっては組合との協議を行うこと。

11 新任人事における任期制誘導の違法性

○「期間の定めのない雇用」教員の転出・退職に当たり、後任人事を労基法14条にもとづく有期雇用契約に切り換えることは、同条改正の趣旨にあきらかに反するものである。(「今回の改正を契機として、企業において、期間の定めのない契約の労働者の退職に伴う採用や新規学卒者の採用について、期間の定めのない契約の労働者を採用することとしていた方針を有期契約労働者のみを採用する方針に変更するなど有期労働契約を期間の定めのない労働契約の代替として利用することは、今回の改正の趣旨に反するものである」労働基準局長通達「労働基準法の一部を改正する法律の施行について」)

 当局は労基法14条改正によって有期雇用契約への切り換えが可能となったとしているが、これは上記通達にてらし、労基法14条改正を悪用した典型例とみなされる。

12 学則の整備と検討及び大学自治の原則に立った教員の自律的検討の保障

○教育研究等、大学教員の業務を遂行するに当たっては、大学自治の原則に立ち、学則に則った制度整備が必要とされる。教学組織による適正で民主的手続きにそった学則等の検討・整備ぬきに大学組織及び運営をすすめることは許されない。

 以上、要求する。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月25日 01:07 | コメント (0) | トラックバック (0)
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横浜市立大、「改革を強行した人々は今こそ得意の”経営責任”を示すべきである」

スポイチ編集長日誌(3/24)

■2005/03/24 (木) そろそろ市大版”恫喝文書”の出番ですかな

すべての発端となった例の”赤字幇導”を出した某地方紙が、今頃になってまた、志願者半減という事態を他人事のように、あまつさえ”大学の宣伝不足”だけに原因があるかのように書いている。これもまた「決めたのは大学です」(だから責任も大学にあるんです)という官僚の責任転嫁に向けて援護射撃でもしているつもりなんだろう。見え透いている。
”改革”の初期に”単科プ(略)カレッジ化・任期制導入”というレールを敷いた人間と、既に”レール”が敷かれたところへやってきて”改革”に従事している人々とは、責任の重さや質は等しくはない。特に、市大”改革”の初期段階では事務室潰しとか三学部消滅に典型的に見られるように、破壊衝動の発露の方が顕著であった。これは、市大に赴任させられた事自体が不満で、なんとか市大から出て行きたい、ダメならブッ壊してしまえ、という”革新”官僚たちが中心となって”改革”をリードしていたからである。”廃校”報道もこの辺の連中の仕掛けだろう。
一方、学部事務室などの「大学自治」を担保していたと言える土台部分の破壊に成功した人々が市大を去った後は、とりあえず市大は存続させておいて、今度は”教員任期制”などの学内権限奪取の方向に”改革”はシフトしている。なぜなら彼らは独法化の後も市大に居続けなければならないからで、2001~2003年頃に活躍した革新官僚らのように、無責任に市大を潰すなどとは言えないのである。
だが、受験者半減という事実でもって外から”改革”に対する一つの意思表示がなされた以上、これを強行していた立場の人々は今こそ得意の”経営責任”を示すべきである。さあ早く。しかし本当に責任を負うべき立場の人々は自分の責任を自覚すらしていないだろう。どころか”やはり大学内部に任せておいてはダメ”、という論理により学内の教員から人身御供でも出させるのか。これまでの市大改革が完全に行政機構の上意下達で強行されてきたことは既に明らかになっている。この上なおも大学内の教員へと責任転嫁する気なのか。いずれにせ、”トップダウン”の名の下、官僚からの責任転嫁と圧力が一層強まるのは間違いない。
ここはクビ大の猿真似でもして”受験者半減やマスコミによる批判は改革に反対していた教員の責任”というマジックでも出すんですかね。もしそれをやれば中田政権は名実共に”市民派”の看板を降ろしたことになる。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月25日 01:06 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年03月24日

横浜市大、役人の机上の論理でつくった改革 受験生半減、教員去り 責任は誰に?

■東京新聞(3/23)
学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●『東京新聞』 特報 (2005年3月23日付)経由
[上記報道に対するコメント]
大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(3/23)
公立大学という病:横浜市大時代最後の経験 更新雑記(05/3/23)

横浜市大 改革の責任誰に? 競争力つくはずが… 受験生半減、教員去り… 需要調査せず机上の論理で

 全国の国公立大学のなかで、最大幅の出願者減少―。四月から新体制になる「横浜市立大学」の入試状況が芳しくない。横浜市大の競争力をつけるための改革だったが、現実は受験者はほぼ半減。大学関係者からは「大学のレベルダウンは避けられない」との危ぐの声も出ている。教員の流出も相次ぐ。横浜市大の前途は―。

受験生半減、教員去り…

 中田宏横浜市長は今年の年頭所感で「改革の成果が問われるのは、世界に貢献する人材を輩出し、地域の誇りとなる大学になることだ」と発言。今月の記者会見でも「市大はもっとも期待する大学」と強気に述べた。しかし、その将来に疑問符をつける声もある。

 今春の受験で出た数字が悪すぎたからだ。出願者は前年の四千六百五十四人から、今年は二千四百二十人と半減した。昨年、大学全体で定員に対する出願倍率は七・九倍だったが、今年は三・七倍と半減以下。全国の国公立大学のなかで最悪の数字だ。

 当然、学部の入試倍率も大幅に下がった。大学改革で、前年度の理学部、商学部、国際文化学部が国際総合科学部(理学系、経営科学系、国際教養学系)に統合される。同系統で比較すると、①理学部四・八倍→理学系一・九倍②商学部五・九倍→経営科学系三・〇倍―と半減している。

 受験大手のベネッセコーポレーション担当者は「これだけ倍率が下がると、かなり入試が易しくなっているのではないか。合格者のレベルが下がっている可能性が高い」と分析。別の受験関係者は「理学系が二倍を切っている。また、合格者が私立大学に流れた可能性もある」と危ぐする。

 市大の佐藤真彦教授は「将来性に見切りをつけた複数の理学部四年生が、大学院の進学先を、すでに合格していた市大から他大学へと志望変更する連鎖反応も起きている」と指摘する。

 大学改革の目的の一つに「優秀な教員の流出防止」が掲げられたが、実際は改革が流出を加速させているという。佐藤教授らの調査結果では、過去三年間の退職者五十六人のうち、定年以外の退職者が75%を占めた。

 佐藤教授は「日本中世史の泰斗、今谷明教授(現・国際日本文化研究センター教授)の流出をはじめとして過去三年間に合計四十二人が流出し、本年度だけでも十四人の教員が去る。今月末の流出予定教員の中には、現・前学部長などの幹部教員も含まれている」と指摘する。次の就職先が決まらないまま、横浜市大を去る教員も複数いる。佐藤教授もその一人だ。

 昨年四月、他大学に移ったT教授は「ある学問分野では、自治体が改革を断行した横浜市大と都立大学の先生が他大学の公募に殺到し、いすの取り合いになっている」と内情を語る。市大理学部の一楽重雄教授も「具体的に他大学から話があれば、出て行きたい教員ばかり」と話した。

 横浜市の担当者は、受験者減少の理由について「二次試験が本年度入試から、論文だけになった。それで受験者が避けたのでは」と説明。「副理事長予定者が『来年度も倍率が落ちれば責任を取る』と明言している。体を張ってやるということ」と決意表明した。

「需要調査せず 机上の論理で」

 それでもT教授は「表向きは『学生のための改革』だが、実際は役人の机上の論理でつくった改革。今回の数字で、お客さん(受験生)の需要調査をやっていないことがよくわかった」と切り捨てる。一楽教授も当局の姿勢をこう批判する。

 「大学改革過程の後半になって参加した副理事長予定者が責任を取るというのは筋違い。今回の改革は誰が責任を持って行ったのか、実際にリーダーシップを取ったのは誰であったのか。はっきりしない。誰も責任を取りそうにない」


(大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌3/23より,上記記事に対するコメント)

3月23日(2) 東京新聞記事が掲示板等にはりだされていた。「改革の責任 誰に?」、「受験生半減、教員去り・・・」。

それをスキャンして(1と2に分割して)リンクを張ると同時に、資料として保存しておこう。今回の改革が、歴史的に積み上げられてきた改革の実績を踏まえ、それを発展させるとということになっているのかどうか、教員の内発的改革意欲を結集したものかどうか、この2年間問い続けられてきたことが改めて問題として提起されているといえよう。この点は、下記(本日日誌の(1)参照)の「スポイチ編集長」の主張するところと重なる論点であろう。 トップダウンで迅速にやれば画期的な改革が実現できるというものではないことは、今回の「改革」が明らかにしたのではなかろうか。

いまなお、制度設計として深刻な問題を抱える「任期制」に差別的処遇を掲げながら同意を迫るなど、教員の士気をそぐような「決定」事項が目の前にぶら下げられている。記事の中で一楽教授が、「具体的に他大学から話があれば、出て行きたい教員ばかり」とはなしているのは、こうした士気阻喪状態の別の表現である。

これで、どうして優秀な教員があつまるのだろうか?教員組合が提示したさまざまの重要な問題点に応える姿勢は、いまのところないのである。教員組合と話し合いを始めた段階で、任期制への同意だけは求めるのである。差別をちらつかせる高圧的行政的なやり方である。やり方そのものを関心ある全大学人が見ているのである。

優秀な人材が集まらないでどうしていい大学となるのだろうか?

今いる教員が安心感と意欲を持って、前向きに努力できるようなシステム設計でないとき、どうしていい大学となるのだろうか?

『東京新聞』の記事の最後に総合理学研究科の一楽教授の発言として、「実際にリーダーシップを取ったのは誰であったのか。はっきりしない。誰も責任を取りそうにない」と書いている。たしかに、そうした面はあるが、これまでのところ、「あり方懇」(市長諮問委員会・市長任命の7人の委員)の路線(「国際教養大学」化路線、学部統合路線、3学部統合による予算削減路線、そして教授会自治・大学自治の限りなき削減・破壊、市長任命の経営陣による大学経営)が貫徹した、ということはいえるのではないか? 先日の4月以降の大学と法人の組織説明会においても、参加した教員から一番強く出た指摘、繰り返し出された疑問点は、大学の自治、学問の自由に関する諸論点であった。教員の権限、それに対応する責任の相互関係がまったく不明確なのである。経営サイドの答弁では、「権限と責任」の相互関係さえわかっていないものがあった。身分保障に戦々恐々とする教員、そうした教員がほとんど権限を持たないシステム(責任だけは負わされるシステム)、それでいい大学は作れるのか?

行政当局任命の経営陣と、それによる「経営」に「協力」する教員による大学運営。そこでは、大学教員集団の自主性・自立性・自律性は切り刻まれている。東京新聞の記事が問題とする今年度の「受験者数の半減」、レベル低下の予測などに関して言えば、問題が教授会などできちんと報告され提起されるということがなかった。たとえば、AO入試など、いったいどのような入試方針でやっているのか、どこでその入試選抜方針が議論されたのか、すくなくともわれわれふつうの教員にはまったく知らされていない。推薦入試はどうか? 「指定校」制度が今年度導入されたが、それも一度も教授会審議を経ていないと記憶する。「過去三年間の実績」なるものがいかなる基準であり、いかなる妥当性を持つのか、どのようなことを議論したのか、少なくともわれわれ一般教員は知らない。

トップダウンの決定が下された後、われわれはその実務だけに駆り出されるのである。

政策・制度の決定に参加する、決定において権限を持ち、したがって執行において責任を持つ、という自治・自律のシステムにはなっていない。一度も教授会で審議事項になったことがないのである。その教授会さえ、来年度はどうなるか? トップダウンが可能な構成になっている、と私は考える。18日の説明会における多くの疑問もその点に集中したと考える。

AO入試をやるということも、「あり方懇」答申や経営サイドからの決定、ではないか? 文書に当たって検証する必要があるが、少なくとも、教授会で審議し、決定した記憶はない。「新しい学部の入試であり、新しい学部の教授会は存在しない」ということで、やられてきたのが実態であろう。

今年度のような入試のやり方(教授会審議抜きのやり方)が来年度以降もつづけば、かつて大問題になったような(たとえば、昨日、40年勤務した本学出身のある職員の退職祝賀会で配布された資料によれば、60年安保ころの問題として、「大学民主化闘争、林学長代行問題、不正入試」とある)不明朗さが問題になるのではなかろうか? そうした危惧をすでに何人かの人から聞かされたが、その危険はあると考える。


公立大学という病:横浜市大時代最後の経験 更新雑記(05/3/23)より,上記記事に対するコメント)

05/3/23 22日付け毎日新聞神奈川版、23日付け東京新聞が独法化直前で混乱している市大を取りあげていることをネットで知る。特に東京新聞は、昨年「改革」について批判的に論じ中田市長を激怒させたにもかかわらず、再度批判的観点から舌鋒鋭く伝えている。きちんと中田市政下の問題伝えてくれるメディアがあるのは、本当にありがたい。
 多くのメディアが石原都政、中田市政の翼賛メディアとなり、世間受けするイメージだけを伝えている。特にテレビ朝日のサンデー・プロジェクトはひどい。あまりにも無批判にすぎ、再選のためのプロモーションビデオを見ているかのようだ。しかし、多くの国民はそれを信じている。現場から遠く離れた地方に住むようになり、私にはそうした現実がよくわかるようになった。対抗的メディアが地方には存在していないのである。
 同記事中に、この改革に「体を張っている」という役人の言葉が出てくるが、改革のしわ寄せは全て教員に向う。実際、改革の余波で定員割れとなった大学院の入試(二次募集)が先週の土曜日に行われたが、当日サポートする事務職員はほとんどいなかったと伝え聞いている。決めるのは役人、ツケは全て教員にということであろう。
 永岑先生のホームページで、市大在籍時随分とお世話になった事務職員の方の定年退職を知る。市大の卒業生でもあり、長きにわたり商学部の事務を実務面から支えてきた方だ。氏の本年度での退職は、一つの時代の終焉を象徴するかのようである。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月24日 01:12 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年03月23日

横浜市大、教員の任期制導入で混乱

毎日新聞(3/22)

 4月に地方独立行政法人化する横浜市立大学(小川恵一学長)が、教員の任期制導入をめぐり揺れている。終身雇用から有期雇用への転換で、大学側は「裁量労働制で自由度が高くなり、他大学との兼業が可能になる」などアピールに必死だ。任期制を拒否しても雇用は継続されるが、「待遇に差が出るかも」と教員側は戦々恐々で、22日の同意書提出期限を前に混乱が続いている。【渡辺創】

 同大は、市の大学改革の一環で地方独立行政法人移行が決まり、18日に文部科学省に設置者変更などが認可された。教員評価制度、年俸制とともに任期制を「大学活性化に不可欠」と改革の根幹に位置づける。法人化に伴い、改めて雇用契約を結ぶため、大学側は任期制を前提に就業規則などを提示。約600人の教員に任期制への同意を求めている。

 大学が配布した文書では、任期制を「一定の任期中に目標の達成、成果、業績を上げ、再任時に反映する仕組み」と説明。▽勤務時間の管理に融通が利くことによる兼業▽大学の理念に賛同したことによる管理職就任▽評価機会の拡大による昇任▽海外出張、長期研修、研究費の優先--など“アメ”を提示する。ただ、任期制では契約時の職級で、3年もしくは5年の任期が決められ、更新回数も制限される。

 一方、任期制を拒否した場合は、「任期の定めがない契約」となり、「終身雇用を担保するものではないが、正当な解雇理由がない限り、雇用は継続される」(市大学改革推進本部)という。ところが、2月末の説明会で大学側の担当者が「同意しなければ、1年後の解雇要件となる」「(非同意者は)昇任の対象としない」などと発言、撤回するなどして混乱した。教員組合などは、拒んだ場合の対応を明確にするよう求めている。

 大学側は移行初年度の措置として、任期制への変更のみ05年度中は受け付ける方針。新たな採用者はすべて任期制となる。同大教員組合の中西新太郎委員長(国際文化学部教授)は「各教員は判断によって、差を付けられることに不安を持っている。同意書を出せと言われても、今の段階で判断できない教員が多い」と話している。


[同ニュース]
横浜市大:教員の任期制導入で混乱 他大学との兼業可能/待遇に差出るかも(Yahooニュース版3/22)

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横浜市立大任期契約同意問題、「それならばなぜ職員は任期制にしないのか」

市大最強スポーツ紙の裏日誌より

■2005/03/21 (月) 擦り寄る方が処世の上ではよいとは言うけどさ1

 ……八景キャンパスは「カネがなくってねー」の一言でなかば放置されてきたとはいえ、ここ20年程だけ見ても、医学部キャンパスが新設されたり、文理学部が国際文化と理学部に分れたり、大学院の設置とか学術情報センター計画とか環境ホルモン研究施設などを造ったのは、新しい時代へ対応しようとする市大独自の動きだったはずである。
 ところが、今言われている”改革”では、”地域への貢献”とか”市が有する意義のある大学に生まれ変わる”だとかスローガンは盛んだけど、この人たちは具体的に何をどこまでやれば”市に貢献”したとか”意義”があると認めるのだろうか。また、そのためになぜ”教員任期制”というものが必要で、それならばなぜ職員は任期制にしないのか。
 そもそも”普通にやってれば再任される”んなら任期制にこだわる必要ないんじゃね?という当然の疑問に対するまともな説明を聞いたことがない。というよりポスト乗っ取りが目的だから説明できないし、”貢献”とか”意義”とか言ってもほんとは何も考えてないんだろ。
 しかも彼らは、最初に書いたような市大内部での既存の「改革への動き」に対するまともな評価というものをやっていない。なにかと”総花的”とか批判する前に、そういう歴史的経緯について知っているのだろうか。
 過去や現状への分析が適当なまま”少子化・全入時代の到来”みたいな未来予測図だけでもって”どう変えるか”というプランのこねくりにばっかり御執心なもんだから”改革”の方向性がメチャクチャなのも当然だ。
 本来ならば、少子化でまず慌てるのは、毎年定員割れ常連の底辺校が先であって、そういうところが率先して”偏差値にとらわれない””オンリーワン”だの”地域貢献”だのと言い出すところをなぜか市大が蛮勇を奮ってやってしまっている。げえ。本当であれば、”あり方懇”はそういう論議の場として機能すべきだった。

■2005/03/21 (月) 擦り寄る方が処世の上ではよいとは言うけどさ2

 ところがご存知の通り、実際の”あり懇”では、ちょっと市大を肯定的に評価したり、まともな意見が出そうになると、すかさずチャチャを入れて議論を誘導していた人物がいましたね、約二名。あれでは患者のどこが悪いのか、よく調べもせず適当にメスをざくざく入れるヤブ医者のようなもんである。で、「失敗しちゃったー」となれば患者血だらけのまま放置で逃走。こういうことするやつらの特徴として、”現状復帰の可能性を徹底的に排除する”という性向を持っていることが挙げられる。つまり、「これ失敗じゃん」と誰かが気づいても、絶対に元の状態に復元できないように組織や機構を完全に破壊して回るということだ。学部事務室を二度と復活できないように、予算がないと言いながらちゃっかり事務棟を改修したりしたのはその典型。
 これってPCに例えるなら保証がまだ残ってるのに「俺のじゃないし~」とか言って変なフリーウェアとかどかどか入れた挙句に復元ポイント全部破棄して、ついでにリカバリCDも叩き割って逃げちゃうようなもんでしょ。こんなことやる奴は最低野郎、狂気の沙汰である。
 だがそういう狂気の沙汰を、市大は今まさにやられている最中なんである。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月23日 00:38 | コメント (0) | トラックバック (0)
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横浜市立大の課題、神奈川新聞社説の論調

神奈川新聞(3/12社説)

ちょっと古くなりましたが,横浜市大の今後に課題について論ずる神奈川新聞社説が3月12日付けでありましたので下記に掲載します。

■「新生市大」の課題

 公立大学法人化に伴って学部を再編した横浜市立大学がこの四月に新たな船出を迎える。二〇〇九年の開港百五十周年に向けて新たな施策や市民協働を模索する中でシンクタンクや人材供給などの重要な役割を担う。「横浜市が大学を持つ意義」を高めていくことは市大関係者の義務でもあり権利でもある。市民や企業などに対して今まで以上に強力なリーダーシップを発揮してほしい。
 「大学新生」に当たってはカリキュラムなど学内の充実を急ぐことに加え、対外的な新たな課題も浮上している。市内にキャンパスを持つ二十七大学(短大含む)が十四日に発足させる常設連携組織「大学・都市パートナーシップ協議会」への対応である。
 少子化の下、大学の生き残りは容易ではない。同協議会には、ライバル関係にある大学間を連携し、さまざまな形で市民への知的資源の還元を進めながら横浜のブランド力を高めていく狙いがある。中田宏市長は「『横浜をより良くしていく』という市大の設置目的に沿っている」と説明。市大と〇五年度に新設される都市経営局大学調整課とが協力して応援していく方針を明らかにしている。
 そこで問われるのが市大の発信力である。開会中の市会審議で市大側は今後の広報広聴について「ホームページ、受験専門誌などを通して新大学をアピールしていく」と答弁しているが、いまひとつ戦略が見えてこない。細かい話だが、商・国際文化・理学の三学部を統合して誕生する国際総合科学部の入試が先ごろあった。「第一期生」を目指す受験の場面は「新生市大」をアピールする好機なはずだったが、新聞やテレビなどへ取材を促す動きはなかった。広報にせよ情報収集にせよもっと前へと出るべきではないか。
 国際総合科学部の志願者倍率は三・六倍で統合前の三学部合計(六・八倍)を下回った。単純に比較はできないにしても、「入試方法が変わったことによる受験生の戸惑い」(大学側の市会答弁)だけに原因を求めるのは早計にすぎないか。広報戦略などをきちんと総括し、来年以降に生かしていくことが必要だ。
 もう一つは在校生への配慮である。一連の大学改革はこうした学生たちの理解なくして進まなかった。市大側は現在の学部体制での学習機会を保障し、きちんと世に送り出していく方針だが、ぜひ徹底してほしい。
 横浜市内の大学生数は八万二千人で全国の大都市(東京二十三区除く)では三番目の規模。そのネットワーク化だけでも大変な人的資源となる。協議会活動へ期待が集まるゆえんである。横浜市と関係の深い市大が学内充実を進めつつ各大学の思いや提案も的確に受け止めて、行政サイドとのパイプ役となることを期待したい。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月23日 00:30 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年03月22日

横浜市立大、任期契約への同意書問題 一つの山場

「公立大学という病:横浜市大時代最後の経験」より

公立大学という病:横浜市大時代最後の経験、更新雑記(3/19)

 任期付の雇用契約への同意書の締切日が来週火曜日に迫り、一つの山場を迎えているようだ。昨日の更新雑感にも書いたように、当局は任期付きに同意しない教員への雇用・研究・教育条件の悪化を謳った文書を出して、教員を追い込もうとしている。任期付きを選ばないのであれば、相当の嫌がらせや不利益を覚悟しなさいよと脅した文書である。
 にもかかわらず、ある人からの情報によれば、教員組合には相当数の委任状が集まってきているらしい(聞いた範囲では、その数は当局に誇示できる規模に達しており、本来ならば組合がその数を発表すべきだとも思うが、何らかの戦術上の理由から発表していない可能性もある。したがって、ここでの深入りは避けておく)。4月1日以降の闘いを進めるためにも是非、一人でも多くの教員が組合に委任状を出すことを望む。
 他方で、新体制の下で要職に就く教員たちによる切り崩しも進められているようだ。医学部では教授によって同意書が配下の教員に配られたことが知られているが、他学部でも有力教授の権力を用いた同意書提出の圧力がかかってきているという噂を聞いた。
 委任状はまさにこうした個人的圧力を跳ね返すためにある。もし市大教員の方で不安を感じている人がいるならば、かつて組合が行った「自らの雇用を守るためになすべきこと」(第1弾第2弾)をも読んで、その対応を考えてもらえればと思う。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月22日 01:55 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年03月19日

横浜市立大学、新たな差別を生み出す任期(有期雇用)契約への同意書

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●横浜市 大学改革推進本部 最高経営責任者 松浦敬紀:(1)「任期制運用の基本的な考え方について」(3月15日付)、(2)同「任期の定めのある雇用契約への同意について」(同日付)、(3)当該個人の平成17年度年俸額推計表(省略) 05-3-18

 2つの目標・側面から大学の社会的意義を訴え,それを達成する上で任期制が必要である旨説明する文章としては,見事なほど官僚的であり,無内容に感じる。教員は事前に説明を受けたとはいえ,これを読んで新たな有期雇用契約に同意することには,大変な抵抗感をもつだろうと想像する。
 民間会社をアナロジーにとれば,雇用期間の定めのない正社員全員を一旦契約社員に変え,そのなかで一定期間内に業績をあげた者を元の正社員の身分に戻すといった取り扱いである。これを「リストラ」と言わずして,何というのだろうか。そもそも営利企業でさえあり得ないこのような極端な人事政策が,大学の世界であたかも活力を生み出す手段であるかのように主張されるのには驚く。

 2つ目の文書である「任期制運用の基本的な考え方について」は,有期雇用契約に対する個別同意の有無がもたらす差別待遇が主張されている。ここでは,個々人にとって「メリット」とも「デメリット」とも受け取れるような内容が見られる。例えば,任期付き雇用者には,「専門業務型裁量労働制を導入され」,おまけに医師には「1か月変形労働時間制」が無条件に導入される。明示的ではないが,個別同意に応じなかった者は,裁量労働制は適用されない?(実際の運用において,労働時間管理を任期のありなしで別の取り扱いができるのか大変疑問である)。これらの制度は基本的に残業規制の緩和を目的とする時間管理であり,有期雇用契約に同意する者にとっては,何らかの歯止めがない限り踏んだり蹴ったりの措置であろう(因みに,「専門業務型裁量労働制」を導入するためには,労働者の過半数を代表する者の書面協定が必要である。横浜市大ではそのような労使協定はあるのだろうか)。
 他方,任期契約に同意するか否かで,賃金増の機会拡大,管理職就任の可能性,海外出張や長期研修などの際の優先度,教育研究費の付加給付など,明確な待遇条件上の差別が主張されている。これらは任期契約同意への労働条件上の誘導というよりも,拒否者に対する恫喝に近い。(ホームページ管理人)

平成17年3月15日

教員各位
横浜市大学改革推進本部
最高経営責任者 松浦敬紀

任期の定めのある雇用契約への同意について

 新たな大学においては、市が有する意義ある大学として、市民が誇りうる、市民に貢献する大学となること、さらには、発展する国際都市・横浜とともに歩み、教育に重点を置き、幅広い教養と高い専門能力の育成を目指す実践的な国際教養大学となることを目標としております。
 この2つの目標を実現するため、「教育重視・学生中心・地域貢献」という基本方針のもと、大学を自主的・自立的に運営し、教育・診療・研究の活性化及びその水準の向上を図ることを目指しております。
 横浜市立大学の公立大学法人化は、単なる公立大学法人への衣替えではなく、併せて教育システムの大胆な改革を一体的に推進するなど、新しいしくみに対応する制度設計も同時に行い、教育面及ぴ運営面を一体として改革を推進し、大学自らが、時代の要請に、より迅速に応えることができる、活力ある大学にして行こうとしているものであります。
 新しい法人では、こうした新たな大学の目標を達成すぺく、総合的な教員評価制度のもと、年俸制や任期制という3つの制度を一体とする新たな人事制度の構築を進めております。
 この新たな人事制度の大きな柱の一つが任期制であると考えております。
 さて、公立大学法人横浜市立大学における勤務条件につきましては、これまで、就業規則(案)等をお示しするとともに、1月及び2月に開催したキャンパス別の説明会でお話ししてきたところですが、新たに導入する人事制度のうち、任期の定めのある雇用契約を締結するためには、教員の皆さん一人ひとりの同意が必要とされています。
 つきましては、別紙「任期制運用の基本的な考え方について」及び「平成17年度年俸推計額」をご覧の上、これまで私が、皆さんにご説明申し上げてきたことなども考慮していただき、別紙の同意書に自署または押印の上、次の期限までに、大学改革推進本部事務局(大学改革推進課)へ提出してください。

1 提出期限
平成17年3月22目(火)

2 提出先
大学改革推進本部事務局(大学改革推進課)
※病院に所属されている方については、病院管理部を経由して提出していただいても結構です。
(代表問合先)
電話787-2412担当中山・倉本

3 その他
(1)今回は、あくまでも任期制の適用に同意をいただけるかどうかを確認するものです。
(2)したがって、期限までに回答がない場合は、任期の定めのある雇用契約に同意していただけなかったものとみなして扱います。
(3)なお、移行初年度の扱いとして当面の間、年度途中でも任期の定めのある雇用契約への変更を受けることとします。この場合の任期の始期は、平成!7年4月とします。

平成17年3月15日

教員各位

横浜市大学改革推進本部
最高経営責任者 松浦敬紀

任期制運用の基本的な考え方について

 新しい法人では、教員評価制度のもと、年俸制、任期制という3つの制度を一体とする新たな人事制度の構築を進めております。
 説明会においてもお話したとおり、個々の教員ばかりではなく、大学全体として、教育・診療・研究の活性化及びその水準の向上という目標の達成に向けた、この新たな人事制度の大きな柱の一つが任期制となっております。
 法人との間において、一定の期問を定めて雇用契約を締結する、いわゆる「任期制」につきましては、優れた人材を確保するとともに、多様な知識や経験を有する教員等の交流の活性化を図るなど、大学全体としての教育・診療・研究を進展させることを期待しております。
 このため、教員の皆さん一人ひとりにつきましては、任期という一定の期間に目標の達成をはじめ成果や業績をあげていただけるよう期待しております。
 私としても、皆さんが任期の期間において、目標の達成をはじめ成果や業績をあげていただけるように、支援等を行っていきたいと考えております。そのことを十分に考慮していただいて、任期の定めのある雇用契約への同意をいただきたいと考えております。

<任期制運用の基本的な考え方>
 任期制は、教員評価制度をはじめ、年俸制と一体として運用することにより、教員一人ひとりの教育・診療・研究活動の水準を上げ、専門分野・キャリア開発の契機としていただくとともに、組織の様々な活動への参画、目標達成への努力等によって、大学における教育・診療・研究の地域社会への貢献等の水準の向上や質の向上に寄与できるものと期待しております。
 任期制は、その運用にあたり、一定の任期の中で、目標の達成をはじめ成果や業績をあげていただき、その評価を再任の手続きに反映していく仕組みでありますが、これまでも説明してきたとおり、「普通にやっていれば再任される」制度として運用していく考えであります。
 任期制は、任期の期間の雇用を約束するもので、教員のリストラを第一義の目的としたものではありません。

 新しい大学においては、勤務時間管理等、新たな人事制度のもと、適正な制度運用を図ってまいりますが、任期制に同意していただいた方に対しては、大学の目標・計画に沿づて一体となって活動いただく点や任期期間中に一定の成果・業績をあげることが求められることから、制度運用の中で、様々な形で支援してまいります。

例えば、

○任期付雇用の方は、教員自身の行動計画に併せた時間管理を行いやすくするため、労基法第38条の3第1項第1号に該当する業務を行う方を対象に専門業務型裁量労働制を導入します。なお,任期の有無に関わらず附属病院及び附属市民総合医療センターにおいて,医師として職務を行う方については,1か月変形労働時間制を導入します。

○任期付雇用の方は、任期の更新時に年俸額の給料相当分についても見直しが行われるので、給料相当分の増額の機会がひろがることが考えられます。

○裁量労働制や変形労働時間制の中で、時間管理が行いやすくなった結果として、兼業の機会もひろがることが考えられます。

○任期付雇用の方は、大学の管理職に就任し学内貢献をしていただく機会がひろがることが考えられます。

○任期付雇用の方は、いろいろな面で評価の機会がひろがりますので、自ずと評価結果に反映され,テニュア教授への就任も含めた昇任等の機会がひろがることが考えられます。
なお、昇任審査は本人の意向を確認の上、行いますが、現職が期間の定めのある契約か期間の定めのない契約かどうかに関わらず、昇任となった場合については、新たな職位において、新たな職位の任期の期間に基づく新たな労働契約を締結することになります。

○任期付雇用の方は、海外出張や長期研修などの際にも、優先度を上げて承認等をしていくことが考えられます。

○基本的な教育研究費の支給に差は設けませんが、上積みとしての付加給付の交付に当たっては、任期付雇用の方には、優先度を上げて交付していくことが考えられます。

 新しい組織に生まれ変わる横浜市立大学が、横浜市にとって必要な存在意義を有し、市民に理解され、横浜市とともに発展していくために、教員の皆さんも責任感と危機感を持ち、共通の目標に向けて教育・診療・研究に取り組んでいただきたいと思います。
 新しい法人では、同じ船に乗る者として、新しい人事制度の定着を図り、法人化後の基礎、土台をしっかりと構築し、予想される大学教育界の激しい変化を、ともに乗り切っていきたいと考えております。ご理解、ご協力を賜りたいと思います。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月19日 00:10 | コメント (0) | トラックバック (0)
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横浜市立大教員組合、「待ってください! 任期制に同意する必要はありません」

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2005.3.18)

待ってください! 任期制に同意する必要はありません。

15日、当局(横浜市大学改革推進本部)は、任期の定めのある雇用契約への同意を取りつけるために、同意書用紙を、松浦最高経営責任者名による説明文書など[1]を同封して、各教員に配布しました。[2]

 任期制導入を含む労働条件の変更については、当組合との交渉が始まったばかりであり、いまだじゅうぶんな交渉を経ないまま、当局が同意書用紙配布によって任期制導入の手続きに入ったことは、きわめて不当であり、誠実交渉を行なっていないと言わざるをえません。当局に対してここに抗議します。
 また、このような文書が来たからといって、任期制に同意する必要はありません。署名捺印するまえに、この新聞を読んで考えてみてください。

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 [1] 横浜市大学改革推進本部最高経営責任者松浦敬紀「任期制運用の基本的な考え方について」(3月15日付)、同「任期の定めのある雇用契約への同意について」(同日付)、当該個人の平成17年度年俸額推計表。このような文書の配布に法的問題がないか検討中です。
 [2] 八景キャンパスでは各教員自宅まで簡易書留で郵送されました。福浦の
 医学部では、所属の教授を介して配布が行なわれ、看護短大では各教員の研究室に届けられました。医学部での配布方法についても、今後問題になるでしょう。
----------------------------------------------

任期制に同意しなくてもよい

 あらためて確認しますが、任期制は本人の自由な判断にもとづく同意があった場合にのみ導入できます。そのさい労働条件を不利益変更してはならないですから、任期制に同意しなくても、雇用は継続され、給与も支払われるのです(当局も2005年度については、今年度の給与水準と変わらないとしています)。

あまりにも多い不備 ―いま同意する必要はない

 当組合が、要求書においても述べているように、現在当局が提示している任期制の内容は、さまざまな問題点が解決されておらず、あらかじめ明らかにされなければならない事項も明らかになっていません。任期制を受け入れる用意のある人にとっても、現在の案のまま同意するのは危険すぎます。

 制度内容の重要な点が明らかになっていない以上、少なくともじゅうぶんに制度の内容が明らかになるまで、同意については保留する人が多いことは当然です。当局もこのことを認めざるをえず、同意書提出の一応の期限を22日に設定しているものの、年度途中にも受け付けるとしています。今は同意しないでおいて、ゆっくり様子を見てもなんの問題もありません。

差別待遇・不利益変更は許されない

 当局は同封の文書において、任期付雇用を選んだ教員に、いくつかの点で有利な条件のあるとしています。しかし、これは任期制に同意しない教員を差別し、不利益を与えることであり、法制度上も許されることではありません。また、なかにはそもそも法制度上、実施不可能な事項もあります。このような差別は、組合に結集して闘うことによって阻むことができます。(詳細は次頁)

とにかく出さないでおくほうが

 このように、どう考えても、いま同意する必要はありません。同意してしまうと不利ですし、同意しなくても不利にはなりません。
 同意は待ってください。
 ここに挙げたようなことをよく検討したうえで、それでも同意したほうがよいと判断された場合には問題ありませんが、少しでも悩んでいる場合には、諾、否いずれの返事もする必要はありません。とにかく今は、同意書は出さないでおくほうがよいでしょう。

組合は委任状を受け付け中

 いまは回答を保留したいのに、有力な職員・教員が圧力をかけてくるということも考えられます。そのような不安のあるかたは、是非、組合執行委員長に、任期制への合意に関する委任状を提出してください(説明は本紙3月2日号にあります)。回答をしないですますことができます。

(裏面のQ&Aもごらんください。)


任期制についての素朴な疑問 Q&A

<シリーズ第1弾>

 「同意書」は22日までにあわてて回答する必要はありません。教員がまとまって行動すれば不備な条件を改善・撤廃させる力になります。ぜひ教員組合に委任状を出しましょう。

Q1「同意書」が郵送されてきましたが、もし任期に同意しない場合、雇用はどうなるのでしょうか?

 法人化によって従来の身分はそのままで(有期雇用ではなしに)公立大学法人横浜市立大学に移行することが法律によって認められています。当局も、本人の同意のない場合には従来のままでの身分移行であることは認めています。ですから、任期への同意のない場合には、身分は自動的に移行されます。
 他方、任期に同意しますと有期雇用に変更されます。その場合には、自動的に再任されるわけでなく、雇用主である法人によって再任が拒否される可能性が生じてきます。つぎのQ2で触れますが、学会でも学問的力量が認められ、社会的にも嘱望されて「普通」以上に仕事をしていた京都大学の井上先生が、任期に「同意」していたとして再任を拒否される事件が起きています。

Q2「普通にやっていれば再任する」と言っていますが、本当に大丈夫ですか?

 「普通にやっていれば再任する」と当局はさかんに言っていますが、この言葉はある事件を思い起こさせます。「普通に、まともに仕事していれば、定年まで何度でも再任される」と説明を受けて任期に「同意」させられ、このことを根拠に任期満了と言うことで再任を拒否された事件です。現在、裁判が続けられています。京都大学再生医学研究所の井上一知教授は、日本再生医療学会の初代会長を務め、再生医療の研究業績で国際的に高い評価を受ける研究者です。
 一流の専門家7人によってつくられた外部評価委員会で再任の審査が行われ、委員全員の一致で再任が認められたのです。しかし、研究所は再任を不当に拒否したのです。この事件は、その経過においてきわめて不明瞭・不当な性格のものですが、しかし、任期制という制度の危険性を世間に知らしめてあまりあるものです。

Q3 井上事件の時には、専門家の外部評価委員会が一致して可としたのにそれでも再任拒否となってしまいました。提案されている審査制度で大丈夫でしょうか?

 「普通にやっていれば再任する仕組み」にすると当局はずっと言って来ました。ですから、教員のそれぞれが任期に同意するかどうかを判断しようするときに、この「普通」ということをどのように判断するかは大変に重要な意味を持つ訳です。
 しかし、任期規程には審査の「事項」は列挙されていても審査基準は明示されていません。
 そうなると誰が何を「普通」と判断するのか。
 身分に関わる判断が明確な基準の規程にではなく、「教員人事委員会」の判断に委ねられてしまうという恣意的なものになってしまうのです。しかも、この「教員人事委員会」の構成などについても任期規程にはまったく触れられていません。ですから、任期規程においては本質的に重要な機能を担うべきこの委員会はまったく恣意的に構成され、そのうえ「普通」がさらに恣意的に判断される危険性をもっているのです。
 しかも、当局は「任期の再任審査について」という説明文書では「5段階の相対評価」を行うと言っています。となりますと、相対評価ですから、「普通」をクリアーできない教員の存在が必ず想定されることになります。つまり、再任不可の教員層が一定数常に想定されてしまうことになるのです。これは、当局の主張との整合性という点でも、きわめて不合理な制度設計といわざるを得ません。

* シリーズ第2弾では、<再任不可の時、異議申し立てはどうなるのか?><同意しないと不利になることはないのか?><任期途中での転職はできるのか?><任期付きの場合、育児や介護休業はちゃんととれるのか?><任期制で昇任はどうなるのか?>・・・等々の疑問を考えてみます。
* 任期問題、その他の雇用条件に関して具体的な疑問を沢山お持ちと思います。
どのようなことでもぜひ遠慮なく教員組合までお寄せください。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月19日 00:09 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年03月18日

横浜市立大、“懲りない面々”による「恥の上塗り」

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●“懲りない面々”による「恥の上塗り」:こんどは、部局長連名での「小川学長の名誉教授推薦」案が評議会で否決

 “懲りない面々”による「恥の上塗り」: こんどは、部局長連名での「小川学長の名誉教授推薦」案が評議会で否決

 「小川学長の名誉教授推薦」という“悪い冗談”のような事案が去る3月3日の総合理学研究科委員会で流れてしまったことはすでに述べた[1]が、なんと、こんどは部局長の連名で「小川学長の名誉教授推薦」案が評議会に提出され、しかも、みっともないことに僅差で否決されてしまったという[2]

 “懲りない面々”がよってたかって学長に「恥の上塗り」をした形になったが、小川学長にとっては、「名前が後世に恥辱にまみれたもの」にならないために[3]、あるいは、「大学史上決定的な汚名を負う」ことにならないために[4]、「学長が自己の過ちを認めて辞職する以外に道はない」との度重なる辞職勧告[5]を無視し、しかも、あくまで「大学自身が決めた」と強弁する中田市長の主張[6]が大ウソであることを『東京新聞(2004年4月20日付)』紙上で“正直に”認めてしまい[7]、“市長の逆鱗”にふれるという“大失態”により、1年の任期を残してあっさり解任[8]されたあげく、今回の“懲りない面々”との共謀にも失敗して、結局、「“名誉”教授」の肩書きにしがみつく姿勢だけが顕わになるという惨憺たる結末に終わったことになる。
-------------------------------------------------------
脚注

[1]
「小川学長の名誉教授推薦」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050305meiyo.htm 

[2]
(1)「3月評議会私的報告」05-3-17
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050317came33-ichiraku.htm
(2)永岑三千輝氏『大学改革日誌』2005年3月17日
http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/SaishinNisshi.htm 
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050317nagamine.htm

[3]
「小川恵一学長への手紙」03-12-22
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031223came-11.pdf 

[4]
「学長との往復書簡 第1信」03-12-25
http://homepage2.nifty.com/tizu/daigaku/gakutyou1.htm 
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031226izu-mail.htm 

[5]
(1)「小川学長の即時辞任を求める声明」03-8-22
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/030822gakuchojinin.pdf 
(2)「私の個人的な意見 市大の学長は辞職すべきだ」03-11-14
http://homepage2.nifty.com/tizu/daigaku/kojintekiiken.htm 

[6]
(1)「中島議員の質問に対する中田市長の答弁 平成16年横浜市会 第3回定例会 議事録(2004.9.14)より」04-9-14
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040914gijiroku.htm 
[中島文雄]
・・・これでは、大学みずからの改革を口にしながら、大学評議会、教授会を排除しての改革であり、大学の総意どころか、自治のかけらも見られないと言わざるを得ません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)・・・
[中田 宏]
・・・質問そのものはあれとしまして、誤解を生じるところだけ私はきちんと申し上げておきたいと思いますが、(「最初の質問に答えてから」と呼ぶ者あり)大学みずから変わることができない、それが今までだったからこそ大学に改革を求めてきたわけであって、まさに大学の中からの意見というものをしっかりと出すように私は何度も言ってきて、そして大学自身の改革を求め続けてきたわけであります。改革プランについても、大学自身が学内でのさまざまな議論、それは賛否から含めて議論はあったでしょう。(「大学推進本部に入れればいい」と呼ぶ者あり)その議論を通じてまとめ上げてきたものであって、それを私が勝手にやったかのような言い方というのは実に事実認識として間違っているというふうに言わざるを得ません。(私語する者あり)大学改革そのものに反対、反対の大合唱をしてきて、共産党とつながりの深い先生もたくさんいらっしゃるでしょうけれども、より建設的な意見をしっかりと言う中で大学改革について議論を深めていただきたい。(「そんなことを聞いているんじゃないの」と呼ぶ者あり)そのことを事実認識として、前提が間違っているので私としてはきちんと申し上げてから答弁をしなければならないと思います。・・・

(2)「“市民派”中田市長の“官僚的”不誠実回答――“横浜市大問題”関連資料集――」04-7-14
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040718nakada-siryou.htm 
(3)「中田市長の “東京新聞報道は 『完全に誤報』 発言” を検証する」04-3-3
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040303gohou.htm 
【中田市長の『誤報発言』(要旨)】:『あそこに書いてあることは、完全に誤報のたぐいである。もしも誰かが言ったことをそのまま書くのが新聞であるというならば、それは、泥棒の理屈も全部載せてあげるべきである。私は、横浜市大の負債ということを理由に改革を持ち出したことはない。密室で決めたことは一度もない。すべて皆さんも見ていたはずである。全部、議論は一字一句、私は出している。それに、トップダウンでやっていない。市大自身がこういう改革をやりたいという報告をこちらに出してきた。・・・あれは誤報である。・・・事実関係が異なっていることを誤報というのである。・・・負債というバランスシート上の話を持ち出したことは、私は一度もない。』

[7]
『東京新聞』2004年4月20日付 カリキュラム変更で競争力強化? 波紋広がる横浜市立大 学生側 「専攻課程がなくなる」 教員に続き院生も流出 大学側 「トップダウン必要」 改革断行「内部だけでは無理」 「結果で正しさ証明」 市長の意向、学長認める
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040420tokyoshinbun.pdf  
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040420tokyoshinbun.htm  

[8]
「横浜市立大、学長にストロナク氏・公立大初の外国人」04-9-3
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040903katayama-gakucho.htm 
http://university.main.jp/blog/archives/001755.html 


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月18日 02:30 | コメント (0) | トラックバック (0)
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横浜市立大学、最後の評議会

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(3月17日(2) )

************************************************
横浜市立大学の未来を考える
『カメリア通信』第33号

2005年3月17日(不定期刊メールマガジン)
Camellia News No. 33, by the Committee for Concerned YCU Scholars
***********************************************

3月評議会私的報告

理学部 一楽重雄

 しばらく、評議会の報告をしませんでしたが、これまでの評議会には審議事項はなく、いつも報告事項だけで、その他の事項として教員説明会の報告などがありましたが、それらもほとんど議論になることもなく、ほとんど意味ある内容はありませんでした。

 昨日が、おそらくは横浜市大最後の評議会です。「学則の廃止」という審議事項がある旨前回の評議会で通告されていましたので、この件で少し議論しようかと思っていたのですが、実際には別なことで議論となりました。

 それは、小川学長の名誉教授の称号の授与という審議事項です。これは、今月の総合理学研究科委員会で、研究科長から推薦の提案があったけれど、多くの教員の意見によって、科長が提案を取り下げたと聞いていましたので予測していないことでした。今回は、各学部からそれぞれ名誉教授の推薦が出ていました。まず、それらが学長の議事のもとで「異議なし」ですべて認められました。そして、学長が退席しS副学長が議長となって学長への称号授与の審議が始まりました。推薦書として、いわゆる平評議員以外の管理職評議員(多分全員)の名前を連ねたものが出され、それを書いたS研究科長が内容の説明をしました。そして、質疑に入ったので私は2点質問しました。「通常なら教授会の推薦があるが、それがないのはどうしてか?」、「 推薦に名前を連ねている人たちには、肩書きが入っているが、教授会の決定ではないだろうと思うので、個人として推薦しているのか?」という2点です。これに対して筆頭の提案者でもあるS副学長が「総合理学研究科委員会では、研究者、教育者としては名誉教授としてまったく問題ないが、学長としての問題について主として議論がされてしまったので、研究科長が提案を取り下げたと聞いている。小川先生は学長としても難しいときに大変な努力をされ、研究者としては研究科委員会としても認めているように立派な方である、それらを総合的に判断して欲しい。名誉教授の称号付与に関する規程○条○号により推薦する。」というようなことが言われました。(記憶があいまいで、これらの内容の一部はもう少しあとの議論だったかもしれません。)O副学長からは「小川先生は、学者としても学長としても大変立派な方であるので、医学部の先生と話し合って推薦した」と立場のはっきりした言明がありました。

 私は「規程○条○号」の意味内容がよく分からなかったので、そこを質問したところ、この規定は学長のみに適用されるもので、教授会の推薦の有無に関係なく評議会で決められるという規程である旨の説明がありました。その後、多分このあたりのタイミングであったと思うのですが、T評議員から「そうであるとすれば、この推薦書には学長としての部分が最後の数行しか書かれていない。これが、学部教授会の決定をくつがえすに足るものとは思えない」といった趣旨の発言がありました。S副学長からは、「研究者・教育者としては研究科委員会も認めている、学長としても立派であった」というようなことが繰り返され、学長としての立派さの内容に渡ってまで説明されました。私は、「そこまで議論するの?」と不規則発言をしたりしましたが、その後、学長としてであれば問題があるという趣旨を少し述べたように思います。しかし、さすがに、私自身も評議会の場で学長としての行動が許されないものであったということを侃々諤々に議論しようとは思っていなかったので「4月以降に名誉教授にすることはできないのですか」と質問しました。これは、結局は「学則などがまだ確定していないので、どうなるか分からない、したがって、今日やりたい」ということでした。このとき、評議会のメンバーではない事務局員から「なぜ今日できないのか、むしろ、先送りするというならその必要性をまず言うべきだ」という発言がありました。「部長から先送りする理由について質問があったので言いますが、小川学長は、ある時期から教員の代表として行動していないと一般教員は思っている、そのようなことを考えると、これには賛成できない」と私が言いました。これに対して、S副学長から「学長に対して失礼だ」などと発言があり、私は評議会の議論として発言しているのであり、そのような発言こそむしろ私に失礼だと反発したりしましたが、それはそれほど意味のあることではなかったでしょう。

 このほか、授与に消極的な意見や質問が2,3あった後、O副学長から「私は反対する理由がわからない、先に進めてください」という発言があり、T評議員から「投票を提案します」ということで投票に移ることになった。

 議長は、まず「挙手で採決したい」と言ったのでしたが「私は投票を提案した」とか「教授会では無記名投票だ」という発言(あるいは不規則発言)によって投票となりました。そして、投票用紙が配られましたが用紙は白紙ではなく、そこには小川学長の名誉教授称号授与投票用紙とかなんとかきちんと印刷されているものでした。大きな投票箱も用意されていました。投票に先立って、議長から「退席ということもあるかと思うが、退席される方は退席してください」という発言が何回かありましたが、誰も退席せず22名での投票となりました。そして、規定によって22名の3/4の賛成によって可決であること、すなわち17名の賛成が必要なことが議長からこの時点で宣言されました。

 開票となったとき開票箱の鍵を用意していなかったことが判明し、事務局は非常に恐縮し、そこでしばしの時間が必要となりました。ご愛嬌でした。この間を利用して、O学生生活協議会議長から禁煙のポスターの話がされました。

 開票の結果は、賛成15票、反対5票、白票2票という結果でした。議長は否決されたことを宣言したのですが「白票は、3/4の分母にいれないのではないか」とM学部長とメンバーではない事務局員から発言あり、「(分母に入れるのは)市会でしょ、ここではここで決めなければ」とか、かなり食い下がったのですが、議長はとりあわず、結局否決となりました。

 私自身も否決されるとは思っていませんでしたが、3/4の壁は厚かったのでした。もともと、名誉教授の称号はほとんどの人が賛成する場合にしか授与しないということは十分理解できることで、妥当な結論となったと思います。教授会での推薦がないのに評議会で称号を授与するのは、外部から招いた学長の場合だけに限られてよいのだと思います。

 今回の最後の評議会は、少し波乱のあるものとなりました。このこと以外には、大きなことはありませんでした。学則の廃止は、本来なら教授会マターとは思いましたが、ここまで来て形式だけ踏むということですし、名誉教授の推薦の議題の後で少々疲れもしていたので、あえて議論を提起することはしませんでした。

 前後しますが、報告事項の報告が終わった最後に、私は「大学改革アンケートの情報開示請求、一部開示の決定、意義申し立て、全面開示ということがあったと思うが、報告して欲しい」と発言しました。これに対しては、学長も新聞で見て知っているとのことでした。予期していなかったようで事務局は誰が答弁するか少し顔を見合わせていましたが、総務部長が「それでは私が報告します」ということで、ごく簡単に流れを話しました。U課長も少し補足しましたが、事実経過のみでその持つ意味などについては何も言いませんでした。私は少しその点を議論したい気持ちもあったのですが、自分でしたことでもありますし、他の方からの発言もなかったのでそれ以上は何も言いませんでした。事務局は、この問題を重要なことだとは捉えていないように感じられました。今に始まったことではありませんが、民主主義の観点がやはり弱いのだと思います。

 この一年間は、私にとっては初めての評議員、そして大学にとっては最後の評議会というめぐり合わせになりました。最初は意気込み、緊張したものでしたが、残念なことに意味のあることがほとんど議論できませんでした。

 今回のことでも「ことをあらだてずに」、「まあ、名誉教授にはしてあげたら」、「名前を貸してくれと言われれば、ちょっと断れないな」というようなことで、多くの管理職は名前を連ねたのではないかと思います。これも人情としてわかります。

 しかし、私は公の議論を「まあまあ」と抑えたり、派閥的な連絡網でいつのまにか合意を得たりして、会議の中で実質的な議論をしないことは大学にはふさわしくないことだと思っています。

 4月以降は、一体どうなるのでしょう。大学の自治を基本的に否定した体制が進んでいるようです。私自身は「新しい」大学には授業以外のことは何も関係していないので、様子がまったくわかりません。しかし、人間の社会である以上、どんな枠組みであっても、民主的な運営ということを問題にできるのではないでしょうか。「新しい」大学に残る以上、少しでも民主的な運営がなされるように努力を続けたいと思っています。

 受験生の半減という恐ろしい事態に、誰が責任を取るのでしょうか。誰もとりそうにありません。今回の改革は、誰が責任を持って行ったのか、実際にリーダーシップを取ったのは誰であったのか、それがはっきりしません。こんな状態を許してしまった小川学長が名誉教授の称号を授与されなかったのも、当然と言えば当然だったのだと思います。(以上)

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編集発行人: 矢吹晋(元教員) 連絡先: yabuki@ca2.so-net.ne.jp
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Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月18日 00:15 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年03月17日

横浜市、大学と都市の連携について  中田市長「横浜立大は最も有力で最も私たちとしても期待をする大学」?!

横浜市
 ∟●市長定例記者会見質疑要旨(平成17年3月9日)

市長定例記者会見質疑要旨

(平成17年3月9日)

……

記者:
 市が有する横浜市立大学が、この中で果たしていく役割というものについては何かありますか。

市長:
 横浜市立大学には、既に自ら策定した中に、当然、市民に貢献できる、市に貢献できるような大学のあり方を目指していこうということが含まれているわけです。
 ある意味では、もちろん、横浜市にある20以上の大学全体と我々は、こうした場を設けていくということが、今回の中身ですが、その中でも最も有力で最も私たちとしても期待をする大学ということでもあります。その最も期待する中の一つが、横浜市立大学ということになります。

記者:
 ということは、都市経営局と連携して、調整役というか、そうしたことを担っていくということになるということですか。

市長:
 横浜市側における窓口は、先程申し上げた大学調整課になります。ですから、そこが事務局を持つということです。大学調整課は、横浜市立大学や他大学も含め、大学と横浜市との関係について、ワンストップという形の役割を果たしてもらうということになります。

大学と都市の連携について

 横浜市では、複雑化した地域課題を解決し、多様化した市民の皆様のニーズに応え、活力と魅力あふれる都市を実現するために、16年度より大学と都市との連携のあり方について、検討を進めています。
 
 市内大学の皆様からの御意見や他都市の状況、庁内のアンケートなどの結果を踏まえ、連携を進めるための背景や基本理念、方向性、具体的取組等について、「大学と都市の連携に関する考え方」としてまとめました。

 また、市内にキャンパスにある大学・短大の学長・理事長の皆様と中田市長との意見交換の場である「大学・都市パートナーシップ協議会」を設立するとともに、協議会に出席いただいた皆様で「21世紀型大学都市宣言」を採択しました。

<平成17年3月9日>
記者発表資料(pdf形式 446KB)
大学と都市の連携に関する考え方(pdf形式 220KB)
<平成17年3月14日>
記者発表資料(pdf形式 8.61KB)


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誰も真剣に考えない

伊豆利彦氏のホームページ
 ∟●新掲示板2

誰も真剣に考えない


名前:うのき 日付:3月16日(水) 14時2分
■平成17年3月9日 - 市長定例記者会見

記者:
 市立大学についてですが、入試の倍率が、去年と比べて下がりました。そのことについて、ご感想があればお願いします。

市長:
 特にありません。上がることも下がることもあると思います。
 これは、市立大学自身が、真剣に考えて取り組めば良い話ですし、市立大学はこれから先、益々良い大学になっていくと思います。今年が初年度ということで、やはり、十分に伝え切れなかったということもあるでしょう。そうした意味では、市立大学にとっても、逆に申し上げれば、「例年並み」という方が、将来、振り返ってみた時に、結果としては、良くなかったということになるのではないかと思います。逆に、ここで、志願者に伝え切れなかったことや、自分たちの魅力をこれから先、どのようにさらに高めて、どのように伝えるかということを考える上では、私は、将来、振り返った時には、良いスタートだったというように振り返ることができるのではないかと、私なりには思いますが。
 いずれにしても、市立大学が、これから先、この少子社会の中で、また、大学に問われているものも、かつてとは明らかに違う性格を帯びてきているという社会状況の中で、自分たちで考えて、行動することが必要です。
http://www.city.yokohama.jp/se/mayor/interview/2005/050309.html


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横浜市立大教員組合、任期制についての委任状を組合に!  任期制に同意する必要はありません

横浜市立大教員組合
 ∟●任期制についての委任状を組合に!
 ∟●委任状提出方法のご案内(PDF版)
 ∟●「委任状」(PDF版)

横浜市大教員のみなさんへ 任期制についての委任状を組合に!
任期制に同意する必要はありません。

 任期制は、期間満了をもって雇用が終わってしまうという、きわめて危険性の高い制度です。
 現在、当局が提示している任期制の制度内容は、導入の理由の合理性、制度内容の合理性、法的根拠が明らかではなく、かつ教員の労働条件を不利益に変更するものであり、認めることはできません。また、さまざまな大小の問題点や不明な点があり、制度の説明自体、いまだ十分ではなく、組合としても要求のなかで質問しているところです。
 このような状況にあっては、当局が求めても任期制への同意に応じる必要はありません。

 しかし、同意を求めるために当局側がさまざまな圧力を個人にかけることが、危惧されます。そのような不当な圧迫を防ぐために、中西執行委員長まで委任状を提出しましょう。委任状を提出しておけば、同意を求められても、「組合執行委員長に委任してあるので回答できない」として回答を留保することができます。

 ぜひ、ご検討のうえ、委任状を組合に提出してください。
 非組合員の教員のかたについても、委任状を受け付けます。

 この委任状は回答を留保することが目的ですので、委任状をもって組合が任期制に同意してしまうことはありません。本人が同意を決定した場合は、手続きを取っていただいたうえで、委任状を返却します。
 なお、任期制に同意しない場合には、「期間の定めのない雇用」が続くことになり、この点は現在と変わりありません。
 また、任期制に同意しないことをもって、労働条件を不利益に変更することは法律上許されません。当局は、同意した教員と同意しない教員の処遇等に格差を設けるとしていますが、これも許されることではありません。組合を中心とする教員の運動によって撤回させましょう。


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2005年03月14日

横浜市大最強スポーツ紙の裏日誌

スポイチ編集長日誌より

■2005/03/09 (水) 何よあの言い方ふざけてるの?

大々的にブチ上げた”教員だけ全員例外なく任期制”案への反発が大きすぎたせいか、今度は任期制に同意しなきゃ昇任なしとか言い出してみたり、次は人権擁護法案的迂回戦術ですか。かといって悠長にやって手みやげ無しで関内に帰ってもロクな椅子がもらえないのでね。では独法化までに教員の”全員任期制”がコケたら、官僚がそれを挽回できる程の功績をあげる手は果たしてあるのか?ふふふあるともさ。

学生の意見を聞こうとしたが意見が出なかったとか学生が集まらなかったとか、廃ゼミは昔からあったとか、なによその言い方ふざけてるの?……

■2005/03/08 (火) なんだいあれくらい論破できないのかい?歯がゆいね。

”改革”によって事実上のコミュニティカレッジ化を意味するC.C.市大が目指すとされる「プ(略)カレッジ路線」。こいつの”中途半端””目的不明”ぶりが早くも指摘され始めている。だが、既に触れたように、地方官僚から転身または兼任する教員が大学内で多数を占めてもボロの出にくい方針という意味で、実はこの路線は他にない必然の選択だったというわけだ。
それを隠すため、これまで政治的意図を隠し持つ一貫性を欠いた主張が”改革”批判に対する反批判としてあちこちで繰り返された。……

■2005/03/07 (月) 一本釣りとか各個撃破って楽しいですかー?(謎)

”公立大学改革”論の中で、新たに大学の管理運営の担い手として登場してきた事務官僚が、さらに”任期制”の教員に転身したり兼業したりすることは果たして旨味のあることなのか?という当然の疑問がある。あるんだけど、だって教員の再任決めるの事務屋だしい。うはマッチポンプ。
それに、元市大職員の某ヤメ官コンサルさんだって、某新設大の教員という肩書きをお持ちじゃあないか。やはり現実問題として、どっかで”改革”講演やったり本出したりマスコミにコメントする時には、ただの「元市職員」よりも「現在は大学教員」のほうが何かと箔がつくものさね。
そういう彼らの”公立大改革”プランでは、「大学」をグローバルな規模の研究機関と、地域密着の教育重視型とに二分し、公立大学は他の国立・私立大学との差別化から”第三の道”として教育重視・特に自治体と関連した地域貢献を目指すべきだと主張する。……

■2005/03/06 (日) 「次はオレでいいっすよね?」(力皇調)

……ところがだ、全国すべての大学が既に任期制導入を決めているってのであればともかく、市大だけ”教員のみ”任期制などと突出したことを言い出すもんだから、教員は他所へ逃げ出そうとするし、新しく好き好んで市大に来る教員もいなくなる。数年を経ずにカリキュラムは維持できなくなり破綻してしまうだろう。
ところがよくできたもので、官製”公立大改革論”では、地域貢献や地域政策への寄与という名目によって、大学に派遣された事務幹部職員や現役地方官僚が大学教員へと転身する、あるいは兼任することを制度として正当化する狙いもあったというわけだ。

■2005/03/02 (水) 昇任認めないでポストガラ空きよりどりみどり…

公立大学の事務官僚が、これまでは主に教員らによる「大学自治」の領域であるとされてきた大学の”管理・運営”に乗り出すことを理論化・正当化する”公立大改革”論。その実質的なイデオローグとなっている人々のトレンドとも言うべき動きがあるということについて、2003年9月の時点でちょこっと触れたことがある(http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=327670&log=20030912)。そこで予知しておいた、「大学自治は素人によるもの。これからはプロの職員に任せるべき」という主張がその後実際に登場し始めている。そのままとはな。……


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2005年03月13日

横浜市と27大学連携へ、14日 パートナー協議会設立

伊豆利彦氏のホームページ
 ∟●新掲示板2

朝日新聞(第2神奈川版)2005.03.11

横浜市と27大学連携へ
14日 パートナー協議会設立

横浜市は、市内にある27大学(4月時点の見込み数)と連携するため、14日に各大学の学長らでつくる「大学・都市パートナーシップ協議会」を設立する。大学の知識や人材を生かして市や市内企業が抱える課題の解決につなげるほか、大学にとつても地域貢献をアピールし、志望者増に結びつけるなどの利点が期待できるという。
市内27大学では、経済や文学などの文系学部のほか、医学、理工、芸術など幅広い分野が研究されている。その「知的資源の蓄積」を生かし、経済活性化や教育、医療福祉、スポーツ振興施策などに活用するのがねらいだ。
学生グループに商店街活性化のイベントや広報物デザインを企画してもらったり、小中学校の授業や部活動をサポートしてもらったりできないかも探る。行政や企業にとっては、学生の若い感性や講師陣の知識を生かせる利点があり、教育現場で少人数教育などに活用が期待できる。大学にとっても、学生が実践的な経験を積め、それが志望者を集めるPRにもなるとみている。
市都市経営局は「単に大学があって学生が多いだけの『学園都市』ではなく、市民や行政がいろいろなことを大学と一緒にやり、街をつくっていきたい」としている。

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1995.「奉仕」「貢献」そして「還元」
名前:連帯舎 日付:3月11日(金) 12時7分

かつてハイデッガーは悪名高き『総長就任講演』(一九三三年)において国家への奉仕(勤労奉仕(Arbeitsdienst)、国防奉仕(Wehrdienst)、学術奉仕(Wissensdienst))を強調した。
今日においては、「国家」を「地域」に、「奉仕」を「貢献」に、置き換えてコンテキストをよく読む必要を感じる。

「公立大学法人横浜市立大学中期目標の大枠について」には上の新聞記事と同じ趣旨の文章がある。

「地域貢献は、大学が果たすべき基本的責務であり、全教職員の職務として位置付ける。学部・大学院教育を通じた人材育成、研究を通じた研究成果や知的財産の産業界への還元、診療を通じた市民医療の向上による地域貢献のほか、大学の知的資源の活用による高度な学習の場の提供や施設開放等をさらに推進し、積極的な地域貢献を果たす。」
http://www.yokohama-cu.ac.jp/new/chuukimokuhyou1124_2.pdf

ここには、上記以外にも「地域貢献」という言葉がばらまかれている。
問題はその「地域貢献」が、いかなる性質のものかということである。
市長の選挙運動や、官僚の実績や、一部の産業界(「産業界への還元」)のための「地域貢献」なのか、または(教員・職員・学生自身も含めた)市民のための「地域貢献」なのか。
しかし、そもそもすべての学問領域が「地域貢献」へ短絡できる性質のものではない。たとえば、「商店街活性化のイベントや広報物デザインを企画」ができなければ「基本的責務」を果たしていない職務や研究(分野)と評価されるのであろうか。
まず第一に学費を払っている者たちへの「貢献(奉仕)」ないしは「還元」ができなくなりつつある大学自体へメスを入れる「医療の向上」が急務ではあるまいか。その意味において、「市内にある27大学と連携する」必要があると思われる。

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1998.自己の腐敗
名前:伊豆利彦 日付:3月12日(土) 1時15分

<地域への貢献><国家への貢献>とはそもそも何なのか。それが問題なのだろう。
それを自明のこととして、行政の目標に大学を協力させようとするのが市当局の狙いなのだろう。

宮沢賢治の作品には<本当の幸福>という言葉がしばしば出てくる。
それがわかりさえすれば、命を犠牲にしても、そのために働きたいというのだ。
しかし、それがわからない。
それを知ろうとする限りない努力、それが学問なのだろう。

安易に市民を美しい理想に動員するな。
ましてや、大学を動員するな。

戦争の時代を生き、いまを生きる老人には、そんな言葉が欺瞞としか見えない。

大学の腐敗というような言葉も安易に使いたくない。
そんなことをいう人間が、はたして腐敗していないかどうかが問題だ。

大学は腐敗しているだろう。
私たちは腐敗しているだろう。
しかし、なお、そこから新しく出発していくことが必要だ。

自己の腐敗をこそ問題にする必要がある。
自己の腐敗を自覚し、それを直視するところに、わずかに再生への道が開けるのではないか。
http://amaki.cocolog-nifty.com/


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2005年03月11日

「公立大学という病」更新雑記(2005.3.8)

公立大学という病:横浜市大時代最後の経験
学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●「公立大学という病」 更新雑記 (2005.3.9)
大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(3月10日)

国際文化学部の川浦先生のblogが更新されていた。学生の記事に異を唱える短文からは、先生の無念さが痛いほど感じられる。それにしても同記事で「ゼミの改廃は改革の前からあった」と平然と語っている改革担当の職員にはア然とするばかりだ。流出する教員数の問題をすっぽりと抜かして回答している。官僚的開き直り答弁の典型だ。学生の記事もそこを突っ込む必要があったのではないか(全体としてはよく書けているとは思うが)。市大からどれほどの教員が流出しているかを御存知ない方は、是非佐藤先生の検証で確認いただきたい。
 さて、数ということで思い出した。あまり話題になっていないようだが、市からの運営交付金は7億円の削減になるとも聞いている。教職員の人件費に換算すれば70~80人規模の削減にあたる。独法化で高額な報酬が予想される理事長や理事を抱えることになることもあわせて考えると、いったいどこにそのしわ寄せがいくのであろうか。かつて総務部長の放言録には市大病院は「安全が優先しすぎて、経営にたいする感覚が薄らいでいる」というトンデモ発言があったが、大学病院予算から7億の金を引きあげるというのではなさそうである。他人ごとながら気にかかる。
ある方より市大のホームページに予算が掲載されているとの連絡をいただいた。やはり、大学だけ(病院を除く)で約7億円強(8.5%)の削減となっている。また今後5年間で約6億円強を減額するともしている。法人化された国立は1%の効率化係数による削減だけでもヒイヒイ音をあげているのだが、そんなことは我関せずの削減の仕方だ。おそらく市長の再選を見据えた実績作りだろうが、まさに無謀といえる予算カットで確実に大学の研究・教育の劣化は免れえない。その被害を被るのはいったい誰なのだろうか。

大学改革日誌(3月10日)より

今回の「改革」が大鉈を振るって予算削減をまずは実現した、という側面だけははっきりしてきたようだ。「赤字」問題を提起した「あり方懇」(市長諮問委員会)の主張(本日誌3月3日付の「市長語録」を参照されたい)が、実行されているということだ。大学の「商品」である教員はどんどん減りつづけてもお構いなし、数字あわせだけがうまくいけば、目先の実績にはなる、ということか? 10年後、20年後、その付けが出てくるはずだが、そんな先のことは考えない、「わが亡き後に洪水は来たれ」と。
しかし、大学教育は、10年後、20年後、いやそれ以上の射程を持つものではないのか?
そうした大学の根本的使命に対する見識がないとすれば、そうした人々に大学の命運を任せてもいいのか?
「実利的でない基礎研究や文学などの分野」の切り捨ての危惧について、「心配なのは貧すれば鈍することだ。小さな国立大の中から、背に腹は代えられないと、切るところが出るかもしれない」という東大次期総長の発言は、市大(=小さな国立大と同じか?)ではすでに行われているということではないか。

下記の記事がいう「改革担当の職員」の唖然とする発言は、先日の朝日新聞記事の中にも見られた。予算削減などは議会が決めることなので、という文脈で、自分たちには責任がないと正当化していた。それは、大学人(大学内部の人)のスタンスではないことは確かだ。少なくとも私はそれを感じられなかった。学生の要望や希望を踏まえて大学を発展させようと精神が感じられない冷たいものという意味で。
行政当局の「改革担当」がまさにそのような精神だということが「公立大学という病」の根底にあるのだろう。そしてその病をますます昂じさせようとするのが、{定款}(=諦観)の運用の仕方であろう。「全国国公私立大学の事件情報」(3月10日)における次期東大総長・小宮山氏の発言と佐和隆光京都大学教授の発言をみればわかるが、国立大学法人の場合も同様の問題があるようである。これも引用しておこう。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月11日 01:01 | コメント (0) | トラックバック (0)
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あの茶番から1年、「たとえ一部の教員・学生であれ、全国の大学人と連帯することが必要」

伊豆利彦氏のホームページ
 ∟●新掲示板2

「改革を進めるにあたって全員の賛成をえることは難しいが,「大学像」は評議会の決定に基づき,私自らが先頭にたち,大学が一体となって検討を重ねてまとめ,最終的に評議会の議を経て決定し,私から市長に報告した.したがって今もって反対派の教員が,大学をとりまく厳しい社会経済情勢等,現状認識をしていないのは大変残念であり,評議会
の議を経て決定しているにも拘わらず,一部の教授会がこのような対応をとったことは極めて遺憾である.」
「一部に反対する動きがいまだにあるが,教員の意識改革を図るとともに,教員をまとめるべくリーダーシップを発揮し,設置者の改革推進本部に協力し,引き続き全力で取り組む.」

今日、「一部」が散発的な一部である限り、これを「茶番」と言ってすませられない絶望的な状況が横たわっているのであります。
たとえ一部の教員、一部の職員、一部の学生であれ、また他大の大学人たちと「まとまる」形態が要請されているように思われるのであります。
http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/shiryo/k040311-1.pdf

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2005年03月09日

横浜市立大学教員組合、小川学長宛「2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求」

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●「要求書を当局に提出 誠実交渉を! 制度変更を強行するな! 年俸制・任期制について要求と質問」横浜市立大学教員組合週報/ウィークリー(2005.3.8)

要求書を当局に提出 誠実交渉を! 制度変更を強行するな! 年俸制・任期制について要求と質問

 先月までに当局が就業規則案と諸規定類を提示したことを受け、組合は、本日、市大事務当局に対して要求書を提出しました。

 組合は、当局に対し、組合との交渉も始まっていないにもかかわらず、労働条件の変更を行おうとしていることに抗議し、誠実な交渉を行うこと、
 交渉をじゅうぶんに行わないうちに制度変更を強行しないこと、
 制度変更の実施以前においては現行の制度に拠ること
を要求しました。
 さらに、賃金についても、少なくとも2005年度については現行の制度にもとづいて支給することを要求し、年俸制についての多くの重大な問題―相対評価により必ず減給を受ける者が生ずるなど―を質しました。
 任期制についても、交渉を続けること、交渉ぬきに任期制導入を強行しないことを要求し、また、任期制への同意をしない教員について労働条件の不利益変更をしないことを強く求めました。
 最後の点に関連して、期間の定めのない雇用に留まる教員は昇任の対象としないとする、福島大学改革推進本部部長の発言の撤回を求めました。また、再任制度、昇任制度を含む任期制に関連するしくみのさまざまな問題を質しています。
(任期制については、第14面に参考記事「資料」)
 勤務時間その他の労働条件と就業規則については、今後、別途要求してきます。

(次頁以下、要求書全文掲載)

横浜市立大学学長
小川惠一殿

横浜市立大学教員組合
執行委員長 中西新太郎

2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求

 大学当局は2月上旬から中旬にかけ、教員組合が要求してきた教員の雇用・労働条件にかかわる規程類を組合に提示するとともに、1月14日付教員組合の「見解と要求」に対し口頭での回答を寄せた。

 雇用・賃金条件のきわめて重大な制度変更を表明した大学当局、横浜市大学改革推進本部に対し、教員組合はその制度内容を早期に示した上で教員組合との十分な協議、交渉をすすめるよう繰り返し要求してきた。

 当局は昨年9月に提案を行うとしてきたが、実際には、今回ようやく規程等をふくめた内容提示を行ったものであり、それらにしても、後述するように、いまだ制度概要にすぎない曖昧な点、相互に矛盾する点などが多くふくまれている。しかも、組合への就業規則及び関連規程類提示後に行われた教員説明会(2月末)において、これまで説明されてこなかった制度内容が口頭でのみつたえられるなど、当局の制度提案はあまりにも杜撰である。法人職員としての身分の根幹にかかわる任期制や雇用条件の内で最も重要な事項である賃金制度について、整備された制度内容を提示し周知したとはとうてい言えない状況であり、組合員と非組合員とを問わず、教員からは数多くの疑問が寄せられている。

 このような状況の下で教員に対し制度変更について同意を求めることは、拙速という以前に、不当かつ違法な振る舞いと言わねばならない。教員組合は、教員が意欲を持って働けるような勤務条件を求めるとともに、横浜市大がそこで学ぶ学生の要求や市民の期待に応え、真に魅力ある大学たりうる環境を求めてきた。そのために必要な課題の検討、遂行についてはこれまでも努力を惜しまなかったし、これからもそうである。しかし、現在当局が強引にすすめようとしている制度改変は、その手続きの点でも内容においても、大学運営に混乱をもたらし、教員の失望を誘い、横浜市大の魅力も品位も失墜させるものとなっている。何よりも恐れるのは、このような事態の進行によって、教育・研究機関としての大学の機能と役割が著しく低下することである。

 この悲しむべき状況に鑑み、大学にふさわしくかつ公正で法理に則った雇用・労働条件の確立を要求する立場から、当局提示の就業規則案及び規程類案に対する組合の見解と要求を示し、あわせて、雇用・労働条件の重大な変更事項の扱いに関する要求を示す。

 なお、就業規則案については、雇用・労働条件を規律する重要な内容であることから、個別条項について細目の要求を別途行う予定である。……

以下,各章の表題,および「4 任期制導入に関する見解と要求のみ」転載。(続きを読むへ)

1 雇用・労働条件に関して一方的に制度変更を行うことは許されない
2 制度変更の確定と実施以前の雇用・労働条件は現行制度に拠ること
3 年俸制の導入に関する見解と要求

4 任期制導入に関する見解と要求

① 協議・折衝を誠実につづけること、不利益変更をしないこと
 任期付教員への移行は労使双方にとって良好な雇用形態であることが合意され、教員の同意がある場合にのみ実施される。教員が「良好な雇用形態」であるかどうか判断する前提として、任期制の制度内容が適正かつ明確に設計されていることはもちろん、それが周知されかつ教員組合、各教員の疑問に答え、十分な協議、折衝を行うことが当然である。「期間の定めのない教員」を任期付教員に移行させることは、雇用形態における最も重大な不利益変更をもたらしうることから、これは当然の手続きである。こうした手続きを無視して拙速に任期制導入を実施すべきではない。
○任期制の制度内容について組合の疑問と要求とに誠実に答え、協議・折衝を続けるよう要求する。
○任期付教員への移行について、教員からの疑問に誠実に回答すること
 言うまでもなく、任期制の制度内容に関して疑問が解消されぬ場合には、かりに当局が同意を求めても教員には回答を留保する権利がある。
○任期付教員への移行を選択せず「期間の定めのない雇用」にとどまることを理由にした雇用・労働条件の不利益変更を行うべきではないこと
◎「昇任の対象は任期付教員のみ」という2月28日教員説明会での福島部長発言は不当かつ違法であり撤回を求める。
 福島発言は、「期間の定めのない雇用」を有期雇用契約に切り換えるために差別的処遇を明言したものであり、このような差別処遇は労働基準局長通達に明記された労基法第14条の趣旨に反する違法措置である。正当化されえない処遇にたいしては、組合は法的手段をふくめ必要な対抗措置をとる。
 2月28日教員説明会において、福島部長は、「期間の定めのない雇用」形態にある教員は昇任の対象としないと言明した。この発言は、24、25日説明会ではあきらかにされず、規程としてまったくあきらかにされていなかったものである。説明会資料にも記載されず、1箇所での説明会で突然こうした重大な、しかも明確に差別的な処遇を持ち出すことは、きわめて不穏当であり、制度設計の拙速、曖昧さを示すものである。制度変更に関する十分な周知と協議以前に、どのような雇用・労働条件が想定されているかさえ定かでない状況の下では、その適否についての判断も留保せざるをえない。
 「期間の定めのない雇用」に関する教員組合の質問にたいし、当局は2月15日付回答では、「公立大学法人横浜市立大学職員の勤務条件(教員)」に示された内容については任期付教員と同様としている。当然のことながら、職位は年俸水準等、勤務条件に密接にかかわるものであり、「期間の定めのない雇用」教員を昇任対象としないことは雇用・労働条件に関する明確な差別となる。また、現行制度における職位ごとの給与制度を考えるなら、28日説明会における発言は、雇用・労働条件に関するきわめて重大な不利益変更を表明したことになる。このような変更が許されないことはあまりにも明白である。

② 再任審査制度・昇任制度に関する文書の性格、規程としての明示
 任期制に関する必要事項についての学則案の提示
 任期制及びこれとかかわる再任審査制度・昇任制度について当局が直接触れている規程は、就業規則、任期規程(案)、「任期の再任審査について」「昇任等の審査について」(いずれも、2月15日市労連説明―以下、「説明文書」)である。説明文書についてはその性格があきらかではない。任期制は教員の教育研究評価にかかわるものであり、これらは学則として必要な事項を明示的に定めるべきことがらである。
○「説明文書」について、その性格をあきらかにするとともに、「異議申し立て」制度のような規程として明示すべき部分については規程に組み入れるよう要求する。
○必要事項についての学則案を提示するよう要求する。

③ 任期制及び昇任制度の制度内容に関する見解と要求
A 再任審査手続きと審査体制について
 任期制における再任審査手続きと審査体制について、審査の客観性、公正性、透明性を保障する観点から以下の点を要求する。
○審査機関が審査内容と審査基準とにもとづいて構成で客観的審査が行える資格を備えており、かつ審査が公正に行われたかどうかを検証できることが再任審査の条件である。この当然の原則を確認していただきたい。
○「教員人事委員会」の構成及び再任審査決定手続きについての規程、学則案を提示するよう要求する。
○また、説明文書「任期の再任審査」では、「必要に応じて人事委員会のもとに部会を設置し、審査する」とあるが、部会の設置要件、構成、組織及び審査権限、手続き等に関する考え方及び規程、学則案を提示するよう要求する。
○「教員人事委員会」は学長の諮問機関とされるが、学長は「教員人事委員会」メンバーに加わるのか?
○「学長は人事委員会からの再任の適否の判定結果を確認し、理事長に申し出る」(「説明文書」)とされているが、「確認」の意味は、「教員人事委員会」による適否の判定結果を翻すことなく自動的に理事長に申し出るということか?
○「教員人事委員会」は再任に関してその適否のみを決定するのか?
 教員説明会において「教員人事委員会」は教学組織より2名、経営管理組織より2名、学外より2名の組織となると説明されている。しかし、「教員人事委員会」の構成、審査手続き等については提示されておらず、再任適否の決定権限を持つと想定される重要な委員会についてその制度機構があきらかにされていない。
 また、教員の業績評価について説明された「教員人事委員会」が客観的評価を適正になしうるかはきわめて疑問である。説明された「教員人事委員会」の構成が大学自治の原則にてらし、教学の自律性を確保するとともに、公正かつ客観的機関たりうるかどうか疑問である。この点は、教員評価の結果をどのように扱うかにかかわり、また、「部会」の位置づけ、権限にかかわる。これらの点についてあきらかにすることが必要である。
○学長による審査手続きの省略は恣意的な再任拒否を許す制度上の危険をもつものであり、容認できない。このような規定をなぜ設けているのか理由をあきらかにするよう求める。
 任期規程案では、「学長が特に認めた場合は、教員人事委員会における審査の一部又は全部を省略できる」としている。主観的意図はどうあれ、この規定は、学長が一切の審査手続きを省略して再任の適否だけを人事委員会に求められるようにしており、再任審査の恣意的運用を制度上で可能にしてしまう。
○再任の適否に関する判定理由を再任申請者の求めに応じて遅滞なく示すこと。
 なお、判定理由の提示を求める請求は「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」第3条にもとづき、再任否の場合、請求理由を付す必要はない。そもそも再任の判定理由は教員の大学における職務・業績をみるものとして、本人の求めに応じ適否にかかわらず示すべきものである。
 また、後述するように、再任審査は降任や新たな任期期間における年俸の増減にかかわるものであり、その審査内容の透明性が厳密に保障されるべきである。
○この点から、判定理由の提示内容には、任期規程案に示された審査項目の全内容がふくまれるべきである。
○言うまでもないが、以上の開示内容は文書において示されるべきである。
○説明文書「任期の再任審査について 4 異議の申し出」における「審査の結果を知り得た日」とは曖昧であり、再任申請者にたいする審査結果通告日を規定すべきである。
○前項「異議の申し出」について調査・確認及び報告を行う組織が「教員人事委員会」とされているのは不適切であり、審査結果及び判定理由の適切・公正を検証するためには別個の組織によって異議申し出の審議がなされるべきである。
 2月28日教員説明会において、「教員人事委員会」での調査・確認を経た上で別途審議を考えると説明されたが、そうであれば、異議申し出を扱う組織、プロセス全体を示すべきである。
○再任審査の申請時期、期限及び再任審査期限(「最終年度の夏頃」)の整合性と妥当性をはかること

B 審査内容と基準

◎任期規程案及び説明文書「任期の再任審査について」における審査項目相互の関係、ウエイト、設定理由があきらかでない。
 教員評価結果以外の審査項目を付加することによって、業績を評価しうる「現場」から離れた「評価」によって審査結果が左右される可能性が増す。
○「本人が関係している組織の長」は教員評価における2次評価者であり、その評価は教員評価に反映されている。2次評価者にあたる組織の長の「意見」と2次評価とはどのように関係しているのか? 評価のダブルカウントではないか?
○「本人が関係している組織の長」は複数存在しており、その意見は「評点」としてどのようにカウントされるのか?
○「本人が関係している組織の長」の「意見」はその職責において管轄する事項について評点化しうるような段階をつけて記述されるのか?
○「教員評価の結果についての学長の意見」とは、教員評価のS~Dのランク付とどのように関係するのか?
○再任審査の性格にてらし審査項目、審査基準はあらかじめ明示的に示されるべきであり、「その他学長が指定する事項」を設けることは審査項目の恣意的操作を可能にする。このような審査項目を設ける理由は何か?
○また、任期規程案では、「学長が特に認めた場合は、審査する事項の一部又は全部を省略することができる」としており、審査項目全体が学長裁量により自由に操作できる規定となっている。再任の可否がもたらす重大な結果を考えるなら、このような規定のもつ危険性を座視することはできない。
○再任の判断基準が任期期間中において「普通にやって来られたかどうか」であるならば、任期期間中の業績評価が問われるべきであり、「次期任期に向けた取組計画」を審査項目に加えることは、業績評価に拠らず、検証されていない項目をふくむことになる。再任審査を歪めることになり不適切である。
○各審査項目間の関係、評点としてのウエイトはどのように考えているか?
◎再任可否の判断基準を任期規程に明記するよう要求する。
 再任可否の判断基準を規程上で明示することは有期労働契約において使用者側に課せられた義務である。(「使用者が当該契約を更新する場合がある旨明示したときは、使用者は、労働者に対して当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない」「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」厚生労働省告示第357号)「普通にやっていれば再任する」という基準を任期規程において明記しなければ、この告示に背馳することになる。
◎説明文書「任期の再任審査について 3 再任基準等」について以下の諸点の説明を求めるとともに整合性を質す。
○「一定水準以上を得点した者を再任適任者とする」とあるが、「一定水準」とはどのような水準か? 「普通にやっていれば再任」という考え方にてらし、水準の内容を明確に示すよう要求する。
○また、その水準は得点として表示されるとしているが、そうであるとすれば、あらかじめ各審査項目の評点配置、得点基準が示されるべきである。
○教員評価の評価結果以外の評点は相対評価で行われるのか?
 絶対評価で行われるとすれば、教員評価の評価結果を相対評価とすることと不整合になるのではないか?
○教員評価の評価結果をS~Dの相対評価で示すことと再任の可否を一定の基準によって判定することとはどのように関係しているか?
○相対評価による評点化は上位から下位の枠づけられた分布を実現するものであり、一定水準をその枠内に設定するかぎり必ず再任不可の者が生じることになる。「普通になっていれば再任」という考え方と相対評価による再任の可否判定は矛盾するが、制度上での整合性ある説明を求める。
○「職位別に一定水準以上を得点した者を再任適任者とする」としているが、この場合に判定されるのは、その職位において再任可ということである。逆に、その職位において再任否となった場合には、教授、準教授においては「降任」判定を意味することになるのか?

C 期間と再任回数

○助手、準教授について再任回数をかぎる合理的根拠は存在しない。現行制度から不利益変更にあたるこうした限定についてその根拠を説明するよう要求する。
 とりわけ、助手の再任回数を原則1回とし、しかも任期3年以内としていることは容認できない。また、助手において、博士号取得の有無にかかわらず任期3年以内としていることも差別的処遇である。当局案による再任審査のスケジュールによれば、任期最終年度の評価はできないため、2年間の評価によって再任の可否が判断されることになり、このような制度設計では助手が大学において業績を積む環境は著しく阻害される。
○博士号を持たない準教授、教授が簡易審査によって3年任期を5年に任期に延長できるとする法律上の根拠について説明を求める。
○任期規程案3条、4条における休職中、育児休業又は介護休業中の任期付教員の再任回数について、恣意的運用を避けるために別途規程を設けるべきである。

D 再契約における条件設定

○新たな任期期間中の年俸等の条件はどのような基準にもとづいてどのように決定されるのか? またこの条件設定と再任審査とはどのように関係しているか?
○「普通にやっていれば再任」という考え方に立つならば、再任にさいしての減俸とされる根拠は何か?
 減俸しての再任は「普通にやっていても」賃金を減額することになり、再任の考え方と矛盾することになる。
○再任決定にもとづく新たな労働契約の締結は、教員が著しく不利な雇用・労働条件に同意せざるをえない恐れがある。再任決定にもとづく労働契約においては、あらかじめ規程上で明示された事項を除き、再任時における雇用・労働条件を引き下げぬよう定めるべきである。


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2005年03月08日

全大教、横浜市大・都立4大学の問題について総務省へ要望書を提出し会見

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー (2005.3.7) より

全大教、総務省と会見

横浜市大・都立4大学の問題について市・都への指導を要請

総務省、「労使の意思疎通は重要」

 先月25日、当組合の加盟する全大教(全国大学高専教職員組合)は、総務省と会見し、横浜市大と都立4大学の問題について申し入れを行いました。当組合からは中西執行委員長が参加しました。
 横浜市大と都立四大学では、今年4月の独立法人化にさいして、横浜市と東京都が、ともに任期制・年俸制など重大な問題をはらんだ諸制度を導入しようとしています。
 それぞれの制度の内容と、それら制度の導入過程は、いずれも地方独立法人法や同法案についての国会附帯決議など、関連諸法とルールに違反したものです。
 このことに関して、全大教は、当組合と東京都立大学・短期大学教職員組合の要請を受け、横浜市、および東京都に対し、是正指導をするよう申し入れました。
 これに対し総務省側は、「国会の附帯決議や総務大臣の答弁にもあるように、法人移行に当たっての労使の意思疎通は当然重要なことである」とし、「要請の趣旨は両自治体に伝える」と表明しました。
 現在、市大では、当局が当組合との交渉を経ないまま、不当にも任期制・年俸制等を導入しようとしています。当組合は、このような不正常で法の趣旨に反したやりかたを許さず、誠実な交渉を行うよう要求しています。
 総務省の回答は、当然のルールの確認であるとはいえ、あらためて当組合の要求の正しさを証左するものとなりました。

(次頁に、全大教書記長による報告)

2005年3月4日
各単組委員長殿

全国大学高専教職員組合
書記長 森田和哉

東京都立四大学と横浜市立大学の法人化に伴う総務省会見報告

 全大教は、東京都立大学・短期大学教職員組合と横浜市立大学教員組合の要請を受け、2月25日、要望書(別紙参照)に基づき総務省会見を行いました。
 これは、4月に迫った東京都立四大学と横浜市立大学の法人移行に際して東京都と横浜市が行おうとしている教員雇用制度が地方独立行政法人法及びその成立時の附帯決議の趣旨を大きく踏み外した乱暴なものであることを訴え、公立大学の法人化に責任を負う官庁として適切で迅速な指導を要請し、また見解を質しました。
 この会見には全大教森田書記長、藤田書記次長、東京都立大学・短期大学教職員組合から浜津委員長、田代副委員長、横浜市大から中西委員長が参加し、約1時間にわたって行われました。総務省側は自治行政局公務員部公務員課の溝口洋理事官等が対応しました。
 
 まず全大教森田書記長が、現在の東京都と横浜市が強行しようとしている法人化に伴う教員雇用制度の変更は、地方独立行政法人法の国会審議の際になされた衆参両院での附帯決議を大きく逸脱していることを深く認識してほしい旨の表明が行われ、次いで両組合から各々の要請書に基づき説明と要請がなされました。
 都立大学・短期大学教職員組合は、当局の発した文書、組合の要求への回答などを資料として、基準も示されないまま任期と年俸制をセットにした「新制度」と、永久に昇任・昇給のない「旧制度」という、どちらを選んでも不利益な変更である雇用制度の不当性を訴えました。さらにこの両制度が二者択一で提示されたが、教員の過半数がどちらの選択も拒否しており、このままでは労使が対立したまま4月を迎えることになる現状を説明しました。
 横浜市立大学教員組合は、市当局によって「大学教員任期法」ではなく労基法14条に基づく全教員の任期制と東京都同様算定基準も明らかにされない年俸制とが押しつけられようとしている状況を訴えました。現在の給与制度からの明らかな不利益変更であるこれらの雇用制度は、制度としての公正性、透明性が保障されておらず、また、ほとんど組合との交渉もなしに強行されようとしていることに対して、総務省としての是正指導を要請しました。
 東京都立四大学、横浜市立大学とも、職務や業績評価の基準も再任基準も明示されずに「とにかく教員に任期を付け、年俸制にする」ということのみできわめて酷似した「制度」です。
 これらの訴えに対して、総務省は、「国会の附帯決議や総務大臣の答弁にもあるように、法人移行に当たっての労使の意思疎通は当然重要なことである、要請の趣旨は両自治体に伝える」と表明しました。しかし、同時に「大学のことは熟知しておらず、法人下での勤務条件の中身は労使で決めることで、個々の事象について総務省として口を出すのは難しい。」とも述べました。それに対して組合側から、総務省が唱えた地方独立行政法人法によって公立大学を法人化する上での趣旨を達成するためには、東京都立四大学でも横浜市立大学でも総務省からの積極的な指導が必要な状況であることが重ねて要請され、総務省は「頂いた文書等をよく勉強します」と答えました。
 最後に、全大教として、第1に、東京と横浜で起こっている事態は、一般的な指導、援助では済まず、国会附帯決議をふまえた十分な指導が必要であること、第2に、そうした事態が全国の公立大学に波及する可能性があり、現場での良好な労使関係を進めるためにも、全大教と適宜会見を行うこと、を要求しました。
 これに対して、総務省は基本的に了承するとして、今回の会見は終了しました。

(次頁に全大教、総務省宛要請文)

2005年2月25日
総務大臣
麻生太郎殿

全国大学高専教職員組合
中央執行委員長 関本英太郎

東京都立四大学並びに横浜市立大学の独立行政法人化に伴う教員の雇用制度等に関する要望書

 公立大学振興のための日頃からのご尽力に敬意を表します。
 地方独立行政法人法の下で、東京都と横浜市はそれぞれが設置する大学について、本年4月よりの独立行政法人への移行・改組を進めております。その際、法人への移行に当たって、東京都および横浜市は、それぞれの大学に勤務する教員に対して、これまでの任用条件からの大幅な変更を伴う雇用条件を提示しています。
 東京都は現在都立四大学に勤務し本年4月以降も首都大学東京並びに現四大学に引き続き勤務する予定の教員に対して、法人への移行に当たって任期制・年俸制に基づく「新制度」または任期の定めがなく昇給・昇任のない「旧制度」のいずれかを選択するよう求めています。また横浜市は現在横浜市立大学に勤務し4月以降も勤務を続ける予定の教員全員に対して、法人への移行に当たって任期制・年俸制の雇用制度に切り替えることを提示しています。
 それぞれの教員はこれまで、「教員任期法」に基づく任期制が適用されていた一部の助手を除き、任期の定めのない条件で任用され、いわゆる「定期昇給」の制度が適用され、個人の業績や所属する学部・学科等の事情により異なるとはいえ昇任の機会も与えられていました。これに対して、東京都並びに横浜市が今回提示している法人への移行に当たっての雇用条件は、これまでの任用条件からの重大な変更であるとともに、明らかな不利益変更です。
 地方独立行政法人法では「移行型一般地方独立行政法人の成立の際、現に設立団体の内部組織で当該移行型一般地方独立行政法人の業務に相当する業務を行うもののうち当該設立団体の条例で定めるものの職員である者は、別に辞令を発せられない限り、当該移行型一般地方独立行政法人の成立の日において、当該移行型一般地方独立行政法人の職員となるものとする」(地方独立行政法人法59条2項)と規定しています。
 森清・総務省自治行政局公務部長(当時)は、この法律が審議された国会答弁において、「これは、設立団体の業務と同一の業務に従事する者につきましては、当該地方独立行政法人の職員として引き続いて身分を自動的に保有しつづけることができるという形を法律上措置したものでございます」(参議院総務委員会2003年7月1日)とした上で、後述する附帯決議等において、身分の承継にあたり、移行にあたっては関係者の充分な話し合いと意思疎通が求められることも明確にされています。
 条文上「別に辞令を発せられない限り」というのはその意義が限定されており、「①(独立行政法人に承継せず)〇〇省内で他の部局・機関へ移動させるという〇〇省の辞令、②独立行政法人には承継されるが、「相当の職員」にはならない場合の独立行政法人の辞令」(独立行政法人制度の解説・独立行政法人制度研究会編 松尾剛彦内閣中央省庁等改革推進本部事務局参事官補佐)の二種とされており、雇用・身分の承継については揺るぎのないところであるといえます。
 このような法の趣旨に照らした場合、雇用条件も基本的には継承されるのが当然です。
 労使の充分な交渉・協議を欠いたまま東京都や横浜市が提示しているような重大な不利益変更を伴う雇用条件変更を行うことは許されません。事実、この間独立行政法人に移行した各機関や昨年4月に法人への移行を果たした国立大学は、それ以前の雇用条件を基本的に継承しています。
 以上のことから、現在東京都並びに横浜市が進めていることは、地方独立行政法人法の趣旨からの重大な逸脱であるといえます。
 地方独立行政法人法成立時の参議院総務委員会における附帯決議においても、政府に対し、「地方独立行政法人への移行等に際しては、雇用問題、労働条件について配慮し、関係職員団体又は関係労働組合と十分な意思疎通が行われるよう、必要な助言等を行うこと。」を決議しています。
 地方独立行政法人を指導・助言する立場にある貴省として、これらの事柄についての見解を求めるとともに、必要な指導・助言にあたられることを求めるものです。


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2005年03月07日

横浜市立大、「改革」の行方は…学生から不安の声 学生有志がNOBを設立

伊豆利彦氏のホームページ
 ∟●1983.朝日新聞 神奈川版 2005年3月5日 カフェ・アカデミア 大学生のページ

朝日新聞 神奈川版 2005年3月5日 カフェ・アカデミア 大学生のページ
 ○横浜市立大 来月から独立行政法人化する
 ○「改革」の行方は…学生から不安の声
 ○学部統合、教員の年俸制

 4月から地方独立行政法人化する横浜市立大。学部の統合や教員への任期・年俸制の適用などが決まっている。だが、知らないうちにいろいろなことが変わっていく事態に、学生からは不安の声も上がっている。学生から見た「大学改革」の現実とは??。(横浜市立大・細見葉介)

 「改革」をめぐり、学生たちには不安の種が尽きない。改革で検討された授業料値上げの計画もその一つだ。「自分で生活費と学費を払っている学生は授業に支障が出るほどバイトしている。値上げしたらどうなるのか」。こう話すのは、国際文化学部2年の藤田麻衣子さん(20)だ。

■ゼミが消える
 懸念は学費だけではない。改革の一環で、教員に任期・年俸制を適用することになったためか、待遇のよい他大学へ転出する教員が増えている。同学部3年の女子学生(21)は、所属していたゼミの先生が退職。後任がおらず、ゼミは消えることになった。「4年生まで教えてもらえると思っていたのに……」
■雑誌打ち切り
 改革とは直接関係ないかも知れないが、予算削減に伴うサービス低下もある。「Newton」「アサヒカメラ」「NewsWeek」「キネマ旬報」「芸術新潮」……。図書館が昨年、購入を打ち切った雑誌の一部だ。日本の雑誌はピーク時の4分の3、外国雑誌は3分の一に減った。雑誌の棚には空きが目立つ。国際文化学部3年の喜多村龍秀さん(20)はよく読んでいた何冊かがなくなり、仕方なく外の図書館まで出かけている。司書は「予算削減で図書費は毎年カットされている。でも、電子ジャーナルなどは充実させている」と説明するが、喜多村さんは釈然としない様子だ。「大学全体が、直接利益を生み出すものだけに金をかけているように見える。ほかにも大事なものはあるのに」
■動き出す学生
 これまでの改革の過程では、主役のはずの学生の声が聞き入れられていなかったのが実情だ。一昨年、学生有志が改革に学生の意見を反映させることなどを求め780人分の署名を大学当局に提出したが、返事はない。こうした中、2月にあらたに有志の学生が「NOB(Network of OutBurst)」という組織を設立。新学長に内定しているブルース・ストロナク氏と話し合い、今後は学生の意見を伝える機会を作るよう求めた。ストロナク氏も「大学は町と同じで、教員・学生・職員が一緒にかかわらなければならない。学生と話し合える場を作りたい」と応じた。
 NOBの代表、国際文化学部2年の富樫耕介さん(20)は言う。「学生へのサービスが向上する改革ならやるべきだし、同時にそれを評価する態勢を作るべきだ。これからは学生・教員・職員の三者が主体になれるようにしたい」
■改革担当者は
 学生の不安について、同大の大学改革推進課の担当者は「学生への説明会を開いたが、思ったより集まらなかった。ゼミの改廃は改革の前からあった」と説明。授業料については「05年度は値上げしない方針で予算案を出している。市議会の議決なしに値上げはできない」という。

[横浜市立大問題関連のサイト記事]

学問の自由と大学の自治の危機問題より
 ∟●「小川学長の名誉教授推薦」(2005-3-5)
 ∟●「学長は万死に値する」(2005-3-4)
公立大学という病:横浜市大時代最後の経験より
(更新雑記)
 ∟●(2005/3/5)
 ∟●(2005/3/4)


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2005年03月03日

横浜市立大学教員組合、「有期雇用契約(任期制)に同意する必要はありません! 組合に委任状提出を!」

■横浜市立大学教員組合週報/組合ウィ-クリー(2005.3.2)
大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(3月2日)
学問の自由と大学の自治の危機問題(佐藤真彦教授)

最新日誌(3月2日)より

教員組合から本日付の週報が届いた。多くの教員に、現状では任期制への同意をしないことを勧めるものであり、不当な圧力に屈しないためには、教員組合に委任状を出すことを提案し、呼びかけている。

2月28日の教員説明会で、ある教員が外国の過去の事情などもあげながら、「大学の教員は強そうに言っていても、非常に弱くもろい」といっていた。まさにそうだと思われる。たくさんのひどい労働問題・労使関係を知っている吉田さん(香川大学)は、まさに「脱出」したではないか。精神的に奴隷化されることの危険性に敏感な吉田さんのHPをよく読んでみる必要があろう。

研究教育に没頭することだけを希望してこの道を選んだものが圧倒的多数のこの世界において、当局(さまざまな意味での財力・権力などをもつもの)に対して、きちんと対峙できるような百戦錬磨の闘士がいるわけがない。

いや、憲法の保障する「学問の自由」、「大学の自治」は、まさに真理探究を主眼としている大学教員が行政的(本学の場合で言えば市当局)な圧力におびえなくてもいいように保障しているものであろう。それは、個々の教員が弱いことを踏まえた上で、そうした弱みに「力」を持つものがつけけ込んではならないことを求めているものであろう。以下、委任状に関するニュースを掲げておきたい。

「そもそも「普通にやっている」かどうかを決めるのは、教員(=労働者)自身ではありません。」とあるが、まさに、現在、大学自治の根幹に関わる部分で、それが破壊される危険性がある。人事の問題、教員評価の問題は、一体誰が行うのか? すくなくとも、この間、新規採用の人事においては、教授会審議は行われていない。新しい法人の人事であり、現在の教授会は関係ないからだ、といった論理で押し通している。

はたしてそれは、妥当か?深刻な問題を抱えているのではないかと考える。新規採用と同じことが、昇任等で行われるとどういうことになるか? 学問の教育研究に素人の人間が決定権を握るようになる可能性がある。そうしたシステムとなっているのではないか?

-------

横浜市立大学教員組合週報/組合ウィ-クリー(2005.3.2)

もくじ
●有期雇用契約(任期制)に同意する必要はありません! 組合に委任状提出を!
●委任状について
●当局第2回教員説明会
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●有期雇用契約(任期制)に 同意する必要はありません! 組合に委任状提出を!

任期制教員となって、もしも再任されない場合、裁判で勝てるか?
 「普通にやっていれば再任される」と当局は言っていますが、「普通かそれ以上」でも再任されないことがあります。任期制とは、例えば任期5年の場合、法的には「5年間は雇います。その後はそのときまた考えましょう」というものです。任期制は基本的に、任期の終了時、使用者は自由に労働者を解雇(=再任拒否)することができるのです。
 そもそも「普通にやっている」かどうかを決めるのは、教員(=労働者)自身ではありません。また、「普通にやっている」と判断されたとしても、次の中期計画などで、その分野やコースあるいは担当科目が大学として不要だということにされてしまうと、再任されない可能性が大いにあります。教員が任期中にノーベル賞をとったとしても、このような事情で再任されない恐れもあります。
 再任されなかった場合に、労働者側が裁判で勝てるという保障はないのです。

任期制に同意しないことこそ、「普通にやっていればクビにならない」ための条件
 任期制に同意しなければ、自動的に「期間の定めのない雇用」となります。この場合に使用者が労働者を解雇することについては、労働法制上極めて厳しい条件が付いていますので、こちらの方こそが「普通にやっていればクビにならない」労働契約です。
 任期付教員にならない教員、つまり「期間の定めのない雇用」の教員は、「任期に同意した教員」と比べて不利益な扱いを受けるのではないか、と心配する人もいるかもしれません。しかし、両者の間で労働条件に差をつけると法律に触れるので、そういったことはできません。今回の説明会で、同意しない人とした人とを勤務条件(労働条件)で差別できないことは、当局も認めています(3~4面に関連記事)。
 何より重要なことは、任期付の契約に同意しないことです。つまり任期制教員になることを拒否し続けることです。任期付契約に同意しない教員が多ければ多いほど、われわれ教員は有利になります。
 また、任期制に同意しないで期限の定めのない雇用になったからといって、昇給がないということにはなりません。法人化以降、すなわち4月1日以降、われわれ横浜市立大学の教員は公務員ではなくなります。公務員の場合、労働条件は市の条例で定められますが、法人化以降は、労使間の交渉によって決まります。民間企業の組合がストを構えて春闘を行うのと同じです。
 任期付契約に同意しない教員が多ければ多いほど、そして教員組合の組合員数が多ければ多いほど、まともな労働条件で働くことができるのです。

組合に委任状提出を!
 「普通にやっていれば再任されるのだから、任期付契約に同意して下さい」とか、「任期付教員にならないと、研究費の面で不利益になりますよ」などと圧力をかけられるおそれがあります。
 このような不当・違法な圧力をはね返すために一番良いのは、教員組合に委任状をあずけることです。当局や「上司」に対して、「この件については、組合委員長に委任してありますから、回答できなせん」と言うのです。ぜひ、委任状を提出して下さい(下記参照)。

●委任状について

 労働条件、特に任期制に関する合意について組合に委任しましょう
 組合は、本学のすべての教員に、労働条件、特に任期制に関する合意について、執行委員長、中西氏に委任することを呼びかけます。委任状を提出しましょう。

非組合員の教員についても、委任状を受け付けます
 組合員各位には、非組合員の教員への呼びかけもされるようお願いします。

提出方法
 委任申込用紙とご案内は、すでに各組合員のもとに届いているはずです。
 委任状の提出は下記の方法のいずれかで行なってください。
  1 組合事務室に持参する
  2 組合事務室に、郵便、宅急便もしくは庁内便にて送付する
  3 最寄りの執行委員に預ける
 ご提出後、1週間程度で、委任状のお預かり証をお届けします。
 執行委員長と執行委員会は、責任をもって委任状を受けます。誰が委任したかについては秘密を厳守します。
 お問い合わせは、本号4面の連絡先までお願いいたします。

●当局第2回教員説明会

 先月24日、25日、28日、福浦、浦船、金沢八景の各キャンパスにおいて、当局によって、労働条件に関する第2回の教員説明会が催されました。おもに松浦大学改革推進本部最高経営責任者(副理事長予定者)と福島大学改革推進担部長から説明がありました。
 当局の説明とそれに直接関連する質疑応答において明らかにされたのは、おもに以下の点です。組合のコメントを括弧で示します。
 当局案全体についての論評と要求は、あらためて別に発表します。

当局のスケジュール
・4月1日より、任期制・年俸制・教員評価制度を導入する。
(当組合との交渉も本格的に行なわないで導入を一方的に決めるのは、不当であり、脱法行為です。)
・新法人に移行したくない者はなるべく3月4日までに、退職を申し出てほしい。
(同上。)

任期制
・任期制については個人の同意が必要であり、3月4日以降ないし3月中旬に手続きに入る。
(同上。)
・任期制を拒否する教員についても、雇用を継続し、期間の定めのない雇用とする。
労働条件の不利益変更は行なわない。
(当然です。そうでなければ違法です。)
・ただし、任期制を受け入れない教員については以下のような格差を設ける。
  1 裁量労働制を導入しない
  2 昇任がない(28日にはじめて言い出しました。24、25日には触れていません。)
(きわめて重大な不利益変更であり、不当、違法であるとともに、当局の上の言明と矛盾します。)

教員評価制度
・教員評価制度を年俸制、再任審査に連動させる。得点は5段階の相対評価により決める。
(全員頑張ると「普通に」、あるいは一生懸命に働いていて高い成果を得ても最低の評価になりえます。)

年俸制
・給料相当分(全体の6割程度)を任期期間中固定とする。再任時に見直す。ベースアップ、経済状況にみあった変化はありうる。
(昇級の保障はなく、減給になる可能性もあります。)
・職務給・職務業績給(4割程度)を評価に基づいて変動させる。変動幅は10%、すなわち全年俸の4%程度。
(同上)
・17年度分の年俸は、16年度のものに、定期昇給分を加味したものとする。

兼業制度
・兼業に従事する時間は、「法人の利益に資するものとして」特に理事長が認めた場合を除いては、賃金を減額、または報酬を法人に納付させる。
(何が「法人の利益に資するもの」なのかの客観的基準の有無、それを決定する権限が理事長にあってよいのかが問題です。)

過半数代表
・就業規則決定のために、労働者側からの過半数代表の選出が必要である。
 (当組合も準備を進めます。)

 その他、勤務時間制度、退職手当などについて説明と質疑応答がありましたが、ここでは割愛します。

当局の姿勢、改革失敗の責任追求
 さらに質疑応答では、改革において教員のみが痛みを負い、当局側が痛みを分かち合おうとしない姿勢、一方で教員に責任を負わせ、他方で教員管理を強化することの不当性が糾されました。
 当局の応答は、論点を回避するものでした。
 また、今回の改革全体について、入試志願倍率のいちじるしい低下をみても、客観的に失敗であるとの判定が下ったのであって、改革担当責任者の事務職員・教員は、責任を取るべきであるという、正当な主張と追求が教員の側からなされました。
 当局側は、個々に今後の業績いかんでは責任を取るという明言する者はいたものの、入試制度の不備を挙げるなど、論点をすりかえ、現時点で責任を取るとは述べませんでした。
 あらためて、教員・学生・一般職員の声と合意形成を無視した、上意下達型の一方的改革の無責任体制ぶりが明らかになったと言えるでしょう。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月03日 00:48 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年03月02日

横浜市立大、第2回教員説明会 「任期制に同意しない者は昇任対象としない」

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(3月1日)

下記の永岑氏の日誌によって,横浜市立大では,入試判定のための教授会さえ行われていない事実を初めて知った。少なくとも,どのような学生を何人受け入れるかは重要な教学側(教授会)の決定事項である。全国の大学で教授会の審議・決定抜きにして合格者を決めている大学はあるのだろうか。横浜市立大で定められた重要な教授会の審議・決定事項には何が残されているのだろうか。(ホームページ管理人)

 昨日(28日夕方6時から9時20分ころまで)、第二回教員説明会があった。最高経営責任者(予定者)及び大学改革推進本部労務担当部長の説明は、1時間近く行われ、その後2時間余にわたって会場参加者からの意見表明・質問とそれに対する回答があった。一番重要な任期制問題では、すでに行われた医学部の説明会での答弁と28日の八景キャンパスでの答弁とが違うことをはじめ、制度設計の全般にわたって重大な問題点がつぎつぎと指摘され、満足な回答は得られなかった。

 しかも、そのように重大な身分上の変更に関わる提案(説明)を、2月15日になって行い、十分な規定等の整備抜きで、今回の説明会において、「任期制」への同意だけを迫る態度を示したこと(会場発言の言葉を使えば、「卑怯なやり方」)は、労使関係の根本的なあり方としても、重大な問題をはらんでいることが、教員組合委員長をはじめとする参加者から繰り返し出された。

 いずれ教員組合も、昨日の重大な論点については整理し、文章化して法律問題、誠実な交渉義務の問題、就業規則提示の時期の問題、就業規則実施に伴う諸制度・そ規定の不備(欠如)の問題などを指摘することになろう。すくなくとも、現段階で任期制に同意をもとめられても、その判断材料が適正かつ公明な形で提示されていない以上、明確になるのは不利益がほとんどという状況では、問題外というのが多くの人の気持ちだったのではなかろうか。

 昨日の最高経営責任者・労務担当部長の発言で一番の問題は、任期制に同意しない者は昇任対象としないという部分であろう。すなわち、任期制と昇任とを結合させ、現在の公務員としての「期限の定めなき雇用」形態から、有期雇用の形態に何が何でも押し込んでしまおうとする態度をしめしたことだろう。これは、明らかな不利益措置であり、関係諸法律に違反するものといわなければならないだろう。

 そもそも昇任(助手から准教授へ、准教授から教授へ)とは何を基準にするのか、その根本が問題になる。昇任とは研究教育業績を積み、大学の使命(学則に示される真理探究など)の実現度・その実績に応じたものではないのか? 任期に同意するかどうかを昇任の基準とし、差別基準とするのは、これは根本的に(憲法的な意味で)重大な問題をはらんでいるのではないか?そうした任期制の制度設計は、大学の研究教育の活性化とどのように関係するのか、まさにその説明責任こそが問題となる。すべては教員組合がすでに繰り返し指摘してきた論点であろう。昨日の説明会の態度は、それにまともに答えない態度だということである。

 こうした昨日の説明会の問題点については、教員組合執行部がしっかり法律論をはじめとして、論点をまとめ、提起してくださるであろう。

 「大学教員任期法」の精神にも、労働基準法の有期契約の精神(労使双方の良好な関係・労使双方に有利な契約という精神)にも違反しているような制度をこの時点になって最高経営責任者と労務担当者から聞こうとはと、愕然とする。いったいこれで、どれだけの人が「よしこれならやろう」という意欲をもてたのか(ほとんどの人は不利益・不安しか感じなかったのではないか、特に若い人々、助手、講師、助教授の人々はそうではないか)、これが昨日の総括的印象である。

 もうひとつ、繰り返し提起された問題は、新しい学部の応募者・受験生の「激減」の責任を誰がどのように取るのかという問題であった。来年もこのようであれば、「私が責任を取ります」というのが最高経営責任者の言葉であった。大学改革推進本部が学長以下の入試管理委員会の組織を使って行っている入試であり、昨年までの入試とは違って教授会による審議(入学者判定教授会)は行われていない。ポイントはこの教授会審議の欠如という点である。学校教育法にもとづく重要審議事項として教授会が持ってきた責任と権限をどのように実行するのか、まさにこの点が最も重要な問題であろう。従って、今回の入試システム自体の持つ根本的問題(少なくとも学則による教授会審議事項の無視)も、その責任の所在を明らかにする上では重要な論点となろう。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月02日 00:41 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年02月28日

公立大学という病:横浜市大時代最後の経験 「追記」

YOSHIDA Makoto's web site!
 ∟●公立大学という病:横浜市大時代最後の経験 より転載
「学問の自由と大学の自治の危機問題」「公立大学という病:横浜市大時代最後の経験 「追記」」経由

 この文書が大っぴらになって、いろいろな人が読みにくるようになった。また今日は大学時代の先輩稲場振一郎氏のblogにリンクされたこともあって、アクセス数も随分と増加した。ただ、横浜市大問題を知らないという人も増えているだろうから、初めてこの話を知ったという人はまずは第三者が書いたこの記事を読んでおいてもらえればと思う。
 さて敵方の関係者も随分と覗いているようで、私に裏切られたと思っている人がいてもおかしくはない。人事や市労連の連中とも愛想よく笑顔で接し、「楽しく」酒を酌みかわしたこともあるからだ。しかし、その笑顔は奴隷の笑顔であり、彼らと人間的な関係にあったからでは決してない。その時、付きあっていただいた方はくれぐれも誤解しないで欲しい。あなた方から情報を取るのが私の仕事であって、それ以上でもそれ以下でもなかったのだ。これ以外に、凌辱されている者が凌辱している連中に対して、どんな意味で笑顔を見せることができようか。
 また、ここに書かれていることは「嘘」であることにしたい人がいるらしい。先日この文章は「自己満足的な性格を多分に帯びたもの」だと書いたが、それは凌辱された者の感情が随分と移入されているという意味であり、ここに書かれた出来事が私自身の経験した事であるということにかわりはない。嘘は交じえていない。実際に起ったことと、それに基づく自分の判断を記しているのであり、当時の親しい人には既に話してきたことでもある。ここに書いてあることが嘘だと言うのであれば、姑息なことなどはせずに、きちんと私に抗議すべきであろう。私は連絡先も公開している。間違いがあれば訂正するのは吝かではないし、実際に訂正している。
 もう一度書く。横浜市大の「改革」は、市長の号令よろしく、小役人たちがアカデミシャン苛めにいそしむ究極の形でのアカデミック・ハラスメントである。地方役人が、大学人から研究の自由を奪い、彼らの雇用をもて遊んでいる。都立大も横浜市大も構造は同じであり、それが地方の公立大学にも広まっている。まさにこれこそ公立大学の悲劇であり、病である。
 現在、横浜市大では、教員から任期付きの同意をとろうと、小役人たちが手練手管をつかっているらしい。「任期付きに同意しないものは、新法人の方針に異を唱えるものだから、それ相応の覚悟をしておけ」というようなことが言われているとも聞いた。市大で呻吟に喘いでいる先生方、絶対に脅しに屈伏しないで欲しい。現在の日本において「期限の定めのない」雇用ほど、解雇のしにくい雇用形態はないからだ。敵前逃亡をした私にそれを言う資格はないが。。。(05/02/25)

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2005年02月25日

横浜市立大教員組合、「わたしたちの権利について」

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(2月24日)より転載

(組合員各位
 下記のようなビラを教員に配布しますので、配信します。
 どうぞお読みください。         執行委員会)

教員のみなさんへ!
 事前にもう一度はっきり認識しておきましょう。

・身分は承継
・任期制は本人の同意が必要
・同意しなくても雇用は継続
・不利益変更はいっさいできない

組合員ならびに非組合員の教員のみなさん!

 今月24日、25日、28日に当局は、新法人における勤務条件についての教員説明会を行なう予定であり、その後、労働条件の変更について教員の同意を得ようとすることが予想されます。
 そのまえに、わたしたちの権利について、また、当局は何ができないかについて、もう一度確認しておきましょう。

(1)身分は承継
 当局側の人々からはときに、新法人への移行にあたっては新たな労働契約がなければ身分が承継されないかのごとき、あやまった発言がなされています。
 しかし、地方独立行政法人法によって、新法人への移行にあたっては、かならず身分が承継されることが定められています。横浜市大についても、当局自身がこのことを、すでに昨夏に確認しております(当組合週報2004年8月23日号)。
 したがって、当局が何を言おうと、新たな労働契約がなくとも雇用は自動的に継続されますし、当局はそれ以外の措置を取ることはできません。

(2)任期制は本人の同意が必要、同意しなくても雇用は継続
 現在ほとんどの教員は、期限の定めのない雇用契約において労働していますが、これを任期付雇用に切り換える場合には、本人の同意が必要であります。本人が、この同意をしない場合には、身分が承継されること自体は変更のしようもありませんから、当然に雇用は継続されます。給与も、労基法の定めにより、4月5日付で当然支払われますし、5月以降も同様です。

(3)不利益変更はいっさいできない
 任期制に同意しない場合、新たな労働契約を結ばない場合、それとは無関係に身分が承継されるだけでなく、労働条件の不利益変更はいっさいできません。
 そんなことをした場合、あるいは、するぞと脅す、あるいは婉曲に、そのようなことを当局がしそうであると思い込ませるような言辞を吐くことは、いずれも違法な不当労働行為となります。もちろん実行はできません。
 すでにこれに近い暴言のたぐいは現れています。当局側がそのような不当労働行為を行なっていないかどうか、常に監視とチェックを怠らないでください。そのような事態が起きた場合には、なるべく詳しい記録を取って、当組合にお知らせください。ご自分と仲間の身を守るために役立ちます。

2005年2月24日
横浜市立大学教員組合


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2005年02月23日

横浜市立大、平成17年度一般入試出願者の減少について

横浜市立大学教員組合週報/組合ウィークリー(2005.2.21)
学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●平成17年度一般入試出願者の減少について 松井道昭(商学部) 05-2-21

もくじ
●(投稿)平成17年度一般入試出願者の減少について
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(組合員からの投稿)
 組合員の松井さんから入試出願者現象の問題について投稿をいただきました。かならずしも組合としての正規の見解ではありませんが、組合員の参考のため、週報に掲載します。

平成17年度一般入試出願者の減少について

松井道昭

 平成17年度の一般入試の出願が締め切られ、横浜市大は大幅な出願者減少となった。昨年度と比較するとき、学部構成や募集枠が異なり、単純比較するわけにはいかないので、看護学部を除く4学部の合計で比較したほうがわかりやすい。16年度は556人の募集に対して、4,654人の出願で、出願倍率は8.4倍であった。17年度は580人の募集に対し2,216人で出願倍率は3.8倍である。つまり、半分以下の倍率である。
 学内で「改革」をめぐるゴタゴタがつづき、それが外に出て大幅な志願者減を招いたとみる見方が一般的のようである。しかし、それは否定できないが、それがマイナスに転じた主要な原因ではない。ゴタゴタではわが大学よりもはるかに世を騒がした都立大が減らさないだけでなく、むしろ増えていることに注目したい。わが大学と都立大に、ゴタゴタ要因に基づく出願者減が表われるのは次年度以降のこととなろう。
 横市大が減らしたのはいくつかの要因が絡んでいる。最初に技術的な面からふれよう。
 一つは、前期日程のみの募集になったことである。16年度の前期日程が募集定員483人に対する2,901人の出願で6.0倍であり、後期日程のほうは募集定員148人に対する1,753人の出願で11.8倍であった。17年度は前・後期一本化されたため、出願の集まりやすい後期日程がなくなったことが出願者減に大きく影響を与えている。
 第二の要因は、募集方法と選抜方法を大幅に変えたことである。都立大学のばあい、学部構成こそ変わったが、選抜方法は従来どおりのものを踏襲した。受験生の側からみて過去のデータが使えないのは非常に心細いことである。わが大学志願者は模様眺めに走ったのだ。選抜する側のつごうのみで入試方法をイジルことはひじょうに怖いことなのである。
 もっと大きな要因について述べよう。それは、市大改革のグランドデザインが時宜に適っていないことである。つまり、市大がどこに向かっているか受験生に(高校および予備校にも)わからない。今の大学の流れは、ゼネラリスト養成の従来型大学の基礎のうえに大学院を充実させるという流れと、資格取得、職業人養成に重点をおく流れとに二分される。前者が旧国立の難関校に見られ、後者は地方私立大および公立・私立の新設校に見られる。資格取得を目的に掲げる大学はおしなべて入学難易度は高くないし、大学院重点化も目指さない。少子化と大学入学定員増でまもなく大学全入時代が訪れようとしている。大学機能の二分化はこのような状を反映しており、受験生も二層化しつつある。
 受験生が二層化しているなかで、市大の目指す方向について受験生はおろか、市大にいる教員や学生にもわからない。いわゆるプラクティカルなリベラルアーツという路線がこれである。一見、ゼネラリスト養成を掲げるようにみえて、それを受けるかたちで大学院重点化の兆しが見られない。さりとて、資格取得を目的としているようにも思えない。たとえば、先端科学を象徴するような学系名称が消え、MBAなり会計大学院なりの魅力的な経済・経営の看板もない。これで受験生を振り向かせようとしても所詮、無理な話だ。
 加えて、いま教員任期制と年俸制が日程に上っている。これを前にして、教(職)員は意気阻喪している。研究・教育業務はサービス産業の最たるものである。サービス提供者がヤル気をなくして、お客様に対して質のよいサービス提供をなしえないことは自明の理である。この弊はまもなく外部に伝わるであろうし、今後、いま始まったばかりの出願者減にいっそう拍車のかかることが予想される。杞憂であればと願うが。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年02月23日 00:42 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年02月22日

横浜市立大学の未来を考える『カメリア通信』第32号

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●『カメリア通信』第32号2005年2月20日大学改革市民アンケート、全面開示へ 情報公開・個人情報保護審査会 市長に答申 理学部 一楽重雄

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横浜市立大学の未来を考える
『カメリア通信』第32号
2005年2月20日(不定期刊メールマガジン)
Camellia News No. 32, by the Committee for Concerned YCU Scholars
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大学改革市民アンケート、全面開示へ
情報公開・個人情報保護審査会 市長に答申

理学部 一楽重雄

横浜市立大学が大学改革案を策定するために行った「大学改革市民アンケート」は、その結果の全容が発表されず、その一部が「横浜市立大学の新たな大学像について」の附属資料として発表されただけであった。そのため、「アンケート結果が必ずしも予定していた実践的教養大学を支持する結果になっていないので一部しか発表しないのではないか」との強い疑いが生じた。そのため、「横浜市が保有する情報の公開に関する条例」に基づき、一市民としてアンケート結果の集計結果を記載した文書を開示するよう請求した。これに対して、横浜市は回答者の個別の意見の大部分を黒塗りとしたものしか開示せず、その理由としては「回答者が識別される」、「回答者の権利権益が犯される」、「回答を公表しないと言って行ったアンケートであるから回答者との信頼関係が崩れる」などの理由をあげていた。しかし、黒塗りとしたものの中にも、すでに公表している個別意見なども含まれていることや、そもそも、このアンケートの趣旨からしてアンケート結果は公表することが当然であると考えた私は、この一部開示決定に対して、平成16年5月14日に異議申し立てを行った。
この異議申し立てに対して、横浜市情報公開・個人情報保護審査会は平成17年1月7日と21日に審議を行い、2月14日に横浜市長に対して「横浜市長が大学改革アンケート集計結果を一部開示とした決定は、妥当ではなく、開示すべきである。」との答申を行った。横浜市の主張は、ことごとく認められなかった。私自身は黒塗りの部分を読むことが出来なかったので、そこに個人や個別の会社が特定される情報が記載されていないとは断言できなかったのであるが、審査会はこれらを見分した結果、まったく、非開示にする理由はないと結論した。審査会の答申では、個別意見を開示しても回答者が特定される恐れはないとした。また、開示請求した文書は回答そのものではなく、それらをもとにアンケート結果をまとめたものであることから、信頼関係が壊れる恐れもないとした。
これは、私の主張が正しかったことを第3者が認めたものである。この答申の意味は、6つの文書の内容がこれから明らかにされるだろうという以上に大きな意味を持つものであると思う。「市立大学の今後のあり方懇談会」の答申(平成14年度)に端を発し、「大学自らが改革案を作成する」として、そのために行った「大学改革シンポジウム」や「大学改革アンケート」は、すべて非民主的なものであったという多くの人々の主張の正しさが裏付けられたものだと私は考える。今回の審査は、大学改革アンケートの集計結果の開示に関するものではあるが、「市立大学の今後のあり方懇談会」自身も、もともと特殊な意見を持った人[橋爪大三郎]を座長にすえ、大学事務局の主導によって懇談会を運営すると言う、およそ非民主的なものであったことは、すでに指摘したとおりである。また、「大学改革シンポジウム」もフロアからの意見をまったく受け付けないという常識では考えられない運営であった。大学自らが策定したとされる「横浜市立大学の新たな大学像について」も実際には教職員のごく一部の人たちによって作成されたものでしかないことは、教授会などでの実質的な審議がまったくないこと、最終的にこの案を審議した評議会が深夜まで紛糾したことなどでも明らかであった。しかし、これらの段階の事柄については、横浜市の行動が違法と言いきるのが難しい形を取っていたが、このアンケート結果の開示については、明確に第3者の結論が出されたわけである。これらの横浜市の行動は一貫したものであり、今回明確になった非民主性はすべてに共通するものであると私は考えている。
また、実際には「新たな大学像」に基づいてカリキュラムなどを構築することは、多くの教員の協力を得たとは言っても、それはまさに協力であって、カリキュラム等作成の責任と主体は横浜市にあり、大学はまったく関与していない。これは明確に「大学の自治の侵害」であって、違法なことである。違法ではあっても、行政が強引に押し進めてしまえば、裁判などの手段によらない限り、それを止めることはなかなか出来ない。そして大学改革案の策定ということがらは、もともと裁判にはなじみにくい。市民の意見によるのでもなく、現場の教員の考えによるのでもなく、誰かよく分からない少数の人が描いた「オンリーワン大学」は、確かに現実化しつつある。ただし、"入試倍率激減のオンリーワン大学"として。
2月3日に確定した横浜市大の「入試倍率」は極端な低下を示している。昨年度の一般入試志願者の倍率は5.4(総志願者数4654募集人員586)であったが、今年度の倍率は3.7(総志願者数2420募集人員660)に留まっている。(昨年度について手元のデータには看護短大は含まれていない。)今年度の公立大学の全国平均は、6.8倍である。公立大学法人横浜市立大学が、受験生にとっていかに魅力ないものとなっているかが如実に分かるデータではないだろうか。
大学の伝統は、学生、教職員のみんなの意識的な、あるいは無意識のたゆまない努力によって、長い時間の経過とともに創りあげられるものではないだろうか。この一連の大学改革騒動によって、多くの教員が大学を去ったし、今も去りつつある。「反対のための反対」が無意味であることはよく言われるが「改革のための改革」もまた同様に虚しい。伝統を壊すことは簡単だが、それを創り上げることは一朝一夕には出来ないのである。今回の大学改革の内容が、新聞に報道されることだけを目的としたとしか思えない無意味なものであることは、そろそろ誰の目にも明らかになってきたのではないだろうか。この時期に、市民が求める大学とは何なのか、原点に回帰して謙虚に考え直そうではないか。

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編集発行人: 矢吹晋(商学部非常勤講師) 連絡先: yabuki@ca2.so-net.ne.jp


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2005年02月19日

横浜市立大の大学改革市民アンケート、全面開示へ

一楽重雄氏ホームページ 
 ∟●大学改革市民アンケート、全面開示へ(2005/2/18up )
学問の自由と大学の自治の危機問題(大学改革市民アンケート、全面開示へ 情報公開・個人情報保護審査会 市長に答申 (一楽重雄 2005年2月18日))経由
大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(2月18日)経由

■「横浜市大の改革アンケート 「全面開示」を答申 市情報保護審」『神奈川新聞』2005年2月15日付
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050215kanagawa.pdf

学問の自由と大学の自治の危機問題より転載

大学改革市民アンケート、全面開示へ
情報公開・個人情報保護審査会 市長に答申

 横浜市立大学が大学改革案を策定するために行った「大学改革市民アンケート」は、その結果の全容が発表されず、その一部が「横浜市立大学の新たな大学像について」の附属資料として発表されただけであった。そのため、「アンケート結果が必ずしも予定していた実践的教養大学を支持する結果になっていないので一部しか発表しないのではないか」との強い疑いが生じた。そのため、「横浜市が保有する情報の公開に関する条例」に基づき、一市民としてアンケート結果の集計結果を記載した文書を開示するよう請求した。これに対して、横浜市は回答者の個別の意見の大部分を黒塗りとしたものしか開示せず、その理由としては「回答者が識別される」、「回答者の権利権益が犯される」、「回答を公表しないと言って行ったアンケートであるから回答者との信頼関係が崩れる」などの理由をあげていた。
 しかし、黒塗りとしたものの中にも、すでに公表している個別意見なども含まれていることや、そもそも、このアンケートの趣旨からしてアンケート結果は公表することが当然であると考えた私は、この一部開示決定に対して、平成16年5月14日に異議申し立てを行った。
 この異議申し立てに対して、横浜市情報公開・個人情報保護審査会は平成17年1月7日と21日に審議を行い、2月14日に横浜市長に対して「横浜市長が大学改革アンケート集計結果を一部開示とした決定は、妥当ではなく、開示すべきである。」との答申を行った。横浜市の主張は、ことごとく認められなかった。私自身は黒塗りの部分を読むことが出来なかったので、そこに個人や個別の会社が特定される情報が記載されていないとは断言できなかったのであるが、審査会はこれらを見分した結果、まったく、非開示にする理由はないと結論した。審査会の答申では、個別意見を開示しても回答者が特定される恐れはないとした。また、開示請求した文書は回答そのものではなく、それらをもとにアンケート結果をまとめたものであることから、信頼関係が壊れる恐れもないとした。
 これは、私の主張が正しかったことを第3者が認めたものである。この答申の意味は、6つの文書の内容がこれから明らかにされるだろうという以上に大きな意味を持つものであると思う。
 「市立大学の今後のあり方懇談会」の答申(平成14年度)に端を発し、「大学自らが改革案を作成する」として、そのために行った「大学改革シンポジウム」や「大学改革アンケート」は、すべて非民主的なものであったという多くの人々の主張の正しさが裏付けられたものだと私は考える。今回の審査は、大学改革アンケートの集計結果の開示に関するものではあるが、「市立大学の今後のあり方懇談会」自身も、もともと特殊な意見を持った人を座長にすえ、大学事務局の主導によって懇談会を運営すると言う、およそ非民主的なものであったことは、すでに指摘したとおりである。また、「大学改革シンポジウム」もフロアからの意見をまったく受け付けないという常識では考えられない運営であった。大学自らが策定したとされる「横浜市立大学の新たな大学像について」も実際には教職員のごく一部の人たちによって作成されたものでしかないことは、教授会などでの実質的な審議がまったくないこと、最終的にこの案を審議した評議会が深夜まで紛糾したことなどでも明らかであった。しかし、これらの段階の事柄については、横浜市の行動が違法と言いきるのが難しい形を取っていたが、このアンケート結果の開示については、明確に第3者の結論が出されたである。これらの横浜市の行動は一貫したものであり、今回明確になった非民主性はすべてに共通するものであると私は考えている。
 また、実際には「新たな大学像」に基づいてカリキュラムなどを構築することは、多くの教員の協力を得たとは言っても、それはまさに協力であって、カリキュラム等作成の責任と主体は横浜市にあり、大学はまったく関与していない。これは明確に「大学の自治の侵害」であって、違法なことである。違法ではあっても、行政が強引に押し進めてしまえば、裁判などの手段によらない限り、それを止めることはなかなか出来ない。そして大学改革案の策定ということがらは、もともと裁判にはなじみにくい。市民の意見によるのでもなく、現場の教員の考えによるのでもなく、誰かよく分からない少数の人が描いた「オンリーワン大学」は、確かに現実化しつつある。ただし、"入試倍率激減のオンリーワン大学"として。
 2月3日に確定した横浜市大の「入試倍率」は極端な低下を示している。昨年度の一般入試志願者の倍率は5.4(総志願者数4654募集人員586)であったが、今年度の倍率は3.7(総志願者数2420募集人員660)に留まっている。(昨年度について手元のデータには看護短大は含まれていない。)今年度の公立大学の全国平均は、6.8倍である。公立大学法人横浜市立大学が、受験生にとっていかに魅力ないものとなっているかが如実に分かるデータではないだろうか。
 大学の伝統は、学生、教職員のみんなの意識的な、あるいは無意識のたゆまない努力によって、長い時間の経過とともに創りあげられるものではないだろうか。この一連の大学改革騒動によって、多くの教員が大学を去ったし、今も去りつつある。「反対のための反対」が無意味であることはよく言われるが「改革のための改革」もまた同様に虚しい。伝統を壊すことは簡単だが、それを創り上げることは一朝一夕には出来ないのである。
 今回の大学改革の内容が、新聞に報道されることだけを目的としたとしか思えない無意味なものであることは、そろそろ誰の目にも明らかになってきたのではないだろうか。
 この時期に、市民が求める大学とは何なのか、原点に回帰して謙虚に考え直そうではないか。


参考文書
(1)情報開示請求意見書 2004/10/19up
http://edmath.sci.yokohama-cu.ac.jp/opinion1012.pdf 
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041012ichiraku-opinion.pdf

(2)横浜市大、大学改革市民アンケート情報開示請求顛末記(その3)-事務局によるアンケート結果の大幅な歪曲,『アンケート調査票』から発覚- 04-6-22
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040622katayama-tenmatsu3.htm

(3)『カメリア通信』第24号:事務局による大幅な歪曲,『アンケート調査票』から発覚――市民アンケート情報開示請求顛末記(その3)04-6-21
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040621came-24.pdf

(4)大学改革市民アンケート情報開示請求顛末記(その3)―事務局によるアンケート結果の大幅な歪曲,『アンケート調査票』から発覚 04-6-21
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040621tenmatsu3.pdf

(5)大学改革市民アンケート情報開示請求顛末記(補遺) 04-5-17
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040517tenmatsu(hoi).htm

(6)『カメリア通信』第20号:大学改革市民アンケート情報開示請求顛末記(その2) 04-5-17
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040517came-20.pdf 

(7)『大学改革市民アンケート情報開示請求顛末記』(その1):横浜市は「情報公開」ではなく「情報操作」を行っている 04-5-13
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040513tenmatsu1.htm 


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人事担当者対象にキャンパス見学会も、横浜市大

カナロコ(2/14)

 横浜市立大学は十四日、企業の人事担当者を対象としたキャンパスや市内見学会を二〇〇五年度から始めると発表した。「いま求める人材」など企業側のニーズを把握しつつ、国際総合学部を創設した同大をアピールしていくのが狙い。
 三万人に及ぶ卒業生(OB、OG)のネットワーク化へ向けた情報収集も目指す。〇五年度予算案に事業費二百万円を盛り込んだ。手法としては同市所有船を活用した洋上見学を兼ねた意見交換会やキャンパスでの学生との討論会などが浮上している。
 公立大学法人化される同大では、医学部も含めて一年次に共通教養の履修を実施。社会体験を軸とした実践科目も設ける。市内外の企業や卒業生へのアプローチを進め学生受け入れのすそ野を広げていく。就職の門戸拡大も目指す。
 新生大学のPRでは市民向けのフォーラムも六月に開催予定(計上事業費二百万円)。産学連携をテーマに市大の研究成果や実績、目標を披露するという。


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2005年02月18日

横浜市立大、組合第1次見解要求(1月14日)に対する当局回答要旨

横浜市立大学教員組合
 ∟●横浜市立大、組合第1次見解要求(1月14日)に対する当局回答要旨(2005年2月10日)より一部抜粋

組合第1次見解要求(1月14日)に対する当局回答要旨

(2005年2月10日)

……

5 原則全教員への任期制適用について

1)全教員を対象とする任期制が大学の教育・研究のあり方に真にふさわしい制度であるという論拠は全く示されていない。
 全教員を対象とする任期制の導入が「優れた人材を確保する」といえる根拠は何か?
 「大学の教員等の任期に関する法律」(以下、「教員任期法」)が大学における任期制の適用を限定的に扱っていることとの関係で、今回提示された任期制案が大学における「教育研究を進展させる」といえる根拠は何か?

回答:任期制は、公正かつ総合的な教員評価制度及び新たな給与制度(年俸制など)と併せて運用することにより、教育・研究活動の活性化を図ることを趣旨としたものである。また、優れた人材を確保するとともに、多様な知識や経験を有する教員等の交流の活発化を図り、もって、教育研究を進展させるため、原則として全教員を対象に任期を定めて任用する制度としたものである。

2)重大な不利益変更を伴う任期付き教員への移行を正当化する根拠、理由は存在しない。
 任期の定めのない職員としての身分承継を否定し有期雇用契約に切り換える根本的で重大な不利益変更を行う、合理的でやむをえざる理由は存在しない。また、当局案には、全教員の有期雇用契約への切り替えが不利益変更には当たらないとする論拠、制度根拠は示されていない。

回答:任期制の導入は、他大学でも進めているところであり、教育研究の活性化に資するものだ。

3)仮に任期制を導入する場合、法理から言って「教員任期法」に拠らなければならず、労働基準法第14条に基づくことはできないはずである。

回答:平成16年の労基法改正により有期契約期間の上限制限とその適用範囲が改正されたことにより、労基法に基づく導入が可能となった。

・また、当局案が依拠する労基法14条の有期労働契約における期間上限延長は、「有期労働契約が労使双方から良好な雇用形態の一つとして活用されるようにすることを目的としている」。教員にとって従来の「期間の定めのない雇用」と比し、今回当局提案のどこが「良好な雇用形態」であるのか?

回答:なし

4)有期労働契約が合意にいたらず、「期間の定めのない雇用」が継続する場合の勤務条件は「公立大学法人横浜市立大学職員の勤務条件(教員)」文書における「任期」の項を「期間の定めのない雇用」に変更すると解しうるが、それ以外に変更がある場合にはその内容と理由を説明せよ。

回答:「公立大学法人横浜市立大学職員の勤務条件(教員)」に示された内容については、そのとおりだ。なお、詳細については別途示していきたい。

5)当局案(「教員の任期制について」)に示された任期制の制度設計は、雇用形態の変更という最も重大な労働条件の変更を提案しているにもかかわらず、以下に指摘するように、あまりに曖昧で具体性を欠く。以下の指摘は細部にわたるものではなく、制度設計の基本にかかわるものであり、それぞれについて具体的回答を求めるものである。
・「教員任期法の精神にのっとる」とは具体的にどういうことか。

回答:教員任期法の目的は、「大学等への多様な人材の受け入れを図り、もって大学等における教育研究の進展に寄与する」ことだ。

・「再任の考え方」の「最低限クリアしてほしいこと」とは、具体的にはどのような水準を規定しているのか。再任用件の内容として「取組姿勢、能力、実績など」としているが、「取組姿勢」の主観的で恣意的でない基準としてどのような指標を規定しているのか?
 また「取組」の具体的内容は何か?複数の要素にわたる場合、それらの相互関係はどのように規定されているのか?
 さらに、「能力」の具体的内容は何か?「実績」として判定されない「能力」として何を想定しているのか?

回答:再任及び昇任については、別途基準を示していきたい。

・「再任の考え方」にある「新たな市立大学の教員として」の「新たな」とは、現在の学部、短期大学部等は想定していないという意味か?
・助手、準教授、教授の職位にあることの可否と教員身分にあることの可否が同一視されている。
 再任審査において当該職位にあることの審査基準・内容と、教員身分にあることの審査基準・内容とにちがいはないと考えるのか? あるとすればどのようなちがいを想定しているのか? 市立大学教員として「最低限クリアしてほしいこと」と助手、準教授、教授それぞれの果たすべき職務が同じでないとする以上、再任の可否は直接にはそれぞれの職位にあることへの可否を意味するはずである。
 大学教員としての責務、市立大学教員としての責務、職位に応じた職務それぞれの内容についてあきらかにしたうえで、それらの相互関係を踏まえた再任要件規定が示されなければ説明としての一貫性を欠く。
・再任審査にかんする厳密で透明性のある手続規程が明示されていない。
「教員評価制度の評価結果など」を用いるとしているが、教員評価制度を再任審査に用いることの理由、根拠はまったくあきらかでない。どのような理由・根拠から教員評価制度を再任審査に利用するのか?

回答:なし

・「教員評価制度の評価結果など」を用いるとしているが、教員評価制度を再任審査に用いることの理由、根拠はまったくあきらかでない。どのような理由・根拠から教員評価制度を再任審査に利用するのか?

回答:すでに、「公立大学法人横浜市立大学職員任期規程」に示したとおりだ。

・「教員評価制度の評価結果など」の「など」とは何か?
・教員評価制度の評価結果を具体的にどのように用いるのか?
・単年度評価である教員評価制度をどのようにして3年ないし5年任期の任期制における評価と連動させるのか?

回答:再任及び昇任については、別途基準を示していきたい。

・「人事委員会で審査し」とされているが、審査内容と結果について透明性を確保する具体的保障が存在するのか?

回答:審査の基準を定めることや、学外委員を含め構成することにより、透明性を確保している。

・再任拒否にたいする異議申し立て制度を必要なしと考えでいるのか?

回答:評価結果にたいする異議申し立て制度を検討している。

・テニュア制度の導入を謳っているが、その具体的制度内容があきらかにされていない。テニュアの資格要件、テニュアヘの移行条件をどのように想定しているのか?

回答:教授の職位のうち、テニュア資格を有する教授として創設したもので、審査に合格した場合は、定年までの雇用契約を締結することができる終身雇用の教授だ。なお、テニュア教授への昇任については、別途基準を示していきたい。
・助手、準教授における再任回数制限の根拠が示されていない.この基準を仮に現行の助手、助教授に適用してみると、限度年限を越えるケースが存在する。特に、助手について3年任期の1回の更新しか認めない場合には、きわめて深刻な事態が予想される。このことを承知しているか?
 承知しているならば、予想される明白で重大な不利益を承知しながら当局案のような再任回数制限を設けているのはなぜか?

回答:助手については教員等の相互の学問的交流の促進を図り、教育研究の活性化を図る趣旨から任期は3年、再任は1回とするものだ。6年という期間の中で、是非とも成果を挙げてもらい、「上位の職への昇任に積極的にチャレンジしていただく」といった動機付けとしても考えている。

・3年任期の有期雇用契約は大学教員の職務にふさわしくない。

 大学教育にそくして教員の職務を評価する場合であれ、中期計画にもとづいて評価する場合であれ、3年任期の設定が大学にふさわしくないことはあきらかである。大学教育のあり方を無視している。大学における評価の整合性という観点から3年任期がふさわしいと考える根拠は何か?
 また、準教授について「簡易な審査」によりさらに2年の契約を行うとしているが、この場合、「簡易な審査」の内容は何か?

回答:なし

・昇任に関する制度内容は具体的にどのようなものか?任期制の再任審査と昇任制度との関連が指摘されているにもかかわらず昇任制度の説明が欠けている。

回答:昇任審査の資格要件などは別途示していきたい。

・再任と年俸との関係について曖昧な説明が行われている。
 再任にあたって年俸が同額、増額、減額の場合があるとしているが、年俸設定はその年度にかんして行われるものであり、3年ないし5年の任期最終年度における年俸増減をなぜ行うのか合理的説明がない。年俸設定が当該年度の教員評価にもとづくとするならば、「夏頃まで」の再任判断において年俸の増減を云々することは年俸制の趣旨に外れている。

回答:なし

・ローン設定を困難にするなど、「期間の定めのない雇用」から期限付き雇用への移行によって生じると予測されるさまざまな不利益について当局はどのような検討を行ったのか?

回答:既に、病院に勤務する教員の一部に任期制を導入しているが、そのような問題があることは聞いていないが、今度の制度構築の中で留意していきたい。なお、主要取引銀行に選定された横浜銀行は、任期制であることをもって、ローン設定を困難にするということはないとのことだ。……


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年02月18日 01:27 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年02月17日

公立大学という病、横浜市大時代最後の経験

http://yosisemi-ku.ec.kagawa-u.ac.jp/~labornet/MyDoc/ycu2004.html
学問の自由と大学の自治の危機問題(公立大学という病:横浜市大時代最後の経験 05-2-16)経由

公立大学という病:横浜市大時代最後の経験

04/5/16:「日々の雑感」用に記す
04/9/29/:追記
04/11/6:追記および別ファイル化
04/11/17:「II.学長という病」追記
04/12/31:「II.学長という病」追記

はじめに

少しずつだが、前任校の最後の時期に経験したことを書きとめておこうと思う。暴露話的なことにも触れることになろう。タイトルの「公立大学という病」は市大時代の思い出に由来する。昨年(03年)の年の瀬に、教員仲間と呑んでいて「誰かこの大学を早く脱出して、このタイトルで本を出し、市大の惨状を告発してくれないか」と愚痴をこぼしたことがあったからだ。その時は、まさか自分がこんなに早く大学を去ることになろうとは思っていなかった。また脱出したからといって、そんな本を書くつもりもない。ただ、その時の思い出として、こんなタイトルにしているのである。ここに書いていることは何の分析や診断もなされてなく、自分が経験して覚えていることだけを書きなぐったものなので、その意味ではタイトルは誇大な表現となっている。

……以下,上記URLを参照して下さい。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年02月17日 01:34 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/02/post_599.html

学長という病

伊豆利彦氏のホームページ 
学問の自由と大学の自治の危機問題(学長という病 05-2-15)経由

伊豆利彦氏のホームページ http://homepage2.nifty.com/tizu/index.htm
新掲示板2 激動する現代 戦争と平和
http://www1.ezbbs.net/27/tiznif/ より

公立大学という病:横浜市大時代最後の経験

名前:うのき 日付:2月15日(火) 21時44分

香川大学経済学部へ転出された吉田誠先生のHPから
http://yosisemi-ku.ec.kagawa-u.ac.jp/~labornet/MyDoc/ycu2004.html

「04年9月、市大独法化後の学長は米国人になるということが発表された。このニュースの意味することは現学長の解任である。独法化時点で現学長の任期はまだ1年残っており、それを全うせずに職を降ろされることになるからである。現学長の残りの任期を勘案して、市大独法化の定款ではわざわざ最初の学長の任期を1年としていたにもかかわらず、その飴玉をもらうことはできなかったのである。当局も誠にシビアで、ただロボットのように当局の言い分を繰り返すだけの無能な学長は、もう用無しだということなのかとも思う。ある市大の先生は、「次がどのような学長であるかはさておき、現学長が独法化後の学長にならないのはざまあみろという気持だ」と語ってくれた。
 確かにその通りであるが、しかし民主的なプロセスを経て選出された学長が解任されるということは、法人化前後で制度的連続性を一片たりとも残させないということになる。独法化された国立大学でも学長選考会議が組織され、この会が学長を最終決定することとなっている。しかし、旧来からの学長選出手続きをふまえ多くの大学では意向調査として学長選挙を実施するようだ。それは独法化前に選挙で選ばれ学長が、独法化後の学長となっており、旧制度との連続性が実質的に存在しているためだと考えられる。形式的には学長選考会議が学長を選ぶが、実質はできるだけ大学構成員の意思を反映させるような工夫といえる。しかし横浜市当局は、小川学長を解任することによって、形式的にだけでなく、実質的にも連続性を断ち切ることを選択したのである。」

「「小川学長」と呼びかけた。ちょうど学務課の前あたりだ。自分はこの大学を去る商学部の教員だと自己紹介し、最後に御挨拶をしたいと申し出た。学長は「名前はうかがっています。随分とゼミ生から慕われている先生だと聞いており、転出は残念です。」と答えた。私は挨拶にかこつけて何故、市大を辞めることを決心したのかその理由を学長に話した。そして私は学長選で小川氏に投票したこと、そしてその理由は小川氏が民主的なスタンスをもっとも堅持してくれそうだと思ったからだったこと、しかし全て裏切られたことを語った。そして、この改革の問題、とりわけ任期制の問題を学長に訴えた。その時の彼の回答は失望さすに値するものであった。「私は任期制については素人だが、運用次第でどうにでもなるでしょう。」
 私は怒りがこみあげてきた。全教員を不幸のどん底につき落す決定を下しておきながら、この時点になってもまだ「素人」と言い逃れする学長の無責任さにあきれはてた。本当に最高責任者なのであろうか。自らの下した決断が無知に基づいたことであったことを、さも我関せず風に答えられる学長のいいかげんさが許せなかった。
 もう一つ許せないことがあった。3月の市会での学長の答弁である。改革が嫌で大学を去る教員が多いと新聞に書かれているがどうかという議員の質問に、学長は「流出する教員と改革とは関係がない。」と断言し、改革が問題のないものであると強弁していた。私はこれが許せなかった。当然、学長は多くの教員が改革に嫌気を出して辞めていることを感じているはずだ。もしそうでないなら、本当に「裸の王様」であろう。だから市会の答弁は嘘であり、こんな嘘を堂々とつける人間がいやしくも学者をやっていたというのが、許せなかった。「私はこの大学が好きだったが、この改革のせいでやめていくのです。学長も良心が残っているのなら、市議会で嘘の答弁をするのは辞めてください。もし多くの教員が辞めていく理由がわからないというならはっきりと申しておきます。少くとも私はこの改革が嫌で辞めていくのです。」彼は神妙な顏をして聞いていたが、何も答えてはくれなかった。
教員組合の作成した2004年3月11日の市議会傍聴記録によると学長は田中議員の質問に対し、「「逃げ出す教員」についても、教員の移籍は、大学相互の人事交流・活発化、さまざまな理由によるもので、大学改革によるものとは考えていない」と答えている。ただ四月以降、少し変化した学長の発言をどこかで読んだ記憶がある。議会での答弁かインタビュー記事であったかも定かでないが、「改革のために、行く先のないにもかかわらず辞めた教員がいる」と述べていたと記憶している(ただ残念ながらソースを見つけることができない)。この程度の前言撤回で何がどうかわるというわけではないが、私に問いつめられて若干の良心を蘇えらせた見るべきか、それとも単なる裸の王様だったというべきか。それはわからない。」
http://yosisemi-ku.ec.kagawa-u.ac.jp/~labornet/MyDoc/ycu2004.html


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年02月17日 01:32 | コメント (0) | トラックバック (0)
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横浜市立大、就業規則案・年俸制規程・任期規程等諸規定を提示

横浜市立大学教員組合

10 2月7日と10日、当局は組合に対して、就業規則案ならびにそれに関わる以下の諸規定を提示しました。

就業規則案
年俸制規程
任期規程
セクシャル・ハラスメントの防止等に関する規程
勤務時間・休日及び休暇等に関する規程
職務発明規程
退職手当規程
賃金規程
1か月変形労働時間制勤務規程倫理規定
安全衛生管理規定
表彰規程
育児・介護等に関する規程


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年02月17日 01:31 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年02月15日

横浜市大、どうにも止まらぬ「教員流出」

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●横浜市大、どうにも止まらぬ「教員流出」(2005-2-14)

横浜市大、どうにも止まらぬ「教員流出」

 『「改革」に揺れる横浜市大、密室で決定 いきなり公表 トップダウン、学部統合 全教員の任期制 研究費ゼロ』と報道した、「東京新聞」(2004年2月16日付)「特報」欄で、『逃げ出す教員「隠れFA」も、“石原・都立大”と手法同様』という巨大な見出しが躍ったのをご記憶の方も多いだろう[1]。その当時以前から、中田市長らによる「市大改革」に嫌気がさして教員流出が始まっていたが、最近の調査で、その流れがどうにも止まらなくなっていることが判明した。リストラ対象となった八景キャンパスと木原生物学研究所における過去3年間の教員数の推移を、下記の表に示す。……


 …表から分かるように、全体で21.5%の減員となっているが、減員が最も多い商学部で26.4%減、次いで国際文化学部の24.1%減、木原生研の22.2%減、総合理学研究科の16.7%減、理学部の16.4%減となっている。このような大幅な減員では、横浜市大が過去75年以上にわたって築いてきた学問的蓄積と伝統をとうてい維持・発展できるはずもなく、教育・研究面での大幅なレベルダウンと市民からの信頼失墜は避けられないだろう。

 なかでもとくに目立つのが流出者の多さで、全退職者56名のうち、75%を流出者が、残りの25%を定年退職者が占めている。「毎日新聞」(2004年5月29日付)が『キャンパスは『異常事態』 学生は不安、研究者は去っていく』の見出しで報道した、日本中世史の泰斗、今谷明教授(現国際日本文化研究センター教授)の流出[2]をはじめとして、過去3年間で合計42名、本年度だけでも14名の教員が流出する。本年3月末に流出予定の教員の中には、現・前学部長等の幹部教員も含まれている。 

 横浜市当局は、昨年末の12月28日に教員組合に対して、「公立大学法人横浜市立大学教職員の勤務条件等に関する文書」(『「無抵抗な家畜の群れ」化へのマニュアル』05-1-5)なる文書[3]を提示したが、この文書は、「全国の就業規則のなかで最悪の就業規則」[4]・「滅茶苦茶ですね」[5]などの惨憺たる悪評の代物である。また、先月27日に行われた当局による「教員の勤務条件に関する説明会」では、福島部長(大学改革推進部、人事・労務担当)の“有期雇用の方が雇用は安定していて、任期を定めない雇用は不安定だ”という“暴論”が飛びだし、教員組合から“期間の定めのない雇用を不安定と強弁するのは、不見識をとおりこし、意図的で悪質な主張と言わざるをえません”と糾弾されているが、このような“暴論”をゴリ押しして平気な人達は、どう考えてもまともとは思えない[6]。いっぽう、流出教員の余りの多さに危機感を覚えたのか、松浦最高経営責任者(CEO)・副理事長[7]が“もうこれ以上、出て行かないでください。限界です。”と、教員説明会の席上で“悲鳴”を上げたという。

 本年度の横浜市大入試では受験者数が「激減」したが、とくに不人気だった理学系では、倍率が昨年度の5.0倍から本年度の2.0倍へと急落した[8]。これを知って市大の将来性に見切りをつけた複数の理学部4年生が、大学院の進学先を、すでに合格していた市大から他大学の大学院へと志望変更する連鎖反応もおきている。『東京新聞』が昨年4月20日付「特報」欄で、「波紋広がる横浜市大 教員に続き院生も流出」と報道[9]した流れがますます加速し、もうどうにも止まらくなってしまった証拠だろう。

 行政に生殺与奪の権を握られ、教員と院生に逃げられ、受験生にも見放されて、横浜市大はどこまで落ちて行くのか。 

2005年2月14日 総合理学研究科 佐藤真彦

----------------------------------------------------------
[1]

『東京新聞』2004年2月16日付 こちら特報部:『改革』に揺れる横浜市立大 学部統合全教員の任期制 研究費ゼロ
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040216tokyo.pdf 
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040216tokyo.htm 
[2]
『毎日新聞』2004年5月29日付 横浜市大、地方独立法人に移行へ キャンパスは『異常事態』 学生は不安、研究者は去っていく
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040529mainichi.pdf 
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040529mainichi.htm 
[3]
横浜市立大の全教員任期制、「恐るべき法解釈」 「一般民間企業で全社員を有期契約にしている事例はあるのか」05-1-5
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050105katayama-nagamine.htm
『無抵抗な家畜の群れ』化へのマニュアル: 横浜市当局、勤務条件・任期制等について提示 05-1-5
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050105hitsuji.htm 
・・・横浜市当局は,昨年末の12月28日に,教員組合に対して勤務条件・任期制等についての文書を提示した.一読して明らかなように,教員評価制度と連動した,全教員に対する任期制と年俸制を強制することで,行政の意を汲んだ教員の協力のもとに,市当局が教員を徹底管理することを第一目的としたマニュアルとなっている.すなわち,伊豆利彦本学名誉教授がいみじくも指摘された,教員を「無抵抗な家畜の群れ」化するためのマニュアルである.・・・
[4]
永岑三千輝氏『大学改革日誌』2005年1月12日付 「全国の就業規則の中で、目下のところ最悪の就業規則」、その意味での文字通りの「オンリーワンの就業規則案だ」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050112nagamine.htm 
[5]
「滅茶苦茶ですね」 永岑三千輝氏『大学改革日誌』2005年2月9日付
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050209nagamine-mechakucha.htm 
・・・つまり「1年経過後」に整理解雇を実施する意図があることを言外にほのめかしているのではないかということです。「法人化された後の横浜市大では1年後に整理解雇を行う予定である。任期制を選択した教員はその対象外であるから、よりましな選択だ。」という脅し(メッセージ)がその中に含まれていると考えなければならないということです。・・・ところで、昨年末に出された就業規則案ですが、ひどいですね。組合でも議論されたことと思いますが、まったく噴飯ものの案ですね。特に懲戒の理由に「法人の名誉や信用を著しく傷つけた場合」とは別に「法人に対する誹謗中傷等によって法人の名誉を傷づけ」というのがあります。これは拡大解釈で、教員・職員による大学批判を封じる条項になりかねません。先生のように意見(異見)を自由に公にされることに引っ掛けてくるかと思います。くれぐれもお気をつけください。・・・
[6]
2005.02.08 「教員組合週報」(PDF版)を発行しました。内容/教員説明会における福島部長の暴論を糺す
http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/kumiai-news/weekly050208.pdf 
教員説明会(1月27日)における福島部長の暴論を糺す 05-2-8
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050208weekly.htm 
・・・福島発言の核心を取り出すと、「有期雇用の方が雇用は安定していて、任期を定めない雇用は不安定だ」ということになります。しかし、これはとんでもなく逆立ちした主張です。・・・雇用形態のこのちがいを逆立ちさせ、期間の定めのない雇用を不安定と強弁するのは、不見識をとおりこし、意図的で悪質な主張と言わざるをえません。・・・労使交渉を誠実に果たすべき役割と責任を持つ人事・労務担当者がこうした発言を行うことは大学当局への深刻な不信感をもたらすものであり、座視することができません。何が何でも任期制に同意させるための誘導とみられても仕方のない発言は厳に慎むべきです。・・・
[7]
横浜市立大、理事長に宝田良一氏(寶田商店代表社員)、副理事長・改革推進本部最高経営者に松浦敬紀氏(多摩大教授)に決定 04-7-23
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040723katayama-rijichou.htm 
臭気ぷんぷんの市大理事長人事 04-9-5
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040905ohnuki-punpun.htm 
・・・そして、おまけは、地方独立行政法人化される横浜市大の理事長に、食器店経営の宝田良一氏を選んだことです。宝田氏は昨年の知事選挙で自民、公明から推薦を受けて立候補した人物。昨年末市教育委員に就任したばかりでした。まったく畑違いの人物が市の教育委員になり、そして、市大の理事長になるとは、知事選での論功行賞を自民党・公明党に代わって行ったもので、とりもなおさず中田市長の両党へのすりよりの産物です。・・・
[8]
永岑三千輝氏『大学改革日誌』2005年2月4日付 横浜市大入試、受験者数「激減」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050204nagamine.htm 
・・・任期制と成果主義賃金の導入具体化案を見て、予想通りとはいえ、そのひどさにびっくりしています。・・・受験者数が発表になったので、昨年と比べてみました。今年の横浜市立大学の出願倍率はかなり落ちていますね。・・・商学部は半減、理学部はそれ以下ですから、「激減」といっていいですね。・・・全員任期制や成果主義賃金導入で教員が逃げ出し、商学部と理学部をつぶして受験生が逃げ出し、でしょうか。「市場」を無視した横浜市による改革の成果が早速でているような気がします。・・・
[9]
『東京新聞』2004年4月20日付 カリキュラム変更で競争力強化? 波紋広がる横浜市立大 学生側 「専攻課程がなくなる」 教員に続き院生も流出 大学側 「トップダウン必要」 改革断行「内部だけでは無理」 「結果で正しさ証明」 市長の意向、学長認める
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040420tokyoshinbun.pdf 
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040420tokyoshinbun.htm 


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2005年02月10日

横浜市立大学の全教員任期制、「個別同意に応じると大変」「期限の定めのない雇用が一番」

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(2月9日)

 労働法・労働組合問題・労使紛争に詳しい人から、本学の就業規則案や教員説明会の当局側説明に関する感想が寄せられたので、紹介しておこう。

下記の意見のようであるならば、まさに独立行政法人化は、「噴飯もの」の就業規則と整理解雇の恐怖を背景にして、大学の自治・学問の自由の破壊、教員の精神的奴隷化を進めるものとなろう。批判(がましいこと)は就業規則をたてに「引っ掛けられる」となれば、私も含めて、多くの人は今以上に沈黙の度を深くする(せざるをえない)であろう。それは真の意味の大学活性化とは正反対のものとなろう。戦々恐々とした大学人とは、いったいなんだろうか? 憲法の保障は、就業規則の脅かしで換骨奪胎状態になるのか? 現在は、三菱自動車、NHK問題でもそうだが、むしろ、内部告発を守るのが民間企業でも大切になってきているのではないのか? さまざまの意味での権力をもったものが批判を封じることを簡単に可能にすれば、最終的には社会(市民・国民)が巨大な被害をこうむるのではないか?

就業規則案と教員説明会の言動だけでも、かなり多くの教員はいやけがさし、萎縮し、精神的自由を失ったのではなかろうか? 

教員組合が問題視するような、任期制に同意を迫るためになされる労働諸法律から見て「間違った」説明、曖昧な説明にうかうか同意すると、大変なことになる。京都大学事件はそれを示している、と。

現在、説明をしている当局側の人々は、来年以降大学(法人)にいるかどうか、わからない。口頭説明などは、形として、証拠資料として残らない。京都大学井上事件で明らかなように、事務局が同意書に署名捺印させるために発した言葉はどこにも残っていない、同意した文書だけが残っているのではないか?「任期に同意」という文書だけが残されることになるとすれば、恐るべきことではないか?

「引っ掛けられないように」と親身になって忠告していただき、感謝。

--メール・タイトル「滅茶苦茶ですね」----

 基本的には組合の見解に賛同します。ただ一点だけ気になることがあるのでそれについて書いておきます。それは「任期の定めのない雇用契約の場合、1年経過後には任期[雇用?]としては打ち切られることになる。」の所です。特に「1年経過後」とは何を意味しているのかさっぱりわかりません。一般的には解雇は何年雇用したかということとは関係ないからです。勤続20年で解雇されることもあれば、半年や一ヶ月で解雇されることだってあります。ですから、これは解雇法理の一般論を説明しているわけではないのです。

 理解できない発言を無理やり理解しようとすると、総務部長は解雇法理の説明にダブらせながら、法人化後の横浜市大の雇用方針について話をしている可能性が高いということになります。つまり「1年経過後」に整理解雇を実施する意図があることを言外にほのめかしているのではないかということです。「法人化された後の横浜市大では1年後に整理解雇を行う予定である。任期制を選択した教員はその対象外であるから、よりましな選択だ。」という脅し(メッセージ)がその中に含まれていると考えなければならないということです。
 となると、この脅しがどの程度実行される可能性があるかを評価するかということになりますが、これについてはまったく判断がつきかねます。市から繰入金の削減、カリキュラム改変等々、法人化後の状況は恣意的に人員整理が必要であるかのような状況を作り出せるからです。特に、市が「あり方懇」の5年で収支均衡という路線を堅持しているのならば、その可能性は高いことになるでしょう。

 では、当局の言うように任期付きを選択したほうが安全なのでしょうか。それこそ当局の思うつぼです。3年もしくは5年後には必ず人員整理問題をもちだすでしょう。その時には、当局の気に入らない教員(「業績のない教員」ではありません)は有無を言わさず再任なしということになり、かつそれには抗いようがないからです(京大の事件はまさにこの問題を端的に示しています。周知のように、あの事件は、再任されなかった理由について争っているのではなく、間違った説明で任期制の職につけられたことを争っているからです。あれだけの業績があっても「再任されなかった理由」について争えないのが任期制=有期雇用の法理なのです)。
 これに対して「期限の定めのない」労働者の整理解雇に関しては解雇の必要性の存在、回避努力義務、解雇者の人選の合理性、誠意ある協議という四条件を果して初めて正当な解雇として認められる整理解雇の四要件が定着しており、組合が言うように簡単に実施できるというものではないのです。人員整理の可能性が高いから「期限の定めのない雇用」を選択すべきなのです。・・・

 ところで、昨年末に出された就業規則案ですが、ひどいですね。組合でも議論されたことと思いますが、まったく噴飯ものの案ですね。特に懲戒の理由に「法人の名誉や信用を著しく傷つけた場合」とは別に「法人に対する誹謗中傷等によって法人の名誉を傷づけ」というのがあります。これは拡大解釈で、教員・職員による大学批判を封じる条項になりかねません。先生のように意見(異見)を自由に公にされることに引っ掛けてくるかと思います。くれぐれもお気をつけください。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年02月10日 00:50 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年02月09日

横浜市立大教員組合、「教員説明会(1月27日)における福島部長の暴論を糺す」

横浜市立大教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2005.2.8)
大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(2月8日(3))
学問の自由と大学の自治の危機問題(佐藤真彦教授)

教員説明会(1月27日)における福島部長の暴論を糺す

 1月27日医学部で行われた教員説明会での質問に答え、福島部長は以下の発言を行っています。
 「任期の定めのある雇用契約ですと、基本的には、任期の期間中は雇用を保障されるということになると思います。任期の定めのない雇用契約の場合、1年経過後には任期[雇用?]としては打ち切られることになる。解雇要件になりますが、これは労基法に基づくため、非常にきびしく限定して運用されることになるが、原則的にはそういう不安定な雇用になる、と考えている」
 この発言は、人事・労務専門家の発言としてきわめて重大な問題を孕んでおり、暴論と言わねばなりません。以下に暴論である理由を述べ、その責任をきびしく糺すものです。
 福島発言の核心を取り出すと、「有期雇用の方が雇用は安定していて、任期を定めない雇用は不安定だ」ということになります。しかし、これはとんでもなく逆立ちした主張です。
 期間の定めのない雇用について、民法627条は、その契約を解約する申し入れがいつでもできると規定しています。しかし、それだから解雇が自由化といえば、決してそうではありません。解雇が正当と認められるためにはきびしい条件が付されることは判例や通説で明確に確認されています。解雇するには正当事由が必要であり、使用者がいつでも解約を申し出られるわけではありません。
 有期雇用の場合、組合が繰り返し主張してきたように、そうした解雇要件を満たしていなくても、契約期間終了時には契約更新を拒否される可能性がありその点で雇用は不安定なのです。更新拒否(雇い止め)の要件を解雇要件よりも「緩く」設定できてしまうところから、こうした不安定性が出てきます。
 雇用形態のこのちがいを逆立ちさせ、期間の定めのない雇用を不安定と強弁するのは、不見識をとおりこし、意図的で悪質な主張と言わざるをえません。
 福島部長の発言が正しいとすれば、任期付き教員でない大半の私学大学教員は「不安定な雇用」にさらされている、ということになるでしょう。もちろん大学教員のみならず、期間の定めのない雇用の下にある労働者は有期雇用の労働者とくらべ不安定だ、ということになります。誰がどうみても現実に反し、常識に反するそういう主張を公に述べること自体、信じがたいことです。
 福島部長は、「有期雇用への移行は雇用形態上有利な変更であり、不利益変更にはならない」と主張したいのでしょうか。だとしたら、任期付き教員への移行が有利な変更であることを堂々と述べたうえで、期間を定めない雇用よりも三年任期、五年任期の雇用制度の方がどれだけ有利なのかを具体的に示すべきです。当局提案の任期制が現行の雇用形態とくらべてどれだけ有利で魅力的かを示す証拠はありません。「有期雇用だからより有利だ」と言わんばかりの誤った説明で当局案を正当化することできません。
 言うまでもなく、有期雇用への移行が「有利」かどうかは、雇用者である教員がそう判断できるかどうかにかかるものであり、使用者側が一方的に「有利だから、のめ」と言えるようなものではないことも、あらためて確認しておきます。
 有期雇用ならば数年間は雇用が保障されるけれども、期間の定めのない雇用は不安定という福島発言は、雇用期間にかんする労働法理を歪めているだけでなく、そうすることで、「もし任期制に同意しなければ雇用が不安定になる」という印象を醸し出しています。「同意しなければ不利になる」とあからさまに述べていなくとも、不安定な雇用形態になること(これが誤った主張であることは上に述べたとおりですが)を想定しておいた方がよいと匂わせているのです。
 その意図はないと後でいくら弁明されても、発言全体が教員の不安を煽るレトリックとなっていることは否定できないはずです。
 労使交渉を誠実に果たすべき役割と責任を持つ人事・労務担当者がこうした発言を行うことは大学当局への深刻な不信感をもたらすものであり、座視することができません。何が何でも任期制に同意させるための誘導とみられても仕方のない発言は厳に慎むべきです。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年02月09日 01:19 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年02月05日

横浜市立大の全教員任期制、大学を死滅させる!

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(2月4日)

2月4日 本日誌読者から久しぶりにメールを頂戴した。昨日の教授会でも話題になった受験者数のデータに関してである。外部の人がどのように見ているか、昨日教授会で話題となった視角とほとんど同じであるが、以下にコピーしておこう。この客観的データをもとに、社会の反応をどのように分析し、どのように説明するか。市行政当局・大学改革推進本部は下記のような評価に、どのように反論するであろうか?[1] 

私は、任期制や成果主義賃金の導入に関しては、慎重にも慎重に検討を重ねる必要があると考えている。無理押しは、面従腹背の教員を多くし、今年度中にも、さらには来年度以降も引き続いて、脱出を試みる教員を増やすだけだろうと考える。それは、大学活性化とは反対の方向だろうと思う。

任期制の導入は、東大等でもやっているように、全教員(助手、講師、助教授、教授の多様な層がいるが)に対してではなくて、全ポストに対して(科目に関わりなく、すなわち科目による差別なく-思想信条・学問の自由に関わるのでいかなる科目でも可能性ありとするのは憲法にかなっている)可能にすることは制度として考えられる。その場合、具体的なあるポストをいつの時点で活性化のために優遇した条件にするか、そしてその特別優遇のポストに誰をつけるか、ということはしかるべき社会的評価(学界等外部の第三者による客観的評価の検証可能なもの・・・内部のお手盛り的評価は許されない)の上で行う、ということは考えられる。任期制に移行するときに、その担当ポストが時代の最先端を行くとか、しかるべき大学教員任期法が定める資格要件を満たす必要はあろう。それが大学教員任期法の趣旨であり精神だと考える。首切りの脅かしのための全員任期法などというのは(他方では、「普通にやっていれば」問題ないなどという曖昧な、どのようにでも解釈でき内部的な恣意がまかり通る可能性がある規定)、それを就業規則案として公にしたことすら、本学の大学教員全体に対する侮辱ではないかと感じる。

私の得ている情報に間違いがなければ、東大の場合、60歳定年の原則(慣行)が確立してきたため、任期制ポスト(5年任期)への就任は、55歳の時点であり、5年後の定年退職を見越した導入であったという。その後、傾斜的な定年延長があり、任期制導入時点が現在どうなっているのか(定年延長にあわせて、57歳、58歳となっているのかどうかなど)はつまびらかにしないが、こうした事例も参考にはなろう。 

ドイツでも、普通の教授に対して(たとえばA教授というのか?)、Cクラスの教授とか言うのがあるそうである。これまであまり興味がなかったので調べたことはなく、人が話しているのを耳にしただけである。たとえば、「あの教授は一番上のランクのCクラスで、月給はこれくらいだそうですよ、われわれと比べると・・・・」、云々と。ドイツの場合、教授にもランクをつけているのであり、教授になってたとえば5年間で、教授クラスの上の段階(Bクラス)に上がるかどうかを審査する、そしてさらに5年後に最高のCクラスになれる人がなるということで、業績を評価しているというわけである。それならば、活性化につながるかもしれない。助教授にも、3クラス(5年刻みで)くらい設定することも可能かもしれない。問題はランク別の給料などではない。経営の厳しいときに格差があまりないのは当然であろう。意味があるのはランクそのものの設定だろう。

人によっては、5年間に更なる大きな前進を遂げる人もいれば、種種の理由からそうでない人もいるであろう。しかしだからといってひとたび教授(あるいは助教授)になった人が特別の事情のない限り、解雇や差別の恐怖におびえる(同僚・先輩教授、非専門家の管理職教授の顔色をうかがわなければならない)というのは許されないであろう。5年間にしかるべき前進を示さず業績を積まない人(あるいはそれを種種の理由から対外的には示さない人)は、現ランクにとどまればいいのである。

本学の場合でいえば、「有期契約3年・5年」で示されたような差別(妥当かどうかは疑問だが)を維持するとすれば、博士号等の特別の資格を有する人は、理論上(実際の個別事例・個々の教員に関してははわからない)、他からの引き抜きや流出の可能性がそうでない場合よりも大きいという一定の合理的な推定が働くので、それを抑止するために60歳になった時点で他の同じ年齢の教授よりは一ランク上に位置付けその任期を5年とする、博士号等の特別の資格を持っていない人は(それがその人の学問的業績の水準とはまったくべつであるし、最近のように文科系でも博士号が多発される時代とかつてのように何十年かにほんのわずかの人が取得できたという時代とでは博士の重みがまったく違う、博士号はそれ自体としては今後ますます重みがなくなろう・・その限界を見据えた上で)、62歳になった時点で一ランク上の3年の任期制ポスト教授に移行するか、そのまま定年まで普通の教授にとどまるかを審査選択してもらう、というやり方も考えられるであろう。

以上は単なる思い付きに過ぎないが、いずれにせよ、具体的ポストに関するきちんとした大学らしい検討抜きの全員任期制は大学を本当に死滅させるであろう。現在示されている就業規則案は法の精神と法体系を無視し、大学教員任期法の適用を回避するための労働基準法適用も姑息な手段だと考える。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年02月05日 01:21 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年01月28日

横浜市立大、「勤務条件・任期制 教員のさまざまな意見」

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2005.1.24)

●勤務条件・任期制 教員のさまざまな意見

 昨年末以来、教員集会や代議員会などの機会に、勤務条件等についての当局案提示に前後して、組合の闘いかたについて、さまざまな建設的な意見が組合内外から寄せられています。
 これらは必ずしも、組合の方針として決まったものではなく、個々人の意見ですが、こうした意見をたたき台として組合の議論を深め、闘争方針を決定していくことになります。
 参考のためそれぞれの意見の要旨をご紹介しますので、さらに多くのご意見をお寄せください。

1.労働者側の態勢づくり
・就業規則めぐる使用者との協議のために非組合員教員も含めた組織づくりをしよう。
 職場、コースごとに教員グループで討論しながら、代表を選出し、労働者側の代表に意見を吸い上げさせる委員会を作るのがよい。各コースの特殊事情をくみ上げ、また、声の大きくない人も意見を言えるようにするためであり、また、全教員が実質的にも参加する組織として交渉力を高めるためである。

2.任期制導入の動きに対する対応
・今後、4月の独法化を前に、当局側が同意を個々の教員に迫ってくるおそれがある。どうするか。
・このような同意は拒否する権利が法的にあること、拒否した場合には現行の雇用関係が継続されるだけで、これを不利益に変更することができないこと、を教員が認識できるよう組合は働きかけるべきだ。
・同意を拒否した場合に科目を担当させないなどの攻撃は、科目担当者を文科省に届け出てしまっている関係上、当局側にも現実に不可能である。
・同意の印鑑を押さないための結束を高めるべきだ。
・同意・非同意の決定を組合執行委員長に一括して委ねることなどによって、同意を迫る圧力を個々の教員にかけさせない態勢づくりをすべきである。
・同意することはもちろん個々人の判断であるが、組合からは、同意するつもりの人にも問題の一応の解決があるまで待っていただくよう頼んでみてはどうか。

3.教員評価制度案について
・当局案の教員評価制度は、評価をする管理職の者が上から任命されるかたちになれば、教員を管理する行政支配のシステムとなり、大学自治を破壊するおそれがある。この問題をさらに明らかにすべきである。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年01月28日 01:52 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年01月27日

横浜市立大学、「教員の勤務条件に関する説明会」

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(1月26日)

昨日夕方6時から9時近くまで、「公立大学法人横浜市立大学教員の勤務条件に関する説明会」があった。予想通り、これまでに配られた資料(就業規則等)の説明がほとんどであった。一番肝心の点、大学教員の任期法の「精神」に則り、労働基準法にしたがって「全教員を有期契約にする」という就業規則案の法理と論理の不整合については、何も真正面から答えるものではなかった。「結論を堅持する」という行政主義的態度だけが明確であった。公務員としての身分保障と任期の定めなき雇用(65歳定年までの任期制)を、公立大学法人において上記のように3年・5年の有期契約に変更することが、重大な不利益変更(ほとんどすべての教員に対する重大な名誉毀損・精神的ダメージをあたえるもの、怒り心頭に発している教員がたくさんいる、諦観状態の教員もいるが)である、ということについては、まともに答えることなく、全参加者に沈うつな空気が支配したと感じられた。

「活性化」という言葉は上滑りであるように思われた。何回か「活性化のため」という言葉が使われたので、市長等によって任命された人々だけは少なくとも「活性化」しているのかもしれない。

いや、私の判断違いで、参加者の多くは元気が出たのであろうか?

質問の冒頭に立ったある教授は、この間、非常に多くの教員が去っていってしまったことを指摘し、全員への「任期制」導入は、活性化とは結びつかない、どうして「活性化と結びつくのか」と質問したが、何も明確な説明はなかった。

それとも、私だけが理解しなかったということか? 

「活性化」と全員任期制が結びついていることが理解できた人はいるのか?

給与条件等でも支離滅裂な答弁(扶養家族手当、住宅手当等が業績給に位置付けられたりしている、また基本給部分は一切変動なし、上がりも下がりもしない云々)があった(これまた重大な不利益変更といえるだろう・・・12ヶ月だったかで1号俸上がることがこれまでの体系だったから実質切り下げ)。

「活性化」を掲げながら、「大枠な予算削減」、したがって「小さくなるパイ」の分捕りあいを強制するシステムとなっていることについては、「わらってしまいました」という鋭い質問が参加者から出たが、まともな返答はなかった。第2回説明会があるというので、明確な返答があることを、一応は期待しておこう。

テニュア制度に関しては、「ノーベル賞級の教員」、とか「誰も認める人」ということで、非常に狭く設定するような発言であった。これは現在の全員定年までの期間の定めのない雇用からすれば、著しい条件厳格化であり、明らかな不利益提案である。テニュアについては明確な基準を示さず、むしろ厳しい条件を暗示しながら、全員任期制だけは認めろ、というのは通用することであろうか?

再任不可の可能性を残すという鞭で大学教員の尻をたたこうという魂胆が、見えてくる。鞭がなければ働かないのは奴隷である。「ルサンチマンの改革」と称されることにも一理あると思えてくる。

ある若手教員は、「これまではプライドと責任感で研究教育に励んできた、10年近く、交通事故やその他の事故に遭っても講義を休むことなどはなかった」とした。しかし、4月以降は、「教員評価を行う管理職を見たら大きな声で挨拶しよう」、「どうすれば教員評価をする人の感じを良くするかだけに神経を使うことになろう」と発言した。教育研究者としての誇りや責任感、学界(学会)での評価と名誉感等をインセンティヴとするのではなくなろう、と。こういうことに追い込むことは、やはり、「教員は商品だ。商品が経営に口を出すな」と言った人間を物扱いする発想と関連することなのだろうか?

学の独立、学問の自由、真実・真理(普遍的価値のあるもの)の探究を使命として教育研究を担う大学教員の精神的自由の制度的保障に関して、最も重要なのがテニュア制度(現在の場合は、全教員が定年までのテニュアとなっているが)であり、准(準)教授以上の大学教員にとってテニュアと学問の自由・行政等の支配からの自由とが密接不可分であることが参加者から強調された。これに付いても明確な返答はなかった。

最初の説明のなかでは、給与条件等を任期制のもとでとこれまでの制度とでは違うようにする、同じではありえない、格差をつけるといった意味の発言をしていた。それは不利益措置を匂わせるものであったが、経済的利害から精神的自由を束縛していくということになろう。

大学教員の評価に関しては、学生・院生の評価、学界の評価、社会の評価と多面的多次元的評価がある(現実にそれが行われている)。

ところが、今回の「教員評価制度」は、その第一次評価者からはじまってほとんどが行政任命(いずれは法人任命)の管理職によってなされるシステムであり、根本的な問題をはらんでいる。大学の研究教育(その本質的要因)にどこまで深い理解を持っているのかわからない人々が作った民間営利企業の評価制度がそのまま導入されようとしている。参加者からはこの点にも鋭い批判が繰り返しだされた。しかし、行政的任命に慣れ親しんだ人々(それによって現在の地位を得ている人、そして次の地位を得ようとしている人)にとっては、理解されないようであった。

最後に「ご意見・ご質問票」が配られ、評価制度、就業規則等、その他の三つの欄に意見や質問を書いて提出すれば、それらのすべてに対し回答する、ということだった。言葉の上での「回答」はできるだろう。私の理解力の限りでは、歴史的に不名誉な就業規則案として語り継がれるであろうような文章であっても、はじめに「全員任期制」という結論があって、それに即した文章を作成してしまう態度である以上、どこまで法理を尽くした回答が得られるのか、はなはだ疑問である。

大学教員任期法と労働基準法の適用のあり方、一般法と特殊法の関係、「大学の自治」・「学問の自由」と大学教員の身分保障の関係等に関して、教員組合がすでに集約的に問題提起し批判しているのであって、これら諸論点に、どれだけ論理的に法理を尽くして説得的に答えるのか、これまでの改革のあり方の全経過を見ると、ほとんど期待できないように感じられる。さて、どうなるか。

最後に学長予定者の挨拶があった。よく聞き取れない江戸っ子風の言葉をちりばめた発言であった。雑談ならともかく、新しい勤務条件等を説明会参加者に語りかける言葉としては違和感を持った。

それとも多くの人は、親しみを持ったのか?

そして前回同様、「後半」(というか6-7割と感じられたが)、英語で語った。これまた私にはほとんどわからなかった。「評価はまずやってみなければ」という結論的主張だけが、理解できた。

壇上に居並ぶ人々は一語一語しっかりかみ締め理解していたのだろう。

また、会場のほとんどの人々は英語のスピーチを理解できたのだろう。

しかし、私は理解できないので怒りを感じた。

なぜ、学長予定者はきちんとした日本語で語らないのか?

学長予定者のメッセージを明確な日本語で全教員に伝える努力をなぜしないのか?

学長予定者を任命した人は誰か?誰がお膳立てしたのか?

大学改革推進本部の人々はなぜフォローしないのか?

彼らは学長予定者の英語がすべて明瞭に理解できたというのか?自分たちは理解できたので教員はもちろん理解できたと考えたのか? 学長のそばにいた人々に、尋ねてみたらいいだろう。

教員が講義において学生に理解できないようなことをしゃべることは何も問題ないのか?

講義の準備不足として、厳しい評価が与えられるのではないか?


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年01月27日 01:19 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年01月19日

横浜市立大、当局提示の勤務条件等案に関する教員集会声明

横浜市立大学教員組合、「教員組合週報」(2005.01.17)より

1.11教員集会 当局案に関する声明

 今月11日、瀬戸キャンパスにて、当組合主催により、横浜市立大学教員の集会が開催され、50名以上の教員の参加のもと、先月28日に提示された当局の勤務条件等案に関する討論が行われました。その結果、全会一致で下記の声明が採択されました。
 当局案の任期制、年俸制、就業規則、教員評価制度等のさまざまな点での不当性と根拠のなさを指摘し、当局に対して案の変更と、組合との誠実な交渉を要求する内容となっています。
 当局案の主要な部分がいずれも、教員の自律性を奪い、学問の自由を破壊すること、労働条件の不利益変更にあたること、組合との誠実交渉義務を果たしていないことが、おもな論点となっています。
 なお、集会においてはそのほかにも、組合員には、労働条件の不利益変更にあたる有期雇用契約への変更を拒否する権利があり、その場合、現行と同様の期間の定めのない雇用が継続することが法によって定められていることなどが、あらためて確認されました。また、教員として組合員としての今後の闘い方が検討され、今後、当組合を中心に、機動的に運動を展開することが確認されました。

当局提示の勤務条件等案に関する教員集会声明(全文)

 昨年12月28日、当局が教員組合に対し提示した勤務条件・就業規則等の案は、以下に述べるようにきわめて重大な問題を抱えている。
 まず全体として、学問の自由を始めとする大学において守られるべき原則を尊重する姿勢を欠いており、大学の学問・教育の正常な運営を破壊するものである。このことは教員の権利だけではなく、学生の受ける教育内容・学習環境を悪化させ、また、大学の知的営為を通じての社会への貢献を阻害するものでもある。
 次に、教員の労働者としての権利の観点からいえば、このような重大な労働条件の不利益変更であって、許すことはできない。また、その他具体面や手続き上も、法的に必要な説明と具体的条件の提示が欠けているなど、数えきれないほど多くの問題点がある。以下、特に重要な点を挙げる。
 当局案のような全員を対象とする任期制は、教員の雇用を著しく不安定化させることによって、自由な研究・教育活動を脅かす制度であり、大学の教育・ 研究をいちじるしく阻害する有害な制度以外のなにものでもない。
 また法的にも根拠が欠けた脱法的な制度であり、その実現が許されるものではない。当局は任期制導入を、大学教員等に関する任期法(以下「任期法」)の 「精神に則り」つつ、労働基準法第14条に拠るものとしているが、任期法は任期制を一部の職のみに限定的に導入することを定めるものであって、全教員を対 象として任期制を導入することは、同法から逸脱している。しかも大学の教員に関して任期制を導入する場合には、特例法としての任期法が適用されなければ ならず、労働基準法第14条を適用することはできない。
 任期制の内容は、「『普通にやっていれば再任する』しくみ」などと曖昧な表現があるのみで、この制度がどのようにして労働条件の不利益変更とならないのかが示されていない。また、この任期制がどのようにして、公正、客観的に透明性を持ったかたちで運用されるのかが、まったく示されていない。
 次に年俸制を含む給与制度も、収入を不安定化させる、労働条件の不利益変更をもたらすものであり、その運用の公正性、客観性、透明性がどのように確保されるのか説明されていない。
 教員評価制度も同様であり、また、任期制・給与制度との関連も明確に説明されてはいない。
 さらに、勤務条件を具体的に定めるべき就業規則においては、教員の活動を不当に拘束する一方で、使用者側の裁量権限が著しく大きなものとなっており、不公正である。
 また、任期制・給与制度・教員評価制度と同様に、本来労働条件として示されるべきことがらが示されておらず、そもそも勤務条件を提示すものとなっていない。例えば、就業規則の概要のなかの重要な項目の多くが、その具体的内容を下位の諸規定に委ねるものとなっておりながら、それら下位規定の内容が示されていない。
 法の定めるところにより、労働条件の重大な変更にさいしては、不利益変更を行わないこと、組合との誠実な交渉を行うなど適正な手続きを踏まえることが不可欠である。当局側が新制度導入をめざしている本年4月1日を目前とするこの時期に至ってなお、当局は、教員に対して勤務条件を説明することを怠りながら、杜撰なしかたで新制度を導入しようとしているのである。このような態度はまた、教員組合と誠実に交渉するという法的義務を怠るものでもある。
 われわれは、労働条件を不利益に変更し、教員の自律性を奪い、ひいては大学を破壊する当局案を許さない。横浜市立大学学長、同事務局および横浜市大学改革推進本部には、提示の案を改め、教員の活動の自律性を侵害せず、労働条件の不利益変更のない労働条件を提示すること、また、これまでの不誠実な態度を改めて、具体的な労働条件案の提示、説明をしつつ教員組合と誠実に交渉を行うことを強く要求する。

 2005.1.11横浜市立大学教員集会参加者一同

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2005年01月18日

横浜市立大教員組合、当局提示の勤務条件等案にたいする見解と要求(第1次)

大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(1月17日(4))
 ∟●当局提示の勤務条件等案にたいする見解と要求(第1次)(2005年1月14日)

当局提示の勤務条件等案にたいする見解と要求(第1次)

横浜市立大学学長 小川惠一殿

 昨年12月28日に大学当局が当組合に対して示した勤務条件等の案について、当組合は下記のような見解と要求を示す。当組合の見解を理解し、疑問に答え、要求を容れるよう求める。
 なお、今回の本文書は当局提示の案の一部に関するものであり、次回以降、「就業規則の概要」等の残りの部分について、またここで扱う問題についてもあらためて追加的に見解と要求を示す予定である。

2005年1月14日
横浜市立大学教員組合

1 根本的な前提
 昨年12月28日、大学当局が教員組合に示した勤務条件等案(以下、当局案と総称)は、大学が憲法上の責務としても社会的責任としても遵守すべき学問の自由を侵害する内容がふくまれていること、労働条件の重大な不利益変更をもたらす恐れのあることから、教員組合としてこれを容認することはできない。大学当局は、「大学の責務と大学教員職務の特性にてらした勤務条件等の設定を行う」「労働条件の不利益変更を行わない」という考え方に立って、教員組合との協議・交渉を誠実にすすめるべきである。

2 労働条件を具体的に検討するうえで不可欠な諸規定について
 当局案は労働条件を具体的に検討するうえで不可欠な諸規程がふくまれておらず、とりわけ、労働条件のうちでも最も重要な雇用期間、賃金について本来明確に規定されるべき諸事項に触れていない。組合および教員の提起する疑問に回答するとともに、組合との協議を踏まえ、明確な提示を行うべきである。

3 教員説明会
 昨年6月の中間案説明にさいし、当局は教員説明会の開催を約束している。今回提案にかんし教員説明会を開催し、教員の質疑・疑問・要求に誠実に回答すべきである。

4 教員組合との協議・交渉及び必要な手続を踏まえずに個々の教員に勤務条件に関する個別同意を迫らないこと
 教員組合との協議・交渉及び必要な手続を踏まえることなく個々の教員に勤務条件に関する個別同意を迫ることは不当・不法な圧力であり、許されない。労使双方の協議と納得にもとづく適正な合意形成手続を進めるよう求める。


5 原則全教員への任期制適用について

① 全教員を対象とする任期制が大学の教育・研究のあり方に真にふさわしい制度であるという論拠はまったく示されていない。
 全教員を対象とする任期制の導入が「優れた人材を確保する」といえる根拠は何か?
 「大学の教員等の任期に関する法律」(以下、「教員任期法」)が大学における任期制の適用を限定的に扱っていることとの関係で、今回提示された任期制案が大学における「教育研究を進展させる」といえる根拠は何か?
 以上の疑問に答え、十分な論拠を示すことを求める。
② 重大な不利益変更をもたらす任期付き教員への移行を正当化する根拠、理由は存在しない。
 任期の定めのない職員としての身分承継を否定し有期雇用契約に切り換えることは、教員にとってあきらかかつ重大な不利益変更をもたらす。それは、テニュア資格が大学教員にとって有利で高位のキャリアとされていることからもあきらかである。独立行政法人化にさいしそれほど根本的で重大な不利益変更を行う合理的でやむをえざる理由は、存在しない。また、当局案には、全教員の有期雇用契約への切り替えが不利益変更には当たらないとする論拠、制度根拠は示されていない。
③ 仮に任期制を導入する場合、法理から言って「教員任期法」に拠らなければならず、労働基準法(以下「労基法」)14条にもとづくことはできないはずである。労基法14条にもとづいて任期制を導入する当局案は、どのようにして合法性を主張しうるのか?
 しかも、労基法14条にもとづいての任期制導入を主張する当局案は、同14条の趣旨をも歪め、脱法的に利用しようとしている。
 当局案が依拠する労基法14条の有期労働契約における期間上限延長は、「有期労働契約が労使双方から良好な雇用形態の一つとして活用されるようにすることを目的としている」。(労働基準局長通達「労働基準法の一部を改正する法律の施行について」)今回当局の示した任期制案が労使双方にとって「良好な雇用形態」とはまったく言い難い。
 教員にとって従来の「期間の定めのない雇用」と比し、今回当局提案のどこが「良好な雇用形態」であるのか?
 これらの問題について説明を求める。
④ 有期労働契約が合意にいたらず、「期間の定めのない雇用」が継続する場合の勤務条件は「公立大学法人横浜市立大学職員の勤務条件(教員)」文書における「任期」の項を「期間の定めのない雇用」に変更すると解しうるが、それ以外に変更がある場合にはその内容と理由とを説明せよ。
 「使用者が労働者との間に期間の定めのない労働契約を締結している場合において、当該労働者との間の合意なく当該契約を有期労働契約に変更することはできない」(同上「労働基準法の一部を改正する法律の施行について」)とあるように、労基法14条にもとづく有期労働契約への切り換えにおいても個々の教員との合意が前提であり、合意をみぬ場合の勤務条件についても確認しておくのは当然である。
⑤ 当局案(「教員の任期制について」)に示された任期制の制度設計は、雇用形態の変更という最も重大な労働条件の変更を提案しているにもかかわらず、以下に指摘するように、あまりに曖昧で具体性を欠く。以下の指摘は細部にわたるものではなく、制度設計の基本にかかわるものであり、それぞれについて具体的回答を求めるものである。
○ 「教員任期法の精神にのっとる」とは具体的にどういうことか?
 教育・研究評価プロジェクト「中間案」に比して、教員任期法の精神にのっとる旨が示されたことは一つの変化であるが、具体的にどのような制度内容について教員任期法の精神にのっとっているのか?
○ 概要における「再任の考え方」は具体的な再任要件になっていない。
 「最低限クリアしてほしいこと」を要件とするというが、「最低限」とは具体的にどのような水準として規定しているのか?
 再任要件の内容として「取組姿勢、能力、実績など」としているが、「取組姿勢」の主観的で恣意的でない基準としてどのような指標を規定しているのか? また「取組」の具体的内容は何か? 複数の要素にわたる場合、それらの相互関係はどのように規定されているのか?
 さらに、「能力」の具体的内容は何か? 「実績」として判定されない「能力」として何を想定しているのか?
 なお、「再任の考え方」にある「新たな市立大学の教員として」の「新たな」とは、現在の学部、短期大学部等は想定していないという意味か?
○ 助手、準教授、教授の職位にあることの可否と教員身分にあることの可否が同一視されている。
 再任審査において当該職位にあることの審査基準・内容と、教員身分にあることの審査基準・内容とにちがいはないと考えるのか?
 あるとすればどのようなちがいを想定しているのか?
 市立大学教員として「最低限クリアしてほしいこと」と助手、準教授、教授それぞれの果たすべき職務が同じでないとする以上、再任の可否は直接にはそれぞれの職位にあることへの可否を意味するはずである。
 大学教員としての責務、市立大学教員としての責務、職位に応じた職務それぞれの内容についてあきらかにしたうえで、それらの相互関係を踏まえた再任要件規定が示されなければ説明としての一貫性を欠く。
○ 再任審査にかんする厳密で透明性のある手続規程が明示されていない。
 「教員評価制度の評価結果など」を用いるとしているが、教員評価制度を再任審査に用いることの理由、根拠はまったくあきらかでない。どのような理由・根拠から教員評価制度を再任審査に利用するのか?
 「教員評価制度の評価結果など」の「など」とは何か?
 教員評価制度の評価結果を具体的にどのように用いるのか?
 単年度評価である教員評価制度をどのようにして3年ないし5年任期の任期制における評価と連動させるのか?
 「人事委員会で審査し」とされているが、審査内容と結果について透明性を確保する具体的保障が存在するのか?
 再任拒否にたいする異議申し立て制度を必要なしと考えているのか?
 再任審査の結果について、「学長から理事長に申し出る」とあるが、「就業規則の概要」では、「理事長は、任期付教員の労働契約期間満了の際、当該教員を同一の職位で再任することができる」としている。「学長の申し出」が尊重される保障は、この文言によるかぎり、定かではない。
○ テニュア制度の導入を謳っているが、その具体的制度内容があきらかにされていない。テニュアの資格要件、テニュアへの移行条件をどのように想定しているのか?

○ 助手、準教授における再任回数制限の根拠が示されていない。この基準を仮に現行の助手、助教授に適用してみると、限度年限を越えるケースが存在する。特に、助手について3年任期の1回の更新しか認めない場合には、きわめて深刻な事態が予想される。このことを承知しているか?
 承知しているならば、予想される明白で重大な不利益を承知しながら当局案のような再任回数制限を設けているのはなぜか?
○ 3年任期の有期雇用契約は大学教員の職務にふさわしくない。
 大学教育にそくして教員の職務を評価する場合であれ、中期計画にもとづいて評価する場合であれ、3年任期の設定が大学にふさわしくないことはあきらかである。大学教育のあり方を無視している。大学における評価の整合性という観点から3年任期がふさわしいと考える根拠は何か?
 また、準教授について「簡易な審査」によりさらに2年の契約を行うとしているが、この場合、「簡易な審査」の内容は何か?
○ 昇任に関する制度内容は具体的にどのようなものか?
 「任期途中の昇任も可能」「当該者の経験年数等の条件によっては、…昇任審査を行い」といった記述からみられるように、任期制の再任審査と昇任制度との関連が指摘されているにもかかわらず昇任制度の説明が欠けている。
○ 再任と年俸との関係について曖昧な説明が行われている。
 再任にあたって年俸が同額、増額、減額の場合があるとしているが、年俸設定はその年度にかんして行われるものであり、3年ないし5年の任期最終年度における年俸増減をなぜ行うのか合理的説明がない。年俸設定が当該年度の教員評価にもとづくとするならば、「夏頃まで」の再任判断において年俸の増減を云々することは年俸制の趣旨に外れている。
○ ローン設定を困難にするなど、「期間の定めのない雇用」から期限付き雇用への移行によって生じると予測されるさまざまな不利益について当局はどのような検討を行ったのか?
 また、どのように対処するのか?

6 教員の給与制度にかんする当局提案について

① 年俸制の導入を柱とする新賃金制度の検討にあたっては賃金制度の不利益変更をもたらさないことを前提に組合との協議・交渉をすすめてゆくべきである。
② 当局提案の年俸制が教員のインセンティヴを高める制度たりうる前提として、民間企業と異なる教育機関である大学が、教員各人の業績に応じた処遇に必要とする原資を確保し保障できうることが必要である。一定の賃金原資枠内で年俸の増額と減額を均衡させざるをえない制約がある以上、成果主義賃金制度としての年俸制はインセンティヴを高めるどころか、モラールの荒廃を招くだけである。
 当局案は年俸制導入の前提となるそうした根本的制約について納得できる説明を行っていない。このことについて納得できる説明を行うことを要求する。
③ 当局案は、年俸制度の検討にあたって、「現行の給与制度を踏まえ、国立大学法人や私立大学などとの均衡に配慮するとともに」、「個々の教員に対するインセンティヴのある制度とする」としているが、示された制度概要は図示されたモデルのみであり、制度提案に必要な説明が尽くされていない。賃金規程で明確にされるべき点を念頭において当局案にたいする疑問点の概要を示す。
○ 年俸における固定部分と解しうる給料相当部分が「基本的構成」とされているが、その給与体系はどのような考え方にもとづいてどのように構成されているのか?
○ 現行給与体系と年俸制との照応関係の根拠が不明確である。
 現行給与制度における「調整手当、扶養手当、住居手当、初任給調整手当」相当分が「職務給」に当たるよう図示されているが、これらを職務給として扱うことはその性格からして適切ではない。業績評価の対象として想定された職務給としての扱いに調整手当や扶養手当等が組み入れられるのは、「現行の給与制度を踏まえ」たとはとうてい言い得ない変更である。これらの手当ては「給料相当部分」に組み入れるか、その性格にそくしたカテゴリーとすべきである。
○ 職務給と業績給との区分が曖昧である。
 職務給は業績給と同じ評価制度を用いた業績評価による支給とされており、上記諸手当相当分に当たる職務給の性格が評価制度のうえで否定され、実質上業績給体系に吸収されている。職務給と業績給とは、現行制度に由来する「出自」のちがいにかかわらず、業績評価にもとづく「変動部分」として扱われることになる。
 当局案に言う職務給は、業績給と明確に区別した制度設計を行うべきである。
○ 年俸のうち業績評価に連動させられる賃金比率があきらかでない。
 年俸における変動部分の比率は、たとえ個別合意があったとしても適切とみなされる減額幅を越えることは許されない。モデル図における変動部分は見通しのある生活維持を危うくするほどの幅になっており、懲戒処分における減給の限度を越える。適正とみなす減額幅をどう想定しているのか?
○ 業績給における業績評価の基準、手続が曖昧である。
 年俸の変動部分については、「教員評価制度による評価結果を活用する」としているが、評価結果が具体的にどのように用いられるかを明示的に規定されていない。
 業績に応じた支給額算定において、支給段階はどのように想定されているか? またそのさいの基準は何か?
 「目標達成度や職務業績に応じて支給」とされているが、これは「教員評価制度」における目標達成度評価および職務実績評価それぞれに応じて支給額を算定すると解してよいか? その場合、両者の関係をどう考えているのか?
 提案された教員評価制度において評価にたいする異議申し立てが認められた場合、また、使用者が公正・適正評価義務を怠った場合に生じる損害の補正・補償についてどのように措置するのか?
④ 再任時、昇任時の年俸改定について
 再任審査にともなう増減額の基準が審査時年俸にもとづく理由は何か?
 また、増減額を給料相当分と変動部分に「一定の割合」で配分するとあるが、どのような根拠からどのような割合で配分するのか?
⑤ 退職手当算定基礎額の考え方について
 現行制度においては退職日における給料月額となっているが年俸制において退職年度年俸の月額への割戻額を基礎額とする合理的根拠は何か?
⑥ 仮に年俸制を導入する場合に必要な移行過程をどのように考えているのか? この問題に関連して、以下の疑問を示す。
○ 年俸制の導入にあたっては、通常、年俸査定に携わる評価者の十分な習熟・訓練が必要とされるが、どのような試行期間を想定しているか?
○ 現行学部、短大等が並存して存続する期間における当該部門は年俸の査定にかかる評価対象となるのか?
 その場合、だれがどのように査定に携わるのか?
⑦ 「平成17年度年俸の考え方」について
 平成17年度賃金については、給与制度全般にわたる制度内容への協議と切り離して定めるべきである。
 そのさい、現行水準からの不利益変更が生じないことが必要である。

7 その他の勤務条件案について
 以下の見解、疑問、要求を示す。
① 現行勤務条件からの不利益変更とならない事項については同意する。
② 病院及び医学部の臨床系を除く教員について、就業時間を、8時45分から18時15分の内の7時間45分としているが、労基法の休憩時間規定の趣旨に反する長時間拘束を設定する根拠は何か?
③ 現行時間管理との異同について説明を求める。

8 教員評価制度について
① 教員評価制度は大学における学問の自由の遵守という原則の上に立って検討されるべきであるが、当局案はこの原則に抵触する内容をふくんでおり、教員の負う責務にてらし座視することはできない。
 当局案(「教員評価制度について」)では、「教員各自が自ら目標を設定」するとしているが、「自己申告内容の確認・設定」は評価者との面談をつうじてなされる。参考資料として付された「教員評価実施マニュアル」では、「面談の結果、調整できない場合は二次評価者が大学としての全体最適の立場で目標を指示することもある」としており、研究内容、教育内容について教員の自律性を損なう恐れがある。学問の自由の遵守という当然の原則が確認されるべきである。
② 当局案による教員評価制度を任期制と連動させることは、教員評価制度を再任の可否を最大の目的とする制度に歪めるものであり、「教育・研究の活性化」を促進するのではなく著しく損なう。
「教員評価の目的」として当局案に挙げられている事項と雇用契約打ち切り(雇い止め)の可否を問う再任審査の目的とは整合しない。
 とりわけ、役割に応じた目標の達成度を競わせ評価する目標管理制度は、職務を「最低限クリアすること」を再任要件の考え方として謳った任期制案の審査制度とは性格を異にするものである。
③ 年俸制における業績評価とのかかわりでも、すでに指摘したように、教員評価制度をどのような制度枠組み、査定基準、査定手続の下で用いるのかが不明確である。
④ 教員評価制度を任期制、年俸制に連動させるとしている点に鑑み、教員評価制度の制度設計に関する疑問及び要求を挙げる。
○ 評価の対象とされる「地域貢献」「学内業務」の評価対象領域として性格、範囲が曖昧である。査定項目の選択に客観性、公正性が担保されているか疑問である。
「地域貢献」に関して、一方でピックアップされた評価項目のみによる恣意的査定の可能性が存在するだけでなく、他方では、たとえばNPO支援など、市民社会における自発的で自由な活動でかつそうであるがゆえに意味ある社会・地域貢献を査定対象として統制する危険がある。
 「学内業務」に関して、査定対象となる業務への配置が自律的選択によるものでなければ、配置権限者による評価の操作が可能であり、公正と言えない。
○ 人事評価を行う者が当該評価領域・分野について優れた専門的能力を有することは、評価の公正性、客観性、信頼性を保つ上で不可欠の条件である。当局提案の評価者体系ではこの条件はどのように確保されているか?
 また、評価者は被評価教員の業績についてよく知悉していることが当然であり、これらの観点に立つならば、「教員評価委員会(仮称)」が評価を行うことは適切でない。評価・査定責任を曖昧にする点でも、「教員評価委員会」に学長が評価を「依頼」し、さらに一次評価者、二次評価者を「委嘱」するという手続は不適切である。
○ 教員評価を年俸等の教員処遇と連動させる場合、査定の公正性、客観性とこれらを検証しうる透明性の確保は教員評価制度導入に不可欠の要件である。
 当局案における「評価結果のフィードバック」は、評価・査定の内容とその根拠を誤解なく明瞭につたえる手続上、様式上の要件を満たすものとなっていない。
○ 教員評価の公正性、客観性を保障するためには評価者にたいする評価が必要である。また、そのさい、被評価者による評価者への評価は成果主義人事にあっても有効、必要な手段とみなされているが、当局案にいっさい言及されていないのは不可解である。
評価者にたいする評価制度、評価手続を明確に示すよう求める。
○ 目標管理型評価制度における評価者の役割の重要性から、その導入にさいしては、評価者に対する十分な研修期間を含む試行期間が設けられるのが常識である。当局案はそうした試行期間を置かぬものとしているのか?

 以上。

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2005年01月16日

横浜市立大、独立法人化へ準備委を設置

朝日新聞(2005/01/12)

 横浜市立大(金沢区)は11日、4月の独立行政法人化に向け、学則や学費など組織運営や諸制度について話し合う法人設立準備委員会を設置し、1回目の会議を開いた。
 準備委は、独立行政法人化後の初代理事長予定者で食器店経営の宝田良一氏を委員長とし、初代学長予定者でベッカー大学(米マサチューセッツ州)の前学長代行ブルース・ストロナク氏ら計7人で構成。年度内にあと3回ほど会議を開き、市長が示す05年度から6年間の中期目標案に対する法人としての意見の集約、授業料や付属病院の特別室の利用料の検討などを進める予定という。


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2005年01月13日

横浜市立大、1月11日教員組合集会

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(2005年1月12日(1))

昨日、就業規則案に対する見解を取りまとめるための前提として教員組合集会があった。主催はもちろん教員組合であるが、非組合員も自由参加・大歓迎であり、同じ職場・同じ大学に働く者として不安定雇用や不利益変更に対してはともに闘うことが、集会の基調となった。「全国の就業規則の中で、目下のところ最悪の就業規則」、その意味での文字通りの「オンリーワンの就業規則案だ」というのが集会を支配した空気だった。

全国の大学の就業規則を大学の自治・学問の自由の観点から偏差値で表現するとどういうことになるか? 「最悪」という偏差値は、いったいどのくらいであるか?この「最悪」の偏差値の就業規則を、教員組合(市立大学や都立大学)の至極正当な意見を組み入れて柔軟に修正し、全国的に「最善」の意味での模範となるオンリーワンの就業規則に直せるかどうか、ここに本学や都立大学(首大)の命運がかかっているであろう。

「あまりにも不明確・未確定部分が多く、これを受け入れられる人などまったくいないだろう」というのはほとんどの発言の根底をなしていた。

そこで出された当局提案に対する疑問や批判点、そして結論(集会声明がその中核的結論)とほぼ同じことが、実は先行的に都立大学教職員組合で出されていることを、今朝、「全国国公私立大学の事件情報」で知った。当HPには他にも重要なものが掲載されているが、以下、就業規則・任期制・年俸制に関わる部分、本学に関わる部分だけをコピーしておこう。…


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年01月13日 01:16 | コメント (0) | トラックバック (0)
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横浜市立大問題、「過去の失敗の歴史に学びつつ、どうたたかうか」

伊豆利彦氏のホームページ 
 ∟●新掲示板2 http://www1.ezbbs.net/27/tiznif/
学問の自由と大学の自治の危機問題(佐藤真彦教授)経由
 ∟●「日々通信」131号を発行しました

1729.「日々通信」131号を発行しました。
名前:伊豆利彦 日付:1月12日(水) 5時37分

横浜市大の問題は横浜市大だけの問題ではない。
都立大学も首都大学という大学に変わる。
これが全国的な動向なのだろう。
都立大学の学生は奮闘しているようだが、要請や抗議を繰り返しても,彼らは多数をたのみ権力を行使して、聞き流すだけだ。
市大の学生、教員を情けなくおもう気持は<うのき>さんに同感だ。
昔、そこの教員だっただけに、その思いは切実だ。
しかし、それが市大だけの問題でなく、市大の教員も決議や要請などにも懸命に努力した。
教員組合の努力もめざましかった。
とくに、卒業生は大変に努力した。
しかし、結果は無残なものだった。
それが、日本の現実だ。
学生たちもアンケート集めその他の努力をしてアピ-ルしたが空しかった。
ファッショにたいしては従来の<民主的>方法では駄目なのだと思う。
もっと市民に訴えなければならない。
デモやハンストなどの闘争方法もあるだろう。
いまの新ファシズムは、投票による市民の支持を基盤に民主的よそいをしているので、市民の自覚が大事なので、市民に直接アピ-ルする努力が必要だと思うし、マスメディアの力も利用しなければならない。
しかし、いまの情況はそれに期待することも難しそうだ。

昭和の歴史でいえば、ある意味で、滝川事件の段階から美濃部事件以後の段階に進んでいるのではないかと思うのだ。
この状況で、過去の失敗の歴史に学びつつ、どうたたかうか。
それが、いまの問題だろう。
All or nothing で、全面解体の道をたどるのか、いま、新しい状況に対応して、多様な方法を駆使して抵抗運動をつづけ、できるだけ広範な市民に訴えつづけることが大切なのだと思う。

さまざまな分野でさまざまな努力が必要となるだろうが、文学研究者で年をとった私には私の方法があると思う。

この前の戦争の悲惨な経験で、日本人の意識変革が実現されたと思ったが、それはまだ、表面的だった。

日本人はさらに悲惨な経験をしなければならないのだろう。
その経験の意味をはっきりさせ、日本人の意識変革のために努力したい。
目の前の現実に目を奪われて、大きな展望を見うしなってはならない。
しかし、大きな展望に目を奪われて、いまの現実を直視することを忘れてはならない。
いまの現実から目をそむけるなら、その大きな展望は観念的な夢想に終るだろう。

この頃、漱石とともに啄木について思うことが多い。
まだ、しばらく、考えたり、書いたりすることができる間、すこしでもなにかをしたい。

やはり、また、漱石が死の年の正月に書いた「点頭録」のことが思われる。
私も私なりに、どんな小さなことでも、私にできることをつづけたい。

1738.大学を記憶する
名前:うのき 日付:1月12日(水) 19時42分

伊豆先生の文章を読ませていただき、自分の書き込みは先生のお心を暗く、そして苦しくさせるばかりであり、誠に申し訳なく思う次第であります。深く反省いたします。
しかし、今まであえて、目をおおいたくなる事態を凝視する必要を私なりに感じて、それを強調して書き込みましたのでありました。
ここでも、先生からの対応を受けて、もう少し思うところを述べさせてください。

先生のご指摘の通り市大の大学人は市大問題について何もしなかったのではなく、その「努力もめざましかった」と、私も思います。
しかしながら、結局のところ何を誰に訴えかけたのだろうか、という疑問が私には根っこのところにあるのであります。
伊豆先生は「市民の自覚が大事なので、市民に直接アピールする努力が必要だと思うし、マスメディアの力も利用しなければならない」と言われています。
私もおおむね同感なのでありあます。
しかし、ここで市民は何を自覚しなければならないのでありましょうか。
そして、この場合の市民とはいったい誰のことでありましょうか。

私はまず大学人も市民であるという自覚をもつことが第一だと考えます。
自分は「市民」とは違った立場にたって、他人へ自覚を促したりアピールしたりしても、その声はいったいどこまで届くのでありましょうか。
そして急いで付け加えたいことは、一般市民すべてを対象としても、問題は発散するばかりです。この闘いは選挙戦のような票集めをする類の次元とは違う、ヨリ深い闘いがなされなければならないと思うのであります。
ここで私が言う市民とは、まずもって大学人である市民への問いかけの必要であります。

今、都立大と市大で起きていることは、全国の大学でも同じようなことが起きるのは必至であります。ただいま両校とも情勢は劣勢であります。
おそらくこのままでは大学は解体する方向へ突き進みます。
同じ敗れるにしても、都立大のように来るべき時代に備えて真の学問の種と芽を植え付けて希望を残す学問的な闘いをするか、市大のように文字通り何も闘わず何も残さず絶望だけを残すか。

それにしても都立大大学人(=市民)と市大大学人(=市民)はなぜ組織的に共闘しなかったのでありましょうか。
お互いに「自覚」を促したり「アピール」したりすることすらできなかったのはなぜでありましょうか。
それこそ真の学際的交流と呼ぶべきものが始動する可能性があったのではないか、と思うのであります。

今回の大学問題の対応、とりわけ市大大学人の頽廃ぶりをもって、一般市民へ大学存続を訴えるのは、不遜ではないかとすら私は思うのであります。
とりあえず機会あらば自分が退官するまでの安住の地を求めて転出すれば後はどうでもよいとする教員と、とりあえず自分の在学中は所属学科も大学も潰れなければこの問題についてな~んにも考えない院生・学生。すべてがみんなそうだとは申しませんが、多くはこのこのようなひとたちによって大学が構成されていることこそが現在の真の大学問題なのだと思うのであります。

それでも、私たちにはふたたび選択の自由はあります。

すなわち、近い将来に他大学が闘うためのモデルとして(漱石風に言わせていただきますと「記憶してください。私はこんなふうにして生きて研究して闘ってきたのです。」でありましょうか)、そして何よりも自分たち自身の研究環境を獲得するための努力をすることもできますし、あるいはそうしたウザイことを拒否して、今後の事態がさらに悪化する傾向にコミットすることもできるのであります。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年01月13日 01:15 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年01月12日

横浜市立大、去るもの残るもの

伊豆利彦氏のホームページ
 ∟●掲示板2 http://www1.ezbbs.net/27/tiznif/ より
学問の自由と大学の自治の危機問題(佐藤真彦教授)経由

去るもの残るもの

抵抗のないところに学問はない。
しかし、抵抗はさまざまにおこなわれるのだろう。
横浜市大の現実は悲惨だ。
しかし、そこに抵抗がなかったわけではない。
首都大学という大学もまた同様なのだろう。

大学は死んだと思う。
こんな大学はない方がいいという言葉にも共感する。
しかし、そう言いきっていいのかという思いが残るのだ。

大学を去っていった人々のことを思い、残った人々のことを思う。
あれかこれかだけでは、これからの時代をたたかって行けないのではないか。

この悲惨な現実から、新しい抵抗ははじまるのではないか。
大学をやめて13年にもなる私にはわからないが、いまの私は残った人たちの苦悩を思い、彼らを励ましたいと思うのである。

悲惨な現実をはっきりと見つめ、現実に抗し得ず、時代に押し流される自己の無力をしっかりと認識するところから、新しい道を切り開く必要があるのではないか。

首大非就任者の会のメッセージを読みながらいろいろに考える。
http://www.kubidai.com/ 


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年01月12日 01:47 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年01月06日

横浜市立大「無抵抗な家畜の群れ」化へのマニュアル:横浜市当局、勤務条件・任期制等について提示

学問の自由と大学の自治の危機問題(佐藤真彦教授)
∟●「無抵抗な家畜の群れ」化へのマニュアル: 横浜市当局、勤務条件・任期制等について提示(2005/01/05)

「無抵抗な家畜の群れ」化へのマニュアル: 横浜市当局、勤務条件・任期制等について提示

横浜市当局は,昨年末の12月28日に,教員組合に対して勤務条件・任期制等についての文書を提示した(下記のpdfファイル1~7[1]を参照)[2].一読して明らかなように,教員評価制度と連動した,全教員に対する任期制と年俸制を強制することで,行政の意を汲んだ教員の協力のもとに,市当局が教員を徹底管理することを第一目的としたマニュアルとなっている.すなわち,伊豆利彦本学名誉教授がいみじくも指摘された,教員を「無抵抗な家畜の群れ」[3]化するためのマニュアルである.

これで,中田宏市長,池田輝政総務部長(現泉区長),および,橋爪大三郎「あり方懇」座長(東工大教授)の連携プレーによる無法・違法の大学破壊のためのシナリオ[4][5]が,現大学事務局官僚の手によって,細部の詰めに至るまで仕上げられたことになる.

それにしても,教授会そのものを消滅させた上に,人事権のみならず教員の身分保障を剥奪する等の暴挙が,さしたる抵抗もなくすんなりと通って,中田市長と横浜市官僚にとっては,おそらく拍子抜けものの,予想をはるかに超えた“大戦果”だったのではないだろうか.下記に,2年前の「池田暴言」[6]のさわりをあげておくので,このことを確認されたい.

小川恵一学長を筆頭とする“すり寄り派”教員の積極的加担,および,一般教員の過剰な臆病と鈍感がなかったなら,これほどスムーズにことが運ばなかっただろうことは,間違いない.

ごくごく近い将来に,行政に対する批判はおろか,同僚教員,とくに,従来のような民主的選挙を経ずに上意下達で任命された幹部教員の学説やその指導学生の研究内容に対しても,学位審査会等において,まともにコメントすることすら憚られるという,甚だ好ましくない雰囲気が到来するだろう.これを,“学問の死”と呼ばずに何と呼ぶのか[7].うのき氏の痛烈な指摘を待つまでもなく,批判精神が消滅し,保身と打算の奴隷精神が蔓延するであろうそのような大学に,何の価値があると言うのか[8].

伊豆氏は叫ぶ.「大学問題を言論思想の自由に対する破壊の問題としてとらえる必要がある。そして、それはファシズムの支配、戦争国家への道なのだ。・・・いまの日本は民主主義の国だという。笑うべき幻想だ。すでに日本は戦争に踏み込んでいる。いま、私たちはどのようにして、それとたたかうことができるか。・・・」


文中にある注は「続きを読む」に掲載

------------------------------------------

[1]
教員組合からのpdfファイル
1.「公立大学横浜市立大学職員の勤務条件(教員)」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041228-1 Jouken.pdf
2.「就業規則の概要」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041228-2 Shuugyou.pdf
3.「別紙1 教員の給与制度について」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041228-3 Besshi1.pdf
4.「別紙2 教員の任期制について」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041228-4 Besshi2.pdf
5.「別紙3 教員評価制度について」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041228-5 Besshi3.pdf
6.「教員評価実施マニュアル」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041228-6 Manual.pdf
7.「各種シート」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041228-7 Sheets.pdf

[2]
横浜市立大、新たな教員人事制度の構築に向けた取り組み04-12-30
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041230katayama-ycu.htm
http://university.main.jp/blog2/archives/2004/12/post_306.html

「公立大学法人横浜市立大学職員の勤務条件(教員)」(2004年12月28日付文書)の問題点 永岑三千輝氏『大学改革日誌』2005年1月4日付05-1-4
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050104nagamine.htm
http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/SaishinNisshi.htm

横浜市立大の全教員任期制、「恐るべき法解釈」「一般民間企業で全社員を有期契約にしている事例はあるのか」05-1-5
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050105katayama-nagamine.htm
http://university.main.jp/blog2/archives/2005/01/post_325.html

[3]
日本はどこへ行くのか 04-12-26
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041226izu.htm 
・・・横浜市大を訪れて、そこに私は廃墟を見た。いまの学生や教授に無抵抗な家畜の群れを見た。学問に理解のない市長とその手下に見事に料理された情けない廃墟を見た。そして、それは我が日本国の運命なのだと思った。日本はどこへ行くのか。・・・

[4]
学問の自由と大学の自治の敵,橋爪大三郎「あり方懇」座長の危険性02-12-11
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/page033.html 
・・・したがって,橋爪氏(および「あり方懇」を主導している横浜市大事務局)は,まさに,"学問の自由と大学の自治(および民主主義)の敵(破壊者)"であると断じざるをえない.・・・橋爪大三郎氏および横浜市大事務局の圧力に抗して,また,独立行政法人化・民営化の潮流に飲み込まれることなく,家永三郎氏が身をもって示したように,また,ウォルフレン氏の言うように,"荒野に呼ばわる少数者の声"を上げる"勇気"が,われわれ教員のひとりひとりに求められていると思う.・・・

[5]
『自作自演の茶番劇』:03/12/01横浜市が”大学側”改革案の全面的受け入れを表明03-12-04
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031204chaban.htm
・・・ “コワモテ”で鳴る石原慎太郎知事による,東京都立4大学に対する有無を言わさぬ強権的な“改革”(大学解体・破壊)に比べると,“市民派”中田市長のソフトさ・寛容ぶりが際だっているように見えるが,この横浜市大改革も,その実態は,都立4大学の場合と同様の,凄まじい大学解体・破壊であり,市長と市大事務局が主導した“自作自演の茶番劇”であることが,その経緯を見れば歴然となる.・・・

[6]
『部外秘資料』が語る,横浜市立大学の"独裁官僚"と似非民主制03-1-28
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/page036.html 
・教員は商品だ.商品が運営に口だして,商品の一部を運営のために時間を割くことは果たして教員のため,大学のためになるのか.
・教員はだれにも管理されていない.自己管理だから問題なのだ.国立は教員評価がはじまった.評価が一番低い教員はクビになることだってある.
・改善するためには,現在の人事制度を全面否定して,ゼロから立ち上げるしかない.発議権は現場に与えられたとしても,最終決定は全学的制度の下で決定すべきである.
・人事を誰が握るかですべてが決まる.私立の理事会のように,決めたものを拒否できるシステムを作るべきであろう.
・大学教員はパーマネントで,教員を管理している人が誰もいない.そういうものを作らない限り,よくやっている人が馬鹿を見ることにもなると思う.
・横浜市から金をもらってこの大学が成り立っているという意識がない.喩えて言うならば,生んでくれた親に何をしてあげられるのか.大学が持つ資源で地域に何が出来るのかを考えなければならない.
・教授会がごちゃごちゃいわなければ,すんなり決まる.その辺をはっきりするということだ.
・教員は現実は違うのに自身をスーパーマンだと思っている.なんでも出来ると思っている.そこに事務が配転してくればやる気がなくなる.
・教員は横浜市に雇われているという意識がない.設置者がつくった制度を知らないで議論している.権限の構造がどうなっているかを教員は知らなければいけない.
・教員は自分の役割をはっきり認識していない.制度の上にたった自覚がない.何でも出来ると思っている.事務局の責任も8割はあると思う.うるさい集団に対して面倒くさい,やめようと思って,力を発揮していない.
・大学人の自由でありたいという願望があるわけだが,そのことと教員ひとりひとりがどういうふうに今の制度を認識しているかということの差の現れだと思う.市大の教員になった時に,公立大学であるということ,だからこういうルールがあるのだということを知らしめないといけない.
[7]
阿部泰隆(神戸大学):「大学教員任期制法の濫用から学問の自由を守るための法解釈、法政策論―京都大学井上事件をふまえて」+『追記』04-3-28
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040328abe.htm 
・・・任期制は多数派による少数派弾圧手段 任期制は、身分保障に安住した怠慢な教員を追い出し、大学を活性化する手段だ等と思っている人が多いが、実は逆で、任期制法が適用されると、失職か再任かを決めるのは、当該大学(教授会、あるいは理事会)である以上は、怠慢な教員が追い出されるのではなく、学内派閥の少数派は、どんなに業績を上げても、追い出されやすい。多数派の身分が保障され、少数派の身分が害されるだけである。そこで、多数派に隷従するか、むしろ、自ら多数派になるしか、学内では生きることができない。同じ大学で、競争講座をおいて、あえて学説の対立を現出することによって、学問の進展を図ることなど、およそ夢の又夢になる。これでは、教員の学問の自由が侵害され、大学が沈滞することは必然である。したがって、教授の任期制を導入するまともな国はない。任期制が一般的な韓国でも、それは副教授以下に限っているから、日本のしくみは国際的にも異常である。私は、これまで幾多の闘争をしてきた。それは学問を発展させたと信じているが、それが可能となっているのは、わが同僚からは追放されない保障があるからである。もし同僚と意見が合わないと、追放されるリスクがあれば、私は「毒にも薬にもならないお勉強」をするに止めたであろう。・・・

[8]
「自治」以前の問題としてへの返信(2004.12.28)04-12-28
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041228izu-unoki.htm  
・・・市大の大学人のほんの一握りの誠意ある非常勤の先生方とごく一部の真面目な学部生をのぞきましては、「何ごとにも優先すべき事項」とは「自分」であると思われます。このような市大が市民からの信用回復を得るには・・・市大にいる大学人自身が、いま「何ごとにも優先すべき事項」を考え直す必要があるのではないでしょうか。・・・


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年01月06日 01:29 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年01月05日

横浜市立大の全教員任期制、「恐るべき法解釈」 「一般民間企業で全社員を有期契約にしている事例はあるのか」

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(2005年1月4日)

 「公立大学法人横浜市立大学職員の勤務条件(教員)」(2004年12月28日付文書)で、一番の問題は、やはり「任期制」「年俸制」を深く検討しないままに、行政当局の圧力で法的整合性に問題があるにもかかわらず、導入しようとしていることであろう。「任期」の項目のもと、「1.有期雇用契約 「大学の教員等の任期に関する法律」の精神に則って、労働基準法に基づき、原則として全教員を対象として期間の定めのある雇用契約を締結する」と。私はこの規程の根本において法律的に問題があるのではないかと感じる。

 「大学の教員等の任期に関する法律」(「全国国公私立大学事件情報HP・大学教員任期制ウェブログにリンク」)はその精神(目的)として、「第一条  この法律は、大学等において多様な知識又は経験を有する教員等相互の学問的交流が不断に行われる状況を創出することが大学等における教育研究の活性化にとって重要であることにかんがみ、任期を定めることができる場合その他教員等の任期について必要な事項を定めることにより、大学等への多様な人材の受入れを図り、もって大学等における教育研究の進展に寄与することを目的とする」とある。「できる場合その他」を限定して規定しようとするものであり、全教員を任期制にすることを予定したものではない。大学開設の科目等で何が任期制科目としてふさわしいか検討し(教授会・評議会、研究教育評議会など大学の自治の観点からしかるべき機関で)、限定的にその趣旨にしたがって導入しうるというものである。

 文章を素直に読めばわかるように、また国立大学法人や学校教育法に基づくほとんどの私立大学のほとんどの教員のばあいにおいても、また本学のこれまでの条件においても、基本は任期のない基幹的な教員集団(定年までのテニュア付き教員集団)で大学の教育研究を担う。ただそれだけでは、「多様な知識又は経験を有する教員等相互の学問的交流が不断に行われる状況」を作り出せない問題点があり、「教育研究の活性化」のためには、相互交流を活発化する必要性を認めて、限定的に任期制の教員を導入するとしている。全教員を任期制にするというのは、立法の趣旨、大学の研究教育の恒常的安定性から言って、詭弁であろう。「大学教員任期法」の諸規定が、学校教育法等に依拠した評議会(教授会)での任期制導入の審議を前提にしていることも、重要である。

 本学の「任期制」導入を掲げた「あり方懇」答申の当時、そしてそれを受けた「大学像」策定の当時、「大学教員等の任期に関する法律」しかなく、明らかにそれを前提にした限定的な任期制であるのが筋であった。ところが、その後大学教員に関わらない一般の労働基準法に「任期制」を広く導入することを可能にする改正が行われると、大学教員という特定の職業の枠(「大学教員任期法」の諸規定を見れば大学の自治を尊重した種種の制約条件がある)を無視して「全教員」を対象にできるからと「労働基準法」に基づく任期制を導入しようとしているのである。これは法理にかなったやり方だろうか?

 本学の教員は、大学教員としての固有の使命や仕事の内容をもったものとしてではなく、一般の企業と同じ職業のものとして扱われ、しかも、一般民間企業でも全職員(全社員)を「有期契約」などにしている事例はないにもかかわらず、全教員を「有期契約」に投げ込もうとしているのである。恐るべき法解釈ではないだろうか?

 基幹部分を安定した教職員でしっかりカバーしていない大学(企業)などあるのだろうか?

 これが、研究教育の活性化に貢献するのか?

 教員の仕事の評価を定期的にきちんと行うこと、それを給料等にしかるべき合理性をもって反映することはありうるが、任期を定めて首切りを可能にする(しかもその評価は大学の自治的システムとは別に行政が任命した管理職によって行える)こととは別であろう。 

 目的・精神においてもその適用においても、重大な問題(私の解釈では法律違反)をはらんでいると考える。労働基準監督所でこれが通用するのか?

 本学で導入されようとしている上記条項は、もし何も問題ないのだとすれば,今後の日本の大学、社会にとっても重大な(深刻な)意味を持つものではなかろうか?

 法律とは、いろいろな意味で力(権力)をもったものが、自由に解釈し、自由に適用できるものなのだろうか?法律体系(諸法律の関連)は考えないでいいのか。憲法において「大学の自治」が保障されている意味は、一体何なのか? 本学には法律家はいないのか?

 年頭にあたって、この根本問題を改めて考えさせられる。

 11日には教員組合の集会が予定されている。そこでの意見交換に期待し、しっかり勉強したい。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年01月05日 01:04 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年12月30日

横浜市立大、新たな教員人事制度の構築に向けた取り組み

横浜市立大学事務局大学改革推進部大学改革推進課
 ∟●「公立大学法人 横浜市立大学」(平成17年4月1日設立予定)の専任教員を公募について(12/28)
 ∟●新たな教員人事制度の構築に向けた取り組み~教育・研究評価検討プロジェクト部会(中間案)~

教育・研究評価検討プロジェクト(中間案)
新たな教員人事制度の構築に向けた取り組み

◆大学改革の推進~新たな教員人事制度の構築に向けて~
 横浜市では、現在大学改革を推進しており、その中で公正かつ総合的な教員評価制度の導入に向け検討を進めております。この教員評価制度は、組織や教員個人の目標に対して、達成状況をはじめ職務や業績などが適切に反映できるような制度を目指しており、教員が、教育・研究活動等自らの行動を振り返り、改善を重ねることで、個々の教員ばかりでなく組織としても、より一層能力が発揮され、大学全体として教育・研究水準の向上と活性化を図ろうとするものです。
 また、こうした公正かつ総合的な教員評価制度に基づき行った評価結果を、昇給、昇任、再任等に反映させていくなど、制度全体で「努力すれば報われる」仕組みに改革し、意欲ある人材が活かされるような、新たな教員人事制度の構築に向け、検討を進めております。
※なお、病院に所属する教員の評価制度をはじめ、年俸制や任期制は本検討を踏まえ、検討を行います。

1.教員評価制度のあらまし
(1)評価の考え方
 組織の目標と教員個人の目標を結合させ、大学としての社会的責任を果たすとともに、大学全体として教育・研究水準の向上と活性化を図っていくことが重要である。そのためには、教員全体が、組織の目標や自らに求められている役割を認識し、自らの能力を高めより一層発揮できるようにするとともに、大学運営や地域貢献に積極的に関わっていくよう組織と教員個人に対する公正かっ客観的な評価システムを構築し、評価を行っていく。
(2)評価のプロセス
①法人や大学全体として策定した目標・計画を受け、学部などの組織としての目標・計画などを策定する。
②学部長・コース長等は、学部等組織としての目標・計画のもとに面談・調整を行う。また、面談に基づいて、教員は、組織の目標や求められている役割を認識し、自らの目標・計画を策定する。
③個々の目標・計画に則って、教育・研究、診療等を行う。
④教育・研究成果または、目標・計画の達成状況について自己評価し、学長へ申告する。
⑤学長は、評価の公平性・客観性を担保するため、外部委員を含めた教員評価委員会(仮称)へ評価を依頼する。
⑥学長から評価結果等が伝えられ、その結果等を踏まえ、次年度の目標・計画へ反映する。
(3)評価の視点・分野
①大学あるいは組織の目標・計画に沿って「求められた役割を堅実に果たしているか」の視点で評価を行う。
②研究業績だけでなく、学生教育、(診療)、地域貢献、大学運営など多角的な評価を行う。
③評価の対象とするのは、基本的に、次の5分野とする。〈〉内の評価項目は例示
(ア)教育〈授業内容、履修支援等〉
(イ)(診療)〈診療実績、患者サービス等〉
(ウ)研究〈論文、外部資金の獲得、学会発表等〉
(エ)学内貢献〈学内業務への取組、共同研究等〉
(オ)地域貢献等〈地域貢献、市行政への貢献、政府審議会委員への就任等〉

<大学あるいは組織から求められる役割のイメージ>
大学あるいは組織の目標・計画の達成に向けて、各教員には画一的ではなく、各々の役割が求められる。

2.年俸制のあらまし
(1)年俸制導入の考え方
 教育研究活動等の活性化を図るため、公正かつ総合的な評価制度のもと、職責や業績に応じた、より適切な給与制度とする必要がある。そこで、教育や研究、診療や地域への貢献など、教員の活動実績が給与処遇などに反映され、「努力すれば報われる」仕組みを構築する。
 また、優秀な教員の招へいが図れるような制度の構築を目指す。
(2)年俸制の構成(イメージ)
固定部分(基本給相当)
変動部分(職務給・業績給相当)±(10~20)% (率は今後検討)

①教員として最低限の責務に対する保障部分
②生活給部分の保障

①教育、研究、大学運営等の職務に応じて支給する部分(職務給相当)
②上記等の各分野の業績評価に基づき支給する部分(業績給相当)
③評価にあたっては、公正かっ総合的な教員評価制度に基づき行う。
※1:固定部分と変動部分の比率や変動部分の増減率は今後検討する。
※2:新規採用者については、本市条例に準じて格付けを行う。
※3:退職手当は法人退職時に別途支給する。

3.任用制度と任期制のあらまし
<採用>
 法人化後の教員採用は、原則として公募により行うとともに、審査・選考は、学外委員も含む教員人事委員会により行うなど、全学的視点に立って、公正・公平で透明性の高い採用システムとします。
<昇任>
「教授」及び「準教授」などの職位ごとの定員枠にとらわれない制度とする方向で検討を進めており、「年功による昇任」や、「定員枠がないため昇任できない」などの状況を解消し、実力・実績に応じて昇任を可能とするシステムを目指します。なお、学外委員を含む教員人事委員会が、公正で客観的な昇任審査を行います。
<任期制導入の考え方と再任審査等>
 優れた人材を確保するとともに、多様な知識や経験を有する教員等の交流の活性化を図り、教育研究を進展させるため、原則として全教員を対象に任期を定めて任用する制度とします。
 ただし、任期中、教育研究等の目標・計画に沿って、着実に努力した成果が、教員評価委員会で適正に評価され、それを受け、再任されることができるよう、学外委員が加わる教員人事委員会で審査します。
 また、教授となり、テニュア審査に合格した場合は、任期のない教授になることが可昇任審査能となります。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年12月30日 00:12 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年12月29日

横浜市大を訪れて、そこに私は廃墟を見た

学問の自由と大学の自治の危機問題(佐藤真彦教授)
 ∟●日本はどこへ行くのか(2004-12-26)

日本はどこへ行くのか。

名前:伊豆利彦 日付:12月26日(日) 3時35分

横浜市大を訪れて、そこに私は廃墟を見た。
いまの学生や教授に無抵抗な家畜の群れを見た。
学問に理解のない市長とその手下に見事に料理された情けない廃墟を見た。

そして、それは我が日本国の運命なのだと思った。
日本はどこへ行くのか。
私は憂鬱だ。
これが植民地従属国の現実だ。

インターネットの世界は情報が氾濫している。
しかし、そこには情報があって意見がない。
意見があるとすれば、妄想めいた、ワンフレーズだ。
結論が自分の外にある場合が多い。

情報は大事だ。
いかなる情報を選ぶかに伝達者の思想はあるのだろう。

しかし、なお、意見を私は求める。
情報と意見が絡み合って、思想は発展するのだろう。

沈黙は金という思想が、やはり、いまの日本を支配しているのだろうか。
日本が曲がり角を曲がろうとしているとき、騒いでいるのは老人ばかりということなのだろうか。

すべては、後にならなければわからないのだと、老成した若者たちが腕組みをしてじっと見ている。

すべては無駄だと思っているのだろうか。

私は間違ってもいいから未来を語りたい。
予測をたてるのが学問だ。
あとから、解釈するだけでは、あまりに情けない。

掲示板を開いて、日本の沈黙の深さを感ずる。
人々との交流を求めて孤独を感ずる。

イラクも大事だが、日本の方がもっと大事だ。
活力をうしなった日本。
そして、朝鮮や中国に対してだけ、むやみに傲慢になる日本。
私は日本を愛しているから、こんな日本を憎むのだ。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年12月29日 00:06 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年12月20日

横浜市立大学、主要取引銀行を「横浜銀行」に決定

公立大学法人横浜市立大学の主要取引銀行を「横浜銀行」に決定しました

公立大学法人横浜市立大学の主要取引銀行を「横浜銀行」に決定しました
    
 横浜市立大学は、平成17年度より公立大学法人横浜市立大学として、地方独立行政法人化を予定しています。
 公立大学法人横浜市立大学は、横浜市から独立した法人となることから、独自に金融機関との取引を行うことになります。
 これにともない、大学改革推進本部では、主要取引銀行の選定を行ってきました。今回、主要取引銀行を「横浜銀行」に決定しましたので、お知らせします。

1 選定方法
 大学改革推進本部の経営会議の下に、理事長予定者、副理事長予定者、市立大学事務局長等を委員とする銀行選定委員会を設置しました。この委員会で、各銀行から寄せられた提案書に対する評価を実施し、評価の最も高かった銀行を主要取引銀行に選定しました。
2 選定理由
 横浜銀行が利便性、経済性等の点で優れた提案を行ったので、主要取引銀行として選定しました。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年12月20日 00:04 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年12月17日

横浜市立大学学部統合にたいする一般学生の声

Academia e-Network Letter No 220 (2004.12.15 Wed)より

・・略・・

すでに既成事実化した大学「改革」にたいして、横浜市立大非常勤の(少数の)有志は、二年半にわたる当局との無為な交渉を経て、今回が最後の闘いと考え、なんらかの突破口を開くべく、声をあげました。

その一環として、(われわれだけでなく)今回の「改革」の「被害者」である学生側の声を聞く機会をもちました。これ以前にも私は、何度か学生アンケートを実施してきましたが、今回のような悲痛な言葉を学生全体が述べることはきわめて稀なことです。

全文は無理であっても、一部でも全国に向けて、彼らの声を伝えていただければ幸いです。
御多忙のなかお手数をおかけいたしますが、宜しくご考慮ください。
        
  12月13日   榎本 譲 

━ AcNet Letter 220 【3】━━━━━ 2004.12.15 ━━━━━━

 横浜市立大学・学部統合にたいする一般学生の声― アンケートから

───────────────────────────────

横浜市立大学非常勤講師有志は、来年度からの同大学独法化と 学部統合にともなう非常勤のコマ数削減、大幅解雇、および、二年半前に始まる給与値下げ(実質2割)に反対して、12月8日、大学当局との第一回団体交渉を実施した。これに先立ち、非常勤の一人(第二外国語担当)は、学生にたいする大学側の違約状況を調査すべく、担当クラス学生に自由記述アンケートをおこない、現状への意見と要望を聞いた。

全体として「改革」強行および情報非公開という当局の態度への強い憤りと不信感、そして、科目廃止、教員減少による今後の単位取得や卒業への不安が表現されている。学生は、自分たちが無視され、「改革」の「被害者」だと感じているのである。

以下は、アンケートから各学生の言葉を抜粋要約したものである(提出者は、理学部1年生23名、および、商学部1年生26名、計49名)。[状況説明については、文末の(注)参照。]

本アンケートは、団交で、現状説明のために当局側に提出された。非常勤側は、「21 年度以降の現学部在学者の新学部への転籍」(注、参照)は、違法であることを主張し、撤回を求めた。


───────────────────────────────
【3-1】理学部1年生(主に数理学科) [数理学科は新学部では廃止となる。]
───────────────────────────────

- 入学式のときに学部長が「君たちは理学部数理学科として卒
業できる」と言っていました。だけど、数学や語学や健スポを
落とした人たちは 数理学科として卒業できるのでしょうか?
 大学改革の被害者にはなりたくありません。・・・みんな混
乱して不安になっています。

- 学費は高くなるのか? 数理学科は平成20年度まで保証され
るという話は聞いた。しかし実際は、一回留年したらアウトに
なるのではないか? 学部を解体する意味がわからない。

- 数理学科の講義内容は4年間保証されると聞いている。それ
は4年間現行科目が存在するということだと思うが、仏語が今年
で廃止になるというのはおかしい。

- 数学科廃止については受験時には聞いていなかった1年生が
多い。入学直後に知らされた。1年生に謝るなりのことをすべ
きだ。転勤してしまった先生が沢山いて、代わりに講師を沢山
雇うんですか? もう滅茶苦茶じゃないですか! 訳分かんな
いことばかりやってんじゃねえよ!! お偉いさんたちは、僕と
一回話をしてください。お願いします。

- 数学の先生は他校に移ってしまい、慶応などの先生が来て教
えている。それでは横市大で数学を学ぶ意味がなくなる。理学
部数学科として卒業させてほしい。市長になぜ数学科をつぶし
たのか説明してもらいたい。

- 数学科は2012年まで維持されると思っていたが、平成20年
(2008) 年までに卒業しないといけないということは知らなかっ
た。他大学に行けばよかった。2012年までに卒業した人は数学
科卒と認めてほしい。非常勤で働いてきた先生にもちゃんと仕
事をさせてほしい。  

- 数学科がなくなっても、授業は保証されると聞いていた。ぼ
くの友達は、授業を保証されるという言葉を信じて休学状態に
なっている。彼はどうなってしまうのだろう。カリキュラムを
発表してほしい。学生が納得できるよう問題を解決してほしい。

- 語学の単位を落とした場合、来年も同じ授業を受けられるの
か? 自分は留学を考えているが、一年間休学した場合、理学
部で同じ授業を受けられるのだろうか? 2008年までは講義の
数と質を保障すべきだ。それが大学である。

- 教職課程の必修科目は4年次まで開講してほしい。

- 数理学科の授業は8年間保障されると聞いている。絶対これ
を守ってほしい。語学も同様。留学者にたいする考慮を!

- 学部と授業を保障してほしい。第二外国語は必要である。

- 外部に移転する教授が増えていて、授業の質が落ちる。深く
学び、留学も経験したいが、大学改革推進者の考えは学生に対
していい加減すぎる。自分たちは早く卒業することを強要され、
邪魔者扱いされている。社会に貢献しないからといって、科学
の基礎である数学の専攻を廃止するのは納得できない。

- 留年したらやばい。授業がないじゃん? 第二外国語はとて
も大事です。数理学科がなくなるのはやばい。なぜ数学科をな
くす必要があるのか?

- 私は留学したいが、帰ってきたらどうなるのか? 病気で単
位を落とした人はどうなるのか? 卒業までは授業を保障すべ
きだ。

- 四年保障では留学も留年もできない。8年保障にすべきだ。
独立法人化で学費が上がる話は入学時には聞いていない。その
8年間は学費は値上げすべきでない。

- 大学がこんなに変わるなんて知らなかった。だまされた感じ
だ。もっと知らせてほしかった。変革が早急すぎる。数理学科
の存続をもう少し伸ばしてほしい。この改革で得するのは、市
長と改革本部だけだ。こんなのはおかしい。

- 1) 単位認定されなかった人のための来年度、再来年度の授
業はどうなるのか。2) 卒業が困難な人への扱いが乱雑である。
3) 新制度への移行の情報が不明瞭。4) 現在の教員たちの今後
の扱いはどうするのか。 5) 数理学科特有の講義はどうなるの
か。6) 海外留学時はどうなるのか。

- 語学系の単位は来年はどうなるのか。数理学科としての講義
は受けられるのか? 「学生数にたいする教員数の多さ」は、
横浜市大の売りの一つだが、改革で教員数が減って、少人数教
育もできなくくなるだろう。

- 「リベラル・アーツ教育」は、改革前の授業形態では行えな
いのか。授業がなくなるのに、それへの対応と保障はできるの
か。入試が始まっているのに、十分な改革内容が提示されてい
ない。受け持ち授業数の増加により、教員の研究はおこなえる
のか。医学部のみを重視しているのは不自然だ。新教員や非常
勤に今までのカリキュラムを保障できる力があるのか。

- まったく学生に説明がない。説明会をしてほしい。編学させ
てほしい。

- 転部、転類はどうなるのか。

- 卒業まで授業は保障されると聞いていたのに・・・ぼくらに
影響を及ぼす改革はやめてほしい。拒絶!! 

─────────────────────────────
【3-2】商学部1年生 
─────────────────────────────

- お偉いさんのツケをなぜ我々学生が支払わないといけないの
か。その場しのぎの改革は未来の金の卵を腐らせるだけ。密室
の会議で決定した改革案を無理やり通すのはおかしい。反対さ
れるのがこわくて情報を公開しないのは、改革案を作った人の
無能ぶりを露呈するだけである。

- 留学したいが、既存学部が平成20年度の保証では留学でき
ない。第二外国語の廃止も聞かされていなかった。教員が辞め
ているので、カリキュラムが保証されないのではないか。・・・
「何も知らされていない」学生でも多くの疑問を感じる。大学
に都合の悪いことの改善を拒否するなら、この大学は落ちぶれ
ていく。

- これまでの学部の特色を存続させてほしい。授業数の減少は
困る。講義数を増やして、多様性に富ませるべき。入試科目変
更(平易化) には意味あがるのか。非常勤の増加は困る。

- 卒業時まで保証されていると思っていた。入学前にそれなり
の説明があったら、私学に行っていた。市大は今後偏差値が下
がり、質が落ちていくだろう。大学を卒業したときに、何を勉
強したんだろうという状態になることは避けたい。

- 入学前は、学部統合で商学部がなくなるなんて知らなかった。
入学式後にそれを聞いてショックを受けた。裏切られた感じが
した。何も知らずに入学した私たちは改革の被害者になってし
まうのですか? 第二外国語が廃止になるのも納得できない。
大学はさまざまな勉強ができる環境を与えてくれる場所である
はずなのに、このままだと大学の学べる環境が減ってゆく。大
学改革は、学生には利点は見えない。学生は完全に被害者だ。

- 入学時には、第二外国語や体育の単位は「できるだけ今年中
にとるように」くらいの説明しかなかった。単位を取得できな
かったらどうなるかなどの説明はなかったし、今もない。当局
は全学生に説明する義務がある。率直にいってこの大学に来た
ことを後悔している。・・・大学はお偉い方だけのものではな
い。職員、学生、そしてその家族、地域など、多くの人たちの
支援と協力なしでは成立しない。現実がこうだから日本の学力
も低下するのだ。この件は日本の教育においてお偉い方の身勝
手さが実によく表れている。

- 私達は体制の変更について知らされていない。「君たちは大
丈夫だから」と先生方は言う。情報が流されていない。変更は
全員に知らせるべき。大学は情報を流そうとしない。もっと情
報を透明化し、学生の耳に届くようにすべきです。知らされた
のは、せいぜい、「一年生のうちに取れる単位はすべて取って
おきなさい。特に、語学と体育は絶対落とすな。でないと君た
ちは来年大変なことになる」、ということぐらい。私達の大学
は最悪です。いつかそのことが自分の首をしめることになる。
「知らない」ことは恐ろしい。大学は学生の声を聞こうとしな
い。うちの大学は、お金の使い方も学務課も変です。今年の一
年生は、もし数年留年したら、新制度のもとで卒業ということ
になるそうです。

- 学部統合の話は入学後に知った。来年どうなるかについては
まったく知らない。今年の入学者は授業など保証されると思っ
ていたが、そうならないようなので驚いている。留年した場合
の方法がまったくわからない。大学生になって留学したいとい
う夢をもつ人も多いが、その保証はあるのだろうか。学費値上
げは生活にもかかわるためはっきりしてほしい。来年のことな
のに、現学生には何の情報も入ってこない。ひどすぎる。

- 4年で卒業できれば、商学部生として卒業できるが、留学で
もするとどうなるのか? 商学部の歴史があるからこそ入学し
たのに、学部名が変わってしまったら何のために入学したのか
わからない。こんなことなら私大に行けばよかった。市長は自
分のことしか考えていない。前学長も彼のいいなりだっ
た。・・・経費削減の方法はほかにないのか。行政は無駄なと
ころにばかり金を回して市民を苦しめている。こんなに学内が
めちゃくちゃな状態であるということが一番困る。こんなに問
題を起こしておいてお役人はさっと逃げる。残った問題を教員
に押し付ける。自分の親も教員なので、こういう話はよく聞く。
しかしここまでひどい話はない。テレビにでてヘラヘラ笑って
いる市長の顔を見ると頭にくる。横浜市民から聞く話に良い噂
はない。とても市民のことを考えているようには思えない。

- 学校側は、改革の内容を学生に知られたくないみたいだ。入
学前の説明とまったく異なっている。「学生に耳を傾け、また
学生も運営にかかわっていく必要がある」と学校側(新学長)は
言っているようだが、それは学生を黙らせるための表面的な言
い方ににしか思えない。学生の関心が薄いゆえに、学校側が勝
手に改革して、学校の利益しか考えないようになった。学生を
バカにしている。これまでのカリキュラムの保証に大変疑問が
ある。沢山の先生が辞職して非常勤が増えると、専門分野の授
業の質は保障されるのか? 第二外国語をなくしたら、大学と
はいえない。私たちは多大な被害を受けている。学校側は、学
生の要求を一切無視して、自分たちの利益しか考えず、改革を
進めてきた。医学部しか残らないと考えているのだろう。

- 「システムが変わっても、旧カリキュラムで卒業できる、心
配することはない」、と聞かされてきた。だからあまり深刻に
考えたことがなかった。不明瞭な点が多すぎる。常勤の先生で
すらあまり状況を把握していない様子だ。それはとてもおかし
い。とても不安になってきた。数学科の人の意見を読むと、ほ
ぼ全員が不安を抱えていることがよくわかる。

- 当局は、うやむやまなままに実行し、「もう決まったことだ
から文句は言わせない」という形にしようとしている。大学は
学生あっての大学だ。当事者に情報を与えないのはいかがなも
のか。「辞めた教員は補充せず、非常勤で補う」というのは今
日はじめて知った。多くの教員が他大学の人では、伝統ある商
学部を選んだ意味がなくなってしまう。「いちょうの館」なん
て造る余裕があるなら、授業状況を改善すべきだ。

- 入学前に、知人の教授から「大丈夫だ」といわれて入ったの
に、失望した。第二外国語が受けれない大学なんてありえない。
情報が開示されていないなんて学生を軽んじているにも程があ
る。学生のモチベーションをさげるようなことを大学側がして
どうするのか? 専門研究を無視し、わざわざ時代の波に逆ら
うようなことをして経費削減したところで、結局首をしめるだ
けだ。

- 市大商学部を選んだのは、専攻コースが多様だったからだが、
今経営法学コースでは教員がどんどん辞めていて、非常勤ばか
りになるという話を聞いた。講義の質が落ちることは避けがた
い。大学を移りたいという話もよくきく。何年後かに母校が没
落している様は見たくない。

- 単位を落として留年するのは自業自得だが、留学で卒業でき
なくなるような不利益があるなら、大学は愚かである。意欲的
な学生の冷遇は許されない。市大を腐らせないでください。授
業料は値上げしないでください。

- 教職科目は来年から保証されるのか。いきなり来年から変わ
るといわれても困る。学生は何もできないが、改革の被害者に
なりたくない。

- こんな不安をかかえて学校生活を過ごすことが分かっていた
ら、この大学は受験しなかった。現存の学部は8年間保証され
ると聞いていた。しかし、4年しか保証されないという。無事
に卒業できるのだろうか。

- 留年したらどうなんるのか。必修科目を落としたらどうなる
のか。平成20年度以後はどうなるのか。計画が安易すぎる。
学部合併に何の意味があるのか。仏語をなくさないでほしい。

- 第二外国語を学ぶためにNOVAに行かなきゃならないのはひど
い。いくら英語が地球語だとしても、さまざまな言語を学びた
い。

- 第二外国語をなくしてTOIECにするのは将来のために良いと
は思うが、無くなる授業の教員にもそれなりの配慮が必要だ。
改革には時間が必要だ。

- 改革は良いことだ。しかし、きちんとした計画ができている
ことが前提だ。在校生のカリキュラムはどう保障してくれるの
か。第二外国語はなくなるのか。先生は変わるのか。私達はど
うすればいいのか。10月の学生説明会にでましたが、何もわ
からず、来年新入生の話ばかりで、私達は捨てられた気分でし
た。・・・学校は、学生の声を聞かない。学校の「独裁」に絶
対反対します!

──────────────────────────────
【3-3】(注) 大学側による説明の問題点と現状 
──────────────────────────────

大学側は、この秋、新制度への移行についての学生への説明会
をおこない、下記の点を主張した。

1) 新学長予定者ブルースストロナク氏は、「学生に耳を傾け、
また学生も運営にかかわっていく必要がある」と強調した。

2) 学部統合については、 現行の諸学部(経済、経営、国際
文化、総合理学) は、一学部(国際総合科学部)に統合される。
ただし、医学部は変化なし。[だが、看護短大は4年制大学と
なり、科目も変更され、非常勤の一部は削減される。] 

3) 国際総合科学部長予定者藤野氏の報告によると、「既存学
部は平成20年度まで保証し、21年度以降の現学部在学者は国
際総合科学部に転籍する」。


だが、この説明会では、既存学部の扱いについてのまともな説
明はなされず、質疑応答は短時間で切り上げられた。しかも、
説明会はこの一回のみで、今後は行われないという。

会場からは、以下の疑問や指摘がなされたが、適切な回答はな
かった。a) 2003 年に提出された約780人分の学生の意見は、学
長以外その存在さえ示されず、今回の改組にまったく反映され
ていない。 b) 在学生のカリキュラムを保証するとあるが、具
体的にはどのように保証されるのか? 現実には、教員がやめ
てゆき、教員数が減少している。また、数学科の廃止はどう補
償されるのか?

じじつ、現在多数の専任教員が辞めて他大学に移っていき、商
学部ではすでに三分の一の教員流出が決まっているという。し
かし、大学側は、辞めた教員の補充はおこなわず、非常勤の補
充で対応することにしている。[これは1) 人件費大幅削減、2)
解雇の容易化と行政当局による教育者支配、を狙ったものであ
る]。        
                 
(文責) 仏語非常勤   榎本 譲


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年12月17日 00:51 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年12月08日

横浜市立大学教員組合、「中期目標の大枠と中期目標を達成するための考え方」について

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(2004年12月7日(4))より

公立大学法人横浜市立大学の
「中期目標の大枠と中期目標を達成するための考え方」について

 11月22日、横浜市会大学・教育委員会において、公立大学法人横浜市立大学の「中期目標の大枠と中期目標を達成するための考え方」(以下、「大枠」及び「考え方」)が提示され議論された。「大枠」及び「考え方」について検討すべきことがらは多岐にわたるが、以下では、その内でとりわけ重大な問題点について指摘する。

1 私学並みの学費負担を学生に求める恐れはないか?

○ 「目標」は大学にたいする運営交付金の考え方を示した上で、「学費のあり方について検討する」とし、さらに「考え方」では「学費別授業料の導入」を検討課題としている。学費別授業料を導入するならば、たとえば医学部では現行水準をはるかに上回ることになる。経営上の観点だけからみるなら、医学部及び理系のコストに見合う多額の学費を想定せざるをえない。
 そもそも、医学部を持つ公立大学であり、かつ私学のように大人数の文系学生を入学させるキャパシティを持たず、少人数教育を特徴としてきた横浜市立大学の運営を、経営的観点から現在の多くの私学と同様に扱うことには無理がある。

○ なお、「考え方」では、基準を超える「経過措置」としての運営交付金を、「平成22年度までの解消を目指し」て想定している。国立大学の独立行政法人移行にさいしてすでに多々指摘されているように、移行にともなう不可避の経費増が予想される。たとえば、病院勤務医師の超過勤務手当て不払い問題がいくつかの国立大学について報道されているように、移行にともなって必要な財政措置がとられず、不法状態が生じる恐れがある。移行にともって新たに生じる経費については解消の対象となる経過措置にふくめるべきではない。

○ 先に独立行政法人に移行した国立大学にあっては、すでに、非常勤講師の大幅削減など、法人移行が教育水準の低下を招きかねない事態が報告されている。運営交付金の算定に当たっては、大学の質の向上をめざすとされた独立行政法人化が逆の結果をもたらさぬよう配慮すべきである。

2 「研究費を稼げる研究」だけに目が向けられる恐れはないか?

○ 「考え方」では、「研究は、……原則として外部研究費を獲得して実施」するとしている。市大教員は、研究資金を提供できる機関、団体の動向に注意を払い、その資金獲得に努力するよう求められている。しかし、市民、地域社会にとって重要で有意義な課題でありながら「外部研究費」の出し手がいない分野、領域は数多く、市民活動、市民の要望と結びついた研究課題の多くは、外部研究費に拠らずにすすめざるをえない。研究資金獲得優先の研究体制は、大学の地域貢献を狭め、歪んだものとする。

○ また、「目標」は「大学として重点研究分野を選定」するとし、重点分野に研究費を優先配分するとしている。大学が研究戦略をもつこと自体について否定しないが、言うところの「重点研究分野」が、産業利益など目に見えやすい領域に狭く理解され、かつトップダウン型決定機構のなかで十分な検討と公開性なく決定されるならば、そのようなやり方は大学の研究を一面化し、特定分野以外の研究・研究者を排除する結果となる。
 とくに、研究資金獲得が困難で研究成果の外部効果が単純には測りにくい基礎研究分野や、リベラルアーツ分野は、「戦力外」とみなされかねない。「目標」が自ら掲げている大学像と具体的研究体制とのあいだには、この点で著しいくいちがいが存在している。

3 「公正性・透明性」を掲げる教員人事制度を、教員にたいする条件提示も協議もなしにすすめようとする当局の態度は、教員の流出・転出を促すだけではないか?

○ 「目標」に示されている教員人事の「活性化、適正化」の内容として、「考え方」では、教員評価制度、年俸制、全教員対象の任期制などの導入が挙げられている。これらは、「適正化」と言いながら、教員の就業条件に大きな不利益をもたらす可能性があり、その導入に当たっては教員組合との協議・交渉が不可欠である。そうした公正な手続きなく一方的な導入を謳うのはそもそも承認しがたいが、さらに、現在にいたるも、独立行政法人移行に当たって必要な就業規則、教員にたいする就業条件提示すらなされていない。教員人事制度の「公正性・透明性・客観性」を言うからには、独立行政法人移行後の就業条件、人事制度について情報を示した上で、必要な協議・交渉を行ってゆくべきである。
 間近に迫った独立行政法人への移行を控え、公正さも透明性も欠いた現在のような態度を当局が続けるならば、これまでも続いてきた教員の流出・転出が一層激しくなることはあきらかである。

○ なお、「多様な雇用形態による教員確保」によって「適切な人件費管理を図る」という目標は、専任教員の削減と業務委託等の利用による人件費削減を示すものであるが、教育及び研究領域で掲げられた目標と、こうした財政削減目標とが整合的に検討されているとはみられない。教員任期制の導入もふくめれば、ほとんど専任テニュア教員の存在しない大学で、「目標」の掲げるような教育・研究の推進がはたして可能なのかきわめて疑問である。

2004年12月7日
横浜市立大学教員組合

Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年12月08日 00:27 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年12月06日

横浜市立大学の講義も対象、市立高に単位互換制

市立高に単位互換制 横浜市教委が再編後期計画案 市立大の講義も対象=神奈川

東京読売新聞(2004/12/04)

 横浜市教育委員会は三日、市立高校間の単位互換制度の導入などを盛り込んだ市立高校再編整備計画の後期計画案を発表した。
 後期計画は、来年度から二〇〇九年度までに導入すべき市立高校の改革案について、各校長で構成する委員会が四月から検討してまとめた。
 計画案によると、単位互換制度は、簿記や工業デザインといった「専門科目」などについて、他校の生徒の受講を認めたうえ、単位としても認定し、生徒が必要に応じて多様な学習ができるようにする。横浜市立大学の講義も受講対象とし、単位として認める。
 また、全校に外部委員による「学校評議員制度」を導入し、外部評価による学校経営の見直しを推進する。
 二〇〇〇年に廃止方針が決まっていた戸塚高定時制については、来年度入試から学区制が撤廃されることなどから、「当面の間、志願状況の推移を見守る」として、存続の方針を打ち出した。市教委は今後、市民から意見を募集し、来年二月ごろまでに計画を確定させる。


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2004年12月01日

横浜市立大学、新設大学院が受理される

文科省、学部などの新設35件についての届け出を受理

日刊工業新聞(2004/11/25)

文部科学省は24日、05年度の開設に向けて公私立大学、短期大学が8月と9月に行った学部・学科などの設置届け出計35件を受理した。
学部設置は九州国際大学が国際商学部を廃止して新設する「国際関係学部」、横浜市立大学が商学部を廃止して新設する「国際総合科学部」など8件。
大学院の研究科設置は城西国際大大学院の「ビジネスデザイン研究科」、名古屋芸術大大学院の「デザイン研究科」など4件。

横浜市立大学は大学院にも「国際総合科学研究科」を新設し、「国際文化研究」や「経営科学」のほか、「ナノ科学」や「バイオ科学」「生体超分子科学」などの専攻も置くことになった。
人文社会学系では、名古屋経済大学短期大学が商経科を廃止し、「キャリアデザイン学科」を新設するなど、実践的な職業能力の開発を目指す傾向が強い。
理工系では、近畿大学農学部が農学科、農芸化学科、国際資源管理学科を再編し、「農学生産科学科」「応用生命化学科」「環境管理学科」「バイオサイエンス学科」を新設するなど、先端科学と従来型の学問との融合化が一層進んだといえる。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年12月01日 00:38 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年11月25日

横浜市立大学教員組合、追加要求事項を提出

横浜市立大学教員組合
 ∟●横浜市立大学教員組合週報/組合ウィークリー(2004.ll.8)

追加要求事項を提出

 さきに組合は基本要求事項を提出していますが、今月4日、追加要求事項を小川恵一学長および清水一男大学事務局長宛てに提出しました。ひきつづき就業規則の早期提示を求め、またあわせて中期目標などに関する緊急を要する問題について要求を提示することが主な目的です。

追加要求事項

 横浜市立大学教員組合は、9月15日付けの基本要求事項に加えて当面、以下の事項を横浜市立大学学長および横浜市立大学事務局に対して要求する。

1.現行の労働条件・研究教育条件の維持
 独立行政法人への移行に際し、現行の雇用、労働条件を下回るような不利益変更をしないこと。また、研究・教育条件の劣化・悪化も行わないこと。そのことが予算面でも保障されるよう、来年度予算要求においても考慮すること。
(説明)労働条件の不利益変更が許されないことは、労働法制が前提とする当然の権利である。このことが、当組合の要求の最も根本的な事項である。また、研究・教育条件の劣化・悪化も、研究者・教育者としての教員の労働条件の悪化、不利益変更を意味するので、これを行わないこと、および、これを行わないようにするための予算面での配慮を要求するものである。

2.中期目標・中期計画案について
 市会に提出する中期目標・中期計画案に、原則として全員を対象とする任期制と年俸制を盛り込まないこと。
(説明)任期制と年俸制の問題は、現在、労使間の交渉事項となったまま、その実現について労使のあいだに合意が形成されていない。この状況のまま、中期目標・中期計画案にこれらを盛り込んでこれらを既成事実化することは、誠実交渉の原則に反する。

3.就業規則案の提示
 就業規則案を早急に組合側に示し、それに関する交渉に応じること。就業規則案の作成が遅れている場合には、部分的な案であっても組合に示し、その部分に関する交渉に応じること。
(説明)速やかに就業規則案を示すことが、誠実に交渉するための不可欠の条件である。

4.その他の事項に関する交渉
 その他、基本要求およびこの追加要求に関連する情報は、すみやかに組合側に提供し、常に、速やかにかつ誠実に交渉に応じること。
(説明)法制度の定める誠実交渉義務を果たすために、必要不可欠である。

〒236-0027横浜市金沢区瀬戸22-2
横浜市立大学教員組合045-787-2320


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年11月25日 00:51 | コメント (0) | トラックバック (0)
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横浜市立大学の中期目標に対する懸念

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(2004年11月24日(2))

 新首都圏ネットワークの記事から、神奈川新聞に報じられた本学の「中期目標」なるものを知った。(同僚からの情報で、大学HPには22日付で掲載されていることを知った)いったいどこで検討され、練り上げられたものであろうか? すくなくとも評議会や教授会では一度も議論になっていない。評議会や教授会の議事録を点検してみればわかることである。公立大学法人の目標は、大学を構成する一般教員には関係ない、ということか。大学がどのような目標を掲げるべきか、大学人が正式の会議で議論したことがなく、まずは新聞を通じて(そしてHPを通じて)知るということはおかしくはないか?大学が掲げる目標を大学人の正式な機関で一度も議論したことがないということは、異常ではないか?これで大学の力を結集できるのだろうか?いろいろなところで「総力を結集する」という文句はあるのだが。

 「教育重視」は結構だが、それではこれまで教育は重視してこなかったのか?中期目標に掲げられる「教育重視」は、これまでと何がどのように変わることなのか? 教育すべき内容は研究を通じてしか獲得できない。教育との関連で研究重視はなぜ言わないのか? 「教育重視」という文句は、研究などここ数年、いや十年以上、やってこなかった人々がいるとすれば、その人々には都合のいい単純化された目標であるかもしれないのだが。研究の質とは何か、これも問題になる。

 また、「地域貢献」は結構なことだが、それでは、これまでの「地域貢献」とどこがどのように違うのか? 地域に貢献するためには、大学らしい研究蓄積がなくてはならないのではないのか?陳腐な研究で地域に貢献することはできるのか?地域の人々も普遍的な課題・地球的な課題とは必然的に関係する。なぜ「地域」に限定するのか?

 先日のトッフルに関する事務局管理職発言に典型的に見られるように、外向きに当り障りのない美辞を並べることは実は簡単なことであり、その実質的裏づけ固疎が問題となる。そこをきちんと考えていないことが大学教員を激怒させる(あるいは諦観状態に陥れる、諦観させ無気力化させておいてあとで「あり方懇」答申のような外部からの超越的な表現で大学人を非難する・・・ある「結果」がいかなる諸要因で形成されたのかの総合的分析が必要なはずだが、それがない)[1]。大学研究者が、学界の水準でそれなりに仕事をしようとする場合、どれほど大変なのか、時間的精神的な大変さがまったくわかっていない人々の発言と感覚に、大学研究者は怒る。

 大学教員が職務として仕事をする一週間40時間のうち、いったい何時間を「教育」や「地域貢献」に振り向けるのか?教育のための研究、地域貢献のための研究は、しかるべき蓄積を必要とする。その研究時間はどうなるのか?先日の教養ゼミAの会議の際に、何人かの人(少なくとも二人)から「来年は大変だ」とため息が出る発言があった。旧制度の時間割での負担と新しい制度での負担とが重なるからである。統計を取ってみればいい。どのように過重負担になるか。そうした過重負担に対してどのような配慮が実際になされているか?

 研究時間がなければ、表面的な時間数はこなしても、教育はおざなりになり、繰り返しだけになり、「10年一日のごとく」なるのではないか?

 裏づけとなる研究時間・研究条件(予算)への配慮を欠いた態度を続けていくと、教育内容は悪化し、地域貢献は実質的にはできなくなろう。社会的貢献の実質を形成構築すべき研究時間・研究条件に対する保障が、実質的にどうなるか、問題はここにある。普通は、研究休暇、サバティカルなどがどんどん制度化され、大学教員に保障されている。夏休みさえも、「補講」で削り取る態度がまかり通れば、サバティカルなどどうなるのだろう。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年11月25日 00:49 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年11月24日

横浜市大が中期目標

神奈川新聞(11/23)

 横浜市立大学(小川惠一学長、金沢区)は二十二日の市会大学教育委員会で、来春の公立大学法人化に向けた「中期目標」の大枠を明らかにした。「横浜市が有する意義ある大学」を目指し、「教育重視」「学生中心」「地域貢献」を基本方針に設定。「幅広い教養を身に付け高度な専門性を有し、時代変化に合わせ社会を支えていく人材を育成する」とした。

 大枠の柱は「地域貢献」と「人材育成」。民間企業の財務担当者や県内自治体職員らを対象とした社会人再学習講座、市内教員向けの専門講座の創設など知的資源還元の機会を増やすことが盛り込まれている。粒子線がん治療施設の設置など、医学部附属病院でのより高度な技術による地域医療の提供にも努めていくとした。医局のあり方も見直すという。

 より優秀な学生を確保していく視点から「入試上位合格者への特待生制度の創設」などを検討。相談機関「キャリア開発支援センター」を創設してカリキュラム設定などをサポートし、学生の自己発見と開発を促す環境を整えていくという。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年11月24日 01:51 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年11月10日

横浜市大新聞、特集:市大改革 学生向け改革説明会を開催 質疑応答で混乱も

横浜市大新聞オンライン(2004年11月4日付)
「特集:市大改革 学生向け改革説明会を開催 質疑応答で混乱も」-「学問の自由と大学の自治の危機問題」(佐藤真彦教授)ホームページ経由

・・・要望書は「分からない」 18時50分からの質議応答では、本紙の福本記者から、学生などの多数の要望書や780人分の署名が提出されたことについての質問があると、副学長予定者で司会の南睦彦医学部教授は「急に言われても、今ここにないので分からない。それはどんな内容なのか。大学像に反映するための意見だったのか」と逆に質問し、会場からは「存在すら知らないのか」との指摘も起こった。大学院の男性の「なぜ数学も文学も専門カリキュラムから消えてしまったのか」との質問には藤野教授は「今回はシステムを全く逆にした。まず課題があって、そこに必要な学問を用意した。限られた予算の中でどうできるかだ」。国際文化3年の女性は「改革で先生全体に悲愴感がただよっている。どんなフォローを用意しているのか」と質問。これに対し、最高経営責任者の松浦敬紀氏は「きっちりとやっている。年内には先生の不安がなくなるように対策を練っているので、もうしばらくお待ち下さい」と答えた。 教授の怒りが爆発 傍聴側には学生に混じって、国際文化学部の鈴木正夫教授の姿もあった。質疑応答の冒頭、「教員への説明がされていない。定年になる私の後任をなぜとらないのか」などと声を荒げ、岡村一改革推進担当部長や事務局職員から「既に教員に説明は済ませた」「別の場で言えばいいじゃないか」と制止されるなど、緊迫した一幕もあった。質問の際に手を挙げた男子学生の一人が「改革推進ではない先生の話も聞きたいので、私の分の質問時間をあの先生にあげてください」と答えると、会場からは大きな拍手が起こった。鈴木教授は「やめた教授の補充採用をなぜしないのか。同じ学費を払わせながら少ない教員で授業を行うのは明らかに問題で、もし裁判を起こせば必ず勝つ。学生は丸め込まれては駄目だ」と激しく憤り批判した。・・・


大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(2004年11月9日)より転載

 2004年11月9日 市大新聞オンラインというのが出されていることを知った。新聞が研究棟の掲示板に出ているのは知っていたが、注意して読まなかったため、今回はじめて知った。オンライン版を読んで、学生説明会の雰囲気が伝わってきて、興味深い。

 新学長予定者は「学生の発信」を求めているという。それはぜひやっていただきたいものである。小人数だったとはいえ、貴重な生の声が聞かれたであろう。

 小川現学長は、学生説明会に参加した学生が少なく、その意見が多くの学生の意見や希望を反映していないかのように発言したようである。すなわち、「小川惠一学長は「来ている学生の数は非常に少なかった。ここに来ている人が総意を反映しているのか。もっといろいろな意見を聞かせて欲しい。改革の形が決まったが、レールと言うわけではない」と本紙記者に述べた、と。

 「いろいろな意見」を聞く機会は、その時間と場を設定すれば、大いにありうるだろう。それをやってこなかった、というのが現実ではないか。私は知らなかったが、就職説明会と学生説明会が同じ時間帯だったという。

 「いろいろな意見を聞かせて欲しい」というのがいつわらざる本当の気持ちなら、学生説明会を何回か開催して、広く意見を聞く積極性をこれまでも示すべきであったろうし、これからも示していくべきでではないか。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年11月10日 00:46 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年11月09日

横浜市立大学教員組合、学長・事務局長宛「追加要求事項」の提出

横浜市立大学教員組合ホームページ
 ∟●組合ウィークリー(2004.ll.8)

追加要求事項を提出

 さきに組合は基本要求事項を提出していますが、今月4日、追加要求事項を小川恵一学長および清水一男大学事務局長宛てに提出しました。ひきつづき就業規則の早期提示を求め、またあわせて中期目標などに関する緊急を要する問題について要求を提示することが主な目的です。

追加要求事項

 横浜市立大学教員組合は、9月15日付けの基本要求事項に加えて当面、以下の事項を横浜市立大学学長および横浜市立大学事務局に対して要求する。

1.現行の労働条件・研究教育条件の維持

 独立行政法人への移行に際し、現行の雇用、労働条件を下回るような不利益変更をしないこと。また、研究・教育条件の劣化・悪化も行わないこと。そのことが予算面でも保障されるよう、来年度予算要求においても考慮すること。
(説明)労働条件の不利益変更が許されないことは、労働法制が前提とする当然の権利である。このことが、当組合の要求の最も根本的な事項である。また、研究・教育条件の劣化・悪化も、研究者・教育者としての教員の労働条件の悪化、不利益変更を意味するので、これを行わないこと、および、これを行わないようにするための予算面での配慮を要求するものである。

2.中期目標・中期計画案について

 市会に提出する中期目標・中期計画案に、原則として全員を対象とする任期制と年俸制を盛り込まないこと。
(説明)任期制と年俸制の問題は、現在、労使間の交渉事項となったまま、その実現について労使のあいだに合意が形成されていない。この状況のまま、中期目標・中期計画案にこれらを盛り込んでこれらを既成事実化することは、誠実交渉の原則に反する。

3.就業規則案の提示

 就業規則案を早急に組合側に示し、それに関する交渉に応じること。就業規則案の作成が遅れている場合には、部分的な案であっても組合に示し、その部分に関する交渉に応じること。
(説明)速やかに就業規則案を示すことが、誠実に交渉するための不可欠の条件である。

4.その他の事項に関する交渉

 その他、基本要求およびこの追加要求に関連する情報は、すみやかに組合側に提供し、常に、速やかにかつ誠実に交渉に応じること。
(説明)法制度の定める誠実交渉義務を果たすために、必要不可欠である。

〒236-0027横浜市金沢区瀬戸22-2
横浜市立大学教員組合045-787-2320
kumiai@yokohama'cu.ac.jp
http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/

Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年11月09日 01:23 | コメント (0) | トラックバック (0)
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