全国
 カテゴリー 任期制

2005年06月15日

学校教育法一部改正案、「助教」全員への包括的任期制の適用

新首都圏ネットワーク
 ∟●《声明》学校教育法一部改正案の衆議院文教委員会による審議開始に当たって(2005年6月10日)

 さらに指摘しなければならないのは、本改正案の一部として提案されている大学教員等の任期に関する法律改正において、その大学またはその学部における助教全員への包括的任期制の適用が可能とされていることである(注1)。

【注1】教員等の任期に関する法律の改正は下記のようなものであり,決して助手と助教と読み替えるというレベルのものでないことは明らかである。
《現行》
第四条  任命権者は、前条第一項の教員の任期に関する規則が定められている大学について、教育公務員特例法10条に基づきその教員を任用する場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、任期を定めることができる。
一  先端的、学際的又は総合的な教育研究であることその他の当該教育研究組織で行われる教育研究の分野又は方法の特性にかんがみ、多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職に就けるとき。
二  助手の職で自ら研究目標を定めて研究を行うことをその職務の主たる内容とするものに就けるとき。
三  大学が定め又は参画する特定の計画に基づき期間を定めて教育研究を行う職に就けるとき。
《改正案》
第四条  任命権者は、前条第一項の教員の任期に関する規則が定められている大学について、教育公務員特例法10条に基づきその教員を任用する場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、任期を定めることができる。
一  先端的、学際的又は総合的な教育研究であることその他の当該教育研究組織で行われる教育研究の分野又は方法の特性にかんがみ、多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職に就けるとき。
二 助教の職に就けるとき。
三  大学が定め又は参画する特定の計画に基づき期間を定めて教育研究を行う職に就けるとき。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年06月15日 01:06 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/06/post_1304.html

2005年06月03日

北見工業大学、任期制導入へのあゆみとその後の1年

任期制導入を決意

読売新聞(5/25)

 北見工業大学長の常本秀幸(63)は、1974年に助教授として迎えられて以来、30年余りを同大で過ごしてきた。ただ、その前の10年間は、大手自動車メーカー「いすゞ」で、ガソリンエンジンの開発などに携わった経歴を持っている。

 「任期制に対して、それほど抵抗を感じなかったのは、民間にいたからかもしれない」と自己分析する。

 民間企業の世界では、程度の差こそあれ、社員は業績で評価され、給料やその後の出世にも影響する。職場の活性化を狙った人事異動も、日常茶飯事だ。

 一方、独立行政法人化される2004年4月以前の国立大教員は国家公務員。「教育を通じて国民全体に奉仕する」(教育公務員特例法)という崇高な責務を担う者として、その身分は手厚く守られていた。だが、民間の空気を吸ったことのある常本にとって、違和感を持つ部分もあった。

 仕事の質・量がそれほど変わらないのに、ポストによって給料がかなり違う。能力があるのにポストが空かないために、なかなか昇任できないという事例も目の当たりにした。

 出世には脇目もふらず、研究・教育に没頭する。それは美しい姿かもしれない。しかし、公平に業績を評価し、結果を残した人材の処遇を良くしていく仕組みも必要ではないか。

 2003年の学内調査の結果は芳しくなかった。「教員の任期制を導入するなら、今しかない」。多少の軋轢(あつれき)は、覚悟していた。

批判は承知、計画進める

読売新聞(5/26)

 2003年3月、全学的な教員任期制の導入へ向けて動き出した北見工業大。全国でも初の取り組みだけに、教員側にスムーズに受け入れられるかどうかは未知数だった。

 文部科学省の調査によると02年10月現在、一部の研究所や学科などに教員の任期制を導入していたのは、国立大65、公立大12、私立大119。増加傾向にあったものの、全体の3割弱にとどまっていた。全学的に導入していた大学は皆無だった。

 任期制の導入を巡っては、「大学の教員等の任期に関する法律」が施行された1997年前後から議論が活発化してきた経緯がある。任期制の最大のメリットは、教員の流動性が高まることにより、研究活動が活性化する点だとされる。

 一方、より雇用条件の安定した大学へ教員が流出する懸念もある。また、じっくりと腰を据えた研究ができなくなり、学問の自由や大学の自治を損なうと批判する声も多かった。

 学長の常本秀幸(63)は、これらの批判は承知の上で、任期制の導入時期を、国立大が独立行政法人化され、教員の身分が非公務員となる04年4月に定めた。「この時期をおいてほかにない。ソフトランディングにこだわっていては前に進まない」と、腹をくくった。

 常本は、03年4月から各学科ごとに懇談会を開き、説明を始めた。「各教員のレベルアップが求められている」。口を開いた常本の手には、学内調査の結果が携えられていた。


任期制導入へ議論1年

読売新聞(5/27)

 2003年4月、北見工業大学長の常本秀幸(63)は、副学長を伴って各学科ごとに懇談会を開き、教員任期制の必要性を説いて回った。

 基本的な任期は5年。教授・助教授は、その後も5年ごとに再任審査を受ける。講師・助手については、1度再任されると、今度は3年で審査を受け、昇任できなければ失職する――というもの。

 常本は、任期制に移行した教員に対しては、研究費や給与などで優遇する方針であることも説明し、理解を求めた。

 その際、大きな説得材料となったのが、数か月前に実施した学内調査の結果だった。それは、東大や北大などの調査結果と比べ、研究水準で見劣りする学科もあることを示していた。

 6月には、全学を対象にした説明会も開いた。職員代表を務めた機械システム工学科教授の小林道明(57)によれば、任期制の導入そのものについては、異論は出なかったという。「任期制などないほうがいい。しかし、学内調査結果を知った教員の多くが、何らかの手を打たないといけないと感じたはずでは」と振り返る。

 それでも、常本の懇談会は、各学科を2周した。質疑応答が3時間に及んだこともあった。納得が得られるまで、何度でも議論しようと思った。

 「最後は信頼関係の問題だった」と常本。1年間の議論を経て、04年3月、教授会は任期制の導入を承認した。

導入1年で60%が移行

読売新聞(5/28)

 北見工業大は、2004年4月、全国初となる教員任期制の全面導入に踏み切った。国立大が独立行政法人として新たなスタートを切り、各大学が改革を競い合う中で、同大の任期制導入は脚光を浴びた。

 ただ、「全面導入」とはいっても、任期制は雇用条件の変更にあたるため、移行するかどうかは、各教員の選択に任された。このため、「同意書」の提出を募ったところ、“志願者”は、ほぼ半数にあたる76人だった。

 独法化に際し、同大が6年後を見越して策定した中期計画で掲げた60%の移行率には届かなかったものの、学長の常本秀幸(63)は「滑り出しとしては、予想以上だった。改革の必要性を理解してもらえたからだと思う」と振り返る。

 しかし、逆にいえば、半数の教員が従来の雇用関係にとどまったことになる。

 ある教員は「地道な基礎研究の世界では、すぐに成果が出るわけではない。あせって論文を出したとしても、必ずしも良い内容にはならない」として、任期制への移行を保留した理由を語る。

 その後、同大では、毎年4月と10月に各教員に追加の意向確認を行っている。その結果、少しずつ任期制へ移行する教員は増加。スタートから1年が経過した今年5月現在、任期制へ移行した教員は計92人となり、早くも中期目標の60%を達成している。

 背景には、研究費の傾斜配分など、任期制選択者への優遇施策がある。

任期制、教員の意欲刺激

読売新聞(5/29)

 国立大として全国初の教員任期制の全面導入に踏み切った北見工業大。今年5月現在で、全教員の60%が任期制に移行、中期計画に掲げた目標を1年で達成した。背景には、研究費や給与面での優遇措置がある。

 任期制を選択した教員に認められる研究費は、非任期制の教員よりも高く設定されている。

 研究費の配分は業績に応じて、10段階に分かれているが、算定の基礎額が、任期制に移行した教員は、非任期制の2割増しとされている。

 また、給与面でも、勤勉手当に差がつけられた。その最低額が、任期制に移行した教員は基本給の0・9か月分なのに対し、非任期制の教員は0・3か月分。学長の常本秀幸(63)によると、ケースによっては、年収に最大100万円程度の差が出るという。

 こうした教員への処遇面での違いが、任期制への移行を後押ししたことは間違いなさそうだ。

 任期制を選んだある教員は、「研究面、給与面ともに、以前とそれほど変化はない。今まで通りに仕事をしていれば問題はなく、自分が任期制で雇われていることを強く意識したことはない」と語る。この点も含めて常本は、「任期制は、教員の意欲を刺激するのが最大の狙い」「努力すれば結果が出ることを示したことが、(選択率の向上に)良かったのでは」と話す。

 任期制導入が順調に進んでいるかに見える北見工大。他大学では、どうなっているのだろうか。

「年俸制セット」で二の足

読売新聞(6/01)

 教員の任期制を全面的に導入したのは、北見工業大のほかに、都立首都大学東京、横浜市立大などがある。来年開学予定の札幌市立大も、任期制を導入する方針を決めている。

 首都大学東京は、東京都立大、都立科学技術大、同保健科学大、同短大の4大学を統合し、今年4月に開学。教員の多くは4大学からの移行組だ。

 同大によると、開学当初の任期制の選択率は約50%。新規採用組を除いた「現員」に限ると、その割合はさらに下がるという。

 導入1年で60%に達した北見工大に比べると、順調なスタートとは言い難い。その最大の要因は、年俸制もセットにして導入したことにありそうだ。

 年俸の内訳は、経験や専門能力に応じた基本給が5割、授業負担や役職などに基づく職務給が3割、研究業績、社会貢献実績に即した業績給が2割となっている。しかし、肝心の評価基準など細部が未確定だ。

 実際に年俸の形で給与が支払われるのは2008年度からで、首都大当局も、「まだ制度作りが途中にあるため、教員が二の足を踏んでいる面がある」と認める。

 北見工大学長の常本秀幸(63)は、「新たな制度を入れようとする時は、教員の不安に応えなければならない。その点はしっかり説明してきたつもり」と話す。

 ただし、北見工大では、年俸制こそ導入していないが、任期制とは別に、教員の評価制度が確立されている。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年06月03日 02:17 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/06/1_6.html

2005年05月25日

宮崎大学、任期制打ち出す

埼玉大学ウオッチより転載

宮崎大学、任期制打ち出す

宮崎大学が全教員を射程に入れた任期制導入の方針を打ち出し、大学業界の話題になっている(こちら)。住吉昭信同大学長は春の新学期にあたって「法人化後一年を経過して」と題したメッセージを同大学ホームページに掲載し、その中で「教員の流動性を高め、教育研究の活性化を図り、宮崎大学に求められる教育研究組織を維持・発展させる為に……今後採用するすべての教員に任期制を適用したいと思っています。現在勤務している人にも、任期制に賛同して頂き、任期制を受諾した人には、何らかの優遇措置を講じる必要があると思っております」と任期制の導入の方針を表明した。

住吉氏は以前、宮崎大学長就任挨拶の中で「ある教授が去って大学が大打撃を受けた例を知らない。しかしある教授が居ることで大学が大打撃を受けた例は枚挙に暇がない」と書いたことがある(こちら)。また同氏は同じ挨拶で、江田島海軍兵学校の五省「一つ、至誠に悖(もと)るなかりしか。一つ、言行に恥(は)づるなかりしか 。一つ、気力に缺(か)くるなかりしか 。一つ、努力に憾(うら)みなかりしか。一つ、不精に亘(わた)るなかりしか 」が座右の銘であると公言した九州の大学業界の荒武者的経営者。

これは横浜市立大学に続く、大学の教員全員を任期付きの“契約社員化”する動きだ。大学の人件費を節減しようという合理化計画である。それを労働問題にしにくくするために、おまじないとして「任期制による教育研究の活性化」という呪文を唱えている。背景には、米国の大学では任期制が採用されている、あちらの大学が優れているのはそのためだ、という俗信がある。

アメリカの大学で長らく働いた上智大学の福井直樹氏は、横浜市立大学の集会で、「任期制はアメリカの大学システムの主流ではない」と語っている(こちら)。これはそのとおりで、文部科学省の資料によると、米国の4年制大学では教授の96.2%、准教授の83.6%がテニュアを取得しており、米国では定年制は連邦法で禁止されているので、文字通りの終身在職権を持っている。助教授・専任講師職ではテニュアをもっている人はわずかだが、通常7年ほどかけて一定の業績をあげるとテニュアを取得できる。米国では大学教員の62.3%がテニュアを持っている。イギリスでも国立大学の全教員の約6割がテニュアを持っている。フランスでは国立大学の教員は国家公務員であり定年まで身分が保障されている。ドイツでは州立大学の教員(教授、助教授、講師)は州の公務員として、定年まで身分が保障されている。(こちら

上記の話は文部科学省のお役人、国立大学法人内の高級官僚などみんな熟知のことだ。しかし、彼らはこのことをおくびにも出さず、独仏英米と比較して低い高等教育への財政負担をいっそう削減するために、大学教員非テニュア化を推し進めようとしている。日本の国立大学教員は1年ほど前から非公務員化された。そのことで、教員が公務員であるフランスやドイツの大学を上回るような大学活性化が望めそうな兆しがこの1年間にあったか? 

教員を期限雇用にすれば大学は活性化するのか? 大学教員の平均的人生行路は、①ポスト・ドクトラルの修行を終え、どこでもいいから、とにかく大学と名のつくところに職を得て、とりあえず落ち着く②その後、必死の覚悟で30代を研究に費やし、より格式の高い国立大学(よくある例は出身校の東京大学)への転出をねらう③さいわい格式の高い大学へ移ることができたら、こんどは仲間内での政治的影響力をやしなう④その影響力を利用して老後の保障先として格下の大学に移る(最近の東京大学はこれがなかなかできないので、流動化の逆である定年延長を試みている)。つまり、中年層以降はいざしらず、米国でテニュアの教授職を目指している世代と同じ世代の日本の若手教員も、栄光と安楽な老後を夢見て日々精進していることに変わりはないのだ。

宮崎大学がもし全教員任期制をしくことになれば、たしかに人事は流動化するだろう。しかし日本の大学の過半数が全教員任期付きにならない限り、流動化の中身は①任期つきの若手は宮崎大学の将来などに何の関心ももたず、業績をあげて、どこでもいいから終身雇用を保障してくれる大学へ移る機会を狙う②ちょっと名の知れたベテラン教員は別の大学から終身雇用をえさに引きぬかれる③どこにも行けない者だけが任期つき教員として残る、ということになろう。「宮崎大学とは、一刻も早く宮崎大学の教員でなくなりたいと願う人々の集う」業界の草刈場と化し、最期に「ある教授たちが居残ることで大打撃を受ける大学の典型」となって死滅するだろう。

労組を強化し万一に備えよう
埼玉大学では2005年度からこれまで「外国人教師」と指定されていた教員が5年任期の教員になった。地方国立大学は大体似たような財政事情なので、埼玉大学でも任期つき教員枠の拡大提案がなされる可能性は否定できない。裁量労働制の次は任期制か? いずれにせよ労組を強化し、抵抗力を強めておかないと、すべてにわたって泣き寝入りという悲惨な事態を招きかねない。

(花崎泰雄 2005.5.23)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年05月25日 00:40 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/05/post_1190.html

2005年04月06日

長崎大学教職員組合、任期制導入問題について学長・生産科学研究科長に申し入れ書提出

長崎大学教職員組合
 ∟●任期制導入問題について学長・生産科学研究科長に申し入れ書提出 2月23日

2005年2月23日

国立大学法人長崎大学長
 齋藤 寛殿
長崎大学教職員組合  
執行委員長 柳田泰典

申入書

 現在,生産科学研究科の専任教員に対する任期制の導入が検討されていると聞き及んでいます。長崎大学教職員組合は,この問題が単に生産科学研究科だけの問題ではなく,大学全体にかかわる問題であると認識し,以下の意見を申し入れます。

(1)労働基準法第15条では労働契約を結ぶ際には労働条件を明示しなければならないことが謳われています。任期制において再任審査基準がどのようなものであるかということは非常に重要な労働条件です。ところが,長崎大学には未だ明確な再任審査基準はありません。再任審査基準が不明確なまま同意書の提出を求めることは,労働条件を明らかにしないまま労働契約を結ぼうとすることであり法律的に問題があります。
(2)任期制の導入は労働契約の重大な変更を伴います。対象となる教員には十分な説明がなされるべきです。ところが,現在対象となっている生産科学研究科の専任教員には,ほとんど説明がなされないまま,導入が決定されようとしています。このままでは不十分な認識のまま労働契約を変更してしまう教員が多数出てしまう可能性があり,近い将来,大きな混乱と不幸を招くことが予想されます。
(3)そもそも任期制は雇用の不安定化を拡大するものであり,その導入に当たっては細心の注意が必要です。その運営いかんによっては長崎大学から自由闊達な雰囲気がなくなってしまうことが十分考えられます。そうなれば,長崎大学は活性化されるどころか疲弊し,衰退していくでしょう。生産科学研究科の専任教員に任期制を導入することが,ほんとうに長崎大学の活性化につながるのか,もっと全学的に議論する必要があると考えます。


 3月9日に研究科専任教員に対する任期制導入に関する説明会が開催されました。その一部を抜粋しました。
-----------------------------
【任期制導入の理由に関する議論】
参加者/研究科は専任と兼任の両方で成り立っているのに,なぜ専任教員にだけ任期制を導入するのか?
研究科長/研究科への任期制導入は中期目標にうたわれている。専任教員は審査を受けたうえで着任していて,再任評価基準を十分クリアーできるはずである。長崎大学としてすでに導入している。文科省が要望している。
 参加者/文科省が要望しているというが,中教審から新しい教員組織のあり方に関して答申が出されている。中期目標を作った時点から情勢は大きく変わっている。情勢に合わせて制度を変えていかなければ活性化にはつながらないのでは?人材を集めるときに任期制の存在がマイナスになるのでは?
研究科長/大学内の予算配分で任期制を導入している部局にインセンンティブをつけることが議論されようとしている。研究科として任期制を導入することは必ずしもマイナスにはならない。
 参加者/インセンンティブはまだはっきりしていない。しかも,旧帝大クラスの大学でも任期制導入に慎重なところがある。任期制の存在が優秀な人材を集めるための障害にならないか?
研究科長/旧帝大でも導入しているところはある。先走っているわけではない。研究科に導入することが妥当と判断している。
 参加者/メリットは何か?
研究科長/メリットがないから導入しないということではない。そもそも生産科学研究科は融合型であるから流動性を確保しなければならない。そのために任期制が必要である。
 参加者/任期制によって流動化するというよりは,不安定化する。任期制は研究科を分断化してしまうのでは?
研究科長/専任への導入は手始めである。各部局の意見を聞いてからではあるが,いずれ全体に導入することが検討されるか,見直しがなされる。その際には,いろいろな方法があるかもしれない。

【再任基準に関する議論】
 参加者/再任基準は定年まで変わらないのか?
研究科長/基本的にはそうだと思うが,状況が変われば・・・。私がずっといるわけではないので・・・。
 参加者/同意書に判を押したときと基準が変わってしまったら,同意できなくなった人は戻る場所がなくなるのではないか?その場合どのように対処するのか?
研究科長/それは,みなさんで考えていただくことだと思う。
 参加者/そこが労働条件で大切なところだ。もし,この基準で行くというのなら,そのことが同意書に書かれていなければならない。同意書の形式を変えてほしい。
研究科長/今回は5年ということで同意書を出してもらう。その間は変わらない。その後同意するかしないかは次の段階の話だ。
 参加者/同意できない人はどうなるのか?
研究科長/すでに任期制を導入している大学でも,同意していない人はいると聞き及んでいる。
 参加者/今の話ではない。10年後の基準の話だ。それに同意できない人はどうなるのか。
研究科長/10年も経つとどうなるんでしょうか。私には全く・・・。
 参加者/そこが問題のところだ。京大では裁判になっている例もある。しかも,裁判では一旦同意書を書いてしまうと,必ずしも再任は保障されないということになっている。再任基準が変わってしまうとしたら,最初の5年はいいとしても次以降がとても不安だ。
研究科長/再再任の時も基本的には今の基準が生きていると思う。
 参加者/契約する立場としては「思う」では困る。
研究科長/私は変えない。
 参加者/研究科長の任期の間だけの話ではない。
研究科長/未来永劫変わらないとまではいえないが,この基準というのは可能な限り継続性を持たせるべきだと思う。
 参加者/それなら,同意書にその旨書いてもらう必要がある。
 参加者/この基準は申し合わせなのか。
研究科長/申し合わせ的なものではあるが,申し合わせではないし,規則でもない。評価のガイドライン的なものである。
 参加者/同意書と再任基準がリンクしていない。最低限,2つをリンクさせる必要がある。
研究科長/同意書は全学で決まっているもので,変えるというのは難しい。
 参加者/この基準というのは例えば5年間何もしなかった人のクビを切るという法的なものか?
研究科長/クビを切るというよりは専任をはずれてもらうということ。全体に任期制が導入された場合には契約更新ができないということもあるかもしれない。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月06日 00:00 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/04/post_907.html

2005年03月08日

北九州市立大教員組合、教員評価制や任期制の導入に反発

4月、法人移行の北九州市立大 “全入時代”生き残りかけ 昼夜制見直し、文系再編…170項目に及ぶ計画案

西日本新聞(3/06)

 四月に地方独立行政法人に移行する北九州市立大(同市小倉南区)。一年間にわたる法人設立準備委員会の審議が二月で終わり、今後六年間の中期目標・計画の原案がまとまった。新年度早々にも原案を基に中期計画が最終決定される予定だ。少子化の進行で、全国の大学・短大の定員と志願者数がほぼ同数になる“大学全入時代”が二〇〇九年度にも到来する見通しの中で、約六千四百人の学生を抱える大学が生き残りをかけ、どのように変わろうとしているのか。 (北九州西支局・野村大輔)
 ■学内活性化目指す
 「産業技術の蓄積」「環境重視」「アジアとの交流」という基本理念を掲げた中期目標案。それを受けて中期計画の原案には(1)教育(2)研究(3)社会貢献(4)組織運営の四分野に計約百七十項目が盛り込まれた。
 その目玉の一つが「昼夜開講制の見直し」。夜間コースの廃止、あるいは入学要件を社会人に限定することや、学部横断的なものに衣替えする案などが考えられている。また、文系四学部の統廃合を念頭に、〇七年度をめどに大学院を含めた学部・学科を再編する構えだ。学生による授業評価や教員の任期制の導入についても検討し、学内活性化を図るという。
 法人化後の学長就任が内定している矢田俊文・元九州大副学長は、公開講座の充実などで「地域に根ざし、地域を変革する大学にしたい」と将来像を描く。
 ■民間の発想に期待
 「いろいろなことを取り上げているが、優先順位をつけてほしい」。法人化後に大学運営をチェックする第三者機関・北九州市地方独立行政法人評価委員会の初会合(二月)では、総花的な印象も受ける中期計画案について委員の一人からこんな注文も聞かれた。
 そもそも、法人化のメリットは何か。市や大学側は「運営は理事長、教育・研究は学長と、権限と責任を明確化し、トップダウンの流れを作ることで意思決定を迅速化できる」と期待。さらに(1)役員会や経営審議会に学外者を入れることで民間の発想が注入される(2)予算が地方自治法の適用外となり、柔軟に使える―などの点を挙げる。
 一年早く法人化した九州工業大(同市戸畑区)では、産学連携事業などに資金を集中配分できるようになった一方で、外部資金の調達など“経営力”の重要性が増してきたという。九工大の下村輝夫学長は「大学と教員が自己責任の意識を持つようになった」と一年の変化を振り返る。
 ■内部の納得も課題
 ただ、北九州市立大の教員組合は、教員評価制や任期制の導入が検討されることについて「教員を統一基準で評価するのは困難。任期制で教員の流動性を高めるというが、北九州のような地方都市では流出につながるのではないか」と反発。学生約四千人が加入している学友会は「始めに法人化ありきで、大学側から十分な説明がなかった。市からの繰入金が減って学費が上がり、学部が縮小されるのでは」と危機感を募らせる。
 大学間競争が激しさを増し、各大学はこれまで以上に新たな魅力や個性づくりが求められる。その中で、開校六十年を迎えた北九州市立大は、どんなカラーを打ち出すのか。学生や教員が納得のいく形で施策を進められるかが、改革実現のカギを握っているといえる。
    ×      ×
 ●中期計画案の主要例
(1)教  育
  ・2007年度をめどに、学部・学科を再編し、昼夜開
   講制の見直しを図る
  ・文系学部でも早期卒業制度の導入を図る
  ・学生による授業評価の実施。教員による授業自己
   評価、相互評価の導入を検討
  ・07年度をめどに、法科大学院(ロースクール)や
   経営大学院(ビジネススクール)などの専門職大
   学院の開設を検討
(2)研  究
  ・教員再任用制度(任期制)を活用し、国内外の優
   れた教員の確保を図る
  ・独自の東アジア研究を大学の特色とし、東アジア
   の発展を担う人材育成と研究拠点の形成を図る
  ・「環境未来都市づくり」など北九州地域が目指す
   方向や問題を研究課題として積極的に取り上げる
(3)社会貢献
  ・市民のスキルアップを支援するため各種講座の開
   講を図る
  ・高校生が授業を聴講できる「体験入学制度」を検討
  ・中高生を対象とした出前授業などの実施を検討
(4)組織運営
  ・理事長と学長のリーダーシップの下で、計画的で
   機動的な大学運営を実施
  ・教員評価制度を導入し、評価結果の研究費への反
   映を図り、昇任や賞与などへの反映も検討


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月08日 01:33 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/03/post_727.html

2005年02月21日

筑波大、体育科学系 新任講師に任期制

筑波大学新聞
 ∟●体育科学系 第新任講師に任期制(12.13 2004) 

体育科学系 新任講師に任期制

 研究を活性化するため体育科学系が、来年度から新たに採用する講師に任期制を導入する。11月の教育研究評議会で承認された。任期は5年で、再任が可能。再任する場合の任期は3年で、合計8年まで勤務できる。来年4月1日に採用する予定の講師1人から適用する。助教授と教授については現在、任期制を導入する予定はないという。
 任期制の導入によって、教員の流動性が高まる。体育科系では、他大学で助教授を務めた教員を降格させ、講師に採用することが多い。そのため、他大学に比べて教授、助教授に昇任する年齢が高いという問題がある。こうした閉塞感を除き、若手教員をより多く採用したいという。
 5年の任期終了後は、任期中の実績を同学系の教員会議で評価する。学内では、基礎医学系が全学に先駆け02年度に導入している。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年02月21日 00:13 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/02/post_620.html