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 カテゴリー 学力低下問題

2005年06月14日

議定書内容7割超が知らず 大学生の環境意識調査

共同通信(6/13)

 地球温暖化防止を目的に今年2月に発効した「京都議定書」について、国内の大学生の約74%が具体的内容を説明できない-などとの、エネルギーと環境に関する意識調査の結果を13日、社会経済生産性本部(東京)などが発表した。
 「エネルギーと環境の問題が自分たちの生活にどうかかわっているか実感できない」と答えた学生が約半数を占めることも判明。調査をした信州大の渋沢文隆教授は「温暖化問題に対する切迫感は希薄だ。理解と行動を促すための教育が必要だろう」と話している。
 調査は昨年7月から12月にかけて実施。全国18大学の学部やゼミなどを通じ計2261人から回答を得た。


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2005年06月09日

日本語の語彙力、私大生の19%「中学生並み」

毎日新聞(6/08)

 大学生の語彙(ごい)力が低下していることが、大学、短大の中堅校を対象にした調査で分かった。独立行政法人メディア教育開発センター(千葉市)が実施し、私立大1年生の19%、短大1年生の35%が「中学生レベル」と判定された。補習や授業で「日本語技法」「日本語コミュニケーション演習」などを開講する大学が増えているが、調査はこうした大学側の不安を裏付けた。

 同センターの小野博教授らは02年、中・高校生約20万人に予備調査を実施。この結果に基づいて、日本語力を「中1」から「高3以上」までの6レベルに分けた。

 一方、「読む・書く・話す」といういわゆる「日本語力」は、語彙の豊富さから類推できるため、今回の調査用に75の言葉の意味を選択肢から選ぶマークシート方式の「日本語力判定テスト」を作成。19大学、6短大と国立高等専門学校の計26校の昨春の新入生7052人に、このテストを受けてもらい、予備調査結果と照らし合わせてレベルを判定した。

 その結果、「鶴の一声」「露骨に」などの意味が分からない「中3レベル」以下の学生の割合は、国立大(3校)で6%、私立大(16校)で19%に上った。短大では35%と、3人に1人が中学生レベルだった。国立高専は4%にとどまった。

 大学の授業を理解するには、高校レベルの日本語力が必要とされる。98~00年に実施した同様の調査では、中学生レベルの割合は国立0.3%、私立6.8%、短大18.7%。語彙力の低下ぶりが目立つ。

 小野教授は「ゆとり教育、活字離れに加えて、学科試験を課さないAO入試や推薦入学など大学入試が多様化したため、私立大では多様な学生が混在する状況だ。短大も日本語の補習なしでは授業が成り立たなくなる心配がある」と指摘する。
……


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2005年01月31日

「理数教育強化 待ったなし」 声を上げる研究者たち

産経新聞(1/30)

 ■強い危機感 授業時間増など提言
 理科や数学の授業時間を増やして-。中山成彬文部科学相が総合学習を削減して主要教科にあてる案を打ち出し、「ゆとり教育」転換の動きに拍車がかかる中、理数系の第一線の研究者らが中央教育審議会に独自の教育改革案を提言した。必ずしも教育の専門家ばかりではないが、大学生や研究者の学力と意欲の低下を目の当たりにし、「このままでは科学技術立国・日本が沈んでしまう」と強い危機感を持って発言を続けている。今月上旬にはシンポジウムを開催し、“理数教育改革”の必要性を訴えた。(田中万紀、溝上健良)
 理科系の十三の学会・団体が加盟する「理数系学会教育問題連絡会」は昨年末、中央教育審議会に対し教育改革案を提言、算数・数学と理科に十分な授業時間を確保し、系統的な教育課程を編成するなど九項目を提案した。世話人の浪川幸彦・名古屋大教授(多元数理学)は、「ゆとり教育はゆるみとなって、多くの子供の学力を落とした。明らかに失敗した」と総括した。
 提言の中では、学力を取り戻す具体策として、現行はそれぞれ週三時間となっている中学の数学と理科を、少なくとも週四時間ずつ確保するよう求めている。
 さらに教育課程について、中学理科でイオン、進化、仕事といった科学の基本的概念を削除したことを問題視。浪川教授は「科学や数学の基本概念を理解することは、本当はとても難しいこと。それをしないまま丸暗記させれば、学力は低下するに決まっている」と、ゆとりのない学校現場での現在の指導法を批判した。
 また、理数系の専門知識を持つ教員の養成を重要視。「学力向上への最大のポイントは教員の指導力向上」と強調し、「理科が嫌いで文系に進学し、教師になった先生も少なくない。大学の教員養成課程では教育方法に重点が置かれ、教科別の専門知識が軽んじられていることも問題だ」と教員養成システムの抜本改正を要望している。
 特に一人でほぼ全教科を担当する小学校教諭の大半が文系出身者である点を指摘し、「理系の多様な人材に教職への道を開くため、専門職大学院の設置を」と提案した。
 もっとも浪川教授は、「現場や中教審にのみ対応を求めるのではない。学会としても協力する」と話しており、学会主導で独自の副読本や手引書をつくったり、現役教師が専門知識を深めるため学会の催しに参加できるよう配慮するといった対策を講じるという。
                  ◇
 《東大でシンポ 相次ぐ警鐘》
 ■教科書薄い/激減した練習問題/学ぶ動機欠く
 子供の思考力や計算力の低下を危惧(きぐ)する理数系学会の論客が一堂に会し、国際的尺度から日本の理数教育を考察するシンポジウム「世界の科学教育」が開かれ、学力低下に警鐘を鳴らす西村和雄・京大教授や松田良一・東大助教授らが、「日本はもっと理数教育の充実を」と訴えた。
 シンポでは、十一人の有識者が独自の調査結果を持ち寄り、日本の理数教育を検証した。
 「数学教育の国際比較」をテーマにした西村教授は、大学入試センター試験の前身の共通一次試験について、「数学選択者は数学を選択しなかった受験生に比べ、将来の平均年収が百万円以上高い」との追跡調査結果を提示。「理系は報われない」との見方に異議を唱え、数学を真剣に学習する重要性を説いた。
 「高校生物教科書の国際比較」を取り上げた松田助教授は、米国の教科書は日本の五・五倍の分量があると示し、「日本の教科書は薄すぎる。生物分野でノーベル賞を取れないのは、初等中等教育も原因の一つでは」と持論を展開した。
 さらに、米国では「薬物が身体にどのような影響を与えるか」と実例から学ぶ内容が高校生物教科書に記載されていると紹介。日本ではカエルの解剖やゾウリムシの生態などを多く学ぶばかりで「人間」を追究できないと指摘し、「日本の高校生は学ぶ動機に欠けている。これで面白い生物に行き着くはずはない」と嘆いた。
 また、学習塾「英進館」の筒井勝美館長は、「理数教科内容削減の歴史」を説明。小学四-六年の算数教科書を昭和四十三年と平成十四年で比較すると、ページ数は46%減少し練習問題は60%も削減されていた。特に図形や文章題は六分の一まで激減した-と報告。
 さらに、今の中学生に昭和四十五年の高校入試問題を解かせると、数学の力が40%も落ちていたとの独自調査に基づき、子供の学力低下の実態を訴えた。その上で「日本の高度成長を支えたのは国民全体の高い教育水準だった。ゆとり教育は亡国プログラムだ」と教育行政を批判した。
 報告者はいずれも、日本の「理数教育軽視」の現状に強い危機感を抱いており、義務教育での理数教育の授業時間を増やす、教科書の記述を系統立てるといった対策を講じるよう要望した。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年01月31日 00:56 | コメント (0) | トラックバック (0)
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