全国
 カテゴリー (国)埼玉大学

2005年06月15日

埼玉大、学務係一元化の動き!

埼玉大学教職員組合
 ∟●組合ニュース2005年度第4号(2005年6月13日発行)

 学務係一元化のプロジェクトが6月に立ち上がることが明らかになりました。このプロジェクトが予定どおり実行されますと、来年度から各学部に設置されている学務係(入試業務を含む)はなくなり、現在改装中の旧共通教育事務室に集中化されることになります。
 学務事務について中期計画には、「教務事務等の『全学教育・学生支援機構』への一元化等の検討を含め、事務組織の再編・統合を行う」と書かれています。この検討は昨年度中に行われたはずですが、検討結果は明らかになっていません。先に結論ありきの検討ではなく、トータルな視点に立った真剣な検討は本当に行われたのでしょうか?もし人件費節約という表面的なコスト要素だけから一元化を検討したのであれば、それは大問題です。学生や教員がこれまで受けてきたベネフィットも視野に入れて、判断しなければならないからです。
 事務組織の改編が一般的に労働強化という問題をはらんでいることは言うまでもありませんが、ここでは学務事務に特有の問題を指摘しておきます。各学部から学務係がなくなれば、教員・学生ともに多くの不便を強いられることは明らかでしょう。忘れてならないのは、教員だけが学生へのサービスを提供しているのではないということです。学務係の窓口対応も、大学が学生に提供しているきわめて重要なサービスの一つです。こうした職員によるサービスも、こらからの大学にとって重要な評価ポイントになるはずです。一元化して本当にきめ細かなサービスを提供し続けることができるのでしょうか?

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年06月15日 01:03 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/06/post_1302.html

2005年06月02日

埼玉大学、いよいよ始まった裁量労働制導入の可否めぐる労使攻防

埼玉大学ウォッチより

導入でなにかいいことあるのか?

使用者側はいざ知らず、裁量労働制が導入されることで、労働者側に何かいいことがあるのか?

通常いわれている利点は①深夜・休日を除き、出・退勤時間の自由な設定ができる②休憩時間の自由な管理、である。

逆に、不利になる点は①深夜・休日労働以外には超過勤務手当ての請求ができない(教員はこれまでも超過勤務手当てをもらっていないので関係ない。しかし、将来の労働負担増に歯止めがなくなり、たやすく労働強化を背負い込まされる恐れがある)②民間会社の場合、使用者側が裁量労働制を労働強化の道具として使っており、過労死と結びつくとして批判されている③そのため、出・退勤時間の管理が厳しく義務付けられている、などがあげられている。

国立大学教員が公務員だったころ、教員は教育公務員特例法第17条によって教育に関する他の職を兼ねることが可能だった。また、第22条によって、勤務場所を離れて研修をおこなうことができた。

埼玉大学教員の場合、教育公務員特例法第17条の規定は、新しい国立大学法人埼玉大学兼業規程第2条の、兼業によって職務遂行に支障が生じるおそれがない場合、兼業を「許可するものとする」という規定に引き継がれている。

また、教育公務員特例法22条の研修規定は、埼玉大学就業規則第39条2項の「教員は、教育研究に支障のない限り、組織の長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修をおこなうことができる」に引き継がれている。さらに、2004年度の就業規則を大学側と協議した当時の過半数代表は、2004年3月31日に大学側と「法人化後の勤務時間については、法人化直前の慣行を尊重する。また、同様に、本学以外の場所での研究、教育、社会貢献その他の活動も法人化直前の慣行どおりに遂行できる」という確認を交わした。さらに、この確認は1年後の2005年3月28日、あらためて、過半数代表の本城昇氏と埼玉大学長の田隅三生氏との間で、「大学当局と過半数代表は、2004年3月31日の確認事項を就業規則と同等のものとして取り扱うことを確認する」という確認書となって、両者捺印のうえ取り交わされた。

したがって、埼玉大学教員は勤務形態と、非常勤講師やその他教育に関する兼業に関しては、教育公務員特例法が適用されていた時代と同じ条件下にあり、裁量労働制導入によって手にする新しい利点はまったくない。あるのは、裁量労働制を利用して法人が労働強化を押し付けてくるのではないか、という不安だけである。

<資料>
大学教員の裁量労働制に関する資料のサイト

(花崎泰雄 2005.6.1)

さあ、いよいよ始まった
導入の可否めぐる労使攻防

埼玉大学各学部の教授会で教員を対象にした裁量労働制導入の説明が始まっている。労働者と使用者間の協議事項を教授会で説明するというのは、どことなく腑に落ちない話である。法人化後の教授会は学部によっては、議事よりもむしろ役員会が部局長会で通達した事項の一般教員への再伝達の場になっているので、大学執行部も改めて教授会以外の会合をセットして説明する必要を感じないのだろう。

一方、埼玉大学労組のよびかけで5月31日夕、裁量労働制についての集会が学内で開かれた。例によって、参加者はまばらだった。参加者の発言の雰囲気は、理学、工学は導入に賛成、教養、教育、経済はどちらかというと警戒気味であった。

6月半ばには新しい過半数代表が決まるので、それを待って、裁量労働制の本格論議が始まる。そこで『埼玉大学ウォッチ』はここしばらく、裁量労働制に関する資料の紹介に専念する。

<資料> 
● なぜ大学教員が裁量労働制の適用対象になったか。「国立大 裁量労働制の功罪」についての東京新聞2004年4月5日の記事
● 第21回労働政策審議会労働条件分科会議事録(2002年10月1日)
○今企業の社員に対する裁量労働ということになっていますが、大学教員に対しての適用除外といいますか、これから国立大学などが独立行政法人になりますが、そういった時に労働基準法の適用を受けるという範疇に入ってくると思うのです。専門職とか技術職的なものの裁量労働というのは、厚生労働省としてどうお考えになっているのでしょうか。
○事務局 現在のことを申し上げますと、まず研究者の方については、専門型の裁量労働制が適用になるわけです。問題は、教員の方でも、実際にはかなり教育のコマを持っておられます。それは人によってかなり違います。ごく少ない方もいらっしゃいますし、たくさん持っておられる方もいる。また、教授会の時間であるとか。ですから、こういう時間帯にはちゃんと出てきてくれという決めがかなりあるわけです。労働時間に関して、完全に裁量があるということではないと、我々としては考えています。そういう意味では、現時点では、一挙に教員の方に対して、企画型の裁量労働制が適用できるというような見解には至っておりません。
● 「裁量労働制を選択する必要はありません」広島大学教職員組合の教宣ビラ

(花崎泰雄  2005.5.31)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年06月02日 00:11 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/06/post_1229.html

2005年05月20日

埼大労組、次の一手は?

埼玉大学ウォッチ「埼大労組、次の一手は?」(2005.5.18)

田隅三生埼玉大学長は4月16日、埼玉大学ホームページ(学内限定)にメッセージを載せ、教職員に気軽に学長室を訪れ、学長と面談するよう呼びかけた。「面談が直ちに本学の運営に反映されるわけではありませんが、意見交換が何らかの意味を持つことはあり得ます」と書いているので、これは“学長炉辺談話”を聞きにおいで、あるいは“茶飲み話”をしにいらっしゃい、というレベルの私的なお招きである。

今回の学長文書の公表は、5月11日の『組合ニュース』3号と翌12日の「組合アピール」に感応しての教職員へのよびかけではあるが、労組に対する回答ではない。しかし、埼玉大学労組からの再三にわたる団交への出席要請に関連して、田隅学長はこの文書の中で「教職員組織、例えば過半数代表や教職員組合、と国立大学法人埼玉大学との交渉には、学長ではなく、総務担当理事らが当たることになっています」と書き、間接的に、しかし事実上、またも団交出席の可能性を否定した。労組は大学運営に関する学長の見解や行動に疑義があるとして、これまで繰り返し大学の最高経営責任者として学長が直接、団交の席で説明することを求めてきた。一方、学長は4月28日に人事課長を通して、学長見解は教育研究評議会に対して回答したものであり、組合に答える筋合いのものではない、という内容の回答を労組にしていた。

田隅学長は就任から1年余、労組との団交や過半数代表との協議の席に、一度も臨んだことがない。使用者側の最高責任者ではあるが、労組などと公の場で議論することを意図的に避けてきた。一方で、個人的な面談については非常に乗り気で、今回も「これまでに面談の希望が多くなかったのは事実ですが、学長が面談を拒否したことは一度もありません」「教職員から面談の希望がだされることを期待しています」と言っている。……(後略)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年05月20日 00:11 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/05/post_1165.html

2005年05月13日

埼玉大学教職員組合、学長見解の撤回を要求

埼玉大学教職員組合ニュース(2005年5月11日)
埼玉大学教職員組合からのアピール(対話のある大学運営を求めます)

以下,埼玉大学ウォッチより一部抜粋

学長「労組と議論の必要ない」
埼大労組、対決姿勢鮮明に

埼玉大学労組(林量俶委員長)は5月11日発行の『組合ニュース』で、田隅三生埼玉大学長の学長権限をめぐるいわゆる12.3田隅見解に関連して、これまでにない強い調子で田隅学長の姿勢を非難した。また、あくまでも見解の即時撤回を求める強い姿勢を明らかにした。(5月11日発行の組合ニュースはこちら。学長見解についての公式資料は「12.3学長見解」で)

2004年12月の学長見解発表をうけて、埼玉大学労組は2005年1月に学長あての見解撤回要求書を出した。これに対して学長は労組委員長あてにこの3月、文書で回答。それに対して労組は4月上旬に再度反論していた。

この労組の反論に対して、田隅学長は4月28日、人事課長をメッセンジャーに使い、「法令の解釈に関して自分の考えは変わらない。そもそも学長見解は教育研究評議会の求めに応じたものなのだから、組合と議論する必要はない」と労組に口頭で通告させた。

田隅学長は3月の労組あて回答文書の中で、学長見解がおかしいとうのであれば、その証拠を示せ、と労組に反論していた。これに対して、労組が4月の再反論文書で克明な法解釈に基づいて学長見解の誤りを質していた。

こうした経緯にもかかわらず、今回、学長が労組と議論する必要はないと、メッセンジャーを使って、しかも口頭で伝えたことに、労組は「不誠実を通り越して非礼極まりない」と怒っている。さらに、労組は「教育評議会での教員評議員の意見に拘束されず、その国立大学の教育研究に関する方針を決定する権限を有している」という田隅見解が、現在の教育機関としての埼玉大学の運営にさまざまな齟齬をもたらしている、と激しく田隅批判を繰り広げた。

(……後略……)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年05月13日 00:25 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/05/post_1130.html

2005年05月10日

埼玉大学、大宮プロジェクトとは何か?

埼玉大学ウォッチより

大宮プロジェクトとは何か?

埼玉大学・田隅執行部が構想している産官学連携事業計画の中で最大の目玉となる「大宮プロジェクト」の関連資料が近く一般教職員にも公開されることになった。これにより、プロジェクトは全学レベルの議題になる。「大宮プロジェクト」は大学の一般構成員にとって、これまで春の夜のおぼろ月のような存在であった。朦朧として頭上にあることは知っていたが、その輪郭はつかみがたかった。

そもそも「大宮プロジェクト」とは何か? これまで一般教職員が耳にしていたプロジェクトのあらましは、以下のようなものであった。

さいたま新都心に群馬、宇都宮、茨城、埼玉の4大学が核になり、企業、国、自治体と連携して先端科学技術関連の産学官連携大学院をつくる。プロジェクトの具体的構想については、埼玉大学役員会や大宮プロジェクト検討委員会で練りあげている。

では、構想はどのように練りあげられてきたのだろうか? 大宮プロジェクト検討委員会は昨年、大宮プロジェクト・ワーキンググループをつくり、具体的なプロジェクト案の検討を命じた。プロジェクトは教員6人で構成され、昨年11月、計3回の会合をもった。その結果、12月初旬に次のようなアイディアを文書にまとめて、委員会に報告した。①先端科学技術センターを設ける②新産業想像に貢献する産学官連携大学院を設ける③大学院は、統合医療創成科学、複雑系デザイン科学、空間創成情報学、理社融合分野、などを視野に入れた文理工医連合型とする、などの内容。

ワーキンググループ案も、いぜん雲をつかむような話にとどまってしまった。その理由について、ワーキンググループ報告書はその末尾で次のように書いた。「ここでまとめられたものは、提案されたものを並列的に整理したものであり、いずれもWGの総意に基づくものでないことを明言しておく。なぜならば、今回のWG発足に関連して、大宮プロジェクト検討委員会でも議論されたが、先端科学技術研究や開発研究センターを考えるうえでのなんらの境界条件なしで考えざるをえなかったためである。今後の作業を進めるためには、大宮プロジェクトに対する本学役員会の基本的な考え方、他大学の本プロジェクトへの参画意向や認識の程度、ならびに設置しようとしている研究科やセンターについての基本的関係と考え方を知ったうえで、検討する必要があると考える。よって、さらに作業を必要とする場合は、上記についての十分な情報、条件等をご提示いただくようお願いする」。これは報告書の締めくくりというより、丸投げに対するWGメンバーの抗議表明と読めた。

この大宮プロジェクト・ワーキンググループ文書は今年1月の部局長会議で披露された。それ以後、WG、委員会、役員会でどのような議論が繰り広げられ、アイディアがどこまで熟成されたか、などについては、詳細な情報がない。近く配布される関連資料がまたれる。

ところで、埼玉大学上層部から伝わってくる話では、埼玉県、さいたま市からは、大宮プロジェクトをやるのかやらないのか、と返事を迫られているが、まだ、国立大学法人への出資者である文部科学省と予備折衝を始めているわけでもなく、プロジェクトの内容に関しても他大学との連携がまだ煮詰まっていない状態なので、確実な資金源の探しようもなく、先行きは非常に厳しい状況のようだ。

こういう状況下で、決断と実行、トップダウンが売り物の執行部が、なぜ、大宮プロジェクトを朦朧体のまま一般教職員の議論に託そうとしているのか。

推測1 風評とは異なり、実はプロジェクトの骨格が固まったので、微調整のために大方の意見を求めようとしている。

推測2 役員会でも大宮プロジェクトでもWGでも明確なアイディアが出なかったので、やむを得ず今度は一般教職員に丸投げしようとしている。

推測3 一般教職員の間で、大宮プロジェクトに対する否定的な意見が広がるのを待って、プロジェクト検討とりやめの理由にしたい。

(花崎泰雄  2005.5.8)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年05月10日 00:39 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/05/post_1109.html

2005年05月06日

埼玉大、裁量労働制が焦点に

埼玉大学の将来を考える会より

裁量労働制が焦点に―2005年度の労使交渉

5月の連休明けを目標に埼玉大学の各部局で過半数代表の改選作業が進んでいる。今回選出される代表は、2006年度の就業規則に盛り込まれるさまざまな労働条件に関して、使用者側と話し合うことになる。なかでも教員に対する裁量労働制の適用の可否に関する議論が、非常勤職員の処遇をめぐる問題とともに、交渉の焦点として浮上してくることになろう。

教員に対する裁量労働制の適用は、2004年4月の法人発足に先駆けて、前執行部と過半数代表の間で議論された。そのときの過半数代表は①民間会社では裁量労働制は時間外賃金減らし・労働強化の一環として導入する例がめだつ②以前は裁量労働制適用外職種であった大学教員に法人化と時を同じくして適用されることになったいきさつが明確でない③裁量労働制の適用の条件である「研究時間が総職務時間の50パーセント超」に該当する教員が埼玉大学にどのくらいいるのか不明である。まず、教員の労働時間調査を行う必要がある――などの理由で、大学執行部の提案を拒否していた。

2005年度就業規則をめぐる交渉を終えるにあたって、過半数代表と埼玉大学学長の間で、「教員の裁量労働制の導入の可否については、今後速やかに検討を行う」という確認書が2005年3月28日付で取り交わされた。大学執行部は引き続き裁量労働制導入に執着しているようである。いずれ新しい過半数代表に提案することになろう(参考)。

一般的な大学教員がはたして総労働時間の半分以上を研究に使っているだろうか。筆者の周囲を見渡したところ、半分以上は教育関連業務に費やしているように見受けられる。ざっとした感触では以下のような計算になる。1回の授業時間は1時間30分だが、①ハンドアウト作りなど直前の準備に30分②授業後の残務整理に1時間③資料収集、関連文献閲覧、授業の詳しい進行計画など1回の授業の事前準備に2時間、と1回の授業に必要な時間は合計5時間となる。週4コマの授業をもつと20時間。これに加え、毎週のオフィスアワーのための待機が最低2時間、会議が平均2時間、学部、院生の論文指導などが4時間で8時間。毎週合計28時間が授業関連にあてられる。そうした週が年間30週あるから計840時間となる。また、授業が行われない年間20余週についていえば、中間・期末試験のレポート採点、成績結果作成に最低半期1週間を費やすから年間で2週間、80時間。新学期前にシラバスと半期分のおおまかな授業計画作成に1科目15時間かかるので4科目で半期60時間、年間120時間。これだけで200時間となる。あわせると年間の研究以外の労働時間は、840+200=1040時間となる。文部科学省の調査でも、大学教員の総職務時間中の研究時間の割合は46.5%で、50パーセント未満だった(参照)。

大学法人化は「こんなに国立大学はいるのか」という小泉首相の指示で加速した(参照)。国立大学がつぶれたら、国の責任を問う前にまずは法人の長の責任、という法人法をつくった。あとは運営交付金査定のさじ加減で地方弱小国立大学を整理できる、という態勢ができあがった。したがって大学法人執行部はあちこちで効率化、競争、節約などを魔よけのように痙攣的に唱えている。そういう油断ならない状況下での裁量労働制導入交渉になる。あたらしい過半数代表の英知と活躍に期待がかかっている。
(花崎泰雄  2005.5.4)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年05月06日 00:10 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/05/post_1083.html

2005年04月11日

埼玉大田隅学長12.3見解、労組の反論を高く評価したい

conbrio 高木英至の個人的意見サイト
 ∟●4.6 組合回答を高く評価したい(April 08, 2005)

4.6 組合回答を高く評価したい

 久しぶりに埼大ウォッチサイトを眺めたら、4月6日付けで、組合の林委員長名で学長回答に対する反論文書が出ていることを知った。この反論文書の内容、およびこの文書を出したこと自体を高く評価したい。
 …(中略)…
 私見に過ぎないが、私はなおも法律論自体は二義的な重要性しかないと思っている。法律論を戦うことそのものが本質ではない。真に重要なのは、いま、「学長の資質、資格」とは何かについてコンセンサスを形成しようとしていることである。だからいろんな視点からの議論があってよい。今回の法律論議も、この大きな流れの中で理解したい。

最近の記事
総括第2感想
学長回答をどう見るか?:後書きについて
学長回答をどう見るか?:プロジェクト取り消し
学長回答をどう見るか?:語学教育センター
学長回答をどう見るか?:権限の運用
学長回答をどう見るか?:学長権限
教養学部質問状:私ならこう答えた
総括第1感想

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月11日 00:12 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/04/123.html

2005年04月08日

埼玉大学教職員組合、学長回答に対する組合の回答

2005年4月6日

埼玉大学学長
田隅 三生 殿
埼玉大学教職員組合
執行委員長 林 量俶

2005年3月2日付にて、「『見解』に述べられている国立大学法人法における学長の位置づけ、権限に誤りがあると、組合が言うのならば、組合はその証拠となる文書類(組合が作成したものではない)を提出されたい。」という文書をいただきました。取りあえず、『法令用語辞典』の関係箇所を摘示し、われわれが誤りと考える点を指摘させていただきます。

Ⅰ.学長が用いている論理とキーワード

1.国立大学法人法第11 条では、『学長は学校教育法第58 条第3 項*1)に規定する職務を行うとともに、国立大学法人を代表し、その業務を総理する』とされている。
  *1)学校教育法第58 条第3 項:「学長は、校務をつかさどり、所属職員を統督する。」

2.国立大学法人を代表する権限を持っているのは学長のみである

3.国立大学法人に設置された機関、すなわち、役員会、経営協議会、教育研究評議会は全て審議機関であり、意思決定を行う権限を有していない。

4.法人としての国立大学の意思決定は最終的に学長に委ねられている。

5.学長は、教育研究評議会での教員評議員の意見に拘束されずに、その国立大学の教育研究に関する方針を決定する権限を有している。
〔以上、2004年12月3日付「学長権限とその行使に関する見解」〕
6.法人法において、経営協議会及び教育研究協議会は、「…を審議する機関」とされており(法人法第20条第1項及び第21条第1項)、これらの機関を、上記の文章*2)のとおり、審議機関と位置付けることに問題はないと考える。
  *2)(独)国立大学財務・経営センター編『国立大学法人経営ハンドブック』
「教育研究に関する『教育研究評議会』と、経営に関する『経営協議会』の2つの審議機関(『決定機関』ではない)を新たに設け、これらの審議機関の意見を勘案しながら、学長と理事で構成される『役員会』が重要事項を議決し、最終的には学長の権限と責任において意思決定を行うことを制度上明確にしている。」

7.役員会の「議決」と「意思決定」とを区別していることに留意していただきたい。

8.法人法第11条第2項では、「学長は、次の事項について決定しようとするときは、学長及び理事で構成する会議(第五号において『役員会』という。)の議を経なければならない。」とされていますが、ここで用いられている「議を経る」という表現は、法的には、議決によって拘束されないと解されることが多いものです(学陽書房刊「法令用語辞典」(第八次改訂版)129ページ)。したがって、役員会が審議機関であると考えても間違いではないと思います。

9.法人としての国立大学の意思決定は、最終的には学長に委ねられている

10.学内諸規則・規程に「議決」などの表現が用いられているとしても、それは「投票、挙手その他の方法により、埼玉大学の意思を最終的に決定すること」を意味するものではなく、「投票、挙手その他の方法により、その会議の意思(または、その会議における意見分布)を明らかにすること」と解されなければなりません。種々の会議での結論を受けて、埼玉大学としての最終意思決定は学長によってなされます。もし、このように解釈しないのならば、これらの学内諸規則・規程は上位規則である法人法に違反していることになり、改正しなければならないことになります。
〔以上、2005年2月10日付「教育学部教授会の質問への回答」〕
〔2005年2月10日付「教養学部教授会の質問への回答」:基本的に同旨〕

Ⅱ.法令用語辞典における関連キーワードの解説
…略…

Ⅲ.以上を踏まえた、通則法・国立大学法人法・学内諸規程等に関する我々の理解と見解

 以上の法令用語理解に立ったとき、以下に詳述するように、学長のⅠ-3,4,5,6,7,8,9,10の見解は、誤った主張である、と思量いたします。


1.国立大学法人法(以下、法人法)第11条第1項に規定されているとおり、法人の機関〔埼玉大学学長〕が行為をしたときに、法律上、法人〔国立大学法人埼玉大学〕がこれをしたのと同じ効果を生ずる場合に、法人を「代表する」という意味(Ⅱ-1)において、埼玉大学学長は国立大学法人埼玉大学を「代表」します。
しかし、埼玉大学学長が埼玉大学を「代表」するということをもって、「法人としての国立大学の
意思決定は最終的に学長に委ねられている」(Ⅰ-4)ということはできません。
なぜなら、Ⅱ-1に述べられているように、都道府県知事は当該都道府県を「代表」します。しか
し、条例制定権・予算承認権等は都道府県議会が有します。また、都道府県の行政委員会である教育委員会・人事委員会等は議決機関として委員会規則制定権を始め、所定の事項に関する審議・決定権を有しています。知事は当該都道府県を「代表」しますが、当該都道府県の機関である議会や行政委員会の議決に優越する「最終的意思決定権」を有している訳ではありません。
埼玉大学を「代表」するということをもって、埼玉大学という機関のすべてに関する「意思決定は
最終的に代表(学長)に委ねられている」とするのは誤りであると思量いたします。

2.法人法第11条第1項に規定されているとおり、学長は埼玉大学の業務を「総理」します。
しかし、「総理」の意味内容はⅡ-2に述べられてところであり、そこに指摘されているように、
機関の長だけでなく「部局の長等」も「合議体の機関の長(審議会の会長、委員長、議長等)」も業務を「総理」するのです。
つまり、「総理」するということは、その機関の「最高意思決定機関」であることを意味するもの
でも、「専決権」を有していることを意味するものでもありません。
学長が埼玉大学の業務を「総理」するということをもっても、国立大学法人埼玉大学のすべてに関
する「意思決定は最終的に学長に委ねられている」とすることは誤りであると思量いたします。

3.学長は、(a)「審議機関」/「決定機関」、「議決」/「意思決定」を区別すべきである、(b)「役員会」・「経営協議会」・「研究評議会」は「審議機関」であり、それらの行う「議決」は「その会議の意思(または、その会議における意見分布)を明らかにすること」に止まる、(c)「決定機関」として「意思決定」を行うのは学長である、とされています。(Ⅰ-3,4,5,6,7,8,9,10)

(1)まず第一に、「議決」の理解に誤りがあると思量いたします。「議決」とは「合議体」〔「複数…の人
員をもって組織し…その意思を決定する組織体」(Ⅱ-4)〕の「意思決定」(Ⅱ-3-①)であり、「合議体の機関において多数人の合議によりある事項を決定すること」(Ⅱ-3-②)です。
 つまり、学長にいうように「議決」と「意思決定」は別のものではなく、「議決」=合議体」の「意思決定」なのです。
 そして、「合議体」の「意思決定」である「議決」の拘束力〔「執行機関」(Ⅱ-6,7)である学長の業務執行に対する拘束力〕は、(a)その合議体が「議決機関」であるか「諮問機関」であるか、また、(b)「議により」、「議に基(づ)き」、「議を経て」、「議に附し」等の定められ方、等によって異なるとされます。(Ⅱ-5,8,10,11)

(2)それらのうち、「議により」とされる「議決」を行う合議体は「議決機関」ということになり、「そ
の議決は執行機関を拘束する」(Ⅱ-5-①)、「その意見を求められた機関の議決は、その意見を求めた機関を拘束する」(Ⅱ-10-②、Ⅱ-11-②)とされます。

(3)学長は、「ここで用いられている「議を経る」という表現は、法的には、議決によって拘束されない
と解されることが多いものです(学陽書房刊「法令用語辞典」(第八次改訂版)129ページ)。したがって、役員会が審議機関であると考えても間違いではないと思います」とされています。
 これは、前後の文脈から切り離した恣意的かつ誤った読み取りであると思量いたします。
 Ⅱ-10-②に当該項目の全文を抜き出しましたが、その中に解説されている以下の点が全く顧慮されておりません。
①「法令上、ある機関がある行為をする手続要件として、あらかじめ、一定の他の合議体の機関の審
議に付すべきものとされている場合が少なくない。」
②「議に附し」、「議を経て」、「議に基づき」、「議により」の「いずれも、行政機関等の専断を避け、
手続の慎重を期すための規定である。」
③その議決が、議を求めた行政機関等に及ぼす拘束力については、上記の用法の別に従って若干の差
異が認められる(拘束力に「若干の差異」があるのであり、「拘束力がない」等とは言っていない)。
④大体において、「議により」の場合はその議決に拘束され、その他の場合は、ニュアンスの差こそあ
れ、「諮って」というのと同様に、【法的には、議決に拘束されないと解することができよう】が、常にこのように解するのが適当であるとは限らず、その議決の拘束力は、結局それぞれの法令の規定の趣旨によって個々に判定すべきものと思われる。この場合、その法令の趣旨が、適正な手続によって、処分を受けるべき国民の権利を保障するためのものであるとき、又は執行機関と議決機関との関係において議決機関の議決を経ることを要するものであるときは、その議決に拘束され、単に諮問的性格において、議を経る場合は拘束力が弱いとみるべきであろう。」

 何と、上記【法的には、議決に拘束されないと解することができよう】の部分だけが文脈を無視して切り取られ、それに続く「が、常にこのように解するのが適当であるとは限らず、その議決の拘束力は、結局それぞれの法令の規定の趣旨によって個々に判定すべき」という重要部分は恣意的に削り取られ、かつ、上記の①②③および④の残りの部分の趣旨は全くくみ取られていません。
 そのような恣意的引用を、ほぼ唯一の"根拠"にして、「したがって、役員会が審議機関であると考えても間違いではない」⇒法人としての国立大学の意思決定は、最終的には学長に委ねられていると、論理展開されているのです。
 これは正に、牽強付会・恣意的な根拠づけと論理展開である、と思量いたします。
 この辞典からも、「その議決が、議を求めた行政機関等に及ぼす拘束力については、上記の用法の別に従って若干の差異が認められる」、すなわち、「若干の差異」はあるが"拘束力はある"(上記③)、「その議決の拘束力は、結局それぞれの法令の規定の趣旨によって個々に判定すべき」(上記④)、と読み取り論理展開することが至当であると思量いたします。

 さらに、出典①は、「議を求めた機関がその審議の結果に法的に拘束されるのか、単に諮問的性格を有するにすぎないのかは、その法令の趣旨によって個々に解釈するほかはない」としつつ、「議に付す」→「議に基づき」→「議を経て」→「議により」等の法令上の定めをおく場合、「一般的には、その拘束力は前記の順序で強くなる」としているのです。(Ⅱ-10-①)

(4)われわれは、以上の〈一般法〉解釈の次元においても、学内「合議機関」の「意思決定」である「議
決」は、"それぞれの規則・規程の趣旨によってその拘束力の強弱に差異はある"が、「行政機関等の専断を避け、手続の慎重を期すため」に、"それぞれに見合った拘束力が認められなければならない"、という論理が導き出されるのが至当と思量いたします。

(5)さらに、憲法上に明文規定されている「学問の自由」が実現するための重要なよう制度的保障とし
ての「大学の専門的自治(professional autonomy)」という〈特殊法〉解釈の次元においては、学問研究を死滅させぬため、〈一般法〉次元に増して、"専断を避け、手続きの慎重を期す"ことが強く求められる、と思量いたします。

4.学内諸規則・規程と照らし合わせて
(1)「学長選考会議」は、学長候補者の選考及び学長の解任について「審議」し(埼玉大学学則第21条、
学長選考会議規則第3条)、「議決」すると規定されています(選考会議規則第4条第4項)。
 そして、「学長の任命は、法人の申出に基づいて、文部科学大臣が行う」(役員規則第4条)、「学長の解任は、学長選考会議の申し出により文部科学大臣が行う」となっています。
 学長の論理に則れば、"学長選考会議も「審議」し「議決」すると規定されている「審議機関」であり「決定機関」ではない"、それゆえ、"埼玉大学としての意思決定は最終的に学長に委ねられている"ということになりますが、まさかそのようなことは言われますまい。
〔ここにおいて、学長の見解の論理破綻は明らかである、と思量いたします。〕
 学長選考会議は、学長候補者の選考および解任に関して、「議により」という文言は使われていませんが、文部科学大臣への申請を拘束する「議決機関」と解するのが至当と思量いたします。

(2)「役員会」も、本学・役員会規則第3条に規定されている事項を「審議」し「議決」する機関とさ
れ、「学長が次に掲げる事項について決定しようとするときは、役員会の議を経なければならない」とされています(同規則第3,4条)。元規定となっている国立大学法人法第11条も「学長は、次の事項について決定をしようとするときは、学長及び理事で構成する会議(第五号において「役員会」という。)の議を経なければならない」と規定しています。
 Ⅲ-3-(3)末尾に述べたように、一般的に、「議を経る」は、執行機関を完全に拘束する「議により」に次いで強い拘束力を持つと解されているのです。

(3)「経営協議会」「教育研究評議会」「教授会」(経営協議会規則第4,5条、教育研究評議会規則第4,5
条、教授会規則第3,4条)も、いずれも、「審議」すべき事項と「議決」を行う要件が定められている「合議体」です。
 しかも、その中には、「教員人事に関する事項」「教員の解雇、降任及び懲戒に関する事項」(教育研究評議会の審議・議決事項)、「学生の入学、卒業その他その在籍に関する事項及び学位の授与に関する事項」「学部長並びに教員の選考に関する事項」(教授会の審議・議決事項)等が含まれているのです。
 これらに関し、教授会・教育研究評議会の議を経ず、あるいは、それらの議に反する"最終意思決定"を学長が行い、大学を代表して執行したならば、〈手続き上の瑕疵〉が問われることは、火を見るよりも明らかでしょう。

 以上の根拠および見解をもって、埼玉大学職員組合は2005年3月2日付文書による学長からの要請にお答えするとともに、2004年12月3日付「法人化後の学長権限とその行使に関する見解」の撤回を改めて求めるものです。
 もし、我々が誠実応答いたしました上述の根拠・理解・見解に対し疑義・異議・反論等がおありでしたら、--あのような「学長見解」を全学に公にされ、また冒頭に記した3月2日付文書を当組合に対して寄せられましたからには--「公的」な団体交渉・話し合いの場において、しっかりとした根拠〔学長が引用している『ハンドブック』の編者・国立大学財務・経営センターは、法解釈に関しては、何ら学問的権威も行政権限も有しておりません〕をお示しの上、誠実にご応答いただけるものと考えます。
以上。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月08日 00:16 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/04/post_918.html

2005年03月24日

埼玉大学教職員組合、学長見解撤回要求書

埼玉大学教職員組合
 ∟●学長見解撤回要求書(2005年1月24日)2005/3/16掲載
 ∟●学長回答(2005年3月2日)2005/3/16掲載

2005年1月24日
国立大学法人埼玉大学
 学長 田隅 三生殿
 教育研究評議会御中
埼玉大学教職員組合
執行委員長 本城 昇

学長権限に関する学長見解の撤回を求めます!!

 田隅学長は、200年12月3日、学長権限に関する見解を明らかにしました。しかし、大学構成員の間でこの見解に対して強い批判が巻き起こっています。この学長見解は、これまで生じた大学運営に関する問題を正当化し、埼玉大学の大学運営のルールを無視するものです。組合としては、この学長見解は次の問題があり、断固として認められません。田隅学長が同見解を直ちに撤回することを求めます。また、教育研究評議会は、このような学長の暴走を許してはならず、「国立大学法人埼玉大学教育研究評議会規則」を厳しく運用し、埼玉大学の教育研究に関する最重要機関としての役割を完遂していただくよう要求いたします。

1 学問の自由と大学の自治を無視するものであること
 学長見解は、「法人としての国立大学の意思決定は最終的に学長に委ねられている」とし、「学長は、教育研究評議会での教員評議員の意見に拘束されずに、その国立大学の教育研究に関する方針を決定する権限を有している」としている。これは、学長が大学の機関や大学構成員の意思に拘束されずに教育研究活動を含む大学運営について意思決定できる権限を持っているとするものといえる。このような意思決定権限が唯一学長に集中しているとする解釈は、学問の自由や大学の自治とどのように両立可能というのであろうか。こうした解釈では、自由闊達な教育研究活動が展開される基盤自体を損なわないという保障は確保されない。 学長見解は、学長が独裁的に全てを決めてよいということを意味しないとしているが、そう言うのであれば、それが制度的にどう保障されるのか説明すべきである。単に教育評議員の意見を考慮するという程度では、恩寵として少しは聞いてやるというのであり、権限としては独裁できると言っていることと同じようなものである。
 憲法で保障された学問の自由と密接に関係する大学の自治の重大性に鑑み、国立大学法人法第3条は、「この法律の運用に当たっては、国立大学……における教育研究の特性に常に配慮しなければならない」としている。同法の国会答弁において、文部科学大臣も、「大学における自主性の中で最も大事なのはその教育研究の自由、教授が持つ自由であろうと思います。当然ながら、それは新たな法人化いたしましても、正にそれがより自律的に自主的に行われるようになるということでございます」(2003年5月29日参議院文教科学委員会)と答弁している。しかし、教育研究活動を含む大学運営についての意思決定権限が唯一学長にあるとする上記解釈では、大学における教育研究の自由、大学構成員を基盤とする大学の自治は制度的に保障されず、そうした自由や自治は実体を失ってしまうのである。
 国立大学法人法成立時の国会附帯決議という形で、国会も、「国立大学の法人化に当たっては、憲法で保障されている学問の自由や大学の自治の理念を踏まえ、国立大学の教育研究の特性に十分配慮するとともに、その活性化が図られるよう、自主的・自律的な運営を確保すること」を求めている。学長見解は、学問の自由、大学の自治の重要性を全く認識していないのであり、学問の自由と大学の自由と対立するものであって、撤回されなければならない。

2 大学運営ルールを無視するものであること
 組合は、昨年12月10日、田隅学長に対して大学運営の正常化を求める要求書を提出した。しかし、その要求に応えようとしていない。それどころか、学長見解により、これまでの不正常な大学運営を正当化し、その姿勢を改めようとしていない。

(1)国立法人法についての問題のある理解
 学長見解は、「国立大学法人に設置された機関、すなわち、役員会、経営協議会、教育研究評議会は全て審議機関であり、意思決定を行う権限を有していない」とし、それら審議機関で審議されたとしても、その審議にかかわらず、学長が教育研究活動を含む大学運営にして意思決定できると主張していると見られる。
 しかし、役員会の審議・議決や教育研究評議会の審議について、国立大学法人法の国会答弁を見ても、そのような学長の暴走を許すような軽々しいものとしてとらえられていない。文部科学副大臣は、「学長が独断専行になった場合、暴君だと、こういうような場合、学長が意思決定を行うに当たっては、経営協議会あるいは教育研究評議会、これが審議や役員会の議決を踏まえる必要があるなど、一定のチェックの仕組みはあるわけでございます」(2003年5月29日参議院文教科学委員会)と答弁している。
 明らかに、役員会や教育研究評議会は、国立大学法人法上、学長の独断専行や暴走をチェックする仕組みであるととらえられている。前記学長見解のように、「学長は、教育研究評議会での教員評議員の意見に拘束されずに、その国立大学の教育研究に関する方針を決定する権限を有している」という乱暴な解釈をとると、学長の独断専行や暴走を制度的にチェックすることがなくなるのである。「教育研究評議会での教員評議員の意見に拘束されず」と断言するような乱暴な解釈は許されない。

(2)埼玉大学諸規則の無視
 組合は、前記要求書において、国立大学法人法第11条第1項は、「学長は、学校教育法第58条第3項に規定する職務(校務を掌り、所属職員を統督する)を行うとともに、国立大学法人を代表し、その業務を総理する」としているが、これは学長の所掌業務の範囲を定めたものであり、具体的な権限行使を定めた規定ではなく、この規定をもって、学長に何でもできる権限が与えられていると解釈するのは問題があると指摘した。
 埼玉大学は、国立法人法の施行に合わせて、適正な手続を経て、国立大学法人法を踏まえた埼玉大学としての大学運営の諸規則を定めたのである。これら諸規則は、国立大学法人法を根拠法規として引用していることからも明らかなように、同法上適法なものであることを当然の前提としている。学長がこうした諸規則を根拠のないものとして無視することは許されないのであり、組合は、学長がこれら諸規則を厳守することを前記要求書において要求している。 ところが、学長は、学長見解で、これら諸規則を厳守するとは一言も言わないのみならず、これら諸規則を無視してもよいと受け取られても仕方がないようなことを述べている。学長見解は、前記の「学長は、教育研究評議会での教員評議員の意見に拘束されずに、その国立大学の教育研究に関する方針を決定する権限を有している」としているが、この点からすれば、一体、国立大学法人埼玉大学教育研究評議会規則第5条で「教育研究評議会の議事は、出席評議員の過半数で決し」と定めていることはどのような意味を持つというのであろうか。この規定は、法人化前の埼玉大学評議員会規程の規定と同じ文言を用いており、その点だけからしても、教育研究評議会の決定は大変重大な決定であることが分かる。そのような決定について、「拘束されず」と軽々しく言えるものではない。憲法で保障されている学問の自由、それと密接な関係にある大学の自治、また、それを踏まえた国立大学法人法第3条などからして、このような乱暴な見解は問題である。
 また、学長見解は、「本学の利益になりこそすれ、本学構成員に特段の不利益を巻き起こすことはないと考えられるものについては、いちいち教育研究評議会に諮らずに、学長決裁ですすめることにしている」とし、「放置すれば本学にとって有害となる事態が起きるので、それについて何らかの緊急処置を行うことが必要不可欠と私が判断した場合には、学長権限で処置することがある」とする。しかし、国立大学法人埼玉大学教育研究評議会規則は、大学構成員に特段の不利益を起こすことはない場合や緊急事態であっても、その審議を免除するとは定めていない。同規則第3条は、「次に掲げる事項について審議する」とし、教育研究に係る重要な規則の制定又は改廃に関する事項」、「教員人事に関する事項」、「その他大学の教育研究に関する重要事項」といった教育研究に関する事項を審議事項として掲げているのであり、大学構成員に特段の不利益を起こすことはない場合や緊急事態であれば、そうした審議事項に該当しても審議を免除するとは定めていないのである。こうした規則を無視した見解は許されない。
 学長見解は、埼玉大学諸規則の法的効力を否定するかのような論理を展開しており、これら諸規則を無視することがあるのであれば、他の法令を根拠とする規則すら一体どうなるのかということになる。実際、労働基準法に基づく就業規則とそれと一体の諸規程もどうなるのであろうか。この規程として、例えば、「埼玉大学教員の採用・懲戒等に関する規程」があるが、この規程第3条は、「大学教員の採用…の選考は、教育研究評議会の議に基づき学長が定める基準により、教授会等が行う」としており、教員の採用の選考については、教育研究評議会が基準を決め、教授会がそれにより行うことになっている。この規程第3条は、教育研究協議会や教授会の権限について規定しているが、この権限についても学長は前記のとおり「拘束されず」として無視できるというのであろうか。組合は、前記要求書において、現在、教授会は、学長の了承がないと教員採用の募集(つまり選考行為)ができない状況があることを指摘している。

(3)21世紀総合研究機構の短期プロジェクトの取消し
 学長は、上記緊急事態の例として、21世紀総合研究機構短期プロジェクトの取消しを挙げている。しかし、この取消しは、不正常なものといわざるを得ない。組合が前記要求書でも指摘しているとおり、当然求められるべき適正な手続も経ない一方的なとり潰しといえる。学長は、いかなる理由で「緊急処置」が必要不可欠と判断し、教育研究評議会や21世紀総合研究機構の審議もなしに取消すことができると考えたのか明らかにすべきである。
 ある名誉教授については、このプロジェクト取消しのみならず、大学当局は、「科学研究費補助金の申請資格の申合せ」を極めて短時間で作成し、当該名誉教授に対して申請有資格者の研究者番号を付与しないという措置をとった。また、大学当局は、当該名誉教授の名誉教授称号の剥脱を可能とするよう、無理矢理に「埼玉大学名誉教授称号授与規則」を改正しようとした。こうした行為は、異様な行為と言わざるを得ない。

 組合は、前述のとおり、昨年12月10日に田隅学長及び教育研究評議会に対して大学運営の要求書を提出しました。その中で、組合は、「この大学の運営については、学内で諸規則が定められているのであり、まず、この諸規則を学長や役員会は遵守する義務を負います。この諸規則を遵守しなければ、学長あるいは役員自身がこの大学を運営する資質・能力に欠く者として解任の対象となります」と指摘しました。ところが、学長見解は、以上述べたとおり、これまで生じた大学運営に関する問題を正当化し、埼玉大学の大学運営のルールを無視するものです。組合は、田隅学長が学長見解を直ちに撤回し、また、教育研究評議会が学長の暴走を許さないようしかるべき対応を図っていただくことを要求します。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月24日 00:59 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/03/post_823.html

2005年03月22日

埼玉大、津田理事を異例の更迭へ

埼玉大学の将来を考える会
 ∟●津田理事を異例の更迭へ(2005/03/21)

津田理事を異例の更迭へ
震源は前事務局長の急逝

 埼玉大学の田隅三生学長は、4月からの法人体制2年目を迎えるにあたって、総務・財務担当の津田俊信理事を更迭し、大学運営に詳しい62歳の人物を理事として迎え入れることを決めた。津田氏は前教育学部長で2004年4月1日に理事に就任したばかりであり、2年間と決められている任期半ばの異例の更迭となる。……


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月22日 01:48 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/03/post_806.html

2005年03月17日

先細り時代 埼玉大学をどうするか 将来計画の要件を考える

埼玉大学の将来を考える会
 ∟●先細り時代 埼玉大学をどうするか 将来計画の要件を考える

教養学部のメーリングリストErgodicに高木英至教授が寄せた、教養学部および大学全体の将来展望についての意見をウォッチに転載しました。少子化と、日本政府の高等教育に対するさらなる財政支出抑制、くわえて企業アナロジーによる大学運営手法の導入などの下で、戦後まもなく旧制浦和高校と埼玉師範を核に生まれた新制大学・埼玉大学は、その歴史的役割を終えようとしているかのような不吉な予感が漂い始めています。その予感を最も強烈に感じているのが20人を超える減員を言い渡された教養学部でしょう。一方で、教養学部、あるいは大学全体の生き残りのグランドデザインについて、全学的な議論の輪が広がっていないもどかしさがあります。学内の議論活性化へむけて投じる一石として、高木教授に論説の転載許可を求め、快諾を得ました。
(編集部  2005/03/15)

先細り時代 埼玉大学をどうするか 将来計画の要件を考える

高木英至

 先日は教養学部が学長回答をめぐって「総括」を出しました。この学長見解/回答の問題も、終わった訳ではなく、今後いくつかの展開があるかも知れません。その件を別にしても、年度を越せば全学レヴェルでいろんな問題が続くだろうと思います。
 全学レヴェルと同様に、学部レヴェルでもいろんな課題を抱え込んでいるのが教養学部の現状と思います。
 重要な問題の1つは学部将来計画の件です。拡大将来計画委員会というのができて、現在、計画案を審議しているのだろうと思います。どのような手順と方針で審議を進めているのかは、気になるところです。その案の評価は出てきたときにすればよい。ここでは、「学部将来計画が充たすべき要件」に関する私見を、一介の傘はり浪人である身分を省みず、述べてみようと考えました。
 以下、思いついたところで書いてみます。……

後略,続きは上記URLを参照して下さい。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月17日 00:00 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/03/post_783.html

2005年03月12日

埼玉大学、法人化後の大学運営

埼玉大学ウォッチ
 ∟●法人化後の大学運営

緊急集会開催へ
 非常勤講師枠の大幅削減や旧教養部教官ポストの召し上げ、教員の採用人事への学長の口出し、生協への施設使用料の要求、名誉教授規程の変更を過去へ遡及して適用させようとする等、これまででは考えられなかったような「おかしな変革案」が、大学側から堂々と主張されています。しかも、「学長権限」の名のもと、一方的に上から押さえつけるような形で、独裁的に変革が進められようとしており、当事者である私たち大学構成員は、「蚊帳の外」におかれています。 その一方、法人化の荒波に立ち向かうための、大学全体での将来構想やビジョン作りは全くと言っていいほど進んでいません。他大学に対して大いに遅れを取ってしまっています。

どうなってるの? 埼玉大学
 どうなってるの?埼玉大学――2004年11月25日の緊急集会では次のような問題についての議論がかわされた。

労組の正常化要求書
 11月の緊急集会のあと、12月3日付の田隅学長見解が、埼玉大学サイトの学内限定ページに掲載された。それを受けて、11月緊急集会ででた意見を集約した労組委員長が「大学運営の正常化を求める要求書を、学長と教育研究評議会に送った。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月12日 00:56 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/03/post_755.html

2005年03月07日

埼玉大学教養学部教授会、学長回答うけ総括文書

埼玉大学の将来を考える会
「Academia e-Network Project RSS集[44465]より」(3月4日付記事 どうなってるの?埼玉大学)経由

教養学部、学長回答うけ総括文書

 教養学部教授会は2005年3月2日の教授会で、同教授会の質問書に対する田隅学長の回答書の内容について討議し、その結論をA4版4ページの「学長見解への質問とその回答に関する総括」にまとめた。翌3日の教授会で内容を再確認した。総括文書は同教授会報告として教育研究評議会へ送られる。

 総括文書の内容は次のとおり。
 また、総括文書の執筆を担当した高木教授の感想はconbrioで読むことができる。

田隅学長から回答書
学長回答を読んで

7日に「どうなってるの! 埼玉大学!?」討論集会


[同サイト別ページ]
学長解任決議 高いハードル 埼玉大学「3分の2」「4分の3」の壁 他大学では過半数の例も(05/02/27)

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月07日 00:24 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/03/post_720.html