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2005年04月25日

弘前学院大学不当解雇事件、学校法人 なんと最高裁へ上告

 弘前学院大学解雇事件において、1審・2審で不当解雇が認められた教員のもとに、仙台高裁秋田支部(原裁判所)より4月20日付で「上告提起通知書(上告提起事件番号・平成17年(ネオ)第6号)」および「上告受理申立て通知書」(上告受理申立て事件番号・平成17年(ネ受)第6号)」の2通の通知書とともに、学校法人側の最高裁宛の文書の副本が届いた。
 この事件、紛れもなく不当解雇であり,また弘前学院大当局側は今回最高裁に上告および上告受理申立をしたが,いずれも最高裁が取り上げる事案ではないことは明らかであると考える。下記に,上告状兼上告受理申立書を掲載する。

これまでの経過については,次を参照のこと。
2004年10月まで
2004年11月から本日まで

上告状兼上告受理申立書


平成17年4月 日(原文ママ)
最高裁判所 御中
上告人兼上告受理申立人訴訟代理人
弁護士 俵 正市
(担当)弁護士 小川洋一

当事者の表示  別紙のとおり
 
地位確認等請求上告・上告受理申立事件
 訴訟物の価額  金  1064万8535円
 貼用印紙の額  金    10万6000円
 
 上記当事者間の仙台高等裁判所秋田支部平成16年(ネ)第28号地位確認等請求控訴事件(1審:青森地方裁判所弘前支部平成14年(ワ)第9号地位確認等請求事件)について、平成17年3月30日言渡された判決は、全部不服であるから上告及び上告受理申立てをする。
 
控訴審判決主文の表示

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
上告・上告受理申立の趣旨

1 上告を受理する。
2 原判決中上告人敗訴部分を破棄し、さらに相等の裁判を求める。
上告・上告受理申立の理由

 詳細は追って、各理由書を提出する。
添付書類

1 訴訟委任状     2通
2 全部事項証明    1通
当事者目録(省略)

裁判用語
上告
 民事訴訟法においては、控訴審の終局判決に対し、最高裁判所に原判決の憲法解釈の誤りや憲法違反がある場合に申し立てる上訴をいう(民訴第2編2章)。控訴審の終局判決に対して行なわれるのが原則であるが、例外として高等裁判所が一審として行なった判決(特許178条、独禁86条参照)、および跳躍上告の場合の一審判決に対しても行なうことができる(民訴311条1・2項)。
 原判決の当否を法律問題についてのみ審査する上訴であるから(法律審)、上告理由は原判決の憲法違反等に限られ(民訴312条)、審理は当事者の上告理由に基づく不服申立ての範囲に限定される(同402、例外同405条)。また書面審理が広く認められる(同401条)。
上告受理申立
 民事訴訟で、原判決に不服のある当事者(原告・被告)が、原判決に判例違反等の法令違反があることを理由に、最高裁判所に対して、上告審として事件を受理するように求める申立てをいう(民訴381条)。1996年の民事訴訟法の改正により、最高裁判所に対して行なわれる上告は、その理由が原判決の憲法解釈の誤りや憲法違反があることのほか、「法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与した場合」「判決に理由を付せず、又は理由に食い違いがあるとき」などの重大な手続違反の場合に許され、原判決の法令違反は上告理由にならなくなった(同法312条)。その代わり、最高裁判所の判例解釈の統一の機能を重視する観点から、原判決に最高裁判所等の判例と相反する判断がある事件、その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、上告受理申立て制度が認められたのである。この場合、最高裁判所が上告審として事件を受理する決定をしたときに上告があったものとみなされる。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月25日 00:07 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年04月05日

弘前学院大学解雇事件控訴審判決(3月30日仙台高裁)、不当解雇された教員の勝訴

平成17年3月30日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 川合純一
平成16年(ネ)第28号 地位確認等請求控訴事件
(原審・青森地方裁判所弘前支部平成14年(ワ)第9号)
口頭弁論終結日・平成17年2月25日

判   決

青森県弘前市大字稔町13番地1
 控 訴 人   学校法人弘前学院
 同代表者理事  阿保 邦弘
 同訴訟代理人弁護士  小川 洋
 同  俵 正市

青森県弘前市
 被控訴人  ○○ ○○
 同訴訟代理人弁護士 横山 慶

主   文

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月05日 00:01 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年02月28日

弘前学院大不当解雇事件控訴審、2月25日第4回口頭弁論で結審 判決へ

 弘前学院大学解雇事件において、青森地裁弘前支部の判決(2004年3月18日)を不服として控訴していた学校法人側は,2月25日の控訴審(仙台高裁秋田支部)第4回口頭弁論において、元学生を当該教員の教員不適格性の証拠とすべく証人尋問しました。

 証言台に立った元学生は、当該教員について、教員としての適格性に疑義を唱える証言をしましたが、当該教員側は反対尋問をするだけに留め、証言内容に対する異議はあるものの,それを主張しませんでした。
 
 裁判長は今回の高等尋問をもって弁論を終結し、和解勧告の宣言・判決期日の言い渡しを行いました。判決日時は3月30日(水)11時15分です。
 
 この後、和解交渉に入りましたが、学校法人側は本部事務長が出席したきりで、経営上決定権のある理事長その他が姿を見せなかったため、この日の交渉は頓挫することとなりました。以降、和解交渉は期日外で進められます。 
 
 なお、学校法人は、控訴審において、当該教員の教員不適格性とされるものの事例のうちのいくつかについて,地裁判決の判断に不服があるものとするだけで,整理解雇の要件の否定に反する反論や,解雇決定に至るまでの違法性・注意義務違反との判断への反論は最後まで行いませんでした。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年02月28日 00:13 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年12月20日

弘前学院大学不当解雇控訴審、第4回控訴審の日程  学校法人側が一方的に延期

 青森地裁弘前支部において今年3月18日に原告教員勝訴、学校法人側が仙台高裁秋田支部に即日控訴した標記事件について、第4回控訴審の日程が、当初の1月12日から2月25日に1ヶ月以上延期されました。その理由は,控訴人側の証人尋問として予定されていた元学生の「都合が悪い」という事情によるものでした。
 
 学校法人側代理人弁護士は、控訴申立の段階から一貫して、地裁判決において認定されなかった教員の「教員不適格性」とされる事例のいくつかについて異議を唱え、それをもって原告勝訴の判決を不服としています。しかし、地裁判決は原告教員の整理解雇・通常解雇の合理性を否定した上で、解雇決定に至るまでの違法性・注意義務違反との判断をし、解雇権の濫用としたものであり、今さら「教員不適格性」を問題にしても、解雇教員の名誉を毀損するだけで、解雇権濫用の認定が覆ることはないと考えます。
 
 9月20日,控訴代理人から裁判所に対して「証拠申請書」が提出され,元学生の証人尋問を求めてから半年近く話を進めないのは、元学生の証言が裁判に影響するからというよりも、元学生を使って、裁判の引き延ばしを謀っていると考える方が合理的でしょう。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年12月20日 00:08 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年11月26日

弘前学院大学不当解雇事件、第3回控訴審の結果報告 次回控訴審で学校法人側が元学生を証言台に!

 青森地裁弘前支部において今年3月18日に原告教員勝訴、学校法人側が仙台高裁秋田支部に即日控訴した標記事件について、第3回控訴審が11月22日に行なわれた。

 今回の控訴審では、10月20日付で学校法人が高裁に提出していた「証拠申出書」(元学生を証人として呼び出す申出書)について話し合われ、次回2005年1月12日午後1時半からの審議において、この元学生に対する証人尋問をすることになった。

 学校法人側代理人弁護士は、控訴申立の段階から一貫して、地裁判決において認定されなかった教員の「教員不適格性」とされる事例のいくつかについて異議を唱え、それをもって原告勝訴の判決を不服としている。しかし、地裁判決は原告教員の整理解雇・通常解雇の合理性を否定した上で、解雇決定に至るまでの違法性・注意義務違反との判断をし、解雇権の濫用としたものであり、「教員不適格性」の一部の判断が変わっても、解雇権濫用の認定を覆すものではない。

 元学生を証人として呼び出すことは、そのこと自体がその元学生の人権を大きく侵害する可能性がある。のみならず、控訴人側が解雇権濫用の認定撤回から大きく外れた議論において、元学生を呼び出し、元学生の在学中の事柄について追求するということは、解雇の合理性を明らかにしないままに元学生のプライバシーその他をいたずらに公表してしまう危険性すら孕んでいる。

 学校法人のこれら対応は、本件事件のみならず、卒業生・現学生・これから弘前学院大学に入学しようとする生徒たちに対し、教授会等の学内手続を経ずして経営陣の専断により裁判に引っ張り出すということを明らかにしたも同然である。


(参考)
弘前学院大学不当解雇事件控訴審、学校法人側が元学生を証言台に立たせると申出(2004年11月05日)

Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年11月26日 00:44 | コメント (0) | トラックバック (0)
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