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2005年05月13日

文科省中教審大学分科会 大学の教員組織の在り方に関する検討委員会における「助教」の玩弄について

新首都圏ネット
 ∟●《分析研究》文部科学省中央教育審議会大学分科会大学の教員組織の在り方に関する検討委員会における「助教」の玩弄について(2005年5月10日)

文部科学省中央教育審議会大学分科会大学の教員組織の在り方に関する検討委員会における「助教」の玩弄について

2005年5月10日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

1.検討委員会における審議過程の時系列解析

(1)はじめに
 中央教育審議会大学分科会大学の教員組織の在り方に関する検討委員会(以下、「検討委員会」)は、2003年11月13日に経済産業省別館において第1回の会合を開催して以降計12回の会合を経て、2005年1月31日に「大学の教員組織の在り方について<審議のまとめ>」(以下、「まとめ」、[1]、以下、引用する文書の出典URLは文章末尾に順に番号を付して列記する。)を公表した。「まとめ」は、学校教育法上の職名と職務内容の改定に言及し、助教授の呼称を准教授と改定するとともに、学校教育法上「教授及び助教授の職務を助ける」存在である助手の主たる職務が教育研究か教育研究の補助等か曖昧な職であったとして、自ら教育研究を行うことを主たる職務とする「助教」と名づけられた新しい職を置き、教育研究の補助を主たる職務とする「助手」と分けるものと述べている。
 この「まとめ」に基づいて、第162回国会では学校教育法の一部改正が審議される予定となっている。しかし、「まとめ」に述べられた教員組織制度設計がもつ問題点は、法律案の中に十分かつ陽には現れていないため、この問題点を条文上、見過ごす節がある。なかでも、同法改正案が構想する新たな制度の下における「助手」の職が有する制度的問題は如実であるが、それゆえ同件については本稿では触れるまでもない。むしろ同法改正案において、現行同法が第58条で「助手は、教授及び助教授の職務を助ける。」とする助手の職務規定が削除されたことをもってこれを安直に歓迎する傾向があり、「まとめ」が構想する「助教」の職務内容を精査し、その問題点を明らかにすることが同法改正案の審議に求められる。
 本稿では、「まとめ」が構想する、大学教員総体における「助教」の制限された地位の問題を、検討委員会の審議経過を追尾しながら明らかにすることを目指すものである。予め結論を述べるならば、検討委員会の審議内容は「まとめ」に十分かつ適切には反映されていない一方、「助教」の制限された地位は審議に粗暴に持ち込まれた文書が契機となって「まとめ」に記されている。この経緯は「まとめ」には陽には表れていないため、同法改正案の審議においては、法文の審議のみならず大学(院)設置基準の検討も行い、「助教」の地位の向上と保護を行わなければならない。
 なお、機種依存文字によるいわゆる“字化け”を防ぐために、引用文においては丸文字を避けるなど原文と異なる表現を行っているところがある。

(2)データセット及び解析手法
 本稿において引用し分析する資料は、検討委員会が公表する議事要旨及び配布資料、上記「まとめ」、及び2004年11月22日に検討委員会が公表した「「大学の教員組織の在り方について」(審議経過の中間的な整理)」[2]になる。
 本稿は、上記資料の中から、「まとめ」がもたらす「助教」の地位の低下が端的に表現された以下の文章の発生とその系譜、検討委員会における関連した審議内容を追尾していく。

以下,省略


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2005年04月21日

新首都圏ネット、声明「学校教育法一部改正案に反対する」

新首都圏ネットワーク
 ∟●行政権の強制による企業経営的階層性の押し付けと身分制的助手制度の温存・強化―学校教育法一部改正案に反対する―(2005年4月20日)

行政権の強制による企業経営的階層性の押し付けと身分制的助手制度の温存・強化
―学校教育法一部改正案に反対する―

2005年4月20日
国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

1.はじめに

 現在、学校教育法を一部改正する法案(注)が国会に提出されており、5月連休明けには審議に入ると伝えられている。この一部改正は、短期大学卒業者への学位授与(第68条関連)、大学・高等専門学校教員組織の改編(第58条、第70条関連)、という2つの柱からなっている。改正案は、http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_gian.htmを参照されたい。

今回の改正案、特に大学の教員組織を規定する第58条関連については、
(1)恣意的解釈可能な職種それぞれの資格要件が新たに詳細に書き込まれている点、
(2)法律で規定されるべき職種間の関係が削除され、行政への丸投げとなっている点、
(3)隷属的な新「助手」が制定される点

という致命的問題が存在する。特に(1)(2)では職務とそれを担う職種間の関係を規定するという当然の構造が改変され、恣意的解釈可能な資格要件が条文として挿入されている。加えて(3)ではもはや時代錯誤となった身分制を温存強化するものとなっている。これらは、法構造上の深刻な改悪であり、到底容認できない。以下、まず改正案の骨子を紹介したうえで、問題点ならびにその根拠について詳述する。なお、高等専門学校関係の第70条も同じ問題点を有する。

2.学校教育法第58条改正の骨子

 現行学校教育法第58条は、大学における教員研究職の種類、および職種間の職務上の関係として、(1)大学に必置されるべき研究教育職として教授、助教授および助手を規定し、(2)3つの教育研究職間の職務上の関係を規定していた。これに対して改正案は、(1)教授、准教授、助教、および助手の4つを大学に原則として必置されるべき研究教育職として規定し、(2)それぞれの職の資格要件を規定し、(3)それぞれの職務の内容を規定し、(4)職務上の関係に関する規定を削除している。詳細は、現行/改正案対照表(http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/162.htm)を参照されたい。

 「助教授は、教授の職務を助ける。」「助手は、教授と助教授を助ける」といった教授、助教授、助手間の職務上の身分制的ともいえる上下関係規定は改正案から消滅し、これにかえて、教授、助教授、助教の職務内容は、すべて、「学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。」とされ、職務内容上の同質化がはかられている。しかし、「助手」の職務は、「その所属する組織における教育研究の円滑な実施に必要な業務」と規定され、助教以上の教員とは職務内容が明確に区分されている。

3.学校教育法第58条改正案の構造的問題点

 今回の改正案に対して、新しく創設される教授、准教授、および助教が職務遂行上の独立性を認められ、これらの職間の対等性が確保されたとものと評価し、あるいは、多様な性格を持ってきた既存の「助手」が、研究教育を主に行なう「助教」と、研究教育の支援を行なう「助手」(以下、新「助手」)に区分されることを"妥当"なものと評価し、全体として、"時宜にかなったもの"と判断する向きもあると聞く。しかし、このような判断は、その言葉の本来的な意味においてあまりにも"ナイーブ"である。58条改正案には以下のような致命的な問題点がある。

(1)恣意的解釈可能な資格要件の導入

 第1に、改正案では、教員組織の簡素化と逆行し、教授―准教授―助教―助手とする4職種制となっていることに注目する必要がある。一方、教授会の必要的構成員を教授に限定する現行59条がそのまま引き継がれている訳であるから、教員組織の平坦化とは逆方向が志向されていると見るべきである。

 第2に、改正案では、教授・准教授・助教の資格要件を階層的に構成し、それを詳細に書き込んでいることに留意しなければならない。すなわち、教授=教育上、研究上又は実務上の特に優れた知識、能力及び実績を有する者、准教授=教育上、研究上又は実務上の優れた知識、能力及び実績を有する者、助教=教育上、研究上又は実務上の知識及び能力を有する者、とされている。資格要件にこれほどの差違をつけている以上、職務遂行上の独立性と対等性を想定していなことは明白であろう。

 特に重大なことは、上記第2の点である。教員の資格については、現行の大学設置基準14~18条に規定されているが、そこでの要件は修士号、博士号などの学位という客観的な基準によって設定されていた。ところが、改正案では上述のように資格規定が学校教育法という法に「格上げ」されたにもかかわらず、「特に優れた」「優れた」など如何様にも解釈可能な基準が導入されている。ここに、職務遂行上における独立性・対等性確保の放棄と相俟って、58条改正案の第1の致命的問題点がある。

(2)職種間の関係を規律する規定の削除

 改正案では、現行法で規定している職種間の関係を削除している。この規定(現行58条第7、8項)はいわゆる身分制的「助ける」条項であり、内容上廃止されるべきものであることはいうまでもない。しかし、法で複数の職種を設定している以上、それらの間の新たな関係は法で規定するのが当然である。まして(1)で指摘したように、資格要件を法に「格上げ」した以上、その資格要件で選考される職種間の関係は法で規定するべきである。然るに、改正案ではそうした規定をいっさい盛り込まず、省令である大学設置基準に「格下げ」しようとしている。これは法の構造として均衡を欠くものである。新しく創設される教授、准教授、および助教の間における職務遂行上の独立性を法で明記せず、あろうことか職種間の関係規定策定を行政権に丸投げしているのである。ここに、58条改正案の第2の致命的問題点がある。

(3)いっそう隷属的な新「助手」制度の導入

 上述の新教員組織における新「助手」の任務は、改正案の基礎となった中教審大学分科会・大学の教員組織の在り方に関する検討委員会「大学の教員組織の在り方について<審議のまとめ>」(以下、単に、『まとめ』;全文はを参照。)においては「教育研究の補助」とされ、第58条改正案では「所属する組織における教育研究の円滑な実施に必要な業務」と規定されている。このような任務は、いわゆる教育研究支援組織(本来的には「支援」という用語は適切ではなく、教員といわゆる支援職員は、「分担」あるいは「協働」関係とすべきである。ただ、「支援」に代わるべき適切な用語が定着していないので、ここでは慣例的に「支援」を用いる。)がはたすべきものである。周知のように、日本の大学の弱点の一つは、教員組織から自立した独自の支援組織が脆弱なことである。にもかかわらず、ここでの制度設計は、本質的には支援を任務とする新「助手」を教員組織の一部として組み込み、しかも多様性を口実として独自のキャリアパスも準備していない。これでは、新「助手」制度が昇格制度なしの隷属的職種となること、そして、支援組織確立の阻害要因となることは火を見るより明らかではないか。その意味で、この新「助手」制度は第2の教務職員制度ともいえよう。ここに、第3の致命的問題点がある。

 なお、ここで想起されなければならないことは、これまで矛盾に満ちた教務職員制度のためにどれだけ多くの教務職員が辛酸をなめたか、また、今もなめているか、その改善のために各大学、国大協がいかに困難な道を歩まなければならなかったか、ということである。誤りを繰り返してはならない。

4.学校教育法第58条改正は何をもたらすか

(1)企業経営的階層性の出現

 職種間の関係規定が行政権に丸投げされた場合、大学設置基準にはどうような規定が盛り込まれようとしているのであろうか。『まとめ』では「全ての教員について、役割の分担及び連携の組織的な体制が確保され、かつ、責任の所在が明確な教員組織を編制する」とされている。ここでは、現行学校教育法58条が規定している身分制的職務関係に代わって、ミッション・オリエンテッドな企業的職務関係の導入が想定されているとみるべきであろう。実は、これは、国立大学法人法が狙っていた教員組織なのである。この導入を容易にするためには、教育職間の職務上の関係規定を、法律事項から政令事項へ(つまり学校教育法から大学設置基準へ)と移行させること、すなわち、その関係規定を行政権の裁量に丸投げすることが必要なのである。

 だが、本来教育・研究という企業的職務関係にはなじまない分野へ、行政権によって企業的職務関係とその組織編制が持ち込まれるならば、これまで以上に歪んだ、そして事実上の強制力を伴った階層性が、大学に出現することになる。すなわち、教授<任期の定めなし。教授会の必要的構成員、「主たる授業科目」担当>、准教授<任期の定めなし。個々の大学の裁量により教授会の構成員、「主たる授業科目」担当。>、助教<任期付が推奨され、これまで肩代わりしていた大学院生に対する指導、関連諸実務に加えて、組織が決定した方針に基づいて、「主たる授業科目」以外の授業も行う>、そして、助手<研究教育の補助>というのが『まとめ』の想定する階層性なのである。

(2)疲弊する助教、崩壊する若手養成制度

 教育研究を担うと位置づけられている助教にも深刻な問題が発生しよう。助教においては、任期制の下で、しかも階層的な教員組織が要求する責任と任務―とりわけ「主な科目」でない科目の押し付け―が増大することは必至である。「助手」という呼称からは解放されるが、任期がつけられた状況下でありながら新たに授業負担を押し付けられて、その疲弊度は一挙に高まるであろう。

 これまでの現行助手制度においても現場の努力によって保たれてきた若手養成機能が一挙に崩壊するという状況が生じよう。また、『まとめ』では、PDから助教というキャリアパスを想定しているのであるが、これでは、研究者となるためには、現在よりもさらに長期にわたる不安定な地位を経験せざるを得ないことになる。これによって、短期間で成果をもたらす研究を繰り返し行なうことが強制されることになり、若手研究者養成に深刻な打撃を与えることになろう。さらに、PDの一部は、隷属的な新「助手」というポストで生活を立てざるを得ないことになるかも知れない。『まとめ』は声高に若手養成を叫んではいるが、学校教育法一部改正案では、むしろその逆の道を歩むことになろう。

5.学校教育法一部改正案を廃案に

 学校教育法一部改正案は、企業経営に準拠した大学運営という国立大学法人法の想定する組織像を補完するものに他ならない。本改正案は廃案にし、真に対等平等な教員組織、教育研究の本質に即した基礎組織、公正で展望を持ちうる若手養成制度、そして自律的な教育研究支援組織に関する本格的議論を経た上で、改めて学校教育法の改正に取り組むべきである。


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2005年02月01日

首都圏ネット声明、「2005年度大学関係予算組み替えを実現し、第3の運営費交付金削減方式=授業料値上げを葬り去ろう」

首都圏ネット声明、「2005年度大学関係予算組み替えを実現し、第3の運営費交付金削減方式=授業料値上げを葬り去ろう」(2005年1月31日)

2005年度大学関係予算組み替えを実現し、第3の運営費交付金削減方式=授業料値上げを葬り去ろう

2005年1月31日
国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

(目次)
1 “苦渋の選択”から、市民と国会に開かれた議論に基づく“条件”の変更へ
(1)国立大学法人による“苦渋の選択”
(2)市民と国会に開かれた議論に基づく“条件”の変更へ!
2.市民と国会に開かれた建設的な議論を阻害する文科省の虚偽の説明
3.議論の前提としての政府予算案の欠陥の正確な理解
(1)第3の運営費交付金削減方式としての授業料値上げ
(2)付属病院経営の破綻は必然
(3)朽ち果てる国立大学施設
(4)基盤研究経費の削減
(5)2003年通常国会での審議経過、附帯決議を無視する政府予算案
4.運営費交付金削減問題を「社会的な一大問題」とさせ、国立大学関係予算の組替実現、授業料値上げ阻止のために全力を尽くそう!
(1)2005年度政府予算の否決と予算の組み替えを
(2)2・16国大協臨時理事会において予算組替要求の決議を実現しよう!
(3)授業料値上げに反対する『意見広告』を成功させよう!


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2005年01月23日

首都圏ネットワーク、「通常国会開会に当たっての声明」

通常国会開会に当たっての声明(2005年1月21日)

通常国会開会に当たっての声明

授業料を据え置き、
付属病院経営の破たんを回避し、
国立大学施設整備を推進するために、
05年度国立大学予算の組み替え要求を提出することを国会各派に要請します

2005年1月21日
国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

 国立大学法人法(以下単に、法人法)の施行に伴い、2004年4月1日に、すべての国立大学の設置者が、国から個々の国立大学法人に移行しました。法人化初年度に当たる2004年度予算は、従前の予算策定の仕組みをそのまま用いたものでした。従って、法人法のもとにおける新しい予算編成は、2005年度予算が初めてのことになります。

 私たちは、今後における政府の国立大学法人に対する財政責任の果たし方を左右するものとして、2005年度予算に注目し、分析してきました。その結果、2005年度予算にはいくつもの大きな問題点が存在することが判明しました。国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局「05年度国立大学関連予算案を全面的に批判する」(2005年1月18日)(http://www.shutoken-net.jp/050118_3jimukyoku.html)に詳しい分析があるので、ここでは次の3点だけを指摘しておきたいと思います。

 第1に、国立大学法人に対する政府の交付金の総額を逓減させる方法として、「効率化係数」(「運営費交付金」を毎年1%減額)、および、「経営改善係数」(「病院収入」を毎年2%増額させ、その分を「運営費交付金」から減額する)に加えて、「授業料値上げ」という新しい方法を組入れたことを、問題視せざるを得ません。05年度予算案は、退職手当等特殊要因経費に関する概算要求を95億円減額し、それを埋め合わせるために、文科省からの概算要求では据え置きが予定されていた国立大学学生納付金(以下、授業料)標準額を15,000円値上げし(総額81億円)、「授業料等収入」を86億円増額させているのです。

 第2に、付属病院経営が破綻せざるをえない予算となっていることです。一般に、医療比率(患者の診療に直接必要な医療費用請求額)は40%程度と言われています。05年度予算案にあるとおり病院収入を105億円増加させようとすれば、42億の経費増が必要となりますが、支出は対前年度でわずか19億円の増加しか予定されていません。しかも、収入である病院診療関係の運営費交付金は実に対前年度比で85億円減となっているのです。これでは、病院経営が破綻することは明らかです。

 第3に、05年度予算案では公共事業関係費は対前年度3.6%に留まっているのに対して、国立大学関係施設整備費補助金は23.3%減(124億円減)と激減していることです。一応、今年度補正予算において防災対策事業(老朽改善)用に施設整備費補助金が350億円用意され、次年度に繰越されることになっています。しかし、06年度以降の予算は05年度が基準となるため、新規はおろか老朽改善も不可能となると予想されます。

 私たちは、05年度予算案を否決し、かつ、次のような予算組み替え要求を提出されるよう、国会の各派に要請します。

第1.授業料の据え置きを実現し、かつ、付属病院経営の破綻を回避することを目的として、(1)支出に関連して、当然増の退職手当等を、文科省からの概算要求通り1,478億円(政府予算案比:95億増)とすること、ならびに、(2)収入に関連して、授業料等収入を概算要求通り据え置きとし、3,485億円(政府予算案比:82億減)とすること、病院収入を6,005億円(政府予算案比:56億円減)(病院経費19億円増が生み出す収入増を48億円として算出(経費/収入=40%として)とすること、および、支出増、病院収入減、授業料減を加算して運営費交付金を233億円増とすること。

第2.『国立大学等施設緊急整備5か年計画(平成13~17年度)』を来年度中に達成し、次期(平成18~22年度)へと接続させることを目的として、今年度補正予算分350億円を前倒しせず、来年度政府案409億円に加えた759億円を来年度の施設整備費とすること。

 なお、05年度予算案が「授業料値上げ」を第3の逓減方式として組入れていることについては、国大協を含む国立大学関係団体・者から特に強い批判が寄せられていること(注1)、そして、その批判には幾重にも根拠があることを申し添えておきます。授業料値上げは、法人法案議決にあたって衆参の文部(教)科学委員会が採択した付帯決議は言うまでもなく、法人法案の国会審議における文科大臣および、副大臣の答弁とも矛盾するものです(注2)。そして、授業料を、高等教育予算の項目として実質的に組入れることは、高等教育の機会均等を、無償制の漸進的導入により実現すべきであるとする、国際的に確認された条理にも反します。高等教育への無償制の漸進的導入を義務付けた国際人権規約A規約13条2項(C)を日本は留保しています。しかし、この留保を撤回すべきとの勧告が、関連する条約実施監視機関(社会権規約委員会、第2回日本政府報告書に対する最終所見(2001)から示されているように、この留保が非常識であることは国際的に確認されています。05年度予算案が、無償制の導入により授業料を名目化すべきことを求めている国際条理に反することは明白です。
《注1》12月8日に国立大学協会が意見書「国立大学関連予算の充実について」を提出。中四国10大学長の声明、北東北3大学長の声明、東京11大学長が声明を公表。尾池京都大学総長は「今回の改訂は決して容認できることではない」(新年名刺交換会挨拶)と強く授業料値上げを批判、「今年最悪の知らせ」と発言。平山岩手大学長は、「これは大学の問題であるとともに、地域の将来につながる問題。経済格差が高等教育の機会均等を奪いかねず、危機感を覚えている」「一度引き上げが容認されれば今後も引き上げが起こるかもしれない。そうなると地方と都会の差がますます大きくなることを懸念している」(『盛岡タイムス』2004年12月21日))と発言。長谷川佐賀大学長は、授業料値上げを通じた運営費交付金の削減は、競争的資金へのシフトをもたらし、「大学の死活に関わる基盤的教育研究経費の維持は不安定とならざるを得なく、全体として基盤的経費の減額が予想されます」と発言。
《注2》当時の遠山文部科学大臣は「学生にとって今回の法人化によって授業料が高くなってしまったり利用しにくくなったりということは,これは絶対避けなくてはいけないと思っています。」と語り、また,当時の河村副大臣も、「授業料等については、これからこういう時代であります。ましてや、デフレ経済のさなかにあるわけでありますから、むしろ抑制ぎみに考えていかなきゃなりません。」と述べています。


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2005年01月19日

新首都圏ネット事務局、「05年度国立大学関連予算案を全面的に批判する」

「05年度国立大学関連予算案を全面的に批判する」(2005年1月18日)

05年度国立大学関連予算案を全面的に批判する

2005年1月18日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

 本事務局は昨年末の12月30日「2005年度国立大学関係予算政府案を分析する」を発表し、その後『予算・授業料情報』を発行して、情報の収集と分析に努めてきた。また、各大学等でも批判的分析が年末年始にもかかわらず精力的に進められてきた。これらの成果を参考にしつつ、05年度国立大学関係予算案の全面的な分析を試みる。なお、文科省資料中の数字は切り上げ、四捨五入が混じっており、資料間で統一されていないことがある。このため、本分析においても同じ項目の最後の一桁が不一致となることがあることをご了解頂きたい。……


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2005年01月17日

2005年度国立大学法人 法人別運営費交付金予算額(案)

05年度(H17年度)国立大学法人法人別運営費交付金予算額(案)

『2005年度大学関係政府予算案・授業料問題情報』(略称『予算・授業料情報』)
No.11=2005年1月14日発行

国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

 05年度(H17年度)国立大学法人法人別運営費交付金予算額(案)が本日文科省から公表されました。文科省資料では昨年度との増△減が示されていませんでしたので、本事務局で本年度と比較した結果を右端に示しました。なお、文科省資料には、「各法人毎に端数処理(四捨五入)を行っているため、合計とは一致しない。」という注がついています。


[国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局発行
『予算・授業料情報』No.1~No.10]

『予算・授業料情報』No.10、「1月13日国大協臨時理事会の内容について(速報)」(2005年1月14日発行)
『予算・授業料情報』No.9、「国大協は、運営費交付金削減補填のための授業料値上げに反対し、来年度大学関係予算案の組み替えを要求すべきである」(2005年1月13日)
『予算・授業料情報』No.8、「京都大学尾池和夫総長、個人ホームページで授業料値上げを「今年最悪の知らせ」と発言」(2005年1月13日)
『予算・授業料情報』No.7、「都内11国立大学長連名による文科相宛要請書」(2005年1月13日)
『予算・授業料情報』No.6、「全学連声明・「学費値上げストップ・大学予算増額」をもとめます」(2005年1月12日)
『予算・授業料情報』No.5、「学生との約束を反古にするのか―各国立大学で学費据え置きを明言」(2005年1月12日)
『予算・授業料情報』No.4、「京大尾池総長、授業料値上げ反対の意思表明。1月4日、新年名刺交換会にて。」(2005年1月11日)
『予算・授業料情報』No.3、「東大入学の動機、「私大に比べて授業料が安いから」がトップ: 2003年『東大学生生活実態調査』より」(2005年1月11日)
『予算・授業料情報』No.2、「施設整備費補助金を分析する」(2005年1月7日)
『予算・授業料情報』No.1、「2005年度国立大学関係予算政府案を分析する」(2004年12月30日) 

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2005年01月06日

新首都圏ネットワーク、緊急要請

【緊急要請】・運営費交付金削減と授業料値上げの問題について 2005年1月5日新首都圏ネット事務局
Academia e-Network Letter No 225(2005.01.05 Tue)

首都圏ネット事務局です。以下の文章を発表いたしましたので、お知らせいたします。運営費交付金削減と授業料値上げの問題については、1月13日の国大協臨時理事会までの時期がきわめて重要です。

【緊急要請】

各大学長、学生納付金担当理事は、説明のため派遣される文科省担当者に対して「運営費交付金削減補填のための授業料値上げに反対する」との意思を明確に表明すべきである

2005年1月5日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

《05年度予算削減は国立大学に集中している》

 本事務局は05年度大学関係予算政府案に関する文科省資料とその分析結果(http://www.shutoken-net.jp/041229_5jimukyoku.html)を昨年12月30日に発表したが、その後、新たに重要な事実が判明した。

 第1に、各大学長に送付された文科省資料
(http://www.shutoken-net.jp/041229_5b_jimukyoku.pdf)では「大学共同利用機関法人を含む93法人の運営費交付金が総額で98億円減」としているが、89国立大学法人と4共同利用機関法人(人間文化、自然科学、高エネルギー、情報システム)における増減の内訳は明らかにされていなかった。しかし、本事務局が入手した資料によれば、89国立大学法人の運営費交付金が総額123億円余の減額であるのに対して、4共同利用機関は逆に25億円弱の増額であり、その結果として差引98億円の減額となっているのである。

 第2に、大学関係の施設整備費は124億円減、率にして実に24%減となっている。ところが文科省における公共投資関係費は8%減に留まっている。
 これら2つの事実は、文科省が05年度予算削減を国立大学に集中させている疑いを抱かせる。

《各大学、国大協は授業料値上げ反対の意思表明を》

 文科省は昨年12月22日付国立大学法人支援課長文書
(http://www.shutoken-net.jp/041229_5c_jimukyoku.html)に基づいて、授業料値上げの説明者を来週早々にも各大学に派遣する。しかし、今回の授業料値上げは、12月30日に本事務局が指摘したように、効率化係数、経営改善係数に次ぐ第3の運営費交付金削減方式として設定されたものであり、断じて認める訳にはいかない。とりわけ重大なことは、授業料値上げを前提として政府予算を組み、値上げを行わない場合には、増収予定分を運営費交付金から減額するとしていることである。その上、受験生ならびに保護者に対する値上げの説明責任は各大学にあるとされている。このような理不尽なことは許されない。

 我々は以下の二点を緊急に訴える。

1.各大学長ならびに担当理事は、派遣されてくる文科省担当者に対して明確に「授業料値上げ反対」の回答を突きつけるべきである。
2.国大協は13日の臨時理事会において、「運営費交付金削減補填のための授業料値上げに反対する」旨の決議を行い、政府に対して05年度国立大学予算案の組み替えを要求すべきである。必要であれば、昨年12月に引き続いて臨時総会の開催が検討されねばならない。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年01月06日 01:24 | コメント (0) | トラックバック (0)
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