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 カテゴリー 裁量労働制

2004年10月29日

都立大・短大教職員組合、「裁量労働制導入の提案に関する意見書」

都立大・短大教職員組合ホームページ
 ●「裁量労働制導入の提案に関する意見書」(2004年10月27日)

裁量労働制導入の提案に関する意見書


2004年10月27日
東京都立大学・短期大学教職員組合弁護団
弁護士 尾林 芳匡 
弁護士 松尾 文彦
弁護士 江森 民夫

   
  東京都は、都立大学・短期大学教職員組合(組合)に対し、新大学(首都大学東京)において教員の裁量労働制を採用したい旨を伝えてきています。
  都の提案は、一般的に裁量労働制を導入したい旨とこの適用対象に関する提案であり、都と組合の協議の結果、制度導入を検討するための委員会を設置することが確認されました。
  協議はこのような段階ですが、裁量労働制は教員の勤務条件をめぐる重要な問題なので、これをめぐる基本的な考え方につき以下のとおり弁護団の意見を表明します。

第1 裁量労働制とは

 1 裁量労働制とは、一定の専門的・裁量的業務に従事する労働者について事業上の労使協定において実際の労働時間数にかかわらず一定の労働時間数だけ労働したものとみなす制度です。1987年(昭和62年)の労働基準法改正によって設けられ、2003年には、この制度の対象業務に関する厚生労働省告示が改正され、「大学における教授研究の業務(主として研究するものに限る。)」が対象に加えられました。
  2 裁量労働制に基づき労使協定で労働時間数を定めた場合には、その業務を遂行する労働者については、実際の労働時間に関係なく協定で定める時間数労働したものと「みなす」ことになります。
  しかし、裁量労働のみなし制が導入されても、休憩(労基法34条)、休日(同35条)、時間外・休日労働(同36条・37条)、深夜業(同37条)の法規制は及びます。つまり、みなし労働時間が法定時間数を超える場合には、36協定の締結・届出と割増賃金の支払いが必要となり、深夜の時間帯に労働が行われた場合には、割増賃金の支払いが必要となります。
  したがって、これらの点に関する労働時間管理は必要となります。
  3 なお、裁量労働制を導入しないと、深夜等に事故が起こった際に労働災害(労災)の適用対象とならないのではないかとの懸念があると聞きます。
  しかし、労災の適用はその事故などの際に、]働者が労働契約に基づき使用者の支配下にあるか否か(業務遂行性)、∋藩兌圓了拉朮爾砲△襪海箸鉾爾Υ躙韻現実化したものと経験則上認められるか否か(業務起因性)を基準に判断されます。これは、その業務が使用者との関係で割増賃金等の対象となっているか否かとは別問題ですから、労災適用のために裁量労働制を導入しなければならないということにはなりません。

第2 労働者の不利益に繋がる危険性

 1 裁量労働制が上記のような内容をもっていることからして、この制度は時間外勤務に対する対価の切り捨てに繋がる危険をはらんでいます。
  なぜなら、実際の労働時間が「みなし時間」を上回っても、賃金は原則として「みなし時間」を対象に支払われることになるからです。
  とりわけ、裁量労働制が年俸制・業績給などの成果主義賃金制度と併せて採用され、そのもとで働く人々が実際に労働する時間を問題とせずに、当該事業場の所定労働時間だけ労働したものとみなすこととなれば(所定労働時間みなし制)、所定外労働についての割増賃金支払いが不必要となってしまいます。
  2 このように、裁量労働制は、労働条件の低下に繋がる危険を孕んでおり、その導入にあたっては、慎重な検討と判断が必要です。

第3 裁量労働制検討にあたって考慮されるべき点

 1 研究の実態に即した制度か否か
  裁量労働制が賃金面で労働者の不利益となる危険を孕むことから、仮にこの制度を採用するとすれば、それによって労働者がこの不利益を上回る利益を獲得しうることが必要です。
  裁量労働制は、もともと「業務の性質上その遂行の方法を大幅に・・・・労働者の裁量に委ねる必要があるため当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し具体的指示をすることが困難な業務」については労働者に労働時間配分等の決定をさせることが当該業務の効果的な遂行に役立つという建前に立っています。大学教員の研究・教育の実態がこれに該当し、裁量労働制の導入によって、研究・教育活動に資するところがあるか否かが根本的な問題です。
  2 業務の自由・自立性
   裁量労働制は、創造的労働のために労働の裁量性を確保しようという建前です。したがって、教員に裁量労働制に基づく「みなし」制を適用するとすれば、その業務が高度に専門的なものであって労働時間を拘束することが教員の能力発揮の妨げとなることから、この制度を導入するのだということを意味します。言い換えれば、この制度を導入する以上、教育・研究活動にあたっては高度の自律性が保障されることが必要なのです。つまり、どこで、どれだけの時間、どのように業務を遂行するかの自由を有しなければならないのです。「平易にいえば、裁量労働制は、当該労働者が個席にいなくても上司は文句を言えない(ミーティングへの出席等も労働者が主体的に行う)、という制度である。」との指摘もあるほどです(『労働法第5版補正2版』菅野和夫著)。
  したがって、実際の教育・研究活動がこのような実態をもつのか、あるいは今後の勤務条件の中でこのような自律性が保障されるか否かの慎重な吟味が必要です。
  3 厚生労働省通達の基準
  この点で一つの必要条件を提供するのが次の通達です。
  「大学における教授研究の業務(主として研究するものに限る。)」を裁量労働制の対象に加えた前出の厚生労働省告示の適用に関する厚生労働省労働基準局長通達(平成15年10月22日付)は、「主として研究するもの」について「業務の中心はあくまで研究の業務であることをいうものであり、具体的には、講義等の授業の時間が、多くとも、1週の所定労働時間又は法定労働時間のうち短いものについて、そのおおむね5割に満たない程度であることをいう」と定義しています。「講義等の授業の時間」は教員の裁量によって決めることができないことを前提に、全労働のうち少なくとも半分強について裁量の余地があることを適用の基準とするということです。
  したがって、実際に現在の教員の研究・教育活動の実態がこれに該当するのか否かが、一つの検討課題となります。
  ところが、この点について、東京都作成の「裁量労働制の適用者の範囲について」は、この基準を引いてはいるものの、新公立大学法人としては、教授、助教授、講師は、「研究が1日の所定労働時間(法定労働時間)の5割を超えるとみなす。」と記載しています。
  しかし、上記の厚生労働省通達の基準は、教員に労働時間の裁量の余地がどれだけあるのかを裁量労働制適用の可否の一つの基準としようとするものですからから、この部分に「みなし」を適用すべきではなく、この判断は、研究・教育の実態に即して行われるべきものです。
  4 「みなし」の不利益を補って余りある労働条件
  さらに、「みなし」制が割増賃金不払いといった賃金面での不利益をもたらしかねないものであるだけに、教員には、こうした不利益を補って余りある経済的待遇などが与えられることが必要でしょう。
  したがって、純粋な「裁量労働制」の可否だけではなく、新大学における労働条件全体を視野に入れて、検討することが必要です。

第4 組合の同意の必要性

 1 裁量労働制導入をめぐり、東京都は、組合に対して制度導入に関する意見を求めてきています。これは、2003年8月以来、新大学づくりが強権的に進められてきた中で、都の態度としては異例ともいえる態度です。
  2 これは、一つには、この間、都の強権的な手法に対し、現行大学の教職員と組合、世論が厳しく立ちはだかってきたことの反映でしょう。
  それとともに、大学教員を含む専門業務型裁量労働制をとるには、労働基準法上労働組合の同意が必要とされていることが今回の事態の背景にあります。
  裁量労働制導入のためには、事業場の労使協定において、省令で定める対象事業に該当する業務を特定したうえ、その業務の遂行の手段・時間配分の決定等に関して具体的な指示をしないこととする旨及び当該業務に従事する労働者の労働時間の算定については当該協定の定めるところにより一定時間労働したものとみなす旨を定めることが必要です(38条の3第1項)。協定は、労働協約の形式を満たす場合を除いて有効期間の定めを要し(労基則24条の2第2項)、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません(38条の3第2項)。
  以上のことから、裁量労働制の導入には、事業場の過半数組織組合ないし過半数代表者の同意が必要なのです。
  付け加えると、労使協定の締結は、あくまで専門業務型裁量労働制を労基法上適法とするためのものです。この制度の実施のためには、対象となる労働者に関する労働協約、就業規則または個別労働契約によって労使協定の内容に従った規定を整える必要があります。
  さらに、前掲『労働法』には、「対象労働者への制度の適用においては、適用労働者たる労働者個人の同意は必要とされていないが、同制度が労働者の主体的な働き方を可能としてその能力発揮を促進しようとの趣旨に出ている以上、本人の同意は制度の円滑な実施のための実際上の要件となろう。」との指摘があります。

第5 おわりに

 現行都立4大学の教員の勤務時間については、教育公務員特例法により、評議会の議に基づき学長が定めることとされていました。そして、勤務時間に関する何らかの措置を求める場合には、その相手先は東京都の機関である人事委員会及び公平委員会でした(地方公務員法第46条)。いわば、都の内部での問題解決を図る仕組みのもとにありました。
  しかし、新大学を一般(非公務員型)地方独立行政法人として発足させる以上は、ここで働く教員の勤務条件は労働基準法の監督の下に置かれることになり、裁量労働制を導入しようとすれば、同法によって労働組合の同意が必要となるのです。
  東京都はここまで、地方独立行政法人としての新大学づくりを、既存の大学人と組合の声に耳を傾けることなく強権的に進めてきたのです、いまは、地方独立行政法人設立を目指すが故に組合の同意を得なければならない場面を迎えているのです。
  このようなもとで、教員のみなさんが組合とともに、裁量労働制導入問題を慎重に吟味し、教育・研究の発展に役立つ勤務条件を獲得されることを心から期待します。

以  上 


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年10月29日 01:11 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年10月06日

都立大・短大教職員組合、「裁量労働制」の提案に対して全教職員の討議を

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 ●「裁量労働制」の提案に対して全教職員の討議を!(手から手へ第2300号)

「裁量労働制」の提案に対して全教職員の討議を

東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会

 9月14日の団体交渉において、当局側より組合に対して、法人化後の教員の労働時間制度に関して、労基法38条の3に基づく「裁量労働制(専門業務型裁量労働制)」を導入したいこと、および同制度の適用者の範囲について別紙のような提案がありました。組合側からは、労働時間制度の検討は十分慎重に行うべきこと、大学教員の勤務(労働)は一般企業とは異なる内容を含んでいるので、その特殊性を正確に勘案して労使が誠意を持って交渉するべきであること、「裁量労働制」は教員の勤務の実態に近いことは認めるが、安易な形での導入は不払いの長時間労働や過労災害の原因になる恐れがあること、を述べました。その結果、同制度の導入の可否および導入した場合に結ぶべき労使協定の詳細を検討する小委員会を労使で作ることに合意しました。…… (後略)


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2004年09月30日

広島大教職員組合、「裁量労働制を選択する必要はありません」

広島大教職員組合ホームページより

裁量労働制を選択する必要はありません(9/27アップ) 

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2004年09月27日

広島大教職員組合、教員の勤務形態 ようやく一応の決着

広島大学教職員組合ホームページ
「ひろば」No.9
 ● 「教員の勤務形態ようやく一応の決着」(2004年9月21日-1号) 
 ●「附属学校教員に「1年単位の変形労働制」試行的導入」(2004年9月21日-2号)より

教員の勤務形態 ようやく一応の決着
裁量労働制選択せずとも始業終業時刻は柔軟対処

 一四日午前一〇時より労使協議が行われ、教員の勤務形態について、労使がほぽ合意に達しました。おもな内容は、〆杤渡働制をとるかどうかは選択制とし、とらない場合も、講義や会議に差し支えのない遅刻、早退については懲戒や賃金カットの対象にしない、△い困譴鯀択した場合も、講義や会議は正規の労働時間内に行うよう努める、裁量労働制の選択者で一カ月の授業と会議の合計が八〇時間を超えた場、研究時間確保の対策を真摯に検討する、などです。労使協定の自動更新はせず、三月までは試行期間との位置づけです。【二面も参照】

授業・会議は終業時刻前が原則

労使は六月から八月までの三ヵ月問、計一二回の検討会を開いて大学教員にふさわしい勤務形態を検討しました。その中で労働者側は、法人化後の「室」への配属や授業負担増大などで教員の拘束労働が無制限に拡大する傾向に歯止めをかけ、教員の研究時問を確保できるような枠組みを、一貫して追求してきました。……

大学教員の労勘時間管理に関する申合せ(案)〔抄〕

第1 大学は,教員の教育研究環境を整備するため、次のような措置を講ずるものとする。

 (1)会議は,特段の事情がある場合を除き、所定労働時間内に行う。
 (2),(3)略
第2 大学は、専門業務型裁量労働制の導入に当たっては次のとおり取り扱うものとする。
 (1)成果型賃金制度の導入を目的としないこと。
 (2)勤務状況自己申告書を健康と福祉を確保する以外の目的(例えば、勤務評定等)には用いないこと。

第3 大学は,専門業務型裁量労働制の適用に当たっては、法令的定めるところにより教員の健康管理に配し、実際の労働時間が過度にならないように留意するものとする。

2 専門業務型裁量労働制の適用を受ける教員【以下「適用教員」という。)の1月の授業時問(準備時間を除く。)及び会議の時間の合計が80時間を超えた場合は,専門業務型裁量労働制を適用するかどうかを含め,真摯に対応策を検討するものとする。
3 適用教員の休日労働・深夜労働については,健康・福祉確保の観点から、原則とLて許可しないものとする。

第4 大学は,専門業務型裁量労働制の適用を受けない教員の労働時間管理については,大学の事業目的及びそれに基づく教員の業務特性を考慮して行うものとする。
第5,第6 略


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2004年07月05日

岡山大学職員組合、「裁量労働制の導入について」

「組合だより」第71号(2004年6月3日)より転載

裁量労働制の長所と注意点

この制度のメリットは、教員の勤務実態と比較的整合性がいいことです。出退勤時間、休憩時間は個人が自由に設定できます。今日は5時間、明日は10時間と都合に合わせて日々の労働時間を変えることも可能です。その場合、「みなし労働時間」が8時間の場合には、どちらも、8時間働いたことと見なすわけです。したがって、1日8時間以上働いたとしても残業手当は出ません。
 一般には、この点を悪用し労働者にノルマを課して、残業手当なしで長時間働かせる手段とする会社もあります。サービス残業の蔓延という最近の日本の状況に裁量労働制を導入した場合には、特に使用者が労働者の健康・福祉に留意すること、苦情処理制度を設けることなど、厚生労働省は指導を強めています。一般企業とは趣を異にするものの、大学でも個人評価等とへたに絡めると、教員を過重労働追い込み、心の病や過労死に至るケースをうみ出さないとは限りません。裁量労働制の導入は、あくまで、成果主義的賃金制度や教員評価とは別のものとして運用されなければなりません。

残された若干の問題点

 最後に、残された若干の問題点に触れておきます。この制度は深夜(午後10時〜午前5時)労働と休日労働には適用されないので、深夜や休日に働かせると、使用者は割増手当を支払わなければなりません。深夜や休日には働かないことになっているわけです。どうしても休日に働く必要がある場合は、手当を払うか、別の日を休日に振替えます。現実には土日にも仕事をしている教員は多いと思われますが、その場合は「大学の許可を得て」しているわけではないので、労働時間外の「自主研修」として、賃金支払いの対象から外してしまいます。この措置が適法かどうかは検討を要するところですが、現状を維持しようとすればこうするより仕方がありません。


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2004年06月22日

九州大学教職員組合、「教員の専門業務型裁量労働制」に対する組合規制

「就業規則・労使協定作成にあたっての成果と今後の課題」(2004年6月8日)より部分抜粋

6軌の専門業務型裁量労働制の導入について

 この制度は、教員が、自身の業務遂行の手段及び時間配分を自主的に決めることができるものです。しかし、多くの教員から「業績評価制と結びつけられるのではないか」「過重労働を強いられることになるのではないか」という意見が出されました。これらの声を受け、組合は大学と交渉し、以下のことを、協定を締結するにあたって当局と確認し、覚え書きに明記させました。

1)裁量労働制は、教員の業績審査制とは結びつくものではない。
2)過重労働・安全衛生の問題などが生じないよう手当をすること。
3)一緒に働く技術職員などの勤務に不都合がないようにすること。

 また、次のように協定条項を修正させました。
1)教職員自体が自主的に裁量労働制の適用除外を部局長に申請することができるようにしました。
2)教員の超過勤務手当対象となる職務を大幅に増やしました。
3)深夜・休日等に仕事をしていたときに事故等があつた場合にも、労災などの認定が問題なく行えるようにさせました。

 裁量労働制の大学教員への適用は、私立大学も含め初めてのことであり、今後、実施していく中で問題点が出たら、協定の内容を変えるなど必要となってくることも考えられます。


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2004年06月10日

大学教員の裁量労働制(裁量労働のみなし労働時間制)について

 2004年4月1日から労働基準法施行規則が改定・施行されたことにより,大学教員に対してもいわゆる専門業務型「裁量労働のみなし労働時間制」が適用されるようになりました。そして,この改定に呼応する形で,相当数の国立大学が法人化に伴う新たな労働協約締結の際,この「裁量労働のみなし労働時間制」を導入するに至っています。
 この大学教員の裁量労働制問題について,各種の文書,新聞報道等を整理して簡単なHPを作成しました。下記のサイトです。

「大学教員の裁量労働制に関する資料(文書整理)」
http://labor.main.jp/daigakumondai/labor-problem/sairyouuroudou.html

 このサイトは,全ての大学の規定を網羅しておらず,また様々な問題点の解明等もふれておりませんが(したがってまだ未完ですが),今後漸次情報を加えていきたいと考えています。
 なお,大学教員の裁量労働制問題について,最近,西日本新聞夕刊(2004月5月14日)の記事がありました。この記事は全大教近畿等HPでもまだ掲載されていないと思われますので,下記に転載しておきます。(ホームページ管理人)

探・ニュース特報=法人化国立大 勤務体系も一新 「何時間働いても同一賃金」 教員に「裁量労働制」 九州・山口 5大学が導入

2004/05/14, 西日本新聞夕刊

 国立大学の法人化に伴い、教員に「裁量労働制」を導入する大学が増えている。実際に何時間働いたかは関係なく、労使間で合意した時間を労働時間とみなして賃金を支払う仕組みで、九州・山口の十一大学のうち、九州大など五大学が本年度からの導入に踏み切った。「大学の勤務実態に合っている」と前向きに評価する声もある“みなし労働”。同制度を採用した民間企業ではサービス残業による長時間労働や、過労死の問題も指摘されているが…。
 四月二十八日夕。九州大の会議室に、各キャンパスの従業員代表者と、総務部の担当者が顔をそろえた。教員に裁量労働制を導入する労使協定の調印式だ。
 九大にとって裁量労働制は法人化に間に合わせることができずに積み残した懸案事項だった。三月末に制度の導入を提案したが、教員側は「職場で議論する時間がほしい」と態度を保留していた。
 対象は教員のうち、大学付属病院の医師などを除く約二千人。これまでは勤務時間が午前八時半―午後五時十五分と厳密に定められていたが、五月からは「出勤簿に印鑑を押せば、大学での勤務が一時間だろうが十時間だろうが、八時間働いたとみなされる」(同大就業制度企画室)。
 法人化で国家公務員の身分を失った教員の勤務は、民間企業のように労働基準法に基づき、労使間で結ぶ就業規則で定められる。だが実際は教員は遅くまで研究室にこもったり、講義がない日はゆっくり大学に出てくるなど一定していない。
 このため「職場でも、最初から勤務時間が決まっている裁量労働制がなじみやすいという声が多かった」(同大教職員組合)という。
 四月末現在、九州・山口で裁量労働制を導入しているのは、ほかに福岡教育、大分、鹿屋体育、山口各大。そのほかも「導入に向けて検討中」(熊本、琉球大など)としているところが多い。
 裁量労働制は一九八七年の労働基準法改正で、研究開発職や弁護士などの「専門業務」への導入が認められた。二〇〇〇年には企画、立案、調査などの「企画業務」も加わり、ホワイトカラー分野全体に拡大した。
 「合法的に長時間勤務させる制度で、労働災害の増加につながりかねない。サービス残業を合法化したい企業側の意向に沿って対象範囲は広がった」。東大社会学研究所の田端博邦教授(労働法)はそう指摘する。
 連合の調査(九九年)では、裁量労働制を導入した企業の八割で、実労働時間がみなし労働時間を上回ったという。
 裁量労働制の導入当初、労基署は「実労働時間が労働者に任されている」として労災適用は困難との判断を示したが、〇一年の認定基準見直しで過労死の認定を行うようになった。
 〇二年一月には、急性心不全で死亡した出版社編集者=当時(24)=が過労死の認定を受けている。
 大学教員の場合はどうか。労働問題に詳しい弁護士は「論文執筆や研究が本人の裁量労働とみなされ、労災が認められにくい。裁量労働制導入で、より認定を受けにくくなる」と懸念する。
 〇二年四月に札幌学院大学の法学部教授が「過労による労災」が認定されたが「珍しいケース」(北海道労働局)だ。
 大学に裁量労働制の導入が可能になったのは、わずか四カ月前。厚生労働省が今年一月の告示で、同制度の適用となる「専門業務」に「大学における教授研究の業務」を追加してからだ。
 同省は従来、大学への裁量労働制の導入を「不適当」と消極的だったが、国立大学協会が昨年八月、大学教員への裁量労働制適用を求める要望書を同省に提出してから、空気が変わった。

[同日の西日本新聞の他の記事]
探・ニュース特報=研究費縮減に先手 国立大で裁量労働制 過労死急増懸念も 長崎大は“フレックス制 (2004/05/14, 西日本新聞夕刊)

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2004年03月26日

「規制改革・民間開放推進3か年計画」のうち雇用・労働分野について

「規制改革・民間開放推進3か年計画」(雇用・労働)

「規制改革・民間開放推進3か年計画」閣議決定における教育分野については,すでに取りあげたが,今度は労働分野における3か年規制緩和計画を紹介しコメントする。
 規制緩和によって労働者に深刻な影響が発生すると考えられるものは以下である。
1.職業紹介規制の抜本的緩和
 

このうち,求職者からの手数料規制の緩和が問題である。これまで,職業安定法は職業斡旋の際,仕事を求める労働者に対して手数料徴収することを原則禁止してきた。今回の計画ではこの求職者からの手数料徴収禁止を「現行1200万円超から700万円程度へ引き下げるとともに,対象職種も拡大する」という。これが実現されれば,職業紹介の無料原則は半ば崩壊する。職業紹介はまさに営利事業と化す。

2.労働者派遣法の更なる規制緩和
 
労働者派遣業は,法成立時,現存する三者間労働関係のうち,雇用関係と使用関係が明確に分離した労働関係のみを取り上げ,職業安定法で禁止する「労働者供給」と区別して合法化した。いわば,実質的に労働者供給を合法化したとも言える。したがって,これは労働者保護の観点からみて多大な影響を労働者に与えるとして,実施する場合も厳しい規制下にあった。しかし,この労働者派遣は,その後今日に至るまで数年おきに規制緩和が実施され,ほぼこれ以上緩和できないところまで達した。そして,今回の「3か年計画」では,さらに「事前面接の解禁」と「派遣業と紹介業の兼業」認可の恒久化を図るという。この派遣規制緩和は,今後,例えば学生の就職にも多大な影響を及ぼすだろう。雇用の安定と労働者保護の観点から極めて問題である。

3.裁量労働制の拡大
 
将来的に,裁量労働制の適用対象業務を職場の労使自治に委ねる方向での制度見直しを図ることが指摘されている。また,裁量性の高い業務については,労働基準法適用除外方式の採用を検討するとしている。
 ところで,「大学教員の業務」については専門業務型裁量労働制の対象となったが,今後はこれを「周知徹底する」という。
 現行における大学教員の裁量労働制適用については,私はしっかりとた労使関係が確立している大学では,ある意味組合側の武器にもなり得ると考えている。もともと大学教員は法形式的な側面は別にして,日常的には労働基準法の労働時間規定で適用除外の扱いを実質的にされてきたからである。労使協定によって,大学教員の通常業務の範囲を確定し,それに一定のみなし労働時間を適用した場合,これまで存在しなかった「残業」概念が発生する可能性もある。これから大学教員は研究や教育のみならず学生の面倒や学内業務の負担がますます高まっていく状態のなかで,こうした裁量労働制の有効利用も考えられるかもしれない。
 しかし,今後の3か年計画では,大学教員も含めて,裁量性の高い業務については,文字通り「労働時間規定の適用除外」を検討するというから,とんでもない計画である。

4.解雇法制について
 
今年の労働基準法の改定施行により解雇権濫用法理が明文化されたが,その際,法案段階で文言として取り除くことを余儀なくされた「金銭賠償方式」が,またしつこくも導入がもくろまれている。

5.退職について,長期勤続者を過度に優遇する現行制度の見直し
6.職安の指導・監督を自治体機関に移管
7.産業別最低賃金制度の在り方の検討
 
これは,要するに産別最賃を廃止するということである。この点,従来からも主張されてきたが,廃止を実現したい側は最後まで諦めない。

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2003年10月10日

大学教員の労働条件(労働時間制度)はどう変わるか?!

厚生労働省:大学教員の研究業務に「裁量労働」制を適用する告示案(平成16年1月1日から施行)   

「労働基準法の一部を改正する法律(平成15年法律第104号)」の施行に伴う関係省令の改正等について, 労働基準法施行規則第24条の2の2第2項第6号の規定に基づく「厚生労働大臣の指定する業務」の一部を改正する告示案

1  労働基準法第38条の3第1項に規定する裁量労働の対象となる業務として労働基準法施行規則第24条の2の2第2項第6号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する業務に、学校教育法に規定する大学における教授研究の業務(主として研究する業務に限る。)を追加するものとすること。
2  この告示は、平成16年1月1日から施行するものとすること。

厚生労働省の告示案
「首都圏ネットワーク」のパブクック・コメント(10月8日)

「労働基準法の一部を改正する法律(平成15年法律第104号)」の概要はこちら ≫ 改正労働基準法では,「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」 との規定が新設されました。


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