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2006年11月01日

弘前学院大学不当解雇事件、新たな訴訟の第1回口頭弁論が始まる

 去る10月10日に、前回裁判で勝訴が確定し地位保全のされた教員に対する学校法人の不当行為に対する訴訟の第1回口頭弁論が青森地裁弘前支部にて開かれた。

 原告に近い筋からの話によると、今度の裁判は3人の裁判官による合議制ではなく、1人の裁判官によるラウンジ法廷での裁判となり、話し合いを基本に進められることとなり、第1回より具体的な内容に話が及んだようである。ただし、裁判官からは和解交渉の宣言等はなされなかった。

 その後、原告の請求の趣旨のうち簡単なもの(事務的なもの)と難しいもの(金銭問題など)とを区別して議論することになった。また、裁判官が、確認の利益がよく分からないとの指摘を受け、原告代理人より、前審確定判決が何を認め何を認めないのか双方でその解釈に食い違いが起こっているため訴訟に及んだ旨、説明が行われた。

今後の日程は、
 第2回口頭弁論 11月7日 16:30より
 第3回口頭弁論 12月13日 11:00より
 第4回口頭弁論 来年1月10日 13:10より


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2006年10月03日

弘前学院大学不当解雇事件、新たな訴訟

 弘前学院大学不当解雇事件は,昨年の2005年6月9日学校法人弘前学院の最高裁への上告・上告受理申立の取り下げによって,高裁判決が確定した。従って,教員側の勝訴で終わった。その後,教員側代理人と学校法人弘前学院側の弁護士との間で話し合いが行われたが,学校法人側は「判決主文に書いてあるもののみ従う」と判決によって生じた確定判決後の法律関係の変化を認めなかった。

 具体的には,2001年から2005年分の昇給分の未払い給与をとり除いた約2300万円のみを支払い、その余の未払い昇給分・未払い賞余分(賞与があることは確定判決主文及び判決理由で認められていた)とその利子については支払いを拒んだ。また、判決確定によって生じた法律関係の遡及効も認めず、さらに、債権債務問題が片付かない以上一切の事務作業を行わないと明言し、教壇復帰はおろか年金・保険といった一切の雇用主の義務的事務作業を行わなかった。双方の弁護士との話し合いが決裂した2005年11月以降、労働基準法に定められ、また確定判決の主文にも書かれた月一回の給与支払いも滞ったため、更なる判決命令が必要との認識に至り、やむなく訴訟の提起に至った。

 なお,本件は8月31日に提訴され,10月10日には第1回口頭弁論が開催されることになっている。以下,訴状を掲載する。

訴  状

2006年8月31日

青森地方裁判所弘前支部 御中

原告訴訟代理人
弁護士 横山慶一


 当事者の表示 別紙当事者目録のとおり

地位確認等請求事件

   訴訟物の価額 金2660万0000円
   貼用印紙額  金  10万1000円

請求の趣旨

1 被告は,原告に対し,原告が研究職員であることを認め,大学教員として必要な研究室(具体的には大学1号館213研究室若しくは同等以上のもの)を貸与し,並びに,教室又は図書館等の学校施設の総ての利用を認めよ。
2 被告は,原告に対し,原告が教育職員であることを認め,講義演習等の教育活動,学生指導等の教育事務活動,教授会への参加,並びに学内・学外活動の総てを認めよ。
3 被告は,原告に対し,原告が大学教育又は研究職員であることを認め,研究費予算等の遂行に関して2001年度から支払済みにいたるまで研究費予算等についてその計上を行い遡及して執行させよ。
4 被告は,原告に対し,速やかに独立行政法人私立学校共済・年金事業団の私立学校共済(年金・保険)への加入の事務手続きを行い,並びに,前審により無効とされた解雇期日以降不当に原告が国民健康保険又は国民年金(これらは私立学校共済任意加入分を含む)加入に伴う損害を補填せよ。
5 被告は,独立行政法人日本学生支援機構に対し,原告が旧日本育英会の免除職にあることを通知し,並びに2001年4月17日付けでその前日に退職した旨の法人理事長有印文書の撤回を申し出よ。
6 被告は,原告に対し,原告が前審によって無効とされた解雇期日時点において,助教授昇進の条件を満たしていたことを認め,並びに,その旨を大学文学部教授会に報告し又当時の弘前学院大学学則及び内規に基づき当該期日に遡及しての昇進の審議を命令せよ。
7 被告は,原告に対して,金2500万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払い済みまで年6分の割合による金員を支払え。
8 訴訟費用は被告の負担とする。

との判決並びに仮執行の宣言を求める。

請求の原因

(以下省略)

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2005年09月29日

弘前学院大学不当解雇事件、教員側勝訴確定後もいまだ職場復帰と賃金支払がなされず

 弘前学院大学不当解雇事件は,6月9日学校法人弘前学院の最高裁への上告・上告受理申立の取り下げによって,高裁判決が確定した。しかし,その後今日に至っても,勝訴が確定した教員は職場復帰が実現されず,またこれまで未払いであった4年半の賃金も支払われていない。

 この間の経緯は,およそ次のようなものであった。
 学園当局は上告取り下げた後,判決内容に従わない内容の「確認書」の署名を勝訴した教員に求めてきた。それは賃金支払額において未払い賞与分を含めていない等の内容であり、またこの確認書が処理されない以上は復職等の話し合いにも応じられない,というものであったという。教員はこの確認書には署名することができないとして,現在代理人弁護士を通じた交渉を余儀なくされている。
 以下,8月末に学校法人から教員本人に届けられた内容証明付郵便の通告と,それに対する教員側代理人弁護士の通知書を掲載する。

「確認書」の回答提出通告

 
 内容のみ申し上げます。平成十七年六月二十四日(金)弘前学院本部会議室において、訴状関係の支払金に関する「確認書」をお渡しし、速やかに回答するよう伝達しました。
 しかし、その後回答はなく今日に至りました。弘前学院就業規則には、「上司の職務上の命令に従う」遵守義務が謳われています。貴殿には弘前学院大学教員としての地位が確定した今、就業規則に従う義務があります。来る平成十七年八月三十一日(水)十三時に弘前学院本部に貴殿本人が同回答を持参して下さい。

平成十七年八月二十五日
(通知人)弘前市大字稔町十三の一
     学校法人弘前学院
      理事長 阿保邦弘 (公印)
 
(被通知人)
○○ ○殿

通知書

 上記通知人の代理人として、貴法人に以下のことを通知いたします。

1 貴法人は、2005年8月25日付けの内容証明郵便にて、「確認書」の回答を持参して、8月31日13時 に出頭するように求め、あたかもそれが、就業規則に規 定する「上司の職務上の命令に従う」ことであるかのように、主張しています。
2 しかし、回答を求めている「確認書」の内容は、通知人の地位確認の裁判での判決の内容とは齟齬をする内容であり、そのような一方的な内容の「確認書」に回答を求めることは、地位確認訴訟の結果を無視するものであり、就業規則の「上司の職務上の命令に従う」ことではありません。仮に、「確認書」の内容を認めることが、「上司の職務上の命令に従う」ことではなく、回答をするか否かが、「上司の職務上の命令に従う」ことであるとするのであれば、地位確認訴訟の結果を無視するような「確認書」を現時点で提出する考えはありません。また。8月31日に「確認書」を提出するために、出頭する考えはありません。
3 貴法人は、地位確認訴訟の判決が確定した以上、速やかに、通知人を現職に復帰させて、解雇後の賃金等に関しては、直ちに全額を支払うべき法的義務が存在するのであり、「確認書」の提出を求めるような判決を無視するような行為は直ちに中止し、この間の対応に関して通知人に謝罪をするようにして下さい。
4 なお、今後、本件に関しては、当職が、通知人を代理しますので、当職まで連絡をお願いいたします。
 
2005年8月29日
 
被通知人
青森県弘前市大字稔町13の1
学校法人弘前学院
理事長 阿保邦弘 殿
 
青森市長島二丁目18番2号 三光ビル3階
  青森八甲法律事務所
  通知人代理人
  弁護士 横山慶一 印


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2005年06月22日

弘前学院大学不当解雇事件、学校法人側 上告取下げ 教員の勝訴が確定

 弘前学院大学不当解雇問題において,1審・2審とも解雇の不当性を認められ勝訴した教員に対し,学園側が上告および上告受理申立していた事件で,6月9日,学校法人弘前学院はこれらの上告・上告受理申立を取り下げました。以下がその書面です。その結果,仙台高裁での勝訴判決が確定したことになり,弘前学院大学不当解雇事件裁判は,ついに教員の勝訴で終結を向かえることになりました。

 この不当解雇事件は,そもそも今から4年以上も前の2001年4月16日に,弘前学院大学におけるある一人の教員が突然に解雇されたところから発生しました。具体的には,予告なく経営上の理由による退職を個人的に勧奨され,これを拒否したところ,一方的に解雇されたというものです。当初は「整理解雇」という事由がつけられていましたが,この教員が地位確認等を求めた裁判所への提訴(青森地裁弘前支部2002年2月7日)の過程において,学校法人側から12項目にわたる教員不適格というご本人にとっては耐え難い屈辱的な汚名が着せられ,それも解雇の事由とされました。
 この事件について,第1審の青森地裁弘前支部は,2004年3月18日,原告教員の訴えを認めて,雇用契約上の地位確認,未払い給与支払い,損害賠償を被告大学に命じました。同地裁の判決は,整理解雇の点について,「本件解雇時に,人員整理を行うべき高度の必要性があったものとは到底認められないし,解雇回避努力がほとんどされていないことからしても,被解雇者選定の合理性や解雇手続の妥当性について考慮するまでもなく,整理解雇に合理的な理由があったものと認めることはできない」と法人側主張を退け,また12点にわたる教員の不適格性にについては,そのうちのいくつか点で事実を否定し、または被告側の表現に誇張があるとした上で、これらは解雇事由を正当化するものではなく,解雇権の濫用と判断し,きっぱりとこの解雇は不当解雇である旨決定を出しました。
 ところが,被告法人側は,この地裁決定を不服として仙台高裁秋田支部に即日控訴しました。高裁では法人側提出の証人尋問も含めて計4回の口頭弁論が開催されました。証人尋問では,この教員が教えた元学生まで法人側は証人として出廷させるなど,ある意味教員のみならず学生のプライバシー公開に近いことも行われました。しかし,仙台高裁は,2005年3月30日,法人の控訴棄却を決定。1審・2審とも不当解雇された教員の勝訴になりました。法人側はこれら2つの裁判で自らの解雇の不当性を認定されたにも拘わらず,2005年4月20日付で,さらに最高裁への上告および上告受理申立を行いました。ところが,冒頭に触れたように,6月9日付をもって,上告および上告受理申立を取り下げた。その結果,高裁決定が確定し,この不当解雇裁判は教員の勝訴をもって終結となりました。

 原告教員は,この不当解雇裁判を3年4ヶ月に渡り,また不当解雇されてから4年と2ヶ月もの長期間,たたかってきました。このたたかいは,基本的に1人でありました。解雇辞令交付当初,緊急避難的に東京にあるインターネット労組に加入。この労組から当該教員は裁判そのほかの助言を受け,また,この労組が特に教育関係のものではない一般労組であることから,労組を通じて日本私大教連などの協力要請等が行なわれました。しかしながら,日本私大教連からの支援も実質的なところゼロに等しいものでした(1人の単独加盟も認めていない)。
 今回のような解雇裁判において,特に地方の私立大学で事件が発生した場合,私は既存の労働組合による支援の限界性,脆弱性ということを痛切に感じています。ほとんど頼りにならないというリアルな実態があります。今の私立大学は,弱小私大あるいは短大が多い地方から経営危機が深刻化しています。都市部では,ある程度組合の連合体が組織されていますが,地方では皆目ゼロに近い。今後,私学危機による「整理解雇」やそれに付随した人権侵害事件の多発は,大いに予想されます。その際,日本の全国の大学人はこれをどのように問題化し,いかに支援していくのか,この重い課題を考えて行かねばならないのではないか。今回の解雇事件は,そのあり方を問うという面で教訓を残した事件であったと思います。

 この事件については,事件そのものの存在も含めて,このサイトと「鹿児島国際大学解雇事件の裁判と資料」HPの以外,ビラ1枚公にされた媒体物はありませんでした。このサイトでは,2004年3月30日付の地裁判決結果に関する記事以降,この問題を継続して掲載してきましたが,勝訴を勝ち取った教員の実名は,ご本人の今後のこともあり,最後まで公表することはできませんでした。この教員にあっては,本当にこの4年間は長かったと思います。無給状態のまま,よくここまで耐えて来られたと思います。心より,敬意を表したいと思います。

 なお,裁判に勝ったとはいえ,そのまますんなり元の教壇に立てるかどうかは別の問題があります。日本の判例体系では就労請求権がほとんど認められていないからです(大学教員の就労請求権の判例はこちら)。今後,法人側がどのような措置をとってくるのか,その成り行きにも注目していきたいと思います。読者の皆様方で,いろいろなエールやアドバイスがありましたら,ホームページ管理人宛,よろしくお願いしたいと存じます。責任をもって,当人にお伝えしたいと思います。(ホームページ管理人)

弘前学院大学不当解雇事件のこれまでの経過については,以下にあります。
カテゴリー 弘前学院大学(2004年10月まで)
カテゴリー 弘前学院大学(2004年11月以降から現在まで)

平成17年(ネオ)第6号 地位確認等請求上告事件
平成17年(ネ受)第6号 地位確認等請求上告受理申立事件
上告人(上告受理申立人)  学校法人  弘 前 学 院
被上告人 〈相手方)   (匿名)

上告・上告受理申立の取下書

平成17年6月9日

最 高 裁 判 所  御 中

上告人(上告受理申立人)訴訟代理人
弁護土  俵     正 市
同    小  川  洋 一

 上記当事者間の頭書事件について,上告人(上告受理申立人)は都合により上告及び上告受理申立の全部を取り下げます。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年06月22日 02:33 | コメント (0) | トラックバック (0)
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