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2007年04月18日

横浜市立大学教員組合、教員評価制度説明会についての組合員からの意見

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2007.4.17)

教員評価制度説明会についての組合員からの意見

教員評価制度に関する教員説明会が、大学当局により3月におこなわれましたが、組合員の方々から意見が寄せられました。以下に、その一部を掲載いたします。

●当局提示の教員評価制度について

一組合員

 3月に教員評価制度に関する大学当局による説明会が行われた。そこで説明された制度は、もともと予測されていたかたちと大きくは変わらないが、今回の制度提示によって、いわゆる教員評価制度が多くの問題を抱えていることが、より一層明らかになった。説明会では質問の時間が厳しく制限されてしまい、質したいことも質すことができなかったので、この場を借りて評価制度の問題点と思われることを述べたい。
 今回示された教員評価制度には、細かい点を挙げればきりがないほどであるが、特に大きな問題が六つあると思われる。1、大学自治原則に関する問題、2、手続の適切さに関する問題、3、制度の公正さの問題、4、相対評価の問題、5、処遇反映の問題、6、学問の自由の問題である。もちろん四点は相互に分ちがたく結びついているが、以下、分けて説明したい。……


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2007年03月14日

タミフル寄付金、横浜市立大教授が研究への影響を否定

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070313i214.htm

 インフルエンザ治療薬「タミフル」と異常行動死の因果関係を調べている厚生労働省研究班主任研究者の横田俊平・横浜市立大教授の講座が、タミフルの輸入販売元「中外製薬」(東京都中央区)から寄付金を受けていた問題で、横田教授は13日、厚労省内で記者会見し、「寄付金をもらっているから手心を加えるようなケチな考えはもっていない」と、研究への影響を否定した。……

[関連ニュース]
タミフル研究への影響否定=中外製薬寄付で-厚労省研究班教授
タミフル:岡山大教授講座にも年200万円の研究資金
中外製薬 タミフル研究教授側に1千万寄付

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2007年02月26日

横浜市立大TOEFL500点問題、現2年生 仮進級へ

横浜市大新聞 ニュースブログ
 ∟●現2年生 仮進級へ

現2年生 仮進級へ

TOEFL500点の3年次進級要件を満たしていない国際総合科学部2年生に対して、3年次前期までの仮進級制度が導入される事が決まった。2月21日、大学が2年生に同制度を電子メールで通知した。……

「大学改革日誌」
 ∟●最新日誌(2月23日)より

 TOEFLで「学校側が動きました」と学生さんから情報があった。

「仮進級」なるものに関する通知が、関係の学生に送られたことを知った。

果たしてメールだけなのか、きちんと周知徹底するために掲示を出しているのか、不明である。

親しい代議員にたずねたところ、代議員会では議論していないということだった。

学長の独断専行(?)、教育審議会における審議結果(?)、いずれ、正確な情報が入ってくることだろう。

組合員の教員からパワーハラスメント(職責・職務上の上司・上位者から下位のものへの)の悲痛な訴え[1]があったので、教員組合事務室に、副委員長・書記長と善後策を相談しに出かけた。研究室への帰り道に、掲示板をのぞいたら、学生向けの仮進級措置が学長名で掲示されていた。

この措置の責任者(これまでの諸措置を含めて)が学長であることが明確である。

学長は教育研究審議会を率いる長でもあり、責任者である[2]。

気が重くなるような、種々の制限つきの「仮進級」である。がんじがらめの檻に入れられているような気持ちになる。少なくない学生さんは、そうではないか。ここまでこまごまと、あれこれいわれなければならないのか?

学生に、「お恵み」だといわんばかりの条件内容で、これが学生本位のやり方なのか、驚く。

……


Posted by 管理者 : 掲載日時 2007年02月26日 00:05 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2007年01月23日

横浜市立大、教員の新しい給与制度について(補足説明)

横浜市立大学教員組合週報(2007.1.22)
 ∟●教員の新しい給与制度について(補足説明)(2007.1.11)

 前号の組合ウィークリー(2006年12月27日付)でお知らせしたとおり、昨年12月27日、当局により新給与制度に関する考え方が、資料および口頭で提示されました。しかし、その場では同制度に関わるすべての問題が説明されたわけでなく、また説明に不十分な点も多々あったため、速やかな追加説明の機会を求めることにしました。
 その結果、本年1月11日および18日の2回にわたり、当局による追加説明がおこなわれました。その追加説明においては、

・新給与制度における退職手当の算定方法
・任期制同意者への対応に関する検討方向
・新制度における「経験年数」の考え方
・新制度における初任給格付けの考え方
・「助教」の職務業績給の給料表

などが示されました。
 この追加説明の詳細については、皆様に改めてお知らせしていく予定ですが、ここでは取り急ぎ、上記の概略とともに、両日に手交された当局側の説明資料(PDF)をお知らせいたします。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2007年01月23日 00:08 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog3/archives/2007/01/post_2603.html

2007年01月22日

横浜市立大、教員の新しい給与制度について(補足説明)

横浜市立大学教員組合週報(2007.1.22)
 ∟●教員の新しい給与制度について(補足説明)(2007.1.11)

 前号の組合ウィークリー(2006年12月27日付)でお知らせしたとおり、昨年12月27日、当局により新給与制度に関する考え方が、資料および口頭で提示されました。しかし、その場では同制度に関わるすべての問題が説明されたわけでなく、また説明に不十分な点も多々あったため、速やかな追加説明の機会を求めることにしました。
 その結果、本年1月11日および18日の2回にわたり、当局による追加説明がおこなわれました。その追加説明においては、

・新給与制度における退職手当の算定方法
・任期制同意者への対応に関する検討方向
・新制度における「経験年数」の考え方
・新制度における初任給格付けの考え方
・「助教」の職務業績給の給料表

などが示されました。
 この追加説明の詳細については、皆様に改めてお知らせしていく予定ですが、ここでは取り急ぎ、上記の概略とともに、両日に手交された当局側の説明資料(PDF)をお知らせいたします。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2007年01月22日 23:27 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog3/archives/2007/01/post_2602.html

横浜市立大学問題、内部告発文書一覧

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●【横浜市立大学問題に関する内部告発文書一覧】(本ホームページ管理人作成のもの)

中田宏横浜市長と池田輝政総務部長をはじめとする横浜市官僚、橋爪大三郎「あり方懇」座長(東京工業大学教授)らによる大学破壊・敵視政策、および、それに加担・追随する小川恵一学長以下の積極“すり寄り派”教員による「学問の自由と大学の自治」に対する裏切り行為を内部告発した、本ホームページ管理人作成の文書一覧(関連文書を含む)(2007.1.17up)

……


Posted by 管理者 : 掲載日時 2007年01月22日 00:07 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2007年01月17日

国際教養大学の全教員任期制・年俸制と横浜市立大学の類似点、TOEFL進級基準・教授会の人事権剥奪など

 秋田県の国際教養大学で採用されている全教員任期制について,開学後初の契約更新で4分の1の教員が再任を果たせず退職に追い込まれた事件を最近の記事で紹介した。いま,同大学の人事を含めた組織運営について強い関心を持つ。

 この問題について,Wikipedia(国際教養大学)は,「教員陣は開学時に「更新の可能性ありの3年契約」で雇用されたが、個々の教員の研究や教育における業績不足、特に博士号未取得を理由に、2006年度末には英語集中プログラム(EAP)の教員の14人中7人(その全員がアメリカ国籍)、EAP外では35人中4人(その内2人は外国人博士、2人は日本人修士)が1期生の卒業も見届けられないまま解雇される。これらのポストの後任者は2006年夏、秋の2度にわたるThe Chronicle of Higher Education(en:The Chronicle of Higher Education)などの国際専門誌、および各種国際学会・研究会のウェブサイトやメーリングリストを利用した大規模な公募で決定された。
 解雇の根拠とされた教員評価の手法の公正性、最高学位が修士であるTESOL(en:TESOL)において実務経験よりも博士号の有無や博士課程に在籍中か否かを重視することの意義、その一方で博士号どころか修士号さえ持たない日本人教員が豊富な実務経験を理由に部門責任者などの役職を更新されている事実などが明らかになり、学内外で議論を呼び起こしている」と説明している。

 また,BLACKLIST OF JAPANESE UNIVERSITIESは次のように報告している。

Akita International University

Despite wanting PhDs (or the equivalent) for faculty, AIU offers 3-year contracted positions with no mention of any possibility of tenure, plus a heavy workload (10 to 15 hours per week, which means the latter amounts to 10 koma class periods), a four-month probationary period, no retirement pay, and job evaluations of allegedly questionable aims. In other words, conditions that are in no visible way different from any other gaijin-contracting "non-international university" in Japan. Except for the lack of retirement pay.

 これを読む限り,再任の基準はそれほど明確ではないようだ。加えて,週10コマの講義ノルマ。 参考資料として,Chronicle Forums での議論もある。

 同大学の場合,全教員に教員評価制度を導入し年俸制を採用する。この点について新聞報道は次のように書いている。

「2004年4月の開学当初から、教員の年俸制、任期制とともに、人事評価制度も導入している。課程長ら責任者が教員の自己評価や同僚、学生の評価を判断材料に、教育や研究、地域貢献などの項目ごとに点数化。これを基に、学長が最終的にS、A~E、Xの7段階で絶対評価する」(読売新聞2006/10/28)

「正規の教職員はすべて三年の任期制で、年俸制が適用される。教員については、授業に関して学生、同僚、自己がそれぞれ評価を行う。学生は学期ごとに授業評価表を提出、同僚教員は月に一回程度、二、三人で評価にあたる。そのうえで、課程長ら責任者が総合的に判断する。授業以外の教員の活動については、報告を受けて判断する。
 評価は教育活動や研究活動などについて、百点満点で採点。その点数により、A―Eの五段階に分ける。実績によっては、これをさらに上回るSと下回るXとする。Sは翌年の年俸が二割増となり、Xは二割減となる仕組み。」(読売新聞2006/02/11)

「評価基準には「研究活動」や「地域貢献」など六つの項目があり、学生らは5分の1以上の配点が敷かれる「教育活動」講義部門の評価を担当。教材や授業の分かりやすさ、質問への受け答えなどを判断する。本人申告も含めた評価は所属長が総合評価し、最終的に学長が判断するという。」(毎日新聞2004/02/11)

文科省、公立大学の法人化を契機とした特色ある取組(詳細)

(公立大学法人国際教養大学)
○教員については、業績評価、事務職員については業績評価および能力評価(スタッフ層のみ)を実施している。評価期間は暦年(1月~12月)とし、最終評価は翌年2月中に行われ、3月に各人へ通知することとなる。業績評価は通常5段階評価であるが、特別な業績がある場合には、さらに2段階の特別評価枠が加わり、これら評価結果に応じて翌年度の年俸が上下最大20パーセントの範囲内で変動する。大学側の契約時の期待を満たすことが標準評価(プラス・マイナス・ゼロ)となる前提であり、契約時の合意年俸額が維持されることとなる。

公立大学法人国際教養大学役員報酬等支給基準(PDF:41KB)
公立大学法人国際教養大学教職員給与規程(PDF:141KB)

 これらを読んでいくと,国際教養大学は横浜市立大学と非常に類似した大学のように思える。類似点は,まずどちらも公立大学法人で,国際教養を教育の柱に掲げていること,全教員を対象にした任期制を導入していること(因みに,全教員任期制は全国国公立大学で他に「北見工業大学」「首都大学東京」「横浜市立大学」「長崎県公立大学」の4大学),全教員対象の年俸制を導入していること(因みに,全教員年俸制は他に「首都大学東京」「横浜市立大学」),学生にTOEFL取得を強制的に義務づけていること,教授会の人事権を剥奪していること(国際教養大では,「人事の決定権も、教授会による合議制ではなく、学長を含む8人の理事(長)・委員による「大学経営会議」が決定する」と報じられている(朝日新聞2004/02/07),などである。国際教養大学の場合,まともな教授会が機能し,自治が確立しているのだろうか。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2007年01月17日 00:00 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2007年01月16日

横浜市立大、進級基準TOEFL500点問題で臨時教授会を開催すべき

大学改革日誌
 ∟●最新日誌、1月15日(2)

 横浜市立大学が大学改革の目玉として上から導入し,進級の条件として設定したTOEFL500点問題について,この間「大学改革日誌」では精力的に学生を含む学内の意見を取り上げている。下記に最近の記事の一部を紹介。

 なお,この問題について最近の記事は以下の通り。
横浜市立大、2年生半数 留年危機 英語力検定が壁
横浜市立大、TOEFL500点問題 そこまで教員集団を無視できるのか?
横浜市大厳しすぎた? 進級要件 2年生半数超 留年の危機
横浜市立大、ずるずる放置しておいていい問題ではない
横浜市立大、これが学生本位か
「TOEFL500点問題」で、破滅に向かってひた走る横浜市立大学(「学問の自由と大学の自治の危機問題」より)

 先週、臨時教授会を開催してきちんと問題を総合的に議論し決定すべきではないかと、わたしの考えを何人かの教員に差し上げた。かなり多くの賛同があったが、他方では、すでに紹介したように、臨時教授会の開催に懐疑的・消極的な意見もあった。
 研究と教育を基礎で担う一般教員からの、そして当の学生さんたちからの声を踏まえて、代議員会等での議論が展開し、その上で、臨時教授会での審議要求へともっていけばという意見もかなり寄せられた。

 二つほど、抜粋的に意見を紹介しておこう。

---①-----
先生からのメールの確認が遅くなり返事がすぐ出来ませんでした.
進級判定に関する臨時教授会の開催に賛同します.

臨時教授会開催の実現は難しいかもしれません.

当面の語学の問題に限らず,本学が抱えている様々な問題について
教員や学生の意見を何らかの形で大学当局に訴えていくことは必要と考えています.
その意味で今回先生が提起された臨時教授会の開催に賛成します.

語学教育については様々な意見(それぞれがそれなりの説得力がある)があり,
意見を纏めるのは大変ですが,当面の留年問題について意見を出し合い我々が何を
しなければいけないかを確認するいい機会になると思います.

TOEFL(TOEIC)の問題について一言:
試験で500点以上をとることを学生の努力目標にするだけでよいというのが
私の予てからの考えです.語学は持続した学習が必要で,1度だけ500点以上の
成績を得たというだけで進級させるというのも変な話です.この制度が大学改革の
一つの特色というのが,何とも情けない.
---②------
トーフル問題についての問題認識は多くの先生方の間に共有されていると思います。段取りとしては、まず代議員会で問題提起をしていただき、「権限外だから対応できない」というような消極的回答であれば、教授会開催要求を行うというのではいかがでしょうか。
----------- 

 「語学は持続した学習が必要」というのは、意欲的な学生の声でもある。ある親しい学生は1年生の7月にTOEICで基準をクリアしたが、「TOEICの実力の有効期限は1年間か2年間(?)なので、またチャレンジし、力を維持すると同時にアップしていきます」と。まさにそのとおりであろう。

 その方向で実力を不断に伸ばそうとする人に、その到達度に応じて、大学の中で環境条件を整備してあげる、ということはきわめて重要である。
 TOEFL550点以上クラス、あるいは国連英語検定を目指すクラスなど、意欲があり、国際的活動を目指す諸君にはそれにふさわしいクラスを設定し援助する、しかるべき単位を与えることもいいであろう。

 それは、画一的基準で留年させる、などという寒々しい官僚的統制的な発想とは逆のものである。

 全学生に対する画一的基準の押し付けの発想は、一般教員全体に対する寒々しい「全員任期制」の押し付けと同じ発想である。これには、「改革」全体の問題面を象徴するものとして、非常に強い反対が教授会などで示された。この問題を中心的問題として、抗議辞職をした教員(次の職場もないのに)、他大学に移った教員も多い。「全員任期制」の画一的押し付け(大学教員任期法に反するもの)には、苦しい状況の中で多くの教員が教員組合に結集しつつ、また個々人でも、断固として反対してきたのである。
 「全員任期制」問題で苦しめられた人々には、そのことが直ちに理解されるであろう。

 「一つの特色というのが,何とも情けない」という点に関しては、現在のPEの特権的例外的独裁的制度を、だれ・どのような人々が案出し、だれ・どのような人々がそれによってメンツ・地位・権益・発言権・優越感・自信などを得ているか、誰が特権・独裁権力を行使しているのか、という側面からも考えてみる必要があろう。

 すくなくとも、現在の入試制度で堂々と総合力で入学してきたために、英語が相対的に苦手、という学生諸君ではないことは確かだろう。総合的に見て、学生諸君に責任はない。責任があるのは、制度を設計した側、制度を運営する側にある。

 学生諸君との関係で言えば、わたしのような一般教員も、大学側の一人、制度運営の側である。だからこそ、一教員として、制度検討・制度変更が必要だという意見を公開し、わたしの意見に耳を傾けてくれそうな教員に働きかけてもいる。それが、制度設計をした人々、制度設計に責任ある人々に影響を与える(政策・制度の合理的合法的転換)ことを願って。

 制度を設計した人々、制度を運営している人々は、主観的には、悪意や優越感のためにやっているのではないだろう。その意味では、「良かれと思って」、「善意で」あろう。

 しかし、「地獄への道は、善意で敷き詰められている」(ダンテの言葉とされる)。ヒトラーも、主観的には、「民族のため」、「民族の自由のため」、「民族を愛するため」にすべてを行った。600万のユダヤ人大量虐殺も、彼の主観(善意)においては、「ドイツ民族のため」、「ドイツ民族に感謝されること」だった。

 学生諸君、堂々と入学したのだから、そしてそれぞれの力量・個性・希望・問題関心に従い勉学に励んでいるのだから、萎縮する必要はない。老婆心までに。

 元気をつけたい人は、『国家の品格』など、日本語の本質的基軸的重要性を説く自信に満ちた藤原正彦の一連の本を読んだらどうでしょう。新潮文庫にある8冊を一気に読めば、相当に刺激を受け、自信をもつことができよう。

 なお、付言すれば、大人の社会、教員の世界も、、その仕事(労働)に関しては、各人の能力・業績に応じて段階的な評価システムとなっています。
 
 年功序列が最近では批判されますが、「年」齢に応じた能力の発達、さらにその成長段階での業績(「功」)の上昇は、普通の人間のそれぞれの分野での大量法則としては、妥当するものです。わずかずつとはいえ、右肩上がりというのは原則的方向性です。

 「同一労働=同一賃金」の商品交換社会の原則は、各個人の労働の段階的成熟に応じて賃金に対応させ適合させるべきものであり、仕事(労働)とその対価としての賃金・給料の関係に、大数法則的には反映させるべきだということになります。

 成績評価における段階的評価は、能力とその発揮の段階的発達が大数法則的には貫徹している、ということをしめしているのではないでしょうか。

 もちろん、学生諸君のTOEFLの成績の上昇の度合い(英語力上昇の度合い)が、各人によって違うように、われわれのような大学教員でも、研究教育力の上昇の仕方は違うでしょうし、上昇のスピードも多かれ少なかれ違うでしょう。(社会一般に、同分野・同業種の人々との社会的相対的スペードの違いも問題となるでしょう)。
 その違いをどのように評価するか、これが、教員評価と給与制度の問題として、教員組合の検討対象に、そして、労使交渉の課題となっています。

 学生諸君もわれわれ教員も、そして一般の市民も、自分たちの努力(労働)とその成果が正当に反映される(評価される)ことを望む点で、その原則的な見地で、連帯しうるでしょう。
 ここにこそ、学生と教員の、そして市民の連帯の基盤があると考えます。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2007年01月16日 00:00 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年12月28日

横浜市立大、当局より新給与制度に関する考え方が提示される

横浜市立大学教員組合
 ∟●「教員組合週報」(2006.12.27)

当局より新給与制度に関する考え方が提示される

 12月27日午前、大学当局より、新給与制度に関する説明がありました。
 そこでは、「基本給」と「職務業績給」の2本立ての給与表となり、①「基本給」は経験年数により号数を上っていく(「年功」的やり方)、②「職務業績給」は経験年数に基づくことなく、評価制度の成績に基づき、号数を上下させる(その具体的なやり方は、組合との今後の協議事項であるので、今回は提示していない)など、抜本的な給与制度の変更案が示されました。
 なお、今回は全体像すべてが提示されたわけではなく重要な問題に関して未提示となっている点もあり、当局は1月11日に改めて追加説明をおこないたいとしています。したがって、現時点では組合として何ら判断しうる段階にはありませんが、ことの重要性に鑑み、当局の提示した資料も含め、上記の点を取り急ぎ皆様にお知らせいたします。
 今後も組合は、皆様からのご意見をいただくなど情報収集に努めると共に、当局提案を十分に分析検討し、当局との折衝・交渉を進めていくことになります。
 いつもの通り、どうぞ皆様のご意見を組合までお伝え下さい。

以上


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年12月28日 00:00 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年12月12日

横浜市立大、11月30日労使団体交渉の報告

『カメリア通信』第45号、2006年12月10日
大学改革日誌
 ∟●最新日誌、12月11日(2)-1経由

11月30日労使団体交渉の報告
 ――ひと筋の光り――

国際総合科学部
一楽重雄

 平成18年11月30日の団体交渉に,教員組合の一員として参加させていただいた.いずれ,組合から詳しい報告が出ると思うが,参加者のひとりとして個人的な報告をしたい.

 今回初めて団交に参加したが,幸運と言うべきか中味のあるものであった.最初に当局から回答があり,松浦副理事長が「来年4月以降の給与制度では,任期を認めない人も一緒に働けるようなものにしたい」と言い,「任期を認めなくても昇任させる」とこれまでの方針の変更を告げたのである.これを聞いて「一緒に働けるように」という表現が,素直に嬉しかった.一条の光りを見た思いである.あるいは,それは闇の中にゆれる一本の蝋燭に過ぎないかも知れないが,今後の闘いのなかで夜明けの光りにしてゆこう.

 「賃金には差をつける」とも明言した.これは市会からも追求されているからだろう,田中局長が力を入れて言ったのだった.組合側から,これに対して「そういうことになれば,今までに任期を承諾した人も再考できるのですね」と質した.それに対して,松浦副理事長は「そういう人がいれば,そうなるでしょう」と認める発言をした.ところが,しばらくしてから松山課長が「そういうことは考えていない」と,なんと副理事長の発言を否定したのだった.組合からは,それはおかしいと反論があがったが,これまた驚いたことに,今度は田中局長が「一度よく考えて決めたことを変えるというのはおかしいだろう,一部条件が不備だったとしても」というようなことを言った.

 ボタンをかけなおすことになったならひとつで終わりとはいかない.最初のボタンをかけ直せば,当然,次のボタンそして次のボタンとかけ直さなければならない.

 この経過は現在の大学を象徴するものであった.議員の一部に現実をみず机上の空論で「市大で任期を承諾した教員の率はどうか」などと馬鹿げた質問をする人がいるらしい.それにおびえて課長や局長は,副理事長の発言を公然と否定したのである.役人の世界でも下位のものが上位の発言を否定することは出来ない.副理事長が人事権を持っていないことから,上司という実感を持っていないのだろう.

 彼らはよき大学を作り出すことに意を使うのでなく,“関内”を向いて仕事をしている.彼らのおかれた立場を考えれば,これは容易に想像のつく.これまでも責任ある地位で無責任な「大学改革」を進めた人たちは,憲法に違反するようなことをしても,市民を裏切るようなことをしても,市長や副市長の意に沿いさえすれば,すぐに大学から転出し順調に出世している.このような人事を見ていては,本当に大学のこと,学生のことを考えて,本当の意味で市民に責任を持つ役人は稀有となってくる.

 今の大学にとって必要なことは,幹部職員を市からの出向ではなく固有職員とすること,そして公正な職員人事をすることである.職員の人事権を経営者が握らなければ,経営者がいくらがんばっても下が動かない.大学の自治を回復することと,この点が公立大学としての運営がスムースに運ぶための基本的な条件であろう.

 交渉でもう一点紛糾したことがあった.組合から「評価制度案」を一部の教員が作っているとの指摘に対して「意見のある人は,プロジェクトで発言すればよい,委員でない人は委員の人に意見を伝えればよい」ということを局長が発言した.これには私自身も「どの会議で,誰に言えというのですか」と机を叩きながら叫んでしまった.局長は「教授会,教授会というなら,自分たちで開けばいいじゃないですか」とさえいうのだった.これには組合側から「ここ数年の大学改革の実態を勉強してください」と注文がつけられた.課長レベルでも似たようなことを言う人がいてがっかりしたことがあるが,今回は局長である.大学に着任することになっても,大学改革の経過をまったく勉強しないのであろうか.

 その他にもいくつか言質が取れた.任期を更新しない場合の基準について「具体的に示しましょう」と副理事長は言った.また,任期の更新の条件について何も書かない契約は労働法に違反するのではないかと追及したところ「書くようにする」と課長が答えた.

 これからは労使交渉が重大な意味を持つことを実感した団体交渉であった.組合へのいっそうの団結を呼びかけてこの報告を終わろう.


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年12月12日 00:02 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年12月11日

横浜市立大、2年生半数 留年危機 英語力検定が壁

http://www.asahi.com/life/update/1208/009.html

2年生半数、留年危機 英語力検定が壁 横市大の学部

 横浜市立大学(横浜市金沢区)で、05年春に誕生した国際総合科学部の2年生の半数以上が留年の危機にひんしている。同学部の学生の英語力を就職時の売りにしたい大学が、英語力検定として国際的に使われているTOEFLで500点以上取ることを3年進級の必修単位にしたが、それが大きな壁として立ちはだかってしまった。

 「1年のときは余裕だと思っていたが、後がなくなりいまは必死。すでに進級をあきらめた友人もいる」。500点に達していない2年生の男子学生(19)は、大学の図書館やLL教室で連日英語漬けだ。

 「TOEIC600点以上」「英検準1級」でも進級を認めているが、1期生の2年生約740人のうち、到達した学生はまだ357人。

 商、国際文化、理の3学部を統合し、国際総合科学部を新設した大学は「国際社会で通用する人材の育成」を掲げている。「TOEFL500点」は英語教育の充実度を示す象徴として、学外にPRもしてきた。

 予想外の未達成者の数に、大学も頭を悩ませている。このままだと留年者が出るのは避けられないし、点数を緩めれば学部の評判が落ち、志願者減につながりかねない。このため、この夏には2週間で67・5時間もの補習を実施した。

 藤野次雄・国際総合科学部長は「TOEFL500点は専門知識を大学で学ぶうえで出発点でしかなく、基準は緩められない。勉強方法での支援しかできない」と話す。大学が今年度中に実施するTOEFLの検定は、今月16日と2月の2回のみだ。
     ◇
 〈キーワード:TOEFLとTOEIC〉 TOEFLは64年に始まり、世界で毎年約80万人が受験する。入学判定などに使う大学は5千以上に上る。インターネット版もあるが、横浜市立大学が使っている団体向けのペーパーテスト、TOEFL―ITPは最高点が677点。79年から始まったTOEICは英語のコミュニケーション能力を評価するテストで、最高点は990点。世界で年間約450万人、国内でも約150万人が受験し、約2600の企業や学校が採用条件や単位認定などに使っている。


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2006年12月07日

横浜市立大、人事の透明性 憂うべき実態

■横浜市立大学の未来を考える『カメリア通信』第44号
 2006年12月01日(不定期刊メールマガジン)
大学改革日誌
 ∟●最新日誌、12月5日(3)経由

学長ようやく回答
―人事の透明性 憂うべき実態

国際総合科学部
一楽重雄

 8月24日に教員有志で学長に提出した質問に対して,10月2日に回答を受け取ったが,30分の会談時間しかなく,内容の補足も含めて再回答することになっていた.4月に予定され7月に実施された昇任人事の透明性について疑問をなげかけた質問であったので,もう,先週再回答の催促を行った.その結果,一昨日(11月29日(水)),ストロナク学長,松山人事課長,渡邊人事係長の出席のもとで,以下のような文書が手渡された.永岑教授とともに,その後,一時間にわたって質疑応答を行った.  その中で,噂としては耳にしていたことを含めて,いくつかの点が明らかになったので報告したい.回答文については,末尾にそのまま収録する.

 学長との会談によって明確になったことは,今回の人事において,理科系の推薦者は昇任の候補者を絞らずに候補者を学長に推薦し,文系の推薦者は絞ったという事実である.このような齟齬があること自体問題であり,しかも,この事実も私たちの質問によってやっと明らかになった.このことだけでも「人事に透明性が確保されている」とは,言いがたい.
 理系の候補者を実質的に絞ったのは誰かという点を明らかにするべく質疑を行った結果,次のことが明らかになった.すなわち,理系においては候補者を絞るということではなく,順位をつけるということで実質的な絞込みを行ったということ,そして,それは人事委員会の下部機関である国際総合科学部部会において行われた,ということである.これは大きな問題である.「大学改革」によって人事の透明性を確保すると言うなら,「改革」以前に比べて透明性が高まっていなければならない.
 教授会に人事権があったときには,各学科等から推薦された候補者について,教授会内部に審査委員会をおき,そこで専門的な審査を行い,教授会において(ときにながながと)業績を紹介し,承認するということであった.確かに,社会全体には公開していないかも知れないが,大学運営の担い手である教員全員に対して,十分な情報が提供されていた.そして,何よりも大事な点は,専門の比較的近い人が研究論文を精査するというところまで,きちんと審査を行っていたということである.

 今回の人事では,たとえば,物理,化学,生物,数学といったおおまかな枠組みですら,必ずしも専門を同じにする人がいない,そういう大きな会議で順位付けを行っていることが明白になった.これで透明性や公平性が保たれているとは信じられない
 この点についての学長の見解は大変楽観的であった.「20年来,アメリカでも議論していることだが,私の見解は次のとおりである.専門外の人でも,教員として適当か昇任に値するか十分に判断できる.専門外であっても,専門の近い人から情報を取ることも可能である. ただし,すぐにできるというわけではない.経験を積んでいく中で,そのようなことが可能になる.」学長から,おおむねこのような趣旨の発言があった.
 大学の自治を奪って理事長に任命された管理職が人事権を持つこと自体,憲法違反であり,よい大学を作るのに百害あって一利なしと思う.仮に,その問題性をおくとしても,学長自らすぐにはきちんとした人事が出来ないということを言っているではないか.学長の期待するように,時間が経過すればきちんとした人事ができるのであろうか.それは,米国と現在の日本では相当に事情が違う.米国の大学では管理職が,その能力を競って大学間を移るという実態があると聞く.学長も市大の学長や学部長も公募すべきであると言っていた.しかし,日本では,ほとんど,大学管理職のマーケットなど存在しない.任期制もそうであるが,他の大学全体の状況と合わせて考えなければ,制度の意味するところは分からない.
 遠い将来についてはいざ知らず,現在市大の管理職がこのような力を持っているであろうか.私には,はなはだ疑問である.

 10月2日の回答では,「(自己申告書を作成せず辞退された方がいると聞いております)」との文が入っていたので,この事実についてどう考えているのか,と質問した.これについては,文面以上のことは把握していない,とのことであった.わざわざこういう文章を入れたのに,このような回答を平気でするのには正直恐れ入った


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年12月07日 00:02 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年12月06日

横浜市立大、昇任人事・教員評価制度問題の回答 新たな考えの提示

大学改革日誌
 ∟●最新日誌、12月4日(4)
横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2006.12.4)

最新日誌、12月4日(4)より

 12月4日(4) 教員組合ウィークリーが届いた(Pdf版)(教員組合HPにも掲載とのこと)。

 これによれば、任期制に関するきわめて重要な当局の態度(変更)が示された。「任期制に同意しないでも昇任」とのこと。

 これは、公立大学法人発足以前の公務員としての教員身分(昇任基準・手続き等、教育公務員の身分に付属する諸権利・諸保証)を確認するものとして、朗報である。法人経営者が責任ある自立的態度を確立しつつあるものとして、また、これまでの組合との交渉を踏まえながら、合理的合法的判断を示すようになったこととして、すなわち労使関係における正常化(の一歩前進)として歓迎したい。組合執行部の奮闘に感謝したい。

 将来への不安で困惑していた教員にとっては、今回の法人の態度表明は本学に留まって前向きに教育研究活動に専念する意欲を回復させる重要な要因となろう。、したがって、建設的な相互関係を構築していくことを可能にする重要な確認として、今後の多くの昇任候補者とともに、ひとまず、この一歩前進を喜びたい。

 それにつけても、当面の社会的経済的等の不利益をものともせず(いつこのような法人の態度変更があるかまったく分からない不安な状態で)、任期制に同意しなかった教員に、その筋を通したことに対して敬意を表したい。その筋の通った態度こそが、背後に控える数多くの教員の気持ちとあいまって、法人の態度を一定程度、合理的合法的なものに変化させたものと解釈したい。合理的合法的な態度は、法人経営においても大学の教育研究においても、構成員の健全な総力の結集において不可欠であろう。

 ウィークリーが伝える法人サイドの態度には疑問もある。
 任期制に「同意したもの」と「同意しないもの」との間には、賃金面での差別をつけるという。
 その場合、問題は、そのやり方が真に任期制の趣旨に合致しているかどうかである。教員の教育研究の活性化、意欲増進・実績増進につながるかどうか、そのことが問題となるであろう。北九州市立大学における実際では、教員評価のあり方が賃金や研究費に直接的に反映されるやり方は、高い評価を受けたもの(研究費増額のもの)にとっても不評である。

 その意味では、「制度に同意すれば賃金をプラスアルファする」ということが、はたして活性化につながるか、疑問である。良く検討してみる必要がある。ウィークリーから読み取れるかぎりでは、「同意か不同意か」が、各教員個人の研究教育の実績や活性化とどのように結びつくのか、提案の趣旨(内容)は理解しがたい。

 賃金の引き上げ(プラスアルファ)は、やはり妥当な実績(適正な評価)に基づかなければならず、「単に任期制に同意すれば賃金がプラスアルファ」というのは、法人の政策に「同意する忠実・従順なものには褒美をあげる」ということになる。そうであれば、活性化というよりは、従順さ・忠実さのみが評価基準ということになりはしないか。教育研究の実績との関係はどうなっているか?

 今回示された提案(あるいは構想)は、教育と研究の実績を上げるということ、その意味での活性化の手段の一つという制度・法の趣旨に合致しているとは思えないが・・・。教育研究における実績ではなく、管理体制・「お上」への従順さと忠実さがプラスアルファ評価の対象となるとすれば、大学は堕落するであろう。真の意味での活性化とは正反対となろう。

 任期制に同意し、種々の管理職に任命されているものは、すでに管理職手当てとして、プラスアルファが出されているはずである(ただし管理職手当ては一般のこと、任期制導入以前からのもので、管理職「在職中」・管理職「任期中」のプラスアルファだが・・・したがって本来は「任期制への同意」の有無とは関係がないはず、・・・その意味では「任期制への同意」を管理職任命に結び付けているとすれば、公務員時代に比べて、管理職任命における不利益措置である、それとも任期制に同意した管理職には、同意しない管理職に比べてプラス・アルファがあるのか?)。その管理職手当てと見合うような意味での教育・研究専念教員の業績(研究・教育実績)が適切に判断できるかどうか、といったことも問題になりうる。管理職は、教育負担を軽減されており、その負担軽減は実質的には彼らへのプラス評価となっている。

 とすれば、管理職負担にともなう担当コマ数削減(給与の実質プラスアルファ)に見合って、教育における負担コマ数の多いものが実績としてプラス評価されるということも必要となろう。そのためには、まず、負担コマ数の基準・平均(受講者数なども勘案する必要があるかもしれない)も確定する必要があろう。何故なら、この間、不安定な雇用関係、不安定・不確実な昇任基準(制度)、不安定・不確実なカリキュラム体系(移行期における問題)もあって、かつて確立され了解されていた負担に比べて過剰に負担している教員も見られる。しかし、その過剰負担に関して、プラスアルファが支給されているという話は聞かないのである。かつて、私学に在職していた時の経験では、ノルマ(基準コマ数―4コマ)を越えるコマ数は、オーバータイムと評価され、一定額のオーバータイム手当てが支給された。私学においてはごく普通のことであろう。それはまた普通の職員(管理職以外の職員)における残業手当に見合うようなものである。

 以上でもなお、研究実績に見あうプラスアルファをどのように評価するかということが問題として残る。いずれにしろ、教員組合での真剣な検討を期待しよう。


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2006年11月22日

憲法違反の横浜市立大学改革、「学問の自由」の破壊

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●学問の自由、『憲法』(第三版) 芦部信喜(岩波書店、2002年)より抜粋(2006.11.20)

学問の自由、『憲法』(第三版) 芦部信喜(岩波書店、2002年)より抜粋(2006.11.20)

 中田市長および配下の横浜市官僚が強権的におしすすめた《大学“敵視”政策》により、横浜市立大学では、数学や語学などの基礎的学問が強引に廃止もしくは大幅に縮小させられた。また、教授会を実質的に消滅させて人事権を教員から剥奪したうえに、“全員任期制”を強要して教員の身分を不安定な状態に追い込んだ。このような「学問の自由と大学の自治」に対する行政権力による蹂躙が制度化・常態化した現状では、もはや、横浜市立大学を普通の“大学”と呼ぶわけにはいかないだろう。しかも、嫌気がさした教員が大量流出した結果、教育・研究環境が急速に劣化したにもかかわらず、学費を値上げしてさらなる負担を学生に強いるのだという。

 以下に、『芦部憲法』から「学問の自由」についての解説箇所を抜粋し、横浜市の《大学“敵視”政策》の違法性・無法性を再確認しておく。

学問の自由、 『憲法』(第三版) 芦部信喜(岩波書店、2002年)より抜粋(2006.11.20)
学問の自由(第八章 精神的自由権(一)――内心の自由 三)

……

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横浜市立大、TOEFL500点問題 そこまで教員集団を無視できるのか?

大学改革日誌
 ∟●最新日誌、11月21日(2)

 11月21日(2) 本学のTOEFL500点問題は、全国的にNHKやフジテレビでも報道されたという。高校や中学における必修科目の未履修問題とも関連し、また全国の受験生の関心事でもあることから、そのような取り上げ方となったのであろう。高校世界史問題もそうだが、そもそも実態・学生生徒の現実からかけ離れた無理なことを「上から」「外から」決めるから、こうしたことが発生するのである。制度設計の官僚主義、上位下達主義、センセーショナリズムなどが、問題の背景にあるだろう。センセーショナルな「全員任期制」の打ち上げ(大学教員任期制法の曲解と立法趣旨・付帯決議に反した適用)、その現在への継続としての昇任者差別(教員組合団体交渉要求書、参照)も、根っこは同じである。

 そもそも、TOEFL500点進級基準をどこで決めたのか?(この問は、だれが、どこで、いつ審議して、変更を決定するのか、あるいはこのままでいくとの態度をとるのか、という問題と関連する。その意味で決定的に重要な問いであろう。)

 教員組合をはじめとする現場教員の幾多の反対を押し切って500点進級基準を前提にしたままで、これまで本格的検討が行われなかったのはなぜか、こうしたことが問題となる。現場の教員は沈黙していたのではない。

 現場の教員が現在の500点基準を抜本的に見直すように求めていく方法としては、代議員会での検討、そこでの決議、といったことがあろう。だれが、どこで決めるか分からないままで放置しておくことは許されないであろう。その審議と決断は、学生の将来計画などを考えるとき、時間的余裕はないと思われる。この問題でこそ、現場教員の責任と権限のありかたを再建しなければならないだろう。代議員会の教授会機能の復権、教育研究事項に関する自治の再建である。……


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2006年11月21日

横浜市立大、学費値上げなどできる状況にあるのか

大学改革日誌
 ∟●最新日誌、11月21日(3)

11月20日(3)

 「全国国公私立大学の事件情報」に、市大新聞ブログの記事(学著インタヴュー)が掲載されており、それを通じて、本学の学費改定(値上げ)が市議会で認められたことを知った。この学長の答弁(新聞記事の発言、その日本語・・新聞記者が大体において正確に発言を記録しているとして)をみるとき、はたして、TOEFL500点の一律基準の学生への強制が日本の大学で妥当なのかどうかを改めて感じる。

 それはさておき、この間、国際総合科学部の教員の大幅な減少から考えるとき、少なくとも国際総合科学部に限っていえば、教育研究面の条件(その低下、教員数の大幅な減少)から推測する限り、果たして値上げなどできる状況にあるのか、不思議である。また、「任期制」強要問題とも関係し、教員の「やる気」がどうなっているか、見えないところで低下しているのではないか、といった要因も考慮する必要がある。学生諸君が充実した教育を受け、その結果が社会に出て発揮されるという長期的な成果(本当の成果)こそが検証されるべきだが、それは、2年か3年の中期計画では視野に入ってこないし、その中期計画だけを前面に掲げているような人の眼には見えないし、そもそも思考の中、問題関心の中にも入ってこない。学費改定の理由書・学長の説明はどうなっているか?

 教員組合はどのように対応しようとしているのか? 団体交渉でのやり取りに期待したい。

 かつてならば、学費改定は教育研究の条件整備で非常に重要な問題なので、教授会において議論され、少なくとも意見聴取は行われていた。今回は、そのようなことはなかった。そもそも教授会マターではない、ということなのだろう。だが、それは本当か?教育や研究の条件・環境に関して、その現場を担う教員・研究者の声がきちんと聴取されないで、うまくいくのか? 


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横浜市立大、教員組合 昇任人事・教員評価制度についての団交要求

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合週報(2006.11.17)

団体交渉申し入れ書

……

二.教員昇任人事および関連事項に関する要求

(1)昇任人事について
 昇任審査で資格要件を満たしていると判定された教員が、任期の定めのない雇用契約から任期つきの労働契約への変更に同意しないことを理由として、昇任発令を受けられないという事態が発生している。任期の定めのない者の昇任に際して、新たに任期つきの雇用契約に応じなければ昇任を認めないという考え方は社会通念から著しく乖離しており、違法性が高いことを当組合は繰り返し指摘してきた。この事態は当該教員自身に多大な不利益をもたらしているだけでなく、本学の教育研究組織構造に歪みと混乱を生じさせているので一刻の猶予も許されない。昇任有資格者と認定された者に対して、任期制受け入れの諾否に係らず速やかに昇任の発令をすることを求める。

……

三.教員評価制度に関する要求

 8月15日に当組合が提出した「教員評価制度に関する質問事項」に対する9月1日付当局回答(以下、「当局回答」とする)の内容は、質問内容に対応した回答を避けている点が多々見られるとともに、回答内容に曖昧さが残るなど、きわめて不十分なものと言わざるを得ず、この回答内容をもってしては到底納得しうるものではない。このような状況では、本格的な試行をおこなう上で必要な前提条件が整ったとは言えない。にもかかわらず、今回当局が「試行」を強行したことは極めて遺憾であり、今回の「試行」は本来的な意味での試行と認めることはできない。
 ここに改めて、以下の点につき質問をおこない、それに対する誠意ある回答を求める。…


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2006年11月20日

横浜市立大、学費値上げ

横浜市大新聞 ニュースブログ
 ∟●学費値上げ 学長が本紙単独インタビューに応じる

 本学の学費が値上げする。授業料は学部では7~10%の引き上げとなり、公立大学平均を超える事になる。本紙が学長に単独インタビューを行った。……

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2006年11月16日

横浜市立大、TOEFL700点に象徴されるような改革にどんな理念があったか

公立大学という病:横浜市大時代最後の経験

06/11/15 横浜市大のTOEFL問題。遠く四国にまで聞こえてきているのだから、首都圏では蜂の巣を突いたような騒ぎになっていることだろう。
 さて、当時教授会で500点は厳しすぎると声をあげていた英語の先生(1年程前の雑記で触れた先生)が今年になって他大学に移られていたことを最近知った。確かその人はパーティーか何かの席で当時の理事長予定者にも諌言したが、まともに相手にされなかったと聞いている。それから2年半がたって、どちらの側に非があったのが明らかになった。
 と書いたところで、こんなブログの記事を見つけた。わけ知り顔で書いているようだが、大学を腐食させている奴らの底の浅さが滲み出ていて、いと哀し。TOEFL700点に象徴されるような改革に、いったいどんな理念があったというのだろうか。

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URL : http://university.main.jp/blog3/archives/2006/11/toefl700.html

2006年11月09日

横浜市大厳しすぎた? 進級要件 2年生半数超 留年の危機

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20061108/eve_____sya_____005.shtml

 昨春、地方独立行政法人となった横浜市立大学(横浜市金沢区)の看板学部とされる国際総合科学部で、半数を超す二年生がこのままでは三年への進級が難しい状態に陥っていることが八日、分かった。進級の要件として「英語運用能力テスト『TOEFL』五百点以上」が新たに設けられたためで、大学側は「予想以上に厳しい状態」と頭を痛めている。……

[同ニュース]
2年生の半数が留年危機 横浜市大・国際総合科学部

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URL : http://university.main.jp/blog3/archives/2006/11/post_2256.html

2006年11月02日

横浜市立大、ずるずる放置しておいていい問題ではない

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●《ずるずる放置しておいていい問題ではない》 “TOEFLとTOEICの区別もついていない役人がつくった制度”が破綻寸前 永岑三千輝氏大学改革日誌2006年10月30日付 (2006.10.31)

《ずるずる放置しておいていい問題ではない》 “TOEFLとTOEICの区別もついていない役人がつくった制度”が破綻寸前 永岑三千輝氏大学改革日誌2006年10月30日付 (2006.10.31)

http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/SaishinNisshi.htm

10月30日 「全国国公私立大学の事件情報」に、TOFFL問題に関する市大新聞ブログの記事が紹介されている。

英語力強化の一つの手段として、TOFFLを活用すること、平行してTOEICを活用すること、こうしたことに異論はない。まさにプラクティッシュな英語力の養成の一つの有力な手段であり、達成度確認に相応しい一つの手法であろう。しかし、やり方が大学らしいものであるかが問われる。大学の見識が問われる。本学の「オンリーワン」のやり方が、はたして妥当か。

たとえばTOFFLが対象とするのはアメリカの大学での講義を受ける前提としてであり、その試験内容、設問は、大学における学問諸分野の教養的力量を試すものとなっている。それはアメリカの大学で教育を受けるためには必要かもしれない。他方で、TOEICの場合、基本的なビジネス向けの試験問題もけっこう多い。私がこの間、市販の模試を調べてみた限りでは、株や金融に関する問題も多い。はたして、日本の大学で、たとえば理科系にすすむものにとって、これらは必要なものかどうか、どこまで検討しているのであろうか?他方、文科系に進む学生にとっては、分子生物学に関連するような設問など自然科学系のものも結構ある。その英語力があればもちろんいいが、どこまでそのような他分野に関する英語の知識が求められるのか?500点(TOEICだと600点だという)を基準として決定した人々はそうしたことを説明する責任があろう。一方における基準の画一主義と他方における大学の本来の講義の体系・やり方との整合性が問題となろう。

ブログの記事が指摘する「出席率」問題はそうした根本問題のひとつの現象にすぎないであろう。その後の出席基準の変更問題もそうであろう。

問題はいよいよに詰まってきたということであり、当初の決定のあり方、その後の一連の決定、諸措置の流れ全体が、検証される必要があろう。

ずるずる放置しておいていい問題ではない。留年という事態は、学生の一生のあり方に関係するものである。留年は、英語以外の大学の講義のあり方にも大きな影響を与えるものであり、学生諸君の勉強の計画、留学計画、休学のあり方、生活問題など広範な問題を孕んでいる。それが大量ということになれば、大学のカリキュラム体系全体への影響は計り知れない。

筋の通った合理的解決と説明がもとめられるだろう。

だが、どこで? 教授会はそもそも開催されていない。

毎月一回の代議員会では、私の知る限り、代議員側からのの問題提起はあっても、審議されることはないという。

審議決定権をもつと思われる教育研究評議会、財政的人的措置を講じる経営審議会等の責任ある対応が求められるであろう。

どのような検討が行われているのか、われわれ一般教員には知るよしもない。

(関連文書)

横浜市立大、これが学生本位か 「全国国公私立大学の事件情報」(2006.10.30)
05/12/20教員集会報告 『横浜市大は立ち直れるか?―独法化後の状況を検証する』 横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー(2006.1.11) より抜粋

《続いて英語担当教員から、英語教育の現状について報告しました。独立法人化された後の新入生に全員一律にTOEFL500点以上クリアしなければ、進級させないという目下の至上目標の由来は、現場担当者の立場から改めて報告されました。提案は語学の意義を必ずしも十分わかっていない人の思いつきによってされたこと、一般教員の意思を無視したこと、目標達成の無意味さをわかってありながら、突進しなければならないこと、その目標のために、学生が語学学校の会話講師を「プロ」と呼び大学の英語教員を無能に思っていたこと、などの問題点が明白になりました。この議論から、考えさせられた点は多い。市大の問題は必ずしも研究教育に関する知恵を欠けているために発生したものではありません。むしろ、これまで蓄積された知恵がことごとく無視され、否定されており、ごく一部の人の思いつきに近い提案は、正常な意志決定過程を経ないでそのまま金科玉条になったところに問題がありました。このようなシステムでは、大学はよくならないでしょう。》

教員集会 学生からも意見 「横浜市大新聞 ニュースブログ」(2005.12.23) より抜粋

《英語担当の岩崎徹準教授は、新一年生の問題点として、進級要件の英語のハードルの高さを指摘した。国際総合科学部が3年次への進級条件として設定したTOEFL500点は大部分の学生が到達できず、来年度には600人程度が最履修する予定だという。英語授業は出席状況が極めて悪く、状況を聞いた参加者からは「ひどい」との声も上がった。岩崎準教授は、TOEFL500点という目標は「必ずしもはっきりしたデータに基づくものではない」とも指摘。どのようなデータを基に、なぜ500点か、大学当局側から明確な回答はなかったという。》

05/12/20横浜市立大学「教員組合集会」の報告 永岑三千輝氏『大学改革日誌』(2005.12.21)

横浜市大の進級制度、“TOEFL500点”問題で破綻――制度設計の責任者二名は、“水道局に栄転”で知らん顔 AND 次期“学長候補?” 「公立大学という病」更新雑記(2005.11.2) より抜粋

《最近、複数の市大の関係者から、TOEFL500点をとらないと3年に進級できないとした新学部での方針が破綻しつつあるとの話を聞いた。まあ、無理もないであろう。TOEFLとTOEICの区別もついていない役人がつくった制度なのだから。市大時代の最後の頃に、新学部のカリキュラム作成委員として作業にたずさわらされていたとき、上(現副学長と当時の企画課長)からの方針だとして、TOEFL700点以上でないと進級させないという案が下りてきた。委員一同、唖然とした。600点で米国の一流大学もパスできるといわれるTOEFLで、700点はありえない。これはTOEICの間違いのはずだ。ちゃんと確認してくれと皆が騒いで、次回にはTOEFL500点に訂正されて帰ってきた。市大生なら500点位は大丈夫かなと思っていたのだが、教授会か何かの席で、英語の先生が、「500点だって留年する学生が多数でるだろう」と反対の声をあげていたのも覚えている。大学教育や、市大生の水準とかを全く知らない連中が作った案が、中期目標や中期計画として大学に押しつけられる。確か、TOEFL700点をぶちあげた役人は、その後水道局あたりに栄転されたそうだ。奴らは中期目標を達成できなかったとしても責任を問われることもない。大学の教員にその尻ふきをさせればよい位にしか思っていない。なんともお気楽な商売だ。》

横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー (1)学長候補者への公開質問状、(2)全大教の研究集会でTOEFL 問題の報告:「一体これからどうするんですか」(2005.10.28) より抜粋

《私は、横浜市立大学の改革の基本的性格とその経過を簡単に報告した後、現場教員の反対を無視して強行された今回の「TOEFL500点進級条件を前提とした英語教育」の現状について報告しました。都立大学の方も含め参加者からの反応は、「一体これからどうするんですか」という、驚きの声でした。ただただ飽きたといった反応とでも言ったら良いでしょうか。 私は、現場を無視してこの方針を強行した当局こそが責任ある対応をすべきこと、組合としては、現場教員の責任追及にはさせない立場を貫くことを確認していると発言し、参加者から強い支持と励ましの言葉をいただきました。》

横浜市立大学教員組合週報(組合ウィークリー) (1)第二回の団交を申し入れています、(2)学長選考・任命に当たっての教員組合の見解、(3)いわゆる「TOEFL500点問題」について、(4)時間外労働に関する労使協定の更新(2005.10.11) より抜粋

《教育現場の専門家の常識では、週3コマの授業で、従来の横浜市立大学入学可能な語学力水準の学生全員にTOEFL500点を突破させるというのは,現実的な想定であると言い難いものです。しかも今回の制度では、学生の出席が義務付けられず、成績も評価されないため、学生の出席率は予想外に悪く、3分の1程度のクラスもまれではなかったようです。 このような条件の下での目標達成が極めて困難だと分かっていながらも、英語の先生方は、学生のためと信じ、必死に学生の出席を促し、さまざまな努力を繰り返してきました。予想外の事態が続き、多くの英語教員の事務作業量も激増しています。「もう疲れ果てたというのが本音だ」と漏らす先生もおられます。しかし、一部には、「このプログラムがうまくいかないのは、英語教員の教育能力や方法に問題があるからだ」という心無い声も聞こえてきます。とんでもないことです。》

横浜市立大学、現場の教員に単位認定権を与えず外部試験を進級・卒業要件にすることの問題性 永岑三千輝氏『大学改革日誌』(2005.10.5)

横浜市立大学教員組合週報  組合ウィークリー(2005.8.2) より抜粋

《英語教員の教育活動に対して大学教員にふさわしい権限(単位認定権、成績評価権)を与えるべく改善策を提示することをもとめる。・・・現在英語教員は、現場の反対を押し切った「改革」に基づく授業を担わされ必死の努力を行っている。「改革」そのものを見直すことについて、今後現場の声を聞いて送球に検討されるべきである。それはさておき、大学教員に単位認定権、成績評価権を与えずに強制されている現在の教育労働は、大学教員の教育活動に対する尊厳の無視に当たり、早急に改善策が示されるべきである。》


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2006年10月30日

横浜市立大、これが学生本位か

横浜市大新聞 ニュースブログ
 ∟●3年次進級条件 クリア5割

3年次進級条件 クリア5割

 本紙調査の結果、2年生の内TOEFL 500点を達成している学生の割合が53%である事が分かった。TOEFL 500点は国際総合科学部生の3年次進級要件。現状が続けば現2年生の大量留年に繋がる。

……(中略)……

「英語を重視します」。きれいごとだけ発しておいて、授業運営の失敗についてはまるで説明しない。これは受験生に対してフェアでは無い。まして留年という形で初年度の学生に英語教育の失敗の責任を転嫁するつもりか。学生を無視した、大学中心の論理が見えてならない。


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2006年10月26日

横浜市立大学、教員評価制度 教員向け説明会について

大学改革日誌
 ∟●最新日誌、10月25日

 10月25日 一昨日、メールで教員評価への参加を呼び掛ける事務局からの連絡が届いた。今朝は、ボックスに印刷物が入っていた。

 事務局主導、ということか。あるいは事務局にそうしたメール発送、ついで文書配布を指示した上位者がいたのかどうか。

 巷で不思議がられていることは、「提出期限を11月上旬まで延ばす」ということが、突如としてこのメールで告げられたことである。その判断は誰がしたのか。また、そもそも、「期限はいったいいつまでだったの?」と。また、いつまでという期限を切った提出要請が仮にあったとすれば、誰がいつの時点で、どのような文書で、誰に対して行ったのか、といったことが不思議がられている。一般教員は狐に包まれたような状態である。

 説明会への参加が自由であり、教員評価システムが十分な検討を踏まえたものではないことから、たんなる「試行」であって、参加は自由である、というこれまでの当局のスタンスからすれば、そうした不安定なシステムに乗ってみようという人がどれくらいいるのか。なかには、不安定でひどい内容だということを確認するために、あるいは評価者を評価するために、評価者がどのようなことを言うのか確認するために〔その発言次第では学問の自由を阻害する問題も発生しよう〕、ひとまず参加してみようという人もいるかもしれない。

 そもそも現状・現段階では不安定なシステムに安易に乗るべきではないという教員組合のスタンスは、すでに公開されているとおりである(教員評価制度問題に関する見解)。

 第一次評価者、第二次評価者という権力・権限を「上から」「外から」与えられている人びとが、はたしてその職務にふさわしいのかという点も、多くの人が問題としているところである。まさにピア・レヴューが求められるゆえんである。ところが、肝心のピア・レヴューのシステムはなにも整っていないという。これは恐るべきことである。あるいは、研究についてだけピア・レヴューが整っていないという言い方もされている。これまた安易な言い方であり、問題だろう。

 評価するものが評価される。評価する人が、教育研究においてどのような計画・目標を立てているか、言葉だけでなくその実績を示しているか、その説明責任を果たしているか、どのような手段・方法をもってか説明責任を果たしているかなどが、評価者を任命する各段階の権限・権力者、法人内部に限ってみても上は理事長にいたるまで、検証されなければならない。評価者の評価は文書で、反証可能なように明確に示されなければならない。そして、それに対する不服申し立て、異議申し立てシステムは、「試行」とはいえ、必要不可欠である。そうでなければ、不利益措置等を恐れての、評価されるものの奴隷化がはじまる。それはまたそれで、システムの根本的欠陥を意味する。

 民間会社の成果主義において問題となるのは、まさに評価者の力量であり、利害関係である。権力・権限だけ与えられて、しかるべき評価の力量がないとすればどうなるか。そのあり方で、組織全体が沈滞し、不満が鬱積し、空気がにごってしまう。結局、全体として、マイナス効果を生み出すということになる。数年でいなくなる人が権力・権限を持てば、その結果はどうなるか。

 教授会という自治組織において、その権限と責任が明確に規定してあれば、そしてそこでの審議を踏まえ決定したものであるならば、しかるべき内面的拘束力がある。行政主義的に「上から」「外から」命じられたこととは違うからである。そもそもそうした審議機関としての教授会が、一般教員にとっては存在しない状態なのだから、決められたことは「上から」「外から」という外在的・外発的なものでしかありえない。ここにも、現在の学則の問題点〔しかしさらに当面その運用における自治の実質化を志向しない問題点〕が露呈しているといえよう。

 いずれにしろ、当局作成の文書には「自主的」といった言葉が出ているが、現実には、評価の対象となる一般教員の内発的内面的な「自主」とは違うであろう。すくなくとも、教員組合のスタンス(教員評価制度問題に関する見解)からすればである。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年10月26日 00:03 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年10月23日

「公立大学法人横浜市立大学の教員評価制度」に関する教員説明会

横浜市立大学教員組合
 ∟●教員組合週報、2006.10.20
大学改革日誌
 ∟●最新日誌、10月20日(2)

「公立大学法人横浜市立大学の教員評価制度」に関する教員説明会-組合員からの報告・意見―

「公立大学法人横浜市立大学の教員評価制度」に関する教員説明会が、大学当局により9月中旬から10月中旬にかけて各キャンパス、病院、センターでおこなわれ、組合員の方々から報告・意見が寄せられました。

以下に、その一部を掲載いたします。
* * *
(その1)

教員評価制度に関する当局の説明会が各キャンパスで実施されてきましたが、その出席状況は瀬戸キャンパス、福浦キャンパス(医学部)ともに2回合計で100名足らずの低調ぶりだったようです。瀬戸キャンパスの第1回説明会にそくして当局の説明を要約すると次のようなものでした。

<ストロナク学長>

今回の教員評価制度案は完成版ではない。試行を重ねながら進化させてゆく。本学においては研究と教育、学生のニーズ充足のバランスが大切である。各教員が自己の強みと弱点を、第三者の目を通して客観的に知り、研究教育能力向上に役立てることが教員評価制度の目的である。ピア・レビューPeer reviewの実施の見通しは立っていないが、試行実施段階に到達したと判断した。中期計画に記載された時期よりもすでに遅延しているので、すぐに試行を実施したい。

<松山人事課長>

関係人事制度について、現在の検討状況を情報提供という形でお伝えする。

●試行の後、評価制度を本格的に実施する。評価結果を年俸、任期更新など処遇に反映させるが、そのタイミングについては試行結果などを見ながら今後検討する。
●年俸制について、従来任期中は基本給一定と説明してきたが、この点について再検討中である。すなわち、基本給部分は任期途中においても経験年数で変動するよう検討している。
●教員一人ひとりのレベルアップが大学全体の業績に結びつくように、優れた業績を上げた教員については積極的な評価を与え、モチベーション向上に役立てる。
●助手の任期は3年2期としていたが、5年2期ないし3年3期とするように見直し作業中である。
●学校教育法の改正に対応する作業を進めている。

<神内人事係長>

配布物に記載した内容で試行を今秋実施したい。できるだけ多くの参加者を期待する。評価結果は個々の参加者に通知するが、公開はしない。評価結果に関する不服申し立てについては今後の検討課題である。

<質疑応答における学長、馬来副学長の発言要旨>

試行への全員参加が原則だが、今回については自由参加とし、できるだけ多数の参加を期待することにする。ピア・レビューは今回できないし、来年についても未定である。現時点で評価制度のシミュレーションが十分できているとはいえない。個々の教員の研究に関する評価は別として、教育、診療、地域貢献については大学当局が定める組織目標に基づいて評価できる。評価制度が円滑に機能しているかどうかについては法人評価委員会で検討されることになる。

<感想とコメント>

当局は今回説明した評価制度案は未だファイナル・バージョンではないことを繰り返し強調した。今秋に試行を行い、その結果を踏まえて修正版をつくり、新年度に本格実施する方針を強く示唆した。

教員組合が9月上旬に提出した今回の評価制度案に関する質問事項に何らまともに答えないまま、試行を強行し本格実施に結び付けようとする当局の姿勢は拙速かつ理不尽と評さざるを得ない。

当局は評価結果を賃金や任期更新などの処遇に反映する予定であることを明言した。それにもかかわらず、評価基準など制度の根幹に関わる内容を明示しないのは制度導入における労使間の信義原則に反している。

評価の具体的な基準、評価者研修の内容など制度の前提条件が不明確なままでは、被評価者の教員は評価シートにどのように記入するべきか疑心暗鬼にならざるを得ない。

当局の説明を聞く限り「記入対象となる項目は列挙してあるが、全項目について記入しなくても良い。教員の自主的判断で自由にシートに書き込んでくれれば良い」というように聞こえた。そして記入された内容をどのような基準で評価するかについては何の説明もなかった。被評価者の教員だけでなく、コース長等の第一次評価者もさぞお困りのことと想像される。要するに制度の根幹部分は未だに白紙状態に近いと断ぜざるを得ない。

公正性・公平性・透明性といった制度の正統性に関する原理的な説明は欠如していた。このような形で試行から本格実施へ突き進むとすれば、被評価者である教員の理解や納得が得られるはずがない。したがって制度の円滑な運用などはとても不可能である。

人事課長から年俸や任期に関するいくつかの点で「飴」の要素が検討されていることが「情報提供」された点は注目される。しかしこれは、評価制度の導入によって「鞭」を振るわれる教員の激痛を多少緩和する程度の意味しかもたないであろう。さらに本質的に言えば、上記の「飴」はそもそも教員評価制度の関連事項扱いで「情報提供」するような筋合いのものではないはずである。年俸制の設計がないまま給与を固定している現状は理不尽というしかない。

説明会に参加して明確に理解できたことは、中期目標に掲げた「教員評価制度」を計画通りに「実施した」ことにしたい当局の姿勢だけである。このような当座しのぎのやり方は大学の将来に大きな禍根を残すことになる。このままでは本学教員が安心して研究・教育に取り組むことが非常に困難になることは確実である。

その後、大学ホームページに最近掲載された学長をはじめとする各段階評価者たちの「目標」をみた。同僚に言われてはじめて知った次第で、まだ読んでいない人も多いだろうと思われる。コース長など第1次評価者の中には未記入の人もあり、足並みの乱れを感じさせた。また、各評価者が掲げる「目標」は多くが抽象的で、それをふまえて「目標シート」に何をどのように書くべきか、戸惑いを禁じえなかった。学部長、コース長は教育現場にも関わる人たちでもあるのだから、まず自分たちの「目標シート」を作成して例示するべきであろう。同時に評価者としての評価基準も提示すべきである。各教員に「自由に」記入させて提出させ、その後考えると言うのでは公正で透明な制度とは言えず、被評価者たちの納得を得ることはできないであろう。そもそも平成18年度の「目標」を10月に示し、評価基準も不明確なままで各教員に「年度計画」の立案を命じ、12月に自己評価シートを提出させ、その後で段階的に相対評価を導入して評価結果を出し、各教員に通知するが、不服申し立てへの対応システムは未定などというスケジュール自体が常軌を逸している。教員の心配や懸念を放置したままでは、本格的な制度試行の前提条件が整ったとはいえないことを当局は肝に銘じるべきである。
* * *
(その2)
10月2日(月)の教員評価説明会に出ました。教員の参加は少なく、閑散としていました。説明のあと何人かの教員が質問したり発言しました。ある教員が平成19年度の評価結果を20年度の処遇に反映させることがあるかと質問しました。馬来副学長がそのようなことはないとくり返し言明していました。(処遇に反映させる場合、どのように行うかは重大問題なので、民間企業でもかなり時間が必要で、あたりまえのことですが)。人事担当の言うことはあてになりませんが、馬来副学長の発言なので、あてにしたいところです。
* * *
組合員の方々から寄せられたこれらの意見が示すように、当局が提示してきた教員評価制度は評価の対象となる内容、導入方法に、決して無視できない、大きな問題を含むものです。組合執行部では引き続き、この評価制度の導入に慎重に対処していきたいと考えています。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年10月23日 00:05 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年09月13日

横浜市立大学教員組合、教員評価制度問題に関する見解 「安易かつ拙速な「試行」実施に反対する!」

横浜市立大学教員組合
 ∟●教員評価制度問題に関する見解

教員評価制度問題に関する見解

2006年9月11日
横浜市立大学教員組合

教員評価制度の安易かつ拙速な「試行」実施に反対する!
教員の皆様は、今年度後半に予定されている
「試行」に参加する必要はありません!

 教員評価制度のあり方は、給与、昇任・再任など処遇への反映にも直結します。
 杜撰な制度設計に基づく「試行」は、大学を大混乱に陥れる危険性があります。

 大学当局は、「教員評価制度」に関する教員向け説明会の開催(9月中旬から10月中旬にかけて)、および今年度後半における評価制度の「試行」を予定しています。
 教員組合は、当局から示された評価制度実施案を検討したところ、その内容においても、また前提条件の準備や実施手続きに関しても、きわめて多くの問題があるため、8月15日、当局に対し本件に関する質問書を提出しました。9月1日、これに対する当局からの回答がありましたが、その回答内容の多くは、当方の質問に対しほとんど応えていない、きわめて不十分なものと言わざるをえません。
 現在の評価制度実施案は、かえって大きな弊害をもたらしかねないような、内容的にきわめて不適切な点が依然として多く残されたままであること、評価制度の前提条件とすべき環境整備も未だほとんどおこなわれていない状況にあることが、この回答書から改めて明らかになっています。
 直近に予定されている教員説明会に関しても、各教員からのさまざまな疑問や問題点の指摘が十分に勘案されていく保障は、今のところ何ら明確にされておらず、これまでの事例に見られるように、事実上、教員説明会が単に一方的に教員に対し情報伝達するだけの「儀式」に終わってしまう危険性もあります。
 また、今回当局が実施しようとしている、今年度後半における「試行」(長く見ても半年間、実質的には3ヶ月程度)は、評価制度案が実施の1サイクルを1年間(準備やその後始末を入れれば、1サイクル完了まで実質的には1年数ヶ月の期間)でおこなうことを想定している点との整合性を、全く認めることができません。
 このように、内容的な不適切さ、前提条件整備の不完全さ、実施に至るまでの手続き上の不十分さ、そしてタイムスケジュールの面での矛盾などは、教員評価制度に関する当局側の姿勢が、きわめて安易かつ拙速なものであることを示しているものであり、多くの問題を積み残したままで今秋から「試行」をおこなったとしても、本来的な試行としての意味を持ち得ません。教員組合は、もし評価制度を導入するというのであれば、計画通りの期間枠で、最低限でも1年間をかけてしっかりとした試行をおこない、あらゆる問題点を洗い出し修正した上で導入することが、必須の条件であると考えています。
 このままでの拙速な「試行」の実施は、今後にさまざまな面で大きな弊害をもたらしてしまう危険性さえあります。多くの教員が安易に「試行」に参加してしまうと、多大な問題を残したまま「実施」に移される可能性を高め、そうなると事態は一層混乱することは確実です。
 今回の「試行」にあたり当局は、「試行」への参加は強制ではなく、あくまで各教員の任意であることを前提としている模様で、今回の「試行」へ参加するか否かは、各教員に対する処遇とは何ら関係はありません。
 教員の皆様におかれましては、上記の点をお考えの上、「試行」への参加に関し慎重な対応をお願い申し上げます。

以上


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2006年09月07日

横浜市立大学、教員評価制度に関する質問書に対する当局の回答

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー2006.9.6

教員評価制度に関する質問書に対する当局の回答が手交されました

 先の組合ニュースでお知らせいたしましたように、教員組合は8月15日、教員評価制度に関する質問書を当局に提出しましたが、これに対する当局側の回答が9月1日に手交されました。
 その回答内容の多くは、当方の質問に正面から答えていない、極めて不十分なものと言わざるを得ませんが、まずは取り急ぎ、以下の通り組合員の皆様にお知らせいたします。
 今後教員組合では、この回答書、および評価制度問題全般に関する対応方針の検討を進めてきます。またその内容については、組合ニュース等で改めて皆様にお知らせいたします。……

大学改革日誌
 ∟●最新日誌、9月6日(2)

9月6日(2) 教員評価制度に関する組合の質問状への回答が出されたようである。公正性がどのようにして保障されるのか、煩雑な書類作業がどれだけの時間を必要とするのか、だれが点検するのか、その点検者はどれだけの時間を使うのか。

かける時間にもよるが、時間が必要であればあるほど、あまり研究教育に時間を割かないものだけが、そのようなことが可能だと思われる。その想定が当っているとすると、研究教育にあまり時間をさかない人(苦労しない人、スキルアップなるものにつとめようにもその時間がない人など)が、点検をおこない、研究教育のあり方についてコメントするということになるが、それはフェアなのか? 

教員評価案をめぐる一連の作業は、研究・教育・地域貢献などをどの程度やっている人が行ったものだろうか? 

教員組合の評価では回答は「極めて不十分なもの」との評価であるが、いずれにしろ、教授会のありべき機能に関する質問には、まったく答えていない。教授会の無視・機能否定の姿勢だけははっきりしているということか。少なくとも、教授会の主体的自主的な教員評価制度の設計(案)ではない、ということはこの回答だけからでもあきらかではないか。

そもそも回答の主体として、「公立大学法人横浜市立大学」となっている(学長なのか理事長なのか責任の主体がはっきりしない、公立大学法人横浜市立大学の名前で意思を表明できる主体・機関は何か?どこで審議決定したか?教育研究審議会か?その議事録は?その審議決定の機関は、しかるべき法的妥当性を持つか?少なくともかつては教授会・評議会がそうしたものの審議機関であったが)

教授会で議論されたことは一度もない。そもそも教授会がこの問題を議題に載せたことがない。こうした事実をきちんと踏まえて、今後の展開をみていく必要がある。


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2006年08月31日

改革とは何か? ―市大改革に見る欺瞞―

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●横浜市立大学の未来を考える『カメリア通信』第42号(2006年8月26日)
横浜市立大学を考える市民の会 blog

改革とは何か? ――市大改革に見る欺瞞――

国際総合科学部
一楽重雄

 言葉は力.確かに言葉には力がある,魔力がある.「改革」と言いさえすれば,何事も実行することができる.それも中味の検討なしに.市大改革もその例に漏れない.

 「大学の自治」を踏みにじって「生まれ変わる」とした市大改革.教授会から自治を取り上げ「生まれ変わった」大学は,どんな大学になったのであろうか.

 多くの関係者が真摯な努力を積み重ねているとしても,いまだ光は見えない.掛け違ったボタンをはずすことなしに,掛け違いを直すことはできない.

 教授会から人事権を奪うことの意味は,外部からの委員も入った人事委員会で人事を行うことによって「透明性」を高めることとされていた.「外部の委員を入れることによって透明性が確保される」という単純極まりない議論は,単純なるがゆえに世の中をまかり通り,そのまま実行された.果たして透明性が高まったのだろうか.教授会で審議をしていた頃より透明で公平になったのであろうか.決して,否である.

 そもそも大学教員の人事が教授会で行われていたのには理由があった.教員の仕事である研究・教育は高度な専門性がその特徴である.そして学問研究は権力から独立しなけれならないというのが,人類が歴史から学んだことであった.

 営利を目的とする通常の企業であれば,ひとつの尺度で人を評価することも可能かも知れない.また,その観点から経営者が人事権を持つのも当然であるかも知れない.しかし, 大学では,その根本が違う.

 横浜市大では大学改革から一年が経ち,凍結状態であった昇任人事がやっと行われた.大学の自治を否定した人事の始まりである.各管理職が候補者を学長に推薦し,学長が人事委員会に諮問し,その結果を学長から理事長に報告し,最終的に理事長が昇任の発令を行うということであった.そのとおりに実行されたらしい.しかし,私たち教員は昇任した教員名が記されただけのホームページによって,その結果のみを知りうるのみである.昇任の決定にあたって,誰がどのような審査を行ったのか,その前に誰がどのようにして候補者を絞ったのか,このような点はまったく明らかにされていない.人事委員会に外部委員が入っているといっても,実際の選考は人事委員会に諮問される前になされるのであり,人事委員会の審議はほとんど儀式に過ぎない.

 このようなやり方のどこに「透明性」があるのか.また,どこに公平性があるのか.また,法律上も疑義のある教員の「全員任期制」を強行するために,昇任の資格がある教員でも任期に同意しない限り発令しないという暴挙を行った.これは,何よりも同じ仕事をして同じように資格審査を通ったにもかかわらず,給与・身分に差がつくということを意味し,公平平等の原則に反している.このようなことは,法律を待つまでもなく,真に大学運営に責任を持つ経営者なら決してするはずがない.
 「生まれ変わった」大学の実態を多くの人々に知ってもらい,市大が一刻も早く,権力から独立した真の独立行政法人になって,教授会の自治を回復し,正常な大学になることを願うばかりである.

人事の透明性公平性に関する質問状

平成18年8月24日

ストロナク
横浜市立大学学長殿

国際総合科学部教員有志
一楽重雄 永岑三千輝
吉岡直人 市田良輔

 先般,国際総合科学部における昇任人事が発表されました.この人事は,国際総合科学部においては新制度での初めての昇任人事です.新制度は,外部委員も交えた人事委員会で人事を行うことによって,これまでより透明性を高めるということが眼目とされていました.しかし,実際には人事委員会の決定の結果のみがホームページに発表されるだけで,むしろ,透明性が著しく低くなったと思われます.

 今回の人事では,昇任の資格ありとされた内定者のうち任期制に同意しなかった人々は昇任されませんでした.これは法律上も実際の大学運営上も重大な問題を引き起こすものと思います.

 これらの点を中心とした以下の質問に文書でお答えいただきたく,お願いする次第です.

1.当初,4月に発令が予定されていた人事が3ヶ月ほど遅れた理由を説明してください.

2.人事委員会に昇任人事案を提出したのは誰でしたか.

3.各管理職はどのような基準と手順で昇任の候補者を決定したのでしょうか.漏れはないと言えるのでしょうか.

4.昇任内定者の決定の経過について教えてください.各候補者について,以前各教授会におかれた審査委員会で行ったことに相当する専門的な審査は行われたのでしょうか.行われたとすれば,それを担当したのはどのような人々であったのでしょうか.その審査担当者をどのような基準で選びましたか。また,それは誰が行いましたか。その審査結果はどのように発表されましたか.

5.以前の制度に比して同じ程度の透明性を確保するには,上記,3項と4項の内容が学部の教員全員に対して知らされるべきであると思いますが,この点いかがお考えでしょうか.

6.昇任の資格ありとされた内定者のうち任期制に同意しなかった人々は昇任されませんでした.これは明らかに任期を同意しなかった人々に対する実質的な労働条件の不利益変更と思われますが,この点どのようにお考えですか.

7.ほぼ同じ仕事を行い,同じような経歴で,同じように業績等の昇任の審査を受けて,昇任が内定した人が任期制に同意しないだけの理由で昇任しないことによって,身分と給与に大きな差が生じることについて,どのようにお考えでしょうか.このようなことを放置すれば,教員の士気は下がり,大学運営に悪影響を与えることは必至です.この点について,どうお考えでしょうか.

以上


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2006年08月29日

横浜市立大学、法人による昇任人事をめぐる不透明なあり方

大学改革日誌
 ∟●最新日誌、8月28日

8月28日 大学による昇格人事・法人による昇任人事をめぐる不透明なあり方に関して、実際に昇任者が公表され(不利益者が出た)現段階で、再度、有志が学長に質問状を出した。ヴォランタリーな意見表明は、大学活性化のひとつの重要な要素ではなかろうか。

人事制度はしっかりした真の意味で透明な制度設計・制度運営が必要なものであって、これはひそひとと議論すべきことではない。オープンな議論(すくなくとも関係する教員全体の議論)が必要である。

だれが昇任したのかを知るのは、少なくともわれわれ普通の教員はごく普通の一般市民と同じく、大学のHPだということが現実である。これは大学自治が機能している大学(自治的機能で昇格・昇任が内部で決定されている場合)ならありえないことではなかろうか。

昇格に値する研究教育業績を上げているかどうかをだれが判断するのか、その判断の根拠となるデータをどのようによむのか、その審査所見はどこでだれによってオーソライズされるのか、といったことは学問の自由に取ってきわめて重要である。学問の自由・研究の自由・教育の自由は、その手続のあり方、決定権の所在などによって大きく左右される。(昇格基準の妥当性、その基準の適用の妥当性、これらの妥当性を大学の自治の見地から保障する手続・主体の妥当性、などいろいろと関連問題がある・・・これらも教授会での審議が行われてはいない、そもそも審議の対象とされていない、教授会マターではない、と)

しかも、今回は、任期制に同意するかどうかでも、差別がなされているようである。差別は任期制同意への強要にほかならない[1]。不利益措置を覚悟で、そうした屈辱に抗したひとがすくなくとも2割以上いると教員組合からの報告(週報参照)である。

教員組合は、「●任期制への同意如何は、昇進資格になんら関係はありません」との立場であるが(そして、「昇進資格あり」とする点は「法人」も認めているということだが)、現実において不利益が発生するとすれれば、すなわち、法人が昇任差別で、昇進資格ありとする教員をしかるべき地位に任命しない(発令しない・・・その結果としての給与条件、社会的ステータス等の明確な不利益の発生)とすれば、由々しいことではないか。

こうした任期制の適用は、教員組合が繰り返し主張しているように違法ではないかと思われる。とりわけ、公務員として採用され、その身分保障の元で研究と教育を10年以上行ってきたひとについてそうである。しかるべき十分な業績をあげていても、任期制に同意しない限り、差別的措置として法人が昇任を発令しないということは、不利益措置であることははっきりしているだろう。任期制法案審議において、そうした強引な任期制適用は行ってはならないと付帯決議がなされたのではなかったか。

刑法に不遡及原則があるように、任期制が不利益をもたらす恐れが非常にあるときに(利益がはっきりしていない、利益となるのかどうか分からない、基準がはっきりしない、判断の主体がはっきりしないなど種々の問題があるとき)、最近できた法律を適用するものとして就業規則を制定して不利益措置を行うのは、法的見地からして、市民的常識からしても、重大な問題ではないか。10年以上をかけて目指してきた昇任が、しかるべき研究教育上の業績があると大学側で判断されても、法人サイドにおいて「任期制に同意しない限りだめ」と差し止めになるとすれば、良好な労使関係・良好な研究教育環境は維持できるであろうか。

地方公務員として、公立大学で研究教育に励んできた法人化前に採用された教員に関しては、以前に一般的に適用されていた原則にしたがって、粛々と昇任の発令を遡って平等に行うべきであろう。

法人化後、「任期制」を掲げた募集で採用された人の場合も、その制度には、教員評価のありかたをはじめ、非常に問題がおおいのであるから、時間をかけて、すくなくとも2年か3年かけて、法人と教員組合との十分な議論を踏まえて、安心できる制度にしていくべきであろう。3-5年の任期で採用されたとすれば、少なくとも2年程度、しっかり法的諸問題、大学の自治の観点での十分な検討などを行い、教員組合との合意の上で、就業規則を改定するなどが必要となろう。

種々な観点からして、現在のやり方は大学教員の多くを納得させるものではなかろう。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年08月29日 00:33 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年08月18日

横浜市立大学教員組合、教員評価制度案に関する質問書

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー、2006.8.15

教員評価制度案に関する質問書を当局に手交しました

 8月15日(火)の午後、当局と折衝をおこない、以下のとおりの質問書を手交して、文書にての回答を求めましたので、組合員皆様にお知らせいたします。折衝ではあわせて、拙速な実施を控えるべき旨を重ねて当局側に伝えました。
 評価制度に関する問題点は、今回の事項だけに留まるものではありませんので、今後必要に応じさらに質問をおこない、説明を求めていく予定です。
 なお、今回の質問に対する当局の回答は、回答文が示され次第、速やかにお知らせいたします。

2006年8月15日
横浜市立大学教員組合

教員評価制度に関する質問事項

 去る8月3日の折衝における、教員評価制度に関する資料(「公立大学法人横浜市立大学の教員評価」(以下、「評価制度案」とする)等)の手交および口頭での説明を受け、下記の事項について質問しますので、文書での回答をお願いします。なお、回答は9月1日までにお願いします。

- 記 -
1.評価制度と学問の自由の保障との関係について
・「評価制度案」は学問の発展・蓄積に貢献すべき社会的存在たる大学の使命について明確にしておらず、この使命を果たす上で不可欠な憲法上の理念たる「学問の自由」を具体的に担保するあり方を明記していない。逆に、知的ユニバースの一員としての社会的責務を果たすべき教員の研究について「学長、学部長の立てた目標にもとづく」としており、さらに、具体的手続きにおいても、コース長等の評価者との面談における確認を要求し、目標変更に関しても同様の手続きを想定している。これらは制度上、「学問の自由」を侵害するおそれのある内容となっている。「学問の自由」を担保する制度上の保障はどこにあるのか、説明を求める。

2.評価制度の内容について
2-1 評価対象について
・評価対象となる事項については、被評価者としての各教員が自ら責任を負うことが可能な事項に限定される必要がある。しかしながら制度案で提示されている事項の中には、それに反する事項も存在する。例えば担当科目の受講者数はカリキュラム編成の如何に影響されるし、入試委員等の学内業務は各教員が主体的に決められるものではない。こうした個々の教員の権限の及ばない事項について評価の対象とすることは適切でない。こうした点につきどのように考えているのか、説明を求める。

2-2 目標の設定について
2-2-1 「評価制度案」においては、教員が学長、学部長等の指示をふまえて教育・研究・診療・地域(社会)貢献・学内業務に関する目標を設定し、期末に自己評価することとされている。各教員はこれまで自主的に、大学人として目指すべき理想と現実的な計画実現性とを勘案して目標設定を実施してきており、その具体的なあり様は個性に富んでいて多様である。また本来、目標とは、ある程度高いところに設定するものであり、「目標を大きく上回る」(A評価)ということは一般的には考えにくい。そこから、A評価を得ようとして、目標を意図的に低く設定することに誘導してしまう可能性も排除できない。このように、「評価制度案」は、個々人の目標設定の仕方に不自然な要素を持ち込ませるだけでなく、それが結果として評価の優劣に影響を与えてしまうという問題点がある。さらにこれは、大学教員の知的営為に悪影響を及ぼすおそれが強い。この制度上の問題点についてどのように考えているのか、説明を求める。
2-2-2 評価目標設定における各項目のウエイトの設定について、教員が評価者から修正を強制されることがあるのか、説明を求める。

2-3 評価の方法について
・「評価制度案」の「4.評価の視点と評価結果について」の後半部分で言及されている、評価の点数化および総合化が、評価制度の目的として謳われている「教員一人ひとりの恒常的能力向上」とどのように結びつくのか、具体的な説明を求める。

2-4 評価の公正性について
2-4-1 「評価制度案」において、評価の公正性はどのように担保されているのか。例えば、一次評価者・二次評価者が各教員の個人評価を相対化する際の基準、異議申し立て制度の有効性、Web上での内容公開の基準、などについて具体的に説明を求める。また、評価作業全般に関する公正性の検証がどのようにおこなわれるのか、説明を求める。
2-4-2 評価制度の公正性を担保すべき評価者の研修についてどのように考えているのか、また評価実施者としての適性がどのように担保されているのか、具体的な説明を求める。
2-4-3 医学部教員の声によれば、教室を単位とする研究費配分が実施されているため、各教員が教育研究を自主的におこなうための重要な前提条件たる教育研究費の適正な配分が必ずしも実施されていない実態がある。こうした問題点を放置すれば、個々の教員にとって研究の自由の最小限の保障さえも失われてしまう。この状態で個人別評価が実施されることは公正な制度設計とはいえない。こうした点についてどのように考えるのか、説明を求める。
2-4-4 長期の病気療養、産前産後休暇、育児・介護休業などの必要が生じた場合、そのことが直ちに不利な評価結果につながるべきではないと考える。このことがどのように担保されるのか、具体的な説明を求める。

3.人事処遇との関係について
3-1 評価制度の目的について、「評価制度案」は「大学全体の教育・研究を活性化し、教員一人ひとりが常に能力向上を図る」としている。一方、大学当局は教員評価を反映させた処遇制度についても団体交渉の場などで正式に言及してきた。このことは教員評価制度と教員処遇が連動していることを意味しているものであり、したがって、処遇への反映のさせ方をどのようにおこなうのかについての協議・交渉と切り離して、評価制度を論じることはできない。この点の確認を求める。
3-2 仮に、評価を賃金水準や再任の可否などの処遇と連動させるというのであれば、教員の職務内容について評価の対象となる事柄が、適切かつ公正に設定にされねばならない。適切とは、教員それぞれの職務特性を反映させたという意味であり、公正とは、職務特性の差異が不利な評価とこれに基づく不利益な処遇をもたらさない、という意味である。この原則の確認を求める。

4.教員評価制度の導入手続きについて
4-1 「評価制度案」においては、教育に関する事項が評価対象の一つとされている。教育に関する重要事項は教授会の管掌事項であるが、本件に関する教授会での審議または説明についてどのように考えているのか、説明を求める。
4-2 「評価制度案」は1年の期間で実施することを想定するものであるので、その試行期間も、少なくとも実際のタイムスケジュールに合わせた、同等の期間を設定する必要がある。この点の確認を求める。また仮に、その必要はないとするのであれば、その論拠について明確な説明を求める。
4-3 評価制度実施に至る手続きに関して明確な説明を求める。すなわち、試行結果についての検討方法、試行を踏まえた手直しの手順、それが教員および教員組合に提示される手順、処遇への反映に関する手続き等について具体的な説明を求める。

5.総括的質問
・総じて、このような煩雑な制度を導入・運用することによって、結果的に「評価のための評価」に陥る、本末転倒といった事態も十分に予想される。このような評価制度を実施する現実的効果について説明を求める。
以上


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2006年07月20日

横浜市立大学、学生と教員の討論会

横浜市大新聞 ニュースブログ
 ∟●学生と教員の討論会

 今月七日に横浜市立大学金沢八景キャンパスいちょうの館にて、NOB(Network of Out Burst 横浜市立大学有志学生組織)主催のイベント「話そう!市大改革!~学生・教員ディスカッション~」が行われ、学生・教員合わせて20名余りが参加した。……

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2006年07月13日

横浜市立大学教員組合、昇任人事に関する声明

横浜市立大学教員組合
 ∟●昇任人事に関する声明

 横浜市立大学の対応は,現行労基法の規定との関連において問題があると思われる。下記はいわば常識に属する事柄であるが,若干敷衍しておこう。

有期労働契約に関する現行労基法の趣旨と規定について

(1)現在期間の定めのない契約を結んでいる労働者を,有期労働契約に切り替えることは可能であるのか?

 以下の場合にのみ可能である。
 1.定年を迎えた労働者を再雇用する場合
 2.本人との間に合意があった場合

 それ以外について,期間の定めのない労働契約を締結していた労働者を有期労働契約に切り替えることは許されない。
 また,これまで新規採用者について期間の定めのない契約の労働者として採用した方針を,有期契約労働者のみ採用する方針に変更するなど、有期労働契約を期間の定めのない労働契約の代替として利用することは、法改正の趣旨に反し許されない。

 因みに,厚生労働省『早わかり改正労働基準法 決定版』労務行政(2003年10月23日)によれば,ご丁寧にも次のようなQ&Aが明示されている。
Q 今回の有期労働契約の見直しについての改正に伴い,現在,期間の定めのない労働契約を締結している労働者について,3年間の有期労働契約に変更することが可能でしょうか?」
A 労働契約の変更に際しては,労使当事者間の合意が必要ですので,少なくとも,使用者側の一方的な意思表示により,現在の期間の定めのない労働契約を有期労働契約に変更することはできません。
 このため,労働契約の変更について,まずは,労働者の意思を確認した上で,本人の同意を得るといった手続きが必要でしょう。」(30ページ)

(2)「本人との間の合意」により有期労働契約を結んだ場合,必要な手続きは何か?

 この点について,以下の労基法第14条2項に基づき定められた「有期労働契約の締結、 更新及び雇止めに関する基準」を遵守することが求められる。

現行労基法第14条2項

「厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。」


    ↓
有期労働契約の締結、 更新及び雇止めに関する基準
(「雇止めに関する基準」告示)
(平成15年10月22日・平成15年厚生労働省告示第357号)

(契約締結時の明示事項等)
第1条 使用者は,期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)の締結に際し,労働者に対して,当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならない。
2 前項の場合において,使用者が当該契約を更新する場合がある旨明示したときは,使用者は,労働者に対して当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない。
3 使用者は,有期労働契約の締結後に前2項に規定する事項に関して変更する場合には,当該契約を締結した労働者に対して,速やかにその内容を明示しなければならない。

(3)有期労働契約を更新する場合又はしない場合の判断基準の明示とは具体的にどのような内容か。

 厚生労働省労働基準局編『改正新版 労働基準法(上)』労務行政(2005年3月3日)によれば,一般企業の場合,「契約期間満了時の業務量により判断する」「労働者の勤務成績,態度により判断する」「労働者の能力により判断する」「会社の経営状態により判断する」「従事している業務の進捗状況により判断する」等を例示としてあげている。
 なお,これらの事項は,「トラブルを未然に防止する観点から,使用者は労働者に対して書面を交付することにより明示されることが望ましい」とされている。

 労基法第14条の規定に基づき全教員の「任期制」導入を図ろうとする横浜市立大学は,これまで期間の定めを持たない教員に対して,昇任審査を通過していても,新たな有期労働契約に同意しない限り法人として発令しないという対応をとっている。いうならば,本人の自由意思であるべき労働契約の締結に際して,身分・待遇・労働条件の不利益を無期限に余儀なくさせるとともに,昇任と引き替えに有期労働契約への「合意」を強要しており,違法である。

 また,本人との間で有期労働契約の合意を取り付けた場合においても,当該契約を更新するか否かの具体的判断基準を本人宛明示していない限り,「雇止めに関する基準」告示に反している(「雇止めに関する基準」は行政指導の根拠とするものであり,使用者がこれに違反した場合,法律上何らかの効力が発生するというものでは残念ながらないらしい。ただし,大学に対して労基署からの行政指導が入る余地はある)。

昇任人事に関する声明

横浜市立大学教員組合
2006年7月12日

 公立大学法人横浜市立大学当局は、2006年6月27日に昇任予定者に対して労働契約書を示し、 6月30日までに署名押印して提出するよう求めた。このプロセスを実際に体験した組合員からの声は「組合週報」(6月30日)に掲載したところであり、そこには当局の不誠実な対応ぶりが如実に示されている。

 当組合が確認した情報によれば、今回の昇進予定者のうち2割を超える教員が、昇任の条件として任期制を受け入れることはできないことを主な理由として、契約書への署名押印を拒否した。ただし、これにより今回の審査過程で承認された昇進資格は消滅することなく、無期限に留保されていることが4月末の団体交渉における当局答弁で確認されている。当組合は、任期制を拒否した先生方と連帯して、任期制受け入れを条件とせずに昇進させるよう当局に求める原則的立場を貫いてゆく所存である。

 任期制に同意して昇進人事を受け入れた先生方については、労働契約書には「任期5年(再任あり)」と記されているのみで、再任条件に関する記載はなく、口頭での説明もなされなかった。これは、再任条件の明示を義務づけている任期つき労働契約締結に関する法的要件を欠くものであり、当局の示した契約書は違法性の高いものである。団交等の場における当組合の追求に対して、当局はこれまで「普通にやっていれば再任される」という発言を繰り返すばかりで、「普通」の定義については一切説明してこなかった。このような態度は法が禁じる不誠実対応そのものであり、この状況を放置すれば、5年後の再任審査の時点で教員側にとって不利な事態を招く恐れが強い。当組合は組合員一人ひとりの選択を尊重しつつ、どのような場合にも組合員の側に立ち、組合員の権利擁護の戦いに継続的に取り組んでいく。以上、声明する。

以上


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2006年07月03日

横浜市立大学、昇進手続きに関する一組合員からの報告

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2006.6.30 )

昇進手続きに関する一組合員からの報告

一組合員から以下の報告がありましたので、お知らせ致します。

教授昇任の際の有期労働契約への同意を求められた件について報告します。

一組合員

 人事当局から当方の研究室にきて話をしたいとの電話があり、約1時間半後に研究室で話を聞くと答えた。 話し合いは60分をこえた。
 まず、「昇任について」の通知(個人宛、6月27日付)および「雇用契約書」(7月1日付)(*組合注)を示され、署名と捺印を求められた。
 当然拒否する旨を伝えた。
 当方は、大学の教員等の任期に関する法律の国会審議における文部省高等教育局長の答弁(平成9年5月16日)等の文書を示し、横浜市大の任期制とくに任期契約に同意しないと教授にしないというやり口は、国会答弁に反することを行っているのではないかと質した。人事課長からは、(反するとは認めないものの)反していないという積極的な説明・発言は何もなかった。
 「普通にやっていれば再任される」と当局は説明してきたが、今日においてもそのようなシステムは出来上がっていない。にもかかわらず、そのような説明をして、あるいはそのような説明を改めないままに任期契約への同意を求めることは許し難いことであると、当方は主張した。
 当方は、雇用契約書に記されている「自己都合による退職は少なくとも6ヶ月前までに申し出る」という定めが、教員にとっていかに不利であるかを説明した。 さらに、次のことを指摘した。労基法による有期労働契約の場合、労働者側が雇用期間満了前に転職・辞職すると、使用者側から損害賠償を請求されることがある。そのようなことはしない旨が契約書に書いてあれば別だがそうではないので、この契約書では損害賠償を請求されたら支払わなければならないことになる(前記「自己都合による退職は少なくとも6ヶ月前までに申し出る」の定めが、6か月前までに申し出れば損害賠償請求しないということを意味する可能性もあるかもしれないが、不明確である。いずれにせよ、6か月前までに申し出なければ労働者側に損害賠償責任が生ずることは間違いない)。
 当方は、人事当局が上記のような説明をきちんとしないで、契約書への署名捺印を求めることは許し難いことであると述べた。生命保険の契約の際、セールスレディーがいい加減な説明をして契約させることが以前社会問題になったが、再任されない場合の損失は、だまされて生命保険を契約する場合とは比べものにならないほど大きなものである。したがって、任期制(=有期労働契約)の危険性、そして「普通にやっていれば再任される」システムが(少なくとも現段階では全く)つくられていないことを充分に説明しなければならないはずである、にもかかわらず、それをしないのであれば、人間としてとうてい許し難いことであり、将来にわたって人間としての責任を追及するつもりであると主張した(法的責任ではないので、時効はない)。
 公務員の場合、係長から課長になる際に任期がつけられて、「課長失格だからクビだよ」ではおかしいではないか、 課長失格なら係長に降格させるのが妥当ではないか、と当方が主張したところ、反論はなかった。
 当方は、人事課長に放送大学再任拒否事件と京都大学再生研の再任拒否事件に関する新聞記事のダウンロードしたものを示して、任期制では優秀な教員・目立つ教員が再任拒否される場合が珍しくないこと、そしてそのことが任期制の重大問題のひとつであることを説明した。とくに反論・返答はなかった。
 「年俸」の額が具体的に記載されていたので、どのようにして決めたかと尋ねたところ、旧給与表の直近上位に位置づけたとの答えであった。そこで当方は、その額のままその後4年間上がらない(つまり据え置き)ということかと尋ねたら、そうだという答えであった。
 そこで当方は、それなら教員評価の結果がよくても悪くても増減なしということになるので、教員評価に関して人事当局が説明してきたことと矛盾するのではないかと主張した。
 すると、「まだ制度がちゃんとできていないので」といった趣旨の答えが返ってきた。
 当方はそれに対し、再任されなければクビが飛ぶというシステムをやろうというのに、制度ができていないというのは無責任であると主張した。公務員として人間として、なすべきことをしていないのではないかと述べた。

以上です。

(*組合注)当日示された「雇用契約書」(7月1日付)については、PDFファイルをご覧下さい。


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2006年06月30日

横浜市立大学、昇進資格付与者に対し5年任期の新規雇用契約を求める

大学改革日誌
 ∟●最新日誌、6月29日

6月29日 教員組合委員長からの「緊急報告」を受け取った。「茶番劇はいつまで続くのか」と怒りの声がウィークリーに乗せられていたが、いよいよ宣戦布告、というところか? 示されたという雇用契約書は、労使の誠実な交渉と合意に基づくものか? 「5年の任期」の継続更新(ないし打ち切り)に関する明確な条件の提示はあるのか?示すべき諸規定/諸条件を明確な形で提示しないで、5年任期制の契約にサインを求めるという行為自体、不当労働行為ではないのか?

組合サイドは、公立大学時代以来の教員に関しては少なくとも不利益変更に当たり、違法なものと主張していることではないか?(Cf.教員組合ウィークリー6月19日

組合員の皆様へ緊急連絡

教授等への昇任人事問題について新たな動きがありましたので緊急にお知らせ致します。
6月27日、昇進資格付与者に対し、人事当局より昇進にあたって新規の雇用契約書(5年任期制)が示され、6月30日までに契約書にサインするよう求められました。

当局は、団体交渉の場で、任期制を直ちに受諾しない場合でも、昇進資格を喪失するようなことはなく、昇進資格は継続すると言明しています。
昇進対象になっている方は、事態を冷静に受け止め、慎重に対応を熟考されるるようお願い致します。

組合としては、昇進発令にあたり任期制受け入れを強要することは不法であることを再三指摘してきました。
このような強要を撤回させるよう、組合は全力を挙げて当局と交渉していく方針です。

横浜市立大学教員組合
執行委員長 岡真人


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2006年06月21日

横浜市立大学の任期制・昇任問題、組合要求と当局回答

横浜市立大学教員組合
 ∟●「教員組合週報」( 2006.6.19 )

団体交渉の文書回答項目に関する要求書

4 月25 日に行われた団体交渉において積み残しとなった項目につきまして、その後、文書による回答をお示しいただきました。つきましては、これに関する当組合の見解を以下項目ごとに申し述べますので、再度ご回答いただきますようお願い申し上げます。ご回答は、再度の団体交渉の開催、もしくは文書により、6 月上旬までにお示しいただきますよう要望いたします。

一 現在、大学当局が進めている教員昇任人事および関連事項に関する要求

1.現在、大学当局が進めている本学教員の昇任人事プロセスは不透明かつ説得力に乏しく、教員間に不安や疑念を引き起こしている。今回は特に昇任候補者の推薦が誰のどのような判断基準に基づいて行われたのかについて明快な説明を求める。さらに、今後どのようなプロセスを経て昇任決定に至るのかについて具体的な説明を求める。

当局側回答 4月25日団体交渉で回答済み。

組合の見解 4月25日には、申し入れ書の後の推移を中心とした説明はなされたが、申し入れ書で求めた「昇任候補者の推薦が誰のどのような判断基準に基づいて行われたのかについての明快な説明」は依然として不十分であると考える。より明確で透明性のある説明をするよう努められたい。

当局側再回答 今回の推薦手続きについては、各学部長等の考えに基づき実施され、手続きの詳細について多少異なるところがありました。今後昇任に当たってどのようなルールで進めていくかについては、検討し次回の昇任作業に反映させていきたいと考えています。

2.今回の大学改革における教員全員任期制の導入は関連法規の条文と付帯決議、法曹界での議論にてらして違法性が極めて強いばかりでなく、関係教員の労働条件の一方的な不利益変更にあたるというのが当教員組合の一貫した基本的見解である。横浜市立大学から公立大学法人への移行に際して、教員の身分は法に基づいて継承されている。この身分継承者が教授等への昇進に際して、すでに獲得している定年までの期間の定めのない雇用保障に関する権利を放棄するよう強制されることは重大な労働条件の不利益変更に当り違法である。したがって、昇任有資格者と認定された者に対して、任期制受け入れの諾否に係らず速やかに昇任の発令をすることを求める。昇任の機会を利用して任期付き雇用契約への同意を強制することは、重大な違法行為であると当組合は考えていることを通告する。

当局側回答 通告なのでコメントはありません。

組合の見解  「重大な違法行為であると当組合は考えていることを通告」したのに対してコメントがないというのであれば、当組合の主張する違法性を認めたと解される。ただちに、昇任人事にあたって任期制受け入れを条件とする方針を撤回したことを文書で確認することを求める。もし、当組合の主張を受け入れず違法性の認識がないというのであれば、当局は合法性の論拠を明確に述べる義務があり、このような回答では団体交渉における誠実交渉義務を果たしているとは言えない。期間の定めのない雇用における昇進の機会がある制度からその可能性がない制度への変更は、重大な労働条件の不利益変更に当たるという組合の再三の指摘に、当局はこれまでなんら明確な反論をしていない。再度の回答を求める。

当局側再回答 教員全員に任期制を導入することは違法性が高いという見解が示されていることは承知しております。しかしながら、市大では法人化にあたって任期制を基本とした制度設計をしており、昇任に際しては新たな雇用契約を前提としていますので、引き続き任期制に同意していただけますよう働きかけてまいります。

3.任期付の雇用契約を教員が受け入れた場合、どのようなメリットとリスクが生じるかについて、雇用主としての公立大学法人は詳細な説明を行い、労働契約条件を文書で示し、しかるべき考慮・検討時間を保証する必要がある。このプロセスを欠いた労働契約は無効であるというのが当組合の基本的見解である。この立場を踏まえ、次の事項を要求する。

1.昇任後の賃金、労働条件について文書で明示することを求める。

当局側回答 雇用契約書及び労働条件通知書を示し、雇用契約を結ぶ手続きを行いますので、その際に賃金等について明示されます。

組合の見解 「任期付の雇用契約」を受け入れる以外に昇進はないという提示のしかた自体に問題があると考えているが、さしあたり当該契約について以下の点を求める。
 (i) 雇用契約書及び労働条件通知書の雛形を組合に提示されたい。
 (ii) 今年度の昇任人事における賃金算定基準についての原則ないし考え方を説明していただきたい。

当局側再回答 
(i) 別紙のとおりです。
(ii)従来の横浜市における昇格手続きを参考にして決定します。

2.昇任人事に際して昇任候補者に推薦された教員が任期つき労働契約の締結を検討しようとする場合、「再任」の基準・条件が明示されていない状況においては、契約締結の諾否について適切な判断を当人が行うことは困難である。これに関して「普通にやっていれば再任される」という趣旨の発言が以前の当局説明会においてなされたが、「普通」とは具体的に何を意味しているのか曖昧なので具体的で明確な説明を求める。

当局側回答 再任手続きの詳細については、現在検討中ですが、再任は説明会でもお話ししましたが、普通にやっていれば再任されるという考えを基本としております。詳細についてはしかるべき時期になりましたらご説明します。

組合の見解 「具体的で明確な説明を求める」とした当方の要求に答えていない。「しかるべき時期」はすでに法人化をした昨年までに過ぎ去っており、現在再び昇任人事に際して問題になっている。これ以上曖昧なまま引き延ばすような態度は認められない。

当局側再回答 任期制・年俸制・評価制が連動して運用されるよう検討しておりますので、その進捗状況に応じて、できれば年内には基本的な枠組みをお示ししたいと考えております。

4.今回の昇任人事に関する規程および内規は平成17年12月20日施行とされているが、当組合がその存在を確認したのは平成18年2月1日の団交時であり、全文入手にはさらに数日を要した。教員の身分や労働条件に関する重要事項について、当局が当組合に速やかな周知を行わなかったことは労使間の誠実で信義ある関係を損なうもので極めて遺憾である。このような事態の再発防止を強く求めるとともに、今回の昇任人事規程および内規について内容を再検討するための協議を当組合と速やかに行うことを求める。

当局側回答 一般的に施行日と手続き開始時期は、ずれます。なお、学内における情報共有システムについては検討を進めており、夏前にはご説明できるものと考えております。

組合の見解 組合が提起している問題に対する回答になっていない。以下の点を含めて再度の回答を求める。
(a) 規程第104号「教員昇任規程」(平成17年12月20日施行)の決定は、いつ、どの機関によってなされたのか。
(b) 各「教員昇任内規」(平成18年1月24日施行)の決定は、いつ、どの機関によってなされたのか。
(c) これらの規程がただちに全教員に対して周知されなかったのはなぜか。
(d) .昇任人事の推薦を求めた際、推薦者およびそれを補助する教員管理職にこれらの規程は示されたのか。示されたとすれば、その際、これらの規程を他の教員に明らかにしないように指示したのか。指示したとすれば、それはなぜか。
(e) これらの規程の決定に当たって、教員組合との協議を経なかったのはなぜか。
(f) これらの規程の内容を再検討するための協議を当組合と速やかに行う用意があるか。

当局側再回答 
(a)「教員昇任規程」は12月20日の教員人事委員会で決定しております。
(b)「教員昇任内規」は1月24日の教員人事委員会で決定しております。
(c)一般的に推薦を必要とする昇任については、必ずしも全体に周知した上で実施しなければならないものとは思われませんが、次回以降の検討課題とさせていただきたい。
(d)今回の推薦手続きについては、各学部長等の考えに基づき実施され、手続きの詳細について多少異なるところがありました。今後昇任に当たってどのようなルールで進めていくかについては、検討し次回の昇任作業に反映させていきたいと考えています。
(e)及び(f)様々なご意見については今後の参考とさせていただきたいと考えております。


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2006年06月20日

横浜市立大学、「茶番劇はいつまで続くのか」

横浜市立大学教員組合
 ∟●「教員組合週報」(2006.6.19)

投稿「茶番劇はいつまで続くのか」

一組合員より以下の投稿があり、組合執行部の正式見解ではありませんが、組合員の討論の素材として提供します。

茶番劇はいつまで続くのか?

2006年6月8日
一組合員

 教員評価のルール作りについて突如、「コース長と各コースの若手教員一名ずつから構成されるワーキンググループを立ち上げる」ことが本日の会議で検討された。
 さかのぼって2003年10月。多くの教員の意見を無視して発表された「横浜市立大学の新たな大学像」には、年俸制・任期制が盛り込まれ、全国の大学の中ではじめての任期制全員適用として注目された。これで横浜市に誕生した「全国に先駆け」はまた一つ増えた。
 しかし、「オリンピックで金メダルをゲット」と宣言したわりには、基礎トレーニングはまったく行っていない。年俸制・任期制に必要不可欠な評価基準は不明のままで、2005年4月に横浜市大は新体制に突入した。「新たな大学像」が発表されてから2006年6月現在まで、大学当局は教員説明会や組合交渉の席で「これから急いで評価基準の作成を検討する」と繰り返してきたが、基準案どころか、その作成にあたって誰がどのように作るかでさえ、はっきりしない。「オリンピックの試合はとっくにはじまったのに、これからトレーニング方法を考える」というようなものだ。
 もう一つ言えば、「新たな大学像」が発表された際、評価基準もできていないのに、結果を見る前に「この改革案が、時代を先取りした魅力あふれるものであり、厳しい社会経済情勢と大学間競争に勝ち抜けるものである」(小川学長メッセージ、2003年10月31日)と言い張る(言わせる)手法は、そもそも「風説の流布」に当たるのではないか?改革論議の難しさはこの点と関係する。風説を流布してはいけない。しかし、現実には風説の流布をした人は必ずしも全員逮捕されるわけではない。時間と資源が限られているので、法律はすべての出来事に対して白黒をはっきりさせる答えを用意できないからである。われわれは中途半場な世界に生きているのだ。だから、この点を悪用する人たちは非難に値する。
 そして今日、2006年6月8日、”only one”や「時代を先取り」など装飾をいっぱい付けた新体制が発足してから1年以上経過して、当局による基準作成作業が無理だと判明するや教員に作業を投げ出した。上記のワーキンググループの議論はこうした背景で突如出てきたのだ。大多数の教員の意向を無視して年俸制・任期制を一方的に発表した後、評価基準が作れないから、教員に戻して案を作ってもらおうと、いくらなんでも、それはないだろう。大学の根幹に関わる問題をこのようなアドホックなやり方で行うと将来はどうなるか?
 横浜市に若手市長が誕生してから、横浜市立大学における茶番劇がずっと続いた。ほかにいくつか見ておこう。

・2002年8月、市大の問題を客観的に評価するにあたって、大学基準協会のような、信用性の高い機関に依頼せず、どこからもその信用性が保証されていないし、第三者機関ともいえないような市長の設立機関、あり方懇談会に依頼した。その結果非常に無責任な答申案が出された。
・1140億円の財政負担といっているわりには、誰がその予算の責任者でどのような執行の仕方をしていたか、また投資案件のコストパフォーマンスがどうなったかといった重要なポイントは問題視すらされなかった。
・大学の予算書は少なくとも2005年まで教員や学生には公表されなかった。社会的一般常識として、たとえば端午会(商学部教員親睦組織)のような年間予算数十万円程度の親睦組織でさえ、きちんと毎年の決算報告書を出すのに、巨額の「負債」を抱えたこの大学では、決算報告書や監査報告書を見た人、聞いた人は誰もいない。にもかかわらず、「納税者が満足できるような改革」(中田市長メッセージ、2003年5月7日)においては、予算プロセス、決算報告、監査制度といったきわめて基本的な制度作りにまったくタッチしなかった。
・2003年3月20日から2004年3月14日の間、商学部、国際文化学部、理学部、総合理科研究科八景研究科、看護短期大学部、木原生物学研究所の教授会から計20回以上の決議や要望が出され、そのほとんどが学部統合に反対し、改革プロセスの問題点を指摘するものだった。にもかかわらず、「大学が決めた」こととして、八景キャンパスの学部は一つに統合された。

 当局は予算権を握りながら、予算に関する諸問題に対して責任がとれる体制を構築していない。これまでのように、財政問題を理由に関係ない部分の改革(解体)を求めるという責任転嫁の時限爆弾がこれからいつ再投下されてもおかしくない。また改革によって人事権まで教授会から取り上げられた。しかし、教授会を解体し、この大学をどうにでもできる権力を手にしたわりには、大学の運営管理について、学生通知、名簿管理といったきわめて基本的なこともきちんとできていない。
 新体制になって2年目。当局が評価体制の実施について慎重である点は評価できる。しかし、とんでもない内容の改革によって実施方法もわからないまま全員適用の任期制・年俸制はすでに宣言された。今の大学はまるで接岸できない船に乗せられているようなものだ。
 新体制になってから1年以上も経過した今、教員参加の評価基準作りをはじめようとしている。この茶番劇はいつまで続くのか?


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2006年06月06日

横浜市立大、教員評価制度についての組合側要求と当局側回答

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2006.6.01 )

4月25日の団体交渉の記録が確定しました
4月25日におこなった団体交渉の概要については、先の組合ニュースでお知らせしていますが、この団交における当局側回答、および双方の発言に関する記録が確定しましたので、以下のとおりお知らせいたします。。

……

第2点――教員評価制度についての組合側要求
学長は4月4日の国際総合科学部教授会で教員評価制度の「プリテスト」を本年度実施すると宣言した。当方はこの点について同日、当局への申し入れをおこない、翌5日に声明を発表した。教員評価制度の内容、評価と賃金・処遇などとの関係について具体的な説明を行わずに、一方的に人事評価制度のプリテスト実施を宣言することはきわめて遺憾であり、労働法違反だと当方は考えている。プリテストの実施以前に、その内容について労使間の誠実な協議が行われるべきであり、それをせずに強行するようなことになれば教育現場に混乱が生ずることが予想される。この点について当局の認識を質したい。

第2点についての当局側回答
昨年3月までにある程度できていた教員評価の枠組みは、実際に実施するには使い勝手の悪いものであったので、抜本的に作り変えることになり、ある程度まとまった案を早ければ5月くらいには示せると考えている。まだ検討中の案であるが、秋以降一部の人たちを対象として試行をしてもらって、もう一度使い勝手を検討した上で、来年度以降その範囲を全員に拡大し、それから本格実施をしていくということも想定している。処遇にどう反映させていくかということはそれから先の話になるが、労働条件に関わることであるから組合と協議する。年俸への反映ということ以上に重要なのは、大学としてどのような研究・教育をしているかという自己点検・自己評価に使うということであると考えている。

組合側発言
評価制度の制度作りに当たっては、自己点検・自己評価のための制度をどう作るかという基本的な立場に立って、教員の協力を得ながら進めていくこと、それに関しては組合と協議しながら進めていくことを確認していただきたい。
当局側発言
処遇に反映させるときには当然協議する。その前の制度作りの段階においても、十分意見を聞き、話し合いながら進めていきたい。
組合側発言
「普通にやっていれば」という話があったが、5段階相対評価のような制度では、皆が努力しても、 2以下で普通でないということになってしまう人が出てくることが考えられる。制度作りにあたっては、公平・公正・公明で、同時に評価を受ける者にとっても納得性の高いものにしていただかないと、制度自体が成り立たないことに留意していただきたい。民間企業のような評価のやり方を考えているのか。
当局側発言
もちろん、考えていない。研究教育の世界においては、営利企業のように数字で目標達成何パーセントというのはできない。民間企業のような相対評価のやり方をわれわれは考えていない。 ……


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2006年05月29日

横浜市立大教員組合、教員全員任期制の導入など人事関連事項について回答を求める

横浜市立大教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2006.5.25)

2006年5月22日

公立大学法人 横浜市立大学 

理事長 宝田 良一 殿
横浜市立大学教員組合 

執行委員長 岡 眞人

団体交渉の文書回答項目に関する要求書

4月25日に行われた団体交渉において積み残しとなった項目につきまして、その後、文書による回答をお示しいただきました。つきましては、これに関する当組合の見解を以下項目ごとに申し述べますので、再度ご回答いただきますようお願い申し上げます。ご回答は、再度の団体交渉の開催、もしくは文書により、6月上旬までにお示しいただきますよう要望いたします。

一 現在、大学当局が進めている教員昇任人事および関連事項に関する要求

1.現在、大学当局が進めている本学教員の昇任人事プロセスは不透明かつ説得力に乏しく、教員間に不安や疑念を引き起こしている。今回は特に昇任候補者の推薦が誰のどのような判断基準に基づいて行われたのかについて明快な説明を求める。さらに、今後どのようなプロセスを経て昇任決定に至るのかについて具体的な説明を求める。

当局側回答 4月25日団体交渉で回答済み。

組合の見解 4月25日には、申し入れ書の後の推移を中心とした説明はなされたが、申し入れ書で求めた「昇任候補者の推薦が誰のどのような判断基準に基づいて行われたのかについての明快な説明」は依然として不十分であると考える。より明確で透明性のある説明をするよう努められたい。

2.今回の大学改革における教員全員任期制の導入は関連法規の条文と付帯決議、法曹界での議論にてらして違法性が極めて強いばかりでなく、関係教員の労働条件の一方的な不利益変更にあたるというのが当教員組合の一貫した基本的見解である。横浜市立大学から公立大学法人への移行に際して、教員の身分は法に基づいて継承されている。この身分継承者が教授等への昇進に際して、すでに獲得している定年までの期間の定めのない雇用保障に関する権利を放棄するよう強制されることは重大な労働条件の不利益変更に当り違法である。したがって、昇任有資格者と認定された者に対して、任期制受け入れの諾否に係らず速やかに昇任の発令をすることを求める。昇任の機会を利用して任期付き雇用契約への同意を強制することは、重大な違法行為であると当組合は考えていることを通告する。

当局側回答 通告なのでコメントはありません。

組合の見解  「重大な違法行為であると当組合は考えていることを通告」したのに対してコメントがないというのであれば、当組合の主張する違法性を認めたと解される。ただちに、昇任人事にあたって任期制受け入れを条件とする方針を撤回したことを文書で確認することを求める。もし、当組合の主張を受け入れず違法性の認識がないというのであれば、当局は合法性の論拠を明確に述べる義務があり、このような回答では団体交渉における誠実交渉義務を果たしているとは言えない。期間の定めのない雇用における昇進の機会がある制度からその可能性がない制度への変更は、重大な労働条件の不利益変更に当たるという組合の再三の指摘に、当局はこれまでなんら明確な反論をしていない。再度の回答を求める。

3.任期付の雇用契約を教員が受け入れた場合、どのようなメリットとリスクが生じるかについて、雇用主としての公立大学法人は詳細な説明を行い、労働契約条件を文書で示し、しかるべき考慮・検討時間を保証する必要がある。このプロセスを欠いた労働契約は無効であるというのが当組合の基本的見解である。この立場を踏まえ、次の事項を要求する。

昇任後の賃金、労働条件について文書で明示することを求める。

当局側回答 雇用契約書及び労働条件通知書を示し、雇用契約を結ぶ手続きを行いますので、その際に賃金等について明示されます。

組合の見解 「任期付の雇用契約」を受け入れる以外に昇進はないという提示のしかた自体に問題があると考えているが、さしあたり当該契約について以下の点を求める。
 (i) 雇用契約書及び労働条件通知書の雛形を組合に提示されたい。
 (ii) 今年度の昇任人事における賃金算定基準についての原則ないし考え方を説明していただきたい。

昇任人事に際して昇任候補者に推薦された教員が任期つき労働契約の締結を検討しようとする場合、「再任」の基準・条件が明示されていない状況においては、契約締結の諾否について適切な判断を当人が行うことは困難である。これに関して「普通にやっていれば再任される」という趣旨の発言が以前の当局説明会においてなされたが、「普通」とは具体的に何を意味しているのか曖昧なので具体的で明確な説明を求める。

当局側回答 再任手続きの詳細については、現在検討中ですが、再任は説明会でもお話ししましたが、普通にやっていれば再任されるという考えを基本としております。詳細についてはしかるべき時期になりましたらご説明します。

組合の見解 「具体的で明確な説明を求める」とした当方の要求に答えていない。「しかるべき時期」はすでに法人化をした昨年までに過ぎ去っており、現在再び昇任人事に際して問題になっている。これ以上曖昧なまま引き延ばすような態度は認められない。

4.今回の昇任人事に関する規程および内規は平成17年12月20日施行とされているが、当組合がその存在を確認したのは平成18年2月1日の団交時であり、全文入手にはさらに数日を要した。教員の身分や労働条件に関する重要事項について、当局が当組合に速やかな周知を行わなかったことは労使間の誠実で信義ある関係を損なうもので極めて遺憾である。このような事態の再発防止を強く求めるとともに、今回の昇任人事規程および内規について内容を再検討するための協議を当組合と速やかに行うことを求める。

当局側回答 一般的に施行日と手続き開始時期は、ずれます。なお、学内における情報共有システムについては検討を進めており、夏前にはご説明できるものと考えております。

組合の見解 組合が提起している問題に対する回答になっていない。以下の点を含めて再度の回答を求める。
(a) 規程第104号「教員昇任規程」(平成17年12月20日施行)の決定は、いつ、どの機関によってなされたのか。
(b) 各「教員昇任内規」(平成18年1月24日施行)の決定は、いつ、どの機関によってなされたのか。
(c) これらの規程がただちに全教員に対して周知されなかったのはなぜか。
(d) .昇任人事の推薦を求めた際、推薦者およびそれを補助する教員管理職にこれらの規程は示されたのか。示されたとすれば、その際、これらの規程を他の教員に明らかにしないように指示したのか。指示したとすれば、それはなぜか。
(e) これらの規程の決定に当たって、教員組合との協議を経なかったのはなぜか。
(f) これらの規程の内容を再検討するための協議を当組合と速やかに行う用意があるか。


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横浜市立大学、学長回答出る― 手続きの乱れ,認める―

『カメリア通信』第40号

学長回答出る―― 手続きの乱れ,認める――

国際総合科学部
一楽重雄

 去る5月22日午前9時から学長室で,私たち教員有志の「昇任規程とその実施過程についての質問状」(2月28日付け)に対する回答がありました.学長の他に松山人事担当課長,渡邉人事担当係長が同席し,文書による回答が出されました.その後,約一時間にわたって,私と学長および事務局の間で意見交換を行いました.

 回答の内容は,おおよそ予想の範囲で,基本的な立場はこれまでどおりです.しかし,今回の人事の進め方については問題があったことも認め,次回以降のルール作りに触れています.回答の文章から伺えるように,基本的には事務局が作成したものと思われます.

 学長との会談の中で,一点だけ重要なことがありました.今回の昇任候補推薦の事実関係について,改めて「今回推薦を見送ったコース長があったなどの事実関係は回答できないか」と尋ねたところ,「学長は学部長等の推薦結果を受ける立場であって,推薦候補の選定の過程などは学部長の責任であり,具体的なやり方は学部長とコース長の問題である」との回答でした.これは,学長が推薦の過程では口を出さないということであり,この点が明確になったことは意味があると思います.

 保育園民営化をめぐって,横浜市のやり方が違法であるとの判決が出ました.これと同様,大学の改革もまったく違法であったと思います.最初の質問事項について,回答では「大学の自治」に関してまったく触れていません.もちろん,大学の自治の観点からは,当局は論理的説明ができないわけですが,実際には「大学の自治」自身についての知識・理解さえないのではないかとも思われました.会談前の非公式のやり取りの中で,今回の改革では「教員が参加したにしても,それは,大学としてではなかった」ということを私が説明したのに対して,当局にはその意味がよく理解できないようでした.

 懇談の中で,私は,首都大学の例をあげ「実質的に人事権を教授会に戻したほうが,そちらだってやりよいのではないか」ということを言いました.学長も個人的意見ということではありましたが「各部署からの段階的な推薦を尊重し,最終的に全学的見地での判断のみに学長の人事権を使いたい」との趣旨を述べられました.

 私は,会談の最後に回答をくれたことに対してAppreciateすることを述べました.
 
 全体に私の受けた印象では,学長・事務局は,自信を持ってことを進めているのではなく,まったくの手探り状態であって,人事のルールについても,まだまだ,流動的であるように見えました.教員側の主張を明確にしていく必要があるのではないでしょうか.

 以下に,私たちの質問項目とそれに対する回答を示します.……


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2006年05月24日

横浜市立大学は死んではいない

激動する現代 戦争と平和
 ∟●投稿番号3493

「横浜市立大学を考える市民の会」代表の長谷川洋氏へ


名前:卒業生 日付:5月19日(金) 6時39分
現在,横浜市立大学を考える市民の会はあまり活動していないようである.ブログの更新も滞っている.結成された当初は市民の立場からの運動として期待していた.中田宏市長が再選され,市民の会に係わっていた人たちは失望しているのだろうか.

横浜市立大学の問題は単に一公立大学の問題としてだけではなく,学問に係わる人間にとって看過できない問題を含んでいる.名前は大学でも実態は大学ではない.そのような大学に市民が誇りをもつことができるだろうか.その点では全国の大学人が関心をもって当然だし,議論を深めるべきであろう.いままでの活動では地方公立大学の問題として矮小化され,優秀な大学人はあまり関心をもたなかったように見える.

中田宏氏が市長であるかぎり,横浜市が学術文化を尊重することはない.これからは全国の優秀な大学人にも関心をもってもらうように働きかける必要があろう.また,ポスト中田の時代に向けて,積極的に提言や批判を行うことが重要であろう.教育は百年の大計という.横浜市立大学は死んではいない.


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2006年05月23日

横浜市立大学長、教員の昇任人事についての回答

大学改革日誌
 ∟●最新日誌、5月22日

■質問状
横浜市立大学ストロナク学長は速やかに回答せよ
■回答
教員の昇任人事についての回答

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2006年05月19日

横浜市立大改革、「医療の安全が優先しすぎて、経営にたいする感覚が薄らいでいないか」

公立大学という病:横浜市大時代最後の経験
 ∟●更新雑記 06/7/16

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2006年05月08日

横浜市立大学、教員評価制度について

横浜市立大学教員組合
 ∟●教員組合週報(2006.5.2)

4月25日団体交渉の概要(速報)

……(中略)……

教員評価制度について――「当初案を廃棄し、自己点検・自己評価の精神に基づく新制度作りを模索中」

「秋以降にボランティア形式で試行」, 処遇への反映はH20年度より「先の話」
第2点に関して、当局は、以前に作った使い勝手が悪い評価制度を抜本的に作り変える作業をしてきて、その内容をほぼ固めつつあり、早ければこの5月にも示せるということを表明しました。そして、「秋から半年かけて一部の人で試行を行ない、次いで来年度以降その範囲を全員に拡大する、それでさらに本格的に行なうということになって、処遇に反映させるのはそれから先の話になる、処遇への反映は労働条件に関わることであるからその際には組合との協議を行なう」という考えを示しました。ただし、試行も全教員を対象に行なうべきだとの意見もあり、まだ決定したわけではない、処遇への反映は業績給(年俸の4割)の最大10パーセントの範囲内といったことを想定しているが、これについても決まっているわけではない、と述べました。
組合側は、評価制度は「制度作り・試行の段階においても処遇とどう関わらせるかということが問題になる」「たとえば評価に不服があるときどうするのか、科目の担当をどう考えるのかなど多くの問題がある」といったことを指摘しました。これに対して、当局側は「皆さんに示すときにはそこを含めて話をさせていただく」として、「自己点検・自己評価のための制度をどう作るかという立場に立って、教員の協力を得ながら制度作りをしていく、そこに関することについては協議をしながら進めていく」ことを確認しました。また、5段階評価による相対評価や、企業における目標達成率何パーセントいうような数値評価や成果主義は、教育研究を行なう大学では考えられないので、「よくやっている」か「普通」か「手を抜いている、あるいは結果的に見劣りする」か、というような評価を考えていると説明しました。……


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2006年04月14日

横浜市立大学、評価制度の実施 教員組合と協議するつもりはない

横浜市立大学教員組合
 ∟●教員組合週報(2006.4.13)

団交に応じないまま、当局は2006年度賃金の実質切り下げ、および評価制度の2007年度処遇への反映の意向を表明

先にお知らせいたしましたように、事態の重大性と緊急性に鑑み、教員組合は4月4日付申入書を当局に手交するとともに、教員組合声明を発表しいたしました。
こうしたことの背景には、団体交渉に関する直近の折衝の過程で、当局側が、2006年度賃金を「凍結」する、および評価制度を2007度の処遇へ反映させるという、看過しがたい重大なかつ不当な意向を示してきたためです。
そこで、最近の団体交渉申し入れをめぐる経過を以下にお知らせいたします。

●団交申し入れ経過報告
 先に発行した週報などでもお知らせしていますように、教員組合は当局に対して2月27日に団体交渉を申し入れ、3月9日には同日付申入書を手交しました。しかし当局は、検討中、調整中などの言い訳を繰り返しているため、団交実施の日程を確定できない状況が続いています。これに対し、教員組合は再度にわたって折衝を試みながら、団体交渉の早期実現を求めてきました。
 こうした中で3月30日、団交に関する当局の意向をさらに質したところ、ようやく日程に関する回答を伝えてきましたが、その回答は、「団交の日程を4月中を目途に調整したいが、4月半ばまで実施はできない、来週改めて連絡する」とのもので、なおも団交実施に関し消極的な姿勢をとり続けています。こうした当局の対応姿勢は、極めて不誠実かつ違法なものであります。
 しかも先に触れた折衝の過程で、当局は極めて重大かつ違法ないくつかの考えを示してきました。
 第一に、平成18(2006)年度賃金(年俸)に関する問題です。当局は、平成18年度の年俸算定については、平成17年度におこなったような定期昇給分の加算は考えていない旨を伝えてきました(賃金の「凍結」)。これは、組合側との交渉なしに一方的に実質的な賃金切り下げ=労働条件の悪化を強行しようとする違法な行為です。また、我々教員が日々教育研究に努めてきていることに対する何らの配慮をおこなわないという姿勢であり、当局がこれまで盛んに述べてきた、教員のやる気を引き出す方策とは全く正反対のものと言わざるをえません。したがって教員組合は当局に対し、平成18年度賃金においても、少なくとも「定期昇給分確保」を求めていきます。
 第二に当局は、平成18年度から評価制度を実施し、その結果を平成19年度の処遇に反映させる(平成19年度の年俸算定の根拠にする)意向を示してきました。ただし、評価制度の具体的な内容は明らかにしていません。さらに評価制度に関して当局は、「実施にあたり説明はおこなうが、教員組合と協議するつもりはない」との考えも明らかにしています。これまでの様々な機会で伝えられてきた当局側の意向は、「平成18年度から評価制度を実施したいが、それは当面試行的なものである(すなわち、処遇には反映させない)」との趣旨のものでありました。したがって、今回示してきた当局の考え方は、それをさらに大きく越える重大なものと言えます。
 まずそもそも、専門分野も大きく異なり、具体的な職務内容も個々に大きく異なる各教員に対する評価を「透明性・公平性・公正性」を担保しながら適切に実施することは、極めて大きな困難さと労力を伴うものであること、また仮に評価制度を導入する場合でも、実態を踏まえた十分な検討を経た上でその方法を定めていく必要があり、したがってしかるべき準備・検討なしに軽々に実施に踏み切ることは、今後の大学運営に大きな弊害をもたらす危険が極めて高いものです。さらに、評価制度実施は労働条件に関する重大な変更であり、教員組合との協議を拒否する当局の姿勢は違法なものです。
 以上のような点を踏まえながら教員組合は、評価制度を安易に実施しないこと、仮に導入する場合でも、組合との十分な協議なども含め、まずはしかるべき準備・検討をおこなうことを、当局に要求していきます。
 さて、当組合は事態の重大性・緊急性に鑑み、4月4日、改めて申入書(後掲添付)を当局に手交し、団体交渉の早期実施を求めました。 教員組合は、これまでお知らせしてきた教員昇任人事問題も含め、これらの問題点を質すべく、近く実施されるはずの団体交渉に臨んでいくことにいたします。……


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年04月14日 00:19 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年04月06日

横浜市立大学ストロナク学長は速やかに回答せよ

横浜市立大学の未来を考える『カメリア通信』第38号
大学改革日誌
 ∟●最新日誌、4月5日(2)

ストロナク学長は速やかに回答せよ

平成18年4月5日
国際総合科学部 一楽重雄

 去る2月28日に,横浜市立大学の教員の昇任に関して,以下のような質問状を学長に提出しました.それに対して,学長秘書を通じて,「3月15日の人事会議を踏まえて回答する」から,少し待って欲しいとの回答がありました.その後も2週間以上経過していますが,いまだに何の回答もありません.

 学長は,4月4日の研究院全体会議と教授会において挨拶をしましたが,昇任に関することにはまったく触れませんでした.国際総合科学部教授会において藤野学部長は,「当初4月に発令を目指した昇任人事であったが,現在ストップしている.その事情は分からない」という趣旨の報告がありました.一年近くも昇任規程を作らず,作っても実行できないような執行部は,もはや退陣すべきではないでしょうか。昇任を待たされている教員に対してどのような補償措置を取るのでしょうか.あるいは,その責任は誰が取るのでしょう.

 人事制度についてのかなめであったと思われる福島人事課長は,4月の定期人事異動で市大を離れました.公立大学法人になっても幹部クラスの人事が横浜市からの出向によるのでは,大学は市から独立して独自の展開をすることが出来ません.このような人事をしている限り,福島課長がそうであったということではありませんが,市大にいるあいだは市の意向に沿うことだけを考え,ともかく大過なく過ごし,その後横浜市のよいポストに移ろうと考えるのは人情です.幹部クラスは,大学固有の人事としなければなりません.

 今年度の管理職は,ほとんどが留任しました.もちろん,例外はあると思いますが,「改革」に賛成の立場を取った多くのイエスマンたちによって,今年度も大学が運営されます.これでは,よりよい大学を目指して教員がまとまっていくということが出来ないのです.

以前の学部長など選挙で選ばれていたときには,教員の意向を代表して、それなりのことをしていた人たちにしても,理事長の任命となって,教員の意向を考慮することはまったく必要でなくなりました.これは,学長からコース長まで共通して言えることです.もちろん,その中にあっても,教員の立場を貫こうとして頑張っている人もいると思います.しかし,残念ながら,そのような努力は一般の教員の目にはまったく見えてきません.

 選挙という方法は必ずしもその役職に最善の人が選ばれるとは限らず,悪しき意味での政治的な力が働くなどの弊害もありますが,選挙権を持つ人に対して責任を持つという意味で民主主義の基本であることを,いまさらながら痛感しています.このような組織では、学長からコース長までイエスマンであることが、自分の地位を守ることにつながります。これで競争力があり、市民が誇れる大学にすることができるのでしょうか。

同じ名前であっても,学長,学部長などは,以前とまったく違う意味になってしまいました.

教授会自治の回復は、何も教員のためにではなく、競争力があり市民の誇れる大学にするためにこそ必要なのです。

**********************************************

昇任規程とその実施過程についての質問状(要旨)

ストロナク横浜市立大学学長殿

2006年2月28日
横浜市立大学教員有志
一楽重雄 他5名

 先ごろ,昇任規程が明らかにされ,承認の人事プロセスが始動していると聞いています.このことについて重大な疑問がありますので,緊急に質問いたします.回答に当たっては,教員全体へ説明するための教員説明会の開催を求めます.

1.昇任規程は大学の重要事項にあたり,学校教育法に基づいて教授会の審議が必要であると考えます.この点について,どのようにお考えですか.

2.昇任規程は,12月20日に施行とされていますが,なぜ,2月まで発表されなかったのでしょうか.この理由をご説明ください.

3.昇任規程の下部規程となる「内規」は,公表の取り扱いが決まっていない,とのことで教員全体に周知されていません.しかし,既に施行されている内規が「まだ,取り扱いが決まっていない」とはどういうことでしょうか,ご説明ください.

4.既に,この規程に基づいて昇任人事が動き出していると聞いています.本来,教員一般に関わる人事手続きのうち重要なことについては,教員全体に周知の上,実施すべきものと思いますが,そのような手続きをまったくとられていません.この点,どうお考えでしょうか.

5.現在,進んでいる昇任候補の推薦の過程が,推薦を行う管理職によってやり方が異なっているようです.当然,大学として一定のルールで行わなければいけないものと思いますが,いかがでしょうか.

6.教員全体に,規程,内規,実際の手続き,および日程などを公表すべきであったと思いますが,いかがですか.また,コース長などが,候補を絞りこんだ事実はありますか.もし,あるとすれば,絞り込む基準はなんであったのか,また,その根拠は何によったのか教えてください.

7.昇任審査が済んで資格があると認定されても「新しい労働契約」を結ばないかぎり,昇任の発令をしないのは,なぜですか.当該教員への不利益変更であるばかりか、助手の準教授への昇任が滞る場合には,授業にも重大な支障が出る可能性があります.この点,どうお考えでしょうか.

以上
--------------------------------------------------
編集発行人: 矢吹晋(元教員) 連絡先: yabuki@ca2.so-net.ne.jp


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横浜市立大学教員組合声明、教員組合を無視した大学当局の一方的姿勢に抗議する

大学改革日誌
 ∟●最新日誌、4月5日(1)

横浜市立大学教員組合声明
教員組合を無視した大学当局の一方的姿勢に抗議する

1.3月27日の折衝において大学当局は、2006年度の賃金について、昨年度に実施された定期昇給相当分の積み上げを行なわない考えであることを示した。このことは、実質的な賃金水準引き下げを意味しており、労働条件の重大な不利益変更に当たる。当局は、当組合の要求している団体交渉にも応じないまま、この方針を3月末まで当組合に対して一切知らせず突然明らかにしたものであり、このような賃金「凍結」を認めることはできない。
2.昨日、学長は研究院全体会議および学部教授会の場で、本年度において教員評価制度の「プレテスト」を実施することを表明した。しかるに評価制度については、かねてから当組合が、その内容を明らかにし、かつ組合との協議をおこなうよう団体交渉等で要求している事柄である。このような重大な教員の労働条件にかかわる問題について、組合との交渉を経ないまま一方的に強行することを認めることはできない。また、このような発言によって既成事実を積み重ねることは許されない。
3.当組合は2月27日に口頭にて団体交渉を申し入れ、3月9日付で団体交渉申入書を手交している。上記のような重大な案件を含めて、当局はわれわれ教員組合と誠実に交渉する義務がある。早急に団体交渉に応じることを強く求める。
2006年4月5日
横浜市立大学教員組合 

(以下、2006年4月4日付け申入書を添付)
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2006年4月4日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 宝田 良一殿

横浜市立大学教員組合
執行委員長 岡 眞人

申し入れ書

1.3月27日の折衝において大学当局は、2006年度の賃金について、昨年度に実施された定期昇給相当分の積み上げを行なわない考えであることを示した。このことは、実質的な賃金水準引き下げを意味しており、労働条件の重大な不利益変更に当たる。当局は、当組合の要求している団体交渉にも応じないまま、この方針を3月末まで当組合に対して一切知らせずこの方針を突然明らかにしたものであり、このような態度は極めて不当である。

 昨年2月、当局は教員に対する説明会において、2005年度の給与について、定期昇給分を積み上げると説明していた。これについては、「経過措置」であるとの理由付けがなされたが、それは、当局が実施しているとする「年俸制」においては、従来どおりの賃金水準・労働条件がどのように不利益変更なしに実施されるのか不透明であるためにとられた「経過措置」なのである。「年俸制」の具体的内容も明らかにされていないという状況が変わっていない以上、この経過措置を継続しなければならないのは当然のことである。そうした措置をとらずに年俸を一方的に「凍結」することは、違法な労働条件の不利益変更であり許されるものではない。

 組合との協議なしに、このような重大な決定をしようとすることは、当組合と誠実に交渉する義務を無視し、また、労使のあいだの信頼関係を破壊する行為であると言わざるをえない。当局はただちにこの問題でわれわれ教員組合との団体交渉に応じることを要求する。

2.本日、学長は研究院全体会議および学部教授会の場で、本年度において教員評価制度の「プレテスト」を実施することを表明した。しかるに評価制度については、かねてから当組合が、その内容を明らかにし、かつ組合との協議をおこなうよう団体交渉等で要求している事柄である。このような重大な教員の労働条件にかかわる問題について、組合との交渉を経ないまま一方的に強行することは許されることではない。また、「プレテスト」(試行)の実施予告の趣旨であったとしても、当組合との十分な交渉を経ずに、公的な場で責任ある職にある者がこのような発言をおこなうことはきわめて不適当であり、一方的に既成事実を積み重ねようとする行為と見なさざるをえず、これも労使間の信頼関係を損なうものである。当局はこの問題についても早急に教員組合との団体交渉において協議することを要求する。

3.当組合は2月27日に口頭にて団体交渉を申し入れ、3月9日付で団体交渉申入書を手交している。上記のような重大な案件を含めて、当局はわれわれ教員組合と誠実に交渉する義務がある。にもかかわらず、団体交渉を遅延させていることは極めて遺憾である。こうした態度を改め、早急に団体交渉に応じることを強く要請する。
以上


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年04月06日 00:01 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年03月31日

公立大学法人、全教員を対象にした任期制導入は横浜市立大学など4大学

公立大学の法人化を契機とした特色ある取組(詳細)

公立大学の法人化を契機とした特色ある取組(詳細)

……
4 柔軟な人事・会計制度の活用
(1)弾力的で多様な人事制度の導入

○法人化に伴い弾力的で多様な人事制度の導入が可能となり、各法人において任期制、年俸制、裁量労働制などの導入が行われている。
◆教員の任期制を導入:6法人
◆教員の任期制導入を検討:1法人
【具体的な取組例】
(公立大学法人国際教養大学、公立大学法人首都大学東京、公立大学法人横浜市立大学、長崎県公立大学法人)
○全教員を対象とした任期制を導入した。また、横浜市立大学においては、教員のほか、大学専門職や固有職員の事務職を対象に任期制を導入している。
(公立大学法人大阪府立大学)
○「大学の教員等の任期に関する法律」により、法人化後の新規採用の助手については、任期を付した。

◆年俸制を導入:4法人
◆年俸制の導入を検討:1法人
【具体的な取組例】
(公立大学法人国際教養大学、公立大学法人首都大学東京、公立大学法人横浜市立大学)
○全教員を対象とした年俸制を導入した。また、横浜市立大学においては、教員のほか、大学専門職にも年俸制を導入している。
(公立大学法人北九州市立大学)
○常勤役員の報酬に導入している。

◆裁量労働制を導入:1法人
◆裁量労働制の導入を検討:3法人
【具体的な取組例】
(公立大学法人岩手県立大学)
○平成18(2006)年1月から、外部資金により採用された研究プロジェクト従事者に導入した。
(公立大学法人首都大学東京)
○全教員(助手相当の職にある者を除く。)への専門業務型裁量労働制(1日のみなし労働時間8時間)の平成18(2006)年4月導入を目指し、協議・検討中である。
(公立大学法人横浜市立大学)
○裁量労働制の適用を予定している。ただし、診療業務に従事している教員は、1ヵ月単位の変形労働時間制を導入予定である。なお、事務職員について、交代制勤務・フレックス勤務を検討している。

(2)新たな人事評価制度の導入
○職員の業績に対する厳正な評価制度、業績に対してインセンティブを付与する制度の導入が行われている。
◆新たな人事評価制度を導入:3法人
◆新たな人事評価制度の導入を検討:3法人
【具体的な取組例】
(公立大学法人国際教養大学)
○教員については、業績評価、事務職員については業績評価および能力評価(スタッフ層のみ)を実施している。評価期間は暦年(1月~12月)とし、最終評価は翌年2月中に行われ、3月に各人へ通知することとなる。業績評価は通常5段階評価であるが、特別な業績がある場合には、さらに2段階の特別評価枠が加わり、これら評価結果に応じて翌年度の年俸が上下最大20パーセントの範囲内で変動する。大学側の契約時の期待を満たすことが標準評価(プラス・マイナス・ゼロ)となる前提であり、契約時の合意年俸額が維持されることとなる。
(公立大学法人岩手県立大学)
○各教員は、学部等の方針に基づき、教育活動、研究活動、大学運営、社会・地域貢献活動の4分野に目標・達成基準を設定し、その取組結果を自己点検・評価する。学部長等は、各教員の目標・達成基準設定や進捗状況に対しての指導助言や達成状況の評価を行う。これらにより教員のモチベーションを向上させ、諸活動の活性化と充実を図ることを目的に教員業績評価を実施している。
(公立大学法人北九州市立大学)
○教員個人の教育活動・研究活動・管理運営活動・社会貢献活動の4領域について、領域ごとに評価項目を設定し、多角的で総合的な教員評価を行っている。評価結果については、各学部及び学科の見地から総合的に分析し、教員に対する適切な指導及び組織的なFD活動の向上に活用することを予定している。なお、個人の評価結果は、翌年度の研究費の配分に反映させることとしている。
(公立大学法人首都大学東京)
○全教員の任期制の導入にあわせて、教員の意識改革及び能力向上、大学全体の活性化を通じた教育の質の向上及び都民への説明責任等を目的として、教員の教育・研究、組織運営等の諸課題の公正・公平な評価を行う「教員評価制度」を平成18(2006)年度から実施する予定である。

……


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2006年03月23日

横浜市長選、中田氏「市大には多額の市税を投入してきた。やる気のない職員が長くいるのは問題だ」

日経神奈川版(3月11日付け)において,12日告示の横浜市長選で,10日夜,現職の中田氏と新人の松川康夫氏が横浜市の課題をめぐって舌戦を繰り広げられたことが紹介されている。以下は,教育分野のみそれぞれの主張を抜粋したもの。

 …… 教育では松川氏が横浜市立大学での教員任期制導入などを「学問の自治を尊重すべき」と批判。中田氏は「市大には多額の市税を投入してきた。やる気のない職員が長くいるのは問題だ」と切り返した。……

松川康夫ホームページ より
 ∟●11の緊急政策

5.こわされた市大の自治・学問の自由を回復し、教員の身分保障、教育内容の充実、学生の負担軽減をはかります。

[関連サイト]
市民の市長をつくる会・ブログ

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2006年03月20日

横浜市立大学教員組合、団体交渉申し入れ書 「任期付き雇用契約への同意を強制することは重大な違法行為」

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2006.3.17)

>団体交渉申し入れ書

……

一 現在、大学当局が進めている教員昇任人事および関連事項に関する要求

(1)現在、大学当局が進めている本学教員の昇任人事プロセスは不透明かつ説得力に乏しく、教員間に不安や疑念を引き起こしている。今回は特に昇任候補者の推薦が誰のどのような判断基準に基づいて行われたのかについて明快な説明を求める。さらに、今後どのようなプロセスを経て昇任決定に至るのかについて具体的な説明を求める。

(2)今回の大学改革における教員全員任期制の導入は関連法規の条文と付帯決議、法曹界での議論にてらして違法性が極めて強いばかりでなく、関係教員の労働条件の一方的な不利益変更にあたるというのが当教員組合の一貫した基本的見解である。横浜市立大学から公立大学法人への移行に際して、教員の身分は法に基づいて継承されている。この身分継承者が教授等への昇進に際して、すでに獲得している定年までの期間の定めのない雇用保障に関する権利を放棄するよう強制されることは重大な労働条件の不利益変更に当り違法である。したがって、昇任有資格者と認定された者に対して、任期制受け入れの諾否に係らず速やかに昇任の発令をすることを求める。昇任の機会を利用して任期付き雇用契約への同意を強制することは、重大な違法行為であると当組合は考えていることを通告する。……


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2006年03月13日

横浜市立大学全員任期制問題、「知的伝統が破壊され 実に腹立たしく悲しい」

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2006.3.9)

新執行委員長就任挨拶

岡 眞人(国際総合科学部人間科学コース教授)

……

 大学当局は一貫して「教員全員任期制」を大学改革の目玉にしています。全員任期制は大学教員任期法はじめ関連法規の精神に全くそぐわないもので、教員の身分を不安定にし、教員が安心して教育・研究に取り組める環境を破壊しています。その結果、とどまるところを知らない人材の流失が進行しています。研究棟の廊下を歩くと空室が目立ち、まるでシャッターを閉めた店が連なる崩壊寸前の商店街のようです。横浜市大が長い歴史の中で脈々と育んできた知的伝統の森は乱開発で根こそぎなぎ倒されているように感じます。実に腹立たしく悲しい想いです。

 横浜市立大学から公立大学法人への移行に際して、教員の身分は法に基づいて継承されました。当局は任期制への同意を求める文書を各教員に送りつけましたが、多くの教員は正当な法的権利に依拠して任期制受け入れを拒否し、従来どおり定年までの雇用保障の権利を維持したまま勤務しています。しかし、ここに再び重要問題がもちあがりました。教授や準教授への「昇任」を契機に、任期付きの新しい労働契約を迫るという事態です。これは定年までの期間の定めのない雇用保障を放棄することになるので、実に重要な労働条件の変更になります。組合との協議は不可欠ですが、当局のやり方は一本釣り方式で新契約締結を強行しようとしているように見えます。その上、当局は契約期間終了後の「再任」について何ら説明をしていません。まるで白紙委任状の提出を求められているのに等しく、5年ほどの任期が切れたら「契約期間満了」という名の「雇い止め」になる可能性も否定できません。これではリスクが高すぎて「昇任」という甘い香りに誘われて任期付き契約に同意することは賢明ではないと言わざるを得ません。

 この問題は法人化後、新規に任期付きの条件で採用された教員が数年後に直面する問題でもあります。すでに任期制に同意した人であっても、教育と研究に継続的に安心して取り組める環境は必要不可欠です。新規採用になった教員に聞いたところ、「任期制に同意できますね」と口頭でいわれただけで、労働条件の文書による提示はなく、再任ルールの説明もなかったそうです。これでは落ち着いて教育・研究に打ち込むことはできないでしょう。当局は「普通にやっていれば再任される」と以前説明したことがありますが、その「普通」の定義は曖昧なまま放置されています。

 ここに任期制に同意していない人も同意した人も、全ての教員が直面する切実な課題があります。これこそ教員組合が当面取り組むべき最大の課題だと思います。組合の基本的立場は、任期付き雇用に同意することなく教授等への昇任を実現することです。大学当局は、全員任期制が改革の目玉なので絶対譲れないという立場に固執しています。これは関係法規の条文と精神に照らして誤っているだけでなく、大学運営の現実論から見ても人材の大量流失を招き、本学の教育・研究の質的低下を引き起こすという間違いを犯しています。そもそも、現場の教員の声を無視して、トップダウン方式で横浜市立大学の全てを一挙に変えるのが改革だといわんばかりの蛮行を犯したツケが回ってきているのです。……


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2006年02月15日

横浜市立大学労基法第14条に基づく全員任期制、国会の付帯決議にも違反するのではないか

衆議院厚生労働委員会「労働基準法の一部を改正する法律案に対する付帯決議」(平成15年6月4日)
参議院厚生労働委員会「労働基準法の一部を改正する法律案に対する付帯決議」(平成15年6月26日)

 2003年7月4日公布の改正労基法(2004年1月1日施行)は,解雇規定の新設および裁量労働制の規制緩和とともに有期労働契約の期間の上限に関する定めを変更した。その内容は有期契約の期間の上限を原則1年から3年に引き延ばし,特例の3年を5年に延長・緩和するものであった。
 
 労基法第14条は,これまで,その本来の立法趣旨と異なり,解雇権濫用の法理に対する回避策として利用されてきた。すなわち,期間の定めのない正規雇用者の場合,判例上「正当な理由」(整理解雇の4要件など)のない解雇は明確に違法とされており,この規制を免れるために,使用者は恒常的に必要とされる業務についても「期間満了」という形態で解雇が可能な有期労働契約を締結しようとしてきた(ただし,有期契約を何回も反復更新するなど,期間の定めのない雇用と変わらない労働実態が認められる場合,有期労働契約と言えども雇止めに対して解雇権濫用の法理が適用される。そこで,この問題をクリアすることが,上記労基法第14条改正の真の狙いでもあった。)したがって,労働契約期間の上限規制の緩和は,新たな不安定雇用者の拡大をもたらすものである。

 この点に関わり,労基法改正審議過程において,労働政策審議会労働条件分科会では,「有期労働契約の期間の上限を延長することに伴い,企業において,期間の定めのない労働者の雇用に代えて有期契約労働者を雇用するケースが増大するのではないかとの強い懸念があり,常用代替が進まぬよう一定の期間を超えて雇用した場合の常用化や期間の定めのない労働者のとの機会均等を要件にすべきだ」との意見が労働者側委員から強く出された。他方,使用者側委員からは,「企業においては,基幹労働者は基本的に期間の定めのない雇用としており,今回の見直しに伴って基幹労働者を有期労働契約にすることは考えにくい」との反論意見が出された(下記を参照のこと)。

労働政策審議会労働条件部会「今後の労働条件に係る制度の在り方に関する議論の整理について」 (平成14年7月23日)

……

(2) 労働契約の期間

ア 雇用形態の多様化が進む中で、有期労働契約が労使双方にとって良好な雇用形態として活用されるようにしていくためには、有期労働契約の更新、雇止め等に係る実態等にかんがみ、良好な雇用の選択肢、雇用機会となるようにするための措置を講じていく必要があるとの共通の認識の下に、次のような議論が行われた。
 使用者側委員からは、①労働基準法制定当初にみられた人身拘束等の弊害がなくなってきていることから、民法の原則に立ち返り、労働契約期間の上限を五年とすることで選択肢を広げるべきであり、このことは労働者にとっても一定期間の雇用が保障されることから意義を有する、②企業の意識としても、今後とも期間の定めのない労働者が企業の基幹従業員であることに変わりはなく、従って労働契約期間の上限を五年にしたとしても、危倶されているような大幅な常用代替は起こらないのではないか、③有期労働契約の締結、更新等に係るルールについては、「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する指針」(平成一二年一二月二八日 基発第七七九号)による運用で十分に対応可能であり、法制化の必要はないとの意見が出された。

 これに対し、労働者側委員からは、①労働基準法第一四条において労働契約期間が一年と定められている中で、労働契約期間の上限を延長すべきという労使双方のニーズが少ないこと、採用後意欲があれば継続して働き続けることのできる社会こそが目指すべき社会であること等から、労働契約期間の上限を延長する必要はない、②EU指令にみられるように、労働契約の基本は期間の定めのない契約であって、有期労働契約ば「臨時的・一時的」な業務に限定し、また、有期労働契約の反復更新にも制限を加えるべきである、③「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する指針」(平成一二年一二月二八日 基発第七七九号)の内容は十分なものとはいえず、また、実効性に欠けるため法制化を求める、④有期労働契約が良好な雇用機会となるためには、有期労働者と無期労働者の「均等待遇」が不可欠であり、今のような雇用形態による待遇格差が維持されたままでは、今後、安価な労働力である有期契約労働その他の労働形態が拡大し、いわゆる正社員との代替が起こる可能性がある、⑤労働契約期間の上限を延長すれば、事業自体が継続する場合には、常用労働者の有期契約労働者への代替のみが行われることとなり不安定雇用の拡大につながるものであることから認められず、むしろ雇用の安定の確保の観点から、有期労働契約の雇止め等に係る点的ルールを構築する必要があるとの意見が出された。……

労働政策審議会労働条件部会「今後の労働条件に係る制度の在り方について」(建議) (平成14年12月26日)全会一致

今後の労働条件に係る制度の在り方について(建議)

Ⅰ 労働契約に係る制度の在り方

 2 労働契約の期間
 (1)有期労働契約の期間の上限について

……
 有期労働契約の期間の上限を延長することに伴い、合理的理由なく、企業において期間の定めのない労働者について有期労働契約に変更することのないようにすることが望まれる。
 本項目については、労働者側委員から、有期労働契約の期間の上限を延長することに伴い、企業において、期間の定めのない労働者の雇用に代えて有期契約労働者の雇用にするケースや、新規学卒者の採用に当たって三年の有期労働契約とすることにより事実上の若年定年制となるケースが増大するのではないか、との強い懸念があり、常用代替が進まぬよう、一定の期間を超えて雇用された場合の常用化や期間の定めのない労働者との均等待遇等を要件とすべきであるとの意見があった。一方、使用者側委員から、企業においては、基幹労働者は基本的に期間の定めのない雇用としており、今回の見直しに伴って基幹労働者を有期労働契約とすることは考えにくいとの意見があった。。……

 この懸念については,国会においても同様に問題にされ,最終的に改正法案を通過させるにあたって,衆参両厚生労働委員会は以下のような付帯決議をつけた。すなわち「労働契約期間の上限の延長に当たっては,常用雇用の代替を加速化させないように配慮するとともに,有期雇用の無限定な拡大につながらないよう十分な配慮を行うこと」である。こうして,改正労基法第14条は,適用にあたっては常用雇用の有期雇用への代替,有期雇用の無限定な拡大が戒められている。

 因みに,労基法の改正は,第14条第3項として以下の文言が新たに加えられることになった。

2  厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。

3  行政官庁は、前項の基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。

 横浜市立大学の労基法第14条による任期制は,期間の定めのない雇用者たる教員を全員3~5年の有期雇用に置き換えようとするものであり,まさに下記の付帯決議の趣旨に違反する(基幹労働者の丸ごと代替有期雇用化などあり得ないと発言した労働政策審議会使用者側委員の想定をも超えたといえよう)。また,期間の定めのない労働契約を有期労働契約の変更するためには,労働者の合意が必要にもかかわらず,昇任手続きと引き替えに無理矢理に不利益変更への合意を強要することも違法であろう。理性と良識の府たる大学において,かの厚生労働大臣でさえ,契約期間上限の延長のデメリットとして認識し防止しなければならないと公式国会答弁した有期雇用への置き換えについて,横浜市立大学はこれを意図的に強引かつドラスチックに進めようとしているのである。
 このように雇用面での安定秩序を破壊し,大学教員への権利侵害・反労働者的行為を平気で行う大学において,西の横綱を立命館大学とするならば,横浜市立大学はまさに東の横綱として堂々「昇格」した。

労働基準法の一部を改正する法律案に対する付帯決議

平成15年6月4日
衆議院厚生労働委員会

一 労働契約の終了が雇用者の生活に著しい影響を与えること等を踏まえ,政府は,本法の施行に当たり,次の事項について適切な措置及び特段の配慮を行うべきである。

1 (略)
2 労働契約期間の上限の延長に当たっては,常用雇用の代替を加速化させないように配慮するとともに,有期雇用の無限定な拡大につながらないよう十分な配慮を行うこと。

3 以下、略。

労働基準法の一部を改正する法律案に対する付帯決議

平成15年6月26日
参議院厚生労働委員会

一 政府は,次の事項において適切な措置を講ずるべきである。

1 (略)
2 労働契約期間の上限の延長に当たっては,常用雇用の代替化を加速させないように配慮するとともに,有期雇用の無限定な拡大につながらないよう十分な配慮を行うこと。

3 以下、略。

衆議院厚生労働委員会 第18号 平成15年5月28日(水曜日)

……

○坂口国務大臣 おはようございます。
 有期労働契約期間の上限延長に伴うデメリットについてお話がございましたが、現在いろいろ懸念をされておりますことは、一つは、期間の定めのない労働者にかえて有期契約労働者を雇用したり、有期労働契約が事実上の若年定年として利用される可能性があるのではないかというのが一つ。それからもう一つは、一年を超えるようなより長期の有期労働契約を締結した場合には、契約期間の途中でさまざまな事情の変化が起こる可能性が高いにもかかわらず、そのような場合にも中途解約ができずに、不当に労働者が拘束されるおそれがあるのではないか。この二つのことが懸念として示されているというふうに思っております。
 過去のいろいろの裁判例等を見ましても、この辺につきましてはさまざまな角度からの最高裁あるいは高等裁判所等からの判決も出ておるところでございまして、かなりこの辺も整理をされてきているというふうに思っている次第でございます。
○水島委員 判例においてはかなり整理されてきているという御認識であるわけですが、今大臣が懸念される点として挙げられた点については、まさに私も同感でございます。本日、ぜひこの質疑の中で、その点について、大臣がその懸念をどのような形できちんと措置されているかということを明らかにしていっていただきたいと思っております。
 そもそも、大臣はこの有期雇用というものに関しては望ましい雇用形態と考えていらっしゃるでしょうか、それとも、あくまでも例外的な雇用形態というふうに考えておられるでしょうか。
○坂口国務大臣 どのような雇用形態によって労働契約を締結するかということは、これは労使双方が労働条件などのさまざまな要件を考えて選択をし、締結をするものでありますから、雇用形態がどれがいいということを一概に言うことはなかなか難しいというふうに思います。
 しかし、最近の状況を見ますと、みずからの専門的能力を生かして働きたいという労働者の意識の高まりというのも、今までに比較をいたしますと大きくなってきているというふうに思います。また、労働者の転職希望率というのも、これもまた高まっておりまして、終身雇用や年功賃金に関する意識変化というものがあることも御承知のとおりでございます。
 このような状況の中で、転職を繰り返す中でキャリアアップを図りたい、そういう方もございますし、あるいはまた、自分の専門的知識を生かして働きたい労働者にとって、有期労働契約がメリットの人もおみえになる。
 ただし、そうはいいますものの、そういう労働者ばかりではありませんから、有期労働ということによってマイナスになる可能性の方も私は率直に言ってあるというふうに思いますから、そういう皆さん方に対してマイナス面をより少なくしていくという努力が必要ではないかというふうに思っております。
○水島委員 確認をいたしますけれども、つまり、有期雇用という形で働きたいということを進んで希望する方には、当然、有期雇用という制度があるべきであるけれども、有期雇用という形を望まない人にとっては、やはりこの有期雇用が実質的に働き続ける唯一の手段となることはできるだけ防いでいかなければいけないというような御認識ということでよろしいでしょうか。
○坂口国務大臣 常用雇用というのが決してなくなるわけではございません、これからも続くものというふうに思っておりますし、経済の動向によりましては、企業の側も常用雇用というものをもっと重視する可能性もございます。したがいまして、常用雇用を希望される方はやはりその道をできるだけ選ばれる、そういう選択が十分にできるような体制というのをつくっていかなければいけないというふうに思っている次第でございます。……


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横浜市立大学、「学生を裏切るのか」 学生・院生らが学長に「直訴」

横浜市大新聞 ニュースブログ
 ∟●「大学改善を」学長に要望書(2006年02月11日)
 ∟●【論評】学生を裏切るのか(2006年02月13日)

「大学改善を」学長に要望書

 本学の学生・大学院生有志が10日、学長室でブルース・ストロナク学長に、大学の「改善」を求める69名分の連名要望書を提出した。要望書は専任講師の補充、授業料値上げの反対、国語・社会系教職の復活など11項目の内容。2003年に学長に宛てて提出した781人分の要望書と署名の所在・扱いについて返答を求める質問書も併せて提出された。大学側からは、学長のほか布施勉副学長(前国際文化学部教授)、金井英孝学務センター長(前大学改革推進担当部長)などが同席、約20分にわたり応対した。【編集部】……

【論評】学生を裏切るのか

 大学改革をめぐり、ついに学生・院生らが学長に「直訴」した。続々と消滅するゼミ、少なすぎる図書館の雑誌、新学部授業での大混乱など、要望書で提起された問題は昨年から至る所で噴出していた。要望書の提出は当然の流れで、それらの改善にほとんど取り組んでこなかった、大学側の恥ずべき姿勢を浮き彫りにした形だ。また、人権授業の廃止は、本学の見識に関わる事項であり、大学改革が学内だけの問題ではないことを示している。

 学長は1年前、就任する直前にも、別の学生有志から「学生や教員の意見反映を」と申し入れを受けている。その場で「今後は学生・教員・職員の3者が関われるようにしたい」と発言しているが、今なお、それは現実化していない。授業の問題は放置され、教員も大学運営に関われず、意見が反映されないままになっているのは、どういうことなのか。

 提出後、学長はロシア語・アラビア語・スペイン語など諸外国語の授業を廃止したことについて「(言語上の)マイノリティーはみな、英語ができる」と発言した。これは理由としてあまりにも軽率で、何ら正当化の材料にはならない。英語さえあればいいという発想では、国際都市の名が泣く。国際教養を重視する大学ならば、なおさらに各地域の文化を尊重する姿勢が必要ではないか。

 大学運営側は、要望書に書かれた内容を早急に実行するべきである。もしこれらの真摯な要望を無視すれば、本学が掲げた「学生重視」という目標は完全にその中身を失い、虚偽となるだろう。来年度入試の志願者数が増え、本学の人気が回復する傾向が見られる中、多くの入学生の期待を裏切るような事態を、絶対に繰り返してはならない。


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2006年02月14日

横浜市立大学、昇任規程の問題点

『カメリア通信』第37号
大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(2月13日)

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横浜市立大学の未来を考える
『カメリア通信』第37号
2006年2月12日(不定期刊メールマガジン)
Camellia News No. 37, by the Committee for Concerned YCU Scholars
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昇任規程の問題点

横浜市立大学研究院
教授  一楽重雄

 12月20日に施行されたという「公立大学法人横浜市立大学昇任規程」が、2月に入って明らかになった。明らかになったと言うより、この規程とその内規によって実際に昇任のプロセスが始まっている。教員全体に周知することもせず、管理職が該当すると思われる教員ひとりひとりを呼び出し、「推薦するから書類を書くように、締切りは来週の月曜日」と言っているような状態である。しかも、管理職によって内規を示す場合示さない場合とそのやり方にも差がある。

 想像するに当局の言い分は、「昇任は、もう一年近く待たせているのだから4月にはぜひとも発令したい」ということであろう。しかし、一年も遅らせたのは誰なのか。当該教員には、何の責めもない。しかも、12月20日施行と言うのに、なぜ、一月以上も経った2月になるまで明らかにされなかったのか。一月も空白期間をおきながら、2,3日で書類を調えろということは、あまりにご都合主義ではないだろうか。

 この規程は、教授資格、準教授資格を定めたものであり、大学にとって大変重要なものである。したがって、学校教育法によって教授会で審議すべきものであることは、明白であろう。改革と言いさえすれば、法律を無視してもよいというわけはない。大学の自治は、憲法で定めている学問の自由を保障するものとして重要な法律的概念であり、現在も守らなければならないことには誰も議論の余地がない。問題であったのは、大学の自治という美名のもとに、教授たちは己の利益を守るためにのみ腐心し、大学の問題点を放置し、改革を怠ってきたのではないか、ということであった。仮に、この指摘が当たっていたとしても、大学の自治を守らなくてよいということにはならない。

 だからこそ、松浦副理事長も、法人化するに当たっての教員への説明会で「今後は大学の自治を尊重する」と明言したのであった。この言葉に期待をしていた多くの教員は、今回の昇任規程を見て、裏切られた思いでいっぱいであろう。

 せめて、規程の中味が納得のいくものであれば、「結果よし」としよう、ということもあるかも知れない。が、今回の規程は中味も大問題である。 第一に、昇任人事発令のために「新しい契約」を必要とすることを明記したこと。これは、任期制への同意を強制していることである。もちろん、これも法律違反の可能性が高い。本人の同意なしに期限なしから期限つきの労働契約に変更することはできない。

 市会での委員会質疑において「任期つきの教員は、任期なしの教員とは、待遇に差をつけるべきではないか」とか「学生が任期のある教員とそうでない教員を分かるようにしたら」というような意見があった。これらに対して、当局は、ほとんど積極的な回答を与えることが出来なかった。それは、「全員任期制」という制度設計自身が間違っていたからである。まず、「全員任期制」が法律に違反している可能性が高い。少なくとも法律の趣旨に反していることは、労働基準法が改正されたときの付帯決議で明らかである。いわゆる大学教員の任期法によって任期のあるポストを大学の一部に作るのであれば、任期のある教員をいかように優遇することも出来た。しかし、全員任期制では、制度として一つであって、制度上は任期なしの教員は存在しない。たまたま、任期つきに切り替えることに同意しない教員がいるだけである。また、同意しないことは、法律上の権利であるから同意しないからと言って差別をすることも出来ない。結局、任期のある教員を優遇することは出来ない。

 現実には、この制度はよい教員を追い出す作用しか持たない。教員の流出は相変わらず、止むところを知らない。テレビで中田市長自らが取材したA教授はこの4月から転出する。

 規程の問題は、任期制にとどまらない。管理職の推薦がない限り審査の対象ともならないことも大問題である。この問題点は、教員説明会において指摘したのだが改善されていない。しかも、管理職が選挙で選ばれたわけではないから「あんな管理職に推薦されたくない」という人が出ることも十分考えられる。専門分野が異なれば、仕事の評価はおろか内容の理解さえできないのが、学者の世界である。自分の仕事が分かるはずもない人に推薦してもらうのもおかしなことである。

 昇任の資格として「ふさわしい研究業績」に並んで「本学に対して多大な貢献をした者」という一項が入っている。これは、大学の自殺行為である。本学に対して多大な貢献をした人に対しては、その貢献の種類に応じたしかるべき待遇をするべきであって、「ふさわしい研究業績がない」人を教授や準教授にすることは、学生や社会を欺くことにほかならない。今でさえ「学務教授」という教授でない「教授」を作ってしまった。今後は、教授でない「教授」が出現する。

 学長・理事長は、新大学を本当によいものとする気持ちを持っているのであれば、今回の昇任規程をいさぎよく撤廃し、真によい大学を作るために新しい規程を早急に教授会の審議を経て決定すべきである。

 今年も入試志願者は、3371名にとどまり、平成16年度の4654人にはとうてい及ばない。市民にとって価値がある大学に改革されたならば、当然志願者も大幅増のはずである。大学改革の図面をひいた人は責任を取るべきである。仮に「大学改革はうまく言っている、このままでよい」ということであるとするなら、改革の図面を引いた本人が、表に出てリーダーシップを発揮すべきである。批判を恐れ、隠れたところで欠陥図面を出し続けるならば、これは構造計算偽造と同種の犯罪行為である。


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横浜市立大教員組合、ジャーナリズム精神を欠いた支離滅裂な内容 日経記事を批判

■横浜市立大学教員組合
大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(2月13日)

横浜市立大学教員組合週報
組合ウィークリー(2006.2.13)

2月2日付けの日経記事について

文責:教員組合書記長 随 清遠

 2006年2月2日付けの『日本経済新聞』(神奈川県・首都圏経済面)に、「市立大、遅れる意識改革」と題する記事(以下単に「記事」と呼ぶ)が掲載されました。題目には誰の意識改革が遅れたか書かれておりませんし、論理構成自体が曖昧ですが、その内容を読む限り、市立大学の問題は、ろくに仕事もせず、ひたすらに既得権にしがみつこうとする教員の意識改革の遅れが問題の所在であるかのような印象を与えかねないものになっていますので、若干の検討を加えておきたいと思います。

 記事はジャーナリズム精神を欠いた支離滅裂な内容構成になっていますが、一応取り上げられた問題の要点を見ておきましょう。

「任期制導入からまもなく一年。全教員の3割は同意を留保したままだ」。
「累積負債が2001年度で約1140億円」。にもかかわらず、「意識改革の歩みはゆっくりだ」
「市大ブランドに安住して学生指導を怠ってきた」(学内スタッフの話を引用する形で)。

 なぜ、この記事がジャーナリズム精神を欠いた支離滅裂な内容だといえるのか、詳細に見てみましょう。

3割の教員が任期制同意を保留した点について

 この記事の論調では、一部の教員が任期制導入に同意しないことをもって、意識改革が遅れていることの最大の証拠としているように思われます。

 一般論としては任期制を導入すれば無条件にパフォーマンスがあがるとは限りません。初歩的な経済学の知識があれば、高度成長の奇跡は終身雇用・年功序列主体の雇用制度の下で成し遂げられたということを知っているはずです。もちろん、終身雇用・年功序列主体の雇用制度だから高度成長が実現されたという単純な議論も成り立ちません。

 任期制がどういう条件の下で良い効果を発揮するか、これは非常にデリケートな問題です。パフォーマンスが比較的単純明快に判断できるプロスポーツ界では、雇用期限付きの契約が多く見られます。そうでない業界ではプロスポーツ界と同じような契約を被雇用者に求めるわけにはいきません。大学教員がスポーツ選手と一般勤労者のどちらに近いのかは人によって判断が分かれるかもしれませんが、少なくともはっきりしているのは、いきなり全員一律に任期制とするような乱暴な制度では良い効果はあがらないということです。実際、大学教員任期制法という法律では、任期制を導入できるのは、先端的・学際的研究などを行う特別な組織や特定のプロジェクトなどに限っているはずです。市大では法律の抜け道を使ってまで強引に全員任期制を導入することで、いったいどのようなプラス効果が生まれるというのか、果たしてきちんと検証されたのでしょうか。ホリエモン人気のように、社会が難題に直面するとき、本質的な議論をせず、奇抜なことを言い出す人に人気が殺到する傾向がよく見られます。本来ジャーナリズム精神を持つものは、このような盲目的な人気の殺到に歯止めをかける役割を担うべきですが、残念ながら、記事の著者は経済理論を重視してしかるべき有力な経済新聞の支局長級記者であるにもかかわらず、こういう盲目的な人気殺到の一員に加わっているようです。

 市大においては、任期制導入の経緯も大勢の教員が同意を保留している重要な要因です。改革の必要が叫ばれた際に問題とされた点は「任期制導入」といったいどのような関連を持つのか、学内ではほとんどなんの議論もされませんでした。任期制導入に不可欠な評価基準、評価プロセスはどうなるのか、未だに決定されていません。教員の意見を聴取するような聞き取り調査やアンケート調査は一度も行われたことがありません。事実、大多数の教員が任期制の正式導入を最初に知ったのは、一方的な当局によるマスコミ発表でした。

 市大における改革の手法はきわめて異常なものです。まず、2002年8月7日に中田市長が「市立大学の今後のあり方懇談会」を設置し、大学の深刻な問題(累積負債のこと、後にこの点を再び取り上げる)を2003年1月17日付けの『神奈川新聞』でいきなり社会に向けて告発させました。教員がもともと予算権を持っておらず、ほとんどの人はそれまで「1140億円の累積負債」のことを知りませんでした。しかし、問題視された部分の原因究明、状況改善について何も議論がないまま、全く関係のない部分[3]を解体(商学部・国際文化学部・理学部を一つの学部に統合)し、そして教員に何の脈絡もなく「全員任期制・年俸制」を求めました。多少の良識を持つ者なら、こんな改革に納得できるでしょうか?新聞記者が何千何万人に対して市大のことを発信するなら、改革の経緯をしっかり調べ、そのことを含めて伝えるべきだったのではないでしょうか。

 そして記事にもあるように、「任期制度への変更には、本人の同意が必要とな」ります。これは法律で保証されたことです。記事の論調が正しければ、教員が法律で保証された権利を放棄しないから、意識改革が遅れたということになります。記事の論調を正当化するなら、まず法律による権利保証の間違いを立証すべきではないでしょうか?

累積債務の問題について

 記事はこの大学が抱えている最大の問題として1140億円の累積債務を指摘しました。市大が累積した債務は地方債の形で調達されてきたものです。しかし、『地方財政法』では資産の裏付けのない地方債発行は禁止されております。市民の財産とのバランスで考えるべき債務は、単純な赤字の問題とは違いますが、この記事はそうした点には触れていません。

 また横浜市立大学は二つの巨大病院を抱えており、予算上、小さなネズミのからだ(教育本体)の上に二頭の巨象(二つの病院)が乗っかっている構造になっています。1140億円の累積債務のうち、893億円が病院関係です。

 大学設置者である中田市長が予算のことをさんざん騒いでいたのに、自分に解決する能力がないと悟った後、2004年2月19日の記者会見で「負債というバランスシート上の話を持ち出したことは、私は一度もない」とあっさり軌道修正した経緯をこの記者はまるで知らないようです。

 大学の予算書を調べればすぐわかる話ですが、学生教育部門は、問題とされる累積債務のうち、わずかしか関係しておりません。経済新聞の記事なら、多少の財務分析の知識に基づいて書かれても良さそうなものですが、なぜ常識的な範囲の認識もできないのでしょうか?

「学生指導を怠ってきた」とは

 記事では、学内スタッフの発言を引用する形で「市大ブランドに安住して学生指導を怠ってきた」ことを指摘しています。しかし、その前段の議論(大学に優秀な学生がいる)と何の脈絡もありません。大新聞の記事としてこのような論理構成が許されるのでしょうか?

 組合で調査した結果、記事の論調は発言が引用された人の意図とまったく別物であることが判明しました。ご本人はあくまで一般論として、自分が目指す目標は何かを多くの学生に早くから意識させるという配慮が必ずしも十分されてこなかったと指摘したにすぎないということです。記事は発言の論旨を的確に伝えていないし、教員意識改革の遅れに対する批判として紹介しているのだとすれば、そのような意図はまったくなかった、と不本意に思われているようです。ここまで来ると、事実誤認以前の取材モラルの問題ではないでしょうか。

 市大の教員の多くは、単に既得権にしがみついて改革に抵抗しようとしているわけではありません。しかし、大学教育と研究活動の向上に現場でまじめに取り組もうとすればするほど、強引な上からの「改革」がむしろ妨げとなったり、混乱を引き起こしたりしている現状に直面しているのです。記事はその構図を事実と論理に基づいて検証せずに、「遅れる意識改革」というきわめて漠然とした否定的印象を与える言葉だけでくくろうとしている点で、ジャーナリズム精神を欠いてしまっていると言わなければなりません。

発行 横浜市立大学教員組合執行委員会
〒236-0027 横浜市金沢区瀬戸22番2号
Tel 045-787-2320 Fax 045-787-2320
mail to : kumiai@yokohama-cu.ac.jp
組合HP http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/index.htm

下記は問題となっている日経記事。

第2部負の遺産に挑む(3)競争力強化掲げるが…(横浜の実像検証350万人都市)

日本経済新聞 (神奈川),2006/02/02

市立大、遅れる意識改革

 横浜市立大学で四月に始まる教員の人事評価制度の準備が進んでいる。研究成果、授業の教え方。専門分野によって評価軸は異なる。医学部では大学病院の患者への対応までも考慮しなくてはいけない。昨年四月の独立法人化とともに年俸制と任期制がスタートした。評価制度は教員向け改革の総仕上げでもある。
 定年制の公務員から三年ないし五年の任期制度への変更には本人の同意が必要となる。「評価された結果、どうなるのかが見えないのに任期を限られても」。任期制導入からまもなく一年。全教員の三割は同意を保留したままだ。
 「一律に評価することは確かに難しい。それでも実施してみないことには教員の指導計画もつくれない」。宝田良一理事長は重要性を説く。評価項目など制度の概要が固まった後、任期制の同意が増えるかどうかは見えない。
 累積負債は二〇〇一年度で約千百四十億円。現状のまま存続する道はまったく考えられない――。〇三年二月、市長の諮問機関「市立大学の今後のあり方懇談会」は答申でこう断じた。示された選択肢は四つ。(1)大胆な改革で生まれ変わり存続する(2)有力私立大学に売却する(3)私立大学に転換する(4)廃校とする――。この中から市大は改革での生き残りを選んだ。
 「刷新的な大学運営を成し遂げ、日本の大学改革のモデルになる」。昨年十一月、学長再任が決まったブルース・ストロナク氏は市大の最終目標をこう示した。医学部を含めた共通教養教育の実施、英語授業の増加や国際機関との連携など。専門的かつ幅広い知識を持った学生育成と国際競争力ある大学を目指す。理想を実現できるかどうかは職員と学生の意識改革にかかる。
 昨年四月、一人の民間出身者が市大に入った。三十二年間勤めたNECから転身した菊地達昭氏である。肩書は「キャリア支援センター教授」。学生の意識改革を促す役割だ。大手からベンチャーまでの企業人を招いたセミナーや企業の人事担当者を有料で招いた大学説明会。九月に始めた初年度のカリキュラムはほぼ終わった。
 この間、菊地氏は英語検定で、NEC時代でも見たことがない高得点をとった三年生に会った。聞けば商社志望という。「目標さえ持てばできる学生が眠っているのに、市大ブランドに安住して学生指導を怠ってきた」。菊地氏は痛感した。
 次年度は指導対象を一年生に広げることを提案している。どんな目標を持って大学生活を過ごすのか。動機づけは三年生からでは遅すぎる。
 競争力強化の試みは功を奏し始めたものもある。産学連携では共同研究や寄付講座などが相次ぐ。共同研究費は昨年末までに件数で前年度の一・九倍、金額で同三・四倍となった。前年度に十六件しかなかった発明もすでに四十件の届け出があった。だが、こうした成果を横目に意識改革の歩みはゆっくりだ。
 「議論、議論……。まずはやってみることが大事なのになかなか前に進まない」。ストロナク学長はいら立ちを隠さない。「前例主義の職員が入れ替わらないと改革できない」と語る関係者も少なくない。
 一月三十日、一斉に国公立二次試験の願書受け付けが始まった。志望者が減った昨年の反動を期待する声は学内で強い。「改革の成果が見えてくるのは四年後。でも、そこまで市民が待ってくれるのか」。市の幹部がつぶやく。


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2006年02月13日

横浜市立大学の労基法第14条に基づく全教員任期制の強要、日本の全大学人への挑戦ではないか

 横浜市立大学は,任期制導入問題について,教員組合との団体交渉の際,「任期制に同意しない教員の既得権は認めるが、業績評価によって昇格が認められても、任期制に同意するまでは昇任を発効させない」とする態度を示し,個々の昇任をたてにとって力ずくで任期制の導入を強要しようとしている。

 横浜市立大学の任期制は,通常の任期制と次の点で特異な性格をもつ。一つは,全教員に適用させるものであり,いまひとつはその法的根拠を「大学の教員等の任期に関する法律」ではなく,労基法第14条に置いている点にある。この2つをセットにした任期制は,全国広しと言えども横浜市立大学をおいて他に例がないのではないか。そもそも労基法第14条は,有期の労働契約が特定使用者への長期間の緊縛をもたらすことがないよう,契約期間の上限を定めるものであって,あくまで職業選択の自由を保障する労働者への保護が立法趣旨である。この規定を逆手に利用して期間の定めのない常用雇用者を有期契約雇用者に,しかも在職教員を全員それに適用させる行為は暴挙というほかない(一般の民間営利企業でさえ,こうした乱暴な雇用条件の不利益変更は聞いたことがない。つまり課長や部長に昇進したければ皆有期雇用の契約にサインしろというのと同じ。)本来の任期制の趣旨とは遠く離れて,実質は全教員の不安定雇用化=「有期雇用化」である。

 厚生労働省は,「有期労働契約の締結、 更新及び雇止めに関する基準」告示において,有期労働契約を締結するに際して,「労働者に対して当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない」としているが,横浜市立大学の任期制は,この判断基準さえ具体的に示していないようだ。したがって,同大学のそれは大幅な規制緩和(改悪)を狙った2004年改正労基法にも悖る。

 日経新聞(2月2日付)において,宝田良一理事長は,下記のように,「それでも実施してみないことには教員の指導計画もつくれない」とのコメントを出している(教員の「指導計画」とは何かよく分からないが,とにかく実施することに重きを置いている)。他方,教員組合は,「現在の横浜市立大学における教員の地位と権利を守る闘いは、決して横浜市立大学だけの闘いではありません。われわれは、全国の大学教員の不安定雇用を拡大させる流れに抗し、日本の教育研究労働者のエネルギーの大いなる損失を食い止める闘いの最前線にいることを肝に銘じる必要があります」と述べている。まさに組合の主張通りだと思う。いま,全国の大学をみても,すさまじい勢いで,教員の雇用不安定化が進んでいる。大学教員の人材派遣さえ登場している中にあって,まさに市大の闘いは,日本の全大学関係者の闘いでもある。

日経新聞神奈川版(2006/02/02)

 横浜市立大学で四月に始まる教員の人事評価制度の準備が進んでいる。研究成果、授業の教え方。専門分野によって評価軸は異なる。医学部では大学病院の患者への対応までも考慮しなくてはいけない。昨年四月の独立法人化とともに年俸制と任期制がスタートした。評価制度は教員向け改革の総仕上げでもある。
 定年制の公務員から三年ないし五年の任期制度への変更には本人の同意が必要となる。「評価された結果、どうなるのかが見えないのに任期を限られても」。任期制導入からまもなく一年。全教員の三割は同意を保留したままだ。
 「一律に評価することは確かに難しい。それでも実施してみないことには教員の指導計画もつくれない」。宝田良一理事長は重要性を説く。評価項目など制度の概要が固まった後、任期制の同意が増えるかどうかは見えない。……

大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌

2月10日 教員組合が騒いでいる「任期制同意」なるものは、たんなる大学改革への同意を求めたものに過ぎない、という「甘い言葉」[1]をささやく人がいる。昨年3月の任期制同意に関する文書は、そのようなものだという[2]。

本当か?

しかし、そんな抽象的なことに同意をもとめられたのならば、どうしてそのような同意書に多くの教員(文科系の教員を中心に国際総合科学研究科・国際総合科学部の教員)が署名するのを拒否し、教員組合に預けたのであろうか? そんなにも多くの教員は愚かなのか?

記憶は薄れる。もしかしたら、私の記憶違いで、「改革に賛成してくださればいい」というようなあいまいな内容だったのかと、文書をひっくり返してみた。

タイトルからしてまぎれなく、「任期の定めのある雇用契約への同意について」とはっきり規定している。たしか就業規則で任期は3年とか5年などとなっている。同意を求める内容もかなり具体的な事項に踏み込んでいる。勤務時間のあり方も具体的に言及している。これらの部分が、同意書に署名した人々を拘束することは確実だろう(一体どこまでに同意したことになるのか、不安になるのは当然ではないか[3])。その意味で、やはり多くの教員が危惧を抱く内容・文面である。「改革に同意すればいいのです」というような抽象的で、誰も否定できないような「甘い文面」では決してない、と私は考える。誤解なら、明確な文書で責任を持って、誤解を解いてもらいたい。

教育研究業績の評価システムが、大学らしいものとして整備されていない段階(それは、現在の審議システム・学則では経営審議会・理事長副理事長などの経営責任者に責任があると思われるが)で、昇格審査者に対して研究業績教育業績等の審査に合格した後も任期制に同意しないうちは昇任させない、という団体交渉での回答とあわさって、大変な怒り・不信感を増幅させているのである。

巷には、当局回答が「組合側の誤解だ」などという説も出てきたが(どうしてそのように当局の考えを知っているのだろう?)、それならば、当局は、明文を持って、きちんと不安を取り除き教員のプライドを傷つけないような回答文書に仕上げ、組合に提示すればいいであろう。

昨日は、代議員会があったという。そのひとつの論点に、「昇任審査基準を公開しないのはなぜか」という問題があったということである。1月30日に人事委員会(誰が委員会メンバー?学長が委員長であることは確実だが)で制定されたというルールなのだから、公開すべきである。

誰が該当者か、基準がはっきりしなければ応募しようがないではないか。コース長が恣意的に基準の内容を伝え、本来の該当者を排除してしまう可能性だってある。人事における公明性・公開性はどうなったのか?

法人サイドに都合のいい(法人に従順な人だけを昇任させる・法人の言うままの大学・・・法人責任者は誰が任命しているか?・・・大学の自治は?)人事制度だという疑いをもたれても仕方がないのではないか?

他方では、かなり問題の条項もあるかに噂されている。それを隠すためか?

一方で審査基準が厳しくなったという噂を耳にする。他方で、研究教育業績などなくても、当局の言うままに行動すれば褒章が与えられる規準となっているとも耳にする。

現物を見ないので、疑心暗鬼! 「過去5年間に論文一本も書いていなくてもいいんだって・・・」などと[4]。

いらざる噂の徘徊を防ぐ道は、早急な基準公開であろう。

かつては教授会で公然と昇任基準を議論していた。誰でもが基準を知り、その基準をクリアすべく、努力していた。

現在は、学長等の管理職(全員法人任命のはず)で構成する人事委員会が決定権を持ち、しかも、それをわれわれ一般教員には分からないようにしたままで、ことを進めている。

いつになったら基準は公開されるのか?

人事委員会が責任を持って決めたものならば、普通の教員にわかるように、なぜ公開しないのか?

ごく少数のちょくせつの該当者だけがわかっていいものではない。なぜか?

いまだ候補資格はなくても、何年かけて、どのような業績を積めばいいのか、たくさんの若手教員は知りたいだろう。それなくしては努力の仕様がないだろう。規則・基準の公開性は、大学の人心を安定させるためには不可欠である。かつては教授会規則・教授会人事規定などとして誰でも分かる形になっていた。

そして次に問題となるのは、審査を誰がやるかである。

審査員を誰が決めるのか?

それによって、結論は初めからわかってしまう場合さえあろう。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年02月13日 03:02 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年02月10日

横浜市立大教員組合、任期制強要にどう対処するか 顧問弁護士を招いて緊急学習会

横浜市立大学教員組合
大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(2月9日)

緊急学習会のお知らせ
昇格人事における任期制強要にどう対処するか?

 教員組合「ウィークリー」でもお伝えしましたように、2月1日の団体交渉において当局は、任期制を認める契約に同意しなければ昇格人事は発令しないという強圧的な方針を示しました。これは、合理的な理由なしに一方的に従来の労働条件を不利益変更しようという不当かつ違法な方針と言わざるをえません。教員組合は、法律上の考え方を含め、この問題にどう対処していくべきかを話し合うため、緊急に顧問弁護士をお招きして学習会を開催いたします。組合員の皆様、どうぞご参加ください。

教員組合学習会

テーマ: 昇格人事における任期制強要にどう対処するか
日 時: 2006年2月13日(月) 午後6時より
場 所: シーガルセンター1階(生協)ゲストルーム
講 師: 弁護士・江森民夫さん(東京中央法律事務所)
主催:横浜市立大学教員組合(Tel 045-787-2320)
組合HP:http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/index.htm


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横浜市大の破壊者中田宏、再選出馬 3月26日投票 是非落選させよう!

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news004.htm

 横浜市の中田宏市長は、9日の市議会2月定例会で、3月の市長選に再選を目指して立候補することを正式に表明する。複数の関係者が8日、明らかにした。……

中田横浜市長が出馬表明 3月26日投票
横浜市長選:中田市長が出馬表明 2期目を目指す
中田・横浜市長、再選目指し立候補表明

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2006年02月08日

横浜市立大任期制問題、不当な昇任(発効)延期は当局にしかるべき弁償を求めるべきもの

大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(2月6日)

2月6日 教員組合ウィークリーを頂戴した。以下にコピーしておこう(いうまでもないことながら、何時ものように強調箇所は引用者・私によるもの)。

2月3日付けで緊急に書き留めておいた本日誌の記述がほぼ正確であったこと、当局の回答の不当な内容が正確にわかる。

下記の委員長・組合執行部の見解に全面的に賛成する。

昇格候補の各教員は、正々堂々と審査基準(いまだ公開されていないが)にしたがい、昇任資格審査(研究教育・学内貢献・社会貢献等の業績審査)を受け、その合格をかちとり、その上で、「任期制を承認しない限り昇任させない」などという当局に対し、労働法、労働基準法、学校教育法、その他の関係諸法律・諸権利(国際基準としてのユネスコの宣言なども含めて)をもとに、教員組合とともに対峙することを期待したい。現在の法人当局のやり方は、大学教員任期法制定時の国会付帯決議が「乱用」をいましめたその「いましめ」を破るようなことをやっているのではないか。そこに今回の教員組合委員長文書が示す怒りが湧き上がるのではないか。

不当な昇任(発効)延期は、その間の経済的不利益、精神的不利益・苦痛、社会的不利益も含めて、当局にしかるべき弁償をもとめるべきものである。当局の不当な強制に従順にしたがうのではなく、当面、すくなくとも、任期制の制度設計(大学の研究教育の活性化の説得的合理的説明を伴う合法的な制度)が明確になるまでは、その任期制への同意を避けるべきではないだろうか。

合理的で説得的な制度で、しかも大学教員任期法の精神と諸規定に真の意味で合致する制度であるならば、生き生きと力を発揮できる制度ならば、そしてそのようなものに選ばれたのならば、まさにエリートとして任期制の契約(契約文書をきちんと入念に見る必要があるが・・・京都大学井上教授事件の痛々しい経験を反面教師とし参考にすべきである)をしてもいいのではないか?

それはともあれ、正々堂々と昇任を勝ち取ったあかつきには、昇任業績審査合格時点からその時点(昇任発効時点)までの不利益は、損害賠償等としてしかるべき弁償をさせるようにするべきであろうと考える。それは無理なことか?私はそれこそ正当なことだと考えるが。イェーリングが『権利のための闘争』で説くように、先人の辛苦と血で作られ守られてきた諸法律は、それを活かす現代人の努力なくしては、無に帰してしまうのではないか。

学生、教員、市民に「プライド」を説く学長(1月30日付記事)は、教員に精神的苦痛を与え、大学の研究教育を担う主体である教員集団のプライドを台無しにするこうした法人当局の態度に対しては、どのような態度をとるのであろうか?


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年02月08日 00:06 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年02月07日

横浜市立大教員組合、「昇任を餌に任期制を飲ませる力ずくの当局方針に抗議する!」

横浜市立大学教員組合
 ∟●横浜市立大学教員組合週報  組合ウィークリー 2006.2.6

昇任を餌に任期制を飲ませる力ずくの当局方針に抗議する!

 さる2月1日(水曜日)午後5時半より、教員組合と当局との団体交渉が行われました。
 その場で当局から次のような重大な回答が行われましたので、われわれの基本的立場を明確にするとともに、今後の対応をどうすべきか検討していただくために緊急に組合員の皆さんにご報告いたします。

 われわれの要求「教員の昇格人事に際し、任期制を受け入れる旨の新規雇用契約を強制しないこと」に対し、当局は、次のように回答しました。

(1) 1月30日の人事委員会で承認基準の内規を決定し、それに基づく昇格候補者の推薦を各学部長にお願いした。審査対象者にする際に任期制の同意を条件とすることはしない。

(2) しかし、任期制は改革の根幹をなすものであり、この原則は譲れない。任期制に同意しない教員の既得権は認めるが、業績評価によって昇格が認められても、任期制に同意するまでは昇任を発効させない。任期制を受け入れれば、業績審査は改めてせずにその時点で昇任を発効させる。
 
 この回答は、われわれ教員組合に対する正面からの挑戦です。
 われわれは、任期制や評価制度、年俸制は、「その内容が不明瞭で、きわめて危険な可能性を含んでおり、現状のままでは到底受け容れられない」としてきたからです。
 「任期制への同意を強制しない」と言っておきながら、「昇任させてもらいたければ任期制に同意しろ」と言う「給料と地位」を餌に「任期制の理念への屈服」を求める当局のこの力ずくの方針が、どれほどわれわれ教員の誇りを傷つけるかを当局は知るべきです。
 このような当局の態度は、当局に対する教員の不信感を一層増幅させ、ただでさえ、教員の大量流出、横浜市立大学への帰属意識と士気の低下、大学運営の混乱という現状を一層、ひどいものにする可能性があります。当局はその責任を負わなければなりません。
  
 この回答は、「経営責任者として合理的説明なしに従来の労働条件の不利益な変更を行う」当局の方針の一方的通告にあたり、われわれは、労働組合として到底受け入れることはできません。今後、組合は、当局にその義務である「誠実交渉」を求め続ける方針です。

 教員組合の執行部としては、昇任手続きの進行に遅れることなく、顧問弁護士を交え、独立法人化対策委員会のメンバーの方々などとご相談しながら具体的方針を早急に提示するよう努力して行く所存です。

昇任対象になられた先生方へ

 特に、昇任対象になられた先生方は、近く極めて厳しい選択を迫られることになるものと思われますが、私たちは、組合員個々の対応を特定の方向で縛ることはありません。このような状況の下で、それぞれの組合員の方にとって何がその身分を守り、生活・研究・教育条件を向上させて行くのに最も良いのか、情報や見解を提示し、皆さんからの質問に答えるよう努力したいと思います。そして組合として皆さんの利益を守るために可能な限りのことを行って行きます。ここでは、現在まで明らかになっている次のことを最低限お示ししておきます。

(1) 任期制は、評価制度と結びついており、現在その評価制度の概要さえも提示されておらず、それが、どれほど客観的で、公正に機能するかは全く予断を許さない状態のままであること。(ことに「改革」の強引な推進によって、教員の間で、当局に対する疑心暗鬼が募っている状況の下で、「怨念を残さない意欲を高める評価、教育研究の活性化を図る評価」がどれほど可能か、きわめて疑問です。)

(2) 任期制は、その期間の雇用を保証しているだけであり、たとえ業績が充分であっても、人件費の大幅削減を求められている状況の下では、「雇い止め」の可能性が充分ありうること。(「普通にやっていれば」などと言われて、安心していられる状況ではないのです。)

(3) 万が一、不当な理由で「雇い止め」の通告を受けたとしても、任期制に同意する署名をしてしまうと、それが裁判では不利に作用することが、すでに他の裁判で実証されていること。


 現在の横浜市立大学における教員の地位と権利を守る闘いは、決して横浜市立大学だけの闘いではありません。
 われわれは、全国の大学教員の不安定雇用を拡大させる流れに抗し、日本の教育研究労働者のエネルギーの大いなる損失を食い止める闘いの最前線にいることを肝に銘じる必要があります。
 われわれは、労働者としての法に保障された権利に基づき、横浜市立大学人事当局の不当な攻撃に屈することなく正々堂々と闘っていきます。

(文責 教員組合委員長 上杉 忍)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年02月07日 00:54 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年02月06日

横浜市立大、准教授から教授への昇格・昇任 任期制同意者に限定か

大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(2月3日)

 昨日の夕方、教員組合定期総会があった。出席者・委任状を含めると組合員の9割くらいが定期総会の議題に関心を持ちまた、総会の結論に賛成したことになる。任期制・年俸制問題、研究教育条件の問題など、難問が山積しており、多くの教員が切実な関心を持ち、組合に期待していることが伺われる。まさにその教員組合の存在意義・力量に直接関わるような回答が、当局側からあったようである。

 正式の内容はいずれ組合ニュースなどで知らされるだろう。しかし私の理解したかぎりでは、「准教授から教授への昇格・昇任者には任期制を承認させる(任期制同意者のみを昇任させる)」との回答だったようである。これは繰り返し教員組合が、「やらないように」と求めてきたことであったことは、ウィークリーなどから明らかだが、その根幹的な要求を拒否した内容のようである。

 私の考えでは、これは、大学教員任期法が規定した限定的な研究教育活性化のための任期制ではなく、昇格者全体に任期制を昇任と引き換えに強制しようとするもので、大学教員に対する任期制の不当な適用であろう。組合執行部は顧問弁護士とも相談しながら、法的措置も含めて本格的に検討を開始するということで、今回の団体交渉における当局側答弁によって、まさに教員組合の存在意義と力量、全大教など全国教員組織の力量とが問われる事態となったように感じられる。

 法律に基づいた大学教員の任期制のきちんとした制度設計がないままに、制度の承認だけを迫る(「承諾しなければ昇任なし」というのは最大の強制である)、内容の分からない不透明な制度に同意しなければ昇任させないというのは、これは不当なことではないか? 重大な不利益措置、不当労働行為ではないか?

 これは一般的な公序良俗にさえも反し、憲法の諸規定に反することではないか?

 昇任者・昇格者という弱い立場の人間(大学教員全体から言えば、当面の事例に即しては少数者マイノリティ)を差別し、各個撃破しようとするものではないか?しかるべき研究教育業績を上げ、しかるべき大学運営に貢献した実績が客観的基準で示されれば昇任する、というのがこれまでの本学、そして全国の大学の教員の昇任のあり方だったからである。この根本を転覆しようとするものであろう。

 それは不利益措置でなくてなんであろうか?

 こんなことが通用するのか?労働基準局はどう反応するのか?

 任期制導入の本来の趣旨、任期制適用の精神である大学の研究教育の活性化とどのように結び付くのか、経営側の説明責任が問われる。

 「上から」任命された学部長の下では、「権限なし」、「審議権なし」などと教授会は開催されないとしても、代議員会は憲法や学校教育法で規定された教授会の権限を行使するために、きちんと議論すべきではないか?

 他方また、昨日の時点では、昇格基準に関しては明文規定(公明・公開の規定)が示されないままに、候補者をコース長が選ぶ、という。いつの時点で基準が公開されるのか、その基準の適用をコース長だけが行うとすればどのような問題が発生するのか、大変な問題になりそうである。

 その他、総会では、数理科学科廃止に伴い数理科学科の教員の配属問題が宙ぶらりん状態になっているようである。形式上は、4名が基盤科学コース、4名が環境生命コースに割り当てられているようだが、それは本人たちの同意・合意なしのようである。そうした事態が発生したこととの関連で、改革の目玉とされた研究院・学府構想の崩壊(文部科学省で拒否されたこと)がある。研究院は一応教員全員が所属するものとして、位置づけられているが、その実権・実務処理分野がほとんど皆無なので、名ばかりの研究院所属、となっている。その活性化・機能強化も、改革理念を大切にするなら検討すべき(学則改正など)だが、それは問題提起に留まるか、端緒についたばかりというところだろう。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年02月06日 00:34 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年02月03日

横浜市立大、学長 「プライド」を強調

横浜市大新聞 ニュースブログ

学長、「プライド」を強調

 ブルース・ストロナク学長は、30日放送されたtvk(テレビ神奈川)のインタビューで、理想の大学像について「私のキャッチフレーズは『プライド』。学生、教員と、特に市民が持てるようにしたい」と語った。また同日発売の週刊誌・読売ウイークリーの広告企画でも、「大学に対するプライドを、在校生にも卒業生にも是非持ってもらいたいと思う」と述べている。

 ■TOEFL未取得対応「検討中」 キャスターは厳しく論評

 インタビューは、21時半からのニュース番組「NEWS930」の中の「かながわ Face in」コーナーで放送された。解任された小川恵一前学長の2002年当時からの大学改革の流れや、産学連携の取り組みについても、映像で紹介された。

 ストロナク学長は「従来は入学ではなく入学部だった」とし、学部を統合した共通教養を紹介したほか「日本の大学だけでなく、世界の大学と競争する。もっと産学連携を応援したい」と語った。TOEFL500点の進級要件が満たせない学生への対応について問われると「それはまだ検討中」とも述べた。

 これに対し、番組の中村行宏キャスターは「実は去年の受験者数は減っている。人気薄では将来性が明るいとは言い難い。今日から願書受け付けだが、どうなるのか」と論評した。……


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2006年01月19日

松岡滋子先生不当人事不服提訴 第1回口頭審理傍聴記

横浜市立大学を考える市民の会 blog
 ∟●松岡滋子先生不当人事不服提訴 第1回口頭審理傍聴記

松岡滋子先生不当人事不服提訴 第1回口頭審理傍聴記

一楽重雄

関内の横浜市人事委員会で表記の公開審理が、12月26日午後1時半より行われた。
この証人尋問を傍聴して、私はこの事件がすっかり分かったと思った。また、証言内容の事実の重さは衝撃的であった。中田市長が、白を黒、黒を白と言いくるめようとしている実態が明白になったように思う。市大で経験した合理性のない「改革」と同質のことが、脳血管医療センターでも同じように、あるいは、もっと悪く行われようとしていることがわかる。取り急ぎ、印象に残った内容を報告したいと思う。
傍聴席は、ちょうど満員であった。恐らく患者さんとその家族の方と思われる、比較的年配の方が多かった。報道陣も10名程度であろうか、席を取り、最初から最後まで取材していた。始まると、すぐに、後ろの席の方が「聞こえません、マイクを使ってください」という声があがった。事務局は、マイクを用意しておらず、井上審査員長は、「今日のところは、席の配置を変え、証言者が傍聴席に背を向けるのではなく、横向きで証言することでやらせて欲しい」ということであったが、横浜市の人事委員会にマイクがないわけもなく、丁度、始めようとした頃にマイクが到着し、この件は一件落着となった。これまでに約20分の時間を浪費した。ちょっと気になったのは、井上審査員長が事務局をかばったことだった。……


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横浜市長選に中田氏、再選出馬へ

横浜市大の破壊者中田氏、また出るのですか?。何ともしても落選させたいものです。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060118i407.htm

 横浜市の中田宏市長(41)が、3月12日告示、3月26日投票の市長選に再選出馬する意向を固め、地元政党幹部に伝えていることが18日、明らかになった。

 2月1日開会の市議会中に正式表明する見込み。……


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年01月19日 00:05 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年01月12日

横浜市立大、独法化後の状況を検証する

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー (2006.1.11)

教員集会報告
『横浜市大は立ち直れるか?―独法化後の状況を検証する』

2005年12月20日(火)18:00~20:30
ビデオホールにて

2005年12月20日、教員組合主催の集会がありました。出席者は、専任教員、非常勤教員、大学院生、学部生などのべ50人以上でした。近年において組合主催の集会としてはかなり大きい規模です。大学の行方に対する関心の高さを反映したものでしょう。

集会はまず組合委員長の開会の言葉から、始まりました。

改革後の大学において、教員の帰属意識が著しく低下しました。多くの教員が感じているこの深刻な事態は当局が認識すべきです。大学の基本管理運営についても、教授会があったときよりもずっと非効率になっています。責任者が不在のままの状態を放置してはいけません。学生のパンフレットにだまされたという声に答える必要があります。今日の機会にぜひ活発な意見を出してもらいたい。

委員長挨拶の言葉の中で何より耳に残ったのは、「我々は歴史の中で生きています」という表現です。改革へ反対すること自体が組合活動の目的ではありません。横浜市立大学の長い歴史における一コマとして、健全な大学作りにエネルギーを集中させ、問題点を確認し、状況改善のために努力すべきだという意味でしょう。


その後、執行委員から、2005年7月実施したアンケート調査の結果について報告しました。

報告は、労働条件、教育活動、研究環境、学内運営、改革プロセスへの評価などにわけて詳しく紹介されました。いずれの項目についても、改革に対して厳しい意見が出されており、よい方向に進んだ点は「教授会の時間が短くなった」ぐらいです。アンケートの詳細は、組合のHPに掲載したとおりです。


続いて英語担当教員から、英語教育の現状について報告しました。

独立法人化された後の新入生に全員一律にTOEFL500点以上クリアしなければ、進級させないという目下の至上目標の由来は、現場担当者の立場から改めて報告されました。提案は語学の意義を必ずしも十分わかっていない人の思いつきによってされたこと、一般教員の意思を無視したこと、目標達成の無意味さをわかってありながら、突進しなければならないこと、その目標のために、学生が語学学校の会話講師を「プロ」と呼び大学の英語教員を無能に思っていたこと、などの問題点が明白になりました。

この議論から、考えさせられた点は多い。市大の問題は必ずしも研究教育に関する知恵を欠けているために発生したものではありません。むしろ、これまで蓄積された知恵がことごとく無視され、否定されており、ごく一部の人の思いつきに近い提案は、正常な意志決定過程を経ないでそのまま金科玉条になったところに問題がありました。このようなシステムでは、大学はよくならないでしょう。


その後、非常勤講師の代表から、発言がありました。

市大の「改革」が発表されてから3年経つが、当時から抱いていた危惧がそれ以上になっています。その前年には非常勤講師の時給が減額されるなどして、講師のプライドを傷つけるようなことを市当局は平気で行っていました。この改革で、非常勤講師を使い捨ての道具としてみなしているように思います。12月になっても来年度継続して雇用されるかわからないケースは珍しくない。こちらとしては誠心誠意勤めているし、非常勤講師も人間なのだということをわかってほしい。TOEFL問題もこのままでは新一年生の半分は500点に到達しないでしょう。今後このような生徒をこの大学はどのようにフォローしようとしているのでしょうか。学生と真摯に向き合いながら、すこしでもくみ上げる、少しでも現状を改善していってもらいたいというわずかな希望を持っています。


自由討論

発言A:学生の勉強・研究環境も悪くなっています。今年からコピーの年間枚数制限は、修士や博士論文を出すときにも足りない枚数です。また大学院のシラバスさえなく、時間割表1枚だけ渡されました。ホームページに掲載しているとはいわれたが、紙媒体でなければ具体的にわからず、授業料を払っているのにもかかわらず、院生はばかにされているのではないかという気持ちになりました。とくに大学院担当の専任の職員もいなくなり、毎日事務と喧嘩している状態です。職員の方々は院生の生活や訴えに対する想像力が欠如しており、いかに責任を逃れるかという態度で、むなしいやりとりが続いています。大学院自治会としては一部の先生とのつながりしかありませんが、今後は、学部生の自治会との連携も考えており、その際先生方が私たちの意見を受け止めてアドバイスをいただければとても助かります。学校全体を盛り立てていく方法をみなさんと考えていける場を作っていきたい。

発言B:市大の中期計画は市議会に出しているものなので、6年間はこの仕組みは変わらないのは役所の論理です。中期計画に対してもう少し教員側も真剣に取り組むべきでした。6年後には、そうした大学の大激震がもう一度やってくるでしょう。教員は教員が負っている責任を、個々の責任に限らず大学に勤めている者としてどのように責任を負うのかを考えるべきです。大学のなかでの知のあり方が一番大事です。科目の名前が勝手に変えられてきましたが、これは「おかしい」と表明し広く訴えていくべきです。大学の評価は今後外部評価が入るので、数学科を廃止したりするのは大学評価の上でどういう問題なのか、その基準を作るべきです。リベラルアーツを標榜したいのであれば、学問を保障していく仕組みを真剣に考えるつもりがあるのかを問うべきです。

発言C:教職免許の科目で、社会と国語はなぜ廃止になったのか。「専門の垣根を低くする」というカリキュラムが魅力で入学したが、だまされたと思いました。正直なところ高校生には、市大受験を勧めることができません。教員や学生あってこその大学であり、先生方も積極的に学生の声を聞く場を作ってほしい。

発言D:大学は権力機関でも会社でもなく、文化共同体です。法廷で責任追及する場合がありますが、大学改革では、当時の責任者はみな他の部門に移っており責任の所在がわかりません。やはり、われわれが一つ一つ解決していくしかありません。市大のアイデンティティが失われていますが、教員が他の大学へ流出するという解決策だけでなく、本当に市大を立ち直らせなくてはいけません。

発言E:大学全体がおかしいということは明らかです。専任教員、非常勤講師、学生などそれぞれ立場も違うし、手一杯になりがちですが、解決のための運動をどうするか、実行に移していくことが必要です。今後は学生が主導する場も設けるべきでしょう。

発言F:市大改革問題に対しては、市民の声が大事です。「市大と当局がやりあっているだけ」という構図では、運動は広がらないでしょう。もっとアピールしないと、市民が助けてくれません。

発言G:教養ゼミAは有意義でした。学生アンケートが実施されましたが、親の収入の実態や奨学金受給など細かくお金のことを聞かれました。この結果をもとに、学費の値上げをしようとしているのではないかと不安を感じています。改革というのであればとことん改革すべきで、どんぶり勘定ではなく、アメリカのように単位ごとに設定するのが効率的だと思います。「大学に医学部があるから」という理由は、学生からすれば関係ありません。大学が専門学校化しているように思われ、学費のムダではないかと思います。大学自体のネームバリューが落ちているので、就職活動も不安です。

発言H:英語について不安はあります。学生のなかには、何が悪いのか問題なのか自体がわからず、苛立ちや怒りの矛先をどこにぶつけてよいかわからないでいる者もいます。結局無気力で講義にも出なくなり、学生たちの運動も白熱しないのではないでしょうか。

発言I:学生の声は批判として受け止めるしかありません。どうすればいい方向に進むか、ぜひ組合で戦略を立ててほしい。昨年は「あと1年やれば何か方向性が見えてくるのだろう」と思っていましたが、今日の集会で少しは見えてきたのでしょうか?

発言J:大学は学生が主役です。いかにいい教育を受けられるかが大切でこのような集会を開いているので、次回はぜひもっとたくさんの学生に来てほしい。


最後に書記長による閉会の言葉がありました。教員組合主催の集会では、教員中心の議論になりがちですが、多数の学生の参加によって、非常に新鮮な話を聞くことができました。われわれは「横浜市大残酷物語」という内容の議論に満足すべきではない。

誰が責任を取るかなどはさておき、これから市大はどうすればよくなるかを考えるべきでしょう。若い学生を抱えている人間として、当局にふりまわされているだけでなく、学生に対する責任者でもあることを教員は認識すべきです。

これまでの市大問題の原因を考えると、以下の点に集約できるのではないでしょうか。つまり市大の財政問題を解決する能力も気力もなく、「改革の点数かせぎ」しか興味を持たない政治家の存在、地方公務員の独特の人事制度のゆえに学問や学者の仕事に無理解な傾向が公立大学に存在する点、そして政治的なかけひきに不慣れな学長を選んだ点です。この三つを一つの大学で同時に抱えていたのは、市大の悲劇の始まりではないでしょうか。

さらにTOEFL500点問題に象徴されているように、教授会は実質的に廃止され、大学の運営管理に関する正常な意志決定プロセスが破壊されており、その修復には、多くのエネルギーが必要となるでしょう。教員組合は労働条件を交渉することが主な仕事であると同時に、大学の運営管理に関する矛盾点を皆さんとともに確認し、良識ある教員の声を代弁できるように努力していきます。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年01月12日 00:20 | コメント (0) | トラックバック (0)
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横浜市立大学の未来を考える『カメリア通信』第36号

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●“市民派”中田宏横浜市長の“ダーティーな素顔” 「一楽重雄: 松岡滋子先生不当人事不服提訴 第1回口頭審理傍聴記」 横浜市立大学の未来を考える『カメリア通信』第36号(2006.1.10)

松岡滋子先生不当人事不服提訴
第1回口頭審理傍聴記

一楽 重雄

 関内の横浜市人事委員会で表記の公開審理が、12月26日午後1時半より行われた。
 この証人尋問を傍聴して、私はこの事件がすっかり分かったと思った。また、証言内容の事実の重さは衝撃的であった。中田市長が、白を黒、黒を白と言いくるめようとしている実態が明白になったように思う。市大で経験した合理性のない「改革」と同質のことが、脳血管医療センターでも同じように、あるいは、もっと悪く行われようとしていることがわかる。取り急ぎ、印象に残った内容を報告したいと思う。
 傍聴席は、ちょうど満員であった。恐らく患者さんとその家族の方と思われる、比較的年配の方が多かった。報道陣も10名程度であろうか、席を取り、最初から最後まで取材していた。始まると、すぐに、後ろの席の方が「聞こえません、マイクを使ってください」という声があがった。事務局は、マイクを用意しておらず、井上審査員長は、「今日のところは、席の配置を変え、証言者が傍聴席に背を向けるのではなく、横向きで証言することでやらせて欲しい」ということであったが、横浜市の人事委員会にマイクがないわけもなく、丁度、始めようとした頃にマイクが到着し、この件は一件落着となった。これまでに約20分の時間を浪費した。ちょっと気になったのは、井上審査員長が事務局をかばったことだった。 ……


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2006年01月05日

横浜市立大、これは困った! 中田 宏“編集長”

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●これは困った! 中田 宏“編集長”: 「横浜市大PRビデオ」の人気教授に逃げられ、“改革”プロパガンダの大嘘がバレバレ(2006.1.3)
 

これは困った! 中田 宏“編集長”: 「横浜市大PRビデオ」の人気教授に逃げられ、“改革”プロパガンダの大嘘がバレバレ(2006.1.3)

 昨年末に得た確度の高い情報では、独創的な研究により国際的に評価の高い某人気教授が4月1日付けで某国立研究教育機関に異動するという。中田宏市長の了解と指示のもとに“独裁官僚”池田輝政氏(当時総務部長、現泉区長)ほかの横浜市官僚により強行された乱暴極まる横浜市大“改革”(改悪)[脚注1]に嫌気がさした教員の流出が続いている[脚注2]が、今度は、わずかに残った横浜市大の“スター的存在”の流出である。

 “改革(リフォーム)”後の横浜市大に関して中田市長は、市長“御用達”「tvk(テレビ神奈川)」のPR番組で《生まれ変わった横浜市大の魅力を中田宏編集長が徹底リポート!》などと、“悪質”住宅リフォーム会社による“リフォーム詐欺”顔負けの“虚偽”宣伝を行っている[脚注3]が、その中で中田“編集長”は、自由でおおらかだったかつての横浜市大時代に行われた今回流出する教授による長年の研究成果が、あたかも中田市長による横浜市大“改革”の成果(つまり、市長プロパガンダの“生まれ変わった横浜市大の魅力”)であるかのようにリポートしている。一般論としての話しだが、たとえ、宣伝用の“顔”として利用する目的で特定の教員を特別扱いでいくら厚遇したとしても、教授会から人事権を剥奪したうえに教授会そのものを(実質的に)消滅させて「学問の自由と大学の自治」を完全否定したあげく、「全教員任期制」などという身分保障のない劣悪な研究教育環境に追い込んだりすれば、“卑屈の塊り”タイプの教員[脚注4]は別にして、誰だって逃げ出したくなるのは当然だろう。

 “ダーティーな素顔”を隠蔽しつつ“市民派”を詐称してはばからない中田市長[脚注5]は、2期目の市長選をまぢかに控えて大嘘の“改革”プロパガンダに余念がないが、これ以上横浜市大“改革(リフォーム)詐欺”の犠牲者を増やさないためにも大学ホームページに掲げられている欺瞞に満ちた「横浜市大PRビデオ」[脚注6]を直ちに削除すべきではないのか。

[脚注]
(1)■不純な動機:横浜市大“改革”の「ルサンチマン説」
(2)■横浜市大、どうにも止まらぬ「教員流出」(2005.2.14)
   ■『毎日新聞』(夕刊):横浜市大、地方独立法人に移行へ キャンパスは『異常事態』 学生は不安、研究者は去っていく(2004.5.29)
(3)■これではまるで“悪質詐欺” 中田宏編集長の「横浜市大PRビデオ」(2005.8.19)
(4)●小川恵一学長とサイレント・マジョリティー3教授
   ■05/12/20記者発表、論功行賞で「横浜市立大学の次期副学長等が決まりました!」 馬来国弼氏(サイレント・マジョリティ教授)と奥田研爾氏(プロジェクトR幹事会委員)ほか(2005.12.27)
(5)●中田 宏横浜市長《“市民派”中田市長のダーティーな素顔、ほか》
(6)■tvk「Hi!横浜編集局」~今、横浜市大が面白い~TV放映分動画配信
http://www.yokohama-cu.ac.jp/01pr/050625_haishin.html 
《生まれ変わった横浜市大の魅力を中田宏編集長が徹底リポート!、ほか》


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2005年12月28日

横浜市立大、次期副学長等の決定

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●05/12/20記者発表、論功行賞で「横浜市立大学の次期副学長等が決まりました!」 馬来国弼氏(サイレント・マジョリティ教授)と奥田研爾氏(プロジェクトR幹事会委員)ほか(2005.12.27)

参考資料
小川恵一学長とサイレント・マジョリティー3教授
卑屈の塊り、“サイレント・マジョリティー”3教授が記者会見 「神奈川新聞」(2003.5.8)
「プロジェクトR委員会・幹事会」名簿(2003.5.14)

横浜市立大学の次期副学長等が決まりました!

横浜市立大学の平成18年度以降の副学長、附属病院長などの教員主要管理職が決まりました。

◎新任主要管理職の紹介
【次期副学長】
馬来 国弼(まき くにすけ)氏は、現在、国際総合科学研究科長として実践的で高度な専門教育を実施し、大学、独立行政法人研究機関、国際機関などで、リーダーとしての役割を果たすことができる人材の育成に取り組んでおります。専門分野は応用物理学です。
馬来新副学長は主に教育・学生担当の副学長となります。

奥田 研爾(おくだ けんじ)氏は、現在、副研究院長として主として医学系分野における産業界との共同研究の推進、国家プロジェクトの積極的な獲得、高度で安全な市民医療への対応などを視点とした戦略的研究の推進に取り組んでおります。専門分野は分子生体防御学です。
奥田新副学長は主に研究推進担当の副学長となります。…


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2005年12月27日

横浜市立大、「中期目標」はどこで誰の責任で策定されたか?

大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(12月26日)

12月26日 「全国国公私立大学の事件情報」(本日付)に、市大学生新聞のブログ記事(教員組合主催、学生・院生など自由参加)が掲載されている。それで、直接、学生新聞ブログ(12月23日付)にもあたってみた。

新聞記事には、私が聞いていなかった冒頭委員長挨拶などに関する情報をはじめ、一読し、吟味すべき情報が掲載されている。各報告者・各発言者の意見の内容の受け取り方も、私の受け止め方とはニュアンスの違う部分がある。

ということで、できれば、各報告者・各発言者が、正確な自分の発言意図・発言内容などを、市大新聞や教員組合に届けて、それを公開すべきであるように思う。当日、集会に参加しなかった人々でも関心を持っている人は多いであろうから。

ひとつ記憶に鮮明に残っていることとして、書き記しておけば、「中期目標は6年間変更されない」という論点である。教員側の発言のひとつで、その点が指摘された。教員サイドからすれば、まさにこれは市当局が決めて大学に示したものであり、なんともしがたいということである。これに対し、学生が「6年間変更がないなんて、絶望的」といった発言があった。この「絶望的」というのが鮮明に記憶に残っている[1]。

「中期目標」はどこで決められたか?誰の責任で策定されたか?

すくなくとも、昨年度まで存続した「教授会、評議会」(学則による大学の自治機関)の議事録を見れば分かるが、教授会、評議会では議論になったことはない。それは行政当局のマターだということで、独立行政法人化と平行して、市当局(その大学改革本部)が協力する教員を選抜して、行政当局のイニシアティヴのもとで策定したものである(だから、多くの教員には無力感、不安感が蔓延していた)。

その策定過程・策定方法における幾多の重要問題(全教員任期制問題など)のひとつとして、しかも全学生に直接影響するものとして、トッフル500点=進級基準問題がある。その肝心のことをきちんと見据えておく必要があるだろう。

「メジャーな変更」、「マイナーな変更」というのは抽象的であいまいになってしまう。大学外部の試験=トッフル500点=大学内部の進級基準問題、プラクティカル・イングリッシュ講義3コマの担当教員の単位認定権否定問題(教授会権限の否定問題)は、カリキュラム編成(学校教育法における教授会審議事項の最重要事項の一つ)にかかわる根本問題である。私の理解では、これこそは最重要の本来の教授会マターであり、教授会(評議会)審議事項であるべきだったが、それがまったく為されなかったことに問題発生の根本原因があると考える。

「6年間変更できない」ということが、具体的な問題のどこに関わってくるのかも、重大である。「トッフル500点、進級基準」は、全学生に対する制度として公表(手許には新聞記事がないが、記憶によれば、記者会見等で改革の目玉として特筆されたはず)されたが、最終局面で、変更があったかのようでもある。国際総合科学部と医学部では取り扱いが違うようでもある。こうした重要なこと(変更があったとすれば、変更する主体はどこで、誰が、どの機関が、いつ決定したのかが問題になる)が、明確な形で公開され、学生に周知されているわけではない。うわさがうわさを呼ぶ。

今後、どのようにこの問題を処理するのか(どこで、誰によって、どのように審議し、決定するのか)は、大学改革の今後のあり方にとってきわめて重要であろう。


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2005年12月26日

横浜市立大、教員集会 学生からも意見

横浜市大新聞 ニュースブログ

教員集会 学生からも意見

 20日18時から、本学金沢八景キャンパスのビデオホールで「横浜市大は立ち直れるか? 独法化後の状況を検証する」と題する集会が行なわれた。この集会は本学教員組合の主催。教員・非常勤講師のほか、学部生・大学院生も含めた50人が参加し、熱心な議論を繰り広げた。2時間にわたった集会の冒頭、まず上杉忍教授(教員組合委員長)が本学改革の問題点を指摘。さらに柴田典子準教授が教員アンケートの結果報告、岩崎徹準教授が英語授業の問題提起し、遠藤紀明非常勤講師が非専任教員の現状を紹介した。【向】

■教員報告ーー大学改革へ批判
 
 上杉教授は横浜市立大学の改革を批判的に論じた中西新太郎教授の論文を資料として配布。「大学は、我々が積み上げてきた文化共同体だ。誰に責任を押し付けることもなく我々の手で立て直していかなければならない」として、大学のあり方に課題を投げかけた。

■教員から不満続出

 柴田準教授は、7月に行なわれた教員アンケートでの教育現場からの声を紹介。「大学は良い方向に向かったか」などの質問に対する答えをまとめ、4つの問題点を指摘した。まず労働条件。雇用と職務とその評価、この3つの点において多くの教員が不安、負担、不透明感を感じているという。次に教育活動で、現カリキュラムでは教員の不足などの問題が生じておりカリキュラムを再検討すべき、との意向が出ていると言う。3つ目に研究活動で、研究費の配分ルールが分からない、図書館の蔵書が教育機関のものとしては余りに少ないなどの意見を挙げた。4つ目は学内運営。現行の中央集権に対する不満があると言う。
 
 アンケートの自由回答には「親しい人が市大を受験したい、と言ったら薦められないという意見もあった」。「横浜市立大学の良い点は何か」という質問に対しては良い点が圧倒的に少なく、良い点の内容も「学部間の様々な文化が入り乱れるようになったことは(大学改革に)絶望しながらもおもしろい」など半ば皮肉を含んだものだった。

■「マイナーチェンジ」の必要性指摘 

  英語担当の岩崎徹準教授は、新一年生の問題点として、進級要件の英語のハードルの高さを指摘した。国際総合科学部が3年次への進級条件として設定したTOEFL500点は大部分の学生が到達できず、来年度には600人程度が最履修する予定だと言う。英語授業は出席状況が極めて悪く、状況を聞いた参加者からは「ひどい」などの声も上がった。

 岩崎準教授は、TOEFL500点という目標は「必ずしもはっきりしたデータに基づくものではない」とも指摘。どのようなデータを基に、なぜ500点か、大学当局側から明確な回答はなかったという。同じTOEFL500点を高い水準で達成した国際教養大学(秋田)の例もあるが、それは国際教養大学の全授業英語、全員留学のシステム、少人数教育の結果だと紹介した。

 来年度は、週3コマのpractical Englishを引き続き行なう予定だ。来年も上位得点のSクラス所属者には業者派遣の講師による授業を提供。また、470点に満たない学生に対してはTOEFL対策に関わらず基礎力をつけるための授業を行なう。岩崎準教授は「学校そのもののメジャーチェンジも大切だが、細かい所のマイナーチェンジも考える必要がある」と語った。

■「弱者を切り捨てるシステムだ」

 遠藤紀明氏(本学非常勤講師)は非常勤講師の立場から、市大改革を語った。大学側の非常勤講師に対する扱いは「使い捨ての道具のようだ」として、「市大改革は改悪だ」と語った。「担当コマ数を講師側に連絡無しで動かす。これは非常勤講師にとっては生活に関わる死活問題だ」。

 国際総合科学部の教養ゼミについては「学生の力を伸ばす上で役に立つ授業であった。しかしその中にも伸ばしきれない部分はある。教養ゼミで伸びない部分はどうする気か。落ちこぼれをどうする気か。現カリキュラムはそれらを切り捨てる制度だ」と語った。本学の現状は「弱者を切り捨てるシステムである」として、この状況が続くなら「大学はなくなった方が良いのではないかとさえ考えた」と、大学への憤りをあらわにしつつも、「今後システムが教員の声を汲み上げるよう何度も声をかけていきたい」と述べた。

■参加者から多くの意見

 岩崎準教授の英語授業の話に対しては、学部生(国際総合科学部1年/女性)から「(専任講師の)授業の質が良くない。外部から講師を招いた夏期講習の授業などをもっと見習うべきではないか」との批判的な意見もあった。また、今年度の教育内容に良い点を見出した学生もいる。学部生(国際総合科学部1年/男性)の学生は、「国際総合科学部提供の授業、教養ゼミを経て貴重な経験を得た。高校時代にはなかった議論型の授業が役に立った」。

 大学院自治会の大学院生(国際文化研究科博士課程2年・女性)は、コピー限度枚数の少なさ等を例に挙げつつ「事務当局は院生の研究活動を考える気持ちがない。訴えても聞こえない。責任逃れが常だ」と不満を述べた。

■「もっと多くの学生の参加を」

 学部生(国際総合科学部1年/女性)からは「問題点があっても、それをどこにぶつければいいのか分からない。教員に訴えれば良いのか、それとも大学自体に訴えれば良いのか分からない」という声も。学部生(国際総合科学部1年/男性)は、集会終了後「教員の言いたい所と自分たちの言いたい所に通じる所があることを初めて知った」と語った。

 大学院生(国際文化研究科博士課程2年/女性)は「旧カリキュラムと新カリキュラムは違うので、現1年生の状況は私たちには共有できていない。学部生のカリキュラムの感想を聞くことが出来てよかった。現1年生は(大学に対する)思いはあっても内に秘めているだけだったので交わることが無かった」。

 随清遠準教授は「学生からの意見は、なにより新鮮なものだった。廃校にすべき、という意見も分かるが、若いこのような学生たちを抱えている以上、大学をやめるわけにはいかない」と語った。従来、教員と学生とが対話できる機会はほとんどなかったため、教員からは「学生の声を聞きたい」との声が出ており、学生からも「もっと多くの学生の参加を」との声も上がっている。


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2005年12月22日

横浜市立大、教員組合緊急企画「横浜市大は立ち直れるか?」の報告

大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(12月21日)

12月21日 昨日夕方の教員組合集会に、用事でちょっと遅れたが出席した。非常に有意義な会合だったと思う。委員長挨拶、及び第一報告の前半(?)はきくことができなかったが、その後は終了まで議論を聞くことができた。

第一報告は、現在の教員がどのような精神状況にあるか、教員の置かれた状況にどのように反応しているかが、緊急アンケートなどを紹介しながら、総括しようとするものであった。ほとんどが「改革」の現状を否定的に感じていることが印象的であり、当局が表向きに言っていることとの落差はひどいものだと感じた。

第二報告は英語(トッフル問題)であった。英語担当教員の現状で可能な改善努力も、制度設計そのものの根本的問題から、ほとんど実りのないことが衝撃的なデータ(うわさでは知っていたことだが)で紹介された。小手先の手直しではなく、メジャーな変更、制度の変更が必要だ、英語クラスにおける担当教員の単位認定を、通常のすべての大学と同じように、行う制度とするべきだ、といった総括は、あまりにも当然に思えた[1]。

第三報告は、非常勤講師組合からの報告であり、冬休み直前の現時点になっても、来年度、非常勤講師に委嘱されるのかどうか不明の状態の講師の人々がいるようで、身分と生計が不安で苦しんでいる専業非常勤講師のこと、「非常勤講師を人間扱いしていない」、「使い捨ての態度」など、報告はわれわれでも知らないようなひどい状態があきらかとなった。現在のシステムは、非常勤講師に対して実に破廉恥な対応となっている、と[2]。

委員長挨拶と3報告の後、報告者と会場参加者との総合討論となった。

教員の発言も印象的なものが多かった[3]が、なんといっても今回の討論会で一番印象的で有意義だと思われたのは、学生・院生の参加であり発言であった。英語授業に対する不満(トッフル高得点を目指す意欲的学生の立場、大学案内をそのまま信じて裏切られた、騙されたと感じている学生の見地)が、「ディープインパクト」だった。院生も、日常的な「事務当局の無理解、不感症」を述べたが、文字情報でなく直接の発言のインパクトは大きいものだった。

勇気ある学生・院生諸君に敬意を表したい。怒りや不満を持っている学生・院生は多いであろうが、それを文章化したり発言したりすることには、大変な勇気がいるのではなかろうか?

現在の大学の中で、自主的自立的な組織は数少なく、そのなかで教員組合、非常勤講師組合は数少ないそうした自立的組織である。そうした組織が今後も討論の場を設定し、学生や院生の声も合わせて、真の意味での改革を推進していく必要があるだろう。会場発言からも、そのような期待の発言があった。
いずれ、教員組合ニュースで、会議の模様は報告されるであろう。

[注]
[1] 大学教員の講義課目における単位認定権を否定する現在のシステムが、合法的であるかどうか、これを文部科学省は検討しているのであろうか?

 行政当局任命のカリキュラム編成委員会で「トッフル500点制度」(進級要件としてのトッフル=外部試験、3コマの英語授業は開設しても、そこでは単位認定は行われない、否定されている)

[2] 「全員任期制」などという制度もまた、大学教員任期法(明確な制限条項を規定)に反し、したがってそれを直接適用できずに、その「精神」を活用するものとして(論理的脈絡なく)、労働基準法改正条項を適用するというやり方も、「あり方懇」路線に従う「役人の論理」として、専任教員の精神を冷え込ませている。

教授会の権限(人事権)を剥奪した上での「任期制」は、恐るべき結果をもたらすことになる。それは、専任教員の身分を不安定化(その不断の脅かし)することを通じて、専任教員のいろいろな意味での従属性を強めることになる。それが、さまざまの教授会決議・抗議声明に反して、今回の公立大学法人の「就業規則」にも盛り込まれている。いかに、市長諮問委員会「あり方懇」の路線が現在の大学を縛っていることか。

 こうした専任教員の置かれた状況(ある種、追い込まれた状況、無権限化の状況)からして、非常勤講師の現状に対する認識と連帯感が、普通の教員サイドにも希薄になっていたのではないか、その点を鋭く指摘されたような感じを持った。

[3] 大学教員の研究と教育のための時間の使い方にまったく無理解な事務当局の姿勢、普通の事務職のような勤務時間でないことへの無理解が、今でも繰り返されているようである。

 大学教員が、講義担当において、演習指導や論文指導において、さらに、論文や著書の発表、学界(学会や研究会)活動、地域貢献の活動などにおいて、自らの名前・自らの責任で、どのように時間を使っているか、そうしたことにまったく無理解な発言が、教員組合との折衝などで繰り返されているようである。

大学とはなにか、大学教員とは何かについて、しっかりした認識を持っている経営者と事務職でなければ、いたずらに教員の精神を逆なでするだけであろう。そうした基本的訓練さえも行われない人間が、大学の外から送り込まれてくるのが現状のようである。

 大学教員は、匿名・無名の陰に隠れて行動しているのではないことが、意図的に隠蔽され、「理解されない」。


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2005年12月19日

横浜市立大教員組合、緊急企画「横浜市大は立ち直れるか?」

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー 2005.12.16

緊急企画「横浜市大は立ち直れるか?」(12/20火)を開催します

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日時:2005年12月20日(火)18:00~20:00
場所:八景キャンパス ビデオホール
集会ポスター
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 別途、掲示などでお知らせしていますように、教員組合の主催により、緊急企画として「横浜市大は立ち直れるか?――独法化後の状況を検証する」を下記の通り開催いたします。

 横浜市大が独法化してから早くも一年が過ぎようとしています。教員の士気低下や流出、TOEFL500点などカリキュラム上の問題、大学管理運営にみられる混乱――課題山積の「新しい市大」は一体立ち直ることができるのでしょうか?
 今回の集会では、各分野の教員パネリストによる現状報告と参加者による議論を行う予定です。  
 教員、非常勤教員、職員、学部生、院生どなたでもご参加自由です。

 万障お繰り合わせの上、どうぞふるってご参集ください!!


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2005年12月16日

大学における構造設計問題

大学改革日誌(永岑三千輝氏)最新日誌

12月15日 構造設計におけるデータ偽造(設計ミス)問題が、世間を騒がせている。昨日の国会証人喚問で、一級建築士は、「いやなら他にいくらでも建築士はいる、設計事務所を変えることはできる」と脅かされて、耐震設計における建築基準という法律を破る偽造を行ったという。「生計の道を奪うよ」といわれて、それに抵抗できる人がどれだけいるだろうか? 市場競争は、法的基準=競争ルールを踏まえたうえでなされなければならないのではないだろうか? 「サービス残業」の横行、不正規労働の大幅雇用などは、まさに「代わりはいるよ」との隠然・公然の圧力のもとで(その圧力手段として)行われているのではないか?「規制緩和」=ルールなき資本主義か?

「大学の自治」、「学問の自由」の憲法的保障(それに基づく学校教育法など)は、まさにここにかかわってくると思われる。大学間競争もまた、適切な法的基準の上で行われる必要がある。

人事と予算を握ったものが、大学の外部のもの(それと結合した人々)であれば(上記、設計事務所の例で言えば、建築主など発注主体が設計士の生殺与奪の力を持つということだが、建築主・発注主体にあたるのは市立大学・公立大学の場合、地方公共団体(その執行権限を担うもの)、大学の事務局・経営関係・さらに学長などの任命において実質的権限を持つ関係行政当局・責任者ということになろう、また構造設計との関連で検査機関・監督官庁ということで言えば、大学の場合は設置審、あるいは文部科学省、そして総務省などということになろう)、「大学の自治」や「学問の自由」はなくなる。大学の自治を守る組織体としての教授会や評議会が、人事や予算において自立的自治的に機能しなければ、いったいどれだけの人が自由に意見をいえるのか?たんなる報告事項だけを聞くだけの会議がいくら開催されても意味はないのではないか? 現在のシステムで、「責任の所在が明確になった」という人もいるのだが、いかなる意味か?

ともあれ、構造設計問題は、ひとごとではない、と考えるべきだろう。これはたんに私一人の危惧ではないだろう。(Cf.教員組合緊急アンケートによせられた意見アンケート結果集計、および教員組合ウィークリー12月6日号に掲載されたある教員の意見:投稿記事「教員は大学にとって何なの?」)。

講義負担の変化、教員数減少に伴う問題、管理職は別として事務局一般職員の削減に伴う事務作業の教員負担など、耳に聞こえてくることはいくつもある。かつて事務が担ってきた仕事を教員が担うようになって、教員の研究教育の時間(精神的余裕)を圧迫している現象もでてきているようである。教員組合主催の集会が開催される(12月20日、火曜日夕方、ビデオホールにて)というので、そこではこの4月以降の具体的諸問題が、多様な角度から明らかにされるのではなかろうか。みんなが元気が出るような方向性が、教員組合集会の議論から生まれてくると素晴らしいのだが。

構造設計問題、ということでは、うわさでは「専門職大学院」設立構想が進んでいるという? どこで、誰によって? どのような組織的審議機関によって? 誰が人事を?どれだけの増員?国際総合科学部ではまたまた何人かの教員が去っていくといううわさも耳にしたが、その補充はしないで、新しい「大学院」はつくるということか?いずれにしろ、普通の教員には情報を一切与えず、「設置者権限」ですべては、行政(経営)が取り仕切るということか? うわさしか聞こえてこない以上、疑心暗鬼とならざるを得ない。

 だが、「よらしむべし、知らしむべからず」か?


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2005年12月07日

横浜市立大、教員は大学にとって何なのか?

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー、2005.12.06

教員は大学にとって何なのか?
一組合員

顧客と責任者

 まず言葉使いを定義しておこう。ここでの「顧客」は、組織(企業や会社)と深い利害関係をもちながら、組織の運営に権限と責任を持っていないものを指す。

 そういう意味で、教員は大学の顧客であるべきではない。むしろ大学の運営や組織改革について、当事者として責任と権限をもって行わなければならない。しかし、横浜市立大学において、当局によるこれまでの教員に対する扱い方を振りかえれば、教員は大学運営や組織改革において十分な権限と責任を与えられていない。また、良心的な企業や会社であれば、サービス提供において顧客に対する十分な意見聴取や事前説明を行うが、市大の一般教員はこういった意見聴取や状況説明も受けていない。

学生への見せかけのケア

 改革が打ち出されてから、大学は学生に対して懸命にサービス提供の姿勢を見せてきた。2003年10月に学部統合等について学生向けの説明会があった。2005年度、新入生向けの詳細なアンケートが実施された。アンケートでは、学部生があまり利用しない専門雑誌の充実度まで感想をもとめた。他大学の状況も知らないし、これまでの削減経過も知らなければ、多くの学部一年次の学生がこの項目に答えようはないのではないかと想像する。しかし、サービスを受ける「顧客」に対する気遣いは別に悪いことではない。

 しかし、講義担当の多数の重要ポストを長期にわたって補充しないあるいは受験倍率が急激に下落した理由などは、決して学生には説明しないから、この程度のケアは見せかけのものといえよう。

教員は責任者と見なされていない

 大学改革において、どうみても教員は責任を持つ者として見られていない。学長、コース長はいずれも教員による選挙ではなく、基準不明の指名によって決められた。学部統合、TOEFL500点などのような大学の浮沈に関わる重大事項に関して、事前説明もないから、当然教員から意見を申し立てる機会もなかった。「1140億円負債」からスタートした改革はいつの間にか、従来の教育実績を判断せず、担当者全員に「とにかく従来通りの授業の進め方をしてはだめだ」、「嫌だったら、おやめになれば」(2004年11月、総合講義ワーキング・グループの会合における副学長発言)と求めるようになった。

 学部を統合して何になるのか、「オンリー・ワン大学」自体は意味があるのか、TOEFL500点は他のすべての学問より優先度を高く設定する必要はあるのか、といった教員の素朴な意見や疑問がことごとく無視されてきた。

教員は「顧客」にもなっていない

 一般教員を意思決定プロセスから外すなら、せめて意見表明の機会あるいは説明を受ける機会を十分与えるべきであるが、これもこの大学においては見られていない。大学改革(学部統合の必要性、TOEFL500点の重要性など)について一般教員に対して上記のアンケートに類似するような意見聴取は今日に至るまで一度もなかった。任期制・年俸制の実施について、制度に関する説明会は二回ほどあったが、教員側の意見・苦悩・疑問・心配などを聞く機会はこれまで一度もなかった。当局は、教授会から人事権を取り上げただけでなく、学務教授の採用、専任スタッフの新人採用についても、一般教員に対して辞令交付程度の情報以外、被採用者の経歴、業績、採用理由などいっさい提供していない。

 教員は、いったい大学にとって何なのであろうか?

 教員意見の無視、非民主的学長選挙、正当理由なしの学部統合、急激な受験倍率の低下、このいずれをみても、横浜市大はすでに「オンリー・ワン大学」になっている。しかし、大学の将来を危惧する教員にとって、これはあってはならない悪しきオンリー・ワンだ。これまでのように一般教員に大学運営への参加権を十分与えないようなことがさらに続けば、10年後市大は価値のある大学として存続することは難しいだろう。


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横浜市立大教員組合、学長選考結果について

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー、2005.12.06

学長選考結果について

 去る11月28日、ブルース・ストロナク氏が横浜市立大学次期学長として選考されたと発表されました。

 当組合は、10月11日の「学長選考・任命に当たっての教員組合の見解」において、今回の学長選考は、現場教員の声の無視、民主主義の後退などの意味において非常に問題があることを強調しました。また、「学長選考緊急アンケート」の結果に示されたように、大学教員の多くはこの問題に強い関心をもっており、現行のやり方に対して厳しい見方をしています。

 いずれにしても、このような時期に横浜市立大学の学長の任に当たる方には、失った人心を取り戻すために、これまでのように現場教員の意見を無視するような大学運営を大きく改めるための努力が望まれます。既定路線とされていることでも、大学の価値を損なう部分に対しては、勇気をもって修正してもらいたいものです。

 教員組合は、大学を真の意味で良き教育・研究の場とするために、引き続き、教員の権利が尊重され、一般教員の意見が反映される民主主義的な大学運営を行なうことを、大学当局に求めていきます。


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2005年12月05日

横浜市立大、元学長の「無責任発言集」

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●小川恵一学長の「無責任発言集」(2005.12.1)より冒頭を転載

小川恵一学長の「無責任発言集」(2005.12.1)

 横浜市立大学“改革”(改悪)とは、“えせ市民派”中田市長の了解と指示の下に、“思い通りにならない”教員に対するかねてよりの“怨念”を晴らすべく、池田総務部長(現、泉区長)をはじめとする横浜市官僚らにより強行された、「学問の自由と大学の自治」に対する“徹底的な破壊”を指す(『不純な動機:横浜市大“改革”の「ルサンチマン説」』、参照)。この間に、小川学長(現、横浜市中央図書館長)が、大学の最高責任者として行った数々の所業を、時の流れの中に埋もれさせる訳には行かない。本ホームページの管理人は、小川氏と同時に横浜市大に赴任し、学問の枠を超えて交流を持った経験から、小川氏が決して“悪い人”ではなく、間違いなく“善い人”の部類に入ることを知っているが、小川氏の所業やその責任に関しては別問題であって、誰かがそれを記録に留めて追及しなければならない。

……(以下,上記URLを参照して下さい)


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2005年11月30日

横浜市立大、学長選挙 ストロナク学長を選考会議で再選

大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(11月29日(1))

11月29日(1) 現学長ストロナク氏が再選されたようで、新聞記事にでていた。そして学内では「市大新聞号外」が掲示されていた。現学長は行政当局の任命以外の何ものでもなく、今回の選考委員会もまた行政当局の任命によるものである。したがって、大学の自治の観点からすれば、由々しい事態だといわなければならない。大学教員の学問の自由はどこまで保障され、どこまで自由で生き生きとした研究ができるのか、目に見えないだけに将来の結果は予測が付かない。大学教員の精神的拘束が学生院生の教育にどのように影響するのか、これまた目に見えないだけに、十分に注意してみていく必要がある。

学問の自由の制度的保証としての大学の自治は歴史的普遍的に追求されてきたものであり、その根幹が、大学を代表する人間(学長)の任命のあり方にかかわる。教員組合に出された緊急アンケートの回答(アンケートの最終結果)が示すように、明示的に意見を述べる人々に今回の学長選挙のあり方に賛成するものはいないという厳しい現実を、ストロナク氏はどう考慮するのか?

ストロナク氏のこの7ヶ月ほどの態度は、すくなくともほとんどの大学教員には、目に見えないものであり、明確なものではない。その点も、教員組合緊急アンケート回答が示すとおりである。設問二をみればわかるが、回答者72名中、かりに自分の押す候補がいると回答した4人の全員がストロナク氏を適任と考えていたとしても、わずかに4名だということである。教員組合に意見を述べるような大学教員からは、それほどにも期待されていないということである(「わからない」という人25名の気持ちが、仮に、ストロナク氏に一縷の望みをもった人ばかりだとしても、期待するにふさわしいメッセージをきちんと発してこなかった、情報がない、だから「わからない」ということなのだろう)。

新聞報道では、「国際化に向けて、カリキュラム等を抜本的に見直す」姿勢のようであるが、いったいなにをどのようにか、その内容こそが重要である。「国際化」と称するアメリカ基準の傲慢な押し付けならば、即座に、大学人のごく一部にあるほのかな期待の芽もしぼむであろう。数理科学科の二教授のストロナク氏宛質問状(ストロナク候補宛質問状)に今後どのような態度と見識を示すのか、試金石のひとつはそこにあろう。数理科学は、自然科学・人文社会科学のすべてにとって重要な基礎科学であり、しかも、装置科学・設備科学とちがって相対的にはコストの少ない学問のように思われる。その意味で、経営的な観点からも「効率的」科学だと思われるのだが。

横浜市大、ストロナク学長、選考会議で再選

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20051129ddlk14040380000c.html

 横浜市立大学(本部・横浜市金沢区)は28日、任期満了に伴う学長選考会議で、ブルース・ストロナク現横浜市大学長(55)を再選したと発表した。国公立大学では初めて学内選挙を経ずに学長の選出が行われた。任期は来年4月1日から4年間。

 学長選考会議は経営審議会と教育研究審議会から各3人ずつで構成され、推薦された学長候補者を書類や面接などで選考する。今年4月の同大法人化で設置が定められた。従来の学内投票を行わないため、支持集めによる学部間の対立を避けられ、学内外から幅広く人材を得る利点があるという。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年11月30日 00:52 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年11月29日

横浜市立大、学長選挙 元数理科学教室2教授が候補者に「質問状」提出

大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(11月28日(1))

11月28日(1) 二人の学長候補の選考は進行中なのか、すでに終わって発表を待つだけなのか、そうしたことさえ学内の人間(教職員一般)にはわからない。

 この間、数理学教室から二人の候補に質問状が出され、所信表明会での回答、あるいは文書による回答を求めてきたようだが、候補者所信表明の会では、布施候補がちょっと「一楽先生からの質問にこたえます」と数理学科からの質問に言及した(「いい改革をやってきたので反省すべき点はない」、数理学科の再建に関しては「そのような世論が出てくれば考えるが、しかしそれは難しいのでは」といったような趣旨の表明だったと記憶する)が、回答はそれにとどまるようである。私の受け取り方が間違っているかもしれないが、正式な文書による責任ある回答が期待される。

 ともあれ、その質問状をいただいたので、以下に紹介し、何が問題になっているか、その論点だけでも明らかにしておこう。

質問状

ストロナク学長候補殿

 以下の項目について、所信表明の場でご回答下さるようお願い致します。それが不可能な場合は、11月20日までに文書で回答くださるようお願い致します。

横浜市立大学 元数理科学教室 
教授 一楽重雄
教授 市田良輔

1.今回の大学改革が、大学の自治の原則を踏みにじり、教員の賛同を得ないままに横浜市が一方的に「改革」を進めたものであることはご存知のことと思います。新大学が発足して半年以上たった現在に至っても、多くの教員は疎外感を持ち、よりよい新大学を作ってゆくという気持ちを持てないでいます。このようななか、ストロナク氏は、学長として学生との話し合いの場を持たれたことは、報道によって承知していますが、一般教員と直接会話する機会は、これまでまったく持たれなかったと思います。むしろ、教員との話し合いこそ必要であったのではないかと思いますが、この点についてどうお考えでしょうか。お考えをお聞かせください。

2.新大学では、合理的な理由もなく、また、納得できるような説明もないまま、数理科学の専攻が廃止されてしまいました。入試倍率がもっとも高く、近隣に競合する大学も少ない数理科学の専攻を廃止することは、経営の観点でみても不思議なことでした。私たちとしては、できるだけ早い機会に、なんらかの形で数理科学の専攻を復活したいと考えています。このことについてのお考えをお聞かせください。

質問状

布施学長候補殿

 以下の項目について、所信表明の場でご回答下さるようお願い致します。それが不可能な場合は、11月20日までに文書で回答くださるようお願い致します。

横浜市立大学 元数理科学教室 
教授 一楽重雄
教授 市田良輔

1.布施教授は、今回の「大学改革」に当たって、横浜市に協力し、多くの教員の意向と異なる「改革」の実現に努力されて来ました。このことに対する責任をどうお考えになっているか、お答えください。
 これまでは「教員を代表して横浜市に協力したのではなく、あくまで個人として協力しただけであるから、教員からの質問に答える立場にはなかった」かも知れませんが、教学を代表する学長の候補となった現在、教員の信頼を得るためにも、教員からの質問に真摯に答えることが必要であると考えます。

2.布施教授はコース等検討プロジェクト部会の座長として、コースの内容、授業カリキュラムの決定について、責任ある立場であったと思います。改めて、なぜ、数理科学の専攻を廃止したかについて、その理由を説明してください。
もっとも入試倍率が高く、近隣に競合する学科を持つ大学も少ない数理科学を廃止したことは、合理的な説明が出来ないと私たちは考えています。

3.私たちは、これからの大学を魅力あるものとすること、経営的にも有利にすることのためにも、数理科学の専攻を復活することが必要と考えています。このことについて、どのようにお考えになっていますか。

4.布施氏は、2003年5月に「改革推進有志の会」について記者会見をしていますが、この会はどのような活動をされたのか教えてください。学内での活動がまったく知られていませんので、横浜市に迎合するために急遽結成されただけであって実態のない会であったのではないかという疑念を払拭するためにも、主な活動だけで結構ですので、お知らせ頂きたく思います。

以上


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年11月29日 00:01 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年11月25日

横浜市立大、任期制問題 昇進と任期制切り離す件は前言撤回

公立大学という病:横浜市大時代最後の経験(更新雑記05/11/22)

05/11/22
 永岑先生のサイトに掲載されていた『市大教員組合週報』で、昇進人事において雇用契約は「新規契約」とされ、従って、昇進に際して任期を付けるとする方針がいまだ変っていないということを知った。今年3月末には昇進と任期制は切り離すという話が聞こえていたのだが、どうも前言撤回し、昇進の審査対象者に推薦された時点では任期付きに同意しなくてもよいなどとふざけたことを言っているとのことである。
 昇進の推薦から決定までの間に、「あなたのような優秀な人材には再任拒否なんてありえない」などと甘言で釣っておけば、それで口説けると思っているのであろうか。もはや他人事となったとはいえ、人を阿呆にするのもいいかげんにしろという感じの話である。
 本格的な全入時代を迎え、どの大学も生き残り策を教員・職員が一丸となって絞り出しているこの時期に、いまだ全員任期制に拘泥し、多くの人材を流出させている横浜市大はもはや滑稽とさえ言える。ニンマリしているのは周辺国公立のライバル校だけであろう。
 革新官僚を気取った地方公務員と、市大のことなど何も知らない御用「知識人」とが作った、誤れる方針に拘泥し、焦土戦が行われているのだ。その策定に関わったものが、誰も責任をとらないとあっては、まるで太平洋戦争時の日本軍だ。おまけに、ゴーサインを出したトップが、近衛文麿の孫の元秘書だったりするのだから、あながちこの比喩も間違っていないのかも知れない。
 市大を支えてきた「サイレント・マジョリティー」のなかで人心離反が進んでいる。その深刻さを当局は知らないのであろう。だから「中期目標・中期目標の大枠を理解していただくほかはない。それでも出て行かれるのなら止むを得ない」なんて言葉が学長候補者の一人からためらいもなく出てくるのだ。同窓生には申しわけないが、こんな風になってしまった大学を早く辞められて幸せだったというしかない。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年11月25日 00:22 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年11月24日

横浜市立大教員組合、昇格人事 任期制問題で交渉

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー 2005.11.22

●昇格人事に関する団体交渉(11月16日)

実施時間:2005年11月17日午後6:00-7:00 

出席者:

大学当局側:福島氏、渡辺氏、田辺氏

教員組合側:上杉氏、真鍋氏、随氏、和仁氏、中西氏、山根氏

 大学当局と組合側は、2005年11月17日に行われた団体交渉において以下の内容を確認した。

 教員組合の昇任の細則・規定の提示要求と、昇任を任期制と絡ませないようにすべきだとの要求に対して、人事担当は、昇任の細則・規定類は、次回の人事委員会に提案される予定であり、まだ出来ていないとした上で、「昇任の審査対象者を推薦する際に任期制への同意を条件とすることはしない。ただし、新たな職位への移行に当たっては、新規雇用契約を結んでいただく。ただし、契約の具体的詳細についてはなお検討中である。」と応えた。 

 教員組合側から「昇任を新規契約と解釈することには納得しがたい。また、法的な問題はさておき、昇任と交換に任期制を力ずくで飲ませるようなことをすれば、教員の間に当局に対する深刻な不信感を産み、今後の大学運営は極めて困難な事態に陥る可能性があることを充分考慮し、慎重な対応をお願いしたい。」との要望に対して、当局は「任期制は法人の人事制度の根幹である」と対応した。

 そして双方は、今後とも緊密に連絡を取り合い、継続的に交渉を続けていくことを確認しあった。
 教員組合は、昇格が“新規雇用契約”になるというのは受け入れがたい論理だと考えています。前職をいったんやめて退職金を受け取るとでもいうのでしょうか。条件の変更はすべて「新たな雇用関係」だというのも強引な解釈です。この点については、弁護士とも協議しながら対応していきます。しかしそれ以上に、交渉の中でも述べたように、昇格と任期制受け入れを交換条件にするような強引で不条理なやり方を当局がもし取るとすれば、大学全体の運営にとって大きな悪影響をもたらすことを強く警告しながら、任期制と昇格人事は別次元の問題であることを主張して、当局と粘り強く交渉していく方針です。

 今回の団体交渉では、任期制への同意・非同意を問わず昇格審査の対象となることが再確認されました。実質的な人選、発議、審査の各プロセスで、非公式にであれ任期制への態度を問うような形で圧力を及ぼすことも許されないことになります。透明性・公平性・公正性に基づく人事が進められるよう、教員組合としても監視に努めていきます。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年11月24日 00:12 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年11月22日

横浜市立大、学長選挙 認識甘い所信表明

横浜市大新聞 ニュースブログ

【論評】認識甘い所信表

 先日行われた、学長候補の所信表明演説は、両候補ともに、学内の「現状」を踏まえた具体的展望に乏しく、本来主役であるべき学生・大学院生への配慮を欠いたものだった。本学では一昨年来、「改革」を理由にした教員の転出が相次ぎ、その補充は、金沢八景キャンパスに関しては皆無に等しい。一つの研究分野のゼミが消えてしまった例もある。改革によって学生からゼミが奪われることは「仕方がない」という言葉で済まされる問題ではなく、所信表明では最優先で扱われるべきだった。

 布施候補は「TOEFL500点は高いハードルではない」と述べた。しかし同候補がどのように思うかとは別に、制度設計の責任が追及されて当然である。合格点未取得者が大量に生じているのは、学生の意識以前に、構造自体に無理があるためだ。ストロナク候補は「英語授業に力を入れる」と述べたが、しかし英語の比重が大きすぎる現状を改善するべきだ。英語以外の言語は授業が大幅に削減されており、TOEFLをクリアしないと第二外国語の選択もできず、同候補の言う「国際化」とはほど遠い現状である。

 また教員組合は、学外の3人を含むわずか6人の選考会議によって進められる学長選考そのものに疑問の声を上げている。現在の選考方法を継続すれば、教員の信頼を得ないまま選出されることになり、新しい学長にとってはむしろ不都合だろう。教員と大学運営側との摩擦は学生・大学院生にも多くの不利益をもたらす。かつての通り学内自治の選出に戻せないのなら、せめて選考会議に教員から代表を加えるなどの折衷案を提案しても良かったはずだ。

 現実に起こっている問題の改善なしに、大きな理想を述べても空虚に響くだけである。どちらの候補が新しい学長に選ばれるにせよ、現場の声を取り入れて現状の問題点を改善するよう、まずはその意識を改革することが必要ではないか。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年11月22日 01:57 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年11月17日

横浜市立大学、学長選挙 所信表明会

大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌

11月16日(1) 昨日夕方6時半から焼く1時間、二人の学長候補者による所信表明会があった。われわれ一般教員は選挙権者でもなく、誰が正式に候補者になっているかも噂でしか知らず、所信表明演説会の場ではじめて現学長ストロナク氏と副学長布施氏が候補に選ばれたことを確認した。

 大学HPの教職員用のHPに二人の所信表明演説が掲載されているということは耳にしたが、2回ほど大学HPにアクセスしてみたが、発見するに至らなかった。明確に大々的に誰にでも分かるようにはなっていないというのが実態のように思われる。知りたいものだけがが知ればいい、ということなのだろうか。

 両氏は経営審議会と教育研究審議会によって候補として選ばれたということであった。

 だが、経営審議会と教育研究審議会のメンバーは、誰が選び任命したか?大学の教学(教育研究)の代表としての真の意味での正統性は、どうなるのであろうか? 憲法(芦部憲法の解説)に照らして、はたしてこれは妥当なやり方だろうか?

 ともあれ、経営審議会と教育研究審議会によって候補として選ばれる以上、想定内の所信表明演説、と感じられた。中期目標、中期計画にどこまで学内の総力が結集されたかという点で問題があると思われるが、その根本を抜きにすれば、「決められた中期目標に従う」「それ以外はありえない」というスタンスは当然のこととなろう。

 任期制や年俸制というもっともクリティカルな論点には、二人の候補者とも直接の言及は一切しなかった。どうとでも受け取れるような実に抽象的な表現でその周辺事情に言及するというのが率直な印象であった。一般の教員、とくに助教授以下(准教授、助手)の多くの教員の気持ちは、就業規則に書かれた「任期制」で重い空気に包まれていると思われる-少なくとも文科系教員の多くは、そして若手の多くは-が、その肝心な点は問題とされなかった。教学の見地、教育研究の担い手の処遇は大学の発展の根幹にかかわり、教学の代表としての学長が経営サイドに見識を示してしかるべき是正を求めていくべき問題だと思われるが、そのスタンスは、私には感じられなかった。

会の進行:

 会場からの質疑とその応答、そして候補者相互の議論なども、一切ない(許さない)、ただ候補が所信を表明するだけ、ということで執り行われた。

参加者数とその構成などについて:

 6時半直前、学内アナウンスで所信表明演説会の案内(参加を呼びかける内容)が放送された。会場に入るとき、アイウエオ順で教員の一覧表が置かれており、職員が会場にはいるものに対して氏名欄に赤丸チェックを入れるように求めていた(私が見たのは教員のリストだけだったから、職員に関するチェックを行ったかどうかはわからない。行っていないとすれば、教員あるいは学生・院生・その他だけをチェックするシステムか?)。だから、正確な数は、事務当局はつかんでいることであろう。わたしのみるところ、会場にいたのは目算で総数50名ほどであった[1]。この中に選考委員会関係者や選考委員10名ほどが含まれている。

 しかし、発言権・選挙権のない教員の姿は、当然のこと、必然のこととはいえ、実にまばらであった。K,M,H,N,O,N,W,K,O,N,Z,U,K,Fなど私でも顔を存じ上げている(いろいろな意味で有名人である)教員諸氏15名ほどを確認できた。木原研究所、鶴見キャンパスの教員、さらに医学部などの教員で私の知らない人が参加していた可能性はある。しかし、事務当局管理職・経営サイドの人々が圧倒的(会場前方に陣取る)というのが率直な印象であった(例外もあるが)。夕方6時半以降の開催であり、残業命令・残業手当などの問題が発生しない事務管理職、事務局管理者が圧倒的多数、と。この参加者のあり方(構成)が、すべてのプロセスの性格を物語っているように感じられた。教員組合は候補者あてに質問状も出しているので、それとの関連で、いずれ、教員組合からは正式な報道とコメントがなされるのであろうと期待している。

[関連情報]
横浜市大新聞 ニュースブログ「学長選考 2候補が所信表明」(2005年11月16日)

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年11月17日 00:30 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年11月16日

横浜市立大教員組合、学長選挙 緊急アンケート結果報告(途中集計)

横浜市立大学教員組合
 ∟●学長選挙緊急アンケート結果報告(途中集計) 2005/11/15

学長選挙緊急アンケート結果報告(途中集計)

…(略)…

回答14

現職の学長、現職の副学長の二名のみが立候補する選挙など、まったくの茶番だと思います。しかもお二人とも、パワーを振りかざすだけで、教育現場の教員の声など聞かない人たちです。
何度かまるで「陳情」のように、現行のシステムで起こりうる問題について、そして実際に起きてしまった問題について説明するためにお二人にお会いしましたが、こちらをどやしつける、喝を入れるという態度で、落胆しました。
「市大の学長としてどんな人物が良いか」は、難しい質問です。ここまで狂ってしまった歯車をどうすれば治せるのか、と途方に暮れてしまいます。複数の意見を聞いてその妥協点が探せる人物、教育とは営利目的の企業とは異なるところがあると分かっている人物、過ちは過ちと認められる人物が、望ましいのではないでしょうか

回答15

今回のように市の意向や権力に寄り添った人の中から 学長を選んでもますます大学が破綻への道を進むだけである。
昨年度の受験者激減やさらに今回の推薦入試での理学系の定員割れ、さらには大学に嫌気がさした教員の大量流出などはっきり数字でわかるようにもう、市大は危機的状況であるというより、もうどうにもなら無い状態である。教育研究機関としては社会的にも最悪の機関であると。
今回の大学改革がいかに大失敗であったかをきちんと市民にわからせ知らせることのできる人が学長になるべきである。
大学を良くするというのはまだまだずーと先の話しで、まず改革が大失敗であったことを世間に広め、改革を推進した市長はじめ、去年まで改革推進本部にいた人たちにきちんと、誤りを認めさせ責任をとらせる。
そういう人が学長になって欲しいと思うが、現行の選考制度ではそのような良識ある人が選ばれるわけがない。市の意向や権力に寄り添った人達の中から 学長を選んでも破綻への道を進んでいる市大に火に油を注ぐだけである。

……


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年11月16日 00:22 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年11月14日

横浜市立大、学長選考にあたっての教員組合の提言

横浜市立大教員組合
 ∟●学長選考にあたっての教員組合の提言(組合ウィークリー 2005.11.11)

学長選考にあたっての教員組合の提言

教員組合執行委員会
2005年11月10日

 11月15日6時半より1時間、推薦された二人の学長候補者の所信表明演説が行われることが伝えられています。そして、11月25日、経営審議会から学外委員を含む3名と教育研究審議会から学外委員を含む3名の計6名で構成された選考委員会が学長候補者を1名に絞り、理事長がこれを任命するとのことです。
 われわれは、今回の学長選考の方式について、すでに10月11日発行の『組合ウィークリー』において次のような見解を提示しています。

 私たちは、今回の学長選考・任命方式は、従来の学長選挙・任命方式のどこにどのような問題があり、何ゆえに今回のような方式を採用するのか、十分な議論もなく、一方的に上から押し付けられた選考・任命方式であることを確認しないわけには行きません。
 公的な教育と研究の場である大学を運営する上で、学長は、最も指導的役割を果たすべき存在です。その学長を選考する際に、教育・研究現場を直接担っている教員の声が充分反映されることが、大学組織の運営にとって必要不可欠であることは言うまでもありません。その意味で、今回の選考・任命方式は、一部の者に権限が集中し、これまでの選挙・任命方式と比べ明らかに後退しているといわざるをえません。
 私たちは、このような民主主義の後退に対して、警鐘を打ち鳴らすと同時に、より「民意」を反映する方式に改めることを当局に要求するものです。

 国立大学の独立行政法人化とは異なって、あえて学長・理事長を分離する体制をとった横浜市大では、学長は教学を代表し、経営側責任者である理事長と一定の緊張関係のもとに大学運営を行う、という建前であるはずです。にもかかわらず、現場の教員・職員の意向がまったく反映されない現在の選考方法は、名実ともに学長が教学を代表しているとは言いがたいものだと言わざるをえません。
 また、候補者の所信表明演説会は、誰を対象に行うのでしょうか。選考委員6名に向かってのものなのでしょうか。それとも、教員・職員に向けてのものなのでしょうか。

 私たち横浜市立大学教員組合は、今回の学長選考にあたって、組合として何が出来るか、何をすべきか、各方面の意見を聴取し検討を加えてきました。具体的候補者が決定され、所信表明演説と選考会議の日程が決定された段階で臨時執行委員会を開催して、以下のことを決定しました。

(1) 緊急に全教員を対象にした学長選考・任命に関するアンケート調査を執り行い、その結果を速やかに早急に公表する。(日程やそのフォーマットについては別掲)
(2) 次回以後の学長選考においては、全教員(および全固有職員)がその意向を投票という形で表現し、選考過程に反映させることを当局に要求する。

 「改革」の推進者たちは、事あるごとに「大学間競争」に打ち勝つ必要性を強調しています。私たちは「大学間競争」を否定するものではありません。しかし、現場の教員・職員の積極的協力なしには、決して「競争」に打ち勝つことは出来ません。一般企業においてすら近年では現場の声をいかに汲み取るかが問題にされています。いわんや大学は商品を生産し、利潤を追求する企業ではありません。多様な専門的能力を持った現場の担い手のそれぞれの自発性を引き出すことによってこそ、そのエネルギーが発揮され、「人間と文化を育て、社会に貢献する」競争力を持つことが出来るのです。いわゆる「トップダウン」方式が大学をいかに混乱状態に陥れるかは、まさにこの半年の横浜市立大学の経験が示すところです。教員・職員の自発的創意に依拠し、その士気を回復しなければ、これからの「競争」に打ち勝つことなど到底できるものではありません。
 学長選考において現場の教員・職員の意向が反映される方向を具体的に模索することは、横浜市立大学「再建」への第一歩だと、私たちは考えています。横浜市立大学が際限なき混乱に陥るまえに、民主的運営による再建への道を示さねばなりません。
 横浜市立大学教員組合は、当局に対して、現在の「トップダウン」方式を現場の教員・職員の積極的協力が得られるような大学らしい運営方式へ、一刻も早く改めるよう、要求するものです。 

大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌より

11月11日 教員組合から学長選挙のあり方・候補に関するアンケートがあった。学内民主主義の点から言って、また教学(教育研究)の担い手としての学長の選考のあり方からして、今回のやり方が、根本的な点で問題であることは教員組合の主張のとおりである。選考のあり方を行政主導で決めれば、今回のあり方は必然的結果といえるのだろう。アンケートにどのような回答があるのか、興味深い。

『教員組合週報』によれば、15日夕刻からは、二人の候補の所信表明の会があるという。「立会演説会」というところか? しかし有権者は6名だけ。しかもその有権者はどのようにして選ばれたか?議長が行政当局の任命であること、その他の人々もその議長による任命者の中から選ばれたのではないか? とすれば、教学の独立性・自立性はどこにあるか?

「演説会」のあり方、意義に関しても教員組合の主張のとおり、いったいいかなる意味があるのか?

 歴史の一人の証人として、すくなくとも現場を見ておく必要はありそうである。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年11月14日 00:26 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年11月09日

横浜市立大、密室学長選 現学長と現副学長間で

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●横浜市大の“密室”学長選、ブルース・ストロナク現学長と“サイレント・マジョリティ”発言の布施勉現副学長間で
「神奈川新聞ニュース」(2005.11.7)

 来春からの新学長選考を進めている横浜市立大学で、ブルース・ストロナク現学長と布施勉副学長の二人が七日までに、候補者として推薦された。二人は十五日、教職員を対象に、報道へも公開して所信表明を行う。
 選考は学外委員を含む学長選考会議(議長=松浦敬紀・市大副理事長)が実施。同大では従来、「選挙」で学長を選んでいたが、独立法人化を機に方式を変更した。所信表明も参考にし、十一月末をめどに新学長を決めるという。
 学外委員を含む市大の経営審議会、教育研究審議会は各二人以内の学長候補者を推薦できるが、いずれもストロナク学長と布施副学長を推薦した。このほか、学内関係の十五人以上の推薦人を集めると学長候補者を推薦できるが、二人以外に申し出はなかったという。
 所信表明は同大の八景キャンパスで十五日午後六時半から。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年11月09日 00:01 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年11月04日

横浜市立大、TOEFL500点による進級制度 制度設計者(伊藤公一氏,布施勉氏)の責任性

公立大学という病:横浜市大時代最後の経験より転載
学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●横浜市大の進級制度、“TOEFL500点”問題で破綻――制度設計の責任者二名は、“水道局に栄転”で知らん顔 AND 次期“学長候補?” 「公立大学という病」更新雑記(2005.11.2)より補足

05/11/1
 最近、複数の市大の関係者から、TOEFL500点をとらないと3年に進級できないとした新学部での方針が破綻しつつあるとの話を聞いた。まあ、無理もないであろう。TOEFLとTOEICの区別もついていない役人がつくった制度なのだから。
 市大時代の最後の頃に、新学部のカリキュラム作成委員として作業にたずさわらされていたとき、上(現副学長と当時の企画課長)からの方針だとして、TOEFL700点以上でないと進級させないという案が下りてきた。委員一同、唖然とした。600点で米国の一流大学もパスできるといわれるTOEFLで、700点はありえない。これはTOEICの間違いのはずだ。ちゃんと確認してくれと皆が騒いで、次回にはTOEFL500点に訂正されて帰ってきた。市大生なら500点位は大丈夫かなと思っていたのだが、教授会か何かの席で、英語の先生が、「500点だって留年する学生が多数でるだろう」と反対の声をあげていたのも覚えている。
 大学教育や、市大生の水準とかを全く知らない連中が作った案が、中期目標や中期計画として大学に押しつけられる。確か、TOEFL700点をぶちあげた役人は、その後水道局あたりに栄転されたそうだ。奴らは中期目標を達成できなかったとしても責任を問われることもない。大学の教員にその尻ふきをさせればよい位にしか思っていない。なんともお気楽な商売だ。
 現在、市大では学長選考が行われているらしい。ただ誰が候補者になっているのか教員も噂でしかわからないとのことである。大学教育の現場からかけ離れた密室で決められた学長は、現実の世界で起こっていることの責任をとることができるのであろうか。

学問の自由と大学の自治の危機問題より転載

(以下の記述は、本ホームページ管理人による)
【注、および、参考資料】
・制度設計の役人側責任者とは、伊藤公一氏(企画課長、現水道局)である。また、教員側責任者は、布施勉氏(国際文化学部教授、現副学長)である。なお、布施氏はご存知“サイレントマジョリティー3教授”の一人にして、なんと、次期“学長候補”だというウワサである。

欺瞞の象徴「横浜市大公式ホームページ」と事務局によるネットワークシステムの無法乗っ取りを糾弾する―「学術情報センター情報処理教育部会」からの告発と総合理学研究科決議を受けて―(2003.7.3) より抜粋

 ・・・それを,わずか2行の文言で事務局が一挙に手中に収めるという"暴挙"に出たのであるから,これを,"学則無視"・"オレが法律だ"式の事務局の勝手な論理に基づいた"無法乗っ取り"と呼ばずに何と呼べばよいのか.
 その結果,「横浜市大改革」の"真相"が,一般市民から隠蔽されたまま,"真実"からは程遠い大量の"御用情報"として,「公式ホームページ」を通してつぎつぎにタレ流されるという憂うべき事態に到ったのである.
 ちなみに,現在,ネットワークシステムを実質的に牛耳っている中心人物は,"独裁官僚"池田輝政氏直系の "腹心の部下"と目される現総務部次長・企画課長の伊藤公一氏である.・・・

池田輝政総務部長ほかの横浜市官僚
『部外秘資料』が語る,横浜市立大学の"独裁官僚"と似非民主制(2003.1.28)
「プロジェクトR委員会・幹事会」名簿(2003.5.14)
不純な動機:横浜市大“改革”の「ルサンチマン説」
“擦り寄り”の見返り
小川恵一学長とサイレント・マジョリティー3教授
卑屈の塊り、“サイレント・マジョリティー”3教授が記者会見 「神奈川新聞」:《「『市大の今後のあり方懇談会』の答申も、私たちが模索してきた改革方針とほぼ一致している」「改革への賛同者がサイレント(沈黙)のマジョリティー(多数派)であってはならない」》(2003.5.8)


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2005年11月01日

自己腐食する横浜市大、主人不在の「あり方懇」 待たれる当事者による発足

■横浜市立大学大学院『思惟と聯流』第4号(2005年10月15日付)より

自己腐食する横浜市大、主人不在の「あり方懇」 待たれる当事者による発足

 横浜市立大学の改革は横浜市財政の逼迫という外部的要請で始まった。大学の内側から学問的な要請によって起きたものでない。この二つの事柄を混乱させてしまったところに改革問題の見えにくさがある。前者の立場から進行中の改革のしわ寄せが、院生の研究生活にも不具合をもたらしていることは本紙でも度々伝えてきた。
 ここでは後者の事柄を問題としたい。そこで、今までの改革を批判する傾向を見直しておこう。大きく言えば二つの動向があった。一つはノスタルジックな闘いであり、もう一つはジャーナリスティックな闘いである。すなわち大学の存続を訴えることであり、また任期制の導入を批判することであった。こうした提起はそれ自体として切実なものであり、意見書、集会、新聞等の報道でも伝えられた。しかし遺憾ながら、市民の多くから支持を得られて、議論も深まったとは言い難い。学外の者からすれば、廃校けしからん、教育・研究の質の低下はいかん、という主張は実に耳に入りやすいものであったが、聞いているそばからすぐ抜けていった。
 なぜか。一体何を存続させたいのか見えてこなかったからである。つまり、守るべきものが本当にあるのかという問いを大学自らが立てることがなかったということである。これこそ最重要の問題ではないか。結果的に言えば、上記の闘い方の陰になってしまい、その問いは立てられることなく回避されてしまったのではないか。
 そもそも改革の発端は二〇〇二年九月に、中田市長の諮問機関として大学の当事者を一人も加えていない「市大のあり方懇談会」を発足させたことにあった。この会の議論については当時すでに市民や学生からのニーズ把握した形跡がない、という批判が教員側から起きた。正しい指摘であろう。しかし改革前の横浜市大が市民や学生と連帯した大学として在ったのかは興味深い問題であろう。なぜなら、今回の改革問題につき当事者たちの連帯すらよく見えてこなかったからだ。言うまでもなく「当事者」とは私たち大学院生も含まれているわけであり、こうした当事者意識の「あり方」に反省と疑問を持たざるを得ないのである。
 いわゆる「横市気質」(無関心・無応答)とは精神的自立のできない院生の一傾向を指すのではなく、大学全体に深く根付いていて、それを伝搬する装置として作動し続けてきたのだとも考えられる。そうだとすれば、やはり内側からの改革は必要とされていたのである。その意味では大学院生自らが研究成果の検証や研究環境を検討する場を形成することが緊要である。本当は今こそ学生や市民を含めた大学の当事者から成る「市大のあり方懇談会」が必要とされているのである。


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2005年10月31日

横浜市立大、破綻だらけのカリキュラム 無責任集合体としての当局

■横浜市立大学大学院『思惟と聯流』第4号(2005年10月15日付)より

横浜市大、破綻だらけのカリキュラム 無責任集合体としての当局

昨年一〇月から一年間、国際文化研究科院生自治会の活動を総括したい。
 新学年と同時に配布された封筒の中には、履修ガイドが無い。コピー枚数は二千枚に削減、など数々の不当な待遇に加え、『紀要』問題で自治会総体の怒りはピークに。事務との頻繁な交渉が続いた。
 今年度入学の新入生は、コースが以前の四つから二つに統合。多様性を切り捨てたカリキュラムに、さすがに事を覚悟して入学してきた新入生も耐え切れない。例えば半期・二単位の細切れ科目を増やし、土曜や夜に参加させられる過密スケジュール、理不尽な選択肢の強要。加えて指導教官の異動、穴あきの科目に教員を補充しないという笑えない異常事態である。そもそも例年通り年間約五十二万円の学費を払って学ぶ学生に対し、当局は何の関心もない。
 一年間の事務とのやり取りを通し、当局全体が、学生の状況を想像する力や、心や気を配る力、実態を把握して全体を見る知的総合力全般に欠けるということ、事なかれ主義、学生の泣き寝入りを望む無責任集合体であることがわかった。ちなみに、昨年の十一月七日、市長が学祭期間中市大にきた際、一部の院生の展示物である雑誌百冊前後と長机一式が当局に無断撤収、消去させられた。こういうことには異様に迅速な行動力である。亡国寸前の横浜市大、風雲児きどりの政治家の尻拭いの裏に、どのような利権が渦巻いているのか。徐々に学生にも明らかになる。自治会のこれからの課題も山積み。

横浜市立大学、院生にも非常勤招聘枠を 他大学院では制度化も

 いくつかの国公立大学では院生に非常勤講師招聘枠というものが設けられている。院生の要望に基づいて大学が講師を招き、授業を開講するシステムで、院生が何を考え、学びたいと思っているのかを反映させる機会となっている。
 現在、市大では教員の転出が相次ぎ、歴史や文学など大学を支えてきた分野の教員も定年等を迎えようとしている。しかし、大学側は後任人事や欠員補充に無関心だ。実際問題として、開講可能な授業は激減し、魅力的な授業は失われつつある。入学当初学べることになっていた科目も、担当の専任教員とともに消え、研究活動にも深刻な影響を及ぼしている。学部学生は研究の入口で足止めされる気分だろう。このままいけば大学の質的な崩壊はますます進行する。そもそも歴史や文学を学べない大学があるだろうか。
 こうした背景には、大学改革で中期目標として定められた経費削減を教員の人件費削減で計ろうという浅ましい意図があるとの話もある。事実ならば、「学生中心・教育重視」が聞いてあきれる。
 しかし、あきれてばかりいられない。なされるまま崩壊に身を委ねるような意志で研究に臨んでいる院生ではない。研究を深く豊かにする土壌を崩壊する動きがあるならば、私達はそこを耕そう。開かれた研究には開かれた場と関係がある。中味のない改革意識を振り回す現大学経営企画管理者たちは無知蒙昧に右往左往しているが、院生による非常勤講師招聘枠の実施は、院生の要望と意志によって授業が開講されるという画期的で魅力ある提案と言えるだろう。
 公募による公正な人事や後任人事について、今後当然声を挙げ続けていかねばならないが、院生と大学側との共同作業的な非常勤講師招聘枠を作ることは、現状において実現可能で、創造的だ。こうした主体的な提案の実現と積み重ねが、大学の本当の中味を作っていくことにつながるのではないだろうか。

大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌(10月27日)より

10月27日 大学院生が発行する『思惟と聯流』第4号(10月15日付)が掲示板に張り出され、研究室にも配られた。その『主張』には、傾聴し検討すべき論点がたくさん含まれていると思われる。また、非常勤講師招聘に関する院生の発言権の要求にも、切実なものがある。「大学の自治」の見地からすれば、まさに大学自治の当局側の担い手としての学長以下の執行部が真正面から受けて立つ必要があるように思われるが、さてどうだろうか。学費に見合ったサービスをきちんと受けていないという院生の声に関して言えば、学長以下を上から任命している理事会の責任も問題となる。

毎月一回、代議員会は開催されているというが、代議員会はどのようにこうした学生・院生の声をくみ上げるであろうか。

理事長・副理事長などが市長・市当局により任命され、理事長によって学長が任命され、学長選考においてはその選考委員もすべて理事長・副理事長などによって決められるとすれば(選考委員会の発足はどこでどのように決められたのかさえ、われわれ一般教員にはまったく不明、結果だけが新聞報道で知らされる)、このトップダウン体制のもとで、学生や院生の声を吸収するシステムはどうなっているのか。

院生の「自治会総括」によれば、「一年間の事務とのやり取りを通し、当局全体が、学生の状況を想像する力や、心や気を配る力、実態を把握して全体を見る知的総合力全般に欠けるということ、事なかれ主義、学生の泣き寝入りを望む無責任集合体であることがわかった」という。

そして、「昨年の11月7日、市長が学祭期間中、市大にきた際、一部の院生の展示物である雑誌百冊前後と長机一式が当局に無断撤収、消去させられた」という驚くべき事実も書かれている。本当か?一体事実関係はどうなっているのか?学園祭の展示物を当局が無断で撤収するとは?


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横浜市立大学教員組合、学長候補者への公開質問状

横浜市立大学教員組合
 ∟●「教員組合週報」(2005.10.28)

学長候補者への公開質問状

学長選挙が始まっており、まもなく新しい学長が従来と異なる方式で選ばれることになります。
組合としては、候補者となる人に対して公開質問状を送り、
その回答を何らかの形で皆さんに示すことを計画しています。公開質問状の内容は下記の通りです。

横浜市立大学学長候補者各位

横浜市立大学教員組合
執行委員長 上杉忍

 このたびは本学が「改革」をめぐり非常に大きな困難を抱える状況の中で、教学のトップを担う学長の候補者となっていただきありがとうございます。これに際し、研究教育に直接携わる教員の組合として、ともに少しでも大学をより良くしていこうという立場から、以下の点を質問させていただきます。

(1) 昨年来、多くの教員が今回の「改革」に不安を感じ、あるいはこれに憤慨して横浜市立大学を去りました。とりわけ具体的な運営細則がないままの教員評価と、その処遇への反映、全員任期制導入の方針は、現場教員に非常な不安と憤激を呼び起こし、教員の士気を著しく阻害しています。これ以上の教員流出は、横浜市立大学再建にとって致命的な打撃になるものと考えられます。

あなたは、これ以上の教員流出を防ぐために何が必要だと考えますか。これについてのお考えをお聞かせください。
(2) 今回の「改革」によってトップダウンの決定システムが導入され、従来の全員参加の教授会が形骸化することになりました。その結果、現場教員の積極的意思が汲み取りにくくなったばかりか、日常的な教員同士の意思疎通にさえ困難が生じています。また部局長やコース長も任命制となり、現場教員の直接的支持を受けていないそれぞれの担当者は、精神的にも非常に多くの困難を抱えています。

あなたは、学長として、現場の教員の積極的協力を得るためにどのような「改善」を行うお考えですか。
(3) 今回の「改革」によって教授会から人事権が剥奪され、人事における専門的教育研究者の意思が必ずしも直接反映されない人事委員会制度が導入されました。

あなたは、学長として、人事において教育研究の直接的担い手の意思を正確に反映させるためにどのようなことが必要だとお考えですか。
(4) 劣化が著しい教員の研究条件の改善策としてあなたは、学長としてどのようなことが出来るとお考えでしょうか。とりわけ図書館の雑誌購入件数の著しい削減は、研究機関としての生き残りを危うくしています。

特にこの問題についてのお考えをお聞かせください。
(5) 現場の反対を押し切って進められた英語教育「改革」は大きな困難が生じており真剣な対応が必要になっています。今年度の著しい受験生の減少は、今年度TOEFL500点進級制度の混乱などにより、さらに加速する恐れがあります。

あなたは学長としてどのような対策をお考えですか。
 以上の点につきまして、ご多忙のところとは存じますが、11月上旬までにご回答をお寄せいただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。

横浜市立大学、学長選考 立候補締切(横浜市大新聞 ニュースブログ)

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2005年10月12日

横浜市立大学教員組合、「学長選考・任命に当たっての教員組合の見解」

■横浜市立大学教員組合週報(組合ウィークリー 2005.10.11)
大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌(10月11日(2))を経由

大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌(10月11日(2))より

 国立大学法人は大学の研究教育を担う教員の投票による意向調査など、まがりなりにも学内の意志を尊重する手続を取っている。それを根本的に拡大した方式、大胆に前進させたのがこの小樽商大方式であろう。これは、本学のあり方とはまったく違う方式であり、全国的にみても驚嘆するような画期的方式ではなかろうか。大学の自治を担う学長(理事長)選挙における大学民主主義、という点では非常に徹底していると思われる。丸山真男の言う民主主義の「理念、制度、運動」(浅井基文氏論説・参照)からすれば、その理念、制度の画期性は明らかではなかろうか。本学の定款の問題性は、ほとんどの国立大学、そして今回の小樽商大方式のような者と対比する時、いっそうはっきりとうかびあがってくるのではないだろうか。

 本学のように、少数の人間(直接的間接的にすべて行政側による任命が貫徹した人々・・・教育研究審議会、経営審議会の全メンバーの選ばれ方を検証してみればわかる)からなる選考委員会での選出とあれば、研究教育を担う教員と職員の意向はまったくといっていいほど反映されないことになる。私の知る限りでは、現学長は、本学教職員がだれも知らない人物(急逝された前最高経営責任者の知人)であった。行政当局による直接間接任命の学長選考委員会による選考は、どのような基準で行われるか、基準そのものの妥当性をはじめ、「大学の自治」という点からは、深刻な問題をはらむ。そして、それは制度的には、実は憲法の保障する「大学の自治」(「学問の自由」の制度的保障)に決定的に違反するだろう、と考える。いったい行政当局との距離(自立性・独立性・自治性)はどこに保障されているのか?

 この問題は、教員組合ウィークリーが批判的に論評している「トッフル500点問題」と基本的に同じ構造的欠陥(民主主義的意思決定プロセスの欠如)によると考えられる。

 小樽商大方式は、その方式選択の理由に「国立大学法人化で、一般教職員の大学運営に関する意識が高まってきたため」ということをあげている。さらに「すべての教職員が学長選挙に参加することで、大学の担い手であるという意識がより強まる」と期待してのことであるという。

 独立行政法人化、大学の自立性・独立性・自律性をたかめるという根本のあり方からすれば、まさにこれこそ本筋ではないか、と考えられる。その場合、もちろん、大学職員の独立化のためには、法人固有職員の割合を高めること、運命共同体としての基盤を広げることも、重要な前提条件となろう。

-------(芦部憲法、参照)------

 大学の自治の内容としてとくに重要なものは、学長・教授その他の研究者の人事の自治と、施設・学生の管理の自治の二つである。

学長選考・任命に当たっての教員組合の見解

 次期学長の選考がはじまっていることをご存知の方もけっして少なくないと思います。周知のとおり、次期学長は、従来のような大学構成員の選挙ではなく、教育研究審議会および経営審議会を構成する者から選出された6名の選考会議によって選考され、理事が任命することになっています。

 私たちは、横浜市立大学が従来採用してきた学長選挙方式に問題点がなかったと言うつもりはありません。しかし、私たちは、今回の学長選考・任命方式は、従来の学長選挙・任命方式のどこにどのような問題があり、何ゆえに今回のような方式を採用するのか、十分な議論もなく、一方的に上から押し付けられた選考・任命方式であることを確認しないわけには行きません。

 公的な教育と研究の場である大学を運営する上で、学長は、最も指導的役割を果たすべき存在です。その学長を選考する際に、教育・研究現場を直接担っている教員の声が充分反映されることが、大学組織の運営にとって必要不可欠であることは言うまでもありません。その意味で、今回の選考・任命方式は、一部の者に権限が集中し、これまでの選挙・任命方式と比べ明らかに後退しているといわざるをえません。私たちは、このような民主主義の後退に対して、警鐘を打ち鳴らすと同時に、より「民意」を反映しやすい方式に改める努力を始めるよう当局に要求するものです。

 なお、今回からの学長選考方式によれば、経営審議会および教育研究審議会は各2名以内の候補者を推薦することができるとした上に、本学の専任教員が15名以上の推薦人を集めることによって候補者を推薦することが出来ることになっています。

 われわれは、このような教員推薦方式を導入したとしても、今回の選考方式の「権力集中性」が払拭されるものとは考えません。

 しかし、現行制度が実行される以上、現場教員の声を可能な限り選考過程に反映させるよう各教員が努力することは意味のあることだと考えています。組合として特定の候補を推薦することはいたしませんが、皆さん方が自発的に推薦活動について判断していただくよう呼びかけたいと思います。

 私たちの大学をよくするために、あきらめず、出来る限りの努力をしようではありませんか。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年10月12日 00:10 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年10月07日

横浜市立大、現場の教員に単位認定権を与えず外部試験を進級・卒業要件にすることの問題性

永岑三千輝氏『大学改革日誌』(2005.10.5)
学問の自由と大学の自治の危機問題を経由

横浜市立大学、現場の教員に単位認定権を与えず外部試験を進級・卒業要件にすることの問題性 永岑三千輝氏『大学改革日誌』(2005.10.5)

10月5日 横浜市大新聞ニュースブログが、記者会見で広報された学長選に関して論評している。適切な論評[1][脚注1]であり、こうした学生自身の声は貴重である。

教育重視といいながら、それにふさわしい実態となっているか、その現実を一番感じているのは、学生や院生であろう。現場の教員に単位認定権(責任と表裏の権限)を与えず(これ以上の現場無視はないのではなかろうか)、画一的に外部試験を進級(必然的に卒業)要件にするといったことの問題性[2][2][脚注2]は今後ますます深刻化するのではないかと危惧される。そうした点についても当事者である学生自身が認識し、行動によって問題提起していく必要もあろう。教育重視を掲げる以上、学生のまとまった声は実現しやすくなっているはずだから。

掲示板には学生自治会に関する公募文書が張り出されている。学生と大学当局・経営当局の意思疎通にはそれなりのシステム作りが必要だろう。学生の希望をどこまで広く深くくみ上げることができるか、学生諸君の自立的自主的な行動に期待したい。

ニュースブログのような手法も使いながら、市大新聞が学生の現場感覚を大切にし現場で直面する問題群を自主的自治的に取りまとめ、文章化し、新聞などで公開していくことで、教育と研究の「現場」(根底)から、自由で創造的な大学に(行政主義的トップダウン式の大学から自治自律的大学へ)変えていくことに貢献するならば、すばらしい[3][3][脚注3]。

[脚注]
(1)
 現学長は、学生諸君とは食堂で話し合う機会もあったようであるが、教育研究を担う教員とはどうか? 何を具体的にやってきたのか、われわれにはさっぱりわからない。

 学生諸君との場合でも、食堂で出会わないような多くの学生との交流はどのようになっているのか?

 「昼食会」という発想それ自体は、ひとつの場の設定として有効な場合もあるが、大学改革の推進という本筋のところでは、そのような場がどのように機能するのであろうか?
(2)
 ひとつの科目で外部試験を進級要件にするということは、他の科目ですべて合格点を取っている学生でも進級(必然的に卒業)できないということである。大学の外部の試験(ハードル)が、大学の内部のすべての教育(単位認定)を否定できるということではないか?

 進級(卒業)要件とされないその他すべての科目の単位認定、したがって現場のすべての教員の単位認定権も、進級(卒業)に関しては無効にするものである。このことは重大かつ深刻だと思われる。今回の「改革」の問題性が象徴的に露呈しているのではないだろうか。誰が、どのような組織が、どこできめたのか? その証拠文書は?

 教員に対する全員任期制や年俸制などの行政当局(いまでは法人当局)による画一的押し付けがいかに問題であるかは、「少数の先生方のこと」と、普通の市民には分からないかもしれない。しかし、学生の進級の(進級できなければ卒業できないので卒業の)要件が外部試験にある、ということの問題性は、市民の多くが理解できるであろう。

 かつてならば、医学生を例に取れば、医学部の単位を取得すれば卒業できる。外部の試験(国家試験)、すなわち医師国家試験に受からなければ、医者としては活動できないが、医学部を卒業したということは厳然たる事実となる。医学知識を持った医学部卒業の医事評論家や文筆家としての社会的活躍も可能であろう。

 しかし、新しい制度でトッフル500点をクリアできない医学生は、医学部さえ卒業できないことになる。

 医学部の学生にとって、将来の医者にとって、トッフル500点で試される英語の力は、医学専門雑誌を通じて取得する最先端の医学知識とどのように相関するであろうか?

 トッフル500点などクリアできない(これまでそんなことはなかったからかつての医学生のかなり多くはそうではなかろうか・・・事実誤認か?)医学生も、専門の英語文献を読み、すぐれた医者となっている。現在のすぐれた医者でトッフル500点の関門を超えるような人がどの程度いるのか?

 英語教育の実情に詳しくないので、疑問がつぎつぎと出て来る。
(3)
 定款や学則を変える必要があるが、それは気の遠くなるようなことだ。学則(の決定・変更)はいまや教授会や評議会といった組織で行われなくなっているから、現場の教員の力は発揮できないに等しい。

 「定款=諦観」というのは教員の発想だが、若い学生諸君はそれとは違うであろうことを期待したい。


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2005年10月05日

横浜市立大、現場配慮し学長選を

横浜市大新聞 ニュースブログ

【論評】現場配慮し学長選を

 本学の平成18年度以降の学長を決める選挙が始まった。今回の選挙では4年間の任期が与えられるため、大学の中・長期的なあり方に与える影響は大きい。しかし、わずか6人の選考会議で決められ、うち3人が学外の人物であることを考えると、教育・研究の「現場」と無関係に人選が進められてしまうのではないか、という懸念がある。

 改革を経て、本学が直面している問題は多い。新学部生では履修をめぐる混乱が多発しており、TOEFL未取得学生の留年も予想されている。また旧学部生は、教員流出によるゼミの消滅など、入学時に提示されたカリキュラムが保証されていない。たびたび持ち上がる授業料値上げの計画も、学生にとっては重大な不安材料だ。さらに教員と大学運営側との間に生じた亀裂の解消も必要だろう。新しい学長に要求される項目は多い。
 
 現在のブルース・ストロナク学長は、学生と直接に対話する機会を設けるなど、意見の取り入れに積極的だ。今後どのような人物が学長となるにせよ、この路線は継承されるべきだ。加えて、寄せられた意見を、実際の大学運営に反映させ問題点を改善させてゆくことが望ましい。現学長の1年間の任期では難しかっただろうが、4年間の任期であれば十分に実現可能なはずだ。

 大学にとって重要なのは「広報」よりも「中身」である。選考にあたっては、学内の現状を十分に踏まえた上で、教育・研究現場の意見を取り入れ、改革で生じた数多くの問題を改善できる人物を熟考してほしい。そのためにも、学長候補者は所信表明の際、大学の将来について具体的な展望を明らかにするべきだ。


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2005年10月03日

横浜市立大、新学長の選考を開始

横浜市大新聞 ニュースブログ(2005年09月30日)

新学長の選考を開始

 本学経営企画室は30日、ブルース・ストロナク現学長の1年間の任期が来年3月で終了することに伴い、平成18年度の学長選考を開始すると発表した。公立大学法人の定款になって初の学長選考で、任期は4年。学内・学外から選ばれた6人の委員で構成される「学長選考会議」による最終選考は11月以降に行われる予定だ。

 学長選考会議は、学外から今田忠彦・横浜市教育委員、小川智也・理化学研究所横浜研究所所長、福井次矢・聖路加国際病院委員長の3人、学内からは布施勉(元国際文化学部教授)、南睦彦(元医学部教授)の両副学長と松浦敬紀副理事長(前CEO)の3人、合計6人で構成。松浦副理事長が議長を務める。10月に推薦を受け付け、11月上旬には公開での候補者所信表明を行う予定だという。

 学長選考規定では、学長の資格として「人格が高潔で、学識が優れ、かつ本学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する者」と指定されており、本学との関係などに規定はない。

 学長の選考は、小川恵一前学長(平成14~16年度在任)までは教員の投票による学内自治に基づいて行われていたが、大学改革により教員による選挙は廃止。今回の選考では、一般教員は立候補か推薦によってのみ関与できる。現在のブルース・ストロナク学長は、初代学長を規定した定款に基づき宝田良一理事長が任命した。

[同ニュース]
横浜市大、記者発表 平成18年度以降の学長選考を開始します(2005.9.30)

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2005年09月28日

学問の自由と大学の自治の危機問題サイト、「学問の自由と大学の自治」は、なぜ大切なのか? 不純な動機:横浜市大“改革”の「ルサンチマン説」

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●「学問の自由と大学の自治」は、なぜ大切なのか?
 ∟●一言でいえば、「横浜市大“改革”」とはなにか?
 ∟●不純な動機:横浜市大“改革”の「ルサンチマン説」

大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌より

9月26日 香川大学の吉田さんが、都立4大学改革と本学との共通性と異質性について論じておられる(「公立大学という病 更新雑記」2005.9.24)。「国公私立大学の事件情報」(9月25日付)で知った。また、本学の改革のあり方に抗議して辞職された総合理学研究科元教授の佐藤真彦先生の「学問の自由と大学の自治の危機」問題HPにもリンクをはって掲載されている。

この佐藤先生のHPは目次等が更新された(9月25日)。大学「改革」を全体として見通すことができる諸文書が、この間の整理を踏まえて、掲載されている。

特に柱となるのは以下の三つのページである。

最近は日々の仕事に埋没して、この数年間の「改革」の経過を振り返る時間・精神的余裕がなかったが、あらためて整理された諸文書をみながら、この間の「改革」の意味、現状を考えなおすいい刺激を得た。

多くの人は、本学の現状に照らし合わせて、これら諸文書の意味・意義を検証できるであろう。日々の出来事、耳に入った情報をそのときどきにこの日誌で書き記してきたが、そのいくつかも採用されて、収録されている。自分でもいつの時点でどのように書いたか忘れているものも多い。佐藤先生による貴重な整理作業と整理を貫く理念(「学問の自由と大学の自治」)によって、鞭撻される思いがする。

----「学問の自由と大学の自治の危機」問題HP
「学問の自由と大学の自治」は、なぜ大切なのか?
一言でいえば、「横浜市大“改革”」とはなにか?
不純な動機:横浜市大“改革”の「ルサンチマン説」


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2005年09月25日

都立大と横浜市立大、大学のトップが行政にとった態度

公立大学という病:横浜市大時代最後の経験 更新雑記

05/9/24 先般、都立大学前総長である茂木俊彦氏の『都立大学に何が起きたのか』を読んだ。大学トップとしての立場から都庁による都立大学の解体を記録した貴重なドキュメントであり、大学管理本部と都立大トップとの熾烈な交渉・駆け引きがとても興味深かった。
 「われわれの上のほうも、おこっているのですよ」(p.40)という大学管理本部長の言葉を読んだとき、思わず苦笑してしまった。私も人事課長から同じような台詞を聞いたことがあるからだ。おそらくそれは役人特有の言葉遣い・恫喝なのであろう。
 行政主導で実施された都立大学解体は横浜市大と相似をなしているのであろうが、一つだけ異なる点がある。それは、大学のトップが行政にとった態度であろう。このことは既に当時から言われていたことでもあったが、このブックレットを読んで再認識させられた。
 大学管理本部が主導する大学破壊に茂木総長が大学人としての筋を通した声明を出して抗ったのに対して、市大の前学長は「市長とは人格と人格のやりとりでまとめた改革案」(『東京新聞』04年4月20日)などと平然と言い、首長に対して媚びへつらう態度に徹した。市大前学長のことは「学長という病」に書いたので、ここでは書かない。
 中田のポチとして大学自治を蹂躙した彼が図書館長を勤めるという某市立図書館に、このブックレットは入るのであろうか。今は遠方にてそれを確認すべき手段もないが、もし入っていないようであれば、前学長氏宛でこのブックレットを送ってあげたいという気もする。

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2005年09月21日

横浜市立大、教員補充の準備か はじまった研究棟の再編

横浜市立大学大学院『思惟と聯流』第3号より
大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌を経由

横浜市立大、教員補充の準備か はじまった研究棟の再編 求められる公募制の維持

 横浜市立大学の独立行政法人化にともない,研究棟の空室が増えてきている。……

 …退職後も蔵書などを撤去せず,長期にわたって研究室を占拠してきた教員の追い出しが夏期休暇の開始をメドに強行された。……


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2005年09月13日

「生命科学の研究を市政に活かす」? 中田宏・横浜市長が特別講演

http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2005090834333&id=0

 開催2日目を迎えるBIO JAPAN2005では、中田宏・横浜市長が特別講演を行った。中田市長は、生命科学分野に注力する企業や大学・研究機関を市内に集積する「ライフサイエンス都市横浜」構想を推進しており、講演では来場した企業や研究者に向け、「横浜市は都心からのアクセスが良く、進出企業への優遇措置も豊富に用意している。是非、研究開発拠点の設置を検討していただきたい」と、強力にアピールした。

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2005年09月07日

横浜市立大、企画系職員による独裁体制 「大学は建物ではない」

公立大学という病:横浜市大時代最後の経験、更新雑記(05/9/5)

……(略)… この夏、ある市大の先生と話をする機会があった。その先生は学生にも人気があるし、また市大生を愛している先生でもあった。私が市大を辞めるに際して呑んだ時も、「市大の学生はレベルも高く、教え甲斐もあるから、僕は当分辞めるつもりはない」とまで言っていた先生であった。その人が、1年程経って、「もう市大にコミットメントする気がなくなった」と言うのである。任期付き教員が基本という路線に変更がないことが、その最大の理由だとのことである。たとえ確実に再任されるにしても、任期付き教員になるリスクを考えるならば、別の大学に移った方がよいと判断したようである。彼こそこれからの市大の再建を担っていく人の一人だと睨んでいた私にとっては、ここまで人心離反が進んでいる状況に少からずショックであった。
 また、別の市大の先生は「日本の大学のためには市大を潰す必要がある」とまで言っているとの噂を耳にした。容易には首肯できるものではない。しかし、官僚支配という負の資産ばかりが膨らんでいる状況を聞く限り、あながち間違っていないと思わざるをえない。同窓生の諸君には申しわけなく思うが。。。
 大学という現場は、教員、職員、学生の三つの緊張関係から成り立っており、それが維持できなくなると大学はすさんでしまう。今、市大が直面しているのは、現場から離れたところにいる企画系職員による独裁体制である。実状を無視した奴らのやり方をつきつめていくと、まさに建物しか誇れない大学になってしまうであろう。既に奴らが作成した英語教育のプランは崩壊しているらしいことを読むにつけ、また都立大で起ったことを現場の職員が暴いたblogを読むにつけ、その意を強くせざるをえない。後者のblogには都の大学管理本部が現場を無視して大学を壊していく様子がまざまざと描かれている。
 最後に。同窓生に言ったことを一つ忘れていた。何よりも市大を救うためには、中田市長を落選させることが必要であるということだ。同窓生らは笑っていたが、これができなければ中田チルドレンによって本当に市大は沈没させられたままの状態が続いてしまうであろう。

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2005年08月26日

横浜市立大学教員組合、「第1回団体交渉の内容」

■横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー(2005.8.23)
学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー 「第1回団体交渉の内容」(2005.8.23)

第1回団体交渉の内容

……(中略)……

Ⅱ.当面の要求

(1)教員の評価制度・人事制度に関する要求

1.教員評価制度の構築に当たっては、公正かつ客観的な評価制度を設計する観点に立って、評価を通じて不当な差別が行われないように確約することを求める。具体的には、評価項目の設定及び評価作業を恣意的に行わないこと。例えば、育児休暇、産休、介護休暇の取得など正当な権利行使をマイナス評価しないこと。

回答:現在の評価制度を使い勝手の良いものに改善したい。公正かつ総合的な評価とするため恣意的な評価は行わない。また、育休などではマイナス評価しない。

また、交渉の場で「留学などの学外での研究等についても、育休と同じようにマイナス評価しないこと」が双方によって確認された。

2.教員採用人事の透明性を保障するために以下の措置を要求する。
① 人事委員会規程及び採用人事にかんする規則を明示すること。
② 新規採用人事についてその方針の適切性を検証できるよう、採用分野、担当科目等の決定理由を学内に公表し説明すること。
③ 応募状況、審査経過等につき審査報告書を作成し教員組織及び必要な学内関係組織に公表すること。

回答:規則など公表できるものは公表する。公表の範囲は人事委員会で決定したい。

また、交渉の場で、審査については,報告書を作成して,可能な範囲で学内の教員に対して公表することを確認した。組合側は、今までは教授会で審査報告書を作成してきたことを説明したのに対し、経営側は、事務方では教授会でのやり方はわからないので教えてほしいと回答した。

3.現在凍結されたままになっている昇任人事の再開を求める。

回答:年内には実施したい。

……

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2005年08月24日

横浜市立大、改革で存在感増す教員組合

横浜市大新聞 ニュースブログ
 ∟●改革で存在感増す教員組合(2005年08月22日)

改革で存在感増す教員組合

 本学教員の労働組合・横浜市立大学教員組合が、大学改革で存在感を増している。新大学が始まり、教員組合に対し学生が「質問状」を出したほか、シンポジウムを模索する動きも。従来交流のほとんどなかった「学生」の側からのアプローチが目立っている。

 ■学生側の接近

 教員組合は、従来から改革に批判的な立場をとり、2004年2月には新聞に改革に疑問を呈する意見広告を掲載したほか、学内外で声明を出し、改革の根拠や待遇面を批判してきた。4月には大学が独立行政法人化したことに伴い、公務員には制限されてきた労働三権も認められた。また任期・年俸制については、組合が導入反対の教員から「委任状」を受けつけ交渉を代理した。

 6月には、教員組合は学生から寄せられた5項目にわたる「質問状」とその回答を、同組合の週報に掲載した。質問状は1年生の学生から、授業内で大学改革を自由発表に用いる目的で提出されたものだという。この中の「改革をどのように思うか」という質問に対して組合側は、一方的な改革として手法・内容を批判している。学生から改革に関連しての質問状があったのは初めてだ。

 従来、教員組合と学生との間の関係は浅かった。改革が始まった2003年には、学生主催の改革を考えるイベントに教員組合の幹部が出席したことはあったものの、それ以外に意見交換などの交流はなかった。しかし今年度は、この質問状の他にも「後期に改革を検証するシンポジウムを合同で開催したい」という学生も現れた。今後の大学のあり方をめぐっての意見交換の場が設けられたこともあった。

 教員組合の元書記長である山根徹也助教授(取材時:書記次長)は「進級、コース分けなどで、再来年度に深刻な問題が起こる可能性がある中で、学生からこうした動きが出るのは大変好ましい」とし、「一年の学生からこうした姿勢が出てきたのはすばらしい。社会的影響力の大きい当事者であるので、(現状を)認識する努力をまずしてほしい。組合にも意見を寄せてもらえれば」と話している。


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2005年08月20日

横浜市立大学、中田宏編集長の「横浜市大PRビデオ」

スポイチ編集長日誌(時間がないのでちょこっとだけ更新しますが)
学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●これではまるで“悪質詐欺” 中田宏編集長の「横浜市大PRビデオ」(2005.8.19)

ちとムカついたんでとりあえず直リンしといてやるか。

mms://wm.tvk.speedera.net/wm.tvk/hpmv/yokohama-cu/yokohama-cu-001.wmv
mms://wm.tvk.speedera.net/wm.tvk/hpmv/yokohama-cu/yokohama-cu-002.wmv
mms://wm.tvk.speedera.net/wm.tvk/hpmv/yokohama-cu/yokohama-cu-003.wmv
mms://wm.tvk.speedera.net/wm.tvk/hpmv/yokohama-cu/yokohama-cu-004.wmv
mms://wm.tvk.speedera.net/wm.tvk/hpmv/yokohama-cu/yokohama-cu-005.wmv

……


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2005年08月16日

横浜市立大、削られた数理学科 不透明な検討過程 求められる大学の「公開」

■横浜市立大学大学院国際文化研究科博士課程「思惟と聯流」第2号(8月15日号) 上半分下半分
大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌経由

「大学改革日誌」8月14日より

 『思惟と聯流』第2号(8月15日号)が届けられていた。掲示板では気づかなかったが、研究室に届けられていたので新しい号が出たことを知った。HP開設はまだ「準備中」とのこと(臨時にスキャンしたので掲示しておこう:上半分・下半分)。興味を引いたのは、受験生激減に対する大学当局(学長以下)と市長の出演したテレビ番組の動画データを大学HPで流している、といったニュースであった。大学HPを見ていなかったので、知らなかった。当局が必死になって受験生を集め酔うとするその努力は必要なことであろう。

 だが、それが大学内部の教員をはじめとする多くの大学人の心からの支援をうけるものかどうか?

 市長が直接任命した理事長、副理事長(最高経営責任者と学長)をはじめとする大学当局のこうした宣伝活動が、大学内部の下からの基盤を持っているのかどうか、これが問題だろう。まさにそれが、大学の自治、大学の自主性、自律性に深く関わってくる。

 その点で、『思惟と聯流』第2号の記事「削られた数理科学、不透明な検討過程-求められる大学の「公開」-」という記事は、トップダウン「改革」が持つ学内的基盤の面での問題性を指摘しているといえよう。本当の意味で受験生が増加し、しかもその質が向上しているかどうか、そしてすばらしい学生を社会に送り出していける体制になっているかどうか、トップダウン体制、教授会無視の体制でそれが実現できるかどうか、これが今後問われつづけていくであろう。その点で、もう一点、「プラクティカル・イングリッシュ」に一面的に傾斜した教育システム、第二外国語を無視・軽視した語学教育に対する姿勢への批判的論評も、私の共感するところであった。

横浜市立大、削られた数理科学 不透明な検討過程 求められる大学の「公開」

 横浜市立大学・前理学部数理学科の一楽重雄先生と市田良輔先生は,横浜市長宛に抗議文(2005年4月25日付)を提出した。今年度入学式祝辞で市長が「市長として,市大の中身に口を出したことは一度たりともありません」と発表したことに対して「事実と大きく異なるもの」としている。
 事の経過は,まず昨年5月に日本数学会理事長が,横浜市立大学から数理情報コースが外され,数理科学の体系的な教育がなくなることに市長へ再考を促した。これに対して市長は回答(市広報第900655号)で「設置者として」と明言して「数理情報コースについては,数学の専門家を要請するためのコースの必要性は低いと判断し,専門のコースの設置は見直しました」と述べた。
 一楽・市田両先生は,この市長の回答こそが「市大の中身に口を出したこと」を「中田市長自らが認めている」のだと抗議したわけである。
 問題は「設置者」がいかなる議論を経て「判断」したのかである。今回の件に先立ち,前理学部数理科学教室はカリキュラム案に関して意見を表明していた(2004年4月9日付)。「学長は,一部の教員と市の担当者にカリキュラムの作成を任せ,開講科目が減らされるのを座視しているだけでいいのか。一般教員にもカリキュラム案を検討させるべきである。学長,評議会は,大学改革推進本部が設置者として検討した『コース・カリキュラム案』をどのように対処しようとしているのか,を全教員に明確に示すべきである」と。
 これは一学科教室の内輪の問題ではなく,真に開かれた問いが提出されたものである。当時の学長・評議会,そして全教員は一体如何なる対応をしたのかは,学生には全く知らされていないので状況がわからないが,提起された問いについて黙殺しあっていたのだとしたら,この時すでに大学自治などなかったのである。
 今後,私たち大学院生が危惧することは,以上のようにカリキュラムが「設置者」によって密室的に作為した課題から作られていくことである。これは学問的に正しい方向だとは思わない。現在,大学では方向でカリキュラムの編成のみならず研究環境を検討していく傾向がある。
 今日,日本の多くの大学で起きている大学問題の深刻さから「大学オンブズマン機能の要請の声は高まっている。そこで提案したいことは大学の中には,研究の目的や方法を明らかにする「公開講義」が必要だということである。さらに言えば「公開」とは教師が市長へむけて教えることだけではなく,大学人が何をしてきたか問われる場でもある。


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2005年08月03日

「横浜市立大学を考える市民の会」、新たなブログ立ち上げにあたって

横浜市立大学を考える市民の会 blog
 ∟●「横浜市立大学を考える市民の会」ブログ立ち上げにあたって(2005年7月23日 (土))

「横浜市立大学を考える市民の会」ブログ立ち上げにあたって

下記文面のファイルをここからダウンロードできます。

 わたくしども「横浜市立大学を考える市民の会」(以下「市民の会」)は2003年2月の発足以来、横浜市立大学がほんとうに横浜市民ひいては世界の市民に貢献できる価値ある大学となるよう、会としての意見を発表するとともに各方面への働きかけを行ってまいりました。その基本的な主張は、たんなる「改革」のための改革、市の財政負担軽減だけをめざした改革を拙速に行うのではなく、充実した研究と教育が自由に行われることで市民に貢献できる大学となるよう、充分に時間をかけて広く市民に意見を求めつつ改革を進めて欲しいということでした。しかし、まことに残念なことですが、「拙速を避けよ」という私どもの主張はことごとく無視されました。とりわけ昨年3月の市会における平成17年度からの独立行政法人化決定以降、その改革の詳細は一般市民にはきわめて見えにくいものとなり、私どもは、独立行政法人としての横浜市立大学の内容がどのようなものになるのか固唾をのんで見守るといった状況でした。HP更新もストップし、皆様にご心配をおかけしたことをお詫び申し上げます。

 さて、あらたに独立行政法人となった横浜市立大学がこの4月に発足して以来すでに3ヶ月が過ぎ、カリキュラムを含めた新たな大学の姿がようやく見え始めましたが、そこには、すでに「市民の会」が危惧していた幾つもの問題点が表面化しているように思われます。以下箇条書きにてそれらの問題点を指摘するとともに、「市民の会」の意見を併記します。

1 志願者数の減少

 昨年度比約半減となった(http://www.yokohama-cu.ac.jp/02admis/faclty/17jisshi.pdf およびhttp://www.yokohama-cu.ac.jp/ycu_old/jyuken/nyushi/nyushipdf/16joukyou.pdf)今回の受験者数の減少は、「市民の会」のもっとも危惧するところです。「大学間競争で生き残れる大学」という市長の言葉は何だったのでしょう。志願者の減少は、大学のアピール、宣伝不足というより、「国際総合科学部」という意味不明な名称を持つ学部構成に起因するところが大きいと思われます。「市民の会」は、瀬戸キャンパス旧3学部(商学部・国際文化学部・理学部)の一学部統合に一貫して反対して参りました。高校生および進学指導者に対する充分なリサーチなしに、あるいは「初めに変更ありき」でこうした重大な変更が行われたことは、まことに残念なことです。学部構成を早急に変更することは困難としても、内部で新たな学科構成を行うなど、できるだけ速やかな改善を求めます。

2 教員の流出

 優秀な教員の確保は研究・教育の充実のために欠くことのできない基本条件と思われます。ところが残念なことに、とりわけ統合された旧三学部(商学部・国際文化学部・理学部)からの教員流出が相当数にのぼったようです。任期制・年俸制といった待遇の問題ばかりでなく、学問の自由と大学の自治の保障といった、大学としての基本的な性格が損なわれたことにより生じた事態とすれば、きわめて深刻であり、学内の意志決定システムを含め、早急な見直しを求めます。

3 新カリキュラムの問題点

 今年度からの新カリキュラムについては、新入生の受講できる科目が大幅に制限されるとともに、300人、400人という受講者をかかえる講義が続出し、教室の手当すらままならなかったり、コンピュータ実習での端末1台に学生3人といった状態であるようです。また、TOFEL500点といった画一化された進級条件の影響で、英語の授業の出席率が極端に低下しているといった情報(http://blog.livedoor.jp/ycu_press/archives/27390910.html)、も漏れ聞こえます。そもそも「教育に重点をおく」として学生本位をうたった改革が、このような事態を招いていることは異常であり、大学の実態を無視し、現場の教員の声を充分に反映しなかった拙速な「改革」の弊害であることは明らかです。カリキュラムについては、教育に関して充分な経験を積んだ教員の主導により速やかに見直しが行われる必要があると考えます。

4 市民への貢献

 大学のホームページ(http://www.yokohama-cu.ac.jp )を見る限り、産学連携などはともかく一般生活のレベルにおいて、新大学の市民サービスが、かつてと比較して向上しているとは思われません。大学は広く市民の意見を取り入れ、教員および市民からなるコーディネーター組織を作るなどして真剣に市民サービスに取り組む姿勢を明確にしていただきたいと思います。

 以上4点を指摘いたしましたが、いずれも今後の大学の運営においてゆるがせに出来ないことです。「市民の会」は、戦後の貧困の時代から一貫して市民が支え続けた横浜市立大学がより良い大学となるよう常に見守り、その時々に応じて良識ある市民としての意見を具申しつづけて行きたいと思います。そのため、これまでのホームページを記録として保存すると共に( http://www8.big.or.jp/~y-shimin/ )、今後の息の長い活動に備え、ブログというかたちで新たなホームページを立ち上げました( http://y-shimin.way-nifty.com/shimin )。ご覧いただき、ご意見をお寄せいただければ幸いです。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年08月03日 00:01 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog3/archives/2005/08/post_224.html

横浜市立大教員組合、第1回団体交渉・団体交渉要求書

横浜市立大学教員組合
 ∟●横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー (2005.8.2)

第1回団体交渉・団体交渉要求書

 7月28日(木)に新組合として第1回目となる当局との団体交渉が行われました。当組合からは、上杉執行委員長、真鍋副執行委員長、随書記長、和仁書記次長、中西前副執行委員長、山根前書記次長が出席し、経営側からは、松浦敬紀副理事長、清水一男事務局長、中上直経営企画室長、福島満人事担当課長、金井英孝学務センター長、渡邉昇人事担当係長が出席しました。

 これに先だって当組合から提出した要求書の項目は、以下の通りです。(交渉の詳しい内容については、次号でお伝えする予定です。)
------------------------------------------------

団体交渉要求書

公立大学法人横浜市立大学理事長

宝田良一殿
2005年7月21日
横浜市立大学教員組合執行委員長
上杉 忍

本組合は、本要求書を作成し、公立大学法人当局に提出いたします。以下の要求事項について交渉に応じるよう求めます。

なお、これまで当組合が提出してきた要求・意見[1]に関しては、基本的に変更はありませんが、今回は特に以下の要求のみに絞って、今回の交渉の項目とします。

Ⅰ.団体交渉のルールについての要求
(1)適切な責任者の出席
団体交渉に当たっては、内容に応じて責任ある判断を下すことが出来る当局代表者が出席すること。

(2)交渉の項目・誠実交渉
横浜市立大学教員組合が、教育・研究労働者の労働組合であるという特殊性に鑑み、以下の課題について当局が誠実に交渉に応じるよう求める。 

1.教員の待遇、勤務条件、教員の人事制度に関する事項
2.教員の教育・研究・診療活動に関る事項
3.教員の大学運営への参加(大学行政)に関する事項

Ⅱ.当面の要求

(1)教員の評価制度・人事制度に関する要求
1.教員評価制度の構築に当たっては、公正かつ客観的な評価制度を設計する観点に立って、評価を通じて不当な差別が行われないように確約することを求める。具体的には、評価項目の設定及び評価作業を恣意的に行わないこと。例えば、育児休暇、産休、介護休暇の取得など正当な権利行使をマイナス評価しないこと[2]。
2.教員採用人事の透明性を保障するために以下の措置を要求する[3]。
① 人事委員会規程及び採用人事にかんする規則を明示すること。
② 新規採用人事についてその方針の適切性を検証できるよう、採用分野、担当科目等の決定理由を学内に公表し説明すること。
③ 応募状況、審査経過等につき審査報告書を作成し教員組織及び必要な学内関係組織に公表すること。

3.現在凍結されたままになっている昇任人事の再開を求める。

(2)教員の教育研究条件に関する要求

1.今年度の横浜市立大学における研究戦略プロジェクト等の競争的研究経費の採択の過程と結果を明らかにすることを求める[4]。
2.来年度の入学試験における募集人員の変更に関し、その決定過程に関し、説明することを求める。
3.英語教員の教育活動に対して大学教員にふさわしい権限(単位認定権、成績評価権)を与えるべく改善策を提示することをもとめる[5]。
4.現在進められた研究室再配置計画の決定プロセスを説明してほしい。また、個々の教員の研究室移動には、研究教育活動の妨げを最小限にするために、十分な時間的猶予とその支援体制を求める[6]。
5.教育・研究をサポートするスタッフを補充してほしい[7]。
6.教員の事務作業を現場の裁量で簡素化できるところは大胆に簡素化するよう工夫を重ねてほしい。そのための「苦情処理」システムを立ち上げてほしい[8]。
7.図書館の専門雑誌購入の大幅削減を直ちに改め、研究用図書館としての機能を回復できる予算措置を求める[9]。
8.今後の専門職員の運用・配置計画について明らかにされたい[10]。

(3)教員の大学運営への参加(大学行政)に関する要求

1.大学運営における現場の教員の声を吸い上げ、全教員の協力のもとに大学運営を執行できるようにするため、憲法の定める学問の自由を保障し、学校教育法を遵守して、大学運営への教員の平等な参加権を保障すること。そのために、教授会に、人事、カリキュラム作成・改正、学則の改廃その他重要な事項に関する審議権を回復することを求める。
2.予算、決算、財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書など)、定員(常勤職員数、雇用上限数)などに関する資料を提示するよう求める。
3.全ての大学構成員が共通の情報を可能な限り共有できるようにきめ細かな学内情報伝達に努めていただきたい[11]。

以上
-----------------------------------------------
注:
[1] 「基本要求事項」(昨年9月15日)、「2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求」(本年3月8日)、同「Ⅱ」(同月23日)、就業規則に関する意見書(本年4月27日)、等。

[2] 教員評価の制度設計には、教育研究に関する専門性が十分に尊重されるよう注意を喚起したい。今後検討をすすめる場合、教員組合の提起する疑問点に答えるとともに、教員組合との誠実な協議・交渉を行うよう要求する。

[3] 今回の教員人事制度の「改革」の目的とされたのは、「公開性」「透明性」であった。その目的がどのように実現されているか、われわれ教職員の前に明らかにすることが必要である。また、われわれは、教員採用人事においては、教育研究の専門家の識見が最大限に尊重されるべきであると考えるが、その識見が尊重されていることを明らかにしてほしい。

[4] 審査がどのような手順で行われ、どのような基準で行われたのか。公正に行われていないという疑問が広がれば、教員の研究意欲をそぐ結果になるので、積極的に説明してほしい。

[5] 現在英語教員は、現場の反対を押し切った「改革」に基づく授業を担わされ必死の努力を行っている。「改革」そのものを見直すことについて、今後現場の声を聞いて送球に検討されるべきである。それはさておき、大学教員に単位認定権、成績評価権を与えずに強制されている現在の教育労働は、大学教員の教育活動に対する尊厳の無視に当たり、早急に改善策が示されるべきである。

[6] 少なくとも今から「夏休み中に移動せよ」などという乱暴な命令はやめてほしい。また、引越しには、運送会社を利用するなどの支援を求める。

[7] 例えば、今年度に入ってから外部講師を招聘した授業が急増しており、講師の送迎に際して事務サイドから適切なサポートが行われていない。授業形態の改変に対応した事務方からのサポート体制の確立が急務である。また非常勤講師に対するサポート体制にも重要な欠陥が見られる。他大学の事例などを参考に改善を求める。

[8] 例えば、郵便物を出す場合に現在極めて煩瑣な作業を教員に強いている。その簡素化は可能なことではないのか。このような現場での問題解決のために「苦情処理」を組織的に行うシステムの確立をお願いしたい。

[9] 図書館の蔵書の充実は、目立たない事業であるが、研究・教育機関としての100年の計を考えれば、最も重要な《ソフトパワー》の一つである。例えば、1998年にScience Direct社を通じて購入した専門雑誌は、167 タイトルだったが、2004年度までに67タイトルにまで削られ、多くの教員が不便を感じている。この《ソフトパワー》の衰微は大学としての生命に関ることである。
[10] 『中期目標』では、「教員と職員の中間領域を担う専門職の人事の適正化をはかるとともに、市は県職員の段階的解消を図る」とうたっているが、現在大学経営に通じた専門職員の配置が極めて不十分であり、様々な問題が生じている。早期の配置を求める。

[11] コースに所属していない教員への情報伝達に努めることなど。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年08月03日 00:01 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年07月22日

横浜市立大、教員の労働時間について

大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(7月21日)

7月21日 教員組合週報(7月20日)を受取った。執行委員選挙関係と「出勤簿」問題に関する重要な情報が掲載されている。

 大学教員の週労働時間(38.5時間だったか39時間だったか)は、教育のための時間(拘束的な学部・大学院の講義演習等で、特に今年は人によっては6コマとか7コマとか、普通でもかなり多めとなっているが)、各種委員会等の時間(拘束的)、そして自由な研究(ないし教育のための準備)に費やす時間がある。講義・演習・会議などは、たくさんの人間が関わってくるという意味で規律が必要であり、一種の大工場的規律で運営される側面(大学における生産工場規律)があるといえよう。

 しかし、大学教員の勤務形態・職務遂行形態においては、大学に出校している場合でも厳密に(大工場的規律的に)規定された講義時間等のみが拘束的なのであって、その他の時間帯は自由に利用して本来的職務の一形態(教育研究のための仕事)に費やしている。逆に、大学外においても自宅であるか図書館・資料館などであるか他大学での研究会であるかなど、その研究のための時間の利用形態(場所・時間帯・土曜日曜の自発的職務遂行、やり方など)は多様である。しかし、大学外にいるからといって職務に専念していないのではない。勤めを欠いているのではない。まさに研究(教育準備)という職務に専念しているのである(そのようにみなして各教員の自律性、自己規律に任せてきたのが慣行であり実態である・・・「みなし原則」が実際にどのように実現されてきたか、これに問題がないとはいえない、最近の改革論議の一つはこの「自由」の利用の仕方をめぐるものである)。

 大学教員の職務専念・職務遂行においては場所や形態に最高度の自由が必要なのである(もちろんそれに伴う責任もある)。大学に出勤したか出勤していないか、ということは決定的な問題ではない。工場的規律、固定的な職場における事務的労働の基準で、「出勤」か「欠勤」か等を区別し、押印の有無と対応させようなどというのは、大学における慣行にも、大学教員の研究教育労働のあり方にも合致しない。少なくとも文科系(実験設備等を使うものは別として、すなわち非実権系)はそうであろう。すくなくとも文科系にとってはその自由度が命だとも言える。

 最近の社会の全体的傾向を見てもわかるが、講義・演習・会議等の拘束的時間以外の自由な時間(自由な形で自主的自律的独立的に職務を遂行する時間)に関しては、その成果を教育の現場においてどのように実現し発揮しているか(たとえばそのひとつの実績評価の素材として学生アンケート)、研究においてどのように実現し発揮しているか(研究実績に関する諸種のデータの公表)、社会的活動においてどう発揮しているか(学会や地域その他に関する活動の実績の公表)、具体的成果こそが問題とされている。勤務・職務の遂行の形態において最大限の自由を保障することと表裏一体となって、その遂行の結果・実績こそが具体的に求められている。こういう実績書類を作ることも、貴重な研究教育のための時間を割いているのである。認印を押す作業とどちらが簡単か? どちらが重要か? 実績書類の作成は、一瞬にして済んでしまう押印に比べれば、何十倍、何百倍、何千倍の時間と精神的緊張を要することだけは確実だろう。それを大学教員は次々と作成するようになっているのである。 

 出勤簿問題は、大学教員の勤務形態の特質の理解とかかわる。

 就業規則問題(勤務時間問題)など未解決の問題に加え、さらに追い討ちをかけるように、軽軽しい形式的処理(画一的事務処理)を押し付けてくる(「欠勤」処理の暗示=脅かし)ことでは、大学教員の仕事にとって本当に重要なことをだめにしてしまう。大学教員に求められる仕事のあり方の無理解は、大学教員の士気を阻喪させる。

 教員組合の筋のとおった主張と対応を期待したい。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年07月22日 02:00 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年07月19日

横浜市立大、昇進システムは大学自治を踏まえるべきである

大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(7月15日)

7月15日 昨日は教員組合の総会があった。教員組合員がこの間、増えているそうである。大学教員の教育研究条件、労働・生活条件をきちんと大学教員にふさわしく確保・確立していくには、任期制問題とも絡んで、教員組合への結集が必要なことがますます認識されているということなのだろう。

 大学独自の自立的自治的な運営と、教育研究条件、労働条件・生活条件は密接に関連する。その関連性を具体的に深く認識することが必要だろう。

 大学教員の労働と生活の条件、それは教育と研究にどれだけ専念できるかに深く関わる。その重大な要因の一つが昇進である。昇進(助手から准教授へ、准教授から教授へ)は、経済的要因であると同時に身分的要因(名誉・勤労意欲、精神の自由などに深く関わる)である。

 業績の達成(勤労意欲、教育研究意欲とその発揮、その物的保障としての賃金条件・勤労時間条件・勤務形態の自由度の要件などが前提条件をなす)、それにもとづく昇進が公正に大学の自治・学問の自由を保障する中で行われなければならない。昇進できるかどうかは、労働条件・生活条件と直結し、教育研究条件と密接に関係する。いつの時点で昇進できるかによって、生涯賃金も大きく変化する。昇進が公正に行われるかどうかは、教員全体のモラールに影響する。教育研究の質に影響する。

 したがって、昇進がどのような機関で、どのようなメンバーで、どのような基準で決められるかは、決定的に重要なことである。だからこそ、これに関しては、教員採用人事と並んで、教授会の重要審議事項であった。

 ピアレヴューのあり方と内実(研究活動では、Readの研究者DBを見ると、近い分野であればあるほど、どのような質と量の仕事をしているかわかるが、専門が遠くなればなるほど不明になる、つまり専門が細かく深くなればなるほど厳密には専門家にしかわからない、専門家の評価・ピア・レヴューの重みが見えてくる)が公正・適正で、精神の自由・学問の自由を保障するものでなければならない。上意下達を旨とする精神構造と精神の自由・学問の自由の精神構造とはまったく違う。科学の研究教育において、上意下達が支配すれば、学問の自由、精神の自由など存在しない。

 機関、メンバー、基準、その情報の公開は、自由で公正な競争のための基本的前提条件である。学長諮問委員会の人事委員会の権限の範囲、それと教授会の権限の範囲、などをきちんと文章化して確定し、公開しておかなければならない[1]。

 また、そうした具体的な規則ができる前には、これまでの3学部を統合した国際総合科学部の場合、しかるべき諸条件を組み合わせた昇進条件の確定を早急に行い、過渡的措置として、移行に伴う混乱や行政当局による制度整備の不十分さ・無責任さによって、大きな不利益をこうむる人が出ないような対策を講じる必要がある。

 かりにこのまま行政当局(現在の法人と大学の重要人事はすべて「上から」「外から」の任命であり行政当局による直接的任命に他ならないが)に任命されたものだけが、原則・ 基準や手順を未公開のままにして、人事政策のすべてを内内に、水面下で取り仕切ることになれば、それは、大学(法人と大学)への行政の直接介入以外の何ものでもないだろう。

 その意味では、大学の重要人事(学長・学部長・研究科長)に関する大学における自治的自立的決定のシステムが早急に構築されなければならないだろう。

 民主主義の観点から常識的には構成員による選挙である。この選挙制度はそれはそれでいろいろ問題のあることは確かだ。衆愚政治の現象、レベルの低い利益(誘導)政治もしばしば見られる。大学運営に求められる資質・実績の発見と検証は容易ではないだろう。しかし、民主主義的選挙による競争によってしかるべき組織の長を選出するオープンなシステムの真の意味での充実度こそは当該組織(大学)の生命力・活力を発揮する上で重要であろう。それは、外部からの任命、行政的任命と本質的・決定的に違ったものとして大学(大学自治)においては特に重要であろう。

 自立的独立的組織としての教員組合は、全学部で選出された代議員と連携しつつ、昇進等身分保障・労働生活条件・教育研究条件の安定的確立(たとえば持ち駒負担が多くては教育のための研究時間も不足するなど)のためにも、問題提起すべきものだろう。教員組合の運動方針には、この基本線が明確に規定されていると考えるが、それが昨日の総会で採択された。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年07月19日 00:09 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年07月15日

横浜市立大学教員組合、36協定締結

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー (2005.7.13)

36協定締結

 かねてより当局は、休日・時間外労働についての労使協定(36協定)の締結を求めています。金沢八景キャンパスにおける過半数組合として、組合は協定への合意と署名を求められていましたが、それにあたっていくつかの点を要求し、当初の協定案の修正を求めていました。
 要求は以下の3点です。
1)教員についての規定を載せること(教員も休日労働を行なうことがあるため)
2)教員の時間外・休日労働の範囲を、一般職員のものよりも限定しないこと(さまざまな種類の労働がありうるため)
3)協定の有効期間を6か月とすること
4)自動更新規定を除き、有効期間経過後はあらたに協定を締結すること
(3、4は、労使協定が労使双方にとって初めてのものであることにかんがみて、こまめに見直しができるよう、保障があることが必要であるため)

 協議を通じて当局も、これらの条件を容れる方向に転換し、それに沿った新しい協定案を提示してきました。組合執行部としても、あらかじめ決定されていた執行委員会の方針に則り、この協定に合意し、本日、締結しました。
 締結後は、時間外労働のありかたや、手当をめぐって個別的に交渉を重ねることになります。
 他の勤務時間等についてはまだ解決に至っていませんから、もちろん、交渉を継続します。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年07月15日 00:27 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年07月14日

横浜市立大、人事政策はどのようになっているのか

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(7月13日)

 教員組合週報(本日号)が送られてきた。久しぶりに、学内情報の一端が明らかになった。教授会が選出した代議員による代議員会などは開催されているようであるが、重要な人事問題(どのような担当科目に、どのような人材を配置し、どのような審査機関で、どのような公正さをもっておこなわれるのかといったこと)ひとつとっても、噂話しかもれてこないような現状である。つまり、大学内部に対してさえ、人事政策がどのようになっているのか、その説明はなされていない。現状は、「独立」行政法人化とはいえ、実態は市長・行政当局の思いのままの人事(たとえば理事の人事なども)が行われているようである。教育研究審議会、経営審議会のメンバーの選び方からして、それは必然のことなのだろう。大学の自治的自立的生存は、いよいよ風前の灯というところか。

 この間、突然、「副理事長」名で、「研究者データベース作成に伴う入力依頼について」が送られてきた。教授会による審議(教員自身による情報交換・意見交換・データベース入力の意味と意義などの議論)を踏まえての自主的自立的なものではないところに、すなわち単なる「上から」・「外から」の一編の通知で処理するところに(教授会がないのだからそうなるのは必然だが)、行政主義的なシステムの問題が現れている。「意味不明の、あるいはよく理解できない文書をメールで送りつけて、通知しましたよ」という態度はいかがなものか、とはある教員の感想である。こうしたやり方が、教員のやる気を起こすものかどうか。(そもそも「副理事長」とはだれか?二人のはずだが?たしか研究者のはずだが?その二人の人はReadデータベースに入力しているのだろうか?率先垂範となっているだろうか?上から下へ、他の管理職は?真のリーダーシップとは何か?率先垂範、具体的実績で人々を引っ張っていくことではないのか?)

 それだけに、自立的独立的組織としての教員組合の意義は大きなものとなっているといえよう。かつて教授会が制度的に機能していたとき、通常ならば、昇任人事案件も5月-6月あたりには学部長からしかるべき基準で提起されていた。はたしてそれはどうなっているのか? どのような基準の設定が行われているのか? それはどこでどのように検討されているのか? すべてが暗闇のようである。人事問題における公開性、公明性、公正性はどうなっているのか?


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年07月14日 00:00 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年06月27日

公立大学初の外国人学長 ブルース・ストロナク横浜市立大学長

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/campal/dairakujin/news/20050625dde012070059000c.html

……

◆「日本の学生も(学業から離れて自由に過ごす)ギャップイヤーの機会があればよい。カリキュラムだけでなく入試制度全般を改革しなければ」と話し、「現在の社会は10年後には変わっている。社会が変われば制度も変わる。その制度を今つくる」。……


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年06月27日 01:14 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年06月24日

横浜市立大学教員組合、国会議員宛 「教員の訴え」

組合ウィークリー(2005.6.23)
大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌(6月23日)
学問の自由と大学の自治の危機問題

横浜市大 教員の訴え
  

横浜市立大学教員組合

大学自治・学内民主主義の圧殺と
違法な教員労働条件の切り下げに
反対します!

横浜市政の誤った大学「改革」

 今年4月1日、横浜市立大学は、地方独立法人となりました。
 横浜市は、この独法化を利用して、「改革」と称する、やりたい放題に大学をいじりまわし、戦後つちかわれてきたたいせつな大学の原則を踏みにじっています。
 これらの大学改変は、研究・教育を脅かす不当なものであるばかりではなく、そもそも違法です。
 わたしたちは、このような不当・違法な「改革」をやめさせるために、大学再編攻撃に抗して闘っています。

大学自治・学内民主主義の圧殺

 独法化にともなってできた横浜市大の新しい学則では、人事権・カリキュラム編成権など重要な事項の審議権が教授会にはなく、理事長以下のトップダウン体制で決まることとなっています。
 これは大学の自治と民主主義を否定する、おそるべき制度です。
 教授会に「重要な事項を審議する」権限を与えている学校教育法に違反し、憲法の保障する学問の自由の原則にもとるものです。
 このような体制では、現場の教員の声が大学運営にも反映されず、大学における研究・教育に大きなマイナスでもあります。

違法な教員労働条件の切下げ

1)任期制
 横浜市大当局は、「原則全教員を対象とする任期制」の導入を図っています。
 大学当局が準備している任期制には、公正さと透明性に大きな疑いがあります。たとえば、もっとも肝心の再任基準について、当局は「ふつうにやっていれば再任される」などと言うのみで、なんら客観的な基準を示していません。
 また、任期制の導入には当然、本人の同意が必要ですが、同意しない教員については、かずかずの不利益を与えようとする不当な措置の導入をもくろんでいます。
 こんなことが許されるでしょうか?

2)年俸制、その他
 そのほかにも当局は、年俸制・教員評価制度の導入など、新しい雇用条件の導入を図っていますが、これらも任期制と同様に、公正さの点で、大きな疑義があります。
 教員組合は、これらの問題について、誠実な交渉を求めていますが、納得のいくような説明のないまま、当局はこれらの制度の導入を強行しようとしています。
 労働条件の大幅な変更にあたっては、じゅうぶんな労使間の協議を行なうことが、法的に義務づけられています。
 横浜市大当局にその姿勢があるのか、きわめて疑問です。


大学自治と大学労働者の権利擁護のために
関係諸法実施状態の監視と改悪阻止を!

 わたしたち横浜市大教員は、教員組合をおもな拠点として、このような不当な大学改悪攻撃に対して闘っています。
 国会議員諸氏には、このような横浜市大「改革」の問題を理解され、学校教育法、地方独立法人法、労働基準法など関係法規が横浜市において遵守されているかを厳しくチェックされ、また、これら関連法規が、勝手放題の大学改悪を許すようなものに改変されないよう、闘ってくださるよう、お願いいたします。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年06月24日 00:28 | コメント (0) | トラックバック (0)
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