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2006年08月04日

国際観光学部の校舎を披露 上京、平安女学院大

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2006080300260&genre=G1&area=K1B

この問題は,2月2日付(平安女学院、立命館からの10億円財政支援を受け,京都に新学部(国際観光学部)設置を構想)で書いた。この構想が物的形態において実現したようだ。総工費は2億円とある。これは立命館からの7億円の寄付が原資となっているのであろう。

 平安女学院大(京都市上京区)は3日、来年度新設する国際観光学部の校舎の披露会を開いた。平安女学院中の校舎を改装して整えたれんが造りの正面外観が特徴で、平女大の京都キャンパスと位置づけている。……

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2006年03月20日

平安女学院大学守山キャンパスの存続を守ろうの会、卒業するにあたって 学生から最後の言葉

平安女学院大学 守山キャンパスの存続を守ろうの会
 ∟●2006.3.17「卒業するにあたって」 守ろうの会

守ろうの会の学生から最後の言葉

 統合という問題を覆すコトができず、最後のまる1年を高槻で学ぶという結果になってしまいました。しかし何もせず高槻に行っていたら絶対に後悔してたと思います。活動を通じて色んな人に出会う事ができました。活動中は辛い事や嬉しい事など言葉では言い表す事ができない程たくさんの経験をしました。たくさんの方に応援してもらえた私達は本当に幸せでした☆いっぱい勇気づけられました☆守山に「平安女学院大学」があった事を覚えていて下さる方がいたら本当に嬉しく、私達のしてきた活動も意味のあるものだったと思っています☆自分の学校を自分達で守ろうとした事は一生の宝です♪

 この運動に参加して実感したことは、「学生の立場」です。学校に守られていない学生の行くところはどこにもなかったのかという疑問と課題が残りました。

 私は3年間守山に通って思い出がたくさんありました。4年生だけ高槻に行って数える程しか行って無いので何の思い出もありません。たくさん思い出がある守山キャンパスを今見てもけったくそ悪い思いしかありません。看板も立命館に変わり本当だったらここで卒業式もあげて大事な学生生活を締めくくれてたのだなぁと思います。3年生で統合が決まり1年だけ高槻に行けば良ぃから1年生と比べたら楽なのかもしれないけど1年生は思い出をここから作って行こうと思う5月に移転が決まり1年生よりも思い出がたくさんあり守山キャンパスの良さを知る3年生が運動を頑張ったのだと思います。やはり1年生が卒業するまでは守山キャンパスで開校すべきだったと思ったら経営の事しか考えてない理事長が許せない気持ちでいっぱいです。卒業式の案内が山岡理事長の名前で送られてきましたが学生の気持ちを何1つ考えていない人からハガキをもらっても気持ちも伝わらないしそぉゆぅ時だけ表に出てくるなと思います。

 3年生からの時間を返して欲しいです!楽しいはずの2年が学生時代の楽しい時間が山岡理事長のおかげで無駄になった事が悔やまれてそんな気持ちのまま卒業式を迎えよぅとしています。世の中の汚い部分を1番勉強して卒業します…

 学生が純粋に当然のことを主張すればわかってもらえるなんて考えが甘いってことがわかりました。やっぱり、世の中権力なんだって思わずにはいられなかったですけど、同じ年の子が滅多に経験できない本当に貴重な経験ができたことだけは良かったと思います。


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2006年02月28日

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会、声明「最高裁の不受理決定を受けて-本件事件で何を教訓とすべきか-」

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会
 ∟●「最高裁の不受理決定を受けて-本件事件で何を教訓とすべきか-」(2006年2月27日)

(声明)

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟
最高裁の不受理決定を受けて-本件事件で何を教訓とすべきか-

2006年2月27日

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟を
支援する大学人の会

 2006年2月3日,最高裁第二小法廷(裁判長滝井繁男,裁判官津野修、今井功、中川了滋、吉田佑紀)は,平安女学院大学守山キャンパスの移転・廃止に伴い,原告学生が同キャンパスでの就学権確認を求めた「上告受理申立」について,「上告審として受理しない」旨決定した。この上告受理申立は,一審大津地裁における請求棄却(2005年5月23日),二審大阪高裁の控訴棄却(2005年9月28日)の判断はいずれも法令の解釈適用を誤り、判断遺脱、理由不備であるとしてなされたものである。最高裁第二小法廷は,結果として原告の訴えを認めようとはしなかった。あらためて,この種の訴訟の困難さが確認された。

 そもそもこの事件は,学校法人平安女学院が四年生大学化するにあたり巨額な補助金を受けて滋賀県守山市に新たに設置した守山キャンパスをわずか5年のうちに廃止し,それに伴い在学生全員を大阪府高槻キャンパスに移動させようとしたことを発端とする。キャンパスの廃止決定を知らずに入学した学生,十分な経過説明や納得を得ることなく強引に移動の対象となった在学生たちは,約2万人に達する署名を力に大多数の学生と地域住民の総意をもって学校法人理事会・滋賀県・守山市・文科省などあらゆる関係機関にキャンパスの移転反対と存続を求めた。本件訴訟はその最後の訴えの拠り所としてなされたものであり,「卒業するまでの間(卒業最短修業年限)同キャンパスで就学する権利」を求めて争われたものである(詳しい経緯は,大学人の会「平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟とその意義-大学の自治と学生の就学権をいかに守るか-」(2005年7月28日発表)を参照のこと)。
 今回の最高裁不受理決定を受け,訴訟を支援する大学人の会としては,本件就学権確認訴訟の教訓および当該事件全体のもつ問題性をあらためて総括しておきたい。

……以下,省略 上記URLをご覧下さい。


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2006年02月13日

最高裁、上告受理せず 平安女学院大就学権訴訟

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2006021100054&genre=D1&area=S10

 平安女学院大びわ湖守山キャンパス(滋賀県守山市)の高槻キャンパス(大阪府高槻市)への統合をめぐり、在学生が学校法人・平安女学院(本部・京都市)を相手に、卒業まで守山キャンパスで就学できるよう求めた訴訟で、最高裁第二小法廷(滝井繁男裁判長)は10日までに、学生側の上告を受理しない決定をした。大学側の勝訴が確定した。

 訴えていたのは、学生有志でつくる「守山キャンパスの存続を守ろうの会」代表で、同大学4年の川戸佳代さん(22)。大阪高裁が昨年9月、「守山キャンパスに特定して就学する権利を与えた契約は認められない」として、一審の大津地裁判決に続いて原告の訴えを棄却したため、上告していた。

 川戸さんは「全国の私立大でも同じようなことが起こりつつあり、今後も何らかの形で私立大の社会的な責任を追及していきたい」としている。


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2006年02月08日

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟、最高裁 不受理を決定

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会
 ∟●平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟、最高裁の決定調書(2006年2月3日)

 平安女学院大学びわ湖守山キャンパス移転・廃止事件において,就学権を侵害されたとして,学生川戸佳代さんが最高裁に「上告受理申立」していた裁判で,最高裁第二小法廷(裁判長 滝井繁男,裁判官 津野修、今井功、中川了滋、吉田佑紀)は,2月3日上告審として不受理を決定した。
 
 因みに,この訴訟は次のような経過をたどった。
■大津地裁
 ●原告訴状(2004年10月26日)
 ●判決(2005年5月23日)
■大阪高裁
 ●控訴理由書(2005年6月20日)
 ●控訴審判決(2005年9月28日)
■最高裁
 ●上告受理申立理由書(2005年11月7日)

調書(決定)

事件の表示 平成17年(受)第2291号
決定日 平成18年2月3日

裁判所 最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官  滝井繁男
裁判官      津野修
裁判官      今井功
裁判官      中川了滋
裁判官      吉田佑紀

当事者等 別紙当事者目録記載のとおり

原判決の表示 大阪高等裁判所平成17年(ネ)第1783号(平成17年9月28日判決)

裁判官全員一致の意見で、次のとおり決定。
第1 主文
  1 本件を上告審として受理しない。
  2 申立費用は申立人の負担とする。
第2 理由
   本件申立の理由によれば、本件は、民訴法318条1項により受理すべきものとは
   認められない。
   平成18年2月3日 最高裁判所第二小法廷 
   裁判所書記官 名越弘志


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2006年02月06日

立命館への守山キャンパス無償譲渡問題、住民監査結果報告書

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会
 ∟●住民監査請求に係る監査の結果について(通知)

 平安女学院大びわ湖守山キャンパス跡地を立命館に無償譲渡した一連の問題を巡り、平安女学院大に支出した補助金返還と、立命館へのキャンパス譲渡差し止めを求めて,守山市の市民団体が住民監査請求していたが,1月25日,同市監査委員会はこれを棄却した。以下に,その監査結果報告書を掲載する(結論部分のみ抜粋,全文は上記URLに掲載)。
 結果は,簡単に言うとキャンパス跡地処理を巡る諸手続きは整っており,違法性はないというもの。監査委員会の監査とはこんなものかもしれない。しかし,問題は関わった当事者が平安女学院と立命館という公的な性格をもつ高等教育機関であったという点にある。特に,守山キャンパス移転・統合から無償譲渡に至るプロセス,およびその過程で当該事件と一緒くたに処理された高校移管のやり方が大きな問題である。

 立命館常任理事会は,この問題の経緯について学内教職員向けに文書を作成している(「立命館守山高校設立に関する経緯について」2005年9月4日付=住民監査請求の提出資料の一つ)。ここに書かれた説明内容は,分からないことが多い。特に2004年度に市長や平女との間で進められた協議・やり取りの時期については全く不明確である。また,重要な説明部分において,守山市の公式コメントと食い違いもあるように思われる。これら住民監査結果報告書では全く触れられない点について,さらに問題にしなければならない。

……

第4 監査委員の判断

 監査結果に基づく事実認定を踏まえ、請求人の主張に対し、慎重かつ厳正に合議した結果、一致した結論は次のとおりである。

1 監査対象事項(1)について

 守山市補助金等交付規則第14条第1項に「市長は、補助事業者等が、補助金等を他の用途に使用し、その他補助事業等に関して補助金の交付の決定内容またはこれに付した条件に違反したときは、補助金等の交付の決定の全部又は一部を取消すことができる」とあるが、一般に長は、事由が認められるときであっても、必ず当該交付決定を取り消さなければならないものではなく、補助目的達成の可否について補助関係の全過程を通じて総合的に判定し、補助金等交付の所期の目的を達成することが困難となったと認められるときに初めてその取消権を行使すべきものと解するのが相当でる(名古屋高裁平成5年2月23日判決、判例タイムズ859号260頁、小滝敏之「全訂版・補助金適正化法解説」240頁等参照。)。そこで、学校法人平安女学院に対する補助金等の交付決定に守山市補助金等交付規則第14条第1項所定のような事由が認められるときであっても、長は、直ちに当該交付決定を取り消し、補助金等の返還を求めるのではなく、学校法人平安女学院の自主的判断に委ねることも選択肢であったと解することができる。

 本件請求は、補助金返還請求権の行使を怠っていることの違法確認である以上、要件として、同請求権を具体的に発生させる事実の存在が認められなければならないところ、補助金等交付決定が取り消されたものではなく、補助金返還請求権が未発生であり、補助金返還請求権が存しないことから返還を求めるための措置としては、請求要件を欠いているため不適法である。

 しかしながら、請求人は取消権を知り得る立場になく、広義に解釈すれば、取消権および返還請求権を不可分一体とみなし、補助金返還請求権があるとも解することができる。

 前述の事実と経過にあるように、平成16年の市議会定例会、全員協議会の場において補助金の返還を求めていくべきと考えていること、この姿勢が抑止力になることの説明を繰り返す一方、学校法人平安女学院に対しては補助金返還のための協議の申し入れを再三にわたり行い、学校法人平安女学院からは補助金返還の意思がない旨の回答を得ていることが確認できる。こうしたなか学校法人平安女学院から守山市に対しびわ湖守山キャンパスの無償譲渡の申し出がなされたと見ることができる。
 その内容は、平成17年5月17日付け平女院法発第0501号の学校法人平安女学院から守山市への無償譲渡の申し出および平成17年8月24日付け守女移第5号の守山市から学校法人平安女学院への申し出の承諾によると、学校法人平安女学院が守山市に対してびわ湖守山キャンパスの土地、建物の寄附を行い、守山市は学校法人平安女学院に補助金返還請求を行わないとする合意が行われたと認めることができる。

 学校法人平安女学院から寄附された資産の評価額33億580万8千円は、学校法人平安女学院への守山市の補助金額25億6,537万7千円、滋賀県の補助金額8億円の合計額33億6,537万7千円とほぼ同額である。寄附は弁済のように債権債務の消滅を目的とする行為ではないから、寄附により直接補助金が返還されたとすることはできないとしても、この寄附により、滋賀県および守山市の補助金相当額が事実上補填されたと見ることはできる。

 なお、この資産評価は、不動産鑑定士の専門的知識、経験および技法等を駆使した鑑定に基づくものである。土地の平方メートルあたり評価額28,800 円は、土地取引や資産評価をするにあたっての土地の適正な価格を判断する客観的な目安である公示価格で近傍の地価公示「守山9-1(古高町)」の平方メートルあたり 34,200 円から、評価時点、地域要因、個別要因等を勘案して類推できる価格であり、適正かつ妥当なものと判断できる。また、建物の評価額21億9,545万3千円は、平成17年3月1日時点において再調達することを想定した場合に必要とされる適正な原価の総額、すなわち再調達原価から耐用年数による減価修正した価格であり、平成12年2月14日に学校法人平安女学院から提出された実績報告書の建設費22億6,475万4,871円に、耐用年数60年に対する経過年数5年間の減価償却費を減じた価格20億7,602万5千円、また滋賀県が補助金返還額の計算に用いた残存価格19億1,942万3,357円と比較しても大きな差異がなく、土地と同様に適正かつ妥当なものと判断できる。
 こうした土地、建物の無償譲渡により、守山市の損失に成らんとしていた学校法人平安女学院への守山市の補助金額25億6,537万7千円という支出について、社会的な相当性が認められる処理がなされたもので、経過については守山市議会定例会、全員協議会に逐次説明がなされており不当性は認められない。
 また、施策の実施については、地方公共団体の広範な裁量に委ねられており、その判断は、経済的見地のみならず、広く社会的、政策的見地から総合的になされるべきである。更に判断の基準について、長は地方自治の本旨の理念に沿って、住民の福祉の増進を図るために地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を担う地方公共団体の執行機関(地方自治法第148条、149条参照)として、住民の多様な意見および利益を勘案し、決定を行なうものであって、その決定は、事柄の性質上、当該地方公共団体の地理的・社会的・経済的事情および他の行政政策との関連等諸般の事情を総合的に考慮した上での高度に政策的な判断を要するものであるから、公益上の必要性に関する判断に当たっては、第一次的には地方公共団体の長の裁量に委ねられていると解される。公益上の必要性に関する判断については、違法性が問題とされている場合、裁量権の逸脱又は濫用があったか否かは、目的、性質および状況等を総合的に考慮し検討することが必要であると解される(奈良地裁平成15年2月26日判決)。

 そこで、学校法人平安女学院から守山市へのびわ湖守山キャンバスの土地、建物の寄附の申し出に対し承諾を行い、守山市は学校法人平安女学院に補助金返還請求を行わないとしたものであるが、市長は、学校法人の財産保全手続をとるためには、極めて高額の供託金が必要であること、裁判の長期化によるキャンパス跡地の荒廃、学校法人の倒産と市の社会的責任の懸念、民間への売却による開発、資金難による全額返還の期待薄などを総合的に検討し寄附により補助金返還と同等以上の効果が得られたと政策判断され立案されたものであると認められる。この立案については、補助金返還請求権が未発生により地方自治法第96条第1項第10号の権利の放棄に該当せず、市議会の議決は必要としないものである。しかしながら平成17年第2回市議会臨時会において、議員自らの発意により、びわ湖守山キャンパス跡地の教育機関での利用を条件に守山女子高等学校を学校法人立命館へ移管することに関する決議が提案され可決されている。こうしたことから違法若しくは不当なものでなく、請求人の主張には理由がないものと判断する。


2 監査対象事項(2)について

 滋賀県の補助金については、滋賀県補助金等交付規則第19条および平成10年9月30日付け滋地振第378号通知の交付条件3(4)において財産処分の制限が付されているなか、学校法人平安女学院がびわ湖守山キャンパスを守山市に無償譲渡するに伴い、滋賀県の学校法人平安女学院に対する債権について債務を守山市が継承し、滋賀県が承諾した経過が認められる。

 この納付金債務は建物に対する補助に係るものであるが、上記の監査対象事項(1)のとおり、学校法人平安女学院からの土地・建物を含めた寄附により、滋賀県および守山市の補助金相当額の資産を守山市が単独で取得するに至ったものであることから、この債務を学校法人平安女学院から継承することは当然の帰結と判断できる。

 この滋賀県への納付金6億1,749万9千円については、地方自治法第218条第1項および同法第96条第2項の規定に基づき、平成17年第5回守山市議会臨時会(議案第60号「平成17年度守山市一般会計補正予算(第5号)」)に平成17年8月23日提出し、同日本会議において議決され、同日付けで学校法人平安女学院と守山市との連名から滋賀県へ滋賀県平安女学院大学施設等整備費補助金に係る財産処分に伴う処分制限財産の残存価額に対する補助金相当額6億1,747万8,493円の債務引受の申出書が提出されたものである。以上は、正当な手続きがなされており、地方財政法の趣旨に沿った運営がなされるものであり違法または不当ではない。

 住民監査請求においては、請求人が違法・不当と主張する財務会計上の行為について、なぜそれが違法・不当であるのか、その理由あるいは事実を具体的に示さなければならないと解され、違法の理由が単に請求人の倫理観や一般論等に照らし違法・不当であるとの主張にすぎない場合は、財務会計上の行為を違法・不当とする理由とならないものである。請求人は、一方的に市の財産に損害を与える、合理的理由がないとして不当、不法の処分がなされた旨主張するが、事実確認のとおり、本件処分等については、市議会の議事、議決を経る等所定の手続きを遵守して決定に至っていることから違法若しくは不当な公金の支出に当たるとは認められず、請求人の主張には理由がないものと判断する。

 なお、本件請求については、滋賀県への納付金の、支出差止めを求める請求が含まれていることから、地方自治法第242条第3項の規定による暫定的停止勧告の適否について検討する必要があると認め、必要な調査検討を行ったが、本件請求の納付金について、不当、違法であると思料するに足る相当の理由がなく、また、適法な手続きを経て予算措置されたものであることから、本件請求に係る監査結果を決定するまでの間に納付金の支出に係る暫定的停止勧告をする必要はないと判断した。

3 監査対象事項(3)について

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第24条により、大学に関すること、私立学校に関すること、教育財産を取得し及び処分することは、地方公共団体の長の職務権限とされている。
 私立学校法第59条には、国又は地方公共団体は、教育の振興上必要があると認める場合には、別に法律で定めるところにより、学校法人に対し私立学校教育に閲し必要な助成をすることができる旨規定され、また、上記規定を受けて、私立学校振興助成法第10条には、国又は地方公共団体は、学校法人に対し、補助金を支出し、又は通常の条件よりも有利な条件で貸付金をし、その他の財産を譲渡し、若しくは貸し付けることができる旨規定されている。また、地方自治法第232条の2で、普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができると定められており、助成が認められているものであり、違法とは解されない。
 また、手続き上は、びわ湖守山キャンバス跡地を学校法人立命館に無償譲渡することについて、地方自治法第237条第2項および同法第96条第1項の規定に基づき、平成17年第6回守山市議会定例会(議案第86号「財産の無償譲渡につき議決を求めることについて」)に平成17年9月16日提出し、同年10月13日議決を得ていることから違法性はないと解され、請求の理由がないものと判断する。

 請求人が主張する裁量権については、前述の監査対象事項(1)のとおり、目的、性質および状況等の総合的な検討を要するところである。市長は、市が取得した平安女学院大学びわ湖守山キャンパス跡地を学校法人立命館に無償譲渡することにより、守山女子高等学校の立命館守山高校への移管が成立し、将来の校舎耐震化経費の負担増や年間経費の削減が図れ、更に当初市が平安女学院大学に期待していた「大学を核としたまちづくり」の地域貢献を立命館大学に継承できることから、市の発展、地域の活性化に寄与できるものと高度な見地から総合的に政策判断し立案したものであり、違法若しくは不当なものではないから、請求人の主張には理由がないものと判断する。

4 監査対象事項(4)について

 守山市議会では、平成8年第1回および平成14年第1回の定例会において、守山女子高校に対し、市立高校としての意義を問われる質問がなされている。また、平成15年の事務事業外部評価に関する報告書においては存在意義を問われる意見が出されている。こうした意見を踏まえ、市長は水面下で将来の高校経営の方針を模索していたと思料するが、歴史ある守山女子高等学校を廃校とせずに高等学校教育を継承される移管方策が賢明であると政策判断し、意思決定においては、市教育委員会および市議会の賛意を得て進められたと認められる。

 住民監査請求は、地方自治法第242条に基づき普通地方公共団体の住民が、当該地方公共団体の執行機由又は職員による違法・不当な財務会計上の行為があると認めるとき、監査委員に対し監査を求め、当該地方公共団体の被った損害の補てん等を図ることを目的とするものであり、本件請求は、守山市の監査委員の職務権限を超えることから、住民監査請求の対象とならないものと判断する。

5 結論
 以上述べたとおり、本件措置請求のうち、学校法人平安女学院に補助金25億6,000万円の返還を求めるための措置および6億2,000万円を学校法人平安女学院に代わって滋賀県に支払うことを停止するための措置ならびにびわ湖守山キャンパス跡地の学校法人立命館への無償譲渡契約を取り消すための措置を講じることを求める部分については、これを棄却し、学校法人立命館、学校法人平安女学院双方の支援関係を調査し、明らかにするための措置を講じることを求める部分については、請求要件を欠き不適法であり、これを却下する。


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2006年02月02日

平安女学院、立命館からの10億円財政支援を受け,京都に新学部(国際観光学部)設置を構想

 平安女学院大学は,2007年4月,人間社会学部国際コミュニケーション学科(2006年度は国際観光コミュニケーション学科)を改組し,国際観光学部国際観光学科を京都キャンパスに設置し,同時に人間社会学部福祉臨床学科と生活環境学科を統合し,高槻キャンパスに生活福祉学部生活福祉学科を設置する計画を発表した。この計画は,「平安女学院大学の新学部構想について」という文書で在学生・父母全員に知らされた。

 平安女学院大学は,守山キャンパス無償譲渡問題をめぐって,立命館大学の理事長川本八郎および守山市長と密室協議を重ね,キャンパス移転による「基本協定」反故により本来無条件で返還すべき補助金に見合う金銭を,物的形態(守山キャンパスの土地・建物)において,しかも立命館から10億円(7億円の寄付と3億円の貸付)の財政支援を受けるという条件と,返還した守山キャンパスは立命館に無償譲渡するという条件付きで,市に返還した(この行為を文字通りの返還と言えるであろうか)。
 こうして,立命館は守山市の歴史的教育財産である守山女子高校と時価総額33億円の物的資産を7億円で取得し,他方,平安女学院は2000年守山キャンパス開学の際に要した投下資金(約20億円)を,立命館からの10億円財政支援によって一部「回収」し,キャンパス移転・統合問題に終止符を打った。その結果,何が残ったかと言えば,キャンパス設置後わずか5年の移転によって学生の就学権が侵害され,守山女子高校の突然の移管劇(立命館守山高校設置)の強行によって守山の公教育が破壊され,同時に移管に反対した生徒会を含む大半の女子高校生が泣き,守山市民にあっては平安に補助した25.6億円,滋賀県からの補助金6.2億円の肩代りによって,総額31.8億円の損失・ツケ,そしてたった1枚の立命との「覚書協定」という紙切れだけが残ったのである。

 ことの発端である平安女学院大学は,2000年4月,4年制大学を守山キャンパスに初めて設置した。開設学部は「現代文化学部」(現代福祉学科と国際コミュニケーション学科)であった。しかし,平安女学院常務理事会は,2004年3月9日,守山キャンパスの廃止を決定し,同時に守山で開設した学部についても2005年3月末の廃止を決めた(「人間社会学部」への改組)。この決定は,「現代文化学部」第1回卒業生を送り出す前のことである。2004年4月の新入生を含め在学生は,全員,自ら選択した学部とキャンパスが学部再編によって廃止されるとを知らずに入学した。そして,2005年4月に改組された「人間社会学部」(高槻キャンパス)は,わずか2年間でまた学科再編も絡めて「国際観光学部」と変更される(一部は生活福祉学部)。しかも,この「国際観光学部」は本部がある京都に戻された。要するに,平安女学院は4大化の事業計画を進めるにあたり,多額の補助金を受けながら自ら開設場所として意思決定した守山の地と守山を学習の場として選んだ学生たちを見捨てて,短期間のうちに学部をコロコロと変えながら,最後に元の京都に戻るということになる。
 立命館大学は,時価33億円の公的資産(守山キャンパス)と高校を手に入れるために,こうした大学に10億円の財政援助をして新学部設置を促したのである(平安女学院の理事長・学長は,立命からの7億円の「寄付は本学の新学部設立など教育改革のためで、立命館の好意は大変ありがたい。これを問題にすることは私学振興に対する妨害行為だ」(京都新聞2005年11月22日付)と述べた)。こうした一連の行為は大学の公共性という概念を事実上投げ捨てた両大学とその関係があったからこそ可能となった。

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2006年01月27日

住民監査請求が不当にも棄却される、立命館・平安女学院・守山市長の密室協議・共同共謀の事実は免罪されるのか

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20060126ddlk25040500000c.html

 立命館への守山キャンパス無償譲渡問題で,1月25日,守山市監査委員は,昨年11月21日、「市の財産(守女)を考える会」代表の西村登志男さんら31人が訴えていた監査請求を棄却した。
 監査結果については文書が入手された後,詳細は伝えたい。しかし,立命館・平安女学院・守山市長の密室協議・共同共謀は明らかであり,市民の財産に損害を与えたことも間違いない。監査委員会がどのような判断を下そうが,その事実は消え去るものではない。

 住民監査請求は,以下の内容であった(住民監査請求書)。また,提出された資料一覧はこちらに掲載している。


市立守山女子高の移管問題 市監査委員、住民監査請求を棄却

 ◇平安女学院跡地の立命館への譲渡など

 守山市監査委員は25日、市立守山女子高を立命館守山高に移管し、平安女学院大びわ湖守山キャンパス跡地を立命館側に無償譲渡した一連の問題を巡り、市が平安女学院大に支出した補助金の返還実行と、キャンパス譲渡の差し止めなどを求めた住民監査請求を棄却した。

 市民団体「市民の財産(守女)を考える会」の西村登志男代表らが請求していた。監査では(1)市が平安女学院大側に支出した補助金25億6000万円の返還放棄(2)県が同大学側に支出した補助金の肩代わり(3)同大キャンパス跡の立命館側への譲渡--のいずれについても、「市長の裁量権の逸脱はなく、議会の議決も受けている」などとして、違法性を否定した。

 西村代表は「市議会の議決があれば違法でなくなるという論理には納得できない」などとしている。


[同ニュース]
住民監査請求を棄却 守山女子高の立命館移管などめぐり

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2006年01月26日

立命館・平安女学院・守山市長の共同行為、市の財産を利用 守山の教育を破壊

守山の教育とキャンパス移転・譲渡問題を考える集い (2006年1月15日開催)
 ∟●平安女学院、立命館、守山市3者に関わる市の財産の無償譲渡及び市の補助金等の処分の差し止めを!

 下記に,1月15日に開催された「守山の教育とキャンパス移転・譲渡問題を考える集い」で配布された資料を掲載する。この資料は「市の財産(守女)を考える会」が守山女子高校の移管問題,守山キャンパス無償譲渡問題の不当性を訴えるために一般市民向けに作成され,実際に「集い」以外でも市民に配布されたものである。

「市の財産(守女)を考える会」の願い
監査請求に基づいた勧告を!

平安女学院、立命館、守山市3者に関わる
市の財産の無償譲渡及び市の補助金等の処分の差し止めを!

私たちは,平安女学院、立命館、守山市3者による「共同共同詐欺」=仕組まれた市の財産の乗っ取りと市長の背任(加担)と考えています。

「仕組まれた仕組み」は,平女の財政的危機と立命館の事業拡大のために,守山市の財産を全面的に利用することに尽きます。

①平女は、補助金の免除と立命館からの10億円の支援で、54.6億円の負債は10億円になり、平女高校から立命館系列への進学枠(30名)によって高校のグレードアップ、長期的安定的に平女の経営を支援することによって平女の負債は限りなくゼロに近づく(負債54.6億円がゼロに!)

②立命館は、守女を無償譲渡で手にいれて立命館守山高校を開設、念願の滋賀県進出。さらに市から無償譲渡された平女守山キャンパス(54.6億円相当)に高校を移転し、中学部も開設。そのうえ、平女高校からの進学生30名を確保、(立命館守山高校生の20%が立命館系列大学に進学=立命館の戦略=もあわせて考えると)経営的にも事業拡大のうえにも大きな資産を手にしたことになる。

③守山市は平女に補助した25.6億円を失い、県が平女に出した補助金のうち6.2億円を肩代わりして県に支払い、守女を、守山の教育の柱を失った。何を手に入れたか、-「街づくり協定」だけ。そして、3者(学校法人と自治体)は、共謀
て、守女と平女の生徒・学生の教育権、教職員の職場、先取に富み創造的な「守山の教育」を奪い取った。

守女は 守山教育は 消されていいのか

「守女の危機」は捏造!

 山田市長が「政治生命をかけて」作り上げた「真っ赤な嘘」。15、16年度の市議会の議事録をみても、守女の危機、学校法人への移管など、何一つ審議されていない。

 14年度第1回市議会で教育長は、守山市の立場を明確に答弁(明言)
 「守女は県下ただひとつの市立女子高校として43年の伝統をもち、9671人の…卒業生は、あらゆる分野で活躍…。守山市は女子教育に対する熱意や姿勢を、県内外に…広く認められ、県内高等学校の枠組みの中、確固たる地位と重要な役割を果たしている。……今後ますます教育の重要性を認識し、女子教育の拠点として、また守山市の誇りとして、守女をますます充実、発展させ、維持してまいりたい…」

 いま、守山の教育は、平女と守女を基軸にして、幅と奥行のある教育の仕組み一市民と教職員が、幼稚園から大学までの連携と、教育実践を交換しながら「守山の教育Jを展開し、学校・園づくりを目指し、国際社会を舞台にして、また今日の日本の福祉(地域の福祉)や情報、地域の自然や環境保護などの領域において活躍する人材を育てることを一守山の教育として重言しています。

守女は「教育都市」守山の「重要文化財」

 守山の土地をわずかに掘り返すだけで、次から次へと2000年以上前から古墳時代に至る遺跡、国の制度が東西に広がっていく時代の遺構等が見つかっている守山、その遺跡・遺構から、日本人の歩みや生活の状況、かって戦争のない時代があったことなど、時代の変異とその時代の文化などが私たちの足元を作り上げてきたことがわかる。近江という水と土壌に恵まれた米どころ。奈良や京都の辺縁こ位置し、琵琶湖につなぐ交通網は、当時の世界(中国、朝鮮など)とつながっていた。比叡山を護り(守山の「山」は比叡山)、三上山と比叡山をつなぐ中点であった守山、だからこそ、政治、経済、文化(人)が、時代を越えてまた時代の変遷期には鋭くこの近江・守山を幾重にも交錯し、滞留・沈澱し、それを追肥として文化的、教育的土壌を育んできた。こうした歴史を足場こ、江戸後期には、商人、農民など(民百姓)が学ぶ寺子屋が各地にでき、明治初期には学制発布前に学校開設の準備を始め、明治10年までに各地に学校が誕生した。こうした教育、文化的風土の中から「マルサ裁縫教室」が誕生し、戦中を乗り越えて、戦後守山町に移管され守山市立守山女子高校として今に至っている。
 その守女は、女性の自立、人間的な発達を全面に掲げて独自の発展を遂げる。滋賀県全域に公立高校が設置される中、より独創的な教育内容を創造、展開しながら発展。平成11年度「守女の教育改革」の答申を受けて、今の社会的状況や時代の課題、日本を飛び出した世界的視野にたった人材の育成、女性としてのさらななる「独り立ちの力」などを意識した、時代を先取した教育の実践を始めるまでになった。そしていま、平安女学院大学の誘致を踏まえて、幼稚園から大学までを含めた「守山の教育」の中核として新たな位置を守山市は求めている(2004守山市の教育指針)。守女は、まさに守山市の「重要(教育)文化財」、今も生成し時代と向き合い、時代を先取し続けている現役の重要文化財である。

守女の廃止は「守山の教育方針」の内実と背骨を失い,守山の教育の死を意味する

(資料1) 守山市の財産処分計画

①守女(守山女子高校)が立命館に無償譲渡・移管され、立命館高校になる、②平女(平安女学院)は、市からの補助金25.6億円の返達が免除され、県に返還すべき補助金6.2億円を市が肩代わりして支払う。③平女は、平女守山キャンパスを守山市に寄付する。④守山市は平女守山キャンパスをそっくり立命館に無償譲渡し、立命館守山高校を移転、中学部を併設する。⑤この市の財産処分の理由として、守女の財政負担が5億円、入学生が減ってきて今後の経営・運営の展望がない-というものでした。

(資料2) 立命館から平女への支援(密約)

①現在平安女学院が京丹後市に所有する郊外型セミナーハウスを7億円で購入し(時価5000万円以下)、平安女学院を財政支援するとともに、本学の学生援助施設を充実する(利用できる利便性なし)。→(購入を寄付に変更)
②平安女学院の校舎の改修費用などに、無利子有担保10年期限で3億円を貸し付ける。
③平安女学院高校を提携校として、RU(立命館大学京都キャンパス,草津キャンパス)およびAPU(大分県,アジア太平洋大学)との間に30名の推薦枠を設定する。
④本学が、平安女学院へ教職員の派遣を行なう。

平安女学院大学の開設と守山市立守山女子高校との連携的な教育実践の模索
(守山市教育要覧から考える)

(1)守山市の教育方針を見ると、2000年度から平女の開設を大きな転換点と捉えて、平女と守女の連携を「教育指針」の中に記しました。そして、守山市の教育方針として「国際社会に貢献できる人の育成」を盛り込みました。これは、守女の新しい教育の方向(平成11年度答申)に合わせた教育方針の強化だと推察できます。2001年度の教育指針においては、今日的な教育課題として「環境・福祉・IT」を明記し、平女と守女の関係を「深める」として守山市の教育活動の基軸に据える方向が読み取れます。
 2004年度の教育指針では、今日的な教育課題として「国際理解」を追記し、平女と守女の関係をさらに深めるとともに守女と中学校との交流を教育実践として取り入れました。

  2000年度は、平女の開設、守女の新しい教育方針の確定をうけて、「市民とともに魅力ある学校・園づくり」として、「市民とともに」が登場するとともに、2004年度には、「教職員は…、幼・小・中・高・大学の校種間の連携による交流研修や各種研修の充実を回る」ところにまで、守山の教育は幅と奥行のある教育の仕組みを目指すようになったのです.市民と教職員が、幼稚園から大学までの連携と、教育実践を交換しながら「守山の教育実践」を展開し、国際社会において、今日の日本の福祉(地域の福祉)や情報、地域の自然や環境保護などの領域において活躍する人材を育てることをはっきりとうたっています。

 平女の開設を契機に、守女は新たな教育方針と実践的な課題を取り込み、平女と守女は守山の教育の中核として、国際的な視点、福祉や環境、情報化社会などを踏まえた新たな守山市の教育を創造する-今の時代の諸課題を先取りしたような教育展開の体制を作ろうとしていた(教育都市=守山の歴史」にふさわしい)。

 平女の教職員、学生は、こうした「守山の教育」の中での平女を意識しながら、市民に開かれた大学を実践し、市民とつながる教育的な活動をキャンパスの内外において展開を始めてきたところであり、守女もまた、中学との交流に踏み出したり、環境や福祉領域での新たな教育実践を始めてきたところであったし、国際理解を目指した英語教育は、広い海原に漕ぎだす守山の教育的開拓者の位置を明確にし、国際社会を舞台にして活躍する女子の育成をめざした教育の仕組みを整えたところであった。

※ 平女守山キャンパスの閉鎖(高槻移転)と平女の閉鎖(廃校)は、守山の教育の破壊そのもの-としか言いようがありません。

「市の財産(守女)を考える会」(代表 西村登志男)
2006年1月1日発行


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2006年01月23日

立命館への守山キャンパス無償譲渡問題、住民監査請求書と監査委員会提出資料一覧

「平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会」
 ∟●立命館への守山キャンパス無償譲渡差止め・平安女学院への補助金返還を求める住民監査請求書と資料

 以下に,守山キャンパス無償譲渡差し止めを求める住民監査請求書と監査委員会提出資料一覧を掲載する。後者の資料の一つに,立命館常任理事会の「立命館守山高校設立に関する経緯について」(2005年9月4日)がある。この内容についてのコメントは別に行いたい。
 1点だけ,資料11に,滋賀報知新聞2005年5月26日付の記事がある。ここには,市立守山女子高の立命館への移管に尽力した面々として,自民党滋賀県連副会長の橋本正県議、世古正県議(前県会議長)のインタビューが掲載されている。記事としてはなかなか興味深い。自民党の県議会議員たちがこの問題にいかに関与し,またいつの時点で,これらの政治家と立命館理事長川本八郎および山田守山市長が話しを進めていったのかが(わずかであるが)書かれている。

 ----守山女子高問題について、県会議長として、話をまとめる労をとったのか。

 世古 昨年の十二月県会の終わり頃、立命館の川本理事長らが議長室に来られた。私は、この問題(守山女子高移管問題)が成就するポイントを何点か指摘した。今年一月には山田市長が議長室に訪ねて来られたが、かなり悩んでいた。三月にも山田市長がこられて『命がけでやります』とスッキリした表情だった。

 2005年3月に山田市長が来て,「命がけでやります」とスッキリとした表情で述べたという。一体何を「命がけでやろう」としていたのか。脈絡から考えて,守山女子高校移管であることは間違いない。しかし,どうであろう。同時期,山田市長は市議会において,以下のような内容を市政方針として発言していた。

守山キャンパスをめぐる市議会での議論経過(2005年3月定例会)

平成17年第1回守山市議会定例会会議録(第2日)
開催日:2005/03/10

■赤井清司(質問)

次に、平安女学院大学問題についてお伺いいたします。

 所信にも現状を述べられましたとおり、再三の存続要請にもかかわらず学院側の方針が変わらないとのことですが、いくら経営上の問題とはいえ、立派な大学の一つとして、教育上の理念、社会的な立場からも学院には相当の責任があるはずです。守山市が誘致したからとはいえ、いや誘致したからこそ、行政として凜とした態度が必要だと思います。市として、適切な解決を図るべきだと考えますが、どのようにお考えでしょうか。お伺いします。

▲市長(答弁

 次に、平安女学院問題についてお答え申し上げます。
 この問題につきましては、所信表明でも申し上げましたとおり、このまま4月を迎えることとなった場合には、補助金の取り扱いについて、しかるべき手続に踏み込まざるを得ないものと考えております。

 要するに,市長は平安女学院に対して,補助金返還のための訴訟を提起すると正式に公言していたのだ(このことは,多くの新聞記事にも取り上げられた。びわ湖守山キャンパス移転・統合・譲渡問題 全記録(7)の3月1日と3月2日付の記事を参照のこと。因みに,この発言のわずか1ヶ月もたたないうちに,立命館と守山市長と平安女学院の「密室協議」が朝日新聞によって暴露された。朝日に情報を流したのもある特定の議員だと噂される)。
 山田守山市長は,今回の守山キャンパス不当譲渡事件において,立命館が平安に10億円もの支援をすることについて,全く知らないとコメントを出しているが,このような嘘をつく人物のいう言葉を誰が信じるであろうか。

立命館への守山キャンパス無償譲渡差止め
平安女学院への補助金返還を求める住民監査請求書と資料

以下の文書は,平安女学院大びわ湖守山キャンパス(守山市)を学校法人立命館に無償譲渡するのは違法だとして、同市の市民団体「市の財産(守女)を考える会」(西村登志男代表)が、昨年11月21日,無償譲渡の差し止め,平安女学院に補助金返還を求めて市監査委員会に提出した住民監査請求書と,それに添付された補足説明文書である。

■住民監査請求書
  守山市職員措置請求書 (2005年11月21日)

■添付資料
 資料(1)
 平安女学院、立命館、守山市(市長)-その3者の動きと背景
 資料(2)
 お金とものの流れの整理 
 資料(3)
 立命館当局の動きと3者による共同不法行為
 資料(4)
 理事会は,平安女学院への10億円の財政支援政策を,いかに教職員に説明するのか!?
 理事会は,平安女学院への支援策を,学生・父母に説明できるのか!?
 理事会は,守山市民をはじめとする社会的な説明責任を果たせるのか!?
 組合は,「学園財政のお金の使い方」の本質を問うものとして,理事会からの明確な説明と見解を求める!!
 (立命館大学教職員組合 組合ニュース『ゆにおん』 No.86, 2005.8.3)
 資料(5)
 立命館守山高校設立に関する経緯について(立命館常任理事会)
 資料(6)
 立命館の事業展開
 資料(7の1)
 守山市立守山女子高校の教育  続き1 続き2
 守山市立守山女子高校誕生の前史
 全国初!町立女子高校誕生秘話
 資料(7の2)
 守山の教育の歴史
 資料(8)
 平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟とその意義
 資料(9)
 平安女学院の高槻統合差し止めの訴訟をすべきではないか(『もりやま市議会だより』2005年2月1日)
 資料(10)
 平安女学院大学びわ湖守山キャンパス跡地を取得(『広報もりやま』2005年9月1日)
 市立守山女子高等学校移管計画についての経過と今後の予定(『広報もりやま』2005年9月15日)
 資料(11)
 さまざまな政治力学も働く 守山女子高移管問題番外編  有力県議らも尽力!? =メーンバンク がスキームづくり= (滋賀報知新聞2005年5月26日)


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2006年01月20日

守山キャンパス無償譲渡問題、立命館・平安女学院・守山市(市長)の3者の動きと共同不当行為

 下記の文書は,立命館への守山キャンパス無償譲渡差止め・平安女学院に補助金返還を求める住民監査請求の際,「守山市職員措置請求書」ともにその補足説明資料として守山市監査委員会に提出された文書である。

資料(1) 平安女学院、立命館、守山市(市長)-その3者の動きと背景

(1)
 平安女学院(以下、平女)は、平女守山キャンパス廃止(高槻キャンパスへの移転統合)に伴い守山市からの補助金25.6億円と県からの補助金8億円、合計33.6億円を返還しなければなりません。また守山キャンパス開設に自己資金21億円、それがそのまま借金となっている。補助金の返還請求に追い詰められた事態にありました。

 こうした平女の経営的な危機に対して、立命館は財政的な支援また経営(運営)上の助言を行なってきています(立命館川本理事長が、守山市会議員を前に言明されています)。つまり、両者は財政的な支援で結びついた関係にあります。
 立命館は、少子化時代の大学経営対策として、小学から高校までの児童生徒の「囲い込み」戦略をこの10年前から進め、いくつかの高校を手に入れて立命館高校とし、さらには中学部を付設、今日では小学校開設に及んでいます。立命館高校生の20%を立命館翼下の大学に進学させることを目標にしてきました(資料6)。全県1学区制を導入する滋賀県は、(偶然の一致なのかどうか)進出の機会(付属高校の増設)を待つ立命館に「踏み込む場と時」を提供したことになります。

 立命館と平女の財政や運営の支援の関係から見れば、そして平女が守山キャンバス廃止に関わって県・市からの補助金返還に苦慮していることを思えば、守山キャンパスを立命館が安く買えば済むことです。そこに付属高校を開設し、そのための許可申請手続きをすれば済むことです。

 しかし、平女の補助金返還(33.6億円)はそのまま残りますし、投入した自己資金21億円は回収できません。この危機に立命館が協力するとなれば、守山キャンパスをそれなりに高く買うことが必要になります(50億円を超える土地と物件。支援における矛盾)。

(2)
 守山市立守山女子高校(以下、守女)開設には前史があります。この守山の地域は江戸時代後期にすでに少なくとも38を数える寺子屋があって、当時としては決して少なくない商人や農民の子女が教育をうけていた-教育を育む土壌を育てていました。明治5年の学制発布前からすでに学校開設の準備を始め、明治6~10年にかけてほぼ守山の全地域に学校を開設、地域の有志が私財を持ちだして学校づくりに手を尽くしたと記録されています(守山市誌)。こうした歴史と教育を支え寄与してきた篤志家の活動が守山の「教育新興の気風」を形成し、昭和6年「マルサ裁縫教室」開設へとつながっていき、戦中を乗り越え、学校名も変えながら戦後へと継続され、昭和21年「守山高等裁縫女学校」となり、26年守山町に移管、34年、全国初めての町立の女子高校、「守山町立守山女子高等学校」が誕生しました。その後45年市制の施行とともに「守山市立守山女子高等学校」となり今日に至る(資料7の2)。その後の活動については、守山市誌や守女関係の市の刊行物を参照されたい(市の財産を考える会配布ビラにも概略掲載)。

 平成11年度、市の審議会を経て、時代を先取りした新たな改革に向けて、公立女子高校としての魅力と学力、先験的な方針を打ち出しています(資料7の1)。そのめざすものは「21世紀の世界と日本を見据えて、国際的な視野と感覚を持つ女性を育て、個性豊かな進学と学力、外(海外)の世界とコミュニケートできる語学力と国際理解」ということになると思いますが、新たな学科改組や個性に合わせた学力、英語力、国内外で活躍する人材の育成をしっかりと図るなど、これまでの教育実践をさらに飛躍させていく内容になっています。とくに、守山市と一体になった海外留学や語学研修などの事業は、全国的にも例を見ない優れた教育実践であり、国際的な街づくりをめざす守山市の「意志」の反映でもありました。財政的には負担であっても、単独で小さな自治体が公立の女子高をもつことの意義と矜持を県や国に強く訴え、今日まで独自の歴史を積み上げてきたのです。だからこそ、この4月、守山市長が突然「守女危機、財政的にも生徒数の確保のうえでも存続は困難」と表明するまで、「財政的に負担であっても、守女を維持、発展させる」というのが守山市の態度でありました(昨年度までの市議会での市当局の答弁でも明らかです)。守山市の態度が、今年度(4月)突然180度変わったということです。

(3)
 2004年10月、平女学生が平女守山キャンパスでの学習の権利を求めて大津地裁に提訴しました(被告は平女、「平女大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟」)。卒業するまで平女守山キャンパスで学ぶ権利の確認を求める訴えであります。一審二審とも敗訴となりましたが現在最高裁に上告しており係争中です(確定していませんし、本監査請求の案件発生時点においては、大津地裁の判決もまだでていない)。この裁判に対しては多くの大学関係者が関心を持ち、提訴した学生を支援する輪も広がっています(資料8)。つまり、平女守山キャンパスに学ぶ学生は、学生の就学権の保障を求め、守山キャンパスの存続を求めており、平女と学生との間では「高槻キャンパスへの移転統合」について合意が成立していないということになります。従って係争中の守山キャンパスを一方的に処分することについては、就学権(学習=教育の権利)を侵害する行為といえます。(2月市議会では、「学生の思いが通じることになれば」と好意的な見方だったのに)この平女の処分を守山市が受け入れるということは、この就学権侵害への加担であり、平女と守山市による共同不当(不正)行為といえます。

(4)
 昨年後半から、平女と立命館が滋賀県議会の有力議員と相談を繰り返し、やがて守山市長の関与が始まっています(報知新聞一資料11))。そこでどんな相談があったのかは別にしても、事態は今年2005年に入って急激に動き、3月31日の京都新聞の記事となって、市民に明らかになりました。その後の市議会での決議、立命館と守山市の覚え書き、平女が守山キャンパスを寄付、九月市議会での関係案件の可決となって今日に至っております。

 改めて本監査請求に関わる事柄を整理します。①立命館に守山キャンパスを無償譲渡するのであれば、平女は守山キャンパスを守山市に寄付する ② 守女と守山キャンパスを無償譲渡し、立命館守山高校を開設する(1年後守山キャンパスに立命館守山高は移転)ことで、守山市と立命館が合意(守女の土地と建物は無償貸与に変更)③平女への県と市からの補助金の返還を免除し、県からの補助金を守山市が肩代わりして支払う ④守山市は、守女の財政的な負担がなくなり、立命館が進出してくることによって教育的社会的な効果が期待できる(覚え書き、「街づくり」協定) ⑤一連の進展を待って平女は守山キャンパスを守山市に寄付(8月24日) 以上から明らかなことは、始めに平女守山キャンパスを立命館が取得するという平女と立命館の事実上の合意があったことです。9月市議会での関係案件の可決の結果、守山市が介在したことによって、(a)平女は補助金を免除され、そのうえ立命館から平安に10億円の支援が行なわれたこと、(b)立命館はお金を出すこともなく、守女と50億円を注ぎ込んだ守山キャンパスを手にいれて、立命館守山高校を開設(中学部も付設)したということ(C)守山市は守女を無償で立命館に譲渡し、平女からの補助金を免除のうえ、県の補助金を肩代わりして支払う-という「もの」とお金の流れ、収支がはっきりしました。契約を反古にし守山キャンパスを閉鎖し、学生の就学権をも踏み躙った平女の財政危機を救い、立命館は50億円を超える財産を無償で手に入れて立命館守山高校を開設(中学部も付設)し、滋賀県への進出を果たしましたが、守山市が手に入れたのは「覚え書き」 と「街づくり協定」だけで、30億円を超える市の財産は消えてなくなったということになります。そのうえに公立高枚を廃止に追い込み守女の生徒を泣かせ平女学生の就学権侵害に加担したという「教育権への侵害」の事実が残りました。

 以上から明らかなことは、平女と立命館がそれぞれの思惑の中で財政的な危機を回避し、他方で資金をかけないで滋賀県に付属高校を開設するという仕掛けづくりが、両者の中で作られていたとしか想定できないということです(資料3)。これまでも支援の関係にあり、今回少なくとも10億円の財政支援が、9月市議会での案件可決を待って立命館から平女に対して行なわれるということからも、また両者が滋賀県議会の有力者と相談していることからも、「仕掛け」の疑惑は深まります。この仕掛けと守山市長の介在及び3者のその後の行為は、守山市の財産を一方的に損害させる「共同不正(違法)行為」の疑いを持ちます。その不正行為を「公共の福祉」のようにみせかけるためのデコレーションとして守女が組み込まれていったのではないか。守女について守山市が態度急変させていった理由ではないか。監査委員の監査により、事実関係が明らかになることを期待します。


資料(3) 立命館当局の動きと3者による共同不法行為

 立命館大学教職員組合2005年8月3日発行のNO.86組合ニュース(資料4)に、立命館から平安女学院に10億円の積極的な支援を行なうとしてその支援の内容が掲載され、その支援を両者間で約束した「5月16日常務理事会文書」の存在まで明らかにした(「守山市立守山女子高等学校の立命館への移管と、これと関わっての平安女学院との提携について」)。5月16日という日はどういう日なのか。5月12日の市議会での決議を受けて、「守女を立命館に移管する」という守山市と立命館の調印日の前日です。「市の財産を考える会」も、調印直後すでにこの「密約」ともいえる約束が立命館と平女の間で交わされたという情報はつかんでいましたが、この組合ニュースによって明確になりました。このことによって、「守女、平女守山キャンパス(平女が守山市に寄付することを受けて)を立命館に無償譲渡、平女の補助金返達を免除する」ことの不当(不正)とその背景と意図、そして平女と立命館との関係が明らかになったといえます。

 立命館大学教職員組合は、このことが市民の知るところになれば、平女への守山市民の批判が立命館に飛び火して、社会的な批判を浴びるとまで指摘しています(きわめて正当な批判です)。またこの組合ニュースによって、そうした事態を招きかねないとの立命館当局のあわてふためいた「緊急の対応」の情報から、立命館、平女、守山市長3者の仕組んだ「仕組み」は崩壊する危機的状況に陥っていたことがうかがえます。さらには、少子化の時代での中学・高校の新設は困難であり、設置者の変更か移管しか付属高校・中学の拡大はできないこと、守女の移管と平女の再建援助が一連のものであることも明らかになってきています。

 まさに、「平女と立命館が得をし、守山市だけが一方的に損をする」(資料2)仕掛けに守山市(守山市長)が加担したということです。その背景や事由・意図を明確にしなければなりません。また、守山市長は、この仕掛けの中に守女を「政治生命をかけて」組み込んで、生徒、教師と親を混乱に陥れた責任は重い。これら一連のことは、犯罪であり、市の財産の横領(共同不法行為)に当たるのではないか、告発も視野に入れて監査にあたる必要性を指摘します。

 立命館常任理事会(9月4日)の文書(資料5)によれば、守女は「引き続き市立高校として運営をするという方針は、………断念せざるをえない」し、県立への移管も困難、廃校も同窓会その他社会的批判も受けることなどを考えると、結局有力な市立学校に引き受けてもらう以外にないから、「立命館に引き継いでもらうことがもっとも現実的で有効な方策である」と、守山市(市長と市議会)が判断して、立命館に協力依頼をしたことになっています。しかし立命館が引き受けるためには1200名規模の学校でなければ経営は困難で新たなキャンパスを用意することが必要であり、守山市に責任を以て対応することを求めた結果、「守山市は、かねてからの懸案事項であった平女守山キャンパス問題の解決を立命館に依頼し、そのことによって、立命館守山高校の新たなキャンパスを確保する方策を追求した」ということになっています。

 さて、今年3月未の新聞記事の以前に、守山市長と市議会が、守女の今後について「市立高校として運営するという方針」を断念して有力な私学に引き継いでもらう「判断」が本当になされたのか、そのための議会での審議があったのか、市長と市議会との協議と合意がなされたのかどうか、議会議事録の公開を含めて明らかにしてください。もし本当のことであれば、市議会は完全に市民に嘘をついたことになります。「市会議員も、新聞で初めて知った」-これが市民の把握している「真実」です。守山市長が、立命館に平女問題の解決を依頼したことが本当であれば、すでに指摘した仕組みは平女と立命館が練りあげてつくったことになり、そこに「平女に立命館からの10億円の支援」を組み込んでいたことを含めて、守山市長は、守山市だけが一方的に損害を被るこの仕組み、守山市に多大の被害を与えた平女までも救済するという仕組みに同意した上で、立命館が平女に10億円の支援をするということを市民に隠し続けてきたということになります。しかも、立命館常務理事会の文書から推測すれば、当然市議会もこうした経緯を含めて新聞で明らかになる前に、了解していたということになりますが、事実を明らかにしていただきたいと思います(資料9)。

 守山市の財産は、平女の救済(再建)と立命館の事業拡大というふたつの私学の経営と事業のために使われた、それ以上でもそれ以下でもない!そのうえに、この仕組みを「市民の公共の福祉」に見せ掛けるために守女が使われた一人身御供にされたということなのではないでしょうか。

 もうひとつ、守山市の公報誌では、守山キャンパスを立命館が使うのであれば、守山キャンパスを守山市に無償譲渡(寄付)するとの平女の申し出(立命館を経由して)を受けて、立命館との関わりが始まったようになっていますが(資料10)、経緯について立命館と守山市の問に相違があります。しかし、このふたつの文書をつなぐと、平女と立命館との話し合いの中で「立命館が使用するのであれば守山キャンパスを守山市に寄付する」という平女の「申し出」が、「立命館から平女へ10億円の支援」をふまえて作り上げられたということが、より確かなものになります。


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2006年01月19日

立命館への守山キャンパス無償譲渡差止め・平安女学院に補助金返還を求める住民監査請求書

 下記に,平安女学院大びわ湖守山キャンパス(滋賀県守山市三宅町)を学校法人立命館に無償譲渡するのは違法だとして、同市の市民団体「市の財産(守女)を考える会」(西村登志男代表)が、昨年11月21日,同市監査委員会に無償譲渡の差し止め,および平安女学院に対しても補助金返還を求めた住民監査請求書を掲載する。

守山市職員措置請求書


1 請求の要旨 「平安女学院大学」係る補助金の返還に関する措置請求

 守山市長に対し、①学校法人平安女学院大学「びわこ守山キャンバス」の閉校・高槻キャンパスへの統合に伴い、守山市が平安女学院大学に支出した補助金を学校法人から守山市に返還させるための必要な措置、および②滋賀県が平安女学院大学に支出した補助金を守山市が学校法人に肩代わりして滋賀県に支払うことを停止するための必要な措置、③守山市が平安女学院大学から返還(寄付)を受けたキャンパスを学校法人立命館に無償で譲渡することを取り止めるための必要な措置を講ずるよう勧告することを求める。

1-(1)監査請求の対象行為

 守山市は、学校法人平安女学院大学(以下「平女」という)の誘致、開設に対して覚え書きを交わし25.6億円(滋賀県は8億円)を補助した。守山市は、当初、平女の17年度閉校、高槻キャンパスへの統合に対して訴訟も辞さないと補助金の返還を求めてきた(市議会および市民に対して明確に表明していた)が、平成17年4月、学校法人立命館(以下「立命館」という)の守山市進出に伴い、①平女に支出した補助金の返還を求めないと表明した。これは、市の財産(公金の返還論求権)の一方的な放棄、市の損害であり、平女に対する補助金返還の免罪(公有財産の不当な民間法人への無償譲渡)であり、きわめて不当であり、かつ市長の裁量の範囲を大きく逸脱し、市の財産を一方的に損害させるものである。しかもそのうえ、②滋賀県が平女に支払った補助金を守山市が(平女に代わって)滋賀県に返還する事とした。これは何ら合理的理由もなく、不法な市の財産の支出である。さらには③平女から返還(寄付)を受けた平女キャンパスを無償で立命館に譲渡することとした。これは、市の財産を無償で処分することになるから違法である。

1-(2)補助金返還を求めない、市の財産の無償譲渡の不正・不当性

 守山市は、平女の閉校と高槻キャンパス統合に対し、びわこ守山キャンパスでの継続を求めるとともに、閉校の場合には補助金の返還を求めて訴訟も含めた対応を行なう方針であった。ところが、守山市長は平成17年4月突然①、学校法人立命館に対し、守山市立守山女子高校(以下「守女」という)を無償で譲渡し、平女の土地建物を平女から無償譲渡(寄付)を受けた上でその土地建物を立命館に無償譲渡する、②平女に対して補助金の返還を求めない、③滋賀県が平女に補助した8億円のうち6億2千万円を平女に代わって守山市が滋賓県に返還すると表明した。守山市議会は、それを追認する「市会議員の決議」を可決、守山市は、9月市議会において上記3点に問わる案件を9月市議会において審議、可決した(平女の土地・建物は無償貸与)。

 平女の土地建物は補助金返還に関する担保物件の一部に相当するものであり、補助金返還を担保するものである。平女が、その土地建物を守山市に寄付するという形式を介して、立命館に無償で譲渡することは、担保物件の消失となり、市の財産を無償で処分することになるから違法である。守山市はそれを是認し、その一方で、平女に対して守山市が補助した補助金の返還を求めることが極めて正当な措置であるにもかかわらず、平女にこの補助金の返還を求めないとした。これは市長の裁量の範囲を大きく逸脱し、守山市および市民の財産を一方的、不当に損害させる行為である。さらにまた、平女が返還すべき滋賀県からの補助金を、守山市が肩代わりして滋賀県に返還するということは、肩代わりする正当な理由を全く欠いた、不当、不法な守山市の財産の処理である。

 なお、平女には、びわこ守山キャンバス開設時にすでに21億円の借金があり、経営的に危機的な状況にあって、立命館は必要な財政支援や経営への助言などを行なってきている。平女のびわこ守山キャンパスを守山市を介して立命館に無償譲渡する事は、平女から立命館への(財政的な支援に対する)見返りであり、市の財産を一方的に平女から立命館に譲渡することである。守山市は、びわこ守山キャンバスを平女から無償譲渡(寄付)を受けて立命館に無償譲渡するという 形で介在することによって、この違法な市の財産処分に正当性を付与せしめようと作為した。この作為と市の財産の処分は、不正、不当であり、市長の裁量の範囲を逸脱したものである。〔補充説明として資料(l、2、3)〕

1-(3)求める措置内容

 守山市は(1)平女に対して守山市が補助した25.6億円の補助金の返還を求める、(2)平女が滋賀県に返還すべき6.2億円を、守山市が肩代わりして滋賀県に返還しない、(3)平女から無償譲渡(寄付)を受けたびわこ守山キャンパスを立命館に無償譲渡しない、(4)立命館と平女の財政的な支援関係を調査し明らかにする そのための必要な措置を講ずるよう勧告することを求める。

2 請求者
   任 所 (略)
   職業無職
   氏名 西村 登志男 印
    他   名(別紙記載)

3 地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求します。

平成17年11月21日
守山監査委員様


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2006年01月16日

立命館への公立高校移管・不明朗なキャンパス無償譲渡の問題性 大学の公共性を議論、大学人・市民が集いを開催

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2006011500123&genre=F1&area=S10

 この「集い」の参加人数は,下記新聞では約40人となっていますが,実際には約60人に達しました。討論では多数の意見が出され,立命館の経営のあり方を踏まえつつ,大学の公共性の視点から問題が深められ,有意義な集いとなりました。

守山女子高の移管問題で集い 守山市・市民らが論議

 滋賀県守山市の市立守山女子高を学校法人・立命館に移管し、今春開学する立命館守山高を平安女学院大びわ湖守山キャンパス跡地に移転する一連の動きについて考える集いが15日、同市梅田町の市駅前コミュニティホールで開かれた。市民ら約40人が同高の移管から、県内の教育の現状まで幅広く論議した。

 移管問題に取り組む「市の財産(守女)を考える会」など3市民グループが主催した。

 同会の西村登志男代表が移管の経緯や、市に対して行った住民監査請求について報告。「平安女学院大びわ湖守山キャンパス就学権訴訟を支援する大学人の会」共同代表の碓井敏正京都橘大教授が「小学校開設や学校の系列化など、私学による生徒の囲い込みが進んでいる」として、「立命館守山高開設も、地域住民のためというよりは、囲い込みの一環」と指摘した。

 「守山女子高の存続を求める会」事務局の三浦芳樹さんも、県立高の全県1区など県内の高校教育の現状について話した。


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2006年01月06日

守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会、新春企画「守山の教育とキャンパス移転・譲渡問題を考える集い」

「平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会」

 守山キャンパスの跡地をめぐっては,平安女学院が同キャンパスの土地、建物を守山市に無償譲渡する代わりに、守山市は誘致時に交付した補助金25億6000万円の返還を免除し(さらに,滋賀県が大学側に出した補助金8億円のうち、6億1747万円の返還も守山市が肩代わりした),その上で守山女子高の立命館守山高への移管と抱き合わせる形で,莫大な資産価値をもつ同キャンパスの土地、建物を学校法人立命館に無償譲渡しました。

 平安女学院のわずか5年でのキャンパス移転,平安女学院・立命館・守山市長の三者間での上記キャンパス跡地処理をめぐる一連のプロセスは,守山女子高校の突然の廃校,守山市民の公的資産の無償横流しなど,学生・生徒への就学権侵害と市民の財産に対する侵害を発生させました。
 この間,同キャンパスの市への返還と立命館への無償譲渡の裏には,立命館から平安女学院への10億円にものぼる財政的支援が行われることが約束され,それが前提になって処理が進められたことなど,非常に不明朗な事実関係も発覚しています。守山市民がつくる団体(「市の財産(守女)を考える会」)は,(1)市から平安女学院への補助金返還の放棄(2)県補助金返還の市による肩代わり(3)キャンパス跡地の無償譲渡は,いずれも合理的理由がなく、これらは一方的に市の財産に損害を与えるものであり,違法であるとして,キャンパス跡地の市への返還,立命館への譲渡差し止めを求める住民監査請求を提出しました。年明けには,市監査委員会から一定の結論が出る予定となっています。

 「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」は,こうした動きを受けて,「市の財産(守女)を考える会」および「守山女子高校の存続を求める会」ととにも,3者で共同して,下記の「守山の教育とキャンパス移転・譲渡問題を考える集い」を開催することにしました。この集いでは,「市の財産(守女)を考える会」から住民監査請求に至る事実経過報告とキャンパス譲渡の問題性,また「守山女子高校の存続を求める会」からは,公教育を守る立場から,2006年度からの全県1学区制への移行,そして今回の移管とその手続きをめぐる問題,さらに「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」より,大学の公共性という視点から,学生の就学権とキャンパス移転の問題を,それぞれ報告する予定となっています。この集いにおいて,守山キャンパス移転・譲渡問題,公立から私立への全国初の高校移管問題の全貌が明らかになると考えています。

 是非とも多くの方が,この集いにご参加頂けますよう,お願い申し上げます。

●集いのチラシ
http://university.sub.jp/shomei/20060115.pdf

守山の教育とキャンパス移転・譲渡問題を考える集い

 守山の教育に関わる三つの団体は、共同して、「守山の教育とキャンパス移転・譲渡問題」をテーマに集いを開催することとなりました。多くの守山市民の方々、そして教育問題に関心をお持ちの方のご参加を呼びかけます。

◇日 時:2006年1月15日(日)14:00~16:30
◇場 所:守山市駅前コミュニティホール(JR守山駅すぐのセルバ守山3階)
※ 電話:077-514-3765(守山市駅前総合案内所) 
◇主 催:市の財産(守女)を考える会、守山女子高校の存続を求める会、平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権訴訟を支援する大学人の会
◇参加費:無料

<内容>
お話し : 西村登志男さん(市の財産(守女)を考える会)
      三浦芳樹さん(守山女子高校の存続を求める会)
      碓井敏正さん(就学権訴訟を支援する大学人の会)
参加者による意見交換・交流
※ 司会:細川孝さん(就学権訴訟を支援する大学人の会)

<<問い合わせ先>>
市の財産(守女)を考える会:077-583-8224(西村)
守山女子高校の存続を求める会:077-522-4965
就学権訴訟を支援する大学人の会:075-645-8634(細川)


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2005年12月06日

平安女学院大就学権確認訴訟原告川戸さん、大学評価学会第17回研究会に参加して

大学評価学会
 ∟●「大学評価学会通信」第7号(2005年12月5日)

<投稿> 第17回研究会に参加して

平安女学院大学学生 川戸 佳代

 今年7月に大津市で行われた第17回研究会において、私は、平安女学院大学びわ湖守山キャンパスの移転・統合問題についての事実経過と就学権確認訴訟に関する特別発言をさせていただきました。
 平安女学院大学は、入学募集の際に守山キャンパスの立地条件をアピールしていました。しかし、キャンパス開設からわずか5年でキャンパスを廃止し、事前説明も無しに学生の在学契約を一方的に変更し移転・統合を強行しました。この件について、私は、「入学前に示された教育環境が卒業まで当然保障されないといけないと思います。経営者が変わったことによって学生の教育環境が大きく変わるのはおかしいと思います。現在、高槻キャンパスに通わざるを得なくなった学生の中には退学をする者もいるため、学生数が減少し大学全体が悪循環に陥っているように思います。」と報告しました。

 参加者からは、①学生は大学の構成員であるため、合意形成のプロセスに関わらなければならない。②実際に学内では学生が授業料を払っていることを忘れている教職員がたくさんいる。③まさにモラルハザードの問題だ。移転によって混乱させた理事長は辞めていないし、大学にも株主総会のような機関が必要である。④国公私立を問わず自浄能力の備わっていない大学が多くある。⑤第三者機関を置いても、前理事が監事をやっていたりするため本当に監督しているのか疑わしいし、形だけになっているのではないか、という意見が出されました。

 移転・統合についてどのような合意形成プロセスが求められるのか。また、大学の構成員である学生が組織の一員としてどこまで尊重されているのか。このような問題は、今回の移転にとって、不可欠の論点です。しかし、平安女学院の場合は、このような問題が全く顧みられることなく、経営側の都合によって移転・統合が強行されてしまいました。
 少子化や規制緩和などの影響から大学経営が極端にビジネス化しているように思います。大学運営は、学生に対する教育サービスに対して大きく影響を与えます。大学が学生の人生を左右する重大な役割を担っているということを考えた時、安易で場当たり的な経営は決して許されてはなりません。 私は研究会に参加して、学生や社会の立場から大学を監視する機関が如何に重要であるかを実感しました。今後の研究会において、教育サービスを受ける側である学生やその保護者からの声を大学評価の中に取り入れていただきたいと思いました。


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2005年11月24日

守山キャンパスをめぐる立命館と平安女学院との間の「交換条件」

 立命館への平安女学院大学守山キャンパス無償譲渡をめぐり,住民から譲渡差止と補助金返還を求める監査請求が21日出された。新聞各社は,この問題を一斉に報道した。

立命館:平安女学院に10億円の財政支援へ(毎日新聞11月21日)
補助金返還求め市民が監査請求 守山・平女大の跡地譲渡(京都新聞11月22)
市立守山女子高の移管問題:守る会が住民監査請求「市の損害放っておけない」(毎日新聞11月22日)
立命館 平女に10億円支援へ 守山の校地移転めぐり(京都新聞11月22)

この中では重大な事実が判明している。

 若干,核心に関わる問題の経緯から触れておこう。
 立命館に対する守山キャンパス無償譲渡問題をめぐっては,市立守山女子高校の立命館への移管問題とも絡んで,今年の春,平安女学院と立命館の両理事長,および守山市長との三者間で,水面下の「密室協議」が展開された。このことはすでに多くの新聞報道が明らかしてきた。しかし,その内容については,これまで両大学から一切公式に説明されることはなかった。ただし,立命館大学校友会は,すでに5月18日段階において,「立命館守山高校」開設の「覚書調印」に触れて,全く唐突ともいえる「平安女学院との間ではさらに別途協力関係を強化する方針」との文言を自らのネットで配信していた。

 また7月20日付日本経済新聞「滋賀の公立高、立命館に移管」は,高校移管問題にふれつつ,「交渉の結果、立命館は市から無償譲渡された女子校の建物、土地で男女共学の普通科高校を立ち上げ、1年後に中・高の一貫校として女子大跡に移転。立命館が平安女学院(学校法人)を支援する見返りの形で市は大学の土地、建物の返還を受け、女子校跡地(更地)と再度交換する話を成立させた。」と説明した。この記事では,はっきりと立命館が平安女学院に「支援する見返り」として,キャンパス返還が成立したと述べている。この立命館の「支援」,そしてその「見返り」による市へのキャンパス返還と立命館への無償譲渡を指摘したのは,この日経記事が最初であったと考えられる。ただし,ここでは「支援」の内容も,また何故に立命の「支援する見返り」なくしてキャンパス返還があり得なかったのかも説明していない。したがって,このサイトでもいろいろ推論した経過がある(おかしな「交換関係」)

 まず,ここにきて,上記問題のうち立命館の平安への「支援」の内容が明かとなった。毎日新聞(11月21日)によれば,まさに10億円にものぼる「財政支援(「教育研究支援」としての「7億円の寄付」と3億円を貸し付け)という名の金による取引であった。つまり,立命館は,7億円を平安に寄付(プラス3億円の貸与)し,その「見返り」として,守山キャンパスを市に返還させ,再度今度は市から無償譲渡させてそのまま自分のものにした。しかも,自治体からの補助金33億円分については,全て市が負担するという条件付きで。

 この問題について,立命館内部では,すでに今年8月以降,「職員に『財政支援はキャンパス跡地譲渡の交換条件の一つ』などと説明」していたという。「教育研究支援」という立派な名前をつけているが,内実は守山市を一通過点とする「守山キャンパスの立命への無償譲渡」と「10億円」の「交換」=取引を表現するものに過ぎない。こうした「交換条件」が今年の春の「密室協議」において,取り決められたことは間違いない。なぜなら,この「交換条件」がなければ,平安女学院のキャンパス返還はあり得なかったからである。

 一方,平安女学院の側の方に視点を変えてみよう。時期をさかのぼって,キャンパス移転問題が大きな議論になっていた2004年9月24日に開催された守山市定例市議会において,山川明男市議は以下のような質問を市長に投げかけていた。

「2つ目は、平安女学院大学理事長山岡景一郎氏の本来の思惑は何かであります。  平成15年4月に平安女学院大学の理事長に山岡景一郎氏が就任されたと聞き及んでいます。当然、企業が経営を立て直す場合、経営責任者が交代することはあり得ると思います。もし、学校経営を立て直すことが重要とすれば、私たちに経営に関するすべて、資産内容、経営実績、経理内容、生徒募集の内容等、実績などを明らかにして再建計画に同意を求めるべきであります。いまだ私たちは何も聞かされていません。守山市からの補助金25億6,000万円と滋賀県の補助金8億円、合わせて33億6,000万円が重要な再建資金だとすれば問題です。  理事長山岡景一郎氏の思惑が守山びわ湖キャンパスの用地、建築物を他の教育企業に売却して、平安女学院大学の再建資金に充てるとの疑った見方もあるわけです。」

 平安女学院大学はわずか5年で守山市から撤退するにあたり,大学開設の際に受けた補助金は一貫して「返還しない」ような態度を取り続けた。この点に関して市と平安との間で訴訟事件にもなりかねない状況があった。最終的には,上記山川氏が疑った見方と述べたような「守山びわ湖キャンパスの用地、建築物を他の教育企業に売却して、平安女学院大学の再建資金に充てる」ことは不可能であったが,その代わり,立命館が10億円の「財政支援」を行うことで,その目的の多くは達成されたことになる。しかも,「密室協議」の結果から,総額33億6000万円もの補助金についても,返還する義務から一切開放された。見方を変えれば,平安女学院は,10億円もの「再建資金」を,キャンパス撤退問題を通じて,立命館から引き出したということもできよう。立命館・平安女学院,両者にとってこれほどうまい話はなかったと思われる(この2大学の関係は尋常ではない)。この点が今年春の「密室協議」の1つの内実であったのだろうと推測する。

 一番のツケを回されたのは,守山市民である。莫大な価値資産を,当初の事業計画(第4次守山市総合計画にも入っていた大学を核とする地域振興計画)とは大きくかけ離れた目的,すなわち立命館の高校拡張事業のために,いわば無償で「横流し」され,しかも,自分たちとは何の関係もない滋賀県からの平安への補助金6億円も,守山市民が肩代わりさせられた。住民監査請求が起こって当然である。しかし,こうした取り決めや手続きを率先して進めた山田守山市長の責任も極めて重大である。同様に,それに圧倒的多数でGOサインを出した市議会の議員たちも全く良識というものを持たない(市立守山女子高校の立命への移管を決議した5月12日の市議会は一種異様なものである)。また,毎日・京都新聞報道では,「市は『関知していない』」とコメントを出したとされるが,これは全くの虚偽発言であろう。市へのキャンパス返還は,その条件とともに「立命館の側から」提案されたであろうことは明らかであるからである。

 一連の新聞報道の記事内容から,またいろいろな疑問点も浮かんでくる。それは両大学の対応である。立命館側は今年8月以降、職員に「財政支援はキャンパス跡地譲渡の交換条件の一つ」などと説明したいうが,立命館内部では学生父母から集めた公的な流動資産(授業料)がこうした平安女学院への「財政的支援」と称して支出されることを,重大な問題であると認識して議論されなかったのだろうか,という疑問である。理事会は別にして,説明を受けた教職員は,このお金がキャンパス無償取得に対する一つの「対価」と認識したのだろうか。また,なぜ「10億円」なのか,ということに疑問を持たなかったのだろうか(立命館大学の教職員組合はすでにこの問題を知っていたと聞く。自らの機関紙に特集号を組んで,全組合員に配布したとも噂に聞く。労使間でどのような話し合いがなされたのだろうか)。10億円というのは,たとえ立命館であったとしても,莫大な金額であり,これは学生父母のいわば「血税」と同じである。これが「交換条件の一つとして」「寄付」名目で7億円も他大学に流れるのである。普通のまともな大学であれば,大問題となる。
 因みに,平安女学院理事長の京都新聞11月22日付コメントは「寄付は本学の新学部設立など教育改革のためで、立命館の好意は大変ありがたい。これを問題にすることは私学振興に対する妨害行為だ」」と述べている。これを額面通り受け取るならば,立命館の学生父母はなぜ平安女学院の「新学部設立」のために金を寄付しなければならないのか。立命館側においてもこれを問題にすることは「私学振興に対する妨害行為」と捉えるのであろうか。立命館内部では,この種の説明を「なるほど」と聞いていたのだろうか。ただ,両大学の公式コメントにおいてチグハグさが見え隠れする。これは後で必ずやボロが出るに違いない。

 平安女学院の場合も同様である。同キャンパスは初期投資における総価値が50億とも60億とも言われる(就学権確認訴訟,大津地裁「訴状」より)。この中には約20億円以上の自己資金も含まれている。これを,現在では一部減価しているとはいえ,無償で渡してしまったのである。いわば,大半が学生父母の授業料からなるお金を立命館に渡してしまった。しかし,相互に渡した授業料部分が,立命と平安との今回の「交換」で,実質的に「相殺される」などと呑気に捉えることはできない。毎日新聞報道でも「平安女学院でも説明があったが、公表されていなかった。」とあるように,全体として通常ではあり得ない,極めて不明朗なやり方であるからである。

 同時に,この「密室協議」の結果,何も知らされない平安女学院大学の学生と市立守山女子高校の生徒たちの多くが泣いたことは言うまでもない。学生や生徒たちには一生心に残る傷と苦い体験を与えたことも間違いない。「平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟」原告の川戸さんは,「11月21日、毎日新聞のホームページで「立命館:平安女学院に10億円の財政支援へ」という記事が掲載されていました。開学からたった5年で移転。なぜ、私たちがびわ湖守山キャンパスを追い出されることになったのか、私はこの記事を読んでようやくその原因がわかった気がします。私たちと同じように守山女子高校の生徒が署名活動をしていた事を思い出し、また、心の傷が痛みます。」との短いコメントを出した。

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2005年11月10日

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟、川戸さん 「上告受理申立書」 11月7日に最高裁へ提出

平安女学院大学 守山キャンパスの存続を守ろうの会
 ∟●最高裁「上告受理申立書」(全文)

平成17年(ネ受)第518号
申立人  川 戸   佳 代
相手方  学校法人平安女学院

2005年 11月7日

申立人代理人
弁護士 吉 原   稔

最高裁判所  御 中

上告受理申立理由書

第一、原判決には法令に解釈適用を誤り、判断遺脱、理由不備の違法があり、かつ、法令の解釈に関する重要な事項を含むので、上告を受理されたい。

1、原判決が、第三者のためにする契約、及び規範設定契約の成立をいずれも認定しなかったのは法令の解釈の誤りであり、本件では第三者のためにする契約、または規範設定契約の成立が認定されるべきである。

……以下,「守ろうの会」HPでご参照下さい。


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2005年11月01日

平安女学院大、就学権訴訟 控訴審は棄却 学生は地方自治体振興の手段か

■横浜市立大学大学院『思惟と聯流』第4号(2005年10月15日付)より

平安女学院大、就学権訴訟 控訴審は棄却 学生は地方自治体振興の手段か

 九月二十八日、本紙(創刊号、第二号)でも取り上げた、平安女学院大びわ湖守山キャンパス(守山市)の廃止を巡り、同大学四年の川戸佳代さんが守山キャンパスで学ぶことなどを求めた訴訟の控訴審判決(大阪高裁)が下された。結果は控訴棄却であった。
 川戸さんが控訴した理由は、先の大津地裁(五月二十三日)の判決において、原告が守山キャンパスという特定の《場》での就学権の確認と履行請求を、一般化・抽象化された在学契約の主張と見なされたためである。すなわち争点である「第三者(学生)のためにする契約」に基づく就学権の有無の判断を回避されたのであった。
 川戸さんは控訴審判決を前に、「大学倒産時代が現実となった今日、キャンパスを廃止したのは平安女学院大学ばかりではありません。しかしながら、ここで問題とすべきは平安女学院のように学生を無視した対応が他の大学においては見られないということです」と主張してきた。大阪高裁の判決は大学としての社会的責務(USR)を厳しく追及すべきであった。しかし判決結果は川戸さんが提起した争点に踏み込んだものではなかった。
 「大阪高裁判決文」を読むと、「補助金の交付は一定の行政目的を達成するための手段として行われるものであって、その際に結ばれる協定も、その目的を達成するための手段にすぎず…(略)…個々の学生に対して、守山キャンパスで就学する具体的権利を付与することまでを意図し、それを内容とする契約を締結する意思があったとは認められない」という文章が目につく。
いったい自治体振興(目的)のための教育ビジネス(手段)が破綻した責任は誰が負うのか。市や大学は責任を回避し、そのツケを「個々の学生」にまわすというのである。川戸さんは自分のHP上で今回の判決を「説得力を持たない手抜き判決」として、「学生は地方自治体振興の手段に過ぎないと、また判示された事に対して怒りを覚えます」と批判する。

「就学権」を諦めるな

 判決後、十月十日に報告会(「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」主催)が守山キャンパスの隣にある守山市民ホール中央公民館で行われた。川戸さんをはじめ、吉原稔弁護士らの参加・報告があった。吉原弁護士からは判決は一審、二審とも争点について全く理由を答えていない(理由不備)という説明があった。そして川戸さんは、これから最高裁への上告に向けて引き続き活動を展開することを表明した。
 また今年退学した一年生の母親の参加者から次の報告があった。入学した四月にいきなり高槻キャンパス移転の説明を受けて、その後の学校側の姿勢に失望して、九月付けで退学をした。入学金その他の金銭的損失だけでなく、娘さんは精神的にも大きなダメージを受けた。とりわけ子どもの人生にとって大事な時期である一年間の損失について強い批判をした。その上で今回の川戸さんの上告によって、全国の大学人が、この問題に対して意識がのびることを期待した。
 そこであらためて確認できたことは、川戸さんの主張する「就学権」とは自治体の補助金によって創設された私大の学舎で学ぶ学生の特権のようなものである。
 今回の大阪高裁の判決は今後の日本の大学運営に影響を与える。いま、様々な大学で生き残りをかけて統廃合や大学改革が行われる中、無責任な大学運営の経営的破綻の追及はもとより、無思慮な大学改革による学問的破綻の責務も厳しく問う必要を強く再認識させられるものである。
 川戸さんの主張する「就学権」という新しい概念の可能性を可能性で終わらせてはならい。


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2005年10月14日

平安女学院大学就学権確認訴訟、控訴審判決報告集会の概要

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会
 ∟●大学人の会ニュース23(2005/10/13)

就学権確認訴訟、控訴審判決報告集会の概要

 「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」は,10月10日13時30分より,守山市民ホール中央公民館において,9月28日の控訴審判決についての報告集会を開催しました。この報告集会には,大学人の会の共同代表である福田菊・元龍谷大学教授,吉原稔弁護士をはじめ,関西の大学教員や遠くは横浜の大学関係者,地元の守山市民,そして平安女学院大学キャンパス移転・統合によって退学を余儀なくされた学生の父母らが,大勢参加してくれました。
   
 まず,報告集会の開催に先立ち,現在市の所有となっている「守山キャンパス」を実際に目で見る企画を催しました。守山キャンパスは,全体として閑散としていましたが,建物も立派なままであり,きれいに管理されている様子がうかがわれました。

 報告集会では,まず最初に主催者「大学人の会」を代表して福田菊先生が挨拶をされました。

 続いて,吉原稔弁護士から本件控訴審判決の内容について報告がなされました。今回の判決の評価は以下のようなものでした。
(1)結論から言えば,高裁判決も,第三者のためにする契約について,踏み込んだ判断を下すものではなかった。
(2)高裁判決は,地裁判決とは異なり,主に「補助金交付に際して,第三者(学生)に権利を付与するとまでは言っていない以上,第三者のためにする契約は成立していない」「本件事件は,過去の判例である電信送金契約(最高裁の1968年判決)とは異なり,第三者のためにする契約には該当しない。また電信送金契約の判例も棄却された」と簡単に述べるが,なぜ本件が第三者のためにする契約に当たらないのか,その理由やそうした判断を下すに至った論理展開を説得的に明示するものではなかった。その意味で,控訴審判決も,地裁判決と同様に「理由不備」である。
(3)その結果,非常に不満な判決だったため,最高裁に上告した。
(4)今後は,記録を受理した旨の通知を受けた後,50日以内に上告受理理由書を提出する予定である。

 次にこの報告を受けて質疑応答に入りましたが,吉原弁護士はフロアーからの以下の質問に対して,次のように応えていました。
質問1 「通常の大学がキャンパス移転を行う場合,法的に争う余地はあるのか?」
弁護士 「ないと思う。大学が自分で資金を出して建設する場合は大学の自治にあたると思う。キャンパスの移転・統合も同じ」「現在の法律の枠組みでは,地方公共団体からの補助金が支出されたケースにおいて,第三者のための契約という主張によってしか就学権は争えない」

質問2 「カリキュラムは変えてはいけないんだから,教育の場所も契約になってると思うがどうか?」
弁護士 「在学契約には特定の場所まで含まれていない」「ただし,今回の場合は市や県と被告が結んだ基本契約に特定の場所が明示されているため、学生の在学契約には特定場所が含まれているという主張をしている」「今後は,消費者契約法を改正し,就学権を法的に整備することも必要である」

質問3 「うちの娘の場合,平安女学院大学への入学直後にキャンパス移転の問題が表面化し,大学側が説明会をしたのですが,実際は入学前から理事者はその事実を決定して知っており、それを隠しながら学生募集をして入学させた。その上で入学金・授業料を納入させたのは詐欺ではないか?」
弁護士 「そうしたやり方は,詐欺と同じである」「入学金詐欺はリフォーム詐欺と同じようなもの」「その点についての損害賠償(詐欺罪)なら訴訟に持ち込んでも勝算は十分ある。

 守山キャンパス移転・統合によって退学を余儀なくされた学生の父母らの方は,この弁護士の話を聞き,是非「被害者の会」を作って訴訟を提起してほしいとの発言をされていました。なお,吉原弁護士は入学金・授業料返還訴訟や損害賠償の法的問題について,全国のいくつかの判例を引き合いに出しながら詳しく説明されました。また,本件のような問題で,大学の社会的責任を問うためには,学生を消費者の視点から問題を捉え,法的に争うことも必要である,と主張していました。

 守山市民の方は,守山キャンパスの処理の問題に関わり,最終的に立命館大学に無償で渡る経緯に触れ,「この問題で立命館はほんまに悪い学校やと思った」と率直な意見を語り,他方で,弁護士はキャンパスをめぐったお金の流れの議論と関わって,「キャンパスは基本的にほとんど県と市のお金で建設した。誰が考えても5年で撤退せざるを得ないような財政状況でキャンパスを建てたのはおかしい。大学経営者として非常に無理なことをした。大学を存続させるという見通しを持っていなかった。そういう意味で言えば、県と市の責任も非常に重い」と述べていました。

 報告集会は,全体としてシリアスな問題がテーマであったとはいえ,和やかな雰囲気で交流を深めることができました。議論のあと,昨年10月の地裁提訴から今日まで川戸さんの裁判を無償で弁護下さった吉原弁護士に対して,お礼とともにこの間大学人の会が全国から募ったカンパを川戸さんの手からお渡ししました。大変,喜んで頂けました。

 最後に,学術人権ネットワークの世話人から,「いま,大学を経営する者の社会的責任が問われている。本件事件で言えば,現行法で法的責任を追及できなくても道義的責任は免れない。経営者の責任を明確にすべきである」といった趣旨の報告集会を締めくくる挨拶をされました。

 報告会は,全体約2時間ほどで終了となりました。

「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」事務局

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2005年10月11日

「意見広告の会」、平安女学院大キャンパス移転訴訟 上告の記事

■「意見広告の会」ニュース303より

** 目次 **
1 平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟
 1-1 最高裁に上告
 1-2 川戸さんの担当弁護士にお礼をするための募金のお願い
2 横浜市大新聞 ニュースブログ 現場配慮し学長選を
     2005年10月04日
3  またもや露呈した法人運営の不透明性と機能不全
     都立大「手から手へ」  2364号 10/6

***

1-1 最高裁に上告
平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟

上 告 受 理 申 立 書

平成 17年9月29日
最高裁判所 御 中

上告受理申立人代理人
弁 護 士 吉  原   稔

上告受理申立人   川  戸  佳  代
〒520-0056
滋賀県大津市末広町7番1号 大津パークビル6階
  吉原稔法律事務所(送達場所)
電 話 077-510-5262
FAX 077-510-5263
上記上告受理申立人代理人
弁 護 士     吉  原     稔

〒602-8013
京都市上京区下立売通烏丸西入5町目町172番地の2
相 手 方    学校法人 平安女学院
上記代表者理事長  山岡景一郎

 上記当事者上告受理申立人(控訴人)相手方(被控訴人)間の大阪高等裁判所 平成17年(ネ)第1783号 就学権確認等請求控訴事件(原審・大津地方裁判所 平成16年(ワ)第573号)につき、平成17年9月28日言渡された判決(上告受理申立人受領日9月28日)は不服につき民事訴訟法第318条に基づき上告受理申立てをする。

原判決の表示

主 文

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

省略

上告受理申立の趣旨
1 本件上告を受理する。
2 原判決を取り消す。
3 申立人が、相手方の経営する平安女学院大学を卒業するまでの間(卒業最短修業年限)、相手方の設置するびわ湖守山キャンパス(以下「守山キャンパス」という。)において就学する権利(教育を受ける権利)を有することを確認する。
4 相手方は申立人に対し、同卒業までの間、守山キャンパスにおいて就学させよ。
との判決を求める。

上告受理申立の理由

追って上告受理申立理由書を提出する。

添 付 書 類
1 訴訟委任状 1通
2 資格証明書 1通

1-2 川戸さんの担当弁護士にお礼をするための募金のお願い

 川戸さんの代理人吉原稔弁護士にお礼をするための募金をお願いします

 川戸さんの裁判を担当している吉原弁護士は、大津地裁への提訴以来、 裁判にかかる費用は全て手弁当で弁護活動を行ってくださっています。

これから最高裁への上告ということで、さらに費用がかかります。
大学人の会として、裁判費用の一部を拠出したいと考えております。
募金にご協力いただける方は、次の口座にご送金ください。

  郵便振替口座 00950-3- 247779
  口座名義 細川孝
  ※ 一口2,000円、何口でも結構です(もちろんいくらからでも結構です)。

「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」事務局


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年10月11日 20:36 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年10月04日

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟、大阪高裁判決文(全文)

平安女学院大学守山キャンパスの存続を守ろうの会 大阪高裁判決文
平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会
 ∟●大阪高裁判決(全文) PDF版

 平安女学院大学就学権確認訴訟、大阪高裁判決文(全文)を以下に掲載する。
 第三者(学生)の受け入れについて地域を限定しない場合,どうして「第三者のためにする契約」が成立しないということになるのだろうか。また,裁判官は,特定地域に大学を誘致する自治体の目的,換言すれば「地域と大学との連携」の目的をどのように理解されているのだろうか。巨額な公的資金を投入して大学を誘致した自治体が,学生に対しその地域で学ぶ権利を保障しないで,誘致の目的を達成できるわけがない。今回の事件がまさにその象徴であった。守山市は平安女学院を誘致するに際,あるいは誘致後においても,地域と大学との連携に基づく様々な地域振興策を計画し,実行に移しつつあった。しかし,この政策は学生が守山キャンパスで学ぶ権利が奪われたためにすべてが無に帰したのである。

 下記の裁判所の判断が正当な理解であるならば,仮に守山市は市役所の前に,「本自治体は立命館守山高校の誘致のために,30数億円の補助金を出したが,それは自治体振興のための手段であって,生徒の学ぶ権利を保障したものでも,またそれを意図したものでもありません」と大きな看板を出してみたらどうだろう。高校生やその関係者がそれを見てどう感じるだろうか。おかしなことを言う自治体だと思うに違いない。しかし,平安女学院大学の学生たちは,大津地裁と大阪高裁から2度にわたってそのように言われたのである。本当にこれが法の言うところの解釈と受け取っていいのだろうか。私にはよく理解できない。

平成17年9月28日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 印
平成17年(ネ)第1783号 就学権確認等請求控訴事件
(原審 大津地方裁判所平成16年(ワ)第573号)
当審口頭弁論終結日 平成17年7月27日

判       決

  控訴人(原告)     川  戸  佳  代
  同訴訟代理人弁護士   吉  原     稔

京都市上京区下立売通烏丸西入5町目町172番地の2

  被控訴人(被告)    学校法人平安女学院
  同代表者理事長     山  岡  景 一 郎
  同訴訟代理人弁護士   姫  野  敬  輔
  同           松  本  智  之
  同           橘     英  樹

主      文

  1 本件控訴を棄却する。
  2 控訴費用は控訴人の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 控訴の趣旨

1 原判決を取り消す。
2 控訴人が,被控訴人の経営する平安女学院大学を卒業するまでの間(卒業最 短修業年限),被控訴人の設置するびわ湖守山キャンパス(以下「守山キャンパス」という。)において就学する権利(教育を受ける権利)を有することを確認する。
3 被控訴人は,控訴人に対し,同卒業までの間,守山キャンパスにおいて就学させよ。

……(中略)……

第3 当裁判所の判断

1 当裁判所も,原判決と同様,控訴人の前記確認請求に係る訴えは不適法であり,また,控訴人の前記履行請求は理由がないと判断するものである。

 その理由は,原判決「事実及び理由」欄第3「当裁判所の判断」の1及び2(原判決14頁12行目から24貢11行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。

 ただし,原判決22貢12行目及び23頁22行目の各「第三者のためにする契約」の次に「ないし規範設定契約」をそれぞれ加える。

2 当審における控訴人の主張についての判断

(1) 控訴人は,第三者に給付請求権を帰属させる通常の第三者のためにする契約(真正な第三者のためにする契約)と,第三者に権利を帰属させない第三者のためにする契約との区別については,要約者から諾約者への出捐の有無が判断基準であると解されるところ,本件においては,要約者である守山市が補助金を支出し,出捐をしていることからも,第三者のためにする契約の成立が認められるべきである旨主張する。

 しかしながら,守山市や滋賀県が,その自治体外からも特段地域を限定せずに募集される個々の学生に対して,守山キャンパスで就学する具体的権利を付与することまでを意図し,それを内容とする第三者のためにする契約を締結する意思があったと解することは困難であり,控訴人主張の第三者のためにする契約か締結されたと認めることはできないことは,原判決の説示するとおりである。

 そして,一般に,補助金の交付は一定の行政目的を達成するための手段として行われるものであって,その際に結ばれる協定も,その目的を達成するための手段にすぎず,第三者に対して具体的権利を付与する旨の明示的な約定なしに,そのような権利の付与までを意図しているものとはいえないこと,特に補助金交付の相手方が大学を経営する学校法人である場合には,大学の自治にも配慮する必要があることに照らしても,守山市や滋賀県において第三者のためにする契約を締結する意思を有していたと認めることはできない。

(2) 控訴人は,第三者のためにする契約の成否を判断するにあたり,諾約者である被控訴人の意思こそが重要であるところ,被控訴人は,守山市から補助金を受けて守山キャンパスの創設を約束したのであるから,基本協定書(甲5)によって,守山キャンパスを創り,そこで学生を就学させる意思があったことは明白である旨主張する。

 しかしながら,第三者のためにする契約が成立するためには,要約者と諾約者双方の意思の合致が必要であることはいうまでもないところ,前記補助金の交付にあたり,守山市や滋賀県において控訴人主張の第三者のためにする契約を締結する意思があったと認められないことは,前記のとおりであるし,また,同様の理由により,被控訴人についても,個々の学生に対して,守山キャンパスで就学する具体的権利を付与することまでを意図し,それを内容とする第三者のためにする契約を締結する意思があったとは認め難いというべきである。

(3) 控訴人は,電信送金契約についての最高裁昭和43年12月5日第一小法廷判決を引用した上で,従来の判例の判断基準に照らしても,本件を第三者のためにする契約であるとすることについては,何ら論理的な不合理性は見当たらない旨主張する。

 しかしながら,同最高裁判決(民集22巻13号2876貢参照)は,電信送金契約について,第三者のためにする契約の成立を否定したものであって,直ちに本件に当てはまるものではないし,また,本件の場合,補助金交付の際の当事者の合理的意思に照らしても,第三者のためにする契約を締結する意思があったとは認め難いことは,前記のとおりであるから,控訴人の上記主張も理由がない。

(4) 控訴人は,本件在学契約は第三者のためにする契約という形式における規範契約(規範設定契約)でもあり,また,第三者のためにする契約の成立が認められない場合でも,規範設定契約は認められるべきである旨主張する。

 しかしながら,控訴人主張の第三者のためにする契約が成立したとは認められないこと,補助金の交付にあたり,守山市や滋賀県においても,被控訴人においても,個々の学生に対して,守山キャンパスで就学する具体的権利を付与することまでを意図し,それを内容とする契約を締結する意思があったとは認められないことは,いずれも前記のとおりであるから,控訴人主張の規範契約(規範設定契約)の成立も認められないというべきである。

(5) なお,控訴人は,在学契約には消費者契約法が適用される旨の主張もするが,同主張も,本件において第三者のためにする契約が成立したとは認められないとする上記判断に何ら影響を及ぼすものではなく,控訴人のその余の主張及び当審提出の証拠(甲49ないし53)も,いずれも同判断を左右するものとはいえない。

3 以上によれば,原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。

  大阪高等裁判所第5民事部

      裁判長裁判官  大  和  陽 一 郎
      裁判官  菊  池     徹
      裁判官  細  島  秀  勝


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年10月04日 01:07 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年10月01日

「意見広告の会」、平安女学院大キャンパス移転訴訟の記事

■「意見広告の会」ニュース302

*ニュースの配布申し込み、投稿は、
  qahoujin at magellan.c.u-tokyo.ac.jp まで、お願い致します。
迷惑メール防止のため@をatに書きかえています。アドレスは@に直して下さい。
*「投稿」の場合は、その旨を当初から明確にしていただけると、確認のための時間が
かかりません。ご氏名、ご所属等の掲載方法などもご指定下さい。


** 目次 **
1 扶桑社「つくる会」教科書に反対する意見広告の全貌
1-1 全国紙・地方紙「意見広告」一覧
1-2 一例として愛媛版
      愛媛新聞8/13
2 平安女学院大の移転訴訟
2-1 地元就学権、2審も認めず
      京都新聞9/28
2-2 「あらためて平安女学院の社会的責任を問う」2005年9月29日
      就学権確認訴訟を支援する大学人の会
2-3 控訴人川戸さんの「裁判日記」
      http://www.geocities.jp/ncgqg099/newpage29.html
3 さらに都立大学
3-1 紹介 「だまらん」最後の総長による総括:その摩訶不思議な結論を解く
http://pocus.jp/09-2005/092905-soukatsu.html
3-2 都立の大学を考える都民の会ニュース
      都立の大学を考える都民の会主催 都民の大学講座 第2回のお知らせ
3-3 都立大学附属高校『桜修館は古すぎる』 
      東京新聞9/29朝刊
4 無資格者に潜水作業・死亡、東大と責任教授を書類送検
      読売新聞 9/29

2 平安女学院大の移転訴訟

2-1 地元就学権、2審も認めず

    大阪高裁、平安女学院大の移転訴訟  京都新聞9/28
 平安女学院大・びわ湖守山キャンパス(滋賀県守山市)の高槻キャンパス(大阪府高槻市)への統合をめぐり、在学生が学校法人平安女学院(本部・京都市)を相手に、卒業まで守山キャンパスで就学できるよう求めた訴訟の控訴審判決が28日、大阪高裁であった。大和陽一郎裁判長は「守山キャンパスに特定して就学する権利を与えた契約は認められない」として、一審の大津地裁判決に続いて訴えを棄却した。

 訴えていたのは、学生有志でつくる「守山キャンパスの存続を守ろうの会」代表で、同大学4年の川戸佳代さん(22)。

 判決は、平安女学院が開学に際し、守山市や滋賀県と結んだ補助金交付に伴う契約について「個々の学生に、守山キャンパスで就学する具体的権利を与えることまでを意図したものとは言えない」との判断を示した。

 川戸さんは「非常に残念な判決。大学は、入学前に示した教育環境を4年間保障する責任があるはず」と話し、近く上告する方針。平安女学院の山岡景一郎理事長は「妥当な判決だと思う。少子化の中、キャンパス統合で運営経費を削減し、全学生が顔を合わすようになったことは好結果だ」とのコメントを出した。

2-2 声明 「あらためて平安女学院の社会的責任を問う」
     2005年9月29日
平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会

 9月28日,大阪高裁(大和陽一郎裁判長)にて,平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟・控訴審の判決が出された。結論は「控訴棄却」であった。大阪高裁がどのような判断からこの結論に至ったのか,判決の具体的内容はまだわからない。判決文全文が入手され次第,「大学人の会」としてコメントを出したい。ただ,現在知りうる限りでは,大阪高裁の結論は控訴人の川戸さんが提起した争点に踏み込んだものではなかったようである。近いうちに代理人弁護士から正式な形での評価を聞くことができよう。

 「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」は,今回大阪高裁がいかなる法的な判断を下そうが,本件守山キャンパスの移転・統合において,平安女学院が控訴人川戸佳代さんを含む多くの学生に対して行った行為は,就学権の侵害以外の何ものでもないと考えている。
 守山キャンパスが開設されて以降,平安女学院の学生たちは,大学と地域との連携を進めるための「地域に開かれたキャンパス」に入学した。このキャンパスは,住民と学生との交流を踏まえて教育が行われる重要な人格形成の場であった。学生たちは,わずかな期間であったとはいえ,キャンパス設置に際して地元自治体が期待した通り,多様な地域貢献活動を展開し,地域住民とふれあうことのできる守山キャンパスという特性をもった教育の場で,自らの問題意識を育みながら学び,人格を培ってきた。これは紛れもない事実である。
 しかし,平安女学院大学は,こうした意味をもつキャンパスをわずか5年で廃止した。しかも学生に対し事前説明を一切行わず,突然に移転決定を発表し,学生を含む学内構成員の合意を充分に得ないまま,そして1年間の猶予さえ与えないで高槻キャンパスに強制的に統合し,在学生全員の学ぶ守山キャンパスを奪った。これは明らかに就学権の侵害である。巨額な補助金を受け,立派な施設として完成されたキャンパスに学生を勧誘し受け入れておきながら,わずかな期間で一方的に廃止をする,こうした無責任な大学経営は日本の大学史において前例をみない。

 「卒業するまで守山キャンパスで学びたい。」学生の大多数はそう思って存続を訴えた。しかし,平安女学院はその訴えに耳を貸そうともしなかった。それが学生たちをいかに傷つけるものであったか。その影響は計り知れない。守山キャンパスの設置から廃止・移転に至るすべての過程において,一切の責任は平安女学院理事会にある。今回,控訴人学生川戸さんの請求が高裁で退けられたとしても,一連の過程に対する大学の社会的責任まで免罪されたわけではない。

 本件裁判は,平安女学院に学ぶ多くの学生や影ながら支援する同大学教職員の精神的支えを受けつつも,「守山キャンパスの存続を守ろうの会」代表である川戸佳代さんのたった一人の奮闘によって進められてきた。控訴人川戸さんとその代理人弁護士は,今回の控訴審判決を受け,最高裁への上告も視野に入れながら引き続き活動を展開するであろう。「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」は今後ともこの裁判と活動を支援し,大学のあり方について広く社会に訴え続けていくものである。

2-3 控訴人川戸さんの「裁判日記」

9月28日 控訴審判決
 本日、控訴審判決が言い渡されました。結果は棄却という残念な判決でした。判決内容は、地裁判決を支持するというだけで説得力を持たない手抜き判決でした。このような判決文だけでは、なぜ学生の学ぶ権利が認められないのか私には理解できません。学生は地方自治体振興の手段に過ぎないと、また判示された事に対して怒りを覚えます。その「手段」とは一体何を示しているのでしょうか。そして、一人の学生の権利よりも組織の利益が優先されることが良くわかりました。この事は、判決が力関係によって判断されたということを示しているのではないでしょうか。


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2005年09月30日

就学権確認訴訟を支援する大学人の会、声明「あらためて平安女学院の社会的責任を問う」

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会
 ∟●声明 「あらためて平安女学院の社会的責任を問う」

声明
「あらためて平安女学院の社会的責任を問う」

2005年9月29日

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス
就学権確認訴訟を支援する大学人の会

 9月28日,大阪高裁(大和陽一郎裁判長)にて,平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟・控訴審の判決が出された。結論は「控訴棄却」であった。大阪高裁がどのような判断からこの結論に至ったのか,判決の具体的内容はまだわからない。判決文全文が入手され次第,「大学人の会」としてコメントを出したい。ただ,現在知りうる限りでは,大阪高裁の結論は控訴人の川戸さんが提起した争点に踏み込んだものではなかったようである。近いうちに代理人弁護士から正式な形での評価を聞くことができよう。

 「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」は,今回大阪高裁がいかなる法的な判断を下そうが,本件守山キャンパスの移転・統合において,平安女学院が控訴人川戸佳代さんを含む多くの学生に対して行った行為は,就学権の侵害以外の何ものでもないと考えている。
 守山キャンパスが開設されて以降,平安女学院の学生たちは,大学と地域との連携を進めるための「地域に開かれたキャンパス」に入学した。このキャンパスは,住民と学生との交流を踏まえて教育が行われる重要な人格形成の場であった。学生たちは,わずかな期間であったとはいえ,キャンパス設置に際して地元自治体が期待した通り,多様な地域貢献活動を展開し,地域住民とふれあうことのできる守山キャンパスという特性をもった教育の場で,自らの問題意識を育みながら学び,人格を培ってきた。これは紛れもない事実である。
 しかし,平安女学院大学は,こうした意味をもつキャンパスをわずか5年で廃止した。しかも学生に対し事前説明を一切行わず,突然に移転決定を発表し,学生を含む学内構成員の合意を充分に得ないまま,そして1年間の猶予さえ与えないで高槻キャンパスに強制的に統合し,在学生全員の学ぶ守山キャンパスを奪った。これは明らかに就学権の侵害である。巨額な補助金を受け,立派な施設として完成されたキャンパスに学生を勧誘し受け入れておきながら,わずかな期間で一方的に廃止をする,こうした無責任な大学経営は日本の大学史において前例をみない。

 「卒業するまで守山キャンパスで学びたい。」学生の大多数はそう思って存続を訴えた。しかし,平安女学院はその訴えに耳を貸そうともしなかった。それが学生たちをいかに傷つけるものであったか。その影響は計り知れない。守山キャンパスの設置から廃止・移転に至るすべての過程において,一切の責任は平安女学院理事会にある。今回,控訴人学生川戸さんの請求が高裁で退けられたとしても,一連の過程に対する大学の社会的責任まで免罪されたわけではない。

 本件裁判は,平安女学院に学ぶ多くの学生や影ながら支援する同大学教職員の精神的支えを受けつつも,「守山キャンパスの存続を守ろうの会」代表である川戸佳代さんのたった一人の奮闘によって進められてきた。控訴人川戸さんとその代理人弁護士は,今回の控訴審判決を受け,最高裁への上告も視野に入れながら引き続き活動を展開するであろう。「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」は今後ともこの裁判と活動を支援し,大学のあり方について広く社会に訴え続けていくものである。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年09月30日 00:13 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年09月29日

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟、大阪高裁判決結果 不当にも控訴棄却!

平安女学院大学 守山キャンパスの存続を守ろうの会
 ∟●裁判日記 9月28日 控訴審判決

 平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟・控訴審で,大阪高裁(大和陽一郎裁判長)は,9月28日,判決の言い渡しを行った。結論は「控訴棄却」であった。今回の判決内容は,一審と同様,争点に踏み込んだものではなかったようだ。この結果の評価については,あらためて掲載したい。
 以下,本日の裁判について,控訴人川戸さんの「裁判日記」から引用する。

 本日、控訴審判決が言い渡されました。結果は棄却という残念な判決でした。判決内容は、地裁判決を支持するというだけで説得力を持たない手抜き判決でした。このような判決文だけでは、なぜ学生の学ぶ権利が認められないのか私には理解できません。学生は地方自治体振興の手段に過ぎないと、また判示された事に対して怒りを覚えます。その「手段」とは一体何を示しているのでしょうか。そして、一人の学生の権利よりも組織の利益が優先されることが良くわかりました。この事は、判決が力関係によって判断されたということを示しているのではないでしょうか。

[同ニュース報道]
女子大移転控訴審判決 学生側が敗訴(読売テレビ(9/28)
地元就学権、2審も認めず 大阪高裁、平安女学院大の移転訴訟(京都新聞9/28)

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2005年09月28日

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟、本日控訴審判決

 平安女学院大学「びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟」控訴審は,2005年5月24日に大阪高裁に提訴されて以降,約4ヶ月が過ぎた。その間,控訴人学生・川戸佳代さんは,今日まで精力的に活動してきた。裁判は7月27日の口頭弁論1回で結審することが予定されていたため,その日までは「控訴理由書」の下書き,「陳述書」の作成,「意見書」の依頼や文書の内容調整など,裁判書面づくりとその準備に全エネルギーを注いだ。同時に,今日まで,大学評価学会や学術人権ネットワークでの本件事件の報告,署名活動さらにはテレビ・ニュース特番のための幾日間にもわたる取材・撮影にも応じていた。よくやったと思う。
 控訴審判決は,本日13時10分から大阪高裁で下される。どのような判決が出るのだろうか。被控訴人である平安女学院当局の責任者は,地裁段階から口頭弁論や判決日も含めて一貫して被告人席に座ることはなかった。今回もこれまでと同様,法廷に姿を現すことはないだろう。自らのやり方が妥当であったというなら,堂々と受けてたてばよい。もっと性根の座った「答弁書」を書けばよい。そうしないのは無責任の極みである。
 川戸さんは,どのような結果がでようが,毅然として被控訴人席をしっかりと見据え,そして大学の社会的責任を問い続けてほしい。(ホームページ管理人)。

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2005年09月26日

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟、控訴人川戸佳代さん 「控訴審判決を前にして」

平安女学院大学 守山キャンパスの存続を守ろうの会
 ∟●控訴審判決を前にして(平成17年9月25日)
平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会
 ∟●控訴人川戸佳代さん,「控訴審判決を前にして」 (9月25日)

平成17年9月25日

控訴審判決を前にして

平安女学院大学4年生
川戸 佳代
  

 大阪高裁(大和陽一郎裁判長)に控訴した就学権確認訴訟の判決が28日13時10分から言い渡されます。

 学校法人平安女学院(山岡景一郎理事長)は、滋賀県および守山市からおよそ34億円という補助金を受けて2000年に"びわ湖守山キャンパス"を開設しました。法人は補助金を受けるにあたって守山市との間で基本協定を締結しました。この基本協定には、平安女学院大学を守山市三宅町に建設することや入学定員などが定められていました。私たちは地裁段階から、これら補助金交付に係る基本契約が入学者を第三者とする「第三者のためにする契約」、若しくは「規範設定契約」の成立要件を満たしているため学生の教育を受ける権利を認めよという主張をしてきました。しかしながら、大津地裁の原判決では、争点が判示される事はありませんでした。

 私が学院側から入学前に示された学生生活は、「地域に開かれたキャンパス」を特色としたびわ湖守山キャンパスで学ぶことでした。私たち「平安女学院大学守山キャンパスの存続を守ろうの会」は入学前に示された守山キャンパスでの教育環境が守られるべきであると思い、守山キャンパスの存続を求める活動を行ってきました。守山市長は12月議会で「・・・もっと立地の悪いところでも、たくさん学生が集まって立派な大学経営をされているところはございます。これは、やはり経営の怠慢としか私には考えられません」と述べています。このように経営努力を怠った学院側は、守山キャンパスにおける私たちの「学び」を奪いました。

 大学倒産時代が現実となった今日、キャンパスを廃止したのは平安女学院大学ばかりではありません。しかしながら、ここで問題とすべきは平安女学院のように学生を無視した対応が他の大学においては見られないということです。
①石川県の七尾市が約10億円の補助金を投じて設置された七尾短大は、募集停止を余儀なくされましたが、2003年の春に最後の在学生を同大キャンパスからしっかりと送り出しています。
②北見市が約25億円を投じて1977年に設置された北海学園北見大学は、自治体の了承を取り付けたうえで、2006年3月末をもって北海学園北見大学を北見キャンパスから撤退させ、同年4月より札幌市内のキャンパスに移転させることを決めました。入学前に移転を知らされなかった学生は、北見キャンパスで卒業まで就学することになっています。
③山口県と萩市が40億円の補助金を投じ1999年に開学した萩国際大学は、今年6月に民事再生を裁判所に申請しました(定員割れが直接の理由で民事再生に至ったのは初めてのケース)。その際の報道によると、安部一成同大学理事長は「責任持って卒業まで面倒を見ることが社会的責任」、「学生や保護者には申し訳ない。学生が卒業するまではきちっと面倒をみる」と述べています。さらに、これを受けて中山文部科学相は会見で「教育的な観点に立った再生計画」の必要性に言及しています。

 このような例からも、在学生の契約を遵守することは、私立大学としての社会的責務(USR)であるということが浮き彫りになってきています。
 今回は、教育的観点から争点に踏み込んだ判決が示されることを期待しています。


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2005年09月25日

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟、9月28日の判決を前にして 控訴審の争点

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会
∟●大学人の会ニュース16(2005年9月25日)

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟
9月28日の判決を前にして 控訴審の争点

2005年9月25日

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス
就学権確認訴訟を支援する大学人の会

 平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟・控訴審は,9月28日(水)13時10分から大阪高裁(別館8階81号法廷)で判決が下される。あと数日に迫った判決を前にして,今回の控訴審の争点を簡単にまとめておきたい。

 平安女学院大学「就学権確認等請求事件」で,控訴人川戸佳代さんが控訴するに至った理由は,先の大津地裁(5月23日)の判決が原告(控訴人)側の主張に何ら応えるものではなかったからである。原告(控訴人)は,特定の守山キャンパスという場での就学権の確認と履行請求を,単に一般的・抽象的な在学契約の内容から主張したわけではなかった。それは「第三者のためにする契約」又は「規範設定契約」という民法理論を根拠に主張した。ここが争点であった。

 「第三者のためにする契約」に基づく主張とは,およそ次のようなものである。

 守山市・滋賀県と平安女学院(被控訴人)は,補助金交付に伴う契約(基本協定)を交わした。この契約(基本協定) では,守山市・滋賀県は平安女学院大学の入学者に対して守山キャンパスで就学する機会をつくるために,キャンパス建設のための補助金を交付する,他方平安女学院大学は守山キャンパスを建設し,そこで授業を行い教育の場所を開設する旨約束した。そして,平安女学院はこの契約によって,守山キャンパス開設後,就学の勧誘に対し入学を申込んだ控訴人と在学契約を締結し,同キャンパスで授業を受ける権利を取得させた。従って,この契約(基本協定)は,第三者(学生)に守山キャンパスでの就学権を付与させるものあり,明確な第三者のための契約である。こうして,平安女学院大学にあっては控訴人に同キャンパスで教育を提供する義務が発生した。そして,民法538条により,第三者の権利が発生した後は当事者たる大学はこれを変更し,又は消滅させることができない。

 しかし,5月23日大津地裁の判決は,かかる「第三者のためにする契約」に基づく就学権の有無について,実質的に判断を避けたといわざるを得ない。判決は在学契約の一般論から,主として当該事件を通学距離の問題に矮小化し,守山市から高槻市への移転程度では就学権の侵害を構成しないと述べた。他方,「第三者のためにする契約」については,自治体と大学との「基本協定」が第三者に権利を取得させる「第三者のためにする契約」であるかについて,結局のところ「そうではない」と指摘するにとどめ,その結論を導く至った論理を具体的に示そうとはしなかった。その意味で地裁判決は理由不備であった。地裁はこの点を高裁の判断に委ねたと解釈しうる。

 こうして,今回の控訴審は,上記「第三者のためにする契約」が最大かつ唯一の争点になる。控訴人川戸佳代さんは,かかる論点にのみ焦点をあてて「控訴理由書」を書いた。しかし,被控訴人平安女学院は,「答弁書」においてこの争点に反論する内容を何一つ提示しなかった。ただ,地裁判決を支持するとだけ述べるにとどまっている。裁判においては,一方の主張に全く反論しない場合,それだけで敗訴することもありうる。この点も含め,大阪高裁がどのような判断を下すか,注目したい。

 今度の大阪高裁の判決は,これからの日本の大学運営のあり方にも大きな影響を与えるであろう。1996年から2002年までに開学した80もの大学が自治体から補助金を受け地域振興の名の下に設置されている。今後,大学全入時代を迎え,平安女学院大学と同じようにキャンパスの撤退や統廃合が起こりうる可能性は極めて高い。すでに,地方では少なくない大学が実際に巨額な補助金を受けながらキャンパスを撤退させている。その際,判決如何によっては,自治体との補助金交付契約は「第三者のためにする契約」と理解され,一方的なキャンパス撤退はそこで学ぶ学生に対して就学権の侵害を構成すると判断される場合も出てこよう。大学の無責任で安易な大学運営のやり方に歯止めがかかる可能性もある。そのためにも,大阪高裁での川戸さんの勝訴を是非とも勝ち取りたい。

 さらに,これまで日本の教育裁判では,小中高校は別にして,大学レベルでキャンパスの移転・統合に伴い学習権の侵害問題が裁判で争われたケースは,ほとんど存在しない(平安女学院大学とやや類似するケースとしては,1979年大阪外国語大学がキャンパスを移転する際,二部在校生16名が学生の同意なしに変更したと主張し,元の教育地で教育を受ける地位を有することについての仮処分申請をした事件=「受教育地確認仮処分申請事件」があるだけである。この裁判では,大阪地裁は在学契約一般論から請求事案を判断した。しかしこの裁判は自治体と大学との契約,およびそれに関わる就学権の法的問題が争われたわけではない)。その意味で今回の控訴審判決は先例がなく貴重な判例ともなろう。

 最後に,今回の控訴審の意義について,控訴人川戸佳代さんは,次のように主張する(「就学権確認訴訟の控訴審について」2005年7月27日)。
 「私は,平安女学院大学の社会的責任を問うためにこの訴訟を提起しました。平安女学院大学は滋賀県および守山市から巨額な補助金を受けて守山キャンパスを設置しておきながら,わずか5年で高槻キャンパスへの移転・統合を決定しました。私の弁護士も指摘するように,これはいわば「補助金の食い逃げ」です。学院側は関係自治体への了承を取り付けることもなく,また学生への十分な事前説明と納得を得る努力をしないままに一方的に統合を決定し強行しました。こうして行われた学院側からの就学権の侵害に対して,私は教育機関としての学院の社会的責任を追求したいと思います。」
 また,毎日新聞は本件地裁判決を報じる際,「免れない大学側の道義的責任」と題し「原告側は即日控訴し,法的な判断は高裁に委ねられることになった。しかし,学生や保護者に知らせる前に一方的に移転を決めた平安女学院大側の道義的責任まで免れたわけではない。」[平安女学院大移転訴訟:学校の都合でどこにでも-学生側敗訴,即日控訴(毎日新聞5/24)]と書いている。

 9月28日大阪高裁の判決は,移転の進め方の問題性も含め,平安女学院大学の社会的責任について厳しく言及すべきである。同時に,かかる問題は,判決の如何に関わらず,今後とも引き続き全国の大勢の大学人から厳しい批判の目が向けられていくべきものである。

参考資料
大津地裁判決文(2005年5月23日)
控訴理由書(2005年6月20日)
控訴人「陳述書」(2005年7月21日)


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2005年09月21日

平安女学院大学就学権確認訴訟、川戸佳代さん 学術人権ネットワーク(AHRN)・シンポジウムで報告

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会
 ∟●大学人の会ニュース14(2005/09/20)

平成17年9月18日

各位

平安女学院大学キャンパス移転問題
~守山キャンパスでの教育を受ける権利の確認を求めて~

平安女学院大学4年生
川戸 佳代  

 はじめに、8月から「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」が結成され数々のご尽力をいただきましたことを心からお礼申し上げます。また、署名サイト等によって多くの方々にご署名をいただきました。本当にありがとうございました。
 控訴審判決は、9月28日(水)13時10分から大阪高等裁判所別館8階81号法廷(大和陽一郎裁判長)にて言い渡されます。
 是非、裁判の傍聴にご協力いただきたくお願い申し上げます。

 平安女学院大学は、滋賀県および守山市から巨額な補助金を受けて守山キャンパスを設置しておきながら、わずか5年で高槻キャンパスへの移転・統合を決定しました。私たち学生が、今年度から守山キャンパスの閉鎖(高槻キャンパスへの移転)の事実を知ったのは、平成16年4月10日付の新聞記事(「びわ湖守山キャンパス、高槻に 統合平安女学院が検討」京都新聞 )によってでした。1年生は4月3日に入学してから1週間後に統合を知るというものです。
 学院理事会の一方的な決定に不満を覚えた私たち学生は「平安女学院大学守山キャンパスを守ろうの会」を結成し、各方面への署名提出や陳情などを行ってきました。しかしながら、学院側は関係自治体への了承を取り付けることもなく、また学生への十分な事前説明と納得を得る努力さえせず、一方的に移転・統合を決定し「補助金の食い逃げ」を強行しました。
 こうして行われた学院側からの教育を受ける権利の侵害に対して、私は教育機関としての学院の社会的責任を追求していきたいと思います。

就学権確認訴訟の公共性

 私立大学の中には補助金によってバブル時に設置されたキャンパスの統廃合が起きています。第2次大学新設ブームと言われる1996年から2002年までに開学した80校が平安女学院と同じように、自治体から補助金を受け地域振興の名の下に設置されているようです(『大学激動 転機の高等教育』朝日新聞社出版、2003年)。少子化が進み学生数が減ると見込まれている現在においても新設大学は増え続けています。このように競争が激化するなかでも守られなければならないのは学生の就学権です。平安女学院大学のように、教育を極端に商品化し、ビジネスのごとく振る舞う大学が今後も出てくることでしょう。このような大学は、短期的に「採算が合わない」と判断したら、学生の意向など無視してどんなことでも行うかもしれません。そうした場合、学生の学ぶ権利や就学条件はどこまで守られるのでしょうか。在学契約の趣旨はどこまで保障されるのでしょうか。これが私の訴訟における問いかけです。この就学権確認訴訟は全国でも初めての例で極めて公共性が高い事件とされているため、判決は平安女学院だけの問題ではなく私立大学全体に関わってくることでしょう。

自治体から補助金を受け設置された大学に見る学生の就学状況

 大学倒産時代が現実となった今日、キャンパスを廃止したのは平安女学院大学ばかりではありません。しかしながら、ここで問題とすべきは平安女学院のように学生を無視した対応が他の大学においては見られないということです。
 ①石川県の七尾市が約10億円の補助金を投じて設置された七尾短大は、募集停止を余儀なくされましたが、2003年の春に最後の在学生を同大キャンパスからしっかりと送り出しています。
 ②北見市が約25億円を投じて1977年に設置された北海学園北見大学は、自治体の了承を取り付けたうえで、2006年3月末をもって北海学園北見大学を北見キャンパスから撤退させ、同年4月より札幌市内のキャンパスに移転させることを決めました。入学前に移転を知らされなかった学生は、北見キャンパスで卒業まで就学することになっています。
 ③山口県と萩市が40億円の補助金を投じ1999年に開学した萩国際大学は、今年6月に民事再生を裁判所に申請しました(定員割れが直接の理由で民事再生に至ったのは初めてのケース)。その際の報道によると、安部一成同大学理事長は「責任持って卒業まで面倒を見ることが社会的責任」、「学生や保護者には申し訳ない。学生が卒業するまではきちっと面倒をみる」と述べています。さらに、これを受けて中山文部科学相は会見で「教育的な観点に立った再生計画」の必要性に言及しています。
 このように在学契約を遵守することは、私立大学としての社会的責務(USR)であるということが浮き彫りになってきています。就学権確認訴訟において学ぶ権利が認められなければ、在学生の就学条件(教育環境)が卒業までの最短期間さえ保障されないということになります。

経営破綻した立志館大学に見る学生の就学状況・転学支援措置

  私立大学として初めて経営破綻した(2003年)立志館大学の場合、在学生のうち希望する学生は近隣の呉大学に転学することができました。文部科学省高等教育局私学部長は、衆議院文部科学委員会(第156回国会第1号 平成15年2月25日)において、「・・・一つには、学生本人の同意が得られた場合には在学生をこの呉大学へ転学させること、二つには、卒業まで現在の立志舘大学のキャンパスで授業を実施すること、三つには、転学にかかる入学金、委員御指摘の入学金の件でございますが、免除するということなどを前提に、すなわち在学生の負担が少しでも軽減されるような配慮を」と答弁しています。

 平安女学院大学には、このような就学上の不利益を考えた的確な措置が行われていなかったため、なかには退学せざるを得ない学生や転学費用をアルバイト代で賄った学生もいました。学院側には、このように学生に対して入学前に示した学びの条件を卒業まで保障することを前提とした経営改善計画が求められるべきであると思います。
 大学全入時代(2007年)を前に、この裁判においてキャンパスで学ぶ権利が認められなければ大学破綻やキャンパス閉鎖の際に学生は救済されないことになり、今後の教育現場に大きな打撃を与えることになるでしょう。私は、私たちと同じ思いをする学生が出て欲しくないという気持ちでいっぱいです。

この事件についての詳しい情報は、次のホームページをご参照下さい。

平安女学院大学守山キャンパスの存続を守ろうの会
http://www.geocities.jp/ncgqg099/index.html
全国国公私立大学の事件情報
http://university.main.jp/blog/
平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会
http://university.sub.jp/shomei/daigakujinnokai.html


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2005年09月16日

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟、大阪高裁宛「公正な判決を求める要望書」賛同署名活動について

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会

 8月3日から始めました平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟の大阪高裁宛「公正な判決を求める要望書」署名活動は,9月14日をもちまして終了させていただきました。この間,大学関係は完全に夏休み期間であったにもかかわらず,多くの方々に温かいご支援・ご協力をいただきました。ありがとうございました。

 署名数は,全体で447名というものでした。このうち第1次署名分(276筆)はすでに8月29日に大阪高裁に提出させていただいております。第2次署名分は早速,大阪高裁に追加として提出したいと思います。今回の提出では,前回の8月29日第一次署名の提出と同じように,大阪のテレビ局が取材に来て話しを聞いて頂ける予定になっています。

 本件守山キャンパス移転・統合をめぐっては,問題が発生した当初の昨年4月から今日まで,新聞・テレビ等でおびただしく報道されてきました。本年5月23日の大津地裁判決の時の「記者会見」では,テレビ局5社と30名を超える記者・報道人が駆けつけました。このことは,この問題がいかに大きな大学をめぐる事件であったかを物語るものです。守山キャンパスをめぐっては,自治体と平安女学院大学,立命館大学,地元の高校という3つの教育機関が関係しています。そして,この事件は現在,訴訟も含めて未だ進行中であり,さらに発展する可能性もあります。

 「守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会」は,今後とも引き続き,いろいろ形でこの問題を訴え続けて行きたいと思っています。さしあたって,本件訴訟は,今月28日(水)13時10分から大阪高裁にて控訴審判決が言い渡されます。お近くにおられる方は,是非,傍聴をお願いします。

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2005年08月29日

平安女学院大学就学権確認訴訟、「要望書」賛同署名(第一次分) 本日大阪高裁に提出

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会
 ∟●大学人の会ニュース8(2005年8月28日)

 8月2日から実施してきました「平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟」のインターネットによる大阪高裁宛「要望書」賛同署名は,なるべく早い段階で一定数でも裁判所に提出したいという趣旨から,第一次と第二次に期間を分けて実施してきました。8月27日締め切りの第一次署名分276筆は,本日29日午後に「大学人の会」事務局員が控訴人学生の川戸佳代さんととにも大阪高裁へ出向き提出いたします。
 引き続き,第二次署名活動を継続いたします。期限は9月14日です。9月16日には再度,大阪高裁に署名を提出する予定ですので,よろしくお願い申し上げます。(ホームページ管理人)

大阪高裁宛「要望書」賛同署名(第一次)は,8月27日に締め切りました。結果は以下のようになりました。

ネット署名分 166名(うち1人のお名前が不明)
紙媒体署名分 111名
合計     277名

 署名していただいた皆様,ありがとうございました。また多くのメッセージもいただきました。ここに深くお礼申し上げます。第一次分の賛同署名は,8月29日に大阪高裁に提出いたします。
 このあと引き続き第二次の署名活動に入りたいと思います。これは最後の最後の日程ぎりぎりの9月14日を締め切りといたします。9月16日に,再度大阪高裁に提出する予定です。

 引き続き,ご支援よろしくお願い申し上げます。

「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」事務局

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2005年08月26日

平安女学院大学就学権確認訴訟、「意見書」の公開

 平安女学院大学就学権確認訴訟において,2つの「意見書」が大阪高裁に提出された。その1つを下記に掲載(もう一つは,「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」HPの裁判資料に掲載している)。

2005年7月21日

大阪高等裁判所民事5部1係 御中

意見書

平安女学院大学びわ湖守山キャンパスの
高槻キャンパスへの統合について

龍谷大学経営学部助教授  細川 孝

 私は2000年4月から龍谷大学経営学部に勤務し、経営学(企業論)の教育・研究に携わっています。また、昨年3月に設立された大学評価学会の会員(事務局次長)として、大学問題についての研究をすすめているところであります。
 以下、このような私の専門分野との関わりから、平成17年(ネ)第1783号 就学権確認等請求事件についての意見を申し述べます。

 学校法人も一つの経営体であり、その存続・発展のために、様々な意思決定を行いながら、運営がなされています。同時に、学校法人は私立学校法の規定に従って所管庁の認可を得て設立されるものであり、国または地方公共団体が設置する学校と同様に「公の性質をもつもの」(教育基本法第6条)であります。したがって、一般の企業とは違った側面を持つことに留意しなければなりません。それは、端的に表現すれば高い公共性ということであります。私立大学は、私立学校振興助成法にもとづいて、所謂「私学助成」を受けています。このことは、日本国憲法第89条に規定する「公の支配」に属するからこそ可能となっているものであります。
 このような学校法人の特質を考えた場合に、平安女学院大学びわ湖守山キャンパス(以下、守山キャンパス)の高槻キャンパスへの統合については、大きな問題があると考えるものです。経営体としての学校法人が行う意思決定によって、何らかの就学条件が変更されることは一般的にあり得ることです。しかし、本件で争点となっている「守山キャンパスに就学する具体的権利」について見た場合には、一般論として片づけるにはあまりに大きな問題が存在しています。
 どのようなキャンパスに学ぶかという問題は、学生が大学や学部を選択する際に、大きな基準の一つとなるものです。したがって、就学権の重要な構成要素をなすものと解されるべきです。平安女学院大学自身も守山キャンパスにおける地域社会とも密着した教育を積極的に広報し、受験生を募集してきたのであります。
 このような経緯からして、本件において、学校法人が一方的にキャンパス統合を決定することは、許されることではありません。また、仮にキャンパスを統合するにしても、在学生については卒業年次まで元のキャンパスでの就学を保障するということは最低限必要な措置と言えるでしょう。現にそのような大学はいくらでも存在しています。
 経営体としての学校法人ということを考えた場合に、守山市に平安女学院大学を設置するにあたり、守山市と滋賀県から多額の補助金を得ていることも注視されなければなりません。平安女学院大学を誘致するに際して、守山市は「大学を核とした街づくり」の一環として、大学との間で協定書を締結していることも想起されるべきです。設置後わずか5年で守山キャンパスから撤退し、高槻キャンパスに統合するという点については、当然、守山市と滋賀県に対しても重大な経営責任が生じます。平安女学院の対応は、この点でも全く不十分との印象を持つものです。
 経営学では、近年「企業の社会的責任」が盛んに議論されています。また、企業倫理をめぐる研究も活発になっております。現実の企業の動向を見た場合には、依然不祥事が生じるなど、必ずしも明るい側面ばかりではありませんが、市民の側から企業をチェックしようという動きも強まっています。社会的責任投資などもその一つとして解することが出来るでしょう。そのような下で、本来は高い公共性を持つ学校法人が、一方的にキャンパス統合を決定し、学生の就学権を奪うなどということは、決してあってはならないことであります。
 理念的に述べるならば、学校で行われることは、全て教育的な観点が貫かれるべきであります。就学条件を変更するのであれば、学生や父母などに対して教育的な観点から説明し、納得してもらい、そして必要な対応をとるということでなければなりません。また、本件で問題となっている、行政や地域社会などの利害関係者との関係についても、学校法人にふさわしい形で対応がなされなければなりません。
 本件で問われているのは、学校法人の持つ高い公共性と教育機関としての本来のあり方であると考えるものです。
 今日の日本では、教育が普通の商品と何ら変わらないものにされとしており、権利としての教育は否定されようとしています。このような風潮が強まる下で、一人の学生が本裁判において提起した問題を、大学において教育・研究に携わる者として深く受け止めたいと思います。

以上


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2005年08月25日

平安女学院大守山キャンパス補助金返還問題、気前のよい守山市議会

平安女学院の補助金肩代わり 6億円の予算案可決 守山市議会(朝日新聞)
市議会が予算可決(読売新聞)
平安女学院大移転問題、補助金 守山市が県に返還へ 土地など市に譲渡(毎日新聞)
返還の6億円、守山市が代わりに支払い 平安女学院大の補助金問題(京都新聞)
臨時議会で補正予算案が可決 守山 補助金相当額盛り込む(京都新聞)
平安女学院補助金返還問題で県・市・大学が協定締結 (琵琶湖放送8月24日)

 今日、上記リンクのように新聞各紙が,平安女学院大守山キャンパス建設のために滋賀県が交付した補助金返還問題について,守山市が平安女学院に代わって約6億円肩代わりすることを市議会で議決し,県と市、大学側の3者が土地、建物を市に無償譲渡する協定を結んだことを報じた。
 守山市が平安女学院大のキャンパス建設に巨額な補助金を投じる決定を行ったのは,山田亘宏・現市長の時代ではない。とはいえ,この山田市長の対応は,いかにも住民の血税というものの重みを知らなさすぎる。
 2004年4月,平安女学院理事会は守山キャンパス撤退を,守山市に事前の説明や了承を得ることなく,一方的に決定した。同市はその後撤退完了までの1年間,同学校法人から「補助金を返還する意思はない」と言われ続けた。撤退決行直前の2004年12月の守山市議会においてさえ,市長はこの問題についてこう答弁せざるを得なかった。

 「当方、私どもとの合意はもとより、明確な説明もないままに統合を既成事実化いたしまして、その準備を着々と進めておられます一方、市から受けた補助金の取り扱いについて何ら協議をしようとしない一連の行動は、まことに遺憾であります。  こうした中、先般来より学院に対して、統合についての明確な説明を求めておりましたところ、過日、学院から学生数の減少傾向、あるいは毎年度の会計収支状況を示す書類が提示されまして、統合により学院経営上の経済的効果が期待できることなど一定の説明を受けるに至りました。しかしながら、統合により経費の削減ができるとしているにもかかわりませず、引き続き別の形で大学機能を残すなど、経営上矛盾している点がございます。まだまだ納得できないところでございます。」

 「なお、過日、県議会におきまして、学生がいなくなれば補助金の返還も、との知事答弁があったところでございまして、市と同様の方針が確認できたところでございます。一方、守山キャンパスの存続を守ろうの会の代表からは、卒業までは守山キャンパスで就学する権利があることを確認する訴訟が提起されております。学生は、平安女学院大学という大学を守山という立地条件を含め選択したわけでございますから、当然、その思いが全うされることをと私としても強く願うものであります。」(平成16年第4回守山市議会定例会会議録(第2日)2004年12月14日)

 守山市は莫大な税金を出したにも拘わらず,初期に構想した地域振興上の効果も上げられず,あげくの果てに約束不履行によって返還を求めようとしても「金を返さない」と言われ続け,やっと返してもらえると思ったら,今度は立命館への無償譲渡を条件にされ,さらに今日新聞各紙が報じたように,滋賀県が補助していた8億円のうちの6億円分を平安女学院に代わって(肩代わりして)県に支払うという。そうしてやっと市の持ち物になった守山キャンパスはそのまま立命館にタダで渡す。本当に気前のいい市長と市議会である。

 朝日新聞は,今日の市議会の様子について「市議からは『法人の責任を免責して負担することには納得できない』と反対したり、反対はしないものの『不透明な部分がある』と指摘したりする声が相次いだ。」とされる。しかし,市議らの大勢は,「やむを得ない」(読売新聞)として賛成多数で可決した。上記,琵琶湖放送によれば,今回の三者調印について,平安女学院大学の事務局長は「最も良い形で解決出来たのではないかと思う。関係の皆さんに感謝します」とコメントしたという。
 「最も良い形で解決出来た」とは,一体誰にとってそうなのか。形の上で政治責任を回避できた守山市長と,滋賀県に補助金を返還しないで済んだ平安女学院当局と,タダで高校と巨額な資産価値をもつ守山キャンパスを手に入れた立命館大学の三者が利益を得ただけではないか。これらの出所はすべて市民の税金である。立命館大学はどうしても守山キャンパスが欲しければ,正当に市に金を払って購入したらいいではないか。
 自分たちさえよければそれでよい。7万人の守山市民やそこで学んでいた学生たちの想いはかれらの頭にはない。(ホームページ管理人)

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2005年08月24日

平安女学院大学就学権確認訴訟、学生の声「私たちの気持ちを無視されてくやしい気持ちでいっぱい」

 下の囲みは,現在実施している平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟のための大阪高裁宛「要望書」に賛同するネット署名に寄せられたメッセージのうち,当該大学の在籍学生からの想いが綴られたものである。守山キャンパス移転問題と訴訟の経緯については,このサイトで幾度となく取り上げたのでこれ以上触れない(最も詳しい説明は「大学人の会」サイトのページにも書いた)。下記のメッセージを取り上げたのは,学生だけの力でキャンパス存続運動を展開し,現在どのような想いを抱いているのかがよくわかると思ったからである。「十分な説明もないまま統合し、高槻にいく事をよぎなくされ、私たちの気持ちを無視されてくやしい気持ちでいっぱいです」というのは,偽ざる率直な気持ちと思う。控訴人学生の川戸さんも同じである。

 本件キャンパス移転問題については,強引な大学当局のやり方・進め方に対し,中にいる教職員から,支援が期待できなかった(これ自体大きな問題である)。学生たちの直接的なゼミの担当教員でさえ,事情は同じであった。したがって,キャンパス存続運動と大学当局に対する社会的な責任追及は,控訴人の川戸さんを中心に「平安女学院大学守山キャンパスを守ろうの会」に集まった学生たちの力によってのみ展開された(下記にメッセージを寄せた学生も恐らくその1人だと感じる)。
 
 「守ろうの会」の学生は当初は全部で14名である。この14名は下記メッセージにもあるように,「学生にどれだけの事ができるのか」という不安を抱きつつも,強引な形でキャンパス移転を突きつけられ声を発することも困難な学生たちのなかに入って署名活動を行い,そして訴えた。この活動は地域でも大きく展開された。その結果は,たった14名の学生によって,わずか3~4ヶ月のうちに2万名ものキャンパス存続を求める賛同署名を獲得するに至ったのである。その道のりは,並大抵ではなかったと思う。われわれの想像を超える努力があったに違いない。またこの14名の女子学生たちは,大学当局からキャンパス移転の理由として「経営財務状態が厳しい」と説明を受けた結果,けなげにも「じゃ,高校の時はそうだったのだから,みんなで大学構内を掃除して,清掃費節減に協力しよう」と真剣に相談しあった。電気代節約のために,無駄な電灯やクーラーを消すなどの構内巡回も行った。しかし,これらの想いや行為は,大学当局から全く無視された。署名さえ受け取ってもらえなかった。

 「今時の学生」という表現は多分に語弊があるが,このような学生たちは今時いるだろうか。キャンパスを設置したが思うように学生が集まらなかったことについて,彼女たちに何の責任もない。また,自治体から34億円もの補助金を受けながら,わずか5年でキャンパス統合を実施しなければ財務状態が悪化するという問題(これは理由としては多分に誇張を含んでいる)について,彼女たちにその責任はないし,そのツケを払う義務もない。彼女らは,学生募集の際「守山キャンパスという新しい立派な教育環境で思う存分学生生活を楽しめるよ」と様々な宣伝媒体を通じて勧誘され,その言葉に従って入学した。ただそれだけのことである。とはいえ「守ろうの会」14名の女子学生たちは,大学運営のあり方に対し教職員でさえ事実上黙認した問題に対して,勇気を持って「おかしいことはおかしい」と声を発し行動したのである。しかも多額の補助金を出した地域住民に対して,その血税が決して無駄にならないよう学生なりに責任を果たした。本当に立派であると思う。

 一方,平安女学院大学当局の社会的責任,同時に彼女らのゼミ担当教官も含む同大の教職員の責任は大きい。下記メッセージで,最初のところに「『多くの学生が統合に同意している』と理事長の言葉が書かれていました」とあるが,平安女学院理事長の態度は,この裁判を通じても変わっていない。今回提出した控訴人の「控訴理由書」に対する学園側「答弁書」は,「控訴人も被控訴人からキャンパス統合に伴う補填・補償措置としての通学費の補助金の交付を受け,高槻キャンパスに通学して,4年生としての学生生活を送ってる」と述べ,何ら問題など発生していないかのごとく書いている。

 また,5年でキャンパスを撤退するような杜撰な事業計画に多額の補助を出しながら,最終的にはその失政を今度は自ら運営する市立守山女子高校の高校生と教職員に責任転嫁した守山市長,そして,同キャンパス跡地の扱いに困っていた市長に対して,平安女学院理事長と密室協議の上,守山女子高校移管と同キャンパスのタダ取りをセットにして話しを持ちかけた学校法人立命館の理事長川本八郎と同理事会は,社会的に糾弾されてしかるべきである。
 特に,学校法人立命館は,昨年1年間「守ろうの会」女子学生たちがキャンパス存続を求めて活動を展開し,守山市や滋賀県,文科省まで陳情にでかけ,最終的に裁判所にまで提訴していることを充分に知りつつも,この問題に介入し,「守山キャンパスで学びたい」という圧倒的多数の学生たちのけなげな願いの最終的な息の根を止めた。この行為は断じて許すことはできない。この大学はかつての末川精神からかけ離れ見事なほどに180度転換した。今や人間を教育するという大学機関としてモラルも器もこの大学の理事会にはない。あるのは自分の大学さえよければそれでいい,他大学の学生などどうでもいいという態度だけである。

 全国の大学人にあっては,平安女学院理事会に抗議していただきたい。他方で同大学の学生たち,控訴人・川戸さんと「守ろうの会」の女子学生,そして下記メッセージにもあるようないろいろな事情から「行動を起こせない人」「反対なのに学校との間にたたされた人。反対だけど声をあげる事ができなかった人」に対して,是非とも署名とともに温かいエールを送ってあげて頂きたいと思う。(ホームページ管理人)

■「平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会」のホームページ
http://university.sub.jp/shomei/daigakujinnokai.html
■ネット署名のページ
http://university.sub.jp/1/

 4月から統合され高槻に通っています。学校側は守山までの費用と、高槻までの費用の交通費差額を支給すると説明し、通学にかかる費用を調査しました。私たちはその金額で間違いないかサインしました。それにサインしないと交通費は支給されないと聞きました。それをもってか、新聞に「多くの学生が統合に同意している」と理事長の言葉が書かれていました。私は納得した訳ではありません。もちろん守山で入学し、通い、卒業するつもりでした。

 しかし学校側に高槻にいくと「決定した」といわれ反対の声はありましたが、色々な生活を抱える中で学生にどれだけの事ができるでしょうか? 反対だと声をあげた人。反対なのに学校との間にたたされた人。反対だけど声をあげる事ができなかった人。もちろん高槻でいいという人もいたと思います。でも私たちは平安女学院大学守山キャンパスを選び入学したのです。会社に入ったのなら、転勤は仕方ない事です。しかし私たちは学生です。なぜ私たちがこんな思いをしなければならないのか。「反対しているなら高槻に行かなければいい」「編入すればいい」そういった意見もあるかもしれませんが、やめてしまえば今まで平安女学院に通ってきた年月は何だったのか。私たちが築き上げてきた人間関係は?反発して大学を中退したら将来どうなるのだろう。間違っているのは学校だと主張しても認めてくれる人はどれくらいいるだろう。そんな不安な思いがかけめぐる中、行動を起こせない人もたくさんいるのではないかと思います。

 私たちにとって環境が変わるということはとても大きな事なのです。私たちも大人です。環境に適応できないわけではありません。じゃぁ仕方ないし我慢するしかない。しかしそうゆう問題ではないのです。十分な説明もないまま統合し、高槻にいく事をよぎなくされ、私たちの気持ちを無視されてくやしい気持ちでいっぱいです。現在も最後まであきらめず頑張っている彼女はすごいと思います。色々な事で悩む事もぶつかる事も多いと思います。必死で頑張っている姿が認められるような日がくるようにと願っています。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年08月24日 00:01 | コメント (0) | トラックバック (4)
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2005年08月18日

大学評価学会、平安女学院大学就学権確認訴訟問題を議論 控訴人学生が特別報告

 大学評価学会の第17回研究会が7月16日(土),大津市で開催された。この研究会はシンポジウム形式で行われ,「大学における教育・研究と事務職員の役割」をテーマに3人のシンポジストより報告を受け,活発な議論がなされた(この議論の経過は,大学評価学会通信第6号に掲載)。
 この研究会では,別途,現在大阪高裁に提訴中の平安女学院大学就学権確認訴訟について,控訴人の学生である川戸佳代さんによる特別報告も行われた。平安女学院大学就学権確認訴訟は,起きた問題の性格からして様々な視点からの議論が可能であるが,川戸さんは,この研究会において,守山キャンパスの移転・統合問題に関する事実経過を説明した後,特に大学側の在学契約の遵守責任について問題提起した。要旨は次のとおり。

 今日,在学契約問題は,授業料返還訴訟等において,消費者契約の視点から問題にされる場合が多い。この点に関わり,学生は入学金や高い授業料を支払い,それに相応する教育サービスを受ける「消費者」とみなすことも可能である。当然「消費者」たる学生は,入学の際に約束された教育サービスを受ける権利を有する。この教育サービスには多様な内容が含まれるが,教育を受ける際の環境や条件も重要な構成要素であることは言うまでもない。平安女学院大学は,学生を受け入れる際,様々な媒体を通じて,守山キャンパスの立地環境面のすばらしさや施設の利便性,あるいは地域に開かれたキャンパスについて学生に最大限アピールし,学生はそれに同意して入学した。これは在学契約の具体的な内実をなす。ところが,かかる教育条件は,在学契約の履行途中で,大学当局側から事前説明もなく,しかもキャンパス開設からわずか5年で閉鎖という形で一方的に変更された。これは大きな問題である。

 報告に対する議論では,様々な意見がでた。「実際に大学内では,学生が授業料を払っている事を忘れている職員がたくさんいると思う。」「まさにモラルハザードの問題だ。移転によって混乱させた理事長は辞めていないんでしょ?大学にも株主総会のような機関が必要。」「第三者機関を置いたが,監事は、理事会の人間だったりして意味がない。形だけになっている。」「自浄能力が備わっていない大学が国公私立を問わずたくさんあると思う。」といった感想も出された。
 最後に,川戸さんから,「大学の建学精神や運営方針は、良い時も悪い時も学生に直接影響すると思う。入学前に示されたものが卒業まで当然保障されないといけないと思う。大学の体制が変わりそれに伴って教育サービスの条件まで変わるのはおかしい。平安女学院ではそれを防ぐことができなかった」といった趣旨の応答があった。(文責 ホームページ管理人)

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2005年08月16日

平安女学院大学就学権訴訟、全国初の例に9月末判決 始まった支援の署名 横浜市立大・大学院生も支援

■横浜市大大学院国際文化研究科博士課程「思惟と聯流」第2号(8月15日号) 上半分下半分
大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌経由

 横浜市立大学大学院国際文化研究科博士課程の院生が発行する「思惟と聯流」第2号(8月15日号)に,下記のような平安女学院大学就学権訴訟に関する控訴人学生川戸佳代さんの記事が掲載されました。同誌編集・発行人のみなさんは,創刊号でもこの訴訟を取り上げられたとのことです。「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」事務局としてお礼を申し上げたいと思います。(ホームページ管理人)

就学権訴訟が開廷 全国初のに九月末判決

 びわ湖守山キャンパスの移転・統合をめぐり,理事会の独断専行に抗議して平安女学院大学現代文化学部国際コミュニケーション学科四年の川戸佳代さんが大阪高等裁判所に提訴した就学権確認訴訟の判決が,九月二十八日に言い渡される。本誌は創刊号でこの問題をとりあげたが,今号では平安女学院大学と同じような状況に直面している全国の例をふたたび川戸佳代さんに報告してもらう。(編集部)

 平安女学院大学びわ湖守山キャンパス(滋賀県守山市)の移転・統合問題に抗議して学生が提訴した就学権確認訴訟の控訴審が,7月27日、大阪高等裁判所(大和陽一郎裁判長)で開廷し,同日、口頭弁論が終結した。判決は9月28日に言い渡される。
 この就学権確認訴訟は、全国でも初めてで極めて公共性が高い。
 昨今、私立大学の中には地方自治体の補助金によって設置されたキャンパスの統廃合が起きている。第2次大学新設ブームと言われる1996年から2002年までに開学した80校が平安女学院と同じように、自治体から多額の補助金を受けて「地域振興」の名の下に設置されているようだ。このようななかで守られなければならないのは学生の就学権である。平安女学院大学のように、教育を商品化し、ビジネスのごとく振る舞う大学が今後も出てくるであろう。このような大学は、短期的に「採算が合わない」と判断したら、学生の意向など無視してどんなことでも行うかもしれない。そうした場合、学生の学ぶ権利や就学条件はどこまで守られるのか。在学契約の趣旨はどこまで保障されるのか。審理が注目される。
 大学倒産時代が現実となった今日、キャンパスを廃止したのは平安女学院大学ばかりではない。しかしながら、ここで問題とすべきは平安女学院の学生を無視した対応が他の大学においては見られないということである。石川県の七尾市が約10億円の補助金を投じて設置された七尾短大は、募集停止をした。同大は、2003年に最後の在学生を同キャンパスから送り出した。北見市が約25億円を投じて1977年に設置された北海学園北見大学は、自治体の了承を取り付け、2006年3月末をもって北海学園北見大学を北見キャンパスから撤退させ、同年4月より札幌市内のキャンパスに移転させることを決めた。入学前に移転を知らされなかった在学生は、北見キャンパスで卒業まで就学することになっている。(川戸佳代)

始まった支援の署名 第一次〆切は今月27日

 山口県と萩市が40億円の補助金を投じて1999年に開学した萩国際大学は、民事再生を申請した。同大理事長は、「責任持って卒業まで面倒を見ることが社会的責任」、「学生や保護者には申し訳ない。学生が卒業するまではきちっと面倒をみる」と述べ、在学生には卒業まで同キャンパスでの就学条件が保障された。文部科学大臣も「教育的な観点に立った再生計画」の必要性について言及している。
 このように在学契約を遵守することは、私立大学としての責務であるということが浮き彫りになっている。学ぶ権利が認められなければ、在学生の就学条件(教育環境)が卒業までの期間さえ保障されないということになる。そのため、全国の大学関係者が「平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会」を結成した。同会は、8月から大学関係者のHPサイト等を使って署名活動を始めた。集めた署名は要望書とともに大阪高等裁判所に提出される予定で、広く協力を呼び掛けている。第1次署名は、今月27日が締切で、携帯電話からのアクセスも可能である。また、署名サイトでは全国の識者からのコメントも寄せられている。署名サイトのアドレスは次の通りである。(http://university.sub.jp/1/)(川戸佳代)


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2005年08月12日

平安女学院大守山キャンパス、滋賀県が補助金6億円の返還を条件に無償譲渡を承認

滋賀県が無償譲渡を条件付承認 平安女学院大守山キャンパス(京都新聞8/10)
平安女学院大移転問題:県、補助金6億円の返還求める /滋賀(毎日新聞8/11)

 平安女学院大びわ湖守山キャンパスについて,滋賀県は平安女学院に交付した補助金のうち,約6億1700万円の返還を受けることを条件に、施設や設備を守山市に無償譲渡することを承認した。この約6億1700万円という金額は,「本部研究棟や講義棟、図書館などの現在の価値について、開学から5年が経過したことなどを踏まえ、約19億円と査定し」「これに事業費に対する県の補助率約32%をかけて返還額を決めた」とされる。

 守山キャンパスにある建物・施設の現行価値が19億円と査定されたことから,土地も含めた同キャンパス全体の現価値は少なくとも37億円以上であることがわかる(約39,000平方メートル土地の価格については,守山市が用地取得費及び造成費として平安女学院に補助金で交付した金額は18億3600万円であった)。この資産は,今後立命館に無償譲渡される。

 他方,同キャンパスをめぐって,守山市が出した補助金総額は,今回,県が平安女学院に返還を求めた6億1700万円を同学院に代わって支払うため,これに最初に補助した約25億6500万円を加えて,総額31億8200万円となった。

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2005年08月11日

守山市議会(6月定例)、立命館へのびわ湖守山キャンパス・女子高校の無償譲渡 市民に相談もしないで市長の独断で決めるのは許されない

■守山市議会だより(2005年8月1日号)

守女・平女の立命館への移管は再検討を(代表質問 木村眞佐美)

Q.守山女子高と平安女学院大学守山キャンパスを立命館に無償で移管するというが、三十二億円もの市民の財産を市民に相談もしないで市長の独断で決めていることは許されるものではない。全国に先駆けて「公立」から「私学」に移管することはこの流れを促進する契機ともなるが、どのように考えているのか。守女の生徒が市長から受けた心の傷は癒せない。どのように認識しているのか。

A.相談や協議の場がなかったとの批判は真摯に受け止めています。その上で守山女子高校を将来に亘り発展的に継承できることや、本市の将来の発展を見据えた中で、市長として総合的に判断したものです。また生徒たちは新しい学校生活を展望する中、新たな希望も見出してくれると考えます。何よりも教師の団結と熱意が教育環境を整え、生徒を前向きに導いてくれると考え、また、そうなるよう私としても最大限の努力を惜しみなく発揮したいと考えます。

平安女学院びわ湖キャンパスの跡地利用について(代表質問 大瀬洋子)

Q.①県の補助要綱が大学誘致のための補助にしかつかないのなら、立命館大学に話をもっていくのか。②守山市第四次総合計画での大学誘致の方向性を変えるのか。③また今後の大学を核としたまちづくりをどう発展されようと考えているのか伺う。

A.①補助金は立命館大学を誘致することになっても返還の必要性はなくなりません。②今後も基本的なスタンスとしては持ってまいりたいと考えています。③立命館が有する知的、人的、物的ネットワーク資源を最大限活用したいと考えています。

 因みに,上記6月定例市議会のたった3ヶ月前には,どのような議論がされていたか。最近HP掲載された,以下平成17年第1回守山市議会定例会会議録(第2・3日)2005/03/10 より拾ってみると次の通りである。市長の方向性は180度変化した。このわずかな間に,立命館は水面下において,平安女学院と事前協議の上,市長に対し女子高校の移管とキャンパスの無償譲渡の2つを「セット」にして話しをもちかけた。

(赤井清司 発言)
 次に、平安女学院大学問題についてお伺いいたします。
 所信にも現状を述べられましたとおり、再三の存続要請にもかかわらず学院側の方針が変わらないとのことですが、いくら経営上の問題とはいえ、立派な大学の一つとして、教育上の理念、社会的な立場からも学院には相当の責任があるはずです。守山市が誘致したからとはいえ、いや誘致したからこそ、行政として凜とした態度が必要だと思います。市として、適切な解決を図るべきだと考えますが、どのようにお考えでしょうか。お伺いします。

(市長答弁)
 次に、平安女学院問題についてお答え申し上げます。
 この問題につきましては、所信表明でも申し上げましたとおり、このまま4月を迎えることとなった場合には、補助金の取り扱いについて、しかるべき手続に踏み込まざるを得ないものと考えております。なお、訴訟という事態になりますと、解決まで相当の時間がかかることも予測されますこと、あるいは市民の皆様への説明責任を果たす上でも、やむを得ないことであると考えております。こうした問題の解決としましては、できますならば、双方の合意により解決に至ることが最も好ましく、司法の場で争うことは決して本意ではございません。学院側が本来の教育理念に立って、真に誠実を尽くしていただくことを願っているところでございます。

(木村眞佐美 発言)
 まず、平安女学院大学のことであります。
 昨年の4月に学園理事長が一方的に守山キャンパスを高槻に統合すると宣言して以来、私はこの世の中に、しかも開学100年を超えている歴史と伝統のある平安女学院が社会的に常識で通用しないことを行っていることに困惑もしましたが、ここでやはり原点に戻って、守山市が多額を投じて誘致をした大学に市民が期待したのは、大学を核としたまちづくりを進めるために誘致をしたのであることを学院側に強調することが大切ではないのでしょうか。話が通じる相手ではありませんが、守山市として今後の対策のためにも、もう一度検証してみることが大切ではないかと思っています。
 市長が施政方針で、守山の地に高等教育環境を創造し、教育を通じて未来を担う人の育成とだれもが輝き続ける元気なまちづくりを展開するということにあったという言葉を聞いて、私は、議員全員と大学側との初めての懇談を1998年1月14日に行ったことを思い出していました。そのときの様子を吉川さんが1998年の3月議会で明らかにしています。
 大学側からは菊池理事長、学長予定の坂口立教大学教授が参加をしていました。菊池理事長や坂口教授は、守山市の文化都市づくりに少しでも協力したい。地域に開かれた大学を目指したい。国際社会の中でのリーダー、高齢化社会の中で特に現代福祉の分野で活躍する人材を送り出す大学として、市民の皆さんとともに人権、生命、環境問題についてともに考えていきたいと語っておられたのでした。
 この当時としては大学側も真剣に取り組んでいたように思いますが、市長が発言された内容を実現していくためには何が必要なのでしょうか。現時点でのお考えをお聞かせください。

(市長答弁)
 それでは、木村議員ご質問の1点目、平安女学院大学についてお答えを申し上げたいと思います。
 大学を誘致いたしましたときの趣旨、これは施政方針で申し上げましたように、未来を担う人の育成と、だれもが輝き続ける元気なまちづくりを展開すること、このことにあったと存じております。そのことを実現していくためには何が必要であるかというご質問でございます。現時点におきましては、目の前の問題解決といたしまして、補助金の取り扱いについて適切な措置を進めることが責務であると考えております。
 お尋ねのありました誘致時の趣旨を実現いたしますためには、高等教育を含めまして特色ある教育が守山の地で展開されて、そこに学ぶ次世代を担います学生や生徒が町や市民の間に溶け込んで、一緒になって元気あるまちづくりに貢献する、こうしたことが本来の姿であります。このことを実現するための環境を整えていくことが大切であると考えているところでございますので、ご理解いただきたいと思います。
 以上、答弁とさせていただきます。

(木村眞佐美 発言)
 それでは再度お尋ねをいたします。
 市長は、平安女学院大学については環境を整えていくことということをおっしゃいましたが、なかなか話し合いのテーブルに依然として着いていないと、学院側は粛々と時間のたつのを待っている、そういう状況だと思うんです。それで、これからこちらが話し合いをしたくても相手がテーブルに乗ってこないという状況の中ですから、今後どういう状況になるかわかりません。5月に学生が起こしている裁判の判決が出るようですが、いずれにしても守山としては行動を起こしていくということを以前から表明されていますので、その際私は、このときから、先ほど申し上げた議会の中でもいろんな議論がありました。多額の費用を投じて、大学─しかもそんな規模の大きい大学でもありませんので、そういうところを誘致していいのか、議員としても皆さんさまざまに悩んでいました。
 ところが、何とか向こうの情報も得ようということで、議員と学院側との懇談が3回ほど行われました。1回目はこの市議会で行ったわけですが、そのときに、先ほど申し上げたように、国際社会の中でのリーダー、あるいは福祉の分野で活躍、人材。私はそのとき思ったのは、世界で活躍する女性の国際的な学者、そういう人がこの守山から育っていく、そしてこれから社会のニーズに対応する福祉の分野で大いに活躍をしてくれる女性がこの守山から育っていったということに大きな夢を持ちました。私がきょう市長に強調したかったのは、ただ、確かに多額のお金です。でも守山市民が、特に、その当時、議員24人でした。24人は同じ思いでその夢を、市民の代表としてゴーサインを、このときからだったと思います。そういう夢を持って、形の見えないもの、そういう夢を大事にしたいなと、そういう守山市議会として、守山市民はそれだけのまちづくりといいますか、そういう夢をやっぱり大事にする市民なんだということを学院側に語ってほしい。わかりましたよと、了解しましたと、そういう思いを大事にしたいと思うんです。
 ですから、もちろんお金のこともあります。ありますが、学院側には、機会があればそういう守山市民の夢を砕いた、そのことはお金ではかれるものではないと、ここをやっぱりもっと強調していただきたいなというふうに思います。

(市長答弁)
 改めてお答えを申し上げます。
 私たちは、次世代を担います若者を育て上げていく、そういう教育機関を誘致したわけでございまして、市民の思いもそのとおりであります。この初心を大切にして今回の課題に取り組んでまいりますので、ご支援のほどもよろしくお願い申し上げたいと思います。

2004年度守山市議会、平安女学院大学びわ湖守山キャンパス統合問題に関する審議経過

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年08月11日 00:25 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年08月08日

平安女学院大就学権確認訴訟問題、「意見広告の会」ニュースが掲載

「意見広告の会」ニュース296

*ニュースの配布申し込み、投稿は、
  qahoujin@magellan.c.u-tokyo.ac.jp まで、お願い致します。
*8月は事務局の都合で、本号でニュース発行を休刊とします。
 8月下旬、9月初旬頃発行を再開します。

** 目次 **
1-1 緊急ネット署名のお願い
平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会
1-2 署名サイトの様子
同上
***

1-1 緊急ネット署名のお願い
平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会

札幌学院大学の片山一義と申します。いつも,ニュースを配信下さいまして,ありがとうございます。

 この度,「平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会」を結成し,8月3日から大阪高裁宛「要望書」提出のための緊急ネット署名を開始しました。このネット署名のことを「意見広告の会」のニュースで取り上げて頂きたく,メールいたしました。

 就学権確認訴訟は,2000年4月に平安女学院大学が滋賀県と守山市から33億6500万円もの公的な資金をもらって建設された「びわ湖守山キャンパス」をわずか5年で廃止し,学生たちを全員強制的に高槻キャンパスに移すという事件を発端としました。このキャンパス移転は,学生たちへの事前説明も,また充分に意見を聞くこともなく,理事会が一方的に決定し,強行したものでした。同キャンパスに通う女子学生たちの大部分は移転に反対しましたが,結局のところ今年度の4月から実施されています。これによって学生の学ぶ権利が侵害されました。
 裁判の控訴人の学生(川戸佳代さん)は,この移転問題にかかわり,昨年度から「キャンパスを守ろうの会」を結成し,地域住民も含めて約2万名の署名を集め,関係自治体や文科省にも働きかけを行ってきましたが,当の学園理事会はその願いを受け取ることもなく,また当該学生たちに会おうとさえしませんでした。その結果,しかたなく学生たちは,会の代表を原告として裁判所に提訴しました。

 この訴訟の詳しい経緯については,下記のページに書かれています。
http://university.sub.jp/shomei/bunsho1.html

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「平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会」から大阪高裁
宛「緊急ネット署名」のお願い

 平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟は,来月の9月28日(水)に,大阪高裁にて判決が出されます。本件は,大学の全構成員自治と学生の学ぶ権利に関わる重大な裁判です。高裁でいかなる判決が下されるかは,今後の大学運営のあり方に大きな影響を与えると考えます。そこで,この度「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」の結成しました。高裁判決まで残りわずかな日数ですが,同会が中心なって裁判所宛「要望書」提出のための緊急ネット署名を展開しています。どうか,皆様のご協力をお願いします。

■「平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会」ホームページ
http://university.sub.jp/shomei/daigakujinnokai.html
■ネット署名のサイト
http://university.sub.jp/1/

裁判所には以下の内容の要望書を提出致します。

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認請求事件に対する公正な判決を求める要望書

大阪高等裁判所 民事5部1係
大和陽一郎裁判長殿

 貴裁判所に係属している就学権確認等請求事件は,大学における学生の学ぶ権利問題に関わる重大な事件であると考えます。そこで私たち全国の大学生の学ぶ権利の保障のため教職員,学生,一般市民から以下のような要望書を緊急に提出させていただきます。これを是非お読みいただき,日本の大学の将来と学,司法権として,公正なご判断を下していただけますよう心から要望いたします。

2005年8月30日

提出者代表 

要望書

 本件就学権確認等請求事件は,平安女学院大学に通う一人の女子学生(川戸佳代さん)が卒業するまでの間,びわ湖守山キャンパスにおいて就学する権利(教育を受ける権利)の確認とその履行を求めたものです。しかし,この求めは同大学守山キャンパスで学ぶ大多数の学生の切実な願いでもありました。

 学校法人平安女学院は,2000年4月,滋賀県守山市にびわ湖守山キャンパスを設置し,4年制大学の平安女学院大学(学部は現代文化学部)を開校しました。このびわ湖守山キャンパスは,地元守山市における地域振興策の重要な事業計画(「大学を核としたまちづくり」計画)の一環として誘致を受け,滋賀県民および守山市民の熱い期待と支持のもと,総額33億6500万円もの巨額な公的資金によってつくられました。ここに通った学生たちは皆,入学する際に守山キャンパスという新しい教育環境のすばらしさを熱心に説明され,それに同意して入学しました。

 守山キャンパスは,設立経緯からして,大学と地域との連携を進めるための「地域に開かれたキャンパス」であり,住民と学生との交流を踏まえて教育が行われる重要な人格形成の場でありました。学生たちの多くは守山キャンパスを基盤に地域の人々と活発にコミュニケーションを図り,現代福祉学科と国際コミュニケーション学科という2つの学科の特性を生かして地域福祉のボランティアや市民のための語学教室を開くなど多様な地域貢献活動を積極的に繰り広げました。こうした市民との交流を通じた正課外教育活動は,学生たちの「まちづくり」に対する参画意識を醸成し,それが正課教育における勉学や教育を受ける際の問題意識,価値観の内容を豊かにして教育効果を高めました。

 しかし,学校法人平安女学院理事会は,2004年4月19日,全学生への事前の説明もなく,また正規教授会の正式な了承も取り付けずに,思うように学生が集まらないという理由で守山キャンパスの廃止を一方的に決定しました。開設されてわずか5年目のことです。しかも,この廃止に伴い1年間の猶予さえ与えず全学生の合意も充分に得ないまま,在学生を全員高槻キャンパスに強制的に移動させました。その結果,守山キャンパスがあったからこそ可能であった正課外教育を含む様々な教育実践活動,および守山市という特定のまちづくりへの参画意識から芽生えた勉学の課題,そしてその課題意識を支えた市民との人的コミュニケーションの場,すなわち教育において最も大切な人格形成を促す場があっという間に消え去りました。これは移転の進め方も含めて学生の学ぶ権利(就学権)への重大な侵害です。

 大津地裁は,本件移転統合について,「高槻キャンパスと守山キャンパスとで施設の内容に差があるとしても,それが授業や学習の提供が不能になることと同視できる程度のものと言えるような事実は見あたらない」,すなわち,高槻キャンパスは大学設置基準を満たす施設があり,教育するうえで基本的に支障がない,したがって学ぶ権利への侵害はないとの判断を下しました。しかし,この判決は,キャンパスを特定の物理的施設として狭く解釈しており,大学と地域の連携に基づく今日的な大学教育のあり方について不理解を示すものです。大学教育は,最低限の設置基準を満たす施設さえあれば,場所はどこでもよいというものではありません。守山キャンパスで受け入れた学生については,最低限,卒業まで同一の教育環境と条件を保障すべきものと考えます。

 今日,日本の私立大学は「大学全入時代」をむかえ,平安女学院大学と同様に巨額な補助金で設置されたキャンパスを廃止したり移転する事例が少なくありません。また今後,私立大学の廃校や大学の吸収・合併といった事態が進行することも大いに予想されます。もし本件のように学生への事前説明も多数の合意もないまま学生の就学条件が強制的に変更され,同時に教育の重要な機能が損なわれることについて,司法が合法と判断するならば,今後の大学経営や教育のあり方に深刻かつ否定的な影響を及ぼすことは間違いありません。私たちはそのことを非常に懸念するものであり,その意味でこの裁判は,全国の大学で教育に従事する者のみならず,大学のあり方に関心をもつ多くの市民も注目しています。

 貴裁判所にあっては,控訴人を含め多くの在学生の「守山キャンパスで学びたい」という願いとそれが不可能となった学校法人による本件移転の進め方の問題性を深く理解され,公正な判断を下していただきますようお願い申し上げます。

1-2 署名サイトの様子

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス
就学権確認訴訟を支援する大学人の会

共同代表 福田 菊(龍谷大学元教授)
碓井敏正(京都橘大学教授)

 平安女学院大学は,2005年3月末,設置してわずか5年で「びわ湖守山キャンパス」を廃止しました。在校生の多くは移転反対もしくは同キャンパスで卒業したいと主張したにもかかわらず,全員一律に高槻キャンパスに移動させられました。これに伴う学生の学ぶ権利への侵害問題について,現在裁判所に提訴されています。
  この就学権確認訴訟は,2005年9月28日に大阪高裁で判決が出されます。私たち「訴訟を支援する大学人の会」は,緊急に以下の「要望書」を裁判所に提出したいと思います。「訴訟の経緯と意義」もご覧いただきネット署名に是非ご協力を下さい。

  (以下、直接ご覧下さい)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年08月08日 00:16 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog3/archives/2005/08/post_305.html

2005年08月03日

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会、大阪高裁宛「緊急ネット署名」を開始!

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会ホームページ
ネット署名サイト

 平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟は,来月の9月28日(水)に,大阪高裁にて判決が出されます。本件は,大学の全構成員自治と学生の学ぶ権利に関わる重大な裁判です。高裁ででいかなる判決が下されるかは,今後の私立大学の教育や事業運営のあり方に大きな影響を与えると考えます。そこで,大津地裁で判決が出されて以降,「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」の結成を準備してきました。高裁判決まで残りわずかな日数ですが,同会が中心なって裁判所宛の緊急の署名活動(ネット署名を中心とする)を展開することになりました。どうか,皆様のご協力をお願いします。
 なお,ネット署名のためのデータベースプログラムは,Academia e-Network Projectのご厚意により動かすことが可能になりました。この場を借りまして,お礼申し上げたいと思います。(ホームページ管理人)

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス
就学権確認訴訟を支援する大学人の会

共同代表 福田 菊(龍谷大学元教授)
碓井敏正(京都橘大学教授)

 平安女学院大学は,2005年3月末,設置してわずか5年で「びわ湖守山キャンパス」を廃止しました。在校生の多くは移転反対もしくは同キャンパスで卒業したいと主張したにもかかわらず,全員一律に高槻キャンパスに移動させられました。これに伴う学生の学ぶ権利への侵害問題について,現在裁判所に提訴されています。
  この就学権確認訴訟は,2005年9月28日に大阪高裁で判決が出されます。私たち「訴訟を支援する大学人の会」は,緊急に以下の「要望書」を裁判所に提出したいと思います。「訴訟の経緯と意義」もご覧いただきネット署名に是非ご協力を下さい。

ネット署名(第一次締め切り8月27日)はこちらのサイト



平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認請求事件
に対する公正な判決を求める要望書

大阪高等裁判所 民事5部1係
大和陽一郎裁判長殿

 貴裁判所に係属している就学権確認等請求事件は,大学における学生の学ぶ権利問題に関わる重大な事件であると考えます。そこで私たち全国の大学生の学ぶ権利の保障のため教職員,学生,一般市民から以下のような要望書を緊急に提出させていただきます。これを是非お読みいただき,日本の大学の将来と学生の学ぶ権利の保障のため,司法権として,公正なご判断を下していただけますよう心から要望いたします。

2005年8月30日

提出者代表 

要望書

 本件就学権確認等請求事件は,平安女学院大学に通う一人の女子学生(川戸佳代さん)が卒業するまでの間,びわ湖守山キャンパスにおいて就学する権利(教育を受ける権利)の確認とその履行を求めたものです。しかし,この求めは同大学守山キャンパスで学ぶ大多数の学生の切実な願いでもありました。

 学校法人平安女学院は,2000年4月,滋賀県守山市にびわ湖守山キャンパスを設置し,4年制大学の平安女学院大学(学部は現代文化学部)を開校しました。このびわ湖守山キャンパスは,地元守山市における地域振興策の重要な事業計画(「大学を核としたまちづくり」計画)の一環として誘致を受け,滋賀県民および守山市民の熱い期待と支持のもと,総額33億6500万円もの巨額な公的資金によってつくられました。ここに通った学生たちは皆,入学する際に守山キャンパスという新しい教育環境のすばらしさを熱心に説明され,それに同意して入学しました。

 守山キャンパスは,設立経緯からして,大学と地域との連携を進めるための「地域に開かれたキャンパス」であり,住民と学生との交流を踏まえて教育が行われる重要な人格形成の場でありました。学生たちの多くは守山キャンパスを基盤に地域の人々と活発にコミュニケーションを図り,現代福祉学科と国際コミュニケーション学科という2つの学科の特性を生かして地域福祉のボランティアや市民のための語学教室を開くなど多様な地域貢献活動を積極的に繰り広げました。こうした市民との交流を通じた正課外教育活動は,学生たちの「まちづくり」に対する参画意識を醸成し,それが正課教育における勉学や教育を受ける際の問題意識,価値観の内容を豊かにして教育効果を高めました。

 しかし,学校法人平安女学院理事会は,2004年4月19日,全学生への事前の説明もなく,また正規教授会の正式な了承も取り付けずに,思うように学生が集まらないという理由で守山キャンパスの廃止を一方的に決定しました。開設されてわずか5年目のことです。しかも,この廃止に伴い1年間の猶予さえ与えず全学生の合意も充分に得ないまま,在学生を全員高槻キャンパスに強制的に移動させました。その結果,守山キャンパスがあったからこそ可能であった正課外教育を含む様々な教育実践活動,および守山市という特定のまちづくりへの参画意識から芽生えた勉学の課題,そしてその課題意識を支えた市民との人的コミュニケーションの場,すなわち教育において最も大切な人格形成を促す場があっという間に消え去りました。これは移転の進め方も含めて学生の学ぶ権利(就学権)への重大な侵害です。

 大津地裁は,本件移転統合について,「高槻キャンパスと守山キャンパスとで施設の内容に差があるとしても,それが授業や学習の提供が不能になることと同視できる程度のものと言えるような事実は見あたらない」,すなわち,高槻キャンパスは大学設置基準を満たす施設があり,教育するうえで基本的に支障がない,したがって学ぶ権利への侵害はないとの判断を下しました。しかし,この判決は,キャンパスを特定の物理的施設として狭く解釈しており,大学と地域の連携に基づく今日的な大学教育のあり方について不理解を示すものです。大学教育は,最低限の設置基準を満たす施設さえあれば,場所はどこでもよいというものではありません。守山キャンパスで受け入れた学生については,最低限,卒業まで同一の教育環境と条件を保障すべきものと考えます。

 今日,日本の私立大学は「大学全入時代」をむかえ,平安女学院大学と同様に巨額な補助金で設置されたキャンパスを廃止したり移転する事例が少なくありません。また今後,私立大学の廃校や大学の吸収・合併といった事態が進行することも大いに予想されます。もし本件のように学生への事前説明も多数の合意もないまま学生の就学条件が強制的に変更され,同時に教育の重要な機能が損なわれることについて,司法が合法と判断するならば,今後の大学経営や教育のあり方に深刻かつ否定的な影響を及ぼすことは間違いありません。私たちはそのことを非常に懸念するものであり,その意味でこの裁判は,全国の大学で教育に従事する者のみならず,大学のあり方に関心をもつ多くの市民も注目しています。

 貴裁判所にあっては,控訴人を含め多くの在学生の「守山キャンパスで学びたい」という願いとそれが不可能となった学校法人による本件移転の進め方の問題性を深く理解され,公正な判断を下していただきますようお願い申し上げます。

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ここから以下に,ネット署名や紙署名をしてくださった方のお名前と所属等を用紙を添付して,大阪高裁に提出致します。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年08月03日 00:01 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年07月28日

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟控訴審、第1回口頭弁論 判決は9月28日

平安女学院大学 守山キャンパスの存続を守ろうの会
 ∟●裁判
  ∟●裁判日記(7月27日 控訴審第1回弁論
(大阪高裁に提出された書面=控訴人側)
「控訴理由書」
●「陳述書」3本(うち1つをHP掲載
●「意見書」2本

7月27日 控訴審第1回弁論

 大阪高等裁判所(大和陽一郎裁判長)にて控訴審の第1回弁論が行われました。私側は控訴理由書、陳述書3本(うち1つの陳述書)、意見書2本を、学院側は答弁書1本を提出しました。控訴審の弁論は本日を持って終結しました。次回、判決期日は9月28日(水)13時10分からです。是非、傍聴をお願い申し上げます。
就学権確認訴訟の控訴審について

平成17年7月27日

報道関係者 各位

就学権確認訴訟の控訴審について

平安女学院大学4年生
川戸 佳代(控訴人)

 本日、大阪高等裁判所(大和陽一郎裁判長)にて控訴審の第1回口頭弁論が行われ、終結しましたことをご報告申し上げます。なお、判決は、9月28日(水)13時10分から言い渡されます。

<控訴の意義>
 私は、平安女学院大学の社会的責任を問うためにこの訴訟を提起しました。平安女学院大学は滋賀県および守山市から巨額な補助金を受けて守山キャンパスを設置しておきながら、わずか5年で高槻キャンパスへの移転・統合を決定しました。私の弁護士も指摘するように、これはいわば「補助金の食い逃げ」です。学院側は関係自治体への了承を取り付けることもなく、また学生への十分な事前説明と納得を得る努力をしないままに一方的に統合を決定し強行しました。こうして行われた学院側からの就学権の侵害に対して,私は教育機関としての学院の社会的責任を追求したいと思います。

<就学権確認訴訟の公共性>
 私立大学の中には補助金によってバブル時に設置されたキャンパスの統廃合が起きています。第2次大学新設ブームと言われる1996年から2002年までに開学した80校が平安女学院と同じように、自治体から補助金を受け地域振興の名の下に設置されているようです(『大学激動 転機の高等教育』朝日新聞社出版、2003年)。このようななかで守られなければならないのは学生の就学権です。平安女学院大学のように、教育を商品化し、ビジネスのごとく振る舞う大学が今後も出てくることでしょう。このような大学は、短期的に「採算が合わない」と判断したら、学生の意向など無視してどんなことでも行うかもしれません。そうした場合、学生の学ぶ権利や就学条件はどこまで守られるのでしょうか。在学契約の趣旨はどこまで保障されるのでしょうか。これが私の訴訟における問いかけです。就学権確認訴訟の判決は、私立大学全体に関わってくることでしょう。

<自治体から補助金を受け設置された大学に見る学生の就学状況>
①石川県の七尾市が約10億円の補助金を投じて設置された七尾短大は、募集停止を余儀なくされましたが、2003年の春に最後の在学生を同大キャンパスからしっかりと送り出しています。

②北見市が約25億円を投じて1977年に設置された北海学園北見大学は、自治体の了承を取り付けたうえで、2006年3月末をもって北海学園北見大学を北見キャンパスから撤退させ、同年4月より札幌市内のキャンパスに移転させることを決めました。入学前に移転を知らされなかった学生は、北見キャンパスで卒業まで就学することになっています。

③山口県と萩市が40億円の補助金を投じ1999年に開学した萩国際大学は、民事再生を申請しました。安部一成理事長は、「責任持って卒業まで面倒を見ることが社会的責任」、「学生や保護者には申し訳ない。学生が卒業するまではきちっと面倒をみる」と述べました。さらに、中山文部科学相は会見で「教育的な観点に立った再生計画がなされるものと期待しております」と述べています。

<経営破綻した立志館大学に見る学生の就学状況>
 私立大学として初めて経営破綻した(2003年)立志館大学の場合、在学生のうち希望する学生は近隣の呉大学に転学することができました。文部科学省高等教育局私学部長は、衆議院文部科学委員会(第156回国会第1号 平成15年2月25日)において、 「・・・一つには、学生本人の同意が得られた場合には在学生をこの呉大学へ転学させること、二つには、卒業まで現在の立志舘大学のキャンパスで授業を実施すること、三つには、転学にかかる入学金、委員御指摘の入学金の件でございますが、免除するということなどを前提に、すなわち在学生の負担が少しでも軽減されるような配慮を」と答弁しています。

 学院側には、このような入学前に学生に示した学びの条件を保障することを前提とした経営改善計画が求められるべきであると思います。

 文部科学省が転学支援プログラムを昨年3月に発表しましたが、学生の就学条件を他大学の異なる学部で保障することは大変難しいことです。また、近隣に転学先がない大学も多くあります。転学支援だけでなく、学生が入学したキャンパスで引き続き就学できるための支援策が検討されるべきであると私は考えます。

 この裁判において、キャンパスで「学ぶ権利」が認められなければ学生は救済されないことになり、今後、教育現場に大きな打撃を与えることになります。

<今後の活動について>
 全国の大学関係者の間で私を支援する動きが広がってきており、近く会が発足する見通しです。

今回の裁判についての詳しい情報は、次のホームページをご覧下さい。

「平安女学院大学守山キャンパスの存続を守ろうの会」
http://www.geocities.jp/ncgqg099/index.html


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年07月28日 01:22 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog3/archives/2005/07/1_2.html

2005年07月27日

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟控訴審、本日 大阪高裁で口頭弁論が開催

 本日,7月27日午前10時40分から大阪高等裁判所別館8階81号法廷にて,平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟控訴審の口頭弁論が開かれます。この控訴審は,5月24日に控訴状を提出してから,すでに控訴人側から地裁判決を踏まえた「控訴理由書」,および3つの「陳述書」,2つの「意見書」が提出されました。今回はそれを受けての口頭弁論です。しかし裁判手続きとしての口頭弁論は今回が最初にして最後となります。控訴人は同大学の女子学生。

 平安女学院大学は,2000年4月,滋賀県および守山市から巨額な補助金を受けて守山キャンパスを設置しておきながら,わずか5年で同キャンパスを廃止し高槻キャンパスへ移転・統合を決定しました。しかもこの決定を,関係自治体への了承を取り付けることもなく,また学生への十分なる事前説明と合意を得る努力をしないままに一方的に強行しました。本件訴訟では,こうした大学による就学権の侵害と,教育機関として社会的道義にもとる行為に対する責任追求が意図されています。
 この裁判は,これまで地裁段階を通じて,基本的に控訴人(原告)である女子学生の1人の奮闘によって進められてきた。しかし,現在,全国の大学関係者の間で支援の輪が広がってきており、近々「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」を発足して,判決まで短い間ですが,本格的な支援に乗り出すことにしています。裁判所宛の署名活動を中心に活動を展開しようと考えていますので,皆様のご支援をよろしくお願い致します。(ホームページ管理人)

控訴人の作成するHP 「平安女学院大学 守山キャンパスの存続を守ろうの会」
大阪高裁の場所→http://www.mapion.co.jp/c/here?S=all&F=mapi2430749050722234625

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2005年07月20日

立命館と平安女学院、キャンパス無償取得に関わる特別な関係の一部が顔を現す?

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2005071600033&genre=F1&area=K00

  上記は京都新聞の記事であるが,立命館大学が,立命館アジア太平洋大も含めて,平安女学院高校から計30人を受け入れる特別推薦枠を来年度から設けるというニュースである。全学部を対象にしたこれほど大規模な特別推薦枠を設けるのは初めてという。
 ある意味,一見すると何の変哲もない内容であるが,その経緯について京都新聞は次のように説明している。

 「今年5月、平安女学院大びわ湖守山キャンパスの移転問題にからんで、守山市立守山女子高を立命館に移管する協定が結ばれた際、両学校法人間で特別推薦枠を含む学術交流協定を結んでいた。」

 この一文を読んで,読者はこの内容を理解することができるであろうか。「守山市立守山女子高を立命館に移管する協定」が結ばれる問題が,何故に「「両学校法人間で特別推薦枠を含む学術交流協定」が結ばれる問題につながるのかである。京都新聞は,なぜこの点をきちんと説明しないのか。

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2005年07月04日

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス統合問題に関する守山市議会の審議経過

平安女学院大学 守山キャンパスの存続を守ろうの会
 ∟●びわ湖守山キャンパス統合問題に関する守山市議会の審議経過(トップページより)

 上記「守山市議会の審議経過」では,平安女学院大学びわ湖守山キャンパス移転・統合問題について,2004年度守山市議会でいかなる議論がされたのか,その全ての記録が掲載されている。 
 平安女学院大学が守山キャンパスを廃止し,高槻キャンパスへ移転・統合を決定するにあたり,約25億6,500万円の補助金を出した守山市(8億円の補助金を出した県)に対して,同大学理事会は事前の説明もなく,また統合決定後半年を経た9月末段階でも最低の大学財務資料を提出したり,市の側と協議のテーブルに着くことがなかったことがわかる。さらに,統合が実施される3ヶ月前の段階に至っても,市側が納得する説明内容はなかったようだ。
 また同様に,同理事会はキャンパスで学ぶ学生に対して,事前説明はおろか,理解を得るための話し合いの場も十分に持たなかった。その結果生じた学生の学ぶ権利への侵害(就学権の侵害)問題が,守山市議会において,いずれの会派の議員からも問題にされている。

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス統合問題に関する守山市議会の審議経過

(以下,一部抜粋)

平成16年第3回守山市議会定例会会議録(第2日)
2004年9月24日

■本城政良議員 (質問)
……開学からわずか5年目のこの4月に、本市に事前の説明もないままに、来年度に高槻キャンパスに統合するということが決定され、通知されたということについて、今日まで進めてきた大学を核としたまちづくりを期待してきた市民や行政、議会に対しての説明責任を果たしてほしかったという思いがあり、遺憾に思っております。

…… 高槻への統合によって一番迷惑をしているのは当の学生さんであります。聞き及ぶところでは、守山キャンパスの存続を求め署名活動をしていることや、一部の学生は議員に同行して文部科学省へ行っているとの報道もありましたが、このことで大学側が態度を硬化しているとも聞き及びます。こうした学生の存続を求める気持ちは、学生にとっては当然と思います。……このような中で、市長はこの学生の思いに対してどうお考えでしょうか、お伺い申し上げます。
▲市長 (答弁)
…… 次に、存続を求めます学生の思いに対してでございますが、平安女学院大学の問題は、法人だけの問題ではなく、学生や保護者、市民などさまざまな立場にある方の理解が得られる形で決着をさせねばならない大変難しい問題であると認識いたしております。中でもまず考慮すべきは、今ここに学ぶ学生への配慮でありまして、大学側としては学生さんに対して、まずは統合せざるを得ないとする理由を、経営状態も含めまして、しっかりと説明し理解を求める姿勢が必要であると考えます。その他、学生への誠実な対応が見られません限り、市としては統合を認めるわけにはいかないとの立場でございます。さらに、大学側は市に対しましても、設立時の多額の補助金に対して誠実な対応が求められると考えます。

平成16年第4回守山市議会定例会会議録(第2日)
2004年12月14日

■高田正司議員 (質問)
……さらに、過日、新聞報道によりますと、平安女学院の学生の一人が就学権の確認訴訟を提訴されたとお聞きしておりますが、このことについても市長はどのように受けとめ、どう対応されているのかお伺いするものであります。
▲市長 (答弁)
…… 今日まで、平安女学院大学は、守山キャンパスの統合問題について、当方、私どもとの合意はもとより、明確な説明もないままに統合を既成事実化いたしまして、その準備を着々と進めておられます一方、市から受けた補助金の取り扱いについて何ら協議をしようとしない一連の行動は、まことに遺憾であります。
 こうした中、先般来より学院に対して、統合についての明確な説明を求めておりましたところ、過日、学院から学生数の減少傾向、あるいは毎年度の会計収支状況を示す書類が提示されまして、統合により学院経営上の経済的効果が期待できることなど一定の説明を受けるに至りました。しかしながら、統合により経費の削減ができるとしているにもかかわりませず、引き続き別の形で大学機能を残すなど、経営上矛盾している点がございます。まだまだ納得できないところでございます。……

■木村眞佐美議員 (再質問)
 ……この平安女学院大学の学生がお願いをしている弁護士さんは、なぜ守山市が学生が訴訟をする前にやらなかったのか。守山市の顧問弁護士とは随分判断が違います。弁護士によっていろいろあるでしょうけれども、私は、そのことが非常に残念です。
 女子学生は、4月の新聞報道から始まって、学生としてのSOSを守山市に、そして滋賀県に、文科省に訴えてきたんです。しかし、だれも助けてくれなかった。今は補助金の話が先行しているようで残念でならない。「気持ちがよくわかる」では学生の問題は済まされないと思うんです。彼女は、補助金を交付し平女を誘致した守山市だからこそ署名をそれぞれの行政府のトップに渡したんです。
 平女の経営問題ではなくて、学生の教育問題として市長はどのように考えているんですか。学生や保護者にとって、この統合は自分の進路を変える一生の問題。そういう深刻な問題なんです。市長も署名されましたよね。学生が守山市内で必死の思いで集めた1万筆を超える署名を受けとってから、いつ、どこで、だれと、どのような話し合いをされて、守山キャンパス存続のためにどのように説得をしてこられたのか、詳しく明らかにしていただきたいと思います。……
▲市長 (再答弁)
…… 開設されましたときに多大の補助金を県と私どもで出しました。現在の大学の対応を見ておりますと、そういう多額の補助金を支援していただいたというような気持ちがかけらも感じられません。また、一方的に高槻に統合をするということをお決めになった説明が一切なかったということもさることながら、そのことに関して申しわけないという気持ちも一向に伝わってまいりません。しかも、先ほどから申してますように、チラシなどを一方的に配布される。これはもう、やはり信頼まだまだできない。
 そういう中で、学生さんが自分たちの就学権を訴えられる。当然のことだと思います。ただ、繰り返しますが、私どもが今の状態をつくったのでは決してなくて、学生さんたちに対しても、学生さんたちが話し合いの場を求めておられるのを一度もしっかりとした場を持たないような現在の大学にこそ、すべての責任があるわけでございます。……


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2005年06月29日

大学と教職員の社会的責任とは何か、平安女学院での学生裁判が投げかけるもの

京滋私大教連
 ∟●大学と教職員の社会的責任とは何か、平安女学院での学生裁判が投げかけるもの
人生経験を豊かにしてくれた二年三ヶ月(京滋私大教連前執行委員長 細川孝)

大学と教職員の社会的責任とは何か
-平安女学院での学生裁判が投げかけるもの-

龍谷大学 細川 孝

 五月二三日午後一時過ぎ、私は大津地裁第一号法廷の傍聴席にすわり、一つの裁判の判決言い渡しを待っていました。事件の名前は「就学する権利等確認請求事件」です。原告は一人の学生です。原告側の席に、弁護士と並んで座る彼女は、どこか見覚えのあるような顔です。
 私は昨年一年間非常勤講師で出講した大学で、彼女の名前を知りました。前期に私が担当した授業の受講生名簿には、確かに彼女の名前が記されていました。しかし、数回出席した後、彼女は私の授業に出席することはなくなり、顔と名前が一致することはありませんでした。
 昨年前期にこの大学では、彼女らが学ぶキャンパスが別のキャンパスに統合されるという問題が浮上しました。私は、この統合に反対する学生の自主的な運動の中に彼女の名前を見つけました。彼女は一○月二六日には、自ら学ぶ学院を訴える裁判を起こしました。
 このような経緯から私はこの裁判に大きく注目してきました。同時に、このキャンパス統合問題が生じた時期、わたしは京滋私大教連委員長の任にあり、学生たちのたたかいを支援できないものかと思いつつも、傍観を続けてきたという自責の念がありました。
 三月一二日に開催された京滋私大教連臨時大会の退任挨拶の中で、私は彼女のことを紹介し、五月二三日には判決を聴きにいってくると発言しました。判決を聴きに行って、何になるものでもありませんが、私の残された宿題は形の上では片づけることができました。
 しかし、彼女、そして彼女を支援する学生たちの運動が提起した問題は、大学に関わる私たちに鋭く突きつけられたままです。日本の大学はいま、大きな困難に直面しています。そのような中で、入学した学舎で勉学を続けられないといったような「学生の学ぶ権利」を私たちが一緒になって確立しようとしているのか、厳しく問われていると感じています。
 裁判所で見た毅然とした彼女の姿、記者会見でみせた彼女の美しい涙、私にとっては、忘れられない一シーンとなりました。しかし、それは記憶の片隅にとどめて置くべきものではなく、たえず私(たち!)のありようを問いかけるものとして記憶されなければならない、そのように強く感じたのです。

*彼女たちの会の運動は、以下のURLで知ることができます。
http://www.geocities.jp/ncgqg099/index.html

[追記]五月二四日、地裁での判決を不服として、原告の学生は大阪高裁に控訴しました。私は一人の大学教員として、彼女のたたかいを支援していきたいと思っています。
 この問題についてのご意見をぜひお聞かせください。


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2005年06月28日

立命館と守山市、「守山女子高等学校の移管にかかる覚書について」

守山女子高等学校の移管にかかる覚書について(広報もりやま 平成17年(2005年)6月15日号)

 下記は,学校法人立命館と滋賀県守山市との間で,5月17日に交わされた「守山女子高等学校の移管にかかる覚書」の要旨である。この「覚書」には,平安女学院大学びわ湖守山キャンパスが市の所有になった時には、同キャンパスの土地と建物を立命館守山高校の学校用地および校舎として立命館に無償譲渡することが述べられている。

 学校法人立命館が守山女子高校を取得するに至った経緯とその非民主主義的なやり方の問題もさることながら,それに加えて下記の如く,平安女学院大学キャンパスの土地と建物の立命館への無償譲渡が,アッという間の出来事として,ほとんど密室での議論によって決定されるに至ったことは,驚くべきことである。守山市議会でも十分な議論が尽くされたとは言い難い。

 もともと,平安女学院大学守山キャンパスは,同市が「大学を核としたまちづくり」の一環として,大学を誘致するために,年間一般会計予算の27%にあたる25億6500万円もの巨額な公金によって建設されたものである。市民のその期待に応えて,滋賀県も8億円補助金を出した。この巨額な補助金を出すにあたっては,大学と市との間で「基本協定」が締結された。言うまでもなく,この「基本協定」(未だ破棄されてはいないと思われる)の目的も,また守山市民が血税を出した趣旨も,学校法人立命館の高校拡張事業の展開のためにあったのではない。したがって,この公金によって建設された同キャンパスは,立命館に無償で横流しされる理由は全くないものである。

 しかし,今回,立命館に対して無償譲渡されるに至った手続きは,極めて不正常なものであった。立命館の川本理事長と平安女学院の山岡理事長,そして守山市長の話し合いの内実も公開されているわけではない。私は,立命館大学の理事やそれに関わった学内関係者に対し,一体どのような正当な理由があって,守山市民の血税と公的資産をタダで取得できると考えているのか,聞いてみたいと考えている。単に赤字の市立守山女子高校(公立高校である限り収支面から考えて赤字になるのは当たり前)を引き受ける見返りとして,キャンパスがタダでもらえるとでも考えているのであろうか。あるいは,下記の「覚書」にあるように「市民文化講座などの開催や市をはじめとする県下の学校教員に対する理科・数学・英語研修の実施など大学教育機能を展開する」から,総額50億とも60億とも言われる同キャンパスの土地と施設を無償取得できるのだと,考えているのだろうか。

 この問題は,要するに大学と地域との関係における民主主義のあり方の問題である。立命館大学は,自らの教学理念をわれわれのかつての総長であった末川博以来の「平和と民主主義」におくならば,今回の問題においていかに徹底して民主主義が貫かれたのかを説明する責任がある。もし,それを公にして議論できないような大学であれば,いかに立派な施設が建てられ,規模が拡大されようが,それは立命館大学の崩壊の始まりである。教学理念と現実の行為は乖離し,言葉でいかに民主主義を唱おうが市民からは信用されることがないからである。(ホームページ管理人)

守山女子高等学校の移管にかかる覚書について

 市立守山女子高等学校の移管について去る5月17日に市は、学校法人立命館と「学校移管にかかる覚書」を締結しました。覚書は前文と本文7条からなり、設置者変更についての基本的事項を定めています。ここではその概要をお知らせします。

 …(中略)…

 校地の確保(第6条関係)については、今後、立命館守山高校の生徒数(中学校を併設する場合)を1200名規模とする場合、市は、その校地確保に責任を持ってあたっていきます。また、平安女学院大学びわ湖守山キャンパスが市の所有になった時には、同キャンパスの土地と建物を立命館守山高校の学校用地および校舎として立命館に無償譲渡します。
 ただし、
(1) 立命館は、市から無償譲渡を受けた旧守山女子高校の校地および校舎を立命館の負担で解体し、整地の上、その跡地を市に無償譲渡すること。
(2) 立命館守山高校が市から撤退する場合は、立命館は市から譲渡を受けた土地・建物を市に無償返還すること。
(3) 立命館は、守山キャンパス内に大学教育施設を設置し、市民文化講座などの開催や市をはじめとする県下の学校教員に対する理科・数学・英語研修の実施など大学教育機能を展開すること。このほか立命館の知的資源を生かし、守山市のまちづくりの発展に寄与する諸事業を展開すること。
を条件として無償譲渡することとしています。

 以上が覚書の概要です。この覚書の実施(第7条関係)にあたっては、必要に応じて契約書を交わすなどして、両者が移管に向けて協議しながら、着実に取り組んでいきます。

女子高校移管対策室

 因みに,昨年2004年度における守山市議会の中で,平安女学院大学守山キャンパス統合をめぐってどのような議論がされていたか,抜き出してみた。市長にあっては,2005年4月以降に急展開した事態とは基本的に正反対のスタンスである。ただし,この過程において,同市長と立命館の川本理事長,および川本氏と山岡氏が,それぞれ守山女子高校および同キャンパスをめぐって秘密裏に会合していたことが知られている。その結果は,2005年4月になって突如,マスコミに公表された。それ以降,急転直下のごとく事態は進んだ。

新春まちづくり対談!~平安女学院大学生&山田市長~(守山市広報2004年1月1日号)

[平成16年第1回守山市議会定例会会議録、2004/03/12]
平安女学院との覚書の履行について(質問=木村眞佐美)
平安女学院との覚書の履行について(木村氏に対する政策監答弁)

平安女学院との覚書の履行についての再質問(質問=木村眞佐美)
平安女学院との覚書の履行についての再答弁(木村氏に対する政策監答弁)

[平成16年第2回守山市議会定例会会議録、2004/06/11]
平安女学院大学守山キャンパスについて(質問=木村勝吉)
平安女学院大学の高槻統合について(木村氏に対する市長答弁)

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス撤退について(質問=廣實照美)
平安女学院大学びわ湖守山キャンパス撤退について(廣實氏に対する市長答弁)

■平女学生らが統合反対署名を市長に提出(広報もりやま 平成16年8月1日号)
http://www2.city.moriyama.shiga.jp/koho/040801/body24.html

[平成16年第3回守山市議会定例会会議録(第2日)、2004/09/24]
平成16年第3回守山市議会定例会(平成16年9月)市長の施政方針

平安女学院大学守山キャンパスについて(質問=本城政良)
平安女学院大学守山キャンパスについて(本城氏に対する市長答弁)

平安女学院大学、守山キャンパス撤退について(質問=山川明男)
平安女学院大学、守山キャンパス撤退について(山川氏に対する市長答弁)

平安女学院大学キャンパス統合問題について(質問=大瀬洋子)
平安女学院大学キャンパス統合問題について(大瀬氏に対する市長答弁)

平安女学院大学、守山キャンパス撤退についての関連質問(質問=菱倉佳代)
平安女学院大学、守山キャンパス撤退について(菱倉に対する市長答弁)

[平成16年第3回守山市議会定例会会議録(第3日)、2004/09/27]
平安女学院大学について(質問=木村眞佐美)
平安女学院大学について(木村氏に対する市長答弁)

平安女学院大学について(質問=木村眞佐美)
平安女学院大学について(木村氏に対する市長答弁)

[平成16年第4回守山市議会定例会会議録(第2日)、2004/12/14]
平安女学院大学について(質問=高田正司)
平安女学院大学について(高田氏に対する市長答弁)

「平安女学院大学 守山キャンパス高槻に統合」問題について(質問=富樫 孝)
「平安女学院大学 守山キャンパス高槻に統合」問題について(富樫氏に対する市長答弁)

平安女学院大学の統合問題について(質問=木村眞佐美)
平安女学院大学の統合問題について(木村氏に対する市長答弁)

平安女学院大学の統合問題について(質問=木村眞佐美)
平安女学院大学の統合問題について(木村氏に対する市長答弁)

平安女学院大学の統合問題についての関連質問(質問=坂田 健)
平安女学院大学の統合問題についての関連質問について(坂田氏に対する市長答弁)

平安女学院大学の統合問題についての関連質問についての再質問(質問=坂田 健)
平安女学院大学の統合問題についての関連質問についての再答弁坂田氏に対する市長答弁)

平安女学院大学の経過(2005/02/01)

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年06月28日 01:51 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog3/archives/2005/06/post_44.html

2005年06月20日

平安女学院大学守山キャンパス就学権訴訟を考える

教育を考える Edu-Garden
 ∟●教育徒然草
  ∟●平安女学院大学守山キャンパス就学権訴訟を考える

はじめに

 平安女学院大学びわ湖守山キャンパス(滋賀県守山市)で、2004年に突然「2005年4月からキャンパスを閉鎖し、在学生は高槻キャンパス(大阪府高槻市)に就学させる」と大学側が決定しました(※両キャンパス間は約50キロ、JR東海道本線新快速とバスを乗り継いで所要時間約1時間半)。そのことを不服として、学生有志でつくる団体「平安女学院大学守山キャンパスの存続を守ろうの会」代表の学生が大学を相手取って、守山市で就学する権利の確認などを求めた訴訟(就学権訴訟)を起こしました。

 1審大津地裁では2005年5月23日に、学生側の請求を退ける判決が出ました。〔1審大津地裁「平成16年(ワ)第573号 就学権確認等請求事件」判決文

 それに対して学生側は控訴し、大阪高裁で審理がおこなわれています。

 本稿では、原告側を全面的に支持する立場から、就学権訴訟を考えたいと思います。

……以下,省略。上記URLを参照して下さい。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年06月20日 00:28 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog3/archives/2005/06/post_5.html