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 カテゴリー 新首都圏ネットワーク

2007年04月04日

首都圏ネット、声明「国立大学の基盤を崩壊させる運営費交付金配分のさらなる競争主義化-経済財政諮問会議有識者議員による大学・大学院改革の提言-」

首都圏ネット
 ∟●声明「国立大学の基盤を崩壊させる運営費交付金配分のさらなる競争主義化-経済財政諮問会議有識者議員による大学・大学院改革の提言-」

《声明》 国立大学の基盤を崩壊させる運営費交付金配分のさらなる競争主義化-経済財政諮問会議有識者議員による大学・大学院改革の提言-

2007年3月30日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

 2月27日の経済財政諮問会議において,「成長力強化のための大学・大学院改革について」と題する有識者議員による提言が発表された.有識者とは伊藤隆敏氏(東京大学大学院経済学研究科(兼)公共政策大学院教授),丹羽宇一郎氏(伊藤忠商事株式会社 取締役会長),御手洗冨士夫氏(キヤノン株式会社代表取締役会長 日本経済団体連合会会長),八代尚宏氏(国際基督教大学教養学部 教授)の4名である.提言及びそれに関連する資料や会議での議論は経済財政諮問会議のサイト(http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0227/agenda.html)を参照していただきたい.……


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2006年09月11日

労働条件、労働契約等の観点から見た2005年学校教育法改正に基づく教員組織変更の問題点

新首都圏ネットワーク
 ∟●労働条件、労働契約等の観点から見た2005年学校教育法改正に基づく教員組織変更の問題点

労働条件、労働契約等の観点から見た2005年学校教育法改正に基づく教員組織変更の問題点

2006年9月8日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

1.はじめに

 2005年の学校教育法改正に伴い、従来の助手が2007年4月より、「助教」と「(新)助手」へと分割の上職種変更される。この法改正による教員組織変更について、本事務局は法案審議の段階からその問題点を指摘してきた(注1、2、3)。現在、各大学においてこの法改正に基づく学則等の改定作業が進められている。しかも、多くの大学で最終判断を部局任せにしている傾向が見受けられる。しかしながら、今回の措置が教員組織の再編という制度設計にかかわっており、さらに、以下に述べるように助手から「新助手」への移行や、助教への任期制の付与などには労働条件、労働契約等の変更に関わる重要な問題が含まれている。したがって大学側による一方的な職種変更は認めることはできず、労働組合との団体交渉によって労働条件、労働契約上の問題をしっかりと議論し、労使の合意のもとに進めていかねばならない。

……


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「国立大学法人の平成17年事業年度財務諸表の概要」の別紙資料の公表について

新首都圏ネットワーク
 ∟●「国立大学法人の平成17年事業年度財務諸表の概要」の別紙資料の公表について

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2006年09月01日

新首都圏ネット、御手洗冨士夫氏の国立大学観-国立大学法人評価委員会委員としての言動を追う-

新首都圏ネット
 ∟●【議事録耽読 国立大学法人評価委員会(その2)】 御手洗冨士夫氏の国立大学観 -国立大学法人評価委員会委員としての言動を追う-

【議事録耽読 国立大学法人評価委員会(その2)】
御手洗冨士夫氏の国立大学観
-国立大学法人評価委員会委員としての言動を追う-

2006年8月31日
国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局
評論員 βω

要旨

「大九州大学」なる構想を公言し始めた日本経団連の御手洗冨士夫会長は、かつて、国立大学法人評価委員会の第1期委員を務めていた。御手洗氏のこのような国立大学観の国立大学法人評価委員会の活動への反映の程度の測定が、本稿の目的である。御手洗氏の国立大学法人評価委員会の総会や分科会への出席は2005年度は皆無である一方、2004年度までの会合では、大学出身の委員の意見に対立する主張を御手洗氏はしばしば述べてきた。国立大学法人評価委員会の席での御手洗氏の主張は、総じて、委員の多数に受け入れられているとは言えない。とはいえ、第1期で任期を終えた御手洗氏を初めとする産業界による、国立大学法人評価を通じた国立大学への介入に警戒を怠ってはならない。

……


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2006年02月10日

新首都圏ネット、新潟大学に見る国立大学業務の外注化

新首都圏ネットワーク
 ∟●新潟大学に見る国立大学業務の外注化

新潟大学に見る国立大学業務の外注化

国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

 新潟大学では運営費交付金の削減と団塊の世代の大量退職を前に、事務協議会事務改善検討委員会のもとに外注化検討WGをもうけ、事務業務のシステム化に伴い、外注化可能な業務を検討してきた。2005年末、その検討の結果を外注化案として1期(19年度)、2期(20年度以降)に分けて提示。この案には病院の業務は検討中ということで含まれていない。ここにその報告案全文を掲載する。

 この外注化案は「総人件費抑制」に沿って、文科省が国立大学法人の人件費5%削減計画策定を押しつける以前に策定された案であり、あらたな5%削減案はこうした流れを大規模に加速するものと思われる。

PDFファイルはこちら

……


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2005年11月10日

新首都圏ネット、「国立大学入学料標準額の値上げは文科相国会答弁に明白に反する」

新首都圏ネット
 ∟●国立大学入学料標準額の値上げは文科相国会答弁に明白に反する
【議事録耽読 国立大学法人評価委員会(その1)】

国立大学入学料標準額の値上げは文科相国会答弁に明白に反する

2005年11月8日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

 『共同通信配信記事』 2005年11月7日付(he-forum 9310)および『朝日新聞』2005年11月8日付(he-forum 9312)によれば、国立大学協会総会席上、文部科学省担当者が、国立大学の入学料標準額を現行の28万2000円から値上げする案が財務省において検討されていると報告したという。入学料標準額が値上げされるならば、今春の授業料標準額値上げの際と同様、必然的に運営費交付金の削減をもたらす。本事務局は、直ちに大学関係者が入学料標準額値上げ策動を阻止するために行動を開始されることを訴えるものである。その際、有力な武器の一つとして、入学料標準額値上げを明確に否定、あるいは値上げ抑制を主張した文部科学大臣の国会答弁があるので、資料として紹介する。
 この点については、意見広告の会ニュース280号(2005年5月19日)においても
 
 資料の紹介と解説があるので、合わせて参照いただきたい。……


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2005年10月17日

新首都圏ネット、シリーズ《国立大学法人制度:1年半後の現状》の開始に当たって

新首都圏ネット
 ∟●シリーズ《国立大学法人制度:1年半後の現状》の開始に当たって
分析メモ:国立大学法人評価委員会による「国立大学法人の平成16年度に係る業務の実績に関する評価」について(2005年10月15日)

シリーズ《国立大学法人制度:1年半後の現状》の開始に当たって

2005月10月15日
国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

 2004年4月、国立大学が国立大学法人法によって法人化されて以来、1年半が経過しました。先月(2005年9月)には法人化第1年度の財務諸表が各大学から公表され、国立大学法人評価委員会からの評価も発表されました。国立大学法人評価委員会の野依委員長は、「全般的には、法人化を契機として、あるいは法人化のメリットを活かして改革に積極的に取り組んでおり、法人化初年度の限られた時間の中で、法人としての経営基盤を確立し、中期計画を順調に実施していることを高く評価します。」との所見を述べています。

 しかし、「法人化のメリット」どころか、大学の危機は、財政的にも制度的にも予想を越えるスピードで進行しているというのが現場の教職員の偽らざる実感ではないでしょうか。

 また、財政基盤の弱体化や少子化を原因として、数年後には国立大学の大きな再編淘汰も避けられないという見通しもあります。このような中で各大学は「評価」におびえ、「改革」を競わされているのです。

 大学の大きな役割である基礎研究はすぐれて個人的な営みであり、自立した個人の自由な発想に基づいています。しかし今トップダウンで進められている「改革」の目指している大学は、そのような個々の教員や院生・学生を励ますようなものでしょうか。むしろ「評価」、「中期目標」、「競争的資金」によってがんじがらめにしようとしているのではないでしょうか。私たちはそのような「改革」のあり方や枠組み自体にまず根本的にノーと言うべきだと考えます。そのうえで、協力に基づく新たな大学システムを構築すべきです。

 そのための基礎作業として、本事務局は、この間公表された財務諸表や評価委員会文書だけでなく、広く政府諸機関発表の資料などを分析し、国立大学法人制度に対する現状告発作業を集中的に行いたいと思います。これらの告発作業は、国立大学法人制度にかわる新たな大学システム構築の基礎的な準備作業でもあります。

 シリーズの第一回は、『分析メモ:国立大学法人評価委員会による「国立大学法人の平成16年度に係る業務の実績に関する評価」について』です。さらに、『国立大学法人財政制度の構造的問題』、『総合科学技術会議が進める科学技術政策の根本的問題』、『小泉構造改革の急進化と大学』などを準備中です。同様な問題意識をお持ちの読者諸氏からの投稿も歓迎いたします。


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2005年09月12日

新首都圏ネット、財務諸表の正確な分析作業を進めよう

新首都圏ネット
 ∟●財務諸表の正確な分析作業を進めよう
■「意見広告の会」ニュース298より

財務諸表の正確な分析作業を進めよう

大学財政問題分析検討ワークショップニュースレターNo.5
2005年8月31日
大学財政問題分析検討ワークショップ実行委員会

資料:
国立大学法人の財務諸表とフリーキャッシュフロー(FCF)分析
短期的なフリーキャッシュフロー(FCF)計算のためのワークシート

8月13日に開催した「大学財政問題分析検討ワークショップ」には、全国の大学からの多くの参加者にお越しいただきました。まずここに、実行委員会からお礼申し上げます。

東京大学の醍醐聰教授に当日いただいた講義ならびに演習で我々が得た成果を踏まえ、ワークショップの趣旨と参加者の総意とに基づいて、全国で国立大学の財政問題を考える皆様に財務諸表の分析作業を呼びかけます。

1. マスコミによる評価・評論は大学財政の実体をとらえていない

8月20日付の日経新聞が「国立89大学、純利益合計は1100億円」と報じて以来、全国紙、地方紙とも国立大学の「黒字」を報じている。「民間ベース」で国立大学法人の財政、とりわけ収支を論じるこれらの報道が、来年度の国立大学の運営費交付金を大幅に減額する呼び水となることを危惧する声が聞かれる。

これに対して我々は、そのような危惧に理解を寄せる一方、国立大学法人の会計について報道が欠く認識を指摘しておく。

1.1 法人化初年度の国立大学の「純利益」は特殊要因を含んでいる

報道は、損益計算書に示された当期純利益に着目している。しかし、この数値には法人化に伴う旧国立大学からの物品や債権の受贈益等と法人化関連の諸経費等との差額が含まれることは新聞報道も述べる通りである。損益計算書では、

当期純利益=経常利益+(臨時利益-臨時損失)

と示されているが、法人化に伴う収益、支出の一定部分がそれぞれ臨時利益、臨時損失として処理されている。つまり純利益は法人移行に関わる収支と大学としての恒常的収支との混合物である。法人化以前の国立大学や既存の民間企業と、損益の大小等を比較議論するためには、純利益ではなく経常利益に基づいた議論が必要である。しかも、我々が確認できた範囲では、少なくない大学でこの臨時利益が臨時損失を上回っている。国立大学財政にとって、法人化は特殊要因であり、かりに、国立大学法人の恒常的な業務活動の結果を民間企業に準じた損益計算書で表そうとするのであれば、こうした一過性の特殊要因に起因する臨時損益を除外した数値(具体的には経常利益)を参照するのが合理的である。例えば東京大学の純利益は6,966百万円だが、経常利益は5,277百万円、この二つの数値の間には約3割の差異がある。新聞報道において、見出しで当期純利益に基づく数値を掲げ、本文では臨時利益が純利益をかさ上げしたと一言で解説を終える、という報道手法がとられるならば、それはミスリーディングであると指摘せざるを得ない。

1.2 国立大学法人の損益計算書自体が持つ複雑さには十分な留意が必要

国立大学法人の損益計算書に依拠した議論の問題点について、ここに言及する。結論を初めに記せば、国立大学法人会計基準に則った会計処理における損益計算書上の経常利益にもまた、企業会計原則に基づく損益計算書とは単純に比較できない問題があり、かつ大学財政の実体をとらえきれない。我々は、損益計算書の純利益への着目ではなく、後述するフリーキャッシュフロー(FCF)分析が大学財政の実体の理解により寄与すると考え、これを財務諸表分析の一手法として提起する。

国立大学法人会計基準に基づいて作成される損益計算書に関連して、以下に三点にわたり、その複雑さ、企業会計原則と異なる会計処理を指摘する。

その1  資産取得に伴った、国立大学法人会計基準における会計処理の複雑さ

国立大学法人の損益計算書には、国立大学法人会計基準に照らして次のような複雑さがある。同基準において、固定資産の会計処理は、固定資産の取得の財源別、及び取得した資産の償却資産・非償却資産別に次のように行われる。

A)運営費交付金等が財源の場合

  A-1)償却資産を取得した場合は、減価償却費とマッチするよう、進行基準で交付金が収益化される。

  A-2)土地などの非償却資産を取得した場合は、損益上の減価償却はされずに損益外減価償却が行われる。

B)国家的な資産形成を意図するとされる施設整備費が財源の場合

  取得した資産の償却、非償却にかかわらず、損益外減価償却が行われる。

その2  「損益外減価償却」という概念の複雑さ

このような会計処理を求める国立大学法人会計基準においては、損益外減価償却は損益計算書には表れず、これが表れるのは国立大学法人等業務実施コスト計算書においてである。すなわち、取得された資産のうち、運営費交付金等を財源として取得された償却資産のみが損益計算書に記載され、減価償却が行われる。

その3(まとめ)  資産取得における民間企業と国立大学における考え方の違い

企業の場合は自力で設備を更新するのに対し、国立大学法人の場合は運営費交付金とは別途に措置される施設整備費で、中期計画に基づいて施設を更新する、という資産の取得における考え方の違いがある。こうした根本的な違いを無視して民間企業と国立大
学法人の損益計算書の結果だけを単純に比較したのでは誤解のもとになる。

そもそも一般的に、貸借対照表や損益計算書に記載される減価償却は損益計算目的のための帳簿上での費用計上であって、その期間における資金の流出を表さない。したがって、利潤の追求を目的にしない国立大学法人においては、損益計算目的の減価償却は意味をなさない(だからこそ、損益外減価償却が採用されている)から、減価償却費は「資金の流出を伴わない費用」、すなわち、「資金の内部留保項目」として取り扱うのが妥当である(附属病院への損益計算原理の適用に関する論及はここでは割愛する)。

1.3 フリーキャッシュフロー(FCF)分析への着目と留意点

したがって、我々は損益計算書で記された純利益に基づく議論から距離を置き、FCF分析に着手する。その理由は、損益計算書は国立大学法人の財政実体のうち資金の移動を十分には反映しないからである。企業会計原則と国立大学会計基準との相違に由来する損益計算書の性質の差異があるにもかかわらず、民間と同様な損益計算原理に基づいて損益計算書の数値を比較考察する風潮に、我々自らは与しない意図をこれにより示す。

我々は、国立大学法人が利潤追求を目的としないにもかかわらず、国立大学法人会計基準の大元に、損益計算原理を要素とする企業会計原則が位置することに懸念を覚える。また、企業会計原則には無く国立大学法人会計基準に見られる概念の一部(例えば、国立大学法人等業務実施コスト計算書における「機会費用」、主務大臣の承認による利益処分、など)にも問題性を見出す。したがって、現行の国立大学法人会計基準と会計処理、国立大学法人に対する予算措置を是認する立場をとるものではない。民間企業の財務分析で用いられるFCF分析を国立大学法人の財務分析に適用する際にもこの点に留意した上で財政実体へのより精確な接近を図ることに言及しておく。

2. キャッシュフロー計算書に基づく国立大学法人財務のFCF分析(試案)

一般にキャッシュフロー計算書は、一会計期間における法人のキャッシュフローを3つの活動に区分して表示し、当該法人の正味のキャッシュフローの増減変動の状況を公開するために作成される会計表である。

簡便な算定においてフリーキャッシュフロー(FCF)は、

FCF=
 業務活動(大学の場合は教育研究活動)に伴うキャッシュフロー(多くの場合、収入超過)
+投資活動(大学の場合は資産の取得など)に伴うキャッシュフロー(多くの場合、支出超過)

という計算式から得られる。FCFは、本来の業務から生み出したキャッシュフローのうち当該企業が自由に使える余剰額を指す。

醍醐教授の試案に基づいた国立大学法人のFCF算定式とその趣旨(別紙参照)に基づいて理解するならば、損益計算書では利益を減少させる要素となる減価償却がキャッシュフロー計算書では資金を増加させる要素となることから、FCFは一般に当期純利益よりも大きな額になり、内部留保(当期純利益と減価償却費の和)に照応する値を示す。しかし国立大学の場合、昨年度のFCFには法人化に伴う収支が含まれているほか、恒常的にも、退職金への引当金を含んだ運営費交付金債務や用途が限定される寄付金債務など自由な裁量で使えない資金が、近い将来に予定される支出として含まれている。同様に近い将来に予定される収入(未収附属病院収入など)も考慮し、貸借対照表を参照しながら

FCF-(承継剰余金の受払収支差)
+(近い将来に予定される業務収入)
-(近い将来に予定される業務支出)

を算出することによって、当該国立大学法人の財政状態をより的確に表すFCF(以下、最狭義のFCF)が算定できる。

この算定式の適用例として、東京大学のキャッシュフロー計算書に基づく最狭義のFCFを計算する。

財務諸表が既に公表されている東京大学の数値を代入してその最狭義のFCFを計算すれば、その額は約9億5千万円である。量的な側面だけに着目すれば、経常利益の約53億円、当期純利益の約70億円が、この最狭義のFCFの5倍から7倍の過剰な値を示していることになる。換言すれば、経常利益や当期純利益のうち、国立大学法人として自由に使えない資金が8割程度含まれていることになる。ただし、当期純利益の額から大きく減額されたこの金額の最狭義のFCFでさえも、東京大学の教職員や学生が重大な問題として指摘し批判する、非常勤職員と常勤職員との待遇格差、職員の賃金抑制(不払い残業、労働時間増加分の節減、国家公務員や都内の他の国立大学と比較しても低水準の賃金など)、部局配分額の抑制、学生納付金の値上げ、といった大学運営の中で得ている余剰金であることを指摘する。

3. 各大学の財務諸表の分析結果や疑問を大いに交流しよう

我々は、文科省が各国立大学法人の財務諸表を承認したとされる8月29日を過ぎ、翌30日夜の時点で、計30大学がそのホームページにおいて当該大学の財務諸表を公開していることを確認した。財務諸表の公開を求め、これを入手し、分析に着手される取り組みを、我々はすべての大学の教職員と学生に呼びかける。

各位の分析結果、疑問、コメント等は、当実行委員会(Eメールアドレスはinfo at shutoken-net.jp、" at "をアットマークに置き換え)へぜひお寄せいただきたい。我々は各位からお寄せいただく声にこたえ、財務分析検討の交流を図る所存である。

先に記したFCF分析で得られた指標により我々は、国立大学法人の財務評価に求められる、財務実体をより精確に示す数字を得ることができる。もちろん我々は、財務分析における既存のフレームに甘んじた議論に終始しない意図を持つ。大学に対する学生や教職員の要求の正当性を立証するような、既存のフレームを踏襲しつつ超克した分析手法と指標を案出しこれを援用するとともに、大学人としての知性を動員して我々の要求を実現し自主的な大学づくりのための行動に寄与することを目指して、活動を引き続き展開する。

今後、運営費交付金削減のための様々な攻撃に使われるであろう財務上の数字について、我々が正しく理解し評価していくことが必要不可欠である。その上で、大学単位の財務状況を、各研究単位の状況と関連付けるセグメント情報の分析や、さらには、賃金に直結するような人件費分析の手法の案出、対学生支出比率の算定とその分析など、今後も研究すべき課題となっていることを付言しておく。

最終的には、運営費交付金制度をはじめとする国立大学法人への現行の予算措置の仕組みと、これを前提とした国立大学法人会計基準との変革を、我々はめざす。


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2005年08月05日

新首都圏ネット、大学財政問題分析検討ワークショップ

新首都圏ネットワーク
 ∟●大学財政問題分析検討ワークショップ、ニュースレターNo.2

2005年8月4日  大学財務分析検討ワークショップ実行委員会

 8月13日のワークショップの準備を進めるために、ニュースレターNo.2を発行します。ワークショップの案内は、http://www.shutoken-net.jp/2005/07/050722_2workshop.html をご覧下さい。
 お問い合わせは、info at shutoken-net.jp へお願いします。

1.《緊急分析》国立大学法人評価委員会の財務分析手法

 国立大学法人評価委員会国立大学法人分科会は、業務及び財務等審議専門部会をこの1月より審議を開始した。しかし、同部会で示されている国立大学法人の財務分析の手法には多くの問題点がある。
 ◎第4回部会配布資料3-2「国立大学法人の類型化について(案)」では、すべての国立大学を、附属病院の有無等に基づいて9つの分類に類型化している。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/gijiroku/002/05072001/003_2.htm
しかしその分類はおおむね結局、文部科学省による従来の国立大学の5分類による序列化を、「部制大」「その他大」の分類を細分化して踏襲しているに過ぎない(http://www.shutoken-net.jp/0193ranging.htm 参照)。
財務分析の際のツールとしての国立大学法人のグルーピングが国立大学の序列化のツールとして機能する可能性に、我々は十分留意し、これを監視せねばならない。

◎第4回部会配布資料3-3「財務分析結果の年度評価への活用(例)」は、「教育研究費比率」(教育研究費/業務費)×100%)をはじめとして「年度計画」の主要項目に関連する財務指標を例示している。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/gijiroku/002/05072001/003_3.htm
この資料では「なお、例示した財務指標の選定に当たっては国立大学法人の裁量性に着目している。」と述べているが、この文言は「国立大学法人の裁量性」を年度評価に際して評価対象とすることを意味している。
しかし、かつて文科省は、国立大学の法人化に際して「文部科学省の内部組織である今よりも国の関与が強くなるということはなく、各大学の自由度は大幅に拡大されることになります。」(文部科学省『国立大学の法人化をめぐる10の疑問にお答えします!』
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/03052702/008.htm
と述べていたのではなかったか。

◎第4回の部会の配付資料の中に、(参考4)として決算報告書、貸借対照表、損益計算書に係る標準的な財務指標及び一般的な表意内容を記した「財務指標等の基礎資料」が示されている。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/gijiroku/002/05072001/003_4/s004.htm
同資料が「国立大学法人等業務実施コスト計算書」等を含めた国立大学法人会計基準に規定されている財務諸表体系の全体を対象としてはいない点に留意する必要がある。数多く例示された財務指標の中には批判されるべきものも含まれている。一点だけ例示する。

[決算報告書]
自己収入比率 (自己収入/収入全体)×100% △ 自己収入の確保がなされているか。
(△は「多い(高い)方が望ましい。」とされる財務指標)
これは、収入全体が自己収入と運営費交付金とで構成されることを考慮すれば、高等教育に対する公財政支出の比率の逓減を、財務指標を用いて推奨することに他ならない。文科省は今年度、学生納付金標準額を値上げし、運営費交付金を削減した。これは各国立大学法人の授業料等の自己収入への依存の度合いを高める訳であるから、国立大学法人評価委員会の財務指標によれば自己収入比率の向上に寄与し、従って「望ましい」こととなる。
◎我々は、国立大学のあり方を財務面から論じるうえで、上記のような国立大学法人評価委員会が示す大学像と異なる価値観を示さねばならない。そのためにも、これらの財務指標や国立大学法人会計基準を熟知し、これらに束縛されない財務指標を案出するための議論を進めていこう。

2.全大教関東甲信越地区協議会、共催団体へ
全大教関東甲信越地区協議会より本ワークショップの趣旨に賛同し、共催団体となるとの連絡を頂きました。これにより、本ワークショップは、大学財政問題分析検討ワークショップ実行委員会の主催、国立大学法人法反対首都圏ネットワーク、東大職員組合、全大教関東甲信越地区協議会の共催となります。引き続き、多くの団体が共催して下さいますようお願いいたします。

3.全大教大西委員長より、連帯の挨拶
さる7月30~31日開催の全大教大会で新委員長に就任された大西広さん(京都大学経済学研究科・経済学部教授)が、本ワークショップに連帯の挨拶を寄せられる予定との連絡をいただきました。


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