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2020年04月09日

追手門学院大学不当懲戒解雇事件、3月25日大阪地裁原告勝訴の判決!

■支援する会ニュース第24号より

3月25日 大阪地裁 原告勝訴の判決!

判決主文

1 本件訴えのうち,原告田中耕二郎が,被告に対し,本判決確定後の金員の支払を求める部分を却下する。
2 原告田中耕二郎が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
3 被告は,原告落合正行に対し.平成27 年11月21 日から平成31 年3 月31 日まで,毎月21 日限り73 万0800 円及びこれらに対する各
支払期日の翌日から支払済みまで年5分の都
合による金員を支払え。
4 被告は.原告田中耕二郎に対し,平成27 年11月21 日から本判決確定の日まで,毎月21 日限り72 万0800 円及びこれらに対する各支払
期日の翌日から支払済みまで年5 分の割合による金員を支払え。
5 被告は,原告落合正行に対し、1521 万7700 円及び別紙1 の「金額」欄記載の金員に対する同別紙の「支給日」欄記載の日の翌日から支払済みまで年5 分の割合による金員を支払え
6 被告は,原告田中耕二郎に対し,1500 万2700円及び別紙2 の「金額」欄記載の金員に対する同別紙の「支給日」欄記載の日の翌日から支払済みまで年5 分の割合による金員を支払
え。
7 原告らのその余の請求をいずれも棄却する
8 訴訟費用は被告の負担とする。
9 この判決は,主文3 項ないし6 項に限り.仮に執行することができる。

報告集会での弁護団の報告(要旨)

 今回の判決は「原告の請求のほとんどについて認める。」という内容で、「訴訟費用は被告の法人側がすべて負担せよ。」という点をみても裁判所の判断が端的に表れています。裁判所の判決文では詳細な記述をしていますが、結論的に言いますと、お二人のこれまで長い間の追手門学院における貢献に対して、「一部メールの内容を外部に流した事実もあるが、それは懲戒解雇の事由にはならない」という判断です。賞与に関してもこちらの求めた内容を認めておりますので、結論的に言えば大きな勝利であると考えております。

 田中さんは定年ではありませんので、契約上の地位も認めております。法人側がお二人に対して重大な懲戒解雇という処分をしたことは客観的・社会的相当性を欠くという結論です。

 さらに「記者レク」問題、コーチの方が田中先生と落合先生に煽り唆されて「あやつり人形としてやらされた」ということについては「そうではない」と裁判所は判断しており、さらに田中先生がコーチの起こした訴訟の費用を立て替えたという問題に関しても「そのこと(立て替え)をもって自ら訴訟を主導してやろうとしたということはできない」と判断しています。

 さらに「記者会見を画策した」ということですが、「記者会見で事実を明らかにしないといけない」といったメールのやり取りがあったわけですが、判決は実際、記者会見は行われていませんし報道もされていません。これによって法人側の不利益は発生していない。こうした点から「お二人の懲戒処分の事由には当たらない」と裁判所は判断しています。

 落合先生については、「理事会の内容を外部に漏洩した」「調査委員会の内容を漏洩した」とされていますが、これが「懲戒解雇事由にはあたらない」というのが裁判所の判断です。田中先生に関しては「落合先生から提供された資料などを他の人に提供した」ということですが、これも「懲戒事由には当たらない」とされました。

 合先生、田中先生に関して「追手門学院大学に採用され、長年にわたって勤務しこの間特段の懲戒処分もなかったことも考えると懲戒処分は正当性を失する。懲戒権の乱用である」と指摘しています。

 最終段階で被告・法人側は「懲戒解雇にあたらなくても普通解雇ができる」との主張をしてきましたが、これも「普通解雇事由には当たらない」としています。

 さらに落合先生はすでに定年退職されていますが、田中先生はこの3月で退職となります。お二人の退職金についても法人側がどのような対応でくるのか不明ですが、この点についても今後訴訟になる事も考えられます。

 相手側は当然控訴してくるでしょうから、これからも十分な準備をして控訴審に対する十分な準備をするとともに一層の支援の態勢が望まれます。


淑徳大学不当解雇事件の勝利和解および不当労働行為救済命令取消訴訟の最高裁上告不受理決定

東京私大教連

 2020年3月11日、最高裁第二小法廷は、学校法人大乗淑徳学園(淑徳大学等を設置)が中央労働委員会の不当労働行為救済命令(2018年10月4日付)の取消を求めた行政訴訟において、法人の上告受理申立を不受理とする決定を下しました。また、1月21日には国際コミュニケーション学部の改組転換を理由とした教授三名の解雇を全員撤回し、一名は2020年4月より職場復帰させるという内容での和解が成立しました。これをもって、淑徳大学の不当労働行為事件と不当解雇事件は、ひとまず解決したこととなります。

 東京私大教連と淑徳大学教職員組合は、2020年4月7日、今回の事件解決にあたって「淑徳大学不当解雇事件の勝利和解および不当労働行為救済命令取消訴訟についての最高裁上告不受理決定の御報告と御礼」を発表しました。


淑徳大3教授解雇撤回、組合と和解1人職場復帰

■しんぶん赤旗(2020年4月9日)

 淑徳大学(本部・東京都板橋区)が、学部閉鎖を理由に3人の教授を解雇した事件は、全員の解雇を撤回し、ぅち1人を今月から職場復帰させる内容で和解しました。

 その過程で大学当局が淑徳大学教職員組合(東京私大教連加盟)の組合活動を妨害し、団体交渉を拒否した事件も3月11日、最高裁で当局側の不当労働行為認定が確定し、司法での決着がつきました。

 事件は、淑徳大が国際コミュニケーション学部を17年3月末で閉鎖すると発表し、教員に退職か解雇の選択を迫りました。組合の団体交渉も事実上拒否し、3人を解雇したものです。

 解雇事件は19年5月、東京地裁で解雇無効判決が出され、東京高裁で今回、和解が成立。3人の解雇撤回と未払い賃金支払い、退職する2人に解決金を支払いました。解雇されたポール・ジグラー氏は4月から教授職に復帰。所属学部や担当講義を確定させることが今後の課題になります。

 組合側は7日、声明を発表し、「淑徳大学のすべての教職員の地位と権利の補償、教育・研究・労働条件の改善をめざして、法人と交渉を進めていく」と強調しています。