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 カテゴリー 2013年11月

2013年11月30日

大阪市議会、橋下市長提案の大学統合案を否決!

大阪 開業支援室

橋下市長提案の大学統合への議案が否決!

 11月22日の大阪市議会・都市経済委員会は、橋下市長が提案した、
① 大阪市大の定款変更案――市大の理事長と学長を分離し、学長は学外者が多数を占める選考会議の選考を経て理事長が任命、また理事や教育研究評議会に学外者多数を登用する。
② 同じく中期目標の変更案――府大との統合推進を明記し、「強い大阪を実現するための知的インフラ拠点として大阪の成長に貢献し」を書き込む。
――この二つの議案を、維新以外の全会派の反対で否決しました。
 討論では、維新以外の会派の討論者は、そろって橋下市長の「統合先にありき」の姿勢を批判しました。
 橋下市長はなお、学長選考時の学内の意向配慮をやめること、教授会の役割を軽視する姿勢に固執し、「大学の自治」に挑戦する態度を改めようとはしませんでした。しかし、ご本人の提案が、目の前で否決されたことはショックでしょう。(2013.11.22)

インターネット録画
http://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu260/live/committee/20131122tos.html

(朝日新聞2013.11.23)

府市大学理事長「一元化」否決へ 大阪市議会

 2016年度に大阪府立大との統合を目指す大阪市立大の理事長と学長の兼職を来年4月から分離するための議案が、開会中の大阪市議会で否決される見通しとなった。松井一郎知事と橋下徹市長は両大の理事長を一元化して統合の旗振り役とする方針だったが、大阪維新の会をのぞく4会派が「統合の是非の議論が深まっていない中、統合の地ならしには賛成できない」などとして反対に回った。
 市幹部は「理事長一元化は必須条件ではなく、統合スケジュールに影響はないが、統合プランの中身の修正は必要となるだろう」と話している。

(産経新聞2013.11.22)

またも橋下氏苦境に! 大阪府・市立大統合で市長提案の議案が市議会で否決

 大阪市立大と大阪府立大の統合を目指している橋下徹市長が統合に先立ち、市立大の理事長と学長の兼務をなくすために提出していた関連議案が22日、市議会委員会で否決された。29日の本会議でも否決される見通し。橋下市長は出鼻をくじかれた格好だ。

 市立大と府立大は理事長が学長を兼務。議案では市立大の理事長と学長の兼務をなくし、理事長は学校経営に、学長は学問にそれぞれ役割を分担。府市では兼務を解消させた上で両大学の理事長を同一人物にし、平成28年の大学統合を目指している。

 委員会では「兼務でも実績は出ている」「統合ありきの変更で時期尚早」と反対意見が噴出。大阪維新の会を除く公明、自民、民主系、共産の4会派の反対で否決された。

 橋下市長は否決後、「(統合のスケジュールに)影響がでないよう頑張る」と述べたが、市長答弁を求めたのが共産だけだったことに触れ「市議会の審議のやり方はちょっと特殊だ」と不満を漏らした。


「研究開発力強化法改定案」反対集会

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-29/2013112905_01_0.html

 有期雇用の研究者や大学教員、講師を無期雇用に転換する期限を5年から10年に延期する「研究開発力強化法改定案」が突然、自民、公明両党によって衆院に提出され、緊急反対集会が27日夜、参院議員会館で開かれました。

 呼びかけは、東京地区大学教職員組合協議会(都大教)、首都圏と関西圏の大学非常勤講師組合の3者。

 改定労働契約法によって、有期雇用を5年継続すると無期雇用に転換できるルールがつくられました。ところが改定案には、無期雇用に転換するまでの期間を10年にする特例条項が盛り込まれています。

 有期雇用の研究者・大学教員にとっては事実上、無期転換の権利が奪われることになります。現行の研究開発力強化法の対象は主に理系分野ですが、有期雇用の延長については、文系分野や「研究者」としてまともな扱いを受けていない非常勤講師まで含まれるとされています。

 開会あいさつで、首都圏大学非常勤講師組合の松村比奈子委員長は「突然出された法案だが、何とか成立を阻止したい」と訴えました。

 全国大学高専教職員組合(全大教)の長山泰秀書記長は「労契法を改定して間もなく、大学を狙い撃ちしてきたことに怒りを感じる」と強調しました。

 佐藤昭夫早稲田大学名誉教授(労働法)は、▽長期プロジェクトの場合は、現在でも労働基準法14条1項で5年を超える有期雇用が可能であり、法改正は必要ない▽雇用ルールは労働政策審議会での議論が必要であり、自民党の議員立法は手続きに問題がある―などと指摘しました。

 国会情勢を報告した日本共産党の宮本岳志衆院議員は「大学を(無期転換ルールを破る)突破口にしようとしている」と、法案が全労働者に有害だとして、廃案に全力をあげる決意を述べました。


2013年11月29日

専修大学道短大不当解雇事件、いよいよ12月2日(月)判決日(札幌地裁)

北海道私大教連
 ∟●12月2日 専修大学による不当解雇事件の判決日です

【お知らせ】

 これまでにお知らせしております通り、学校法人専修大学が北海道短大(美唄市)を募集停止する際に任意退職に応じなかった教員全員を整理解雇したことでこの1年半にわたって争いが続いてきた不当解雇撤回訴訟の判決が12月2日(月)に札幌地裁(千葉和則裁判長)で言い渡されます。
 これまで数多くの口頭弁論では多くの支援者が法廷に結集。史上稀にみる大手学校法人による不当解雇事件への怒りとともたたかいの輪が全国へ広がり、社会的耳目が集まっています。
 公正校正判決を信じ、改めて判決期日の傍聴支援を皆様へ呼びかけるものです。

 ◆12月2日(月)13:10~ 札幌地裁7階

 ※判決後、弁護団を交えて裁判所近くで支援者報告集会および、記者会見を設定します。
 (詳細は当日までにお知らせします。)

 以上、よろしくお願いします。

専修大学道短大不当解雇事件、「原告意見陳述」「最終準備書面」要旨

専修大学北海道短期大学教員組合
 ∟●8教員を支える会、 ニュース第7号(平成25年11月8日)

2013年11月27日

未払い賃金請求訴訟速報、佐賀大学、福井大学

熊本大学教職員組合
 ∟●未払い賃金請求訴訟速報シリーズ No.3 :佐賀大学、福井大学

 11 月 7 日、この春佐賀大学を定年退職された佐賀大学教職員組合の元組合員 2 名が、国家公務員の退職金減額に準じた退職金引き下げに対して、佐賀大学法人を相手取り減額分の支払いを求める訴訟を提訴しました。その後佐賀県弁護士会館で記者会見を行いました。

 11 月 7 日に佐賀地方裁判所に訴状が提出されました。合計約364 万円の未払い退職金の支払いを求めるものです。
 13 時45 分から、佐賀県弁護士会館において原告代表1 名,弁護士4 名,佐賀大学教職員組合から 2名,全大教九州から1 名で、提訴を行った報告の記者会見を行いました。会見には NHK や各報道機関9 名が参加しました。会見では、弁護団から提訴に至った経緯が報告され、単に退職金の支払いを求めるのではなく、大学の自主性・自律性を確保することを目指しているとの説明がありました。
 その後原告を代表して豊島耕一佐賀大学名誉教授が、「経済的損失を回復すると同時に、今回の大学の決定の背景にある国立大学と文科省,政府との関係の問題点も同時に明らかにしたい。」と訴えました。
 佐賀大学教職員組合は、「佐賀大学において正常な労使関係が損なわれることに抵抗し、正常化するための職員の方々の努力に、たとえ微力でも加わりたい」として提訴に踏み切った原告に対し、訴訟費用の一部を含む支援を行うことを表明しました。同時に全大教九州協議会も佐賀大学教職員組合と協力して支援を行うことを表明しました。
 記者からは「就業規則変更が無効である,という訴訟ではないのか。」「他の大学で、政府の要請に従わなかったところはあるのか。」などの質問がありました。会見時間も約 50 分と予想以上に長いものとなり、記者としても関心が高いように受け止められました。
 8 日の朝刊では讀賣新聞,毎日新聞,西日本新聞,佐賀新聞,朝日新聞の各紙が、地方版で報道しました。このことからも、関心が深いことが受け止められます。

 今回準備時間が無かったこともあり、報告集会は開催されませんでしたが、口頭弁論など始まりましたら、九州地区単組の傍聴支援をお願いするとともに、報告集会を開き裁判の進捗状況や争点などについて、弁護士団から報告をいただきたいと思っています。
 まずは九州地区単組の支援をお願いいたします。


未払い賃金請求訴訟を福井地裁に提訴 11 月 11 日(月)

 先日の 11 月 11 日(月)11 時に福井大学教職員組合員である「未払い賃金等請求訴訟原告団」(13 人)は福井地方裁判所に提訴しました。11 時前に原告団は請求訴訟の横断幕をもって福井地裁まで行進し、11 時に提訴の手続きを行いました。
 その後、弁護士会館で11 時 15 分から12 時まで記者会見を行いました。取材には報道機関8 社が参加し、茂呂信吾弁護士の司会のもと、①原告団長の山根清志氏(福井大学教授)による提訴の趣旨説明、②副団長の月原敏博氏(同教授)による闘いの経過報告、③弁護団長の島田弁護士による訴状説明、④全大教の中嶋哲彦氏(中央執行委員長)と長山泰秀氏(書記長)による全国の闘いの現状についての報告、が約 30 分程度行なわれました。基本的な争点は「就業規則の不利益変更に合理性が認められるか」です。山根団長は、今回の裁判は未払い賃金を取り戻すという闘いであると同時に、大学における民主主義の問題でもあり、大学の自治・学問の自由の問題でもあると訴えられました。報告後記者からの質問がいくつか出されましたが、最後に海道宏実弁護士は、今回の訴訟は未払い賃金を取り戻すという経済的な要求だけではなく、山根団長も強調れたように、大学の自治や学問の自由を掲げた闘いでもあるということを強調しました。

<提訴の争点>
① 賃金減額無効
ア 最大10%の減額幅は大きい
イ 人事院勧告に基づいて切り下げられた賃金をさらに切り下げるもので不当
ウ 福井大学の給与水準は、国家公務員・他国立大学法人と比較して、少ない
エ 看護師等の一部職員のみ、減額対象となっていないのは不合理
オ 減額幅を圧縮している大学がある中で、減額回避・緩和措置が検討されていない
カ 財政上の必要性が示されていない
キ 大学側は給与減額を既定路線として説明するばかりで、誠実な団体交渉がなされていない

② 退職手当減額無効
ア 平均400万円の減額を目標とするもので減額幅が大きい
イ 減額の必要性(大学の財政状況、職員の退職手当が民間と比較して不相応な状況にあることなど)が示されていない
ウ 不誠実な団体交渉

<原告団の結成大会開催される>
 11 月 11 日の提訴に先立って、11 月 5 日(火)18 時 30 分から 19 時 30 分まで教育地域科学部 11講義室で原告団の結成大会が開催されました。参加者は24 人。内容は、①山根原告団長の挨拶、②訴訟弁護団の紹介と挨拶、③全大教及び県内外の支援団体からの連帯の挨拶(全大教・村井副執行委員長、吉田高教組委員長、県国公)、④この間の経過報告と今後の方針、⑤参加者からの発言、⑥閉会の挨拶。参加者からは、生活設計が大変な事態になっていること、このまま黙っていてはいられず、どこに不満や要求をぶつけていいのか、という怒りの声が聞かれました。結成大会は提訴に向けた意思統一を確認する場となりました。終了後、牧島荘にて懇親の場を持ちました。
(『原告団ニュース』第1 号より一部転載)

全大教、有期雇用研究者から無期転換権を事実上剥奪する研究開発力強化法「改正」に反対する

全大教
 ∟●有期雇用研究者から無期転換権を事実上剥奪する研究開発力強化法「改正」に反対する

有期雇用研究者から無期転換権を事実上剥奪する研究開発力強化法「改正」に反対する

2013年11月20日 全国大学高専教職員組合

 労働契約法に定める有期雇用労働者の無期転換権について、研究開発力強化法を改正して有期雇用研究者に関する特例条項を設けることは、研究者の不安定雇用増大をもたらすものであるから、この特例条項の新設には同意できない。
 労働契約法(2012年8月改正、2013年4月施行)第18条は、有期雇用契約で働く労働者が同一の使用者の下で5年を超えて働いた場合、当該労働者の申し出により使用者は期間の定めのない雇用契約に転換しなければならないことを定めている。これは、使用者が労働者に短期間の有期雇用契約を繰り返し締結させることで、使用者の都合で切り捨てやすい労働力を確保しつつ、労働者には長期にわたる不安定雇用を強いている現実を改善するため、雇用契約が通算5年を超える有期雇用労働者に無期転換権を付与するものである。この改正は長期にわたる有期雇用の削減を目的としている点で評価できる反面、有期雇用契約の締結自体には何ら規制を設けていないなどの問題点も抱えている。
 国立大学法人では、任期付き職員の雇用期間が5年を超えて無期転換権が発生することのないよう、雇用期間が5年を超えない措置を講ずるなど、法の趣旨を逸脱した運用が広がっており、全大教はその改善を求めてきたところである。
 今般、自由民主党が準備している研究開発力強化法改正案には、無期転換権を取得するまでの期間を研究者については10年とする特例条項が盛り込まれている。これは、国立大学法人などの使用者が、10年もの長期間にわたって研究者を有期雇用契約で働かせることを可能にするものである。これは、一般労働者には5年で無期転換権が付与されるにもかかわらず、研究者にはその2倍もの期間にわたって不安定雇用を強いてもよいとするものだ。使用者にはたいへん都合がよいが、研究者はこれまで以上に不安定な労働と生活が強いられることになる。
 このような雇用形態を許せば、研究者は安定した家庭生活を営むことさえ難しくなってしまう。また、このような不安定雇用を強いられる研究職に、優秀な人材を確保することもまた困難になるだろう。また、これを許せば、現在期限の定めのない雇用契約で雇用されている研究者のポストにも有期雇用契約が拡大し、研究者の労働環境が全体として劣化するおそれがある。
 この法改正の背景には、国際競争力向上のための経済・産業界の要請に応える研究開発や人材育成を大学等に担わせようとする第二次安倍政権の成長戦略がある。しかし、これは経済・産業界の流動的な要請に追随するあまり、基礎的・基盤的な教育研究をおろそかにし、研究者を使い捨てにするプランでもある。教育研究には常に長期的視野をもって臨むことが必要であり、それなしには日本社会の発展を展望することは困難である。研究者の教育研究能力は、安定した労働と家庭生活が確保されてこそ、最大限に発揮されるものであることが再認識されなければならない。
 研究者から労働と生活の安定を奪い、日本の教育研究を劣化させかねない研究開発力強化法「改正」に反対する。


北大職組、55歳昇給停止に反対する

北大職組
 ∟●55歳昇給停止に反対する

55歳昇給停止に反対する

2013年11月18日 北海道大学教職員組合執行委員会

 55歳以降の昇給の停止案が北大本部から提案され,執行部は「これは明らかに,不利益変更であり認められない」という立場から提案の撤回を要求して団体交渉を申し入れました。理由は,
 1.改定に伴い、不利益の程度は極めて大きい(以下に説明)。
 2.特に、63歳定年の教員の場合は、国家公務員(60歳定年)と同列に扱うことはできない。
 3.一般職員・技術職員は、国家公務員と比べて賃金が低く(ラスパイレス指数で90%程度)、昇給停止を国家公務員と同列に扱うことはできない。
などです。今回の昇給停止の理由は,人事院勧告による官民格差の是正を名目とした公務員の55歳昇給停止に横並びにと言うものです。

 昇給停止を実施すると,北大本部の試算では,本年度末で55歳の場合,教員では2022(平成34)年度で月額1.5万円余,退職金は64万円余の減額となります。職員は定年が早いこともあり,2019(平成31)年度で月額5千円余,退職金には26万円余の減額となります(勤続年数によります)。定年までの月々の給与の減額と退職金を単純合計すると 教 員 1 9 9万円余の減額 職 員 5 8万円余の減額 にもなります。

人を大切にする北大を - - 学長は真剣に考えてほしい
 教員も職員も日々の勤務は忙しい。職員の場合,超勤が常態化し、多忙な時期には,事務室にいつまでも人がいる。外部資金関係のメイルの返事が夜の8時に来たりしている。多忙さを解決する手だてが検討されなければならない。また,教員は自ら計画して労働しているとはいえ,授業や院生指導に時間が取られる中で,研究を発展させており,その努力や成果に見合う待遇を望んでいる。北大が研究教育で良い成果を上げるためには良い人材の確保が不可欠であり,そのためには待遇の改善がぜひとも必要と考える。


文科省、国立大改革プラン

■文科省
 ∟●国立大学プラン(2013年11月)

6.(4)人事・給与システムの弾力化

◆運営費交付金について、必要額を確保した上で退職手当にかかる配分方法を早期に見直し、併せて競争的資金制度において間接経費30パーセントを確保しこれを活用することにより、人事・給与システム弾力化がさらに加速

◆各大学の改革の取組への重点支援の際に、年俸制の導入等を条件化

◆特に、教員の流動性が求められる分野において、改革加速期間中に1万人規模で年俸制・混合給与を導入
(例えば、研究大学で20%、それに準ずる大学で10%の教員に年俸制を導入することを目標に設定)

◆年俸制の趣旨に沿って、適切な業績評価体制を整備
優秀な若手・外国人の力で大学力を強化するため、シニア教員から若手・外国人へのポスト振替等を進める
意欲的な大学を資金面で積極支援し、改革加速期間中に1,500人分の常勤ポストを政策的に確保することを目指す

○各大学の取組例
大阪大学
世界的に優秀な教員に対して、「大阪大学特別教授」の称号を付与するとともに、「特別教授手当」(年間最高600万円)を支給。このほか、業績変動型の年俸制やクロス・アポイントメント制度等の柔軟な人事・給与システムを導入

北陸先端科学技術大学院大学
外国人研究者や企業の研究者等、多様な人材の確保及び流動性を更に促進するため、新規採用者及び現職者について年俸制の導入を決定

第3期には、国内外の優秀な人材の活用によって
教育研究の活性化につながる人事・給与システムに

2013年11月26日

専修大学道短大不当解雇事件、結審を迎えて

不当解雇された専修大学北海道短大8教員を支える会
 ∟●支える会ニュース、第6号(2013年10月1日)

結審を迎えて

「支える会」事務局長
山本補将

 8人の教員の地位確認(解雇無効)裁判は、9月9日に結審を迎えたことをご報告いたします。
 提訴から一年五か月、会員の皆様のお力添えで、ここまで辿り着くことができました。原告一同に成り代わりまして、深く御礼申し上げます。

 判決は札幌地裁において、12月2日午後1時10分より言い渡されます。

 前号で予告いたしました尋問調書の要約記事ですが、調書自体が関係者以外閲覧できないものであることなどから、掲載を取りやめることといたしました。どうぞご理解下さいますよう、お願い申し上げます。

 調書要約の代わりに、私の傍聴記録を掲載いたします。これは、6月3日に行われた、原告側証人の専修大学北海道短期大学前学長の寺本千名夫氏への反対尋問の傍聴記録です。尋問は、専修大学内の事務所を構える、今村記念法律事務所の宮岡孝之弁護士によって行われました。

反対尋問傍聴記

 反対尋問を行った宮岡弁護士は、学校法人専修大学の理事だそうで、そうならば被告側の一人にあたります。反対尋問を行うに最もふさわしい人物といえなくもありません。もっとも、この人物がどのような経緯で理事になったのか全く明らかにされていません。本来、反対尋問は証人の主尋問や陳述書に沿ったものでなければならないのですが、今回の反対尋問は陳述書とかけ離れた質問が度々なされました。 たとえば短大の今後の方向を検討する「プロジェクト会疹委員から短大の教員を排除したことを弁明し、客観性を持たせて大胆な改革を進めるためには教員が入らないほうが北海道短大のためによかった、などと訳のわからないことを述べました。正直に北海道短大のためによいのではなく法人に都合の良い方向を打ち出すのに最適だからと、言い直して欲しいものだ。短大を最もよく知る教員を排除しておいて、短大のために良い方向など出せるわけがないのです。
 また平成22年4月22日の教授会において学生募集停止報告時に寺本氏がどこにいたかなどという質問なども、主尋問や陳述書と全くかけ離れた質問でした。これから行われるだろう「寺本裁判」のための材料集めを目的にしたとしか考えられない質問がありました。

 新家学長時代の農学部構想について、それがどのような経緯から出てきたのかという事情などは、直接寺本氏には関わりのないことであり、法人で機関決定していないことで非難されるいわれはない。また農学部構想提案時の費用に関して、寺本氏が学長でないときの事情を「もし」という仮定の問いを発して非難をするという悪質な尋問もしていました。さらにまた、法人がそれまで発表したことのない数字をもちだし、寺本氏がそのことを知らないことを持って、学長として不適任であるかのような印象を植え付けようとしました。
 寺本氏が学長に就任したのは、平成22年1月からであり、その年の4月に学生募集停止が一方的に法人で決定されました。学長時代の寺本氏は、閉校へ邁進する法人と対峙し、それとの対応に追われた3年間でした。そうした時に、古い時代にさかのぼって定員を満たしたかどうかを調べる余裕や時間などあるはずもなく、そうする意味もなかったといえます。
 尋問は、平成17年の学科改組にも及びました。宮岡弁護士は、学科改組に短大教員が関わっていることをあげつらい、改組の失敗は短大に責任があるかのように述べています。そもそも学科改組などというのは、新学部や新学科の設立と同様に法人の経営判断でなされることであり、最終責任は法人がとるべきものです。教員が行うのは法人の決定に基づく依頼によってそれを具体化することである。具体案が経営的に見て不十分だと思えば、法人の責任でやり直しを命じればよいのである。もっとも内容的にも平成17年の学科改組案はそもそも無理がありました。たとえば、商経社会総合学科の福祉コースのカリキュラムなどは専門家がいないところで計画されたものであり、最初から破綻していました。そうしたことも法人は気が付いていなかったのです。法人の無責任さの現れといえるでしょう。
 そのほかの悪辣な質問としては、「プレス空知。これは、先はどの決議を受けて、定員が割れれば23年度に学生募集停止が行われるという内容ですが、そういう報道がなされたことは事実ですよね。」というものです。この質問は定員割れの時は学生募集停止が決まっているかのように言い換え、証人から法人に都合の良い答弁を引き出そうとするものでした。この質問には直ちに原告側弁護士から「誤澄だとの異議申し立てがなされた。宮岡弁護士は「じゃ、記事の内容は、『定員割れれば23年度』、短大募集停止の可能性という記事があることは間違いないですね。」と訂正せざるを得ませんでした。もし、先の質問が見過ごされていたならば、寺本証人は窮地に立だされることになったかもしれません。 宮岡弁護士は、知っていながら「可能性」という言葉を省いたと考えられます。 傍聴者には、このような宮岡弁護士の態度は、「お抱え弁護士」とはかかる人物なのだろうという印象を持たせました。法人からすれば良い弁護士なのかもしれませんが。
(支える会事務局長)

研究開発力強化法等の改正にともなう非常勤講師ほか有期雇用教員の労働契約法特例に反対し抗議する緊急声明

首都圏大学非常勤講師組合
 ∟●研究開発力強化法等の改正にともなう非常勤講師ほか有期雇用教員の労働契約法特例に反対し抗議する緊急声明

平成25年11月22日

研究開発力強化法等の改正にともなう
非常勤講師ほか有期雇用教員の
労働契約法特例に反対し抗議する緊急声明


首都圏大学非常勤講師組合
東海圏大学非常勤講師組合
関西圏大学非常勤講師組合
大学等非常勤講師ユニオン沖縄


1.労働契約法特例による大学有期教員への権利制限

 全国の国公立大学の非常勤講師及び任期・有期教員の皆さま。今、大変異常な事態が進んでいます。先般メディアで報道されたように、今月末までに、いわゆる研究開発力強化法と大学教員任期法の改正案が国会で審議されることになりました。それぞれの改正案には、労働契約法の特例として無期労働契約へ転換する期間を5年から10年とする内容が盛り込まれています。いわゆる無期転換権の制限です。特例に該当するのは、大学等及び研究開発法人の教員等、研究者(技術者も?)、リサーチアドミニストレーターとのことです。
 非常勤講師は大学で学生を教える教員ですが、研究を業務として義務づけられておらず、研究室も研究費も与えられていません。また任期教員でもありません。にもかかわらず、非常勤講師が今回の法改正で任期教員と同様に転換する期間を10年に延長されることになるというのです。

2.労働契約法の特例内容

 研究開発力強化法(現行)の2条には、『この法律において「研究開発」とは、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する試験若しくは研究(以下単に「研究」という。)又は科学技術に関する開発をいう。』とあります。しかし改正案では、『この法律において「研究開発」とは、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。第15条の2第1項を除き、以下同じ。)に関する…』と新たに一文が挿入されました。では人文科学のみに係る【第15条の2第1項】とはどのような内容でしょうか。
 改正案では『第 15 条の 2 次の各号に掲げる者の当該各号の労働契約に係る労働契約法…第 18条第1項の規程の適用については、同項中「5年」とあるのは「10年」とする。』とし、さらに続いて『1(項) 科学技術に関する研究者又は技術者(科学技術に関する試験若しくは研究又は科学技術に関する開発の補助を行う人材を含む。第3号において同じ。)であって研究開発法人又は大学等を設置する者との間で期間の定めのある労働契約(以下この条において「有期労働契約」という。)を締結したもの』とあります。
 もちろんこの条文を素直に読んだだけでは、どう考えても非常勤講師が該当するように思えません。なぜなら非常勤講師は先ほども述べたとおり、研究開発やイノベーションの創出(商品開発)に関わるどころか、研究者・技術者として採用されてもいないからです。
 しかし法案提出者の自民党(側議員)の説明によれば、この「科学技術に関する研究者又は技術者(科学技術に関する試験若しくは研究又は科学技術に関する開発の補助を行う人材)」=非常勤講師(もちろん任期・有期教員も)、になるそうです。

3.研究開発力強化法が対象としていない研究者への特例のみの適用

 法案が成立し自民党の説明どおりに適用されれば、重大な矛盾を引き起こします。そもそも研究開発力強化法は、研究者ではなく国、地方自治体、諸研究機関に対しての責務を定めた法です。研究者個人の責務などはどこにもありません。つまりこの法の適用対象ではない研究者に向けて、唐突に労働契約法の特例(しかも個人の勤労権の制限)を要求しても、改正とはいえないのではないでしょうか。それが問題ないのであれば、労働契約法の特例を刑法に挿入しようとも刑事訴訟法に挿入しようとも問題ないということになります。
 しかも人文科学研究については国、地方自治体、諸研究機関のいずれにも責務が求められていないにもかかわらず、人文科学研究者のみこの法律で勤労権の制限が課せられるというのは、法内容として意味を持ちません。ましてや研究者として採用されていない非常勤講師にも適用させようとしています。あまりにも異常な改正内容です。

4.なぜこのような法改正が急がれるのか

 大学の有期雇用労働者として多数を占めるのは、非常勤講師、それも語学を中心とする人文科学系の非常勤講師です。それまで長期にわたって非常勤講師を事実上無期雇用していた大学は、労働契約法の改正によって、むしろ無期雇用の制度化を否定する更新5年上限を打ち出そうとしました。の背景には専任教員と、任期・有期教員そして非常勤講師間の説明できない待遇格差があります。非常勤講師たちが無期雇用を背景に均等待遇を求めて立ち上がることを恐れた一部の大学が、今年4月、5年上限をかけて押さえつけようとしましたが、逆に刑事告発、告訴されました。またクーリングを強要しようとして、当組合の記者会見で公表されてもいます。そしてカリキュラム変更権を利用して非常勤講師を排除しようとした結果、現在は当組合から偽装請負の疑いで労働局に調査申し入れをされています。この時期にこの法律でこのような内容の法改正をしなければならないとしたら、その理由は、自ずと理解できるのではないでしょうか。大学の安上がりなずさん経営を維持するため、権力を使い、法によって非常勤講師や任期教員に奴隷的拘束をかけようとしているのでしょう。

5.個人の尊重を守るのが民主主義社会

 アメリカ独立宣言には、次の文言があります。「われわれは、自明の真理として、すべての人は平等に造られ、造物主によって、一定の奪いがたい天賦の諸権利を付与され、その中に生命、自由および幸福の追求のふくまれることを信ずる。また、これらの権利を確保するために人類の間に政府が組織されること、そしてその正当な権力は被治者の同意に由来するものであることを信ずる。」 研究者であるというだけで、また大学と契約しているというだけで非常勤講師が無期転換の権利を制限されるのは、法の下の平等に反します。また労働契約法の附則第 3 項には、「施行後 8 年を経過した場合において…その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」としていますが、施行後 1 年もたたないうちに重要な条文内容を特定の労働者のみ特例で操作することは、適正な法の手続きにも反します。
 非常勤講師を代表し、表記4組合はこの法改正には反対であり、強く抗議しその廃案を求めます。研究者・教員個人の無期転換の自由を一方的に制限し、組織の道具として利用するための法改正は民主主義のいかなる手続き・正当性にも反するため、絶対に認めることはできません。

以上


※この文書に関するお問い合わせは以下にお願いいたします。
首都圏大学非常勤講師組合 (直通)080-3310-6910
(公共一般本部 FAX) 03-5395-5139
daigaku_hijoukin@yahoo.co.jp

国立大改革プラン、教員に年俸制 機能強化へ 文科省

毎日新聞(2013年11月26日東京夕刊)

 文部科学省は26日、国立大の機能強化に向けた方針「国立大学改革プラン」を発表した。学長の強いリーダーシップを確立し、各大学の強みを精査して将来計画を立案させる。2015年度中に教員1万人に年俸制を導入するなどし、国際競争力や地域で果たす役割を強める。文科省は国立大への運営費交付金の3?4割を改革関連に重点配分する。

 プランは、改革加速期間(今年度?15年度)に取り組む内容を提示。年齢層の高い教員から若手・外国人への流動化を進めるため、国立大の全教員の約16%に該当する1万人が年俸制、または複数から給与を受けられる混合給与制となるよう、各大学の人事・給与システムの改革を促す。各大学の強みや役割を整理する「ミッションの再定義」は、今年中に策定・公表する。

 基本的な体制を整えた上で、第3期中期目標期間(16年度?)に、各大学が持続的な競争力を培い、高い付加価値を生み出せるよう目指すとしている。

 当面の目標として、教育研究組織や学内資源配分を恒常的に見直せる環境作り▽20年までに留学生(日本人、外国人いずれも)を倍増▽今後10年間で世界大学ランキング上位100校に日本の大学を10校以上入れる▽今後10年間で20以上の大学発新産業を創出する??など6項目を示した。【福田隆】

[関連ニュース]
国立大運営費交付金を重点配分 4000億円、文科省が改革プラン
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2013年11月25日

経済学分野の教育「参照基準」の是正を求める全国教員のネット署名

ネット書名サイト

経済学分野の教育「参照基準」の是正を求める全国教員署名

 
日本学術会議経済学委員会 御中

 私たちは、貴委員会が分科会を設けて作成作業にあたっている「大学教育の分野別質保証」のための「専門分野(経済学)の参照基準」について、私たちの知りえた現在の素案の内容から判断して、それが経済学の教育と研究における自主性・多様性、および創造性を制約するものになりかねないという重大な懸念を抱いています。

 私たちも、高等教育の普及のもとでの「質の保証」を国際的な視野にもとづいておこなうために専門分野ごとに「参照基準」をつくることの意義を否定しません。しかし、そのような「参照基準」は、教育内容・カリキュラムの標準化をはかるものではなく、それぞれの専門分野の教育にあたる大学・学部・学科とその教員たちの自主性と多様性を前提としたものでなければなりません。「教育の質」「国際的通用性」といううたい文句のもとに一定のモデルを押し付けるものになれば、「参照基準」は高等教育の画一化を促進するだけのものになるでしょう。私たちは、文部科学省の依頼にこたえて学術会議が専門分野ごとの「参照基準」作成の課題を引き受けたのは、「日本の科学者コミュニティを代表する機関」として、それぞれの専門分野で研究と教育をおこなっている科学者の自主性と多様性を前提とした「参照基準」を作成することによって、教育面においても質の保証と自主性・創造性の確保を両立させるためであったと考えます。

 実際に、学術会議が2010年7月22日付けで文部科学省におこなった「回答:大学教育の分野別質保証の在り方について」においても、「大学教育の多様性を損なわず、教育課程編成に係る各大学の自主性・自律が尊重される枠組みを維持すること」への留意が求められ、「作成の手引き」においても、「参照基準では、あくまで一定の抽象性と包括性を備えた考え方を提示するに留め、それを参照した各大学がそれぞれの理念と現実に即して自主的・自律的に具体化する」「カリキュラムの外形的な標準化を求めるコアカリキュラムではない」ことが確認されています。

 しかし、現在上記分科会で審議されている経済学分野の「素案」は、そのような慎重さを欠いています。経済学は合理的選択の科学であり、歴史・制度・思想などは副次的な要因にすぎないという新古典派的な経済学観が自明なものとして想定され、「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」が基本であり、それに「統計学」を加えたものを基礎科目とし、他のいくつかの科目をその応用分野とする「経済学の体系」が示され、このような「経済学の体系」に合わない科目は排除ないし周辺化されています。具体的に言えば、現代の経済にその資本主義的な特質からアプローチする「政治経済学」(マルクス経済学だけとは限りません)は全面的に排除され、歴史的要因・制度的要因・思想的要因にかかわる科目はすべて周辺に追いやられています。

 経済学は社会科学であり、合理的な選択というのも、歴史的、制度的、政治的、そして思想をも含む文化的要因によって形成された状況のもとでの選択ではないでしょうか。経済領域の歴史、制度、政策、思想、そして社会とともに発展した経済学自体の歴史についての教育が周辺的分野にすぎないというのは、経済学についての特定の見方に基づく区分にすぎません。20世紀以降の経済学(Economics)において、ミクロ経済学とマクロ経済学が発展したことはその通りですが、その母体となった18世紀後半以来の政治経済学(Political Economy)は近代の経済の歴史的・制度的特質の認識の上に立つものであり、その現代的な継承と展開は多くの経済学者によって研究され教育されています。また、理論を基礎として応用に進むだけが研究と教育の道ではなく、現実の社会的・経済的問題に取り組むなかから理論を発展させていく道もあるはずです。このように考えると、現在「分科会」が準備している「素案」は、特定の「経済学」観に基づいたコアカリキュラムを想定する偏ったものにすぎません。それは日本の科学者のコミュニティを代表するはずの学術会議が作成する「参照基準」としてふさわしくありません。

 今後、大学進学年齢期の人口の急激な減少が見込まれるなかで、大学教育組織の日本全体としての規模は縮小に向かうことが予想されています。そのなかで、上記のような偏った内容の「参考基準」が採択されるならば、それが経済学関係の学部・学科の破壊的リストラクチャリングの指針として用いられかねません。それは経済学教育の画一化を急速に進行させ、経済学が社会科学としてもつべき独立性・創造性の喪失につながるでしょう。この署名をもって、私たちは経済学研究者および教育者として、「参照基準」の上記のような偏った内容の是正を、強く求めます。

2013年10月28日

署名呼びかけ人 
伊藤正直(大妻女子大学教授、日本学術会議連携会員)
岡田知弘(京都大学教授、日本学術会議連携会員)
八木紀一郎(摂南大学教授、日本学術会議連携会員)
有賀裕二(中央大学教授、進化経済学会会員)
伊藤誠(東京大学名誉教授、日本学士院会員)
小野塚知二(東京大学教授、政治経済学・経済史学会会員)
片岡 尹(相愛大学特任教授、信用理論研究学会会員)
田中洋子(筑波大学教授、社会政策学会会員)
宮川彰(首都大学東京名誉教授、マルクス・エンゲルス研究者の会会員)
宮本憲一(大阪市立大学・滋賀大学名誉教授、日本財政学会会員)
本山美彦(京都大学名誉教授、日本国際経済学会会員)
森岡孝二(関西大学教授、経済理論学会会員)

参考資料
1.2013年10月5日 経済理論学会要望書 http://jspe.gr.jp/drupal/node/107
2.2013年11月5日 進化経済学会要望書 http://www.jafee.org/sanshokijun.html
3.日本学術会議経済学委員会 経済学分野の参照基準検討分科会 議事次第 http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/bunya/keizai/giji-sanshoukijun.html
(2013年11月18日時点では、11月12日に開催された第7回委員会の提案1として経済学分野の参照基準(原案)が掲載されています。)
4.2013年12月4日 日本学術会議公開シンポジウム「大学で学ぶ経済学とは~学士課程教育における参照基準を考える~」の案内チラシ http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf2/182-s-1-1.pdf


東海大12億所得隠し、校友会館に「利益供与」

読売新聞(2013年11月25日)

 学校法人「東海大学」(東京都渋谷区)が2011年3月期までの6年間に、東京国税局から約12億円の所得隠しを指摘されていたことがわかった。

 大学創立者の肝いりで始まった「校友会館」を維持するため、会館を運営する関係会社と実態のない契約を結び、年間1億円前後を「利益供与」していたなどと認定された。不正経理で経営難の関係会社の黒字化を図った形だが、逆に同大の収益事業は最大で約14億6000万円もの累積赤字を抱える結果となった。

 ほかの経理処理を含めた申告漏れ総額は約22億円。過去の赤字分と相殺されるなどして重加算税を含む法人税の追徴税額は約8000万円だった。同大は「国税の指導を受け入れ、是正した」と話しており、修正申告して納付を済ませた。


2013年11月20日

関西学院大学障害学生支援コーディネーター雇止め解雇事件報告会開催

レイバーネット
 ∟●関西学院大学障害学生支援コーディネーター雇止め解雇事件報告会開催

関西学院大学障害学生支援コーディネーター雇止め解雇事件報告会開催

〈次なる闘いに向け、4年に渡る関学事件を総括〉

11月9日(土)山西福祉記念会館(大阪)にて、関西学院大学障害学生支援コーディネーター雇止め解雇事件報告会が開催され、約140名の参加者が集まりました。

障害のある学生の支援コーディネーターであった非正規職員が、上限4年の有期雇用を理由に雇止め解雇になったこの事件は、2012年11月、中労委により全面棄却の命令が交付されました。その後、団交を再開したものの、関西学院大学には事件を解決する気が全くなく、さらに居直るありさまでした。

2011年、再審査を申し立てた中労委での初回審査の日、労働者委員から開口一番「この手の事件は新幹線代の方がもったいない」と言われました。そして中労委命令の結果は、全面棄却。中労委の労働者委員が、「有期雇用に勝ち目なし。闘うだけ無駄」と思っている現実を身をもって体験しました。激しい怒りを覚えながらも、「しかし、有期雇用労働者自身が本気で怒り、立ち上がる運動が育っていない現状では、このような結果が出るのも仕方ない」と現実を受け止めました。関学事件に固執するのではなく、有期雇用労働者の運動を育てていくことに自身のエネルギーを注ぎたいと考えるようになり、一旦ここで約4年に渡る闘いの総括をすることにしました。…以下,省略…


2013年11月18日

吉見義明教授の裁判闘争を支持し、「慰安婦」問題の根本的解決を求める研究者の声明

吉見義明教授の裁判闘争を支持し、「慰安婦」問題の根本的解決を求める研究者の声明

吉見義明教授の裁判闘争を支持し、「慰安婦」問題の根本的解決を求める研究者の声明

吉見義明教授の裁判闘争を支持する研究者の声明・署名の呼びかけ

 すでに報道などを通じてお聞き及びかと存じますが、日本軍「慰安婦」研究の第一人者・吉見義明中央大教授がさる7月29日、「日本維新の会」の桜内文城議員を名誉棄損で東京地裁に提訴しました。桜内氏が吉見氏の著書を「捏造」と侮辱したのが、その理由です。

 ところが桜内氏側は論点をすり替え、吉見氏が「「慰安婦=日本軍の性奴隷」という虚偽を世界に発信している」と非難し、裁判で正面から争う姿勢を示しています。

 この裁判は、「慰安婦」問題についての誤った認識を拡散させている悪質な宣伝を許さず、「慰安婦」問題の根本的解決を求めるという点からも、また不当な政治的圧力から学問研究の自由を守るという点からも、きわめて重要な意義をもっています。

*吉見義明教授の訴状
  http://space.geocities.jp/japanwarres/center/hodo/hodo53.pdf
*桜内議員・日本維新の会の主張
  https://j-ishin.jp/legislator/news/2013/1008/890.html
*「慰安婦」問題解決の方策としては、解決編中の1-5「解決への提言」をご参照ください。
  http://fightforjustice.info/?page_id=417

 そこで私たちは、長年、関西地方で「慰安婦」問題解決のための活動に取り組んでおられる「日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク」の方々との相談のうえで、吉見氏の裁判闘争を支持し、「慰安婦」問題の真の解決を求める内容のアピールを、研究者の立場から発表したいと考えております。

 つきましては下記の声明をお読みいただき、ご賛同いただけるようでしたら、11月25日(月)午後6時までに以下の【署名の仕方】の要領で、ご署名をお願いします。

 なおその結果は、関係各方面に通知するとともに、12月1日に大阪で予定されている「日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク」の集会で報告することにしています。また、あわせて記者会見も行う方向で検討しています。

【署名の仕方】

下記の署名用フォームのページにアクセスし(携帯からでも可能)、必要事項を記入のうえ、送信してください。

  https://ssl.form-mailer.jp/fms/8e0697c6270781

※今回は「研究者の声明」という形式をとっていますが、ここで言う「研究者」とは何らかの形で研究に携わっている(または携わった経験のある)方という程度の意味です。大学・研究機関などへの所属の有無は問いません。もちろん国籍・居住地の別も問いません。

※声明文と賛同人名簿は11月末に関係機関・団体、報道機関などに送付の予定です。

※メッセージをご記入いただいた場合、報道関係者に公開する可能性があることをご了解ください。不記入でもけっこうです。

※アクセスが集中して送信できない場合は、お手数ですが、しばらく待って再度送信してみてください。1時間に50人以内しか受け付けられません。アクセス制限は1時間毎に更新されます。たとえば10時台にアクセス制限ページが表示された場合は、11:00には解除されます。

※ご質問・ご意見は、次のメール・アドレスまでお願いします。

  問い合わせ先: y-support@freeml.com

※最新情報は下記ブログにて更新予定です。

  http://y-support.hatenablog.com/

吉見義明教授の裁判闘争を支持し、「慰安婦」問題の根本的解決を求める研究者の声明

さる7月29日、日本軍「慰安婦」研究の第一人者として知られる吉見義明中央大教授が、「日本維新の会」所属の桜内文城衆議院議員を名誉棄損で、東京地裁に提訴しました。問題の発端は、今年5月27日「日本維新の会」共同代表の橋下徹大阪市長が、「慰安婦」問題発言などに関する釈明の記者会見を日本外国特派員協会で行った際、同席した桜内氏が吉見氏を冒?する発言をしたことでした。桜内氏は、司会者が参考文献として吉見氏の著書を紹介したところ、「これはすでに捏造であるということが、いろんな証拠によって明らかとされております」と述べたのでした。

前後の文脈から、桜内氏が吉見氏の著書を「捏造」と侮辱したことは明白です。しかし吉見氏が発言撤回と謝罪を求めると、桜内氏はこれに応じるどころか、「捏造」と述べたのは「sex slavery(性奴隷)」という概念であると、論点をすり替えようとしました。そして10月7日の第1回口頭弁論にあわせて発行された「日本維新の会 国会議員団本部」の『NEWS RELEASE』は「桜内文城・衆議院議員は、日本国および日本国民の名誉と尊厳を守るため、「慰安婦=日本軍の性奴隷」という虚偽を世界に発信している吉見氏の讒訴を法廷で粉砕します」と宣言し、吉見氏と正面から争う姿勢を示したのです。

私たちはこのような桜内氏らの不誠実きわまりない法廷戦術に、強い憤りを感じています。桜内氏側の戦略は、「性奴隷」という一般には馴染みの薄い用語に世間の耳目を向けさせ、今日の日本社会に蔓延する排外主義的風潮に便乗することで、自らの過ちを隠蔽するとともに、実証的に積み上げられてきた歴史研究の成果を虚偽であると印象づけようとするものと見られます。これは研究者が自らの研究成果にもとづいて主張する学問的見解を、政治的な策略を弄して葬り去ろうとするものであり、このような行為を許してしまえば、「慰安婦」研究にとどまらず、研究成果の自由な表明に政治が干渉する道を開くことに繋がりかねません。自らの保身のために、論点をすり替え、「慰安婦」問題の解決を遠ざけようとする桜内氏らの策略は、とうてい国際社会においても受け入れられるものではなく、それこそ「日本国および日本国民の名誉と尊厳」を傷つけるものではないでしょうか。

桜内発言とその弁明の論理は、昨今、日本社会の一部で繰り返されてきた、「慰安婦」問題についての誤った認識を拡散させ被害者の名誉を傷つける悪質な宣伝を拠り所としています。そしてその背景には、過去の植民地支配や侵略戦争の過ちから目をそむけ、被害者に責任を転嫁することで自らを正当化しようとする歪んだ歴史認識があります。私たちはこのような卑劣で浅薄な歴史認識と決別することこそが、日本社会の将来を切り開く道であると確信していますが、万一、裁判で桜内氏が主張するような理屈が通ってしまえば、「慰安婦」問題の本質を歪曲しようとする歴史修正主義の主張に、司法が「お墨付き」を与えることになりかねません。

私たちは「慰安婦」問題の根本的解決が、過去の日本の過ちを正し、近隣諸国との真の和解を成し遂げるために不可欠であるという認識に立ち、また日本における学問研究の自由を守る意味からも、吉見氏の裁判闘争を全面的に支持することを、ここに表明します。司直には正義と良識にもとづいた、国際社会に恥じるところのない賢明な判決が下されることを心から期待します。また日本政府には、本年5月17日の国連社会権規約委員会および5月31日の国連拷問禁止委員会の勧告に沿って、元「慰安婦」被害者を侮辱する言動を認めない措置を取るとともに、すでに明らかにされている関係諸団体の提言にもとづき「慰安婦」問題の根本的解決をはかるよう、強く要求します。

呼びかけ人(五十音順)

庵逧由香(立命館大学)、板垣竜太(同志社大学)、鵜飼哲(一橋大学)、内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)、岡真理(京都大学)、長志珠絵(神戸大学)、小野沢あかね(立教大学)、笠原十九司(都留文科大学名誉教授)、北原恵(大阪大学)、金富子(東京外国語大学)、駒込武(京都大学)、河かおる(滋賀県立大学)、志水紀代子(追手門学院大学名誉教授)、宋連玉(青山学院大学)、高橋哲哉(東京大学)、中野敏男(東京外国語大学)、早川紀代(女性史研究者)、林博史(関東学院大学)、姫田光義(中央大学名誉教授)、藤永壯(大阪産業大学)、藤目ゆき(大阪大学)、吉田裕(一橋大学)


【参考資料】
◆ 2013年5月27日、日本外国特派員協会における桜内文城衆議院議員の発言

1点だけ先ほどの、最初の司会者の紹介の点について少しコメントいたします。橋下市長を紹介するコメントのなかで、彼は「sex slavery」という言葉を使われました。これは日本政府としては強制性がないということ、その証拠がないということを言っておりますので、そのような言葉を紹介の際に使われるのはややアンフェアでないかと考えております。

それからヒストリーブックスということで吉見さんという方の本を引用されておりましたけれども、これは既にねつ造であるということが、いろんな証拠によってあきらかとされております。この点も付け加えてコメントしておきます。

出典:吉見義明教授の訴状 (http://space.geocities.jp/japanwarres/center/hodo/hodo53.pdf

◆ 国際連合・経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会「第50会期において委員会により採択された日本の第3回定期報告に関する最終見解(2013年4月29日~5月17日)」2013年5月17日(外務省仮訳)

26. 委員会は、「慰安婦」が被った搾取が経済的、社会的及び文化的権利の享受及び補償の権利にもたらす長きにわたる否定的な影響に懸念を表明する(第3条、第11条)。

委員会は、締約国に対し、搾取がもたらす長きにわたる影響に対処し、「慰安婦」が経済的、社会的及び文化的権利の享受を保障するためのあらゆる必要な措置をとることを勧告する。また、委員会は、締約国に対して、彼女らをおとしめるヘイトスピーチ及びその他の示威運動を防止するために、「慰安婦」が被った搾取について公衆を教育することを勧告する。

出典:外務省(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/pdfs/kenkai_130517_jp.pdf

◆ 国際連合・拷問禁止委員会「第50会期拷問禁止委員会(2013年5月6日~31日)で採択された第2回日本政府報告に関する総括所見」2013年6月28日(国際人権活動日本委員会訳)

軍事的性奴隷制の被害者

19. 世界第2次大戦中の日本の軍隊による性奴隷制の被害者(いわゆる、従軍慰安婦)に対する虐待に関して講じられたいくつかの措置についての締約国による情報にもかかわらず、当委員会は、締約国がこの問題に取り組みながらも、当条約上の義務に応えようとしないこと、特に以下の事柄に関して深い懸念を抱く。
(a) 被害者に対して適切な救済とリハビリを提供していないこと。当委員会は公的資金よりも民間からの拠出金の財源による賠償は不十分であり不適当であったことを残念に思う。
(b) このような残虐な行為の実行者を訴追することなく、裁判にかけて罰していないこと。当委員会は、残虐性の引き続く影響の理由により、被害者から救済、賠償、そしてリハビリの機会を奪う時効は適用されるべきではないことを想起する。
(c) 関連する事実や物的証拠を隠蔽し公開しないこと。
(d) 政府高官や地方自治体の高官、そして数名の国会議員を含む政治家による止まらぬ事実の公的な否定と被害者に対する再トラウマの呼び起こし。
(e) とりわけ歴史教科書内でこの問題の引用が減少しているとの例証により、当条約の男女の性に基づく違反を防ぐための有効な教育的措置を実施しないこと。
(f) 締約国によるこの問題に関連する種々の勧告の拒否、例えば、UPRによるもの(A/HRC/22/14/Add,1 para.147.145 et seq.), これは当条約による勧告(24項)と全く同じであり、それから他の多くの国連人権メカニズムによるもの、とりわけ、自由権規約委員会(CCPR/C/JPN/CO/5, para.22), 女性差別撤廃委員会(CEDAW/C/JPN/CO6, para.38), 社会権規約委員会 (E/C.12/JPN/CO/3, para.26), そして人権理事会でのいくつかの特別手続きによる委任保有者(特別報告者)である。(第1条、2条、4条、10条、14条、そして16条)

当条約の一般的意見第3号(2012年)を想起し、当委員会は「従軍慰安婦」問題に対して被害者中心の解決策を見出すために、特に下記に述べる、緊急的かつ有効な法的及び立法的措置を講じるよう締約国に強く要求する。
(a) 性奴隷性の犯罪に対する法的責任を公式に認めること。そして適切な刑罰にて犯罪実行者を訴追し罰すること。
(b) 政府当局者や社会的有名人による事実の否定や、このような繰り返えされる否定を通して被害者を再びトラウマに陥れることに対して反論すること。
(c) 関連する物的証拠を公開し、事実を徹底的に調査すること。
(d) 被害者の救済を求める権利を認め、それに従い、賠償、償い、そして可能な限りの十分なリハビリの措置を含む、十全で有効な救済と補償金を提供すること。
(e) この問題について一般市民を教育すること、そしてさらに締約国が当条約の遵守義務に違反することを防ぐ方策として、歴史教科書の中にこの事件を記載すること。

出典:国際人権活動日本委員会(http://jwchr.s59.xrea.com/x/shiryou/2013goumonkinshiiinkaishoken.pdf


北海道文教大学を提訴,元教授の2人「雇い止め無効」

■北海道新聞(2013年11月16日)
 ∟●「雇い止め無効」、道文教大を提訴 元教授の2人

「雇い止め無効」、道文教大を提訴 元教授の2人

 北海道文教大(恵庭市)に雇い止めされたとして、元教授の女性(66)と男性(65)が大学側を相手取り、解雇の無効と賃金計約1800万円の支払いを求める訴訟を札幌地裁に起こした。第1回口頭弁論が15日、同地裁(本田晃裁判長)であり、大学側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
 訴状によると、大学側から「形式上は任期制だが、68歳まで雇用を継続する」との説明を受け、女性は2009年、男性は11年に教授として採用された。しかし、12年度末で雇用を打ち切られたとしている。
 口頭弁論では「期間満了で雇用関係が終了した」という大学側の主張に対し、男性は「管理栄養士の国家試験対策をめぐり、意見の合わない自分たちを排除しょうとしたのが本当の原因。不当な雇い止めだ」と意見陳述した。


2013年11月09日

2元教授、佐賀大を提訴 「退職金引き下げは違法」

毎日新聞(2013年11月08日地方版)

 国からの要請により、大学職員の退職金を引き下げたのは労働契約法などに違反するとして、元佐賀大教授2人が7日、大学を相手取り、退職金の引き下げ額分計約364万円の支払いを求め、佐賀地裁に提訴した。

 訴状などによると、国立大学法人・佐賀大は、国から国家公務員退職手当改正法(昨年11月成立)に基づく退職金引き下げの要請を受け、昨年12月末に職業規則を改正し、引き下げを決定。しかし、同法人職員には労働契約法が適用され、就業規則を不利益変更して労働条件を一方的に引き下げることは認められないとされる。

 原告の一人の豊島耕一・佐賀大名誉教授は「引き下げは適切な手続きを踏むことなく行われ、全く理不尽なもの」と訴えた。

 佐賀大は「事実を確認していないのでコメントできない」としている。【生野貴紀】

大学オンブズマン・常葉大学短大部巻口勇一郎先生を支援する全国連絡会、常葉学園理事会に是正と不当処分を行わないよう求める

.私たちは,不正受給の原因・背景を明らかにし,同族経営の歪みを是正し,内部告発者への不当処分を行わないよう学校法人常葉学園に求める。

大学オンブズマン・常葉大学短大部巻口勇一郎先生を支援する全国連絡会

<連絡先>大学オンブズマン事務所
〒 600-8458
京都市下京区油小路通り松原下る樋口町308
京都社会文化センター内
電話 075 (741) 6051

2013年11月07日

早稲田大学がコスト削減で授業を外部委託し“偽装請負”の疑い、労組が労働局に調査申立 必修科目なのに4万3千円追加徴収も

My News Japan
 ∟●早稲田大学がコスト削減で授業を外部委託し“偽装請負”の疑い、労組が労働局に調査申立 必修科目なのに4万3千円追加徴収も

早稲田大学がコスト削減で授業を外部委託し“偽装請負”の疑い、労組が労働局に調査申立 必修科目なのに4万3千円追加徴収も

林 克明
22:16 11/07


 労組が鎌田薫・早稲田大学総長に宛てた公開質問状。商学部の必修英語授業の外部委託が労働者派遣法に違反する疑いがあることや、「非常勤講師を5年で雇止めすることが教育の質を高める」と大野高裕教務部長が繰り返し団交で述べたことなどに対し質問(全文は記事末尾でダウンロード可)。

 労働契約法改訂にともない非常勤講師の契約期間を最長5年にする就業規則を強行導入した早稲田大学で、新たな火種が発覚した。商学部の必修科目「英語Ⅰビジネス会話」を廃止し、代わりに、同大学の子会社で社長も大学職員が兼務する㈱早稲田総研インターナショナルに授業をアウトソーシング(業務委託)し、「チュートリアル・イングリッシュ」と称する新授業を導入する計画について、偽装請負の疑いが強いのである。請け負う会社の役員は早大教職員が6割を占め、テキスト、成績評価などを大学の専任教員が指揮監督するため、首都圏大学非常勤組合らは10月23日、東京労働局長に対し、偽装請負についての調査と是正勧告を求める申立書を提出した。さらに本件では、必修科目にもかかわらず授業料に4万3千円の履修費用を追加徴収するなど、なりふり構わず金儲けを企む早稲田商法の貧困さが次々と明らかになっている。(質問書、申立書など関連書類はPDFダウンロード可)
【Digest】
◇一週4時限制限の撤廃要求中に発覚
◇必修科目の授業を株式会社に丸投げ
◇請負会社の役員は、軒並み早稲田の専任教員
◇大学設置基準との矛盾はないか
◇早稲田大学問題は関ヶ原の戦い
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◇一週4時限制限の撤廃要求中に発覚

 契約期間の上限を5年にする就業規則は、4000人近い非常勤講師らに衝撃を与えた。また、学内名誉教授らが鎌田薫総長などを東京地検に刑事告発、15名の早大非常勤講師が新宿労基署に刑事告訴したことも、大学界に波紋を投げかけている。
 まずは、混乱に追い打ちをかけるような今回の「偽装請負疑惑」が発覚するまでの流れを説明しておこう。

 「5年でクビ」を定めた就業規則の第11条には、「1週における授業担当時間の上限は4時限を原則とする」という文言が入っていた。同大の非常勤講師の報酬は1時限(1コマ)約3万円。単純計算だが、1週4コマなら、早稲田だけで授業を担当していると年収144万円にしかならない。

 首都圏非常勤講師組合としては、これを撤回させるために団体交渉を求め、結局は専任教員と同じ1週6コマ上限にすることで落ち着いた。ところが、8月23日に実施された団体交渉で新たな問題が浮上したのだ。志田昇書記長が説明する。

 「一方的な就業規則制定によると、非常勤講師の1週間の授業上限を4時限とし、それを徹底させるために6月18日に文書を大学は出してきました。それによると、上限4時限を2018年までに達成することを目標とし、現在1週10時限(全学合計)を超える非常勤講師の授業を2013年中に10時限以下に減らそうとしているのです。
 こうした流れのなかで、商学部で必修科目のビジネス英会話を教える非常勤講師の仕事がなくなるか、あるいは授業数が減らされることになり、これを撤回させようと団体交渉で質問したのです。

 それに対する大学の回答は、授業時間の制限のためではなく、あくまでも『カリキュラムが変わるから』だということでした。授業時間を減らす政策によって『英語Ⅰビジネス会話』担当の非常勤講師が仕事を失うとなると抵抗が大きいため、都合よくもってきたのがカリキュラム変更です。授業そのものがなくなってしまえば、非常勤講師が契約できないのは当たり前、というわけです」

 しかし問題は、その「カリキュラム変更」の中身であり、ここから㈱早稲田総研インターナショナルによる偽装請負の疑惑が湧き上がることになる。
 大学経営サイドの立場で説明したのは、教務部長である大野高裕教授(理工学部・経営工学)である。

 大野教務部長の説明によると、商学部では2010年から基本的なカリキュラムについて検討を始めており、その一環として必修科目の「英語Ⅰビジネス会話」を廃止して、代わりに「チュートリアル・イングリッシュ」という科目に移行するが、その授業をすべて㈱早稲田総研インターナショナルに業務委託する。

 チューターとは少人数クラスを教える個別指導教師のことで、アメリカの大学ではインストラクターの下位の大学講師を指すこともある。彼らによる英語授業を「チュートリアル・イングリッシュ」と称する。この授業は2002年から各学部のカリキュラムに組み込まれるようになったが、商学部にはこれまで導入されていなかった。

◇必修科目の授業を株式会社に丸投げ
 それでは、商学部の必修科目である「チュートリアル・イングリッシュ」の内容と、授業を請け負う㈱早稲田総研インターナショナル(以下、㈱早稲田総研)、そして早稲田大学との関係はどうなっているのか。

 ㈱早稲田総研が外部講師(チューター)を雇い、彼らが授業を行う。しかし、学生を評価する際の権限など、表向きは、早稲田大学の専任教員の名前が表記されている。しかも、.....以下,略……