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 カテゴリー 2018年11月

2018年11月08日

明治学院大学解雇事件、無効判決にいたるまでの事件の全貌を明らかにする図書が刊行

『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)

寄川条路編、小林節・丹羽徹・志田陽子・太期宗平著
『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)

大学当局が教授に無断で講義を録音し、告発した教授を解雇した「明治学院大学事件」。東京地裁による解雇無効判決にいたるまでの、事件の全貌を明らかにする。事件の概要、裁判所への法学者による意見書、判決文の解説を収録。本来「学問・教育・表現の自由」が保障されるはずの大学界への教訓として公刊。

目 次
序 章 盗聴される授業、解雇される教員 寄川条路(明治学院大学教授)
第1章 学問の自由、大学の自治、信教の自由 小林節(慶應義塾大学名誉教授・弁護士)
第2章 私立大学における教育の自由 丹羽徹(龍谷大学法学部教授)
第3章 懲戒における適正手続の観点から見た解雇の有効性 志田陽子(武蔵野美術大学造形学部教授)
第4章 「明治学院大学事件」判決の主文 東京地方裁判所
第5章 「明治学院大学事件」判決の解説 太期宗平(ベリーベスト法律事務所パートナー弁護士)
終 章 「明治学院大学事件」についてのよくある質問Q&A 寄川条路

2018年11月02日

教授会で人格侵害発言 英国籍の元准教授女性が立命館提訴

京都新聞(2018年11月01日)

 立命館大の教授会内で人格を侵害する発言を受け、学内でパワーハラスメントと認定されたにも関わらず大学の救済措置が取られなかったとして、英国籍で同大学の元准教授ブレーク・ヘイズさんが1日、学校法人立命館(京都市中京区)に対して、慰謝料など7千万円の損害賠償を求める訴えを京都地裁に起こした。

 訴状によると、ヘイズさんは2009年から国際関係学部の准教授に就き、労働経済学の研究に取り組んできた。学部長から教授への立候補を打診され、15年に学部教授会で昇任審査を受けた。その際、研究科長の男性教授らから、博士号取得に詐称の疑いがあるなど虚偽の発言をされ、投票の結果、昇任が認められなかったという。

 学内のハラスメント防止委員会は17年、教授らの発言が、職務上の地位や人間関係の優位性を利用していたと指摘。「精神的・身体的苦痛を与え、就労上の権利、人格、尊厳を侵害する言動」だったとし、昇任投票に「否定的な影響を与えた」と判断した。

 しかし大学側は、決定内容を公表せず、学部も教授会の決定を変更しないなど救済措置を取らなかったと訴えている。

 原告は同年3月末に定年退職し、教授昇任の再投票などを求めて京都簡裁に調停を申し立てたが不成立で終わった。

 1日に会見したヘイズさんは、女性研究者が日本で地位を得る際に「見えない天井」があるとした上で「大学は互いの違いを乗り越える寛容性を大切にしなければいけないのに、誤った情報で職場を追いやられて非常に残念。同じような被害を受ける人たちの力になりたい」と話した。

 学校法人立命館は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。


立命館大教授会でパワハラと提訴 元准教授の英国女性

徳島新聞(2018/11/1)

 立命館大の教授会での男性教授らによるパワハラ発言で昇任が否決されたのに、大学は救済措置を怠り退職に追い込まれたとして、准教授だった60代の英国人女性ブレーク・ヘイズさんが1日、学校法人立命館(京都市中京区)に7千万円の損害賠償を求め、京都地裁に提訴した。

 訴状によると、ヘイズさんは2008年から立命館大の嘱託職員として勤務。翌09年に国際関係学部の准教授、15年には教授昇任候補に選ばれた。しかし、教授会での審議の際、男性教授ら2人が「強引な性格で、考えを押し付ける人物」などと人格を非難した上、ヘイズさんが博士号取得を詐称していたような内容の発言をした。


サイト紹介「中等教育及び高等教育の漸進的無償化立法を求める会」

「中等教育及び高等教育の漸進的無償化立法を求める会」
http://mushou.jinken-net.org/

学費を苦に中退、奨学金で破産…教育無償化しないのは「人権侵害」 日弁連に申し立て

弁護士ドットコム11/1(木)

高校や大学などに通う意思と能力があるのに、国が「教育無償化」のための取り組みを十分にせず、経済的理由から学生生活を送ることができない人が出ることは人権侵害だとして、有識者団体は11月1日、日本弁護士連合会に人権救済を申し立てた。教育無償化のための法整備も含め適切な措置を取ることを、日弁連として国に勧告するよう、求めている。

●学費稼ぐため長時間アルバイト、学業そっちのけ

団体は「中等教育及び高等教育の漸進的無償化立法を求める会」で、千葉大名誉教授の三輪定宣氏(教育行政学)と元龍谷大教授の重本直利氏(社会経営学)がそれぞれ代表世話人を務める。世話人には西川治弁護士らが就任している。

日弁連に提出した申立書ではまず、日本の学生が納める授業料がOECD諸国のなかでみても有数の高さで、しかも奨学金は返済が必要な貸与制である場合がほとんどであり、返済できないまま自己破産に追い込まれる例が少なくないことを指摘した。

そして、経済的理由から中退する学生が多く、低所得層の学生が学費や生活費を稼ぐために長時間のアルバイトをし、充実した学生生活を送ることが難しいことも問題だとした。中学校や高校でも制服代などの負担が重い問題は解消されていないと訴えた。

●東工大など授業料値上げの動き、波及を懸念

もともと日本政府は、国連の社会権規約がいう「無償教育の漸進的な導入」に拘束されない権利を持っていた(留保していた)が、外務省の発表によると2012年9月にその留保を撤回することを国連事務総長に通告した。つまり留保撤回により、日本政府は法整備や財政的措置などを講じ、教育の無償化を進める責任を負うことになったと求める会は主張している。

国立大の授業料(年額)は、文科省令が規定する「標準額」をもとに各大学が定める仕組み。授業料の標準額は53万5800円で2005年4月以降は据え置かれてきたが、2018年9月以降、東京工業大と東京芸術大が相次いで授業料改定を表明した。東工大は53万5800円を63万5400円に、東京芸大は53万5800円から64万2960円に、それぞれ引き上げるとしている。

求める会では、こうした引き上げが他の大学などにも波及し、学生や入学を志す人たちの負担がさらに増すことを強く懸念している。求める会は申立書の結びで、「具体的な行動をとる義務が国にあることを明確に意識するよう、求める必要があることは明らか」とした。