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2014年03月30日

大学もブラック化 道内7大学で係争、札幌でシンポ

しんぶん赤旗(2014年3月30日)

 北海道で相次ぐ大学教員・職員の労働事件や大学運営をめぐる問題を考えるシンポジウム「ブラック化する大学と教育の危機」が札幌市で29日、開催され、大学関係者や弁護士など市民ら170人を超える人たちが参加しました。

 「大学問題を広く知ってもらおう」と日本労働弁護団北海道ブロック、北海道私立大学教職員組合連合、北海道労働組合総連合など6団体が共催したもので、昨年に続き2回目となります。

 日弁連憲法委員会副委員長の佐藤博文弁護士があいさつで、現在、道内7大学10件の係争があり、労働委員会に不当労働行為救済の申し立てが3件あることを紹介。「教員が大学の使用人化している」と指摘しました。

 自身も不当に諭旨免職処分され、訴訟を起こした専修大学北海道短期大学前学長の寺本千名夫氏は「北海道で頻発する大学問題の背景と運動の方向性」と題して講演。寺本氏は、頻発する大学問題の背景には、国の文教予算の貧困さ、国立大学の法人化、私立学校法の改正などがあると強調し「大学問題を内部の問題とせず、市民と連携し、学問の自由、教授会の権限を奪う学校教育基本法の改悪に反対することや国・政府に教育に対する姿勢の転換を求めていくことが大事です」とのべました。

 パネルディスカッションでは、3大学の教授から大学問題の事例の発表や教育への影響などが報告されました。


2014年03月28日

日弁連、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案」に反対する会長声明

日弁連
 ∟●「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案」に反対する会長声明

「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案」に反対する会長声明

2014年3月7日、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案」(以下「法案」という。)が閣議決定され、同日、今国会に提出された。

法案は、国家戦略特別区域法(以下「特区法」という。)附則2条に基づき、5年を超えるプロジェクトに従事する専門的知識を有する有期雇用労働者(第一種特定有期雇用労働者)や定年後に継続して雇用される労働者(第二種特定有期雇用労働者)を、労働契約法18条のいわゆる5年無期転換ルールの例外とし、最大10年まで有期労働契約のままで雇用することを認めるものである。

しかし、少なくとも第一種特定雇用労働者について最大10年の雇用契約を適用することについては、当該労働者の雇用関係を不安定にするおそれがあり、反対である。

労働契約法18条は、有期雇用労働者の雇用の安定を図る目的で昨年4月1日から施行されたばかりであり、適用事例はいまだ1件もない。法案は、この例外を拙速に導入しようとするものであり、労働政策審議会においても、僅か約1か月半の短期間かつ5回の審議のみで、労働者代表委員の反対意見を半ば強制的に打ち切る形で提案された。

そもそも労働政策立法は、ILO諸条約の規定を待つまでもなく、公労使の三者協議を経て決められるべきことが国際常識である。法案に関する手続は、公労使の三者協議の場である労働政策審議会の審議を事実上骨抜きにするものであり、その策定過程は到底容認できるものではない。

また、特区法附則第2条は、特例の対象となる労働者の要件に関して、「その年収が常時雇用される一般の労働者と比較して高い水準となることが見込まれる者に限る」との限定を付している。ところが、法案では、第一種特定有期雇用労働者にかかるこの限定をあえて法律上の要件とせず、厚生労働省令等で定めることができるようにしている。しかも、「年収」の「水準」については一切規定していない。かかる規定では、特区法附則第2条が定めた限定の枠を超えて、省令による特例の適用対象者の拡大が可能となってしまう懸念がある。

当連合会は、2008年10月3日付け「貧困の連鎖を断ち切り、すべての人が人間らしく働き生活する権利の確立を求める決議」及び2012年4月13日付け「有期労働契約に関する労働契約法改正案に対する意見書」などにおいて、期間の定めのない直接雇用を原則的な雇用形態とすべきこと、有期労働契約の対象者を限定し、1年間での無期転換を実現すべきことなどを求めてきた。無期転換権の行使期間を一部労働者に対して10年まで延長する法案の方向性は、かかる当連合会の意見に反するものといわざるを得ない。

したがって、当連合会は、法案に反対するとともに、有期雇用労働者の雇用安定を確保し、同一価値労働同一賃金原則を実現することにより有期雇用労働者の待遇が向上するような方向性での法改正を行うよう強く求める。

2014年(平成26年)3月26日
  日本弁護士連合会
  会長 山岸 憲司

佐賀大学退職金引き下げ無効訴訟第2回口頭弁論ならびに報告集会について

全大教
 ∟●佐賀大学教職員組合「退職金引下げ無効訴訟 第2回口頭弁論」

佐賀大学退職金引き下げ無効訴訟第2回口頭弁論ならびに報告集会について

 去る3月7日(金)、佐賀地方裁判所にて、佐賀大学退職金引下げ無効訴訟の第2回口頭弁論が行われ、またそれに引き続いて、報告集会が開かれましたので、以下にご報告申し上げます。
 口頭弁論は同日午前 10 時 30 分より、佐賀地裁第一法廷にて行われました。原告側からは、原告の豊島耕一氏(元佐賀大学教職員組合員)と同訴訟弁護団(東島浩幸、梶原恒夫、桑原健、八木大和の各弁護士)が出廷しました。一方、被告の国立大学法人佐賀大学からは弁護士2 名の出廷がありました。原告の応援には、福岡教育大学、大分大学、九州大学の組合員の方も駆け付けてくださいました。また、「佐賀県内のすべての労働者の賃金削減阻止共闘会議」からも大勢の方々に傍聴においでいただきました。約 30 名の傍聴がありましたが、その9 割方は佐賀大学教職員組合の組合員やその他、原告側の応援の方々でした。
 開廷が宣せられた後、裁判官から被告弁護人に対し、準備書面提出の遅れに関して、苦言が呈されました。これは前回の口頭弁論において、2 月 15 日までに提出する約束がなされたにもかかわらず、実際に提出されたのは今次口頭弁論前日の 3 月 6 日、しかも裁判所閉庁後の 18 時 32 分であったことを踏まえての指摘です。これに対し、法人側弁護人から釈明の言葉、ならびに原告弁護人から遺憾の意の表明がありました。続いて、次回口頭弁論の日時が4 月 11 日(金)15 時からという予定が立てられ、審理は終了しました。
 閉廷後、佐賀県弁護士会館に会場を移して、角縁佐賀大学教職員組合書記長の司会により、報告集会が開催されました。参加者は約 30名でした。同組合委員長の鈴木から開会の挨拶と、関係諸団体・支援者への感謝の言葉があった後、原告の豊島氏から提訴の意図の説明と、組合に対する励ましの言葉がありました。
 次いで、東島浩幸弁護士より、第 2 回口頭弁論のポイントについて懇切丁寧な説明が行われました。東島弁護士によりますと、今回提出された準備書面に示された佐賀大学法人の言い分は以下のように要約されるとのことです。すなわち、 ① 国立大学法人は純然たる民間企業とは異なるがゆえに、労働契約法第10 条は今回の事例には直接適用されない。 (裁判所へ向かう原告と支援者) 退職金は国から 100%拠出されており、国の基準が変われば、法人もそれに連動して、変更を行わざるをえない。②国から大学に渡される運営交付金の使途は前もって決められており、それを退職金などの人件費に振り替えることは許されない。③佐賀大学が平成22 年から23年にかけて、約 23 億円の純利益を上げているのは事実であるが、その内の 20 億円は附属病院収入によるものである。この利益は附属病院の改築や医療機器の更新に充てるものであり、人件費に転用する財政的余裕はない。④佐賀大学の全経費に占める人件費の割合は56.4%であるのに対して、同等規模を有する他の国立大学の割合は平均 51.6%である。そうでなくとも高い佐賀大学の人件費率を、更に上げるわけにはいかない。⑤教職員、゚半数代表、組合等への説明や協議は十分だったとは言えないが、文科省からの要請が急であったため、それも致し方なかった。
 これらの諸点について、東島弁護士は鋭い論駁を加え、法人側の主張がいかに論拠薄弱であるかを詳らかにしました。また同弁護士から、法人からの準備書面の提出が大幅に遅れたのは、退職金削減決定時に法人が事前に十分な検討を行っていなかったことの何よりの証左であるとの指摘がありました。すなわち、十分な検討を経た上での止むをえない措置ではなかったため、今になって理論的根拠付けに腐心しており、準備書面の作成に時間を要したものと推察されます。
 ポイント説明について質疑応答が交わされた後、全大教から報告があり、退職金削減の緩和措置を取っている大学が複数存在し、その事実は退職金問題の扱いは、各大学法人の裁量に委ねられる余地があることを示している旨の指摘がなされました。次に全大教九州から、他の国立大学等における訴訟の動向が紹介されました。続いて、福岡教育大学教職員組合より、現在進行中の不払い賃金請求訴訟について報告をいただきました。大学法人側は予算的余裕が十分ありながら、国民の税金であるため、自由に使えないなどと主張して、賃金削減を正当化しようとしているとの話でした。大分大学教職員組合からは、不当労働行為救済申し立て審問について現況報告が行われました。現在、労働委員会から和解を提案されているが、法人側は和解に応じる気色はないとのことです。最後に、「佐賀県内のすべての労働者の賃金削減阻止共闘会議」からご発言いただきました。公務員バッシングの横行する昨今、裁判闘争のみに頼ることなく、広く世論の支持と理解を得るための運動こそが大切であるとのことです。参加者の間で活発な意見と情報の交換が行われ、大変有意義な報告集会となりました。所要時間ヘ1時間30分ほどでした。
 このたびは大勢の方々に傍聴、ならびに報告会にご参加いただき、誠にありがとうございました。4月11日(金)15 時から予定されております第 3 回口頭弁論にも、更なるご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

神戸夙川学院大を不適合 認証評価、他に11校も

共同通信(2014/03/27)

 日本高等教育評価機構は27日、2013年度に実施した大学の認証評価結果を公表し、神戸夙川学院大を「基準に不適合」と判定した。リーマン・ショックの影響で多額の運用資金を失い「財政が危機的状況にある」と評価した。

 機構によると、運営態勢を刷新し立て直しを図っているが、現在の財政計画は実効性に乏しいという。監査報告書や財産目録などの財務情報が公表されておらず、改善が必要とした。

 また、大学基準協会も同日、認証評価結果を公表し、大学と法科大学院計11校を不適合とした。

 11校中7校は評価結果に異議を申し立てており、協会側が5月までに審査する。


看護系の学部・学科、20年で7倍超

読売新聞(2014年3月27日)

 看護系の学部・学科を設置する大学が全国的に増えている。

 今春新設する16校を含めると226校で、全大学の3割に上る。看護師は医療現場のニーズが高く、不況による就職難もあって志望者も上昇傾向だ。学生を獲得したい大学にとっても期待できる分野で、来春も新設が相次ぐ見通しだ。

 文部科学省によると、看護師国家試験の受験資格が得られる学部や学科を持つ大学は1991年度には11校だったが、95年以降は毎年10校のペースで増え、20年で7倍以上になった。

 看護師不足を受け、国は92年に看護師等人材確保促進法を施行、資の高い看護師を養成する看護系大学の設置を促した。こうした背景から短大や専門学校を母体にした看護系大学や学部が誕生、既存の大学でも学部新設の動きが進んだ。

 今春の新設数は2006年度の17校に次いで多い。敦賀市立看護大(福井県)など3校が単科大学として新設され、奈良学園大(現奈良産業大、奈良県)など、これまで医療系学部がなかった大学も新規参入する。

 既存の学部・学科の定員を増やす大学もあり、今春の入学定員は前年より1675人増の1万9454人と94年度の11倍になる。同志社女子大(京都府)など十数校は来春の学部・学科の新設を計画中だ。

 大手予備校・河合塾の調査によると、全国の私立大の看護系学部・学科の志願者は昨春、延べ7万3000人で、10年前の3・8倍に増えた。私大全体の志願者はほぼ横ばいで、看護系の急伸長ぶりが目立つ。

 河合塾教育情報部の富沢弘和チーフは「就職への不安から受験生の資格志向が強く、人気はしばらく続くだろう。ただ、これだけ増えると、教育の質や実習先の確保などで不十分な大学も出てくる。受験生は慎重に比較して志望校を選ぶ必要がある」と指摘する。

「質」維持へ審査厳格化…文科省

 文部科学省は、看護教育の質の低下を防ぐため、2015年度(来春)新設分から、看護系学科の設置審査を厳しくする。

 学科の新設審査で同省は、教員の教育研究実績や教育課程を重視してきた。しかし、規制緩和の流れで04年度新設分から、理学療法士や放射線技師を養成する「保健衛生学分野」の学科を持つ大学であれば同じ分野の看護系学科新設で手続きが簡易になり、教員の実績は審査からはずれた。

 ところが、同省によるとこの施策が裏目に出て、一部の大学で実績が不十分な教員の割合が増える弊害が出始めているという。

 4月以降、看護系は保健衛生学分野から切り離される。同じ大学が別のキャンパスに二つ目の看護学科をつくる場合を除き、簡易な審査での新設はできなくなり、教員の実績が厳しく問われることになる。


2014年03月26日

「達成度テスト導入を」…中教審部会が報告案

読売新聞(2014年3月25日)

 文部科学省の中央教育審議会の部会は25日、大学入試センター試験に代えて「達成度テスト・発展レベル(仮称)」を導入すべきだとする報告案をまとめた。

 実施回数や時期については、引き続き検討が必要として記載が見送られたが、6日に同省が示した成績を1点刻みの「素点」で大学側に提供できる案は、「知識偏重の選抜にならないように」とした政府の教育再生実行会議の意見を尊重し、削除された。

 成績は、点数でグループ分けした段階別で提供することを検討していたが、受験者数の多い大学などから、「段階別では選考が難しい」と反発があり、同省が素点での提供も提示していた。

 一方、試験の内容については、実施が比較的容易な「教科型」のほか、「知識や技能、体験をもとに答えのない課題に挑戦する力をみるため、教科の枠組みに縛られない『総合型』などを検討すべきだ」との意見が盛り込まれた。ただ、5、6年後の実施に間に合うか疑問の声もあり、同省は4月、パブリックコメント(意見募集)を実施し、中教審が今夏をめどに下村文科相に答申する。

[同ニュース]
大学入試の達成度テスト、複数教科の「合科目型」など検討 中教審部会骨格案
合科目・総合型の導入検討=達成度テスト「発展」で-中教審部会

2014年03月25日

経済理論学会、「経済学分野の参照基準」第二次修正案に関する意見

日本学術会議経済学委員会 樋口美雄委員長 殿
経済学委員会経済学分野の参照基準検討分科会 岩本康志委員長 殿

 私たちは、昨年10月に当時の「参照基準」の策定準備作業についての情報をもとに、以下の3点を要望しました。
1.自主性・多様性を尊重し、画一化・標準化の促進を避けること
2.ミクロ、マクロ的視角とともに政治経済学的な視角を経済学教育のなかに位置づけること
3.総合的視野の重要性と経済学的分析に対する自省

 今回の第二次修正案についての私たちの判断も、この3点の要望を基準とするものになります。
 まず、第1点については、修正案において「標準的アプローチ」の記載がなくなり各大学の自主性が承認されたことを評価します。モデル的方法がバランスを失するほど強調されている等の問題点が残っていますが、経済学教育の内容および方法については、それぞれの大学・学会・教員の創意と努力に委ねられるものと解釈できる案になっています。

 第2点については、政治経済学的な内容を案文の中に盛り込みながらも、「政治経済学的な視角を経済学教育のなかに位置づける」ことの要望に対しては「拒絶」とは言わないまでも「回避」されていると判断します。私たちも「政治経済学」を科目名として記載することを要望したわけではありませんが、「政治経済学的な視角」は、経済生活における現実問題をその社会的背景や利害関係とともに分析・把握することは「ミクロ的視角」「マクロ的視角」に還元されない独自の意義をもつと考えます。この修正案においても、経済問題では利害対立や支配・従属関係が結びついていることが多いというリアルな認識が弱いと感じます。したがって、3(1)「経済学の方法」で、「ミクロ的手法」「マクロ的手法」にいて説明したあとの、ゲーム理論がでてくる前に以下のような説明の段落を入れることを要望します。
 「経済において登場する問題は、国内問題においても国際問題においても、多くの場合利害対立をともない、ときには政治的な支配・従属の関係をともなっている。したがって、そうした対立関係や支配関係と経済的関係を合わせて考察する政治経済学的な視角が有益なことがある。」

 第3点の要望については異論がないと聞いていたのですが、明示的に記述されている箇所が少ないことが気になります。これについては、2①「・全体を総合的に把握する能力」や、同②「・コミュニケーション能力」「・グローバルな市民」としての社会的責任」において、あるいは6(1)「経済学を学ぶ学生の教養教育」の説明のなかでより明示的に盛り込まれるべきす。
 たとえば、2①「・全体を総合的に把握する能力」の末尾に「また経済問題が政治問題や倫理問題と結びついているような場合には、効率性を基準とした経済学的な結論がそのままでは受け入れられない場合も多い。民主的な討議プロセスや倫理的要素の考慮を視野にいれた総合的な視点が必要とされる。」と付加する。
 あるいは、6(1)「経済学を学ぶ学生の教養教育」の第3センテンス「多様で膨大な数の社会問題が存在する。」のあとに、以下の文章を付加し、その後の文章を調整する。
「資本主義的な市場経済との関連で、これらの問題の全体像を解明し、それへの対処の方法を考えてゆくことは、これからの社会のあり方を広い視野で検討してゆく学問的教養の基礎になる。民主主義的な討議と決定、倫理的な考慮との関連で経済問題を捉えることは現代の教養教育にとって必須であろう。さらに理系を含めた・・・・」
 以上、ご検討いただけるよう要望します。

 2014年3月17日 経済理論学会幹事会

 

[資料]
資料2_分科会原案(第二次修正)
資料2-1_分科会原案(第二次修正)修正履歴付
資料3_分科会原案・第二次修正への意見照会

名城大学非常勤講師裁判、証人尋問の傍聴お願い

名城大学・金城学院大学 非常勤講師裁判
 ∟●傍聴のお願い

証人尋問の傍聴お願いします!

発行 原告 加藤治子(名城大学非常勤講師)

いつも応援ありがとうございます。

2010年12月に突然、それまで私が担当していた英語の授業数を半分以下に減らすと通告されてから丸3年、
2011年10月に名城大学を提訴してから2年以上が経過しました。私は毎日、一生懸命に授業をし、学生からも高い評価を得ていたのに、なぜ、突然、担当授業数を半分に減らされたのか?その決定をした教授からは、いまだに理由を聞かせていただいていません。これからも粘り強く、名城大学の非常勤講師に対する不正な仕打ちに対して声を上げて行きたいと思っています。

第一回証人尋問 4月10日(木)13:30~
(3時間程度)@名古屋地裁 第1103法廷
証人は、名城大学総務部事務部長の矢野幾也さん、同大学教育
開発センター事務部長の大武貞光さんの二名です。

第二回証人尋問 4月21日(月)10:30~
(16:30頃まで)@名古屋地裁
証人は、元名城大学准教授の只木先生と名城大学法学部教授の
山田豊先生の二名です。
 
第三回証人尋問 5月12日(月)13:30~
(3時間程度)@名古屋地裁
証人は、原告加藤です。

*なお、合理的でない理由で授業コマ数を減じることを主張したご本人の名城大の岡戸教授とそれを実行した東教授の証人尋問は「留保」となっておりますので、今後も証人として出廷される可能性が残っております。

●「名城、金城非常勤講師裁判」というHPがたちあがりました。こちらも  ぜひご覧ください。http://meikin-trial.jimdo.com/

●東海圏大学非常勤講師組合の組合員(大学教師)による「出前講座」をご用命ください!

●齊藤直美組合員と加藤治子組合員の裁判を支援する活動の一環として、組合員による「出前講座」を企画しています。組合員の専門分野は、英語(一般英会話、旅行英会話、ビジネス英語、TOEIC・英検などの資格対策、通訳・翻訳、大学・高校受験英語、多読など)、ピアノ(保育士さん等が対象の簡易伴奏レッスン等)、中国語、フランス語、生物学、地学、法律など多岐に渡ります。

●講師料はいただきませんが、1講座(60~90分間:応相談)につき、5,000円程度(ご依頼の内容によって多少の変動があります)を裁判の活動費として寄付してくださいますよう、お願いします。受講してくださる方の人数は、何名様でも構いません。(例:10人に集まっていただけると、1人わずか500円のご負担です)交通費は実費をいただけると幸いです。

●ネット署名のお願い 下記までアクセスし、署名してくださるようお願いします。すでに署名してくださった方は、ぜひお知り合いにもおすすめください。ただし、ネット署名ができるのは、1つのIPアドレスにつき1回きり(1台のコンピュータから1回きり)になりますのでご注意ください。http://www.admin-l.sakura.ne.jp/shomei/shomei-k.htm

●裁判勝利のため、募金にご協力ください。賛同募金(団体1口5000円、個人1口1000円)をできれば複数口お願いします。
●陶芸品(お茶碗、お皿、花器、アクセサリーなど)の販売も行っております。
●振込先:郵便振替口座00890-6-168422 東海圏大学非常勤講師組合

[お問い合わせ先]
東海圏大学非常勤講師組合 〒463-0082 名古屋市守山区村前町162
090 8125 8232 (書記長・前田)または(052)794-3956(委員長・牛田)
FAX (052) 794 3956
toukaihijyoukin@yahoogroups.jp

2014年03月22日

日本科学者会議、大学の自治を否定し、大学を国策遂行機関化する学校教育法第93条改悪に反対する

日本科学者会議
 ∟●大学の自治を否定し、大学を国策遂行機関化する学校教育法第 93 条改悪に反対する

大学の自治を否定し、大学を国策遂行機関化する学校教育法第 93 条改悪に反対する

 学校教育法第 93 条(「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かねばならない」)は、憲法第 23 条の学問の自由理念を具体化する法制度であり、「重要な事項」には、①教員の人事権、②学長・学部長などの内部管理者の選任権が含まれている。
 経団連や経済同友会は、教授会が「大学改革」を主導する学長のリーダーシップを阻害しているとして、学校教育法第 93 条の改悪や学長選挙廃止を執拗に主張してきた。安倍内閣が、「大学のガバナンス改革を推進する」として、学校教育法改定を目論んでいるのは、こうした意思の反映である。改定法案は、今通常国会上程に向けまとめられる方向とされている。
 中央教育審議会大学分科会は、「大学ガバナンス改革の推進について(審議のまとめ)」(2014年2月12日)で、教授会の審議事項から大学経営に関することを除外すべく「所要の法令改正」を求め、学長選出についても、教職員による投票結果に基づかない方法を誘導する内容を示した。
 2013 年度予算における国立大学法人関係予算では、運営費交付金のうち、基盤的経費が大学改革促進係数により大幅に削減される一方、その不足分を文科省が示す「国立大学改革プラン」の実施状況に応じて配分する「学長リーダーシップ特別措置枠」や「年俸制導入促進費」などの項目が設定された。
 大学の自治は、憲法第 23 条が保障する学問の自由の構成要素として憲法学上理解されている。最高裁も「大学の学問の自由と自治は、大学が学術の中心として深く真理を探求し、専門の学芸を教授研究することを本質とすることに基づく」(東大ポポロ事件判決、1963 年)としている。また、その自治は、「大学の学長は教授その他の研究者が大学の自主的判断に基づいて選任される」ことを含むとも判示する。大学の自治は、政治的な大学統制、権力的な干渉などを排し、教育・研究の自立性を確保して学問の自由を守り、誰でもが高等教育を受ける権利を保障するために、政治勢力や警察権力との長い歴史的な闘いの中で獲得されてきた。ユネスコの「高等教育教員の地位に関する勧告」(1997 年)は、学問の自由保障のためには、自治が不可欠であることを宣言している。つまり、大学の自治保障は、大学が大学であることの国際的に認識される基本要素である。
 大学の教育・研究は、真理探究に向かう関心・熱意と研究・教育対象それ自身が提起する内発的課題に取り組む大学構成員の総体として成立する。したがって、教職員の信頼と活力を欠いたままでは、学長は、リーダーシップを発揮することはできない。競争力と効率性のみにシフトして学長のそれが発揮されれば、人類の知の継承とその創造的発展、また、人類が抱える深刻な課題や効率性からは程遠い社会的ニーズなどの研究やそれに取り組もうとする教員・学生の知的活力は発揮されない。「大学ガバナンス改革の推進」は、グローバル人材育成と国際競争力強化に向けた分野への重点投資を背景に、学長のリーダーシップを、国策遂行に積極的に傾斜させるものである。
 こうした極めて重大な制度変更をもたらし、大学の教育・研究を国策と財界の戦略に従属させることになる「審議のまとめ」に抗議し、学校教育法第 93 条改悪に反対する。

2014年3月16日
日本科学者会議49期第4回常任幹事会

2014年03月21日

非常勤英語講師、授業の外部委託めぐり早大に賠償請求

毎日新聞(2014年03月20日)

 早稲田大が英語の授業を外部委託したため受け持つ授業の数を減らされたとして、非常勤英語講師2人が20日、早大を相手取り、地位確認と約1000万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。2人は、授業委託は学校教育法に違反する疑いが強く、偽装請負の可能性もあると主張している。

 訴状や首都圏大学非常勤講師組合によると、2人のうち米国人のロバート・バクスターさん(65)は25年間、英国人男性は13年間、早大に勤務。カリキュラム変更で必修の「英語1ビジネス英会話」が廃止され、別の英語科目が必修となって外部委託されたため、担当が以前の11?14コマから7.5コマに減らされたという。外部委託には問題があり、コマ数減の客観的・合理的な理由がないと主張している。早大は「訴状を確認した上で粛々と対応する」としている。【東海林智】


2014年03月20日

京都大、世論誘導する一方的報道 総長選考会議内では学外委員案と学内委員案が並立

京都大学職員組合
 ∟●3/16総長選考方法にかかる報道は一方的、総長選考会議...
 ∟●職員組合ニュース号外(2014.3.19)

世論誘導する一方的報道
総長選考会議内では学外委員案と学内委員案が並立
読売新聞が伝えたのは学外委員案のみ

 3 月 18 日教育研究評議会が開かれました。問題となっておりました総長選考会議の学内委員の選考方法に関し、総長から、従来と異なって 4 月 1 日に新しいメンバーによる臨時の教育研究評議会を開催し、そこで学内委員を決めたいと提案がありました。それに対し従来のように 3 月中に決めるべきだという意見が多く出され、3 月 26 日に臨時の教育研究評議会が開かれることになりました。

 教育研究評議会の総長提案議題が終わった後、総長選考会議の学内委員が次のような主旨の発言をしました。

・総長選考会議において新しい選考制度が決まったかのような報道がなされているが、そのような事実はない。
・前回の総長選考会議(3/10)ではなにも決定していない。
・総長選考会議では、議長案と学内委員案が並立している。

●安西案は総長選挙廃止案!
 ここに見られますように、学外委員案は、学内投票を、予備投票も意向投票も完全に廃止する案です。「学内の意向の調査の仕方」は、ただ「絞り込んだ候補者に関し、教育研究評議会と経営協議会に意見を求める」というだけです。つまり、3 月 16 日に読売新聞の第一面を使って発表された京都大学総長選考会議の「方針が決まった」という内容は、総長選考会議の議長(安西祐一郎現中央教育審議会会長)をはじめとする学外委員案のたんなる一方的報道であったわけです。しかもその新聞報道にある背景説明も、「学長のリーダーシップ」、「学内のしがらみ」等々従来の産業競争力会議や中央教育審議会の主張そのものです。

 最大手の報道機関である読売新聞の第一面がこうした偏向報道に使われたという明らかな事実をわたくしたちはよく押さえる必要があります。


政府の教育再生実行会議で続く学制改革論議

全私学新聞(2014年2月13日号)

政府の教育再生実行会議で続く学制改革論議
「論点」が徐々に浮上  意見聴取や学校視察等も実施

 政府の教育再生実行会議(座長=鎌田薫・早稲田大学総長)は2月18日、総理官邸で17回目の会合を開いた。議題は、学制の在り方で、これまでの議論や視察を踏まえた「学制の在り方にかかる論点」(別掲)と「これからの教育の在り方、特に義務教育や無償教育にかかる論点」(別掲)が示された。今後、論点に沿って検討が進められる。

 昨年10月31日の第14回会合から始まった学制改革論議は、概ね月に1回のペースで行われている。これまでに、6・3・3制の下で世界を舞台に挑戦する主体性と創造性、豊かな人間性を持つ多様な人材が育っているかの検証の必要性、教育の画一的な取り扱いから脱却し、それぞれの子どもが各自の能力を伸ばせる柔軟な対応を認める制度づくり、義務教育期間の延長、高校教育では知の向上に加え、社会的ルールを守る意味と責任を理解させる規範意識の育成が重要、経済的な困難さがあっても大学まで進学できる方策の必要性等の意見が出されている。

 また、「学制の在り方にかかる論点」には、特に子供の発達の変化等を踏まえ、義務教育の在り方やその期間、学校段階の区切りなどが挙げられており、「これからの教育の在り方、特に義務教育や無償教育にかかる論点」には高校教育の義務教育化、無償化、幼児教育の義務教育化、無償化等が挙げられている。

 さらに1月16日の第16回会合では、無藤隆・白梅学園大学教授から子どもの発達段階と学校教育に関して説明を受けており、小学校の教育を5歳から導入することに関して無藤氏は、半分くらいの子どもが落ちこぼれるため、厳しいのではないか、それを義務教育と呼ぶか、呼ばないかは別として、幼児教育の中身の質の向上が必要で、教員の研修は不可欠と語っている。また、幼稚園ではベテラン教員が少ないことから、幼児教育への投資を増やして教育の質を上げる方向を目指してほしいと語っている。この席で、安倍総理は義務教育については期間延長の可能性を視野に入れ教育基本法から9年との規定を削除し、学校教育法に委ねることとしたと語り、義務教育の幅広い観点からの丁寧な議論が必要との考えを示している。また下村文部科学大臣兼教育再生担当大臣は、委員に学制改革論議の中で、財源論も含め議論してほしい、と語っている。

 教育再生実行会議では、学校関係者からの聞き取り調査や学校現場の訪問も実施しており、本年1月20日には、東京都教育庁の関係者と委員との間で意見交換会や、都立戸山高校の授業視察等を実施しており、都教育庁関係者からは、学力スタンダードの設定、グローバル人材の育成、チャレンジスクールなど多様なタイプの学校の運営などについて聴取している。国際社会に貢献するトップリーダーの育成をミッションに掲げる戸山高校では学習指導における工夫等に関する説明を受けている。


文部科学省、私立学校法の一部改正案、提出へ 解散命令前に段階的措置

全私学新聞(2014年2月13日号)

立ち入り検査、役員解任勧告など可能に
文部科学省 私立学校法の一部改正案、提出へ
解散命令前に段階的措置 私立学校の自主性に配慮

 文部科学省は開会中の第186回国会に「私立学校法の一部を改正する法律案」を提出する方針。これは昨年3月28日付で解散命令を受けた群馬県高崎市の学校法人堀越学園の事案で、最終手段というべき解散命令までの間に段階的な対応ができず、結果として学生等が転学を余儀なくされる事態に至ったことから、私立学校の自主性を尊重しつつ、私学全体に対する不信感につながるような異例の事態に所轄庁が的確に対応するための仕組みを整備するもの。

 「私立学校法の一部を改正する法律案」の改正ポイントは3点。その①は、所轄庁による必要な措置命令等の規定の整備(第60条関係)で、「所轄庁は、学校法人が、法令の規定、法令の規定に基づく所轄庁の処分若しくは寄附行為に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、当該学校法人に対し、期限を定めて、違反の停止、運営の改善その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる」とする。しかし学校法人がそうした措置命令に従わないときには、役員の解任を勧告することができる、というもの。その際、所轄庁は私立学校審議会等の意見を聞かなければいけないこと、また行政庁または私立学校審議会等による弁明の機会を当該学校法人に付与することとしている。

 ②は、報告および検査の規定の整備(第63条関係)で、所轄庁はこの法律の施行に必要な限度において、学校法人に対し業務・財産の状況について報告を求め、または学校法人の事務所等に立ち入り、検査すること等ができるとしている。

 ③は、忠実義務規定の明確化(第40条の2関係)で、学校法人の理事は、法令および寄附行為等を遵(じゅん)守(しゅ)し、学校法人のため忠実に職務を行わなければいけない、とする。

 施行は交付日から。

 こうした改正案は、文部科学大臣の諮問機関である大学設置・学校法人審議会学校法人分科会が、異例な事態に対応するための制度の在り方について検討、昨年8月20日に公表した報告「解散命令等に係る課題を踏まえた今後の対応の在り方について」が基礎となっている。その報告の中では、「学校法人の運営は、私学の自主性と公共性の自覚に信を置いて、いわばその善意に基づく運営に対して行政の関与は極力控えるものとして制度が設けられているところであり、このような制度の基本的な理念は、今後とも大切にされていくべきだ」と指摘されている。今回の改正案では、そうした私学の自主性尊重への配慮は、私立学校審議会等からの意見聴取の義務付けや、当該学校法人が所轄庁による弁明の機会の付与に代えて私立学校審議会等による弁明の機会の付与を求めることができるなどの形に表れている。


元理事の実刑確定へ 神奈川歯大の投資損失事件

産経新聞(2014.3.19)

 最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は、学校法人神奈川歯科大から投資名目で2億5千万円をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた元理事、清水利朗被告(75)の上告を棄却する決定をした。懲役2年8月の実刑とした1、2審判決が確定する。17日付。

 1、2審判決によると、清水被告は平成20年、元投資顧問の男らと共謀し、大学側が出資していた10億円が運用の失敗で損失となった事情を隠し「追加出資すれば取り戻せる」などとして2億5千万円をだまし取った。

 1審横浜地裁は「自己保身のための犯行で被害も多額だ」と実刑判決を言い渡し、2審東京高裁も支持した。


2014年03月19日

自由法曹団、「生涯派遣・正社員ゼロ」を強要する労働者派遣法大改悪案の国会提出に抗議し、改悪案の廃案を要求する声明

自由法曹団
 ∟●「生涯派遣・正社員ゼロ」を強要する労働者派遣法大改悪案の国会提出に抗議し、改悪案の廃案を要求する声明

「生涯派遣・正社員ゼロ」を強要する労働者派遣法大改悪案の国会提出に抗議し、改悪案の廃案を要求する声明


1 安倍内閣は、2014年3月11日、労働者派遣を無期限・無制限に使用できるようにする労働者派遣法「改正」案を閣議決定し、同日、国会に提出した。
 「改正」案は、専門26業務の区分及び業務単位での期間制限を撤廃したうえ、有期雇用派遣労働者に係る労働者派遣について、「派遣先は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。」と定めている。他方、「改正」案は、「派遣先は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、事業所の過半数労働組合もしくは過半数代表者の意見を聴いて、3年の派遣可能期間を延長することができる。その後3年が経過した場合も、同様とする。」と定めている。
 「改正」案は、無期雇用派遣労働者に係る労働者派遣、有期の事業の開始、転換等のための業務等への労働者派遣には、派遣期間制限を一切設けないとしている。

2 これでは、有期雇用派遣労働者に係る労働者派遣についても、派遣先は、事業所の過半数労働組合等の意見を聴取しさえすれば、過半数労働組合等が反対しても、無期限に労働者派遣を使用し続けることができる。結局、派遣先は、組織単位(課等)が同一でも、3年ごとに派遣労働者を入れ換えて、無期限に労働者派遣を使用し続けることができる。また、派遣先は、組織単位(課等)を変えれば、同一の派遣労働者を無期限に使用し続けることができる。
 「改正」案のもとでは、無期雇用の派遣労働者はもとより、有期雇用の派遣労働者であっても、派遣先に直接雇用され、正社員になる機会はほとんどなくなり、生涯派遣労働者のままに置かれることになる。派遣先は、低賃金の派遣労働者を無期限・無制限に使用できることになり、正社員の派遣労働者への置き換えを飛躍的に促進するであろう。「改正」案は、「生涯派遣・正社員ゼロ」を強要するものであり、廃案しか選択のみちはない。

3 「改正」案は、労働政策審議会の建議の「派遣労働を臨時的・一時的な働き方と位置付けることを原則とする」、「派遣先の常用労働者(いわゆる正社員)との代替が生じないよう、派遣労働の利用を臨時的・一時的なものに限ることを原則とする」との提言を一切無視し、まったく取り入れていない。また、「改正」案は、建議の「派遣労働者に対する雇用安定措置」のうち、「派遣先への直接雇用の依頼」を除外している。
 労働法制の改定は、公労使3者からなる労働政策審議会の提言に基づいて行うのが原則である。「改正」案は、労働政策審議会の建議すら無視しており、この点からもとうてい容認できない。

4 自由法曹団は、安倍内閣による「生涯派遣・正社員ゼロ」を強要する労働者派遣法「改正」案の国会提出に抗議し、ただちに「改正」案を廃案にすることを強く要求する。
 自由法曹団は、「改正」案の廃案を要求し、「登録型派遣・製造業派遣の全面禁止、労働者派遣の臨時的・一時的業務への限定、派遣労働者と派遣先の正社員との均等待遇」等の労働者派遣法の抜本改正のため、奮闘する決意である。

2014年3月18日

自由法曹団
団長 篠原義仁

金沢大、暴言で准教授をけん責

日経新聞(2014/3/18)

 金沢大学は17日、学生に暴言を浴びせたなどとして、医薬保健研究域の40代の男性准教授をけん責の懲戒処分にしたと発表した。処分は昨年11月20日付。

 金沢大学によると、准教授は2006年度から12年度の間、男女の学生計7人に対し、暴言を浴びせたり厳しく叱ったりして精神的な苦痛を与えた。大学側は、昨年2月までに学生7人から相談を受けて学生、准教授の双方から事情聴取。准教授は事実を認めて反省する姿勢を示したが、理由を明確にしていないという。〔共同〕


2014年03月18日

日本私大教連、「私立学校法の一部を改正する法律案」に対する見解と要望

日本私大教連
 ∟●「私立学校法の一部を改正する法律案」に対する見解と要望

「私立学校法の一部を改正する法律案」に対する見解と要望


2014年3月7日
日本私立大学教職員組合連合
(日本私大教連)


 文部科学省は、今通常国会に「私立学校法の一部を改正する法律案」(以下、改正案)を提出しました。今般の法改正は、大学設置・学校法人審議会学校法人分科会(以下「学校法人分科会」)の報告書「解散命令等に係る課題を踏まえた今後の対応の在り方について」(2013年 8月)を踏まえ、「重大な問題のある」学校法人に対して所轄庁が「適切な対応」を講じることができない現行制度を改め、解散命令に至るまでに段階的な措置を講じられるようにするというものです。
 上記報告書は、2013 年 3 月 28 日に文部科学大臣が解散命令を出した群馬県の学校法人の事例を受けて検討されたものです。同学校法人の理事長・学長をはじめとする理事者は、学校法人に求められる公共性を無視し、評議員会や監事のチェック機能や教育研究に関わる教授会の権限を形骸化して専断的運営を行い、乱脈経営と法令違反を繰り返した挙句に破たんに陥りました。こうした事態を招いた根本的な原因は、現行の私立学校法があまりに大きな裁量権を理事会に付与し、内部のチェック機能をたやすく形骸化できる仕組みとなっていることにあります。解散命令を受けた学校法人の事例は突出して深刻なものですが、少なくない学校法人で一部理事者が恣意的な運営を行い、投機的資産運用による巨額な損失、不正入試、各種申請書類への虚偽記載など、さまざまな不祥事を引き起こしています。しかし今般の改正案は、私立学校法の根本的な問題にはまったく手をつけず、所轄庁の行政権限だけを強化する内容となっており、非常に問題です。
 私立学校は、幼稚園から大学までの全教育段階において公教育の一端を担う重要な教育機関です。とりわけ私立大学は学生の約 75%を担うわが国の主要な高等教育機関であり、私立大学を設置・運営する学校法人の公共性を高めるための法整備を行うことは、私立大学の教育研究の質を向上させる上で不可欠の条件です。そのためにもっとも必要とされることは、学校法人に「重大な問題」を生起させないための法改正です。私たちは、今回の私立学校法改正案ならびに国会審議について以下事項を要望するものです。

1.理事会による不適切な管理運営や不祥事を未然に防止できるよう、理事会に対するチェック機能が正常に働くよう法改正を行うこと。
 学校法人の「重大な問題」を未然に防止するためには、学校法人自身のチェック機能が正常に働くように私立学校法を改正することが必要です。日本私大教連は 2013 年 7 月に『日本私大教連の私立学校法改正案―私立大学の公共性と教育・研究の質を高めるために―』を発表し、文部科学省に要請を行いました。そこでは、公正に役員(理事長、理事、監事)を選任するための改正、理事会の成立と議決要件の厳格化、監事制度の改善、理事会に対する評議員会のチェック機能を高めるための改正、財政情報の公開に関する改正等について、全23 項目にわたる具体的な法改正を提起しています。
 2006 年の公益法人制度改革では、例えば社団法人・財団法人の社員や評議員に理事の法令定款違反行為に対する差止請求権や会計帳簿閲覧請求権を与えるなど、公益法人の運営を健全化するための規定が新たに設けられました。しかし私立学校法には、このような規定は設けられておらず、公益法人制度の水準に比して大きく立ち遅れています。所轄庁の行政権限の強化の前に、すべての学校法人が守らなければならない管理運営のしっかりとしたルールを私立学校法に明記することが必要です。
 今回の改正案は、学校法人が法令に違反しているときに、「違反の停止」などの必要な措置をとるべきことを命令できるとしています(第 60 条)。しかし、不祥事の温床となっている私立学校法の不備を放置したままでは、私立学校法違反にもとづく措置命令が学校法人の不適切な運営を正すものとはなり得ません。そのためには、『日本私大教連の私立学校法改正案』にもとづき、学校法人の「公共性」を担保できる管理運営の仕組みを確立する法改正が必要です。

2.改正案第 60条 1項「その運営が著しく適性を欠くと認めるとき」ならびに「その他必要な措置」について、その具体的内容を法定すること。
 所轄庁が、学校法人の「運営が著しく適正を欠くと認めるとき」に措置命令を行えるとする規定は極めて曖昧であり、所轄庁の行政権限の濫用につながる惧れがあります。法案は、措置命令を行おうとするときは「あらかじめ、私立学校審議会等の意見を聴かなければならない」としていますが、所轄庁やときどきの審議会委員の判断で「著しく適正を欠く」水準が左右される危険性はぬぐえません。今国会で行政権限の強化を先行させる法改正を行うのであれば、何が「適正を欠く」ことに該当するのかを法令に明示すべきです。
 「その他必要な措置」についても同様です。所轄庁が学校法人に対して「違反の停止、運営の改善」以外にいかなる措置を命令することを想定しているのかを法令に明示すべきです。

3.今国会において十分な時間を取って審議を行うこと。
 私立学校法の水準が、我が国の高等教育において主要な役割を担っている私立大学に大きな影響を及ぼすことに鑑み、今般の私立学校法改正案について、現行法の問題性、今後の改正方針等を含めて十分な審議を行うことを求めます。

以上

国立大学改革、強化推進事業に7大学を選定…文科省

Resemom(2014年3月17日)

 文部科学省は3月14日、平成25年度の「国立大学改革強化推進補助金」の選定結果を発表した。横浜国立大、千葉大、埼玉大など、7大学による組織改革や機能強化などの取組みが選ばれた。

 同補助金は、各大学の強みや特色の伸長につながる国立大学改革を強化推進することが目的。取組みに必要な経費を補助することで、将来を支える人材の育成、大学運営の高度化、国際競争力の強化に資することを目指している。

 平成25年度選定されたのは、北海道教育大学、埼玉大学、千葉大学、横浜国立大学、静岡大学、九州工業大学、政策研究大学院大学の7大学。

 このうち千葉大は、国立大学唯一の医療系3学部(医学・薬学・看護学)と附属病院が結集した亥鼻キャンパスの高機能化構想を提案。「次世代の多様なニーズに応える医療人育成機能強化を果たし、全学に改革を展開する」としている。

 道教育大は、教育学部の抜本的組織改革を事業として提示。教員養成の質向上を図るため、課題解決型授業の実施、若手研究者が任期付き雇用形態で経験を積むことができる「テニュアトラック制」の導入などに取り組むとしている。

◆平成25年度「国立大学改革強化推進補助金」選定事業
・北海道教育大学「教員養成の質向上を図るための教育学部の抜本的組織改革」
・埼玉大学「学部の枠を越えた再編・連携による大学改革~ミッションの再定義に基づく研究力と人材育成の強化~」
・千葉大学「次世代対応型医療人育成と『治療学』創成のための亥鼻キャンパス高機能化構想」
・横浜国立大学「世界の持続的発展に資する『リスク共生学』に基づく教育研究拠点の形成」
・静岡大学「全学的な教育改革・組織改革によるグローバル人材育成機能の強化-ターゲット・アジア人材育成拠点の構築-」
・九州工業大学「社会と協働する教育研究のインタラクティブ化加速パッケージ~技術者のグローバル・コンピテンシー獲得へ~」
・政策研究大学院大学「諸外国の研究大学とアカデミアの知識戦略及びガバナンス戦略の分析に基づく大学改革のリーディングモデルの実践」


2014年03月17日

京滋私大教連、大学の組織運営とは相容れない トップダウン型の「ガバナンス改革」に断固反対する

京滋私大教連
 ∟●第58回臨時大会特別決議

【大会特別決議】

大学の組織運営とは相容れない
トップダウン型の「ガバナンス改革」に断固反対する


 政府・文科省は、中教審大学分科会組織運営部会の審議を受けて、学校教育法「改正」案を今通常国会中に提出するとしています。具体的には、大学の「ガバナンス改革」の一環として、教職員による学長選挙(意向投票)の廃止を含む「学長選考方法の見直し」、学長を補佐する「統括副学長」や「高度専門職」の導入などとともに、学校教育法第 93 条の教授会が審議する「重要な事項」の範囲を「①学位授与、②学生の身分に関する審査、③教育課程の編成、④教員の教育研究業績等の審査等」に限定し、学部長の選出など教員人事にかかわる教授会の権限を見直すことを主たる内容としています。こうした内容は、大学の自治の根幹に対する政治権力の重大な介入であり、私たちは断じて容認することはできません。

 学問・研究は、自由な精神により既存の価値や社会のあり方を批判的に検証し、真理や普遍を追究する人間的営為であり、学問の府たる大学は、その時々の政治的・経済的・宗教的な圧力に対して、自律すなわち自治を確立してきました。学問の自由と大学の自治は、そうした本質と歴史的な経緯に根差すものであり、それゆえ専門的同僚教員から構成される教授会(教員組織)が大学の自治を担う中心的な役割を果たしてきました。

 戦後、日本は日本国憲法第 23 条で「学問の自由」を保障し、そのために「大学の自治」が保障されていると考えられてきました。現行の学校教育法第 93 条 1 項で「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」と規定し、教育公務員特例法が学長や学部長の選考、教員の人事を教授会の審議に委ねたことは、そうした憲法上の大学の自治と教授会の関係を法律で具体化したものでした。

 このような理念と法的枠組みは、各大学の「特性にかんがみ、その自主性を重んじ」、「公共性を高めることによって…健全な発展を図る」(私立学校法第 1 条)ことを目的とした私立大学にも当然共通するものです。まして、国公立大学に比して極めて低い水準に抑制された公費補助の下、大学生の 75%を受け入れる私立大学で教育・研究の水準を支えているのは、学問の自由に支えられ、高度の専門性を有する教員集団であり、教授会の自治という法的な枠組みです。そして、その枠組みの下で教員と職員が協働し、学生の学びと成長を保障して、日本社会を支える有意な市民を数多く輩出してきたのです。

 学長・学部長の選考や教員の採用・昇任等は、学部(教員組織)の教育方針や教育内容、さらには個々の教員の研究内容などと密接に関係するものです。しかし、今回政府・文科省が行おうとする法改正は、一部の大学・学園において、学長・理事会の独善的、専断的な組織運営が引き起こしている重大な問題状況をさらに深刻化させることになりかねず、「学術の中心」として「高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造」し、社会・文化全体の発展に寄与することを社会的な使命とする大学の「自主性、自律性その他の……教育及び研究の特性が尊重され」(教育基本法第 7 条)ることにはならないものです。

 大学の目的と組織原理は、短期的な経済的利潤の最大化を目的とする企業のそれとは決定的に異なるものであり、私たちは学校教育法「改正」によって、トップダウン型の「ガバナンス改革」を強要することに対して断固反対します。

2014 年 3 月 8 日
京滋私大教連第58回臨時大会


京大、学長「国際公募」の狙い

読売新聞(2014年03月16日)

京大、学長を国際公募…しがらみ離れ指導力期待

 京都大学の総長(学長)選考会議は、次期学長について、国内だけでなく世界から公募する方針を決めた。

 世界中の優秀な研究者や学生が集う大学を実現するために、学部など部局のしがらみから離れた強いリーダーシップを発揮できる人材が必要と判断した。文部科学省によると、国立大学が学長を国際公募する例はなく、日本トップクラスの京大の判断が他大学に与える影響は大きい。

 現在の松本紘学長は今年9月30日に任期満了となる。関係者によると、早ければ4月中に米・ハーバードや英・ケンブリッジ、東京大などの学長らに学長候補者の推薦を依頼する。教職員50人以上の推薦などがあれば学内からも推薦することができる。

 推薦を受け、門川大作京都市長ら学外の6人と学内の教員6人でつくる選考会議が、世界をリードできる京大の学長にふさわしいかどうかを審査し、最終決定する。最初に絞られた候補者を対象に、教職員の意向を探る調査の実施も検討している。


[同ニュース]
京都大学、総長を「国際公募」へ 競争力強化を狙う

教育費、水面下で急増する「奨学金返済破綻」-脱デフレの「8大落とし穴」

PRESIDENT(2013年5月13日号)

 「最近の家計診断で特徴的な出来事の一つが、大学時代にもらっていた奨学金を返せずに困っているケースが増えていることです。借りた本人が返せず、連帯保証人になった親が年金から返済していることも決して珍しいことではありません」

ファイナンシャル・プランナーの畠中さんはこう語る。

 独立行政法人の日本学生支援機構の奨学金だと、月額で最高12万円を借りることができる。4年間フルに借りると総額で576万円。これだけの負債を背負ったまま社会人生活のスタートを切ったら、返済で懐具合が汲々となるのは火を見るより明らか。同機構の発表データによると、2011年度末における民間金融機関の基準に準じたリスク管理債権はトータル4493億円で、要返還債権である4兆8204億円の9.3%を占めている。そこで機構は返還回収を強化するために、債権回収会社を使うようになった。

 翻ってみて、大学に進学するまでの教育費の実態はどうなっているのだろう。家計の見直し相談センターの藤川さんと八ツ井さんがいつも注目しているのが文部科学省の「子どもの学習費調査」で、そこで明らかになった世帯年収別の学習費が図9だ。年収400万円未満の公立と、年収1200万円以上の私立とを比較すると、小学校で7.42倍もの開きが出ていることに驚く。いくら高年収でも、教育費が重い負担になってはいないのかと首をかしげたくなる。

 実は金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、12年時点で年収1200万円以上の世帯のうち5.1%は無貯蓄。同1000万~1200万円未満クラスになると、その割合は11.4%にまで跳ね上がる。そうした厳しい数字を踏まえながら藤川さんは次のようにいう。

 「1000万円前後の高所得者なのに、貯蓄がなかったり、あっても100万円程度という世帯の場合、子どもを私立学校に進学させているところが少なくありません。親の付き合いで、それなりの場所に行くとなると、奥さんの洋服代などもかさみ、次第に家計が苦しくなっていくのです」

 どの親も子どもによい教育を受けさせたいと願うもの。しかし、身の丈以上の教育費をかけて日々の生活が苦しくなり、精神的に疲れ切った親の顔を見せることが子どもの教育にとって本当にいいことなのか。また、日本の家庭は家族全員でお金について話し合う習慣があまりない。その結果、お金に関するリテラシーが乏しくなり、多額の奨学金の返済に苦しむ若い世代を生んだ遠因のようにも思われる。

 アベノミクスで成長戦略が軌道に乗って企業収益が回復し、それにともなって賃金がアップするにしても、まだ時間がかかる。その間に2%になるかどうかは別にしても、輸入品を中心に物価は少しずつ上がってくる。そこに追い打ちをかけるかのように、消費増税や社会保障の負担増が重くのしかかってくる。

 「だからこそ人口構成に合わない社会保障制度の改革が急務なのです」と八ツ井さんがいうように、目の前の課題から目をそむけてはならないのだ。そして、日々の生活を見直すなかで、家族全員がお金に対する意識を変革させていくことが、一見遠回りのように思えても、実は大切な家計を落とし穴に入り込ませないようにする近道になってくれるはずだ。


2014年03月13日

大産大の私学補助金25%減 「やらせ受験」

日経新聞(2014/3/12)

 大阪産業大(大阪府大東市)が入学意思のない付属高校の生徒に入試を受験させたとされる問題で、日本私立学校振興・共済事業団は12日、2013年度に同大へ交付する経常費補助金を25%減額すると発表した。併設する短大と合わせ、約2億4千万円減らす。

 事業団は減額理由について「不適切な受験問題への対応など、管理運営が不適正」としている。

 全国の私立の大学や短大などに交付する総額は3204億7100万円で、東日本大震災による臨時的な増加分を除くと3年連続の減少。

 大産大は同日、土橋芳邦理事長の役員報酬を3カ月間、50%減額するなどの処分を発表した。

[同ニュース]
大産大の補助金25%減額=「やらせ受験」で?私学事業団
私大補助3204億円 「やらせ受験」の大阪産業大は減額

3月29日,第2回「どうなってる!? 道内の大学 大学シンポジウム 」を開催

■道私大教連書記局ニュース(第13号)

大学危機突破へ! 3・29 第2回「大学シンポ」成功を!

~ 大学自治と言論の由を守ろう。教法改悪許すな!道内育まもり発展させよ~

 安倍政権の暴走はとどまるところを知りません。既に報道されていますが、学校教育法を改悪して大学教授会の権限骨抜き化と学長権限の抜本強化を企てています。道内大学での権利事件多発の背景に見るとおり、各大学法人の先走り迷走で、憲法や同法で保障する学問の自由や教授会自治の原則の不当な侵害は既に相次いでいます。これらが改憲策動の先取りであり、断じて容認できないものとして私たちは対峙してきました。今回の法改悪の動きは一連の大学危機を更に深刻化させるばかりか、大学自治の根幹にかかわる重大な問題です。
 私たちは関係各団体・市民と共同し、昨年5月に「大学シンポジウム」を成功させましたが、その後の大学をめぐる情勢や権利事件は一向に改善しないばかりか、泥沼化の様相です。しかし、負けてはいられません。この間、継続してきた実行委員会では、全道・全国的な大学と言論の危機的現状を語り、本気の大学教育を再生めざして、3月29日(土)午後 1:30 ~北海道大学内で「第2回・大学シンポ」開催を決めました !詳細は近くご案内しますが、今から予定ださい。 …前回以上の 規模 で成功 を。総力をあげましょう。


2014年03月12日

労働者派遣法改正案を閣議決定 派遣固定化に懸念の声も

朝日新聞(2014年3月11日)

 政府は11日、企業が自由に派遣労働者を活用できる「期間」や「職種」を広げる労働者派遣法の改正案を閣議決定した。今国会で成立させ、2015年4月からの施行を目指す。

 改正案では、企業が3年ごとに働き手を交代させれば、どんな仕事も、ずっと派遣に任せられるようにする。いまは秘書や通訳など「専門26業務」でない限り、3年までしか任せられなかった規制を緩める。

 一方、人材派遣会社はすべて国の許可制にする。派遣労働者への教育訓練を義務づけ、待遇改善に向けた国の指導も強める。

 改正案をめぐっては、「派遣の固定化につながる」「正社員雇用の枠が狭まる」といった懸念が、労働組合や野党から出ている。田村憲久・厚生労働相は閣議後の会見で「人材派遣会社にも責任を持ってもらい、労働者のキャリアアップをはかってもらう」と改正の意義を強調した。(山本知弘)

[同ニュース]
「派遣3年上限」 廃止を閣議決定
派遣社員、受け入れ期間上限「廃止」 派遣法改正案を閣議決定
3年の派遣期間制限廃止 改正案を閣議決定

2014年03月11日

全大教、声明「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」の撤回を求め、学校教育法の「改正」に反対する

全大教
 ∟●【声明】 中央教育審議会大学分科会「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」の撤回を求め、学校教育法の「改正」に反対する

【声明】 中央教育審議会大学分科会「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」の撤回を求め、学校教育法の「改正」に反対する

2014年3月9日
全国大学高専教職員組合中央執行委員会

 中央教育審議会大学分科会が2014年2月12日付で、「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」(以下、「審議まとめ」という。)を公表した。この「審議まとめ」には、大学の重要事項を審議するために設置されている教授会の権限を、学校教育法を改正することで大幅に制限すべきだとの提言が盛り込まれている。また、大学・学部における教育・研究等が民主的かつ効果的に行われるようにするために、学長・学部長の選考過程に教職員が投票などの方法で参加する、という仕組みを否定することも書き込まれている。これらにより学長の「リーダーシップ」を強化し、「大学のガバナンス改革」を推進するというのである。

「審議まとめ」の「改革」は多様性を損ない国民の学ぶ権利の危機をまねく
 学長のリーダーシップ強化と教授会権限の縮小を内容とする「ガバナンス改革」の目的は、グローバル人材の育成と経済的利益に直結しやすい研究開発を通じて、国策としての国際競争力強化に奉仕する大学をつくり上げることにある。「審議まとめ」にそって大学改革が実施されれば、大学の教育・研究が経済的利益と経営効率に従属させられ、「役に立たない」と判断された教育・研究領域は統廃合の対象となり、大学の命である知と価値の多様性が大きく損なわれてしまうだろう。大学は、人々の知に対する多様なニーズに応えるだけでなく、いまはまだ自覚されていないニーズにも応えようとする努力を通じて、その知的活力を維持し発展させていくものである。国際競争力強化という単一のニーズに対応するだけでは、大学が大学であり続けることさえできなくなってしまいかねない。

権力から独立し多様な学問分野を維持し育てるために大学自治は不可欠
 日本国憲法に保障された学問の自由には、研究者個人の学問研究の自由、研究成果公表の自由、教授の自由が含まれている。また、大学は学問の中心として、歴史的にも時の権力から独立して学問研究と高等教育を行うための自治権を保障されてきた。これは大学および大学教員への特権付与ではない。大学の自治を保障しなければ、国民全体が学問の自由と高等教育を受ける権利を享受することができなくなってしまうからにほかならない。学校教育法において、大学の重要事項を審議するために教授会を置くと定めた背景は、この憲法からの要請を法律上確認したものである。

大学自治は歴史的に培われ国際的に認められてきた大学の基礎である
 「審議まとめ」が描く大学像は、歴史的に社会が育て培ってきた大学の本質に対する重大な挑戦である。国連のユネスコは、1997年に発表している「高等教育教員の地位に関する勧告」の中で「学問の自由の適切な享受(中略)には、高等教育機関の自律性が必要」と述べ、学問の自由を保持するためには大学自治の保障が不可欠であることを強調している。これは大学制度に関する確認された国際的基準である。「審議まとめ」はこの国際的基準に反して、大学を国策としての国際競争の手段に変えようとする重大な誤りを犯している。このようなことをすれば、日本の大学は国際的には大学とは呼べない人材育成機関になってしまいかねない。

権力に従属した学長専権体制でなく、真の学長のリーダーシップ確立を
 今日、日本の大学が抱える問題点の多くは、1950年代後半以降、とくに1990年代以降、政府・文科省が誤った高等教育政策・科学技術政策に基づいて大学を誘導・統制してきたことに起因している。国立大学についていえば、2004年の国立大学法人化以降、運営費交付金の削減による恒常的な窮乏状態に置かれ、学内では学長裁量による恣意的な予算配分や組織改編が強行されて混乱と疲弊が激化している。
 学長・学部長を大学構成員皆が支持する真のリーダーとして選出することが、今ほど切実に求められたときはなかっただろう。「審議まとめ」はこのことを直視することなく、「学長のリーダーシップ」という美辞を弄して、政府・文科省に従属する学長専権体制の構築を急がせようとしている。
 「審議まとめ」の致命的な誤りは、会社や行政機関と同様の官僚主義的な組織をモデルに「学長のリーダーシップ」を理解していることにある。学長のリーダーシップは本来、外在的・制度的に付与されるものではなく、大学構成員の教育・研究を基盤とし、かつ大学構成員からの自発的同意に支持されて成り立ち、その場合にだけ有効に作用するものであることが、「審議まとめ」ではまったく理解されていないのである。

教育公務員特例法解釈の誤り、憲法からの要請にもとづく学長・学部長選出を
 「審議まとめ」は、国立大学教員が法人化により教育公務員特例法の適用を受けなくなったことを理由に、同法に定める教授会による学長・学部長選考は国立大学法人には適用されないと主張している。教育研究評議会・教授会において学長・学部長を選出する仕組みは、元来、学問の自由・大学自治を基盤とする憲法からの要請に対応するものである。教育公務員特例法の規定は、公務員人事制度の例外として、この要請に基づく学長・学部長の選出ルールを公務員法制に埋め込んだに過ぎない。つまり、かつて国立大学において構成員の投票によって学長・学部長を選出してきたのは、教育公務員特例法が定めていたからではなく、憲法からの要請に基づくものであった。「審議まとめ」はこのことをまったく理解せず、上記の憲法からの要請に反する方法による学長・学部長選出を押しつけようとするものであり、これには何の正当性もないと言わなければならない。

 中央教育審議会は「審議まとめ」を撤回し、歴史的に育まれてきた大学の本質と、本質を守るための組織運営の形態について理解を深めた上で、健全な大学運営がなされるような支援方策を打ち出すべきである。
 今後、この「審議まとめ」でしめされた法令改正が国会の場ではかられる事態となるであろう。とくに、大学自治の根幹といえる教授会の位置づけの変更をめぐる学校教育法改正の動きは重大である。もし法案が提出された場合には、憲法23条で保障されている学問の自由との関係の観点から、国会における徹底した審議が行われなければならない。
 全大教は、安倍政権による一連の「大学改革」の中でも、この学校教育法改正を含む「ガバナンス改革」を最も危険で重大なものであると認識し、これに反対する。学ぶ権利と多様な学問を守り保障するために、危機感を共有しこれらを守る運動をともに行っていくことを、ひろく大学人、市民に呼びかける。


2014年03月10日

北海道の私大、学費下げ続々

月刊私塾界

 過去10年間でみると、道内に本拠地を置く私大23校のうち、一部の学部のみを含め学費を減額改定したのは7大学。値上げした4大学を上回る。北海道の2013年度の18歳人口は5万1359人で、10年間で23%(1万5821人)減った。全国平均の16%を7ポイントも上回る。13年度の短大・大学への進学率は39.9%で、全国平均(53.2%)との差は10ポイント以上。昨年5月時点で道内の23大学のうち、半数近い11大学が定員割れしている。

2014年03月09日

ネット署名、「河野談話の維持・発展を求める学者の共同声明」

吉見義明教授の裁判闘争を支持し、「慰安婦」問題の根本的解決を求める研究者の声明
 ∟●「河野談話の維持・発展を求める学者の共同声明」について

全ての研究者の皆さん

「河野談話の維持・発展を求める学者の共同声明」への賛同と周囲への呼びかけのお願い

拝啓

 ご存知のように、この間、安倍政権は「維新の会」やさまざまなマスメディアとも提携しながら、「河野談話」の見直しを進めており、その動きがこの間、急速に進められています。

 日本軍「慰安婦」問題についての河野談話は、これで十分と見るか不十分と見るか、見解の相違はあるとしても、この20年余りにわたって日本政府のこの問題についての事実の承認と反省の表れとして、一定の積極的な機能を果たしてきました。これを実質的に否定するような見直しは、韓国や中国のみならず、米国を含めた国際社会との関係でも深刻な緊張をひき起こしてしまうことを危惧しています。

 そこで、さまざまな立場から、河野談話を維持すべきであるという点で一致する研究者が、その考えを表明しようと、この共同声明を企画しました。ぜひ多くのみなさんに賛同していただき、署名をお願いしたいと思います。

 署名は次のChangeのサイトからお願いします。

 http://p.tl/1fRR

 とりあえず、3月13日に第一次集約、3月末に第二次集約をおこない、国会議員に働きかけるとともに、記者会見を開いて広く社会にアピールする予定です。

  賛同頂ける方は、ご署名をお願い致します。署名にあたっては、「コメント欄」に、所属、身分、専門分野 をお書きいただき(必須)、また任意でメッセージもいただければ幸いです。

 また周りの同僚や友人の方、所属する学会の関係者の方などに、メール、ブログ、ツイッター、フェイスブックなどで署名の呼びかけを広めていただけると幸いです。 

2014年3月

「河野談話の維持・発展を求める学者の共同声明」事務局
林博史(関東学院大学教授/平和学)
小浜正子(日本大学教授/歴史学)

【声明文】河野談話の維持・発展を求める学者の共同声明

 この間、いわゆる日本軍「慰安婦」問題に関する1993年の「河野談話」を見直そうという動きが起きています。「河野談話」は「慰安婦」問題は日本軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけたものであることを認め、同じ過ちをけっして繰り返さないという日本政府の決意を示したものであり、これまで20年余にわたって継承されてきました。

 「河野談話」が出されてからも、学者や市民の努力によって数多くの新たな資料が発見され、多数の被害者からの聞き取りも行われて、研究が深められてきました。「慰安婦」の募集には強制的なものがあったこと、慰安所で女性は逃げ出すことができない状態で繰り返し性行為を強要されていたケースが多いこと、日本軍による多様な形態の性暴力被害がアジア太平洋の各地で広範に発生していること、当時の日本軍や政府はこれらを真剣に取り締まらなかったこと、など多くの女性への深刻な人権侵害があったことが明らかになっています。こうした日本軍による性暴力被害が、日本の裁判所によって事実認定されているものも少なくありません。

 被害者の女性は、戦争を生き延びたとしても、戦後も心身の傷と社会的偏見の中で、大変過酷な人生を歩まざるを得なかった方がほとんどです。

 「河野談話」で示された精神を具現化し、高齢となっている被害女性の名誉と尊厳を回復することは、韓国や中国はもとより、普遍的な人権の保障を共通の価値とする欧米やアジア等の諸国との友好的な関係を維持発展させるためにも必須だといえます。

 私たちは、「河野談話」とその後の研究の中で明らかになった成果を尊重し、日本政府が「河野談話」を今後も継承し、日本の政府と社会はその精神をさらに発展させていくべきであると考え、ここに声明を発表します。

2014年3月8日

呼びかけ人(アイウエオ順)

阿部浩己(神奈川大学教授・国際法)
荒井信一(茨城大学名誉教授・歴史学)
伊藤公雄(京都大学教授・社会学)
石田米子(岡山大学名誉教授・歴史学)
上野千鶴子(立命館大学特別招聘教授・社会学)
内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授・日本-アジア関係論)
岡野八代(同志社大学教員・西洋政治思想史)
小浜正子(日本大学教授・歴史学)
小森陽一(東京大学教授・日本近代文学)
坂本義和(東京大学名誉教授・国際政治、平和研究)
高橋哲哉(東京大学教授・哲学)
中野敏男(東京外国語大学教授・社会理論・社会思想)
林 博史(関東学院大学教授・平和学)
吉見義明(中央大学・日本現代史)
和田春樹(東京大学名誉教授・歴史学)

事務局:林 博史・小浜正子
連絡先:kounodanwaiji@outlook.com

お願い:署名にあたっては、「コメント欄」に、所属、肩書き、専門分野をお書きくださるようお願いします(必須)。


2014年03月08日

電気通信大学教職員組合、未払い賃金請求訴訟を提訴

全大教
 ∟●全大教新聞、297号

未払い賃金請求訴訟を提訴

 2月17日(月)、電気通信大学に働く教職員(組合員)で構成する未払い賃金等請求訴訟原告団5人は、東京地方裁判所立川支部に提訴し、同月11時から立川市役所にて記者会見を行いました。
 会見で、弁護団を代表し平和元弁護士は、給与規程および退職手当規程の変更が労働契約法に反し無効であり、改定前と改定後の差額分と退職金123万円を含む381万円を大学請求するものであるとしました。その理由として、国家公務員の給与減額を契機とし、国(文科省)が大学法人に対して要請という形を取りながら労使関係に介入し、これを受け大学は、労働基本権のある教職員組合や教職員に対し、何ら合理的説明をすることなく、かつ合意なく国と同様の給与減額を押しつけたものであるとし、労働契約法第9条、10条に違反すると述べました。
 また、山本野人原告団長からは、提訴した理由について、国が大学に対して責任をなすり付けていること、そしてこの間給与減額、退職金に続き、55歳以上の昇給停止、現給保障廃止、福利厚生の後退など労働条件、生活条件の改悪が続いていること。これに対し、もう黙っていてはいけない、こんなことをしていたら日本の教育が駄目になる、国民のみなさんと共に闘っていこうと思い、教職員組合や全大教の支援を受け提訴したと訴えま
した。
 続いて、全大教の長山泰秀書記長からは、全国的な運動方針として訴訟を提起し、現在10組織の組合が母体となり、523人が原告として立ちあかっているという報告がされました。記者からは、給与減額と震災予算措置との関係、他大学の減額緩和措置などについての質問があり、記事は翌18日付読売、朝日新聞に掲載されました。
(職組委員長水谷孝男)


全大教、国立大学改革プラン、年俸制、ガバナンス改革等をめぐり文科省会見を実施

全大教
 ∟●全大教新聞、297号

政府予算、国立大学改革プラン、年俸制、ガバナンス改革等をめぐり

 国立大学改革プランでは「人事・給与システムの弾力化」として年俸制の導入が,「改革加速期間」(2015年度末まで)に全国で1万人の数値目標を伴って謳われています。
 また、中教審大学分科会は、2月12日に「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」を決定しました。
 こうした状況を受け、全大教は2月26日に文部科学省との会見を実施しました。
 対応者は豊岡国立大学法人支援課長ら。全大教側は森戸副委員長ら9人でした。

…(略)…

教授会自治の破壊、暴走する学長・執行部を止められない仕組みの導入「大学ガバナンス改革」

 文科省は「中教審で方向性が示されたので、行政としては課題とされたことについて今後内部で検討していくこととなる」として、法令改正等の詳細については明らかにしませんでした。今後の見込みとして、法令改正を
 今国会に提案するのであれば、3月半ばに法案をまとめるロ程になるであろうとの見通しをしめしました。


2014年03月05日

「京都大学組織改革(案)」の本質を問う-総長選挙廃止問題と安倍内閣大学改革②-

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース,[第24号]発行:2014年3月4日

「京都大学組織改革(案)」の本質を問う
-総長選挙廃止問題と安倍内閣大学改革②-

(前号より続く)
「総長選考制度改革」と一対の「京大組織改革」

 なぜ総長選考会議はこれだけの強い批判があるにもかかわらず、総長選挙制度の廃止と任期延長・再任制度導入の検討を続けているのでしょうか?
 それは現在これと並行して行なわれており、いまや検討の最終局面(3月4日の臨時教育研究評議会で再採決の予定)を迎えている「京都大学組織改革(案)」の進行と併せて考えなければなりません。京都大学における「総長選考制度改革」と「大学組織改革」は車の両輪のようにタイアップして進行しているのです。
 背景は、現安倍内閣のもとで 2013 年 1 月に発足した「産業競争力会議」が、大学を経済成長の手段として明確に位置付けたことにあります。それによれば、大学は①「グローバル人材の育成機関」、かつ②「イノべーション推進機関」であり、それ以外の機能は必要ないというわけです。大学をこうした政策遂行機関に完全に変えてしまうのに最も必要とされているのが、「学長に従う大学(教員)」と「政府に従う学長」の組み合わせです。わたくしたちが何度も聞かされる「学長のリーダーシップ」の意味内容はまさにこれです。「日本の大学にはびこる “民主主義幻想”、その最たるものが学長選挙だ。」、(こうした大学の)「機動力奪う “民主主義”」を変えなければ未来はない。(『日本経済新聞』特集「大学は変われる か ―「決める組織へ」(1)、(2)2013年8月20日~)などという目を疑うようなキャンペーンも大々的に張られています。

大学自治こそ大学のガバナンスに相応しい

 しかし、ちょっと待って下さい。大学におけるリーダーシップとは、教育・研究の現場からの発信によるリーダーシップが主体なのであり、学長はそれを見守るべき存在なのではないでしょうか。教育・研究の環境変化・社会的ニーズの変化をキャッチする一番のアンテナをもっているのも教育・研究の現場であり、学長にはそれはないとはっきり言えるのではないでしょうか。この明確な理由から、「自治」こそが大学にふさわしいガバナンスのあり方だとされてきたのです。「学問の自由」の「制度的保障」としての「大学の自治」が全世界の大学のガバナンスとして認められてきた理由です。ところが現在の「学長のリーダーシップ・キャンペーン」はこの根幹を突き崩してしまうことを明確に目標にしています。その具体的な攻撃目標が、「学長」と「教授会」なのです。

教授会の審議会化は「大学自治」の破壊

 文部科学省の諮問機関である中央教育審議会(現会長は安西祐一郎氏=現京都大学総長選考会議議長)が12月24日にまとめた「大学のガバナンス改革の推進について」(審議まとめ)は、興味深い論理を展開しています。
 曰く「国立大学の法人化以降、国立大学の教員は公務員ではない。従って以前に教授会の自治(従って大学の自治)を規定していた教育公務員特例法は現在の国立大学法人には適用されない。つまり教授会の自治など今は法的根拠がないのだ。従って、この際(これを奇貨として)、教授会の役割を本来の審議機関としての機能に限定し、決定機関としての学長の役割を明記するために学校教育法を改正し、教授会自治の法的根拠を完璧に廃止すべきだ。」等々。
 国立大学法人法に教授会に関する規定がない現状を逆手にとって教授会の自治(従って大学の自治)そのものをなくしてしまおうというまったく転倒した論理です。

「教授会自治廃止」と本質は変わらない「京大組織改革 ( 案)」

 現在提起されている「京都大学組織改革(案)」は、6 月における総長側の最初の提案から、複数部局連名による「対案」の提出を経て、修正を繰り返し、相当妥協的とも言える「折衷案」になってはいますが、「学域・学系の設置および教育研究組織(部局)からの人事・定員管理機能の分離」すなわち「部局教授会自治の廃止」という本質は何も変わっていません。つまりこれは今国会に提出される予定である、中央教育審議会による学校教育法改正による「教授会自治の廃止」を先取りするものなのです。

教特法の精神を学内規則に ( 長尾元総長 )

 他方で、法人化当時の総長であった長尾元総長は、当時「京都大学の法人化についての総長所感」(2003 年 8 月京大広報号外)を発表し、その中の 9項目にわたる基本的方向の提言で、特に次のことを強調しておられました。
①学問の自由を守るために教育公務員特例法の精神(つまり教授会の自治)を学内規則に反映させること
②学長のリーダーシップを各部局の意思との間で調和させるために、部局長会議を重視し、役員会と部局長会議の意思疎通がはかられるよう工夫すること
③自由意思に基づく基礎的・萌芽的研究が安定的に行なわれるように、研究分野にかかわらず一定水準の基盤的研究費を保証する一方、大学として支持すべき分野に弾力的に研究費を配分できる方法を工夫すること
④経営協議会や役員、あるいは職員などへの学外者の登用については、真に京都大学のために献身してくれる人を選ぶこと、等々です。

学校教育法改正先取りの「京大組織改革 ( 案 )」

 これらの内の幾つもの点が、現在松本総長の下でまったく対立する政策にとって代わられています。
 国際高等教育院の設置が、「グローバル人「京都大学組織改革(案)」の本質を問う? 総長選挙廃止問題と安倍内閣大学改革② ?材育成計画」を先取りしたものであったのと同様に、「京都大学組織改革(案)」は学校教育法改正による「教授会自治の廃止」を先取りするものであり、これと「総長選挙制度の廃止」を組み合わせれば、所期の目標である政府による大学の従属機関化は完成します。
 「京都大学組織改革(案)」を「国際高等教育院の設置」と同じ経過にしていいのでしょうか?「大学改革支援型補助金」の獲得のために大学の自治の本質を売り渡すことは将来にわたり大きな禍根を残すことになるでしょう。いま必要なことは、政府・国会や国民の広範な層を巻き込んだ大学と社会についての広範な議論の展開なのです。


京都大学一方的賃下げ無効・未払い賃金請求事件、第4回口頭弁論

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース,[第24号]発行:2014年3月4日

京都大学一方的賃下げ無効・未払い賃金請求事件

第4回口頭弁論

2014 年 3 月 14 日(金)15:00~ 京都地裁第 101 号法廷
第4回口頭弁論報告会 15:30~ 弁護士会館地下ホール

 賃金請求訴訟の口頭弁論は第 4 回目を迎えます。毎回、大勢の方に傍聴参加をいただきますことに、御礼申し上げます。被告の京大法人は、賃下げの根拠を十分に示すことができず、原告団優位に訴訟が進んでいます。この勢いを維持し、より優勢に訴訟を進めていくためにも、引き続き多数の傍聴参加をお願いするところです。
 なお、傍聴を希望される方の数が傍聴席数を超える場合には、当日の混乱を避けるため、原告、組合員、関係団体を優先いたします。また、予めご連絡をいただいた方も配慮いたします。その旨ご了承ください。第 4 回口頭弁論の傍聴を希望される方は、下記 URL のフォームよりお申し込みください。https://www.kyodai-union.gr.jp/sosho

賃金訴訟の応援歌「声を束ねて」をリリース! 京大職組書記局の佐藤大介さんが作詞作曲「♪~さあ ともに声を上げよう。沈黙は同意とみなされる~ 」是非ご試聴ください!
http://youtu.be/YsZBsPhh_Ql


2014年03月04日

第186回国会で現在審議中、「私立学校法の一部を改正する法律案」

■文科省
 ∟●私立学校法の一部を改正する法律案

私立学校法の一部を改正する法律案(概要)
私立学校法の一部を改正する法律案(要綱)
私立学校法の一部を改正する法律案(案文・理由)
私立学校法の一部を改正する法律案(新旧対照表)
私立学校法の一部を改正する法律案(参照条文)

私立学校法改正案決定 違反時に命令権限

NHK(2月28日)

政府は、私立学校を運営する学校法人が、法令に違反したり深刻な経営危機に陥ったりした場合などに、国や都道府県が立ち入り検査を行い必要な措置をとるよう命令を出せることなどを盛り込んだ私立学校法の改正案を、28日の閣議で決定しました。

文部科学省は、去年3月、群馬県高崎市の「創造学園大学」などを運営する学校法人に対し、必要な財産を持たないなど法律に違反しているとして解散命令を出しましたが、深刻な事態に至るまで国として改善を促す対応が十分とれなかったことが課題となりました。
28日、閣議決定された私立学校法の改正案では、法令に違反したり深刻な経営危機に陥ったりした場合などに、国や都道府県が学校法人に業務や財産の状況について報告を求め立ち入り検査ができるようにするとしています。
そして、事実が確認された場合には、国や都道府県が学校法人に必要な措置をとるよう命令を出せることとし、従わない場合は役員の解任を勧告できるようにするなどとしています。
政府は、この改正案を今の国会で成立させたいとしています。


都留文科大のセクハラ不祥事、教授停職処分無効 115万円支払い命ず 地裁・都留文科大に

毎日新聞(2014年3月3日)

 女子学生にセクハラ行為をしたなどとして都留文科大(都留市)から停職処分を受けた元教授の男性(66)が処分の無効確認などを求めた訴訟で、甲府地裁は25日、処分は無効とし、同大学に慰謝料など計約115万を支払うよう命じた。

 同大事務局の重原達也次長は「判決文を読み、対応を判断したい」としている。【藤河匠】