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2016年01月16日

市立大学と府立大学の統合議案市可決へ

ytv(01/15 08:50)

 大阪市立大学と府立大学の統合議案が市議会で15日に可決される見通し。自民や公明が慎重な姿勢を崩さず継続審議にするとしていたが、吉村市長が自公の要求に応じ議会や大学側の意見を取り入れることを追記した修正案を出すと決め、自公が方針転換した。

2016年01月15日

これは言論封殺だ! 不正告発教授のクビを切った岡山大学の愚挙

現代ビジネス(1月14日(木)7時1分配信)

これは言論封殺だ!不正告発教授のクビを切った岡山大学の愚挙

驚きの解雇理由

 岡山大学は1月12日、「大学教員としての適性を欠く」として、前薬学部長の森山芳則(62)教授と、前薬学部副部長の榎本秀一教授(52)を解雇したと発表した。

 岡山大学教育研究評議会は、「審査説明書」のなかで、私への情報提供を解雇理由のひとつとして挙げている。

 <(森山教授は)榎本教授とともに、フリーライター伊藤博敏氏に対して、大学院生の博士論文の不正を学長に訴えたところ、学長が「この件については騒がないで欲しい」「こんなこと(不正の暴露)をやったら、ウチの大学はたいへんなことになる」と話し、数値の操作や細胞映像の使い回しなど改竄された研究データを基とした論文が28本存在するなどとする情報提供を行った>

 これは、記者として、絶対に看過できないことである。(岡山大学の「不正論文問題」については、2014年2月に公開したこの記事を一読いただきたい。<データ改ざん、不正論文が次々発覚! 製薬業界と大学「癒着の構造」に切り込んだ2人の岡山大教授の闘い http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38358>)

 新聞、テレビ、雑誌、あるいは私のようなフリーの立場にある者も含め、記者は組織内外の情報提供者によって支えられている。

 情報は、精査し、裏付けを取り、公益性があって、世に問う価値があると判断した時に記事化するわけだが、たとえ記事化が難しくとも、情報提供者には丁重に接する。その果てしない繰り返しが記者の仕事である。

 そうしたなか、2013年末から14年初めにかけて、「製薬会社と大学医学部の暗部」「研究者が陥りやすい論文不正」について語ってくれた森山、榎本の両教授は、私にとって、医療と製薬と研究現場で発生している不正をどう認識すればいいかの道筋をつけてくれ、それを暴いて世に問う知識を与えてくれた、羅針盤のような存在だった。

 そもそも両教授が訴えたいことは、岡山大学の論文不正だった。12年1月、薬学部大学院生の論文不正に気付き、それを調査のうえ、森田潔学長に訴えたところ、森田学長が命じたのが、「問題を大きくするな」という“指示”だった。

 それに反発した森山、榎本両教授は、学生の論文から有名教授の研究発表まで200本以上の論文を精査、研究データの改ざんを含め、28本の論文不正が見つかったことを私に情報提供してくれた。

 両教授の思いは、こうした不正の土壌を除去することである。一時的に大学の名誉や信用を毀損したとしても、将来的にはそれが岡山大学の医学部と薬学部の信用を回復、地域医療の中核としての地位を向上させると信じた。

実名告発の代償

 それは時宜にかなう行為だった。

 岡山大学での不正追求の動きは、同時期、東京地検特捜部が薬事法違反で捜査に入り、14年7月、世界的な製薬会社・ノバルティスファーマの元社員を起訴して終結したノバルティス事件と重なっている。

 年間売上高が1000億円を超えるメガヒット商品の降圧剤ディオバンは、京都府立医大、東京慈恵会医大、滋賀医大、千葉、名古屋の5大学の教授らが、「他の降圧剤より、脳卒中や狭心症を防ぐ効果が高い」とするノバルティスの意向を汲んだ論文を発表、見返りに総額で約11億円の奨学寄付金を供与されていたほか、個人的には、医師向け雑誌等のディオバン推奨広告に登場、座談会料などの名目で金銭を受け取っていた。

 ディオバン問題は、11年頃から基礎研究論文の不正が指摘されるようになり、12年には論文不正の指摘が相次ぎ、大学側が調査委員会を立ち上げて精査、画像の捏造、改ざんなどが指摘され、論文が撤回され、最終的には14年1月、厚労省が薬事法違反で刑事告発、前述のように事件化した。

 また、大学医学部は絡まなかったが、14年1月、小保方晴子氏のSTAP細胞が権威ある英学術雑誌「ネイチャー」に掲載され、大ブームを巻き起こしながら、半年で論文不正が発覚。論文は撤回され、日本の再生医療研究の第一人者で小保方氏の後ろ盾だった笹井芳樹氏が自殺するという、不幸な幕引きとなった。

 大学医学部と製薬会社との癒着、研究者たちの功名心など、さまざまな理由によって、論文不正が横行していることが周知徹底されたのが12年から14年にかけてであり、森山教授の「科学者が不正などしない」という思いは、大学院生の博士論文の不正をきっかけに、打ち砕かれ、それを実名告発した。

 私は、その思いに乗り、本コラムや週刊誌、月刊誌などで、岡山大学、ノバルティス事件、小保方問題を取材、記事化。そういう意味で、両教授の“指導”は有難かったし、一連の記事は公益性に適うものだった。

 ところが、ノバルティス事件、小保方問題と岡山大学問題は真逆の結果となった。

「パワハラがあった」と断定

 大学医学部と製薬会社の癒着、研究論文不正の土壌が、一朝一夕に変わるとは思えないが、2つの事件は、そういう現実があることを世に知らしめ、警告を与える効果があった。ところが、岡山大学問題は、地元紙では指摘されたものの、マスコミの目が届かないこともあり、両教授は追い詰められていく。

 まず、論文不正の指摘と歩調を合わせるように、「2人にパワーハラスメントがあった」としてハラスメント防止委員会の調査が始まり、パワハラ行為が認定され、14年9月25日、2人は9ヶ月間の停職処分を受け、森山教授は薬学部長職、榎本教授は副部長職を解任された。

 停職処分は15年5月25日に開けるが、その直前の5月20日、自宅待機処分を発令され、その間に研究教育評議会が開かれ、私への情報提供を含む9項目を審査、15年12月、解雇を決定した。

 なお、両教授が訴えた論文不正については、大学側は調査委員会を設置。15年3月、「不正はない」という結果に至ったとして、その概要を3月27日、大学のホームページに掲載している。

 1月12日午後1時からの発表は、同日午前10時、森山教授が記者会見を開き、榎本教授とともに、処分の無効と1000万円ずつの慰謝料を求めて提訴したことを明らかにするのを受けてのこと。大学側は会見で、論文に不正がなかったことを改めて強調するとともに、「真実と認められない情報を流し、大学の名誉や信用を傷つけた」と、解雇理由を説明した。

 私は、記者会見終了時点の1月12日を回答期限とする森田学長宛の以下の質問書を、1月8日の時点で作成、窓口の広報・情報戦略室に送付した。

 ①私は、森山、榎本両教授の論文不正の告発が意義深いものであると考え記事化した。その記事をもとに解雇するということは、憲法21条が保証する表現の自由を侵すことにならないか。

 ②両教授は、最初から森田学長と対立していたわけではなく、学長が「剽窃論文」を隠蔽したことでこじれた。学長自身の不手際が今回の事態を生んだのではないか。

 ③近年、公益通報者保護法など、内部告発を認める動きが一般化している。両教授の告発は、公益に資すると考えて記事化したが、それを封じるのは、むしろ岡山大学の名誉と信用を傷つけるのではないか。

 それに対して、企画・総務担当の阿部宏史理事が、次のように回答した。

最後まで見届ける。そして、追及する

 <まず、前提として、森山、榎本両氏が、貴殿に対して提供した情報が事実とは認められず、それによって、本学の名誉と信用は、著しく傷ついた。記事となったことではなく、名誉を傷つける内容の情報を提供したことを解雇理由としたのだから、憲法が保障する表現の自由を害したとはいえない。

 また、貴殿は学長が「これ以上、騒がないで欲しい」と、論文不正を隠蔽したことを前提としているが、そのような事実はなく、したがって、②と③は隠蔽指示の事実がないのだから、ご指摘は的を得ていない>

 いずれにせよ、両教授の法定を舞台にした戦いはこれからも続き、そこで私が投げかけた疑問に対する回答がなされるだろうし、隠蔽があったという指摘の正否も問われる。

 そして、論文不正に関する検証も継続する。『毎日新聞』が、今年1月3日付けの紙面で「論文不正 告発に生データ見ず『適正』 岡山大調査委」というタイトルで掲載したように、調査委の「一切の不正はなかった」という結論は、最初にそう決めていたかのような不自然さが漂う。

 それを最後まで見届けるとともに、追及を継続することが、「情報を受け、それを発信した記者」の責務だと思っている。

伊藤 博敏

岡山大学、大学内部の不祥事対応は、なぜ、不可解な結果になってしまうのか?

Yahooニュース(2016年1月13日 20時52分配信)

みわよしこ | フリーランス・ライター(科学・技術・社会保障・高等教育)

大学内部の不祥事対応は、なぜ、不可解な結果になってしまうのか?

 大学でのパワーハラスメント疑いや研究不正疑いと、検討結果に対する大学の不可解な処分が、このところ続けざまに話題になっています。
 「大学なのに」でしょうか? それとも「大学だから」でしょうか?

 疑問を解く鍵は、「学問の自由」と「大学の自治」にあります。

 まず、記憶に新しい2つの出来事を振り返ってみましょう。

2015年11月、岡山大学で

 2015年11月、岡山大学で研究不正の可能性を申し立てた2人の教授が解雇されました。
 岡山大学は2016年1月13日現在、研究不正があったのかなかったのかを判断できる根拠を、世の中に提示していません。

 岡山大学医学部の研究者が関わる論文31報に疑義を訴えた、同大薬学部の教授2名が、パワハラをしたとして停職処分になり、その後「岡山大学教授としてふさわしくない」との理由で解雇された(前回の記事でパワハラをしたとして解雇されたと記載したが、誤りであり訂正する)。パワハラによる解雇なら、懲戒解雇になるはずなのに、普通解雇という不可解な理由で解雇されたという。 (略) 問題なのは、研究不正の疑義を申し立てた、という理由で解雇されたのではないか、つまり報復なのでないかということだ。

根拠に基づき疑義を申し立てること自体は、なんら問題のある行為ではない。疑義を申し立てられたほうが、潔白を証明できればそれでいい。

しかし、その行為をもって「教授にふさわしくない」などと言われ解雇されるならば、論文に対する健全な批判すらはばかられてしまい、科学の発展は阻害されてしまう。

出典:Y!ニュース:炎上岡山大学~研究不正疑義申し立てた教授が解雇される(榎木英介)

 2015年11月より取材を開始していた片瀬久美子氏によれば、岡山大学に対して資料の開示請求を行っているものの、必要な資料を開示してもらうまでに大変なご苦労をされているようです。
 しかも、肝心の研究不正の有無に関する事実関係は「何一つ」といってよいほど明らかにされないまま、解雇処分が行われています。

参考(片瀬氏のブログより):
warblerの日記: 岡山大学の法人文書部分開示決定通知書に対する異議申し立ての内容
warblerの日記: 研究不正を内部告発した教授らに大学が解雇処分の判断

 学内で行われている研究不正など不適切な行為について内部および外部への告発を行うことは、禁止されていません。
 逆に、告発者に対して告発したことをもって不利益待遇を行うことは、文科省のガイドラインによって禁じられています。所詮は、強制力のないガイドラインですが。
 告発されても「わーたーしーはーやってないー 潔白だ(古いネタですみません)」なら、榎木英介さんが記事で書かれているとおり、調べてもらって潔白を明らかにすればよいだけの話。
 しかし、告発内容の事実関係をちゃんと調べたのかどうかも明らかでなく、研究不正があったかどうかも明らかでなく、でも告発者の処分は何がなんだか良くわからない理由で行われてしまったという話です。
 職を奪うのは、職員に対する死刑のようなものです。簡単に行われるべきではありません。
 もしかして、「懲戒解雇から罪を一等減じて普通解雇にしてやった」は「死刑ではなく無期懲役にした」なのでしょうか?
 「落し物を警察に届けたら、警察官が着服し、自分が嘘つきということにされた」
よりも不気味な話です。

2015年12月、山梨大学で

 2015年12月、山梨大学は、部下の助教に対して2010年~2014年にわたってパワーハラスメントなど不適切な行為を繰り返していた50代教授に対し、助教が申し立てた事実をほぼ認め、教授に対して処分を行いました。しかし処分の内容は、「減給半日」というものでした。事実上「罰していない」に近い内容です。
 以下、法律家の見解を紹介した報道です。

「一連の行為について、この教授は法的責任に問われる可能性があります。(略:同様の判例に)『違法な公権力の行使である嫌がらせに該当する』とされたものがあります。同裁判例においては、国家賠償法上の責任が肯定され、また場合によっては教授個人の不法行為責任が生ずる余地がある旨を判示しています。 そのため、本件においても、被害者である助教は、国に対して賠償請求できると考えられます。また、教授に対しても、不法行為に基づく損害賠償を請求できる可能性があります。 (略) 教授の行為は、故意に第三者の心身にストレスを与えてノイローゼなどの体調不良に追い込んだとして、傷害罪(刑法204条)などに該当する可能性もあります」 (略) 「本件のような悪質性が高く、重大な結果が発生していると思われる教授の行為について、平均賃金の半日分の減給という懲戒処分が妥当かについては、疑問が残ります。 (略) 人事院の懲戒処分の指針では、処分量定の決定に当たっては、非違行為の態様および結果を考慮する旨を規定しています。 (略)本件のようなケースにおいては、停職などのより重大な懲戒処分であっても、決して不当ではないと考えられます」 「(注:民間企業であれば)同様の事実関係であれば、当事者が『会社の従業員と、パワハラを行う上司』であったとしても、従業員が上司および会社に対して、損害賠償請求などを行える」

出典:Business Journal 2015.12.26 企業・業界 山梨大教授、妊娠女性を強制労働・流産…医師の安静指示を無視、大学は大甘処分

大学はそもそも「治外法権の地」であることを理解すべき

 いずれのケースでも、大学の外での法・ルール・モラルといったものに照らせば「はぁ?」という成り行きとなっているわけです。
 組織としての大学が、あるいは個々の教員が、法・ルール・モラルに照らして問題のある振る舞いをしたとしても実質的に許されています。
 問題ある振る舞いに対する言挙げは可能ではあります。刑法上の被害として警察に訴えること。あるいは(同時に)損害賠償訴訟を起こすこと。
 その前に「ダメ元」で文科省に申し入れをすることも「やってみる価値がないとはいえない」かもしれません。
 解雇された岡山大の2名の教授・山梨大でパワハラ等の被害を受けた助教は、法的手段に訴えれば勝てる可能性は少なくありません。少なくとも「完敗」はありえないでしょう。
 しかし、判決確定までに、どれだけのコストと時間が必要なのでしょうか。
 その間、研究キャリアは進まないままです。もしも将来、研究を再開できたとしても、多大なブランクというコストを一方的に支払わされる、というわけです。
 完全な「やり得」「やられ損」の世界です。まるで治外法権の地、です。
 なぜ、こうなるのでしょうか? 大学が「治外法権の地」だからです。
 より穏やかな言葉で言い表わせば、「大学の自治」があるゆえです。

「大学の自治」と「学問の自由」の深い関係

 「教授会」を中心とした「大学の自治」は、大学内を「なんでもあり」の世界にするために重要視されてきたわけではありません。
 大学を、世俗の権力・宗教の権力が及ばない領域にしておかなければ、学問の自由を守ることができないからです。
 人文科学・社会科学・自然科学を問わず、科学の歴史は世俗や宗教の権力との闘いでもあります。
 自然科学(手っ取り早く言えば「理工バイオ系」)を「産業振興と国の稼ぎに貢献する学問」と認識している方は多く、それは事実ではあります。かくいう自分も、かつて半導体分野の企業内研究者。世の中に求められそうなものを生み出し、その結果が社会に活かされる恩恵に自分自身もあずかるフィードバックは、それはそれは楽しいものでした。
 しかし自然科学は、人間に世界観の転換や、これまで考えなくてよかったことを考える面倒臭さや、過去になかった脅威や……といったものをもたらしつづける存在でもあります。
 「世界観の転換」一つとっても、たとえば「地球が太陽のまわりを回っている」が明らかになり、世の中の誰もが知っている公知の事実になるまでに、科学者が何人死んだり拷問されたりすることになったでしょうか? 科学は、巨大な権力であった中世カトリック教会とも教会を支持する世俗の権力とも闘い続け、少しずつ、じりじりと、科学と社会を前進させてきたのです。
 このような学問の営みのために、大学が「学問の自由」を守れる場であるために、「大学の自治」が確立され、維持されてきたのです。
 現在も残る「教授会」は、その名残です。

皆さん、「学問の自由」と「大学の自治」がなくなってもいいんですか?

 少子化の進む日本で、ビジネスモデルとしての「大学」が破綻していることは、もはやミエミエすぎです。
 ならば、世の中に求められるものをタイムリーに提供しつづけて独自ビジネスで運営を続けられる大学、イノベーションを起こしつづけて社会を熱狂させる製品を次から次に提供できる大学が増えればよいのでしょうか? そんなことはありません。
 モノになるかならないか、モノになる可能性が高いかどうかと関係なく幅広く研究費の「バラマキ」を行ってきたことこそが、日本の研究を全体として進展させる結果を産んできた可能性は高いのです。このことは、鈴鹿医療科学大学学長・豊田長康氏がブログ「ある医療系大学長のつぼやき」で繰り返し発信し続けているところです。
 そもそも「産業での実用化につながる研究」、言い換えれば「カネになる研究」をすることは、大学の役割なのでしょうか? 儲かる可能性があるなら、産業界が率先して自社や自分たちの業界のプロジェクトでやるでしょう。
 なぜそれが「大学の役割」ということになりつつあるのでしょうか? 
 社会にとって、大学とあまり縁が深くない方々も含めた社会のあらゆる人々にとって、本当に良いことでしょうか?

 すべての人が、産業界にも大学にも使われる税金を納得して支払い、その結果に一定の納得をすることができるようであってほしいと私は思います。
 とりあえず人事の話は、誰にでも分かります。
 この2つの、大学の「なんだかなあ?」人事から、「自分たちの社会の問題」として大学に視線と関心を向け続ける方が増えることを願います。
 今のところ、「学問の自由」「大学の自治」は、主に大学に関する問題です。
 でも大学の問題を通じて、すべての人に関係する問題です。
 まかり間違っても、国立大学が国費で「なんでもあり」の国営伏魔殿を作るために「学問の自由」「大学の自治」があるわけではありません。国費による収入比率が異なる私学でも同じことです。
 大学の役割は何であり、なんのための「学問の自由」であり「大学の自治」なのかを考えて体現しつづける大学や大学人が増え、大学人と一緒に考える市民が増え、市民が一緒に考えることを歓迎する大学人が増えることを、大学の中(現在、社会人大学院生)と外(一市民かつ職業人)から、心より願います。


2016年01月14日

岡山大学解雇事件、サイト

■今、岡山大学で何が起きているのか?
http://seesaawiki.jp/rebirth_okayama/
■研究不正を告発した教授らを岡山大学が解雇処分に
http://togetter.com/li/923714
■炎上岡山大学~研究不正疑義申し立てた教授が解雇される
http://bylines.news.yahoo.co.jp/enokieisuke/20160113-00053369/
■warblerの日記(研究不正を内部告発した教授らに大学が解雇処分)
http://d.hatena.ne.jp/warbler/20151208/1449547733

サイト紹介、岡山大学による報告「研究活動に係る不正行為に関する調査結果について」に関する意見

岡山大学による報告「研究活動に係る不正行為に関する調査結果について」に関する意見
https://sites.google.com/site/investigationofokayamau/

報復人事? 岡山大が不正を告発した教授2人を解雇し、衝撃が広がる

IRORIO(2016年01月13日)

長澤まき

論文の不正を告発した大学教授2人が解雇され、衝撃が広がっている。

「適性を欠く」と前学部長らを解雇

岡山大学は12日、薬学部の前学部長の森山芳則教授と前副学部長の榎本秀一教授の2名を昨年12月28日で解雇したことを発表した。

大学側は解雇した2人について「真実と認められない情報を流し大学の社会的評価を傷つけた」と主張している。

論文の不正を告発

解雇された2人は2012年と2013年、学内の計31本の論文に「流用」や「ねつ造」などの不正行為があったと内部告発した。

これに対して岡山大学は2015年3月、いずれの論文にも不正はなかったという調査結果を発表。

論文に実験結果と異なる画像が掲載されていたことについては「誤って掲載した」として「故意ではないので、不正とは認定しない」とした。

大学側「教授の適正を欠く」と説明

大学側は2人の解雇理由として「調査中にも関わらず論文に不正があったかのように外部に情報を流した」「無断で学内で記者会見を開いた」など9項目を説明。

職務命令に違反しており大学教授の適正を欠くなどと指摘した。

元教授ら「職権乱用」と提訴

解雇された元教授らは解雇には合理的な理由がないとして12日、岡山地裁に提訴。次のように主張している。

解雇権の乱用だ

処分の無効と2千万円の慰謝料などを求めているという。

ネット上には批判や嘆きの声

論文の不正を告発した教授らが解雇されたことを受けて、ネット上には衝撃が広がっている。

考えられねぇ…
不正告発した方が解雇されるなんて…
明らかに報復人事?
要するに権力者に楯突くと粛清されるという話
リアル鬼が島
学外メンバーでもう一度調べるというわけにいかないのか?
まともな内部告発保護法を作るべき
批判や嘆きの声が多数投稿されていた。

解雇された元教授らは2014年にも、ハラスメント行為をしたという理由で岡山大学から懲戒処分を受け、学部長・副学部長から解任されている。


大阪市大学生ら 府大との統合反対署名提出

ytb(01/13 08:43)

大阪市立大学の学生らが12日、府立大学との統合計画の撤廃を求める約2500人分の署名を大学側に提出した。大学統合に向けた議案は先月、府議会で可決し、市議会でも議論が行われいる。学生らは、府立大学にも同様の署名を提出する予定。

2016年01月13日

岡山大学解雇事件、解雇撤回を求める陳述書

今、岡山大学で何が起きているのか?
 ∟●津島他学部の状況(2016年01月11日)

陳述書

平成27年12月8日
国立大学法人岡山大学教育研究評議会 御中
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授
森山芳則

国立大学法人岡山大学教育研究評議会(以下「評議会」という。)の平成27年10月26日付け審査説明書記載の判断に対し、事実関係の記載を中心に、次のとおり陳述する。

第1 結論

評議会は、森山に対する解雇との判断を再考の上撤回すべきである。

第2 主張の概要

1.解雇理由は事実誤認であり、解雇理由とはなりえないこと

審査説明書記載の事実関係(1)乃至(9)は、事実誤認であり、解雇理由とはなりえない。特に、評議会は、解雇理由(1)、(4)、(5)及び(7)については告訴状を岡山地方検察庁に提出していないのであるから、明らかに事実誤認であり、国立大学法人の評議会の判断としては、到底許されるものではない。詳細は、第3において述べる。

2.審査結果は、解雇権の濫用であり無効であること

(1)結論

森山に対する解雇は、1記載のとおり解雇理由に誤りがあることに加え、以下の事情により、客観的な合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないことから、解雇権の濫用に該当し、無効であることは明らかである。

(2)違法な自宅待機命令を前提とする普通解雇であること

国立大学法人岡山大学(以下「大学」という)は、平成27年5月20日付け自宅待機通知書において「国立大学法人岡山大学職員就業規則(平成16年岡大規則第10号)第68条の2の規定に基づき、平成27年5月26日から当該懲戒処分が決定するまでの間、自宅待機を命ずる。」と記載し、森山に対して、「当該懲戒処分が決定するまでの間」の期間に限定して、懲戒処分を前提とした自宅待機命令を行った。同就業規則68条2においては、「学長は、職員が懲戒処分に該当する行為を行った場合は、当該懲戒処分が決定するまでの間、当該職員に自宅待機を命じることができる」と規定しており、自宅待機命令は、あくまで懲戒処分に該当する行為を行った場合に限定して認められる措置であることから、懲戒処分を前提とせずに自宅待機命令を出すことは、同就業規則に反して違法である。

しかしながら、大学は、本通知書発行日から6か月以上経過しているにも関わらず、未だ懲戒処分を行っていないこと、及び、懲戒解雇ではなく普通解雇を行おうとしていることから明らかなように、「懲戒処分に該当する行為」は存在せず、就業規則に違反する行為を行っていることを自ら認めている。また、このような状況で、正式な懲戒処分を行わず、実質的な懲戒処分である普通解雇を大学が選択することは、自ら犯した違法行為を隠蔽する行為に他ならず、社会通念上著しく相当性を欠く行為である。

したがって、かかる状況の下、普通解雇を行うことは、解雇権の濫用に該当し無効である。

(3)先行の懲戒処分時に明確に認識していた事情を解雇理由としていること

懲戒処分が連続する場合、先行する懲戒処分の処分時に明確に認識していた解雇理由を、後続の懲戒処分における解雇理由とすることは、懲戒権の濫用として、解雇は無効とすべきである。この趣旨は、後続の処分が(本件のように)懲戒処分を前提とした自宅待機命令が先行し、懲戒処分が出ていない場合に、普通解雇を行う場合にも同様に当てはまる。したがって、懲戒処分を前提とした自宅待機命令が先行し懲戒処分が出ていない場合に普通解雇を行う場合、先行する懲戒処分の処分時に明確に認識していた処分事由を、後続の普通解雇理由とすることはできず、これに反する解雇は解雇権の濫用として違法である。

しかるに、解雇理由(1)乃至(7)は、平成26年9月25日付け停職処分時に、大学が明確に認識していた事情である。したがって、評議会がかかる理由をもって、解雇理由とすることは、いずれも解雇権の濫用として許されない。

(4)報復としてなされた解雇であること

普通解雇においても、報復として解雇することは、解雇権の濫用として無効である。大学は、以下の通り、森山の大学に対する要求に対する報復として、普通解雇を行うとしていることは明らかである。

すなわち、森山は、博士課程在籍中の大学院生の博士論文の不正行為、他人の修士論文を剽窃し己の博士論文とし博士号を取得した二名の○○企業社員がなした不正行為、それらの不正行為を指導した元教授の不正行為、並びに、理事が多数著者に含まれる論文の不正行為を大学に内部告発したところ、平成26年9月25日付けに別件で停職処分を受けている。こうした中、平成26年9月26日臨時薬学部教員会議において、学長は、「私を刑事告訴するということはどれだけ大きな社会的な非違行為かであるかということです。・・中略・・私が辞めるかそちらが辞めるかの戦いになります」また、「私自身の処罰もありえると私は思っています。これから処罰がありえると思っております」と発言している。以降、大学は、一環として、根拠ない自宅待機処分に続く、本件の普通解雇とする結論を出しており、本件の普通解雇が、大学の報復に基づくことは明らかである。

……以下,省略

2016年01月12日

酪農学園大学長解任無効訴訟、訴状

訴状(2016年1月8日)

請求の趣旨

1 原告は、被告の酪農学園大学学長の地位にあることを確認する。
2 被告は原告に対し、金 5,125,000 円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払い済みに至るまで年 5 分の割合による金員を支払え
3 被告は原告に対し、2017 年年 3 月まで、毎月末日限り金 1,025,000 円を支 払え
4 訴訟費用は被告の負担とする
との判決並びに 2 項について仮執行の宣言を求める。

請求の原因

1原告は酪農学園大学の学長に選出された

 原告は、農学博士であり、畜産学及び農業工学を専門分野とする学者である。 原告は、1995 年 4 月から被告の酪農学園大学酪農学部の教授に就任し、教育、
研究に従事していた。
 また、原告は 2013 年 4 月から酪農学園大学の教職員による選挙によって学長 に選出され、以後学長に就任していた。
 2013 年当時の被告の学長選挙手続きは旧「酪農学園大学学長候補者選定手続規程」(甲第 1 号証、左側欄)に規定されており、学内に選挙管理委員会が設置され(同規程 3 条)、教授会及び事務職会の選挙が行われたものである(同規程5 条)。原告は、この手続きに則って学長に就任した。当時の学長の任期は 4 年 間であったから、2017 年 3 月まで学長としての地位を有している。
 なお、この学長の選挙手続きは 2015 年 3 月に改正され、教職員の選挙に代わ って理事会が設置する「学長候補者選考委員会」が選定して理事長が任命する手 続きに変更された(甲 1、中央欄)。

2被告による学長の「解任」の経緯緯

 被告は、2015 年 7 月 14 日、原告に対して学長を解任したと通知した。その経 緯は大要以下のとおりである。

(1)札幌地裁における判決を根拠の一つとする
 2015 年 5 月 27 日、被告理事長は、被告評議員会において「5 月 11 日の札幌 地裁での判決において干場学長、荒木評議委員の不法行為が成立したことで、寄 付行為に違反があった場合には、学長、評議員の解任が規定されていることから、 評議員会終了後の理事会において協議することになった」と報告された。
 この判決は、原告他 5 名が被告の常務理事であった日下雅順から提訴され事件で、原告ら 5 名が頒布した文書が日下雅順の名誉を棄損する文言があるとして連帯して金 330 万円を支払えとする訴えであった。これに対して、札幌地方裁判所は、連帯して金 6 万円を支払うように命じたものの現在札幌高裁に係 属中である。理事長の上記発言はこの判決をさしている。
 理事長は、民事上の紛争も「法令の規定に違反」して学長の解任理由になるこ とを明言したことになる。

(2)教職員説明会(7月3日)での出来事
 理事長は 2015 年 7 月 3 日開催の教職員説明会において、6 月 30 日に開かれた理事会での会議内容を説明した。理事長は、この教職員説明会において、6 月 30 日の「理事会で協議した結果、学長には退いてもらうことが決まった」と告げた。 同日の説明では、学長解任の理由は、上記の名誉棄損事件での判決の他に、2015 年の監査所見において原告の学長としての執行能力に疑問が呈されたこと、教員採用の遅延、入学者の確保に関して被告に莫大な損害を与えた、等が述べられ た。

(3) 7月 14 日開催の理事会での原告解任決議
 2015 年 7 月 14 日、被告理事会において甲第 2 号証が配布され、この理事会に おいて原告の学長解任が決議された。理事長は同日原告に対し学長を解任した 旨を通知した。

3 学長解任の違法性

 原告に対する上記学長解任は、甲 2 においても具体的事実が不明な上に、当 該理事長(あるいは理事ら)が考える事実が、職務上の義務違反、あるいは法令 等の規定に違反するとの判断が全く不分明である。これらの事実関係は、被告か ら詳細な事実が明らかにされた時点で反論をする予定であり、ここでは理事会 が決議した際の学長解任理由が事実に基づかない解任であることを指摘するに とどめておく。
 本訴状においては、上記の学長解任理由が事実に基づかない、という主張のほ かに、寄附行為における手続上、学長解任の手続きがないにもかかわらず、2015 年 3 月に理事会において「学校法人酪農学園寄附行為施行細則」なるものを改 正して、学長解任手続きを新設し、この新設した施行細則によって原告をして学 長の解任に至らしめた、という点を中心にその違法性を主張するものである。

(1)寄付行為における学長の地位
 学校法人である被告において、寄附行為はその存立の基礎となる規定である (甲第 3 号証)。この寄附行為において、学長に関する規定は以下のとおりであ る。
ア 7 条 1 項(1)において、理事の資格者として、酪農学園大学長が規定されて いる。
イ 13 条 1 項において、役員の任期として 3 年とされているところ、括弧書きで、7 条 1 項 1 号の学長は除くとされている。
ウ 15 条 1 項において、役員の解任が規定されているところ、この解任される
 役員には、7 条 1 項 1 号に規定される学長は除かれている。 以上から、寄附行為上、学長は理事という役員になりつつも、任期は通常の理事とは異なる上に、理事の解任規定も学長には及ばないこととなっている(ただ し、さらにその後学長任期についても他の役員と同じとする施行細則の変更が あった)。したがって、寄附行為では、学長の解任については認めていないこと になる。

(2)本件における学長解任手続き
 寄附行為上は、学長の解任が認められていないにもかかわらず本件において被告が原告を解任した手続きは、甲第 2 号証本文のとおり、寄附行為施行細則 3条 1 項に基づいて解任をしたとされている。
 寄附行為施行細則(以下「施行細則」という)は 2015 年 3 月に理事会によっ て改正され、それまで存在しなかった学長の解任手続き、解任の要件等について、 3 条として新しく学長解任規定が新設された。施行細則 3 条によると、以下の一 つに該当すれば学長解任理由になるとされている。
ア 法令の規定又は寄附行為に違反したとき、イ 心身の故障にため職務の 執行に堪えないとき、ウ 職務上の義務に違反したとき、エ 学長たるにふさわ しくない非行があったとき、が解任理由とされ、前記のとおり、民事上の紛争も「法令違反」に該当するとされたのである。
 甲第 2 号証、2 項の(3)のとおり、本件においては、これらア、ウ及びエに該 当するとされて、評議員会の意見を聞いたうえで、理事会の議決によって解任さ れた。

(3)学長解任は違法行為である

 本件において、原告を学長から解任した手続きは、以下のとおり明らかに違法である。
ア 寄付行為に違反する施行細則に基づく解任
 上記のように、寄附行為においては学長の解任は認められていない。
 甲 4 の施行細則 1 条は、「寄附行為 47 条の規定に基づき」「必要な事項を定める」としており、甲 3 の寄附行為 47 条は、「この寄附行為の施行についての細則 その他・・・学校の運営に関し必要な事項」についての定めを施行細則に委任し ているに過ぎない。
 つまり、施行細則は文字通り寄附行為を施行する際に、その具体的な細目を定 めるものにすぎないのであるから、寄附行為がそもそも認めてない事項につい て施行細則で定めることはできない。特に、学長の解任という重大な人事につい て、寄附行為が認めていない以上、施行細則で定めることはできない。これは寄 附行為が施行細則に委任している範囲を逸脱するものである。したがって、寄附 行為に違反する施行細則に基づく本件解任は違法であることを免れない。
 特に、後記するように学長の解任という大学の人事に関する内容は憲法 23 条 の定める大学の自治によってその自主性、自律性が保障されており、理事会によ って一方的に学長が解任される手続きを容認することは憲法 23 条の保障する学 問の自由、大学の自治に違反するものである。したがって、新設された施行細則 3 条自身が無効であり、かつこの 3 条に基づく原告の学長解任自体が、憲法 23 条に違反し公序良俗に反することが著しいのである。

イ 寄付行為と施行細則では改正手続きが違う
 もし被告が、寄附行為に認められていない学長の解任手続きを定めようと考えるのであれば寄附行為そのものの変更を行うべきであり、施行細則をもって新たに解任手続き定め、その手続きによって本件解任をなした被告の行為は、寄 附行為の脱法として違法無効である。
 そもそも、寄附行為でなんら定めていない事項について、新たに何らかの手続を新設しようとする場合には、寄附行為そのものを改正することが考えられる(ただし、その改正が公序良俗に反することはできないのは当然である)。 甲第 3 号証の 44 条 1 項は、寄附行為の変更手続きを定めているが、「理事現員の 3 分の 2 以上の議決」を得て、「文部科学大臣の認可」を受けなければならない。つまり寄附行為を変更しようとする場合には厳格な手続きが必要である。これに対して、施行細則の変更は、甲第 4 号証の 14 条で、理事会において決定することができるところ、理事会の議決は、甲 3 の 17 条 9 項によって、「理事現員の 3 分の 2 以上の出席」で、出席理事の過半数で議決できる(同条 11 項) ことになっている。寄附行為の変更と異なり比較的容易な手続きで施行細則は 変更することができる。
 つまり、本来、学長の解任手続きの新設は、寄附行為の変更事項として行うべ きものであるところ、被告はあえて施行細則の変更という安易な手続きで学長 の解任手続きを新設し、原告を解任したのであり、脱法行為によって本件解任が なされたのである。なお、繰り返すが次項で述べる憲法に違反する寄附行為の変 更は公序良俗に反して無効となることは言うまでもない。

(4)本件の学長解任は、憲法23条に違反する行為である
 憲法 23 条は、学問の自由を保障するために、大学の自治を認めている。「この 自治は、とくに大学の教授その他の研究者の人事に関して認められ、大学の学長、 教授その他の研究者が大学の自主的判断に基づいて選任される」(最高裁ポポロ 事件判決)。この最高裁判決は国立大学(当時)についての判決であるが、私立 学校も公の性質をもち、(教育基本法 6 条 1 項)、大学は、「学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造 し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するもの」 (同法 7 条 1 項)とされ、同条 2 項では、「大学については、自主性、自律性その 他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」と規定さ れていることからも、私立大学においても大学の自治が保障されていると解さ れている。そして、この大学の自治の重要な内容として人事の自治があるのであ る。
 ところで、私立大学の場合、大学の自治は誰との関係における自治であるのか が問題である。大学の自治が学問の自由を守るための保障であるならば、各教員、 教授等を雇用する私立大学の設置者、経営者、理事者の介入に対する保障でなけ ればならないのは当然である。これらの者からの不当な介入によって学問の自 由が侵害されてはならないからである。つまり、本来的に大学研究者、学長等の 人事が、理事者等によって、適正な手続きによらず、一方的な介入によって左右 される事態は、憲法が保障する大学の自治の保障を侵害するものなのである。
 本件では、教職員の選挙によって学長として選出された原告が、理事会が寄附 行為に反して理事会によって新設した施行細則に基づいて、適正な手続きによ らず解任されるという、まさに大学の学長の人事に関する自治が理事会の一方 的な介入によって侵害されたものであって、本件解任は憲法 23 条に違反する重 大な違法行為なのである。これは明らかに公序良俗に反する違法、無効な解任で しかない。

4原告の報酬
 原原告の報酬は、月額 1,025,000 円である(甲第 5 号証)。被告は原告に対し、2015 年 7 月分までの報酬を支払ったが、それ以降は解任を理由として支払っていない。この未払い報酬額は、2015 年 12 月まで、合計金 5,125,000 円である。
 また、原告は、任期が満了する 2017 年 3 月分まで、毎月末日限り金 1,025,000 円の報酬を受け取る権利がある。

5 結論
 以上から、原告は被告に対し、第1に原告が被告の酪農学園大学学長の地位にあることの確認、第2に 2015 年における受けるべき報酬額金 5,125,000 円とこれに対する訴状送達の日の翌日から支払い済みに至るまで民法所定の年 5 分の割合による遅延損害金、第 3 に学長の任期が満了する 2017 年 3 月分までの間、毎月末日限り月額金 1,025,000 円の報酬の支払いを求めるものである。


酪農学園大前学長、学長解任の違法性を札幌地裁に提訴

酪農大はやっぱり素晴らしい
 ∟●提訴後の記者発表

提訴に当たって原告(干場)が考えていること

1.提訴の目的: 
学長解任の違法性を明らかにし、解任に伴って生じた損害を勝ち取ることを目的としている。ただ、裁判によって身分保全や賠償を勝ち取ることだけを目的としている訳ではない。理事長・常務をはじめとする理事会のやり方には腹が立つが、その憂さを晴らすのが目的ではない。問題は「酪農学園の教育をおかしくして欲しくない」と言うことであり、そのために、理事長・常務をはじめとする理事会の行動の違法性を裁判で明らかにし、彼らに退任してもらうことが最終的な目的である。

2.裁判の争点: 
 ①酪農学園大学の「教職員が選挙で選んだ学長」を、寄付行為に基づいてではなく、理事会の一存で改廃することのできる寄付行為施行細則で解任したことの違法性
 ②解任の理由が「教職員が選挙で選んだ学長」を解任するには全く不十分

3.なぜ今提訴か:
学長解任に対する対応としては、①法的対応(提訴)と ②社会的・道義的・倫理的な対応(情報公開)があると思われる。学園側の姿勢は「法的にクリアしてさえいれば良し」とする傾向が強いものであり、一方干場は「それでは大学の教育や研究はできない」というスタンスであった。したがって最初は、社会的・道義的・倫理的な問題点のアピール(情報公開)から始めた。それにより、a.事実の明確化、b.多くの方々からの支援、c.勇気ある学生の行動、などが得られたが、a.権力行使による強引な運営、b.全国的な大学自治への締め付け、などが目立ってきていることに鑑み、法的対応も行うこととした。学生からも裁判で戦うことへの期待が伝わってきている。

2016年1月8日 干場信司

酪農学園大、前学長「解任は無効」 学校法人相手取り提訴

酪農大はやっぱりすばらしい
 ∟●提訴しました(2016年1月12日)

提訴と記者会見の報告

 既に新聞報道等でご承知かと思いますが、干場前学長は1月8日午後1時半に札幌地裁に学長解任不当の提訴をしました(⇒訴状)。その後第三合同庁舎に移動して記者クラブで会見を行いました。この会見には市川守弘弁護士とともに支援者5名が同席しました。報道陣はテレビ各社、北海道新聞、朝日、読売、毎日等と北方ジャーナルの記者等が参加しました。前段、市川弁護士から訴状のポイントの説明があり、次いで干場前学長から「訴訟に当たって原告が考えていること」(⇒会見資料)が説明されました。その後40分程度記者団との質問応答後散会しました。主な応答には定款と施行細則、損失金額、被告・任期確認、解任理由等がありました。
 大学では干場学長解任後、専制的な大学運営が更に進行しているように見受けられ、本裁判での取り組みがとても重要になっています。皆さんのご支援をお願いします。

 提訴と記者会見の様子は、NHKとHTBで報道されました
  HTB: www.youtube.com/watch?v=TIruNnHLv3g 
  NHK: http://www.nhk.or.jp/sapporo-news/20160108/4874441.html 
 また、各社の新聞にも掲載されました。



酪農学園大、前学長「解任は無効」 学校法人相手取り提訴

毎日新聞(2016年1月9日地方版)

 酪農学園大(江別市)で、理事会の決定により学長を解任されたのは無効として、前学長の干場信司氏(66)が8日、同大を運営する学校法人酪農学園(同市)を相手に地位確認などを求め、札幌地裁に提訴した。

 訴状によると、干場氏は2013年4月、大学の教職員による選挙で学長に選出された。任期は17年3月までだったが、理事会が昨年3月、寄付行為の施行細則を改正して学長の解任手続きの規定を新設。理事会は同7月、教員採用の遅延などを理由に干場氏の解任を決議した。

 干場氏らは8日、札幌市で記者会見し、「学長解任の規定を盛り込んだ改正は適正ではない。理事会による大学の自治の侵害で憲法違反だ」と主張した。酪農学園は「訴状が届いておらずコメントできない」としている。

前学長が“解任は不当”提訴

NHK(01月08日)

去年、解任された、江別市にある「酪農学園大学」の前学長が、解任は不当だとして学長としての地位の確認などを求める訴えを札幌地方裁判所に起こしました。
訴えを起こしたのは、酪農学園大学の干場信司前学長で、8日午後、札幌地裁に訴状を提出しました。
干場前学長は3年前、学内の選挙をへて学長に選出されましたが、大学を運営する学校法人「酪農学園」は入学者確保への努力不足など職務上の義務違反があったなどとして、去年7月に解任していました。
これについて前学長は、大学の設立時につくられた根本の規則では学長の解任は認められていないのに、理事会は新たに設けた規則を根拠に解任を決めており不当だとして学長としての地位の確認などを求めています。
記者会見した干場前学長は「解任は腹立たしいが、それ以上に理事会には大学の自治を侵害して教育をおかしくしてほしくない」と述べました。
一方、訴えについて、学校法人「酪農学園」は「訴状が届いておらず、事実確認ができていないのでコメントできない」としています。
「酪農学園大学」は昭和35年に創立された4年制の大学で農食環境学群や獣医学群などに3500人あまりの学生が在籍しています。


岡山大が薬学部教授2人を解雇、「教員としての適性欠く」

山陽新聞(2016年01月12日 23時23分 更新)

 岡山大は12日、大学教員としての適性を欠くとして、薬学部の前学部長で大学院医歯薬学総合研究科の森山芳則教授(62)と、前副学部長の榎本秀一教授(52)を解雇処分にしたと発表した。処分は昨年12月28日付。

 大学によると、元教授2人は、学内の論文不正を告発した自身らの役職解任を学長らが画策したことが職権乱用に当たるとして、2014年に岡山地検へ告訴状を提出し、記者会見。さらに調査中にもかかわらず論文不正があったかのように外部に情報提供した。2人に共通するこれらの行為を含めて9項目ずつを挙げ、大学の社会的評価を傷つけたとしている。

 学内で会見した阿部宏史理事は「真実と認められない情報を流しており、信頼関係の回復は困難」と説明。森田潔学長は「服務規律の徹底を図り、大学への信頼を回復すべく努力したい」とのコメントを出した。

 岡山大は14年9月、薬学部の准教授らにハラスメント(嫌がらせ)行為をしたとして元教授2人を停職9カ月の懲戒処分にし、学部長、副学部長から解任。2人は昨年1月、処分の無効などを求める訴訟を岡山地裁に起こしている。

■元教授2人、処分無効と慰謝料求め提訴

 岡山大による解雇処分をめぐり、森山芳則元教授と榎本秀一元教授は12日、合理的な理由がないなどとして、処分の無効と1千万円ずつの慰謝料を求めて岡山地裁に提訴するとともに、処分無効の仮処分を申し立てた。

 訴状では、大学側が解雇理由として挙げた項目のうち、学長らに対する刑事告訴について「地検に告訴状は提出しておらず事実誤認」と説明。記者会見などの行為についても「解雇の理由には当たらず、解雇権の乱用だ」と主張している。

 この日、岡山市内で会見した森山元教授は、自身らが学内の論文不正を告発してきた経緯を踏まえ「告発が解雇につながったと考えている。学生や大学の未来のため、司法の場で異常性を明らかにしたい」と話した。

 岡山大は昨年3月、教員が執筆した研究論文計31本に流用、捏造(ねつぞう)といった不正があるとした森山元教授らの告発に対し、調査の結果、いずれも不正はなかったとホームページ上で公表している。


岡山大、2教授を解雇…論文「不正」を告発

毎日新聞(2016年1月12日)

 岡山大は12日、大学教授の適性を欠くなどとして前薬学部長の森山芳則教授(62)と前副学部長の榎本秀一教授(52)の2人を解雇したと発表した。2人はこれを不服とし、大学を相手に処分無効や慰謝料2000万円などを求める訴訟を同日、岡山地裁に起こした。

 解雇は昨年12月28日付。大学側の説明では、2人は大学に無断で学内で記者会見を開き、学長や理事が不正行為をしているかのような印象を外部に与えたり、出席を求めた会合を欠席したりするなど職務命令に違反したとしている。

 2人は学内の複数の論文で不正があったとして大学に告発し、学内の調査委員会が昨年3月、「不正なし」の結論を出した。12日に記者会見した森山元教授は告発が解雇の大きな理由だと訴え、「大学側は、解雇することで不正追及を終わらせたいのではないか」と主張した。提訴について大学側は「把握していないのでコメントできない」としている。


2016年01月08日

今、岡山大学で何が起きているのか?

今、岡山大学で何が起きているのか?
 ∟●いま薬学部では(2016年01月08日)

緊急報告!解雇問題2  過去10年間 懲戒処分10数件 減給半日の軽処分まで全て記者発表してきた岡山大。今回前代未聞、全国注目の解雇処分につき会見もなくコメントも拒否!逃げ回る学長。学生には、偽メール。薬学部教員には桧垣暫定学部長が解雇について意味不明の説明会。原告弁護団、来週早々の大型提訴をマスコミに通知!

昨日、本サイトで報告したとおり森田学長は、年末の仕事納めのどさくさに紛れ12月28日付けで、森山榎本両教授に対し解雇通知をした。世間の注目を避け、記者クラブの休みを狙っての抜き打ち解雇を強行した。また正月早々薬学部学生達には、谷本研究科長、桧垣暫定部長の連名で「森山教授、榎本教授は、ご退職されました、・・」云々と、まるで両教授が自主的に退職したかのように装ったメールを送り付けた。

この間の解雇問題の真実を知る学生たちからは、疑問と怒りが噴出した。また当方への通報によると、同日1月4日薬学部教員達には、桧垣暫定部長から経過報告と称して解雇問題について説明会を開いたという。詳細は不明だが意味不明の言い訳に終始したとの事である。この数日本部学部を問わず数多くの内部情報が匿名で通報されてきている。これは、学長の暴走に疑問を抱く数多くの教職員が存在していることを示している。

タイトルにも書いたが、これほど全国注目の解雇問題について大学責任者や広報からは一言のコメントもなく、年末よりNHKが報道した科研費不祥事や姫那ちゃん基金の寄付金問題と重大問題が起き、また正月には「データ確認もなく」、シロ判定と論文不正問題の全国ニュースに対しても、大学としての正式コメントを避けている。何も語らず一切の社会的な責任も果たさずこのまま嵐が過ぎるのを待っているようなら、大学の社会的責任は果たせない。堂々と人様の前で語る勇気も喪失してしまったのか?コンプライアンス(法令遵守)の重大危機である。

さて、昨日弁護団から各マスコミに通知された。1月12日に解雇問題について複数の大型訴訟が予定されているという。今後の展開を皆さん方と注目していきたい。


2016年01月05日

追手門学院大学不当解雇事件、原告側が大阪地裁に訴状を提出

追手門学院大学不当解雇事件、原告側が大阪地裁に訴状を以下のPDFファイルにて公開する。

追手門学院大学不当解雇事件訴状(平成27 年12 月28 日)

2016年01月03日

論文不正、告発に生データ見ず「適正」 岡山大調査委

毎日新聞(2016年1月3日)

 岡山大(森田潔学長)の大学病院幹部が著者に含まれる医学論文について、研究不正の告発を受けて調査した学内の調査委員会が、実験画像の切り張りを確認したものの、本来必要な生データとの照合をしないまま「不正なし」と結論づけていたことが分かった。調査報告書は文部科学省や告発者に提出されたが、切り張りや生データについての記載はなく、別の論文でも実験条件を示した画像説明に食い違いがあったのに問題視しなかった。

 同大医歯薬学総合研究科の教授2人が複数の論文について告発し、調査委が昨年3月に結論を出した。研究不正についての国のガイドラインは、不正なしと判断された場合は調査結果を公表しないと定め、大学も公表しなかった。

 切り張りがあったのは、2006年に米国の内分泌学専門誌に掲載されたステロイドホルモンに関する論文。濃さが異なる横長の棒(バンド)が横に12個並び、実験条件を変えると特定のたんぱく質の量が変化することを示した。バンドの濃さを読み取ったグラフが下にあり、濃さを比較して結論を導くデータの一つとしている。告発は「同一条件で比較すべきデータが合成されている」と指摘した。

 大学によると、病院幹部から「1枚の連続的な写真ではない。代表的なバンドの写真を参考として添付した」と説明があったが、切り張り前の生データは「8年以上経過し、残っていない」として提出されなかった。

 切り張りは、別の画像の使用や画像処理が判明した場合、捏造(ねつぞう)や改ざんに当たる。元は連続した写真であると生データで確認できれば、不正とはならない。

 大学は「学外の委員も加え、きちんと検証した」と説明し、切り張りの事実や生データなどについて報告書で触れていないことに対しては「早く報告する必要があり、報告書を簡潔にしようともしたため、言葉足らずな点があったかもしれない」としている。

 一方、画像説明の食い違いは、08年に循環器関連の米医学誌で発表した論文と、10年に岡山医学会雑誌で発表した日本語の論文との間で生じている。高血圧に関係するたんぱく質の研究で、それぞれ複数の細胞の画像が示され、同一の画像の実験条件の説明が両論文で「Na+/K+ATPase」と「H+?ATPase」となり食い違う。

 調査委員長を務めた同大学の山本進一理事は「国のガイドラインや大学の規定で定める研究不正(捏造、改ざん、盗用)には当たらない。だから本調査はしなかった」と説明している。

 病院幹部は取材に「日本語の論文は岡山医学会賞の受賞紹介記事。掲載にあたり、一部のパネル(画像)を削除し、説明文を修正する際に誤りが生じた」と回答した。