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 カテゴリー 2014年04月

2014年04月30日

大学改革法案、道新,読売新聞社説

大学改革 学長だけでは担えない(4月29日)

北海道新聞(2104年4月29日社説)

 学校教育法は大学の目的について、広く知識を授け、専門的な研究を深める場と定めている。その理念が損なわれかねない。

 大学改革に主眼を置いた学校教育法改正案などが近く、国会で審議入りする。

 政府案は国公私立大学の運営権限を学長に集中し、これまで重要事項の審議機関として大きな権限を持っていた学部の教授会を学長の助言役にするのが柱だ。

 個々の大学の経営や競争力を強化し、改革の迅速化を図るのが狙いだとするが、学内が上意下達の組織に変質することは否めない。

 大学の根幹である自治・自発性や研究の自由を揺るがし、活力を奪うことにつながらないか、強い危惧を覚える。

 とりわけ経済人などで構成する選考会議が学長選考の決定権を持つことになる国立大学の法改正には、懸念を抱かざるを得ない。

 教育や研究のあり方についての深い洞察よりも、目先のことを追求する能力が学長の資質として優先されかねないからだ。

 企業経営を意識した組織の改編は大学にはなじまない。

 学長権限強化の契機となったのは2012年、東大での秋入学をめぐる学内論議だった。

 秋入学は浜田純一学長が国際化を狙いに発案したが、一部の教授会の抵抗もあって頓挫した。

 権限の集中を掲げる背景には、世界ランキング100位以内に日本から10大学を入れたいとする安倍晋三政権の国際競争力強化戦略があることは明らかだ。

 これまでにない高い目標を達成するには、大学組織を根底からつくり変える必要があると考えているのだろう。

 だが、大学の評価は地道な研究の積み重ねの結果として得られるものだ。ランクづけを前提に大学同士、研究者同士を競わせるのは本末転倒ではないか。

 さらに懸念されるのは、先端技術や実利分野に研究資金が集中投下され、基礎科学や社会・人文科学の研究が軽視される風潮だ。

 土台なしに上屋は築けないことを忘れてはならない。

 もちろん現行制度に問題がないわけではない。古い価値観や旧態依然の慣習を変えていくのは当然だ。現行の教授会が思い切った改革に踏み出せないでいる現状はもはや放置できない。

 教職員一人一人が大学の存在意義を見失わず、柔軟な発想で対応策を発議する。これを改革の出発点とすべきだ。

大学改革法案 迅速な意思決定が求められる

読売新聞(2014年04月29日社説)

 大学改革を迅速に進めるため、政府が、学長のリーダーシップの強化を柱とする学校教育法と国立大学法人法の改正案を国会に提出した。今国会での成立を目指している。

 日本の大学は、国公私立にかかわらず、意思決定に時間がかかり、柔軟で機動的な運営ができていないとの批判が多い。

 時代の変化に対応するため、大学はガバナンス(組織統治)の在り方を改善し、人材育成や研究活動の充実を図ることが重要だ。

 改正案のポイントは、教授会の権限の見直しだ。

 現行の学校教育法は、教授会について「重要な事項を審議する」と定めている。教授会の権限が大学運営全般に及ぶと解釈され、教授会が事実上の意思決定機関となっている大学も少なくない。

 学長が思い切った改革を進めようとしても、教授会の反対で実現できない弊害が出ている。

 改正案は、教授会の役割を、学長が決定を行う際に意見を述べることに限定した。大学運営の決定権が学長にあると、法律上、明確にし、トップ主導の改革を促しているのは妥当と言える。

 学長が人事や予算の権限を適切に行使し、優秀な研究者を積極的に採用すれば、大学の国際競争力を高めることにもつながろう。

 私立大では、経営母体である学校法人の理事長と、大学の学長が別々のケースもある。そうした大学では、円滑な意思決定を可能にしていくことが大切だ。

 国立大学法人法改正案で注目されるのは、学長の選考過程を透明化する規定を加えた点だ。

 現行法は、学内外の委員で構成する学長選考会議を設け、学長を選ぶと定めている。ところが、実際には、学内の教職員で事前に意向投票を行い、その結果を選考に反映させている大学が多い。

 学内の多数派工作がトップ人事を左右するようでは、能力を備えた人物が選出されるか疑問だ。

 2004年に法人化された国立大の学長には、経営手腕も求められる。こうした能力も評価できる選考法にしなければならない。

 改正案が、学長選考の基準を策定し、選考結果とともに公表するよう求めたのは理解できる。

 ただ、一連の法改正が実現すれば、学長に権限が集中する。学長が適正さを欠く大学運営を行った場合、任期途中で交代させるのは容易ではなかろう。

 学長の暴走を防ぐ仕組みを、どのように整えるのか。国会で議論を深めてもらいたい。


2014年04月29日

京都大次期総長、7月3日に投票 海外からの推薦も受け付け

産経(2014.4.28)

 京都大の松本紘総長の任期が今年9月で終了することに伴う次期総長の選考で、同大は28日、教員による投票を7月3日に実施すると発表した。投票後、選考会議が面接を行い、次期総長を決定。教職員による投票は廃止も検討されていたが従来通り行い、7月中にも決める見通し。海外を含めた他大学の学長らからの推薦を受け付けることも正式に表明した。

大江健三郎氏、護憲訴える 東京で沖縄問題シンポ

琉球新報(2014年4月27日)

 【東京】「沖縄の問いにどう応えるか―北東アジアの平和と普天間・辺野古問題」と題したシンポジウム(普天間・辺野古問題を考える会主催、法政大沖縄文化研究所共催)が26日、東京都内の法政大で開かれた。作家の大江健三郎氏やオーストラリア国立大学名誉教授のガバン・マコーマック氏、我部政明琉球大教授が基調講演し、米軍普天間飛行場の移設問題などをめぐって討議した。
 仲井真弘多知事による辺野古埋め立て承認などの現状を踏まえ、沖縄の米軍基地の在り方などを話し合ったほか、尖閣問題、集団的自衛権の行使容認に進む安倍政権の問題点などについて議論が展開された。
 大江氏は「沖縄ノート」執筆時に何度も沖縄に通い、沖縄戦当時の「集団自決」(強制集団死)について聞き取りをした経験などに触れ「集団的自衛権の行使容認など、民主主義を壊すことを許してはいけない。沖縄の人たちが大きな被害を被ると懸念している」と述べた。さらに「憲法を守り続けよう。それを言うことが本土の人間がなし得る唯一の行動、闘いであると考えている」と呼び掛けた。
 マコーマック氏は海外有識者による辺野古新基地建設への抗議声明について紹介。「沖縄に重荷を追わせ続けて、その上に新基地を押し付けることに県民が反対するのは当たり前だ」と話し、声を上げ続けていくことの重要性を指摘した。

2014年04月28日

学校教育法、国立大学法人法改正案 廃案に向けた早急なる運動を!

[学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案]
学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案(概要)
学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案(要綱)
学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案(案文・理由)
学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案(新旧対照表)
学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案(参照条文)

以下,「どうなっている!? 道内大学 大学シンポジウム実行委員会」のメールニュースより転載。

○改正のポイント

①学長→副学長の指揮命令系統の確立
・副学長の役割に、学長の「命を受け、校務をつかさどる」を追加(学教法92条4項)
・学教法92条4項の副学長を国立大学法人教育研究評議会の評議員とすることを法定(法人法21条3項)

②教授会権限の剥奪・縮小
・教授会を「必置」から単に「置く」にとどめる(学教法93条1項)
・教授会の役割を、「重要な事項を審議する」から「学長が」「決定を行うに当たり意見を述べる」に変更(同2項)

【参考】
審議:物事を検討してその可否を論議すること(有斐閣法律用語辞典第4版)
意見:ある問題についての考え、思うところ。行政機関の行為が独善的にならないようにするため、法令によって行政機関が一定の行為をする場合には必ず他の者の意見を聴くべきことを定めている場合が少なくない
(有斐閣法律用語辞典第4版)

・「重要な事項」ではなく「事項」と表現(同2項)
・「決定を意見を述べるものとする」「事項」を以下の三項目に限定(同2項)
一 学生の入学、卒業及び課程の修了
二 学位の授与
三 教育研究に関する重要な事項で、学長が教授会の意見を聴くことが必要であると認めるもの

【参考】
国立学校設置法(廃止)
第7条の4
4 第1項及び第2項の教授会は、次の各号(第1項第4号及び第5号並びに第2項第2号に掲げる組織に置かれる教授会にあつては、第3号)に掲げる事項について審議し、及び教育公務員特例法の規定によりその権限に属させられた事項を行う。
一 学部又は研究科の教育課程の編成に関する事項
二 学生の入学、卒業又は課程の修了その他その在籍に関する事項及び学位の授与に関する事項
三 その他当該教授会を置く組織(前項の規定により第2項各号に掲げる組織の教授が所属することとされた教授会を置く組織にあつては、当該各号に掲げる組織を含む。)の教育又は研究に関する重要事項

→ 改正法案93条2項一号・二号は、旧設置法の7条の4、4項一号に対応。改正法案93条2項三号は、「教育研究に関する重要な事項」とされており、旧設置法7条の4、4項三号に類似しているものの、審議事項を「当該教授会を置く組織」のものに限定をかけていない。一方、「学長が教授会の意見を聴くことが必要であると認めるもの」という限定をかけている

→ 旧設置法にあった「教育課程の編成に関する事項」は明示されていない。教授会が教育課程編成に関する審議を行うことは、2項三号や3項により可能だが、いずれの場合も、その権限は「学長等」に由来するものであることになる
・2項に規定するもの以外にも、教授会が審議権を確保することができる(同3項)
・教授会組織に関する規定は現行法2項と同じ(同4項)

③学長選考会議による学長選考基準設定・公表の義務づけ
・これまでの学長の資格要件に加えて、学長選考会議が選考基準を定めること(法人法12条7項)、および基準の公表義務を規定(同8項)
→ 国立大学法人評価委員会等の圧力により、選考基準を策定・明示する過程において、教職員の投票による意向聴取は削除されていく可能性が高い

④経営協議会における学外者の影響力の拡大
・経営協議会の学外者(法人法19条三号委員)の人数を「1/2以上」から「過半数」に拡大(法人法20条)
→ 現行法でも経営協議会の学外者を過半数とすることはできるが、それを確実にすることがねらい。国立大学法人評価委員会等により、経営協議会に関する規則改正とあわせて、審議事項や開催頻度などの規則・運営の方式も変更を求める圧力を加えることが予想される

○教員の任用・昇任に関する選考、部局長の選考については、学教法が定めるものではないことから、今回の改正法案によって何ら変更はない。国立大学法人評価委員会等が、「国立大学法人は教育公務員特例法の適用除外になったのに、適用されていたときと同じ人事慣行が継続している」という言いがかりをつけることにより、各大学の人事規定を改正するよう追い込んでいくものと思われる

○以上を通じて、
・学長→副学長の指揮命令系統の確立
・教授会の権限の縮小
・学長選考過程における教職員の意思の遮断
・経営協議会における学外者の影響力拡大が達成されていく

○これらにより、
・大学の教育研究組織を、政府および経営協議会を通じた社会勢力の圧力により容易に改廃できるようにすること
・成果目標の明示と評価を通じた大学教育課程の標準化、改革を容易にすることが法改正のねらいであると考えられる

○改正法案の解釈、運動上の留意点
・言うまでもなく、当然、廃案をめざすべき
・学教法改正法案は、教授会の「諮問機関化」と報じられているが、教授会の権限を「諮問」に対する応答のみに限定することはできなかったことの意味が重要。教授会権限を一律に制約することや、教員人事権、教育課程編成権を教授会権限に含めることができることを国会審議を通じて明らかにする必要がある
・中期目標の制定や評価において、「教育研究の特性」への配慮義務(法人法3条)があることを示し、その内容について、法人法制定時の国会附帯決議を引きながら詰めていくことも必要

○改正のスケジュール
・4/25(金)、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律」案を閣議決定
・4/28(月)衆議院提出。文部科学委員会に審議付託
・5/14(水)早ければ、地教行法改正法案、衆議院文部科学委員会において採決見込み
※地方教育行政法改正案は、総合教育会議設置、教育委員会による教育長に対する指揮監督権の剥奪、教育長の資格要件の変更(非教育公務員化)により、首長権限の強化と教育委員会の形骸化をはかるもの
・5/16(金)早ければ、学教法改正法案、衆議院文部科学委員会において審議入り見込み


教授会の審議権奪う 学校教育法改悪案を閣議決定

しんぶん赤旗(2014年4月26日)

教授会の審議権奪う
学校教育法改悪案を閣議決定


 安倍内閣は25日、憲法が保障する「大学自治」を破壊する学校教育法・国立大学法人法改定案を閣議決定し、国会に提出しました。

 改定案では、教育研究や大学運営に関する審議権を持つ教授会を、教育研究に関する重要事項に限って「学長が必要だと認めた場合、意見をのべる」として諮問機関とすることを規定。教授会の審議権を奪い、学長による上意下達の運営を強める内容となっています。

 副学長について「学長を助け、命を受けて公務をつかさどる」と定め、学長権限を委任されたものとして副学長の役割を強化する規定を盛り込みました。

 国立大学の学長選考に関しては、学長選考会議が学長選考の基準を定め、公表するとしました。一方で、学長選考会議の構成については付則で検討事項としています。

 国立大学の経営協議会についても「過半数」を学外者とすることを新たに規定。学内の意見を反映しにくくする内容となっています。

「学問の自由」脅かす重大改悪

 大学は、憲法第23条「学問の自由」にもとづき「大学の自治」が保障されています。政府の干渉をうけずに国民に対して教育研究の責任を負うためです。それを具体化した法制が学校教育法であり、第93条の定める教授会の審議権です。

 安倍内閣が提出した学校教育法等改定案は、教授会を「学長が必要と認める場合に意見をのべる」だけの機関に矮小(わいしょう)化し、それも教育研究に関する事項に限定し、大学経営(予算・人事・組織)には意見も言わせないとしています。教授会の審議権をなくし、「大学の自治」を骨抜きにするもので、「学問の自由」を脅かす重大な改悪です。

 学長権限の委任をうけた副学長をつくり権限の執行力を広げるとか、国立大学法人の経営協議会の過半数を学外者とし学内の意見を反映しにくくするなどの改悪もあります。

 政府は、学長のリーダーシップを確立すると言いますが、大学は「学問の府」であり教授会にも多様な意見が存在します。そうした教授会の審議にもとづいて、多様な議論をまとめる能力・資質こそが学長に求められるリーダーシップです。

 教授会の審議権をなくせば、学長独裁による上意下達の運営が強まり、教育研究や大学改革への教職員の主体性や活力が失われる寒々とした大学になるだけです。

 政府は、国や財界の言いなりになる大学への変質をねらい、国立大学の法人化(2004年)で学長に権限を集中させました。そのもとで、山形大学では元文部科学事務次官の学長が、情報漏えいで原子力規制庁審議官を更迭された人物などを独断で採用しました。

 今回の改悪は、こうした学長独断をすべての大学で可能にし、安倍内閣や財界のねらう大学「改革」、産業競争力強化に必要な人材の育成、大学教員の年俸制導入、国立大学の統廃合や学費値上げ自由化などを推進するために、その障害となる「大学の自治」を壊そうとするものです。

 (改正充・党学術・文化委員会事務局長)

学校教育法改悪反対、学者ら2200人署名賛同 すすめる会会見

しんぶん赤旗(2014年4月25日)

学問の自由・大学の自治が危ない
学校教育法改悪反対 学者ら2200人署名賛同
すすめる会会見

 尾池和夫・京都造形芸術大学学長、今野順夫・福島大学元学長、池内了・名古屋大学名誉教授、内田樹・神戸女学院大学名誉教授など11人の学者が呼びかけ人をつとめる「学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会」は24日、東京・文部科学省内で記者会見し、署名を呼びかけて15日間で2200人の賛同が集まっていることを報告しました。

 丸谷肇・日本私立大学教職員組合連合委員長が取り組みの経過を報告し、「政府の学校教育法『改正』は学長の権限を強め、教授会の権限を弱めるもので、学問の自由、大学の自治を侵害する。大学人の危機感から取り組みが始まった」と述べました。

 呼びかけ人の一人、大橋英五・立教大学元総長は「大学を改革するには現場の声を反映することこそ大事だ。学長のリーダーシップだけでは大学は良くならない」と指摘。広渡清吾日本学術会議前会長・専修大学教授は「学問の府、討論の場である大学が、学長の独裁で運営される危険がある」と述べました。

 呼びかけ人の松田正久・愛知教育大学前学長も参加しました。


2014年04月26日

緊急声明「大学自治を破壊する学校教育法と国立大学法人法の「改正」法案に反対する」

全大教
 ∟●全国大学高専教職員組合中央執行委員会【緊急声明】

全国大学高専教職員組合中央執行委員会【緊急声明】

 政府が4月25日、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律」案を閣議決定しました。
 全大教中央執行委員会はこれに反対し、運動を通じて廃案を目指すことを表明するために 緊急声明を決定・発表しました。
 各単組におかれましても、この問題に関する議論を深め、反対の世論を喚起する取り組みを続けてくださるようお願いします。その一環として、引き続き「学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会」の緊急アピールへの賛同署名の取り組みも強化していただくよう、お願いします。
ネット署名はこちらから→<https://business.form-mailer.jp/fms/dc0ab1ea31301

【緊急声明】 大学自治を破壊する学校教育法と国立大学法人法の「改正」法案に反対する

2014年4月25日
全国大学高専教職員組合中央執行委員会

 政府は本日、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律」案を閣議決定した。これは、中央教育審議会大学分科会の「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」(以下、「審議まとめ」という。)を受けたものである。
 このうち、学校教育法「改正」法案は、教授会の審議事項を制限し、諮問機関化することで、学長の権限を強化するものだ。国立大学法人「改正」法案は、現状でも大学構成員の意向を反映させにくい学長選考会議に学長選考基準策定権を与え、学長選考過程から大学構成員の意向をさらに排除しようとするものだ。さらに、現行「二分の一以上」とされている経営協議会の学外委員を「過半数」とすることで、学内構成員の意向を軽視した大学運営を行いやすくするものだ。
 全大教中央執行委員会は3月9日付けの声明「中央教育審議会大学分科会『大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)』の撤回を求め、学校教育法の『改正』に反対する」の中で、日本国憲法第23条で保障する学問の自由のためには大学自治が不可欠との立場から、審議まとめの「大学改革」構想を批判し、大学自治の根幹である教授会の位置づけ変更に反対することを表明した。また、大学人11名を呼びかけ人とする「学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会」は緊急アピールを発表し、賛同署名を呼びかけている。全大教もこの呼びかけに賛同するとともに、事務局団体として署名活動を支えている。2,313人(4月25日現在)の署名が寄せられており、日々その数は増え続けている。
 政府・文部科学省は、こうした批判があることを承知の上で、大学自治を破壊し、政府の意向をくむ学長の専権体制の確立を目指して、この「改正」法案を決めた。国民の権利を後退させ、これまで築いてきた民主主義の土壌を堀崩す暴挙である。
 全大教は、この学校教育法・国立大学法人法の「改正」に断固反対し、法案がもつ問題点、危険性を広く国民と共有し、国会審議を通じてこの法案を廃案にさせるために運動する。また、その過程で、学問の自由が国民にとってかけがえのない権利であること、それを守るためには大学自治を根幹とする大学制度が必要であることについて、あらためて大学内外で議論を深めるとともに、大学が国民の共有の財産であることを自覚し、大学が自主的に改革を進めていくために力を尽くすことをあわせて宣言する。

大学改革 学長の権限強化、改正法案を閣議決定

毎日新聞(2014年04月25日)

 政府は25日、大学学長の権限強化を柱とした学校教育法などの改正法案を閣議決定し、国会に提出した。学長のリーダーシップを強めて大学改革を促すのが狙い。これまで役割があいまいで「改革の阻害要因」とも指摘されていた教授会は、学長の「諮問機関」的位置付けとして役割を明確化。学位授与など一部に制限した。来年4月の施行を目指す。大学教授らからは「学長を『独裁化』させる改正だ」と反発の声も上がっている。

 国公私立のすべての大学が対象になる学校教育法は、これまで教授会の役割を「重要事項を審議する」としか規定しておらず、各大学の裁量で運用されてきた。教育課程や教員人事の「教育研究分野」だけでなく、学部・学科の廃止、キャンパス移転など大学運営や予算に関する事項についても事実上決定権を持つ例も少なくない。そのため「学長が改革しようにもリーダーシップを発揮できない」との指摘があった。

 改正案は、教授会の役割を、学生の入学・卒業、学位授与のほか、学長が必要と判断した事項に「意見を述べる」と制限した。また、学内の「教職員投票」が反映されるなど不透明とされてきた学長選考を見直すため、国立大学法人法も改正案を提出。選考基準を定めて公表を義務付けた。大学内外を問わず、優秀な人材の登用を促す狙いもある。

 これに対し、全国の大学教職員らが改正反対の署名活動を始め、大学教員を中心に2200人を超す署名が集まり反発が広がっている。呼びかけ人の一人、松田正久・愛知教育大前学長は「学長に権限を与えれば改革がうまくいくというのは幻想だ」と批判している。【三木陽介】

学長主導の大学改革促す 関連法改正案を閣議決定

日経(2014/4/25)

 政府は25日、学校教育法と国立大学法人法の改正案を閣議決定した。学長主導による大学改革を促すため、多くの大学で運営に大きな影響力を持つ教授会の権限を限定。国立大学では重要事項を審議する会議の過半数を外部委員とし、チェック機能を強める。今国会に提出し、2015年4月の施行を目指す。

 国公私立の全ての大学が対象となる学校教育法は教授会の役割を「重要な事項を審議する」と規定しているが、表現が曖昧だった。中央教育審議会の部会は昨年12月、「教授会の審議が大学経営に関する事項まで広範に及び、学長のリーダーシップを阻害しているとの指摘がある」と文部科学省に提言していた。

 改正案では、教授会の役割を「審議する」から「学長に意見を述べる」に改め、学長の諮問機関としての位置付けを明確にした。教授会の審議事項も「学生の入学、卒業、修了、学位授与」のほか「学長が必要と認めた場合」に限定した。

 中教審部会は審議事項について、教育課程の編成や教員の教育研究業績の審査を含む4項目とすることを提言したが、学長や学長経験者から「細かく法制化すると、現場の自由度が奪われる」との意見が多かったため、学生に関わること以外は学長の裁量に委ねる。

 現行法で「学長の職務を助ける」と定めている副学長は「(学長の)命を受けて校務をつかさどる」と変更。中教審部会の提言に沿う形で副学長に一定の権限を与え、学長を補佐する機能を充実させる。

 国立大学法人法改正案では、国立大の予算編成などを審議する「経営協議会」の外部委員数を現行の「2分の1以上」から「過半数」に改める。外部委員と内部委員の数が同じ大学が多い現状を見直し、外部の意見が大学運営に反映されやすいようにする。

 国立大学長が学内投票や多数派工作だけで選ばれないようにするため、学長選考の基準や結果の公表も義務付ける。学長選考を含む国立大の組織運営については改正法施行後も随時、検討するという付則も盛り込んだ。

「教授会」役割限定 改正案決定

NHK(4月25日)

政府は25日の閣議で、学長主導で大学改革を進めるため、多くの大学で事実上の意思決定機関となってきた「教授会」の役割を限定するなどとした学校教育法の改正案などを決定しました。

中教審=中央教育審議会はことし2月、急速なグローバル化が進むなかで、各大学が国際競争力を高めていくには、学長のリーダーシップのもとで戦略的に大学を運営できる体制づくりが不可欠だとする報告をまとめました。
これを受けて政府は25日の閣議で、学校教育法と国立大学法人法の改正案を決定しました。
このうち学校教育法の改正案では、学長主導で大学改革を進めるため、多くの大学で事実上の意思決定機関となってきた「教授会」の役割を見直し、教育研究に関する事項を審議し、学長に「意見を述べる」ことに限定するなどとしています。また、国立大学法人法の改正案では、学長の選考の透明化を図るため、選考の基準や結果を公表することを義務付けるなどとしています。
政府は、これらの改正案を今の国会で成立させたいとしています。


いま、大学の自治を問う、京大での総長選挙廃止の動きと「大学改革」 4・20シンポジウムを開催・報告と議論の要旨

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース2013年度第27号

 4 月 20 日(日)、午後 1 時より、法経第 7 番教室を会場に、総長選挙廃止の策動を討つシンポジウムが開催された ( 京大職組・京滋私大教連共催 )。シンポジウムは、池田豊氏 ( ねっとわーく京都 )の司会により、高山佳奈子副委員長の開会挨拶「京大総長選挙をめぐる局面と私たちのとりくみ」から、石倉康次氏 ( 京滋私大教連 委員長 ) の閉会挨拶まで、2 時間 30 分にわたって行われた。
 前半は、大学の自治を脅かす状況について、次の講演が行われた。西牟田祐二委員長「中教審大学分科会「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)をめぐって」。鈴木眞澄氏(日本私大教連・京滋私大教連副委員長)「経済同友会提言』『私立大学におけるガバナンス改革』をめぐって」。中嶋哲彦氏(全大教委員長)による「国立大学における安倍内閣大学改革の特徴と全大教のとりくみについて」。
 大学自治が、教育公務員特例法の要請ではなく、憲法的要請に基づくものであること、学校教育法の改変が、憲法 23 条の実質改憲という本質をもつことが明らかにされ、安倍政権=財界の動向を批判的に乗り越える運動の必要性が確認された。
 シンポジウムの後半は、これら三人の講演者をパネリストとしたディスカッションが行われ、さらに問題が掘り下げられると共に、会場からの質疑が行われた。
 80名余が出席し、今後の大学を左右する緊急テーマについて、講演者の言葉に真剣に聞き入っていた。内容の充実したシンポジウムであり、最後にシンポジウム・アピールが満場一致で採択された。

4.20 シンポジウム 報告と議論の要旨

報 告 ①
中教審大学分科会「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ) 」をめぐって

西牟田 祐二 氏
京都大学職員組合 委員長
京都大学経済学研究科 教授

 中教審のガバナンス改革が提起するリーダーシップ論は権限を学長に集中させ、それを外部からコントロールするという主張であり、それはまったくの虚構(=大学統制という意図をごまかすトリック)にすぎない。この虚構の一端を担うのがマスコミである。しかし、中教審の審議まとめでは、国立大学法人の教職員を非公務員化する過程で生じた国立大学法人法における教授会規定の欠落(実定法上の空白地帯)を利用し、教授会規定を含む学校教育法を改正することによって教授会を単なる審議機関にすることが目指されている。この学校教育法改正が現実的な危機となりつつある。

報 告 ②
経済同友会提言「私立大学におけるガバナンス改革」をめぐって

鈴木 眞澄 氏
日本私大教連 副委員長
京滋私大教連 副委員長
龍谷大学法学部 教授

 私立学校法の一部改正があっという間に施行されることになり(4 月 2 日)、私立大学は重大な岐路に立たされている。この問題を考える上で決定的な転換(クーデター的)となったのが、2004 年の私立学校法改正であった。こうした動向の背後にあるのは、大学に企業の論理を導入しようという議論であり、経済同友会の提言はそれを露骨に示している。今回の一部改正は、所轄庁が学校法人の業務財務を調査し、一方的に介入することを可能にするものであり、いかようにも拡大解釈できるものとなっている。事態はきわめて深刻である。

報 告 ③
国立大学における安倍内閣大学改革の特徴と全大教のとりくみについて

中嶋 哲彦 氏
全国大学高専教職員組合 委員長
名古屋大学教育発達科学研究科 教授

 安倍政権の高等教育政策は大学自体を技術開発(イノベーション)の中心にするものであり、教育や福祉などの日常生活圏にかかわる政策が極めて弱い、いびつなものとなっている。法人化以降、国策大学化や大学の官僚化が目指されてきたが、法人化には限界があった。この限界を乗り越えるものとして提唱されているのが、ガバナンス改革であり学長のリーダーシップ論である。しかし、ここで確認すべきは、大学の自治の基盤は、教育公務員特例法にあったのではなく、憲法 23 条にあるのである。学校教育法改正による大学自治破壊は何の正当性も持ち得ない。中教審が言っていることはデマである。

パネルディスカッション

 鈴木、中嶋両氏からは、それぞれの報告の最後に、「大学の自治を否定する学校教育法改正に反対する緊急アピール」への協力要請がなされ、また西牟田委員長からは、パネルディスカッションの中で、現場である個々の教授会から学校教育法改正反対の決議をあげる取り組みを進めたいとの応答がなされた。 後半のパネルディスカッションを含めて、京都大学総長選挙廃止の動きが大学の自治の破壊という政財界の意図に基づいた大きな策動の一環であること、そして大学の自治とは大学だけの問題ではなく民主主義と人権の根幹に関わるものであることが明らかになった。民主主義へ向けられた攻撃を視野に入れるところから、大学の自治を守る動きを、大学を超えて広げてゆくことが求められている。


大学統合、大阪府立と市立 16年4月の新大学移行断念

毎日新聞(2014年04月25日)

 大阪府立大(堺市中区)と大阪市立大(住吉区)の統合を巡り、府と市は、計画していた2016年4月の新大学移行を断念する方針を固めた。25日の府幹部会議で正式決定する。関連議案が市議会で否決されるなど実現のめどが立たず、受験生への影響を考慮した。統合計画自体の撤回ではないが、新たな統合スケジュールは白紙とする方針だ。

 大学統合は、府市の二重行政を解消する「大阪都構想」の一環。今年度にまず両大学の理事長を一本化する方針だったが、昨年11月の市議会で、前提となる市立大の定款変更議案が否決された。さらに橋下徹市長の出直し選(3月)の影響で、府市の新年度予算で、カリキュラムを検討する有識者会議の開催経費計上が見送られていた。【林由紀子、熊谷豪】

大阪府立大・市立大の統合延期正式決定 平成28年に間に合わず 

産経新聞(2014.4.25)

 平成28年度の統合を目指していた大阪府立大と大阪市立大について、府は25日、昨年11月に市議会で関連議案が否決されたことを踏まえ、統合延期を正式に決定した。新たな統合スケジュールは今後協議する。松井一郎知事は「われわれ府だけではどうにもならず、残念だ」と述べた。

 府によると、28年4月に新大学を開学するには、今年10月までに文部科学省に申請が必要。ただ、昨年11月に市議会で関連議案が否決されたため、府は府議会への議案提出を見送っており、今後改めて府市両議会で審議すれば、目標期限に間に合わないと判断した。

大阪の府市大学16年度統合断念 橋下市長の公約

共同通信(2014/04/25)

 大阪府は25日、松井一郎府知事らが出席した戦略本部会議で、橋下徹市長が公約に掲げる府立大と大阪市立大の統合問題に関し、これまで目標としていた2016年4月の新大学スタートを断念することを確認した。関連議案の成立が見通せず、文部科学省への正式な認可申請が間に合わないと判断した。

 橋下氏は二重行政解消の一環として、初当選した11年11月や今年3月の出直し選公約で両大学の統合を主張。府市でまとめた計画案に16年4月スタートの目標を盛り込んでいたが、13年11月の市議会で、橋下氏が率いる大阪維新の会以外の全会派が反対し関連議案が否決された。


パワハラで岡山大薬学部長が提訴 理事に1千万円請求

共同通信(2014年4月25日)

 岡山大の森山芳則薬学部長が25日、強い叱責や懲戒処分をするとの脅しなどのパワハラで精神的苦痛を受けたとして、大学の許南浩理事に慰謝料1千万円の支払いを求め岡山地裁に提訴した。

 森山氏は提訴後、記者会見し「学内の論文不正を告発しようとしたことがパワハラのきっかけだ」と説明した。

 訴状によると、2012年1月、森山部長らは不正の疑いがある論文を発見。同月、別の男性教授=今年1月に岡山大を提訴=が大学の監査室に告発した。

 これに対し、許理事は2人を叱責したり、「大学教員に対し嫌がらせをした」との身に覚えのない理由で懲戒処分にすると脅したりしたとしている。(共同通信)


佐賀大に賠償命令、准教授の統一教会批判で 佐賀地裁

時事通信(2014/04/25)

 佐賀大学の男性准教授が世界基督教統一神霊協会(統一教会)を侮蔑する発言をし、信仰の自由を侵害されたなどとして、信徒の元女子学生(24)と両親が佐賀大と准教授を相手取り、440万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、佐賀地裁(波多江真史裁判長)は25日、大学に計8万8000円の支払いを命じた。
 波多江裁判長は「配慮を欠いた発言で、信仰の自由を侵害した」と指摘。国立大学の職員としての発言であり、大学が賠償責任を負うと述べた。
 一方で、女性が大学側とのやりとりを録音していたことなどを挙げ、「攻撃材料にする目的があったと推認できる。精神的苦痛はさほど大きいとは言えない」と判断した。
 判決によると、准教授は2011年12月から12年2月の間、研究室内で統一教会について「犬猫の教え」などと言い、脱退を勧めた。

若者キャリアアップを 給付金引き上げ

NHK(2014年4月25日)

非正規雇用で働く若者のキャリアアップを支援するため、看護師や保育士などの国家資格を取得できる教育訓練やMBAを取得する講座には国から最大で年間48万円が支給されることになりました。

教育訓練の受講料や学費の一部を国が負担する給付金は現在、年間で最大10万円が支給されていますが、先月、雇用保険法が改正され、ことし10月以降は最大で48万円に引き上げられます。
25日に開かれた審議会で、給付金の対象となる教育訓練の例が示され、看護師や保育士、建築士など国家資格を取得することができる訓練や、経営学修士=MBAなど専門性の高い学位が取得できる大学院の講座などで、いずれも受講した人の就職率が一定の水準以上であるものとされました。
厚生労働省は非正規雇用で働く若者など年間20万人がこの給付金で高度な教育訓練を受け、安定した職に就くことを目指したいとしています。

学生留学増へ53企業・団体が66億円寄付 文科省の奨学金制度

日経(2014/4/25)

 海外留学する日本人学生を増やすため文部科学省が創設した奨学金制度に、トヨタ自動車や東レなど53企業・団体が寄付し、総額66億円が集まったことが25日、わかった。2014年度の募集枠には1700人の学生が応募。審査を通過した300人が今夏から世界各国に飛び立つ。

 学生が利用できる民間主体の奨学金は国内に約60種あるが、募集人数が100人を超えるものは珍しい。下村博文文科相は25日の閣議後の記者会見で「制度をきっかけに、世界を目指す学生が増えていくような大きなうねりをつくり出したい」と述べた。

 世界トップレベルの大学で研究したり、新興国でインターンシップなどに参加したりする学生が対象で、月額12万~20万円を支給する。学ぶ内容が企業のニーズと合ったものにするため、学生には留学前後に、寄付した企業による研修を受けることを義務付ける。

 官民が協力し新たな奨学金をつくる構想は昨年6月に閣議決定された第2期教育振興基本計画に盛り込まれた。文科省は7年間で総額200億円の寄付を集め、1万人の留学を支援する考えだ。

 日本人留学生は04年の約8万3千人をピークに減少傾向が続き、11年は約5万8千人だった。政府は留学生数を20年までに12万人に倍増させる目標を設定している。

■企業・団体一覧 (五十音順)IHI、旭化成、アシックス、伊藤忠商事、ANAホールディングス、SBIホールディングス、NTTグループ、大阪シーリング印刷、キヤノン、京セラ、KDDI、コマツ、サッポロホールディングス、島津製作所、JFEホールディングス、城北信用金庫、住友化学、住友商事、双日、ソフトバンク、武田薬品工業、ダイキン工業、テルモ、東芝、東レ、トヨタ自動車、豊田通商、TOTO、ナガセ、日本航空、日本証券業協会、日本ユニシス、パナソニック、東日本旅客鉄道、日立製作所、日立造船、富士ゼロックス、富士フイルム、ベネッセホールディングス、堀場製作所、丸紅、みずほ銀行、三井住友銀行、三井不動産、三井物産、三菱商事、三菱地所、三菱重工業、三菱電機、三菱東京UFJ銀行、LIXILグループ、リクルートホールディングス、ローソン


2014年04月25日

京大総長、従来通り教職員投票に

京都新聞(2014年04月24日)

 京都大の次期総長の選考で教職員による投票の廃止が検討されていた問題で、学内外の委員でつくる「総長選考会議」は23日、従来通り教職員投票を実施することを決めた。強いリーダーシップを発揮できる人材を幅広く求めるべきだとの学外委員の意見を受け、海外を含めた学外候補枠を現在の最大2人から3人に増やす。

 大学関係者によると、今回決まった次期総長の選考法は、従来通り、学内で選んだ10人の候補者と選考会議が学外から選んだ最大3人の候補者の中から、選考会議が6人に絞る。さらにこれまでと同様に教職員の投票で総長候補1人を決め、文部科学相が任命する。

 昨年11月の選考会議で、学内のしがらみを排するなどの観点から投票の廃止が提案され、学外委員の賛同を集めていた。しかし、学内の反発は強く、議論が続いていた。

 国立大は2004年の法人化以降、学内の教員と学外の有識者で構成する選考会議が学長(総長)を選んでいる。ほとんどの大学は法人化前の方法を踏襲し、教職員の投票結果を選考の最も重要な判断材料としている。

 京大の松本紘総長の任期は9月末まで。それまでに次期総長が決められる。

■「自由の学風」守る道選択

 大学改革が叫ばれる中、約100年前に日本の大学で初めて総長選を実施した京都大は、「自由の学風」の源流とも言える伝統を守る道を選んだ。教授会の権限縮小など大学自治の在り方をめぐり、国などで行われている議論にも一石を投じることになる。

 京大の総長選考会議で、教職員の投票の廃止の議論は当初、「賛成」の学外委員と「反対」の学内委員で意見が真っ二つに分かれた。その影響で、次期総長の選考法の決定は大幅に遅れ、手続き上の期限が迫り、時間切れの決着となった一面もある。

 学内の投票は事実上、規模の大きな学部・研究科の「数の論理」で決まるという批判は強い。教職員が人物本位で投票することができなければ、また同様の議論が起きるだろう。

京大総長選は教職員投票継続 「時間切れ決着」…外部候補枠は増員

産経(2014.4.24)

 京都大総長の選考をめぐって教職員投票の廃止が検討されていた問題で、学内外の委員による「総長選考会議」が、ほぼ従来通り投票を行うと決めたことが24日、関係者への取材でわかった。選考会議が推薦できる海外を含めた外部候補枠は、現行の2人から3人に増やすという。

 総長選考をめぐっては、「学内のしがらみに縛られず経営能力のある人物を選ぶべきだ」との観点から、昨年11月の選考会議で投票の廃止が議題に挙がった。一方で「学問の自由や大学の自治のためには投票が必要だ」との声も根強く、議論が続いていた。

 大学関係者によると、23日の選考会議で、ほぼ従来通りの制度で5月中旬にも選考作業を始め、7月初旬ごろまでに次期総長を決めることで合意したという。現在の松本紘(ひろし)総長は、9月末に任期を終える。

 現行制度では、まず教職員約5千人による「予備投票」で学内から10人程度の候補を選出。選考会議が推薦する学外者を含めて6人に絞り、講師以上の教員らによる「意向投票」の結果をふまえ、最終的に選考会議が決める。

 関係者は「総長の任期切れが迫り、今回は時間切れの決着となった面が強いのでは」と話した。京都大は約100年前に日本の大学で初めて教員による総長選挙を実施した。


2014年04月23日

福岡教育大学教授の監事宛「公開質問状」

福岡教育大学の学長選を考える会
 ∟●公開質問状 

【福岡教育大学教授・西崎緑氏からの投稿を再掲します。シェアは、大歓迎です。よろしくお願いいたします。】

福岡教育大学の西崎です。本日、監事に対して公開質問状を提出しましたので、この場を借りてアップさせてください。

昨年度、私は、原発事故からの自主避難者の会、ふわりネットワーク福岡との協働事業として、福岡・佐賀に在住する自主避難者のへのアンケート及び聞き取り調査を行いました。

このうち、聞き取り調査については、当事者から「聴く力」をつけること、また生活困難と社会状況との関わりを見通す力を身につけ、さらに当事者の生活環境改善を図る力をつけること、という教育目標を設定して学生に関わらせました。(言うまでもないことですが、これは、当該授業の目標と一致しています。)

学生達は、それぞれの取組の中で、みごとにその目標を達成し、環境改善については、地域社会の中で支援する方法を実現可能なレベルまで煮詰めて提案してきました。私は、この授業に参加した学生全員の努力を高く評価し、彼らを誇りに思っています。

こうした取組については、自主避難者の当事者から、「自分たちが本当に必要だと思っていることをよく理解し、本当に役立つ支援策を考えてくれて嬉しい」と高く評価されました。また、それをまとめたブックレットを読んだ教育、福祉、歴史の研究を専門とする他大学の教授から非常に高く評価されています。今年5月にハワイで開催されるアメリカの学会で、アメリカ在住の社会学者がその内容を発表することになっています。

マスコミも3月で東日本大震災および原発事故から3周年となるのにあたり、自主避難者の問題に強い関心を示し、朝日、毎日、西日本の各紙が記事として載せたほか、NHK, TNC, テレQも取材報道を行っています。

これらの報道を広報するために大学のホームページで広報したところ、おそらくは反原発を目の敵にする一部のツイッター族によりバーチャルな世界の中で批判が行われました。

みなさんもご存じのように、ツイッターは匿名であり、なりすまし可能です。私のメールアドレスは公開されていますが、ついぞ私のところには直接批判は届きませんでした。

そして、3月20日、広報活動を管理する広報企画室で問題を検討することなく、突如、大学はこの記事とPDF版のブックレットをホームページから削除してしまいました。この事実は、他大学の教員から私に知らされました。

さらに3月31日、人権教育推進委員会において、総務財務担当理事が悪意を持ってこのブックレットをとりあげ、監事がそれに追随する発言を行ったということでした。

以下に見られるように、安高監事は、自らを素人である、と称しておきながら、この取組を「質が低い」と断じています。

教職員から支持されていないのに学長になった学長のみではなく、理事や監事までもがおかしいのではないか、と疑問に思わざるを得ません。

そこで、私は以下のような公開質問状を提出しました。福岡教育大学の学長選を考える会の皆様にも、是非、この状況を知って、この大学の運営について考えていただきたいと思い、アップさせていただきました。

2014年4月17日
国立大学法人福岡教育大学
監事 安髙澄夫 殿

福岡教育大学
教授 西﨑 緑

2014年3月31日開催国立大学法人福岡教育大学人権教育推進委員会での
貴職の発言についての公開質問状

ご存じの通り、国立大学法人法は、国立大学法人に置く監事の職務内容について、「国立大学法人の業務を監査する」ものとし、また、「監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、学長又は文部科学大臣に意見を提出することができる」としています(第11条第4項及び第5項)。そして、監事の職務上の義務については、「①独立性の保持に努めるとともに、常に公平不偏の態度を持ち、正当な注意を持って監査を行なうこと、②役員、教職員との意思疎通をはかり業務運営の実施状況を把握するとともに、課題の認識を深めること、③意見の形成に際しては他の監事と協議して、よく事実を確認し合理的な判断をすること、ただし、監事間の協議は各監事の権限の行使を妨げるものではないこと、④秘密を保持すること、さらに、⑤国立大学法人等の健全な発展と統治・統制・遵奉体制の確立・運用のために監事監査が不可欠であるという意識を醸成すること」(国立大学法人東京工業大学監事 国立大学法人等監事協議会会長 冨浦 梓「国立大学法人等における監事の役割と責任」より )とされています。特に業務執行と業務監査の関係については、「監事が業務を執行するのではないことに留意する必要があります。(中略)特別な事情がない限り、教育研究の個々の内容には学問の自由の原則に配慮して立ち入らない方がよいと考えています」(同上「国立大学法人等における監事の役割と責任」より)と理解されており、要するに、独立性・第三者性・中立性を確保しつつ、学問の自由に配慮し適正な手続に基づき職務を遂行することが強く要求されています。

これらの点を踏まえた上で、2014年3月31日開催の国立大学法人福岡教育大学平成25年度第9回人権教育推進委員会において貴職が「私は素人ではあるが、これは質が低い」と私の教育研究活動を不当に否定的に評価した発言について、下記の通り質問をさせていただきますので、4月23日までに文書にてご回答くださいますよう、お願い申し上げます。

なお、貴職の発言内容については、現時点ではその公式記録が法人から公開されておりませんので、複数の同席者から確認いたしました。したがって、万が一、質問内容と発言内容に齟齬がありましたら、回答にてご説明ください。また、本質問状は、国立大学法人法における監事の職務執行状況という公共的にきわめて重要な事項に関するものであることから、広く学内外に公開することといたしますので、その旨ご承知おきください。

    記

1.貴職は、人権教育推進委員会で取り上げられた私の件について、授業での学生の社会的な取り組みが新聞・テレビで報道されたことを本学ホームページにおいて広く社会に発信するという、大学として当然の広報活動の一環であったことをご存じでしたでしょうか。また、当該ホームページの記事を確認し、その内容を正しく把握されましたでしょうか。

2.上記1のホームページ記事は、インターネット上で言われなき誹謗中傷を受けるや、法人が広報企画室による審議及び私に対する聴取等の適正な手続を経ることなく短慮のうちに削除するところとなりましたが、貴職は、監事という立場から、この点をコンプライアンスの問題としてどうお考えでしょうか。

3.貴職は、そもそも人権教育推進委員会の構成員ではなく、監事として列席しているに過ぎないにもかかわらず、同委員会において私の件につき積極的に発言し、その議事に少なからず影響を与えておられます。これは、法人の業務執行に介入しその当事者となる行為であり、貴職自らが監事に要求される第三者性・中立性に違背しているというほかありませんが、この点についてどうお考えでしょうか。

4.上記3の点を措くとしても、監事は、あくまで組織体としての国立大学法人の業務を監査するのであって、貴職のように大学教員である私個人の教育研究活動に正当な理由なく立ち入り、そのうえ一方的にこれに否定的な評価を加える公的発言をなすことは、学問の自由を侵害し、監事としてのコンプライアンスを大きく損なうものというほかありませんが、この点についてどうお考えでしょうか。

5.私の件が人権教育推進委員会において取り上げられ、そのうえ、貴職に加え学長及び理事から私の教育研究活動に対して否定的評価を加える公的発言が相次いだにもかかわらず、このような不利益的な取り扱いを受けた私に対しては、事前に一切の告知や聴取が行われていません。これは、私に対する適正手続の保障を欠いた人権侵害行為であり、貴職は、監事としての独立性・中立性を放棄し学長及び理事と一体となって当該行為に関与したというほかありませんが、この点についてどうお考えでしょうか。

以上


「前任校でセクハラ」教授解雇、大学に無効判決

読売新聞(2014年04月22日)

 前任校で「セクハラ行為があった」などと認定されたために、新たな勤務先の都留文科大(山梨県都留市)から解雇されたのは不当だとして、同大元教授の40歳代男性が同大に解雇無効などを求めた訴訟で、東京地裁立川支部(太田武聖裁判官)は21日、男性の主張を認め、同大に解雇期間中の賃金の支払いを命じる判決を言い渡した。

 判決などによると、男性は宮崎大(宮崎市)を2012年3月に退職、同年4月から都留文科大に勤務していた。男性が宮崎大を退職後、同大は「在職中にセクハラ行為などがあり、懲戒解雇に相当する」と公表。男性は事実関係を争っていたが、都留文科大は宮崎大の公表内容を理由に、男性を解雇した。

 都留文科大は「宮崎大が厳重な手続きの下で認定した以上、解雇という判断をしたのは当然」と主張していたが、太田裁判官は「都留文科大としても、公表内容が事実か否かを調べるべきだった」と述べ、「合理的理由があったとは認められず、解雇は無効と言わざるを得ない」と判断した。

 判決後、都留文科大総務課は「判決の内容を理事会で協議の上、今後の対応を考えていきたい」とコメントした。


2014年04月22日

「大学の自治を根本から否定する学校教育法改正・国立大学法人法改正に反対する緊急アピール」

京滋私大教連
 ∟●大学の自治を根本から否定する学校教育法改正・国立大学法人法改正に反対する緊急アピール

大学の自治を根本から否定する
学校教育法改正・国立大学法人法改正に反対する緊急アピール


 日本の大学は、国公私立を問わず、いま重大な危機にさらされています。
 今国会に提出されようとしている学校教育法と国立大学法人法の改正案は、大学の自治の制度的保障の基礎であった教授会の議決権を否定し、大学学長(総長)に対し単に意見を申し述べるだけの機関に変えようとし、さらには学長(総長)の選出権そのものも大学から奪おうとしています。

 日本国憲法は、第 23 条で、「学問の自由はこれを保障する」と述べ、最高裁判所大法廷判決は、「大学における学問の自由を保障するために大学の自治が認められている。この自治は、とくに大学の教授その他の研究者の人事に関して認められ、大学の学長、教授その他の研究者が大学の自主的判断に基づいて選任される」と判示しています。今回の学校教育法改正は、この日本国憲法条項に対する明白な挑戦であり、決して認めることはできません。

 安倍内閣は、特定秘密保護法の導入、集団的自衛権に関する解釈改憲の動き等、に引き続き、さらにこの「学問の自由=大学自治」の制度的廃止によって、憲法に保障された基本的人権の更なる制限に乗り出しています。
 また経済同友会などの財界団体は、大学を利潤追求を目的とする株式会社と同じ原理の組織に変え、大学を自らの研究開発目的へのたんなる従属機関とさせようとしています。

 この目的のために現在行われている「学長のリーダーシップ」キャンペーンは、大学におけるリーダーシップの内実とは全く関係がなく、上記のように規定を変えられた大学学長(総長)を道具として使い大学を外から統制しようとしている計画に他なりません。
 言うまでもなく、大学は、それぞれの学問分野において、真実を解明することを通じて広く社会一般に貢献することがその役割であり、その目的のために最適のガバナンスとして自治を要求するのです。

 私たち、4.20 シンポジウム「いま、大学の自治を問う―京都大学における総長選挙廃止の動きと大学“改革”」に集った参加者一同は、京都大学と日本全国の国公私立大学における自治が民主的な日本社会の不可欠の構成要素であることを改めて自覚し、大学の自治を根本から否定する今回の学校教育法・国立大学法人法の改正案に強く反対し、これを決議いたします。

2014 年 4 月 20 日
4.20「いま、大学の自治を問う」シンポジウム参加者一同

「大学の自治」考える、学校教育法改定案反対 京大でシンポ

しんぶん赤旗(2014年4月21日)

「大学の自治」考える
学校教育法改定案反対 京大でシンポ

 安倍政権が教授会の権限を剥奪し、「大学の自治」を揺るがす学校教育法改定案の今国会での提出をねらうなか、シンポジウム「いま、大学の自治を問う」が20日、京都大学(京都市左京区)で行われました。京都大学職員組合などが主催しました。
 京大職組の高山佳奈子副委員長が開会あいさつし、京都大学での総長選挙廃止の動きについて述べました。
 西牟田祐二・京大職組委員長が、文科省の諮問機関である中央教育審議会大学分科会が2月に示したガバナンス改革案(審議まとめ)と学校教育法改定案について報告。西牟田氏は、学長の「リーダーシップ」確立を□実に、教授会の権限を奪い、外部から大学を統制するねらいを告発。報道で明らかになった改定案では教授会を学長の「助言機関」に位置づけていることを指摘し「これでは学長独裁の大学になる。大学の自治は、憲法が定める民主主義の基本的な制度であり、それを自覚して運動しなければいけない」と力を込めました。
 鈴木具澄・日本私大教連副委員長は、大学を企業と同列に扱う経済同友会の大学改革の提言を批判し、経済的利益を追求する企業と違い、大学は学問・研究のための組織であり、社会に還元する役割を持っていることを指摘。
 中嶋哲彦・全国大学高専教職員組合委員長は、学外から学長を送り込めるように学長選挙を廃止し、教授会の権限を剥奪するというのは、教育研究の現場では何も決めさせず、大学を政府のコントロール下に置くことだと批判しました。
 集会では、「学校教育法改正」に反対する緊急アピール・賛同署名が呼びかけられました。


自由法曹団、「改憲手続法(日本国憲法の改正手続に関する法律)改正案の廃案を求める声明」

自由法曹団
 ∟●改憲手続法(日本国憲法の改正手続に関する法律)改正案の廃案を求める声明

改憲手続法(日本国憲法の改正手続に関する法律)改正案の廃案を求める声明

1 2014年4月8日、自民党、公明党、民主党などの与野党7党により、日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(以下「改憲手続法改正案」という。)が、衆議院に提出された。
 そもそも改憲手続法は、最低投票率の定めがなく、公務員・教育者に対する運動規制が盛り込まれ、有料意見広告が野放しにされ、広報協議会による改憲PRが無制限に認められるなど、重大な問題が含まれており、参議院で3つの附則と18項目にも及ぶ附帯決議がなされた「未完成の欠陥法」である。国民主権と民主主義の原則に反する改憲手続法の欠陥はどのように「改正」しようとも治癒するものではないのであって、改憲手続違法自体が廃止されなければならない。この点、今回、衆議院に提出された改正案は、改憲手続法の欠陥を何ら治癒しないものであることはあきらかであり、憲法9条の改悪を中心とした「壊憲」策動の一つである改憲手続法改正案は廃案にするしかない。

2 改正案は、第一に、選挙権年齢の18歳以上への引き下げをしないまま国民投票法の改正を強引に推し進めようとしている。
 第1次安倍政権下の2007年5月に成立した改憲手続法は、附則3条において、18歳以上の者が国政選挙に参加できるよう選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法について必要な法制上の措置を講ずるとされていた。これは、選挙年齢・成年年齢についての国民的な議論と法改正が不可欠であることを国会が確認したことを意味している。
 しかし、今回提出された改正案は、選挙年齢や成年年齢についての国民的議論をまったく行わず、改憲手続法のみを前倒しにして成立させることを前提とするものであり、改憲ありきの「見切り発車」というほかなく、断じて許されない。
 また、今回の改憲手続法案の改正が成立した後、公職選挙法が改正されないまま、国民投票が行われた場合、18歳以上20歳未満の者は、国の在り方を決める憲法改正には投票できるが、他方で憲法改正の発議権をもつ国会議員を選ぶ投票権は有しないという極めて矛盾した状態が発生しかねない。

3 第二に、改正案は、公務員の国民投票運動の参加を過度に制限しているものである。
 すなわち、改憲手続法改正案の中では、公務員が行う国民投票運動については、賛成・反対の投票等の勧誘行為及び憲法改正に関する意見表明としてされるものに限り、憲法改正の発議から国民投票の期日までの間は、裁判官、検察官等の一部の公務員を除いて政治的行為を伴わない限りにおいてすることができるとしている。
 しかし、改憲手続法の成立時に附則11条が設けられたのは、国民投票が国民の意見を最大限に反映すべきものであって、公務員の国民投票運動の自由を明記し、その自由を保障すべきとされたからである。
 そもそも憲法尊重擁護義務を負う公務員が憲法を護るために国民投票運動を行うことができることは現行憲法の趣旨に沿うものである。
 また、堀越事件最高裁判決(最判平成24年12月7日)で、公務員の政治活動は公務員の職務遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められない限り自由であることが確認されているのである。
 このような観点からすれば、今回の改憲手続法改正案で定められた公務員の国民投票運動の参加は、むしろ公務員の政治活動を過度に広汎に制限するものであり、公務員が加わった憲法運動への抑圧を生み出す危険があり、改憲手続法成立時の附則11条の見地から大幅に後退するものである。

4 第三に、改正案は、附帯決議において検討課題とされていた最低投票率、有料意見広告等の問題を積み残したまま強引に国民投票法案を成立させようとするものであり、重大な欠陥が放置したままにしようとしている。
 附帯決議の中で、低投票率により憲法改正の正当性に疑義が生じないよう最低投票率の意義・是非について国民投票法の施行までに検討を加えることや、テレビ・ラジオの有料広告規制については、公平性を確保するため、国民投票法の施行までに必要な検討をすること等といった重大な検討課題を課していた。
 附帯決議の中で課されていた検討課題は、政権与党や取り巻きの大企業による一方的な喧伝の下、国民の関心を獲得することができないまま低投票率によって国の在り方を決める憲法が改正されないようにするため必要不可欠なものである。
 しかし、国民投票法改正案は、これらの検討課題を放置したまま強引に憲法改正の国民投票だけを実現しようとするものであり、国民主権を蔑ろにするものである。

5 以上より、改憲手続法改正案が重大な問題を孕む破綻した法案であることは明らかである。
 自由法曹団は、問題点を無視したまま強引に改憲策動を推し進めるため改憲手続法案の改正を数の論理に任せて成立させようとする自民党を中心とした与野党7党を糾弾するとともに、改憲手続法の改正案の廃案及び改憲手続法そのものの廃止を断固求めるものである。

2014年4月21日
自 由 法 曹 団
団長 篠 原 義 仁

北海道新聞による「北海道教育大学旭川校不当解雇事件」の寸評

■北海道新聞(2014年4月21日)

記者の視点
旭川報道部 田辺恵

基準明示対策の第一歩

 アカデミック・ハラスメント(アカハラ)を理由に解雇された道教大旭川校昨准教授3人による解雇無効の訴えが2月、最高裁に認められた。5年にわたる裁判は准教授らの勝訴に終わったが、確定判決ではアカハラと『研究指導』との線引きの微妙さは残った。大学などでアカハラ問題を尽つ際は、専門家が加わる調査体制と、具体的な定義づけが求められる。

アカデミック・ハラスメント

 今回のアカハラ問題のあらましは、こうだ。2008年6~9月、道教大は学生などからの情報を基に准教授らによる言語教育ゼミの指導ぶりを調査。資料作成や辞書編さんの強制で学生の学業や健康に支障をもたらし、『教員の立場を利用した嫌がらせ』に当たるとして、翌年3月に准教授らを懲戒解雇した。准教授らは同月、札幌地裁に解雇無効を求めて提訴した。
 一、二審判決は、准教授らが「学生たちの自主的な活動を適切に指導、監督しなかった」のはアカハラにつながると認定したものの、大学側の主張の多くを認めず、解雇処分は重すぎるとした。最高裁は大学側の上告を受理せず、准教授らの勝訴が決まった。3人は復職について道教大と協議中だ。
 アカハラ認定の難しさは、教員と学生に『上下関係』が生じるのを避けられず、強制も伴う研究指導との境目が分かりにくいことにある。アカハラと判断しても度合いによって処分の軽重を考えなくてはならない。
 この点で道教大には慎重な調査が足りず、判断ミスを招いたのは否めない。教員18人による調査委員会が学生ら100人近くに聞き取りなどしたが、「アカハラに詳しい専門家は調査委にいなかった」(道教大人事課)。
 一審判決も「客観的な証拠による裏付けを欠き、聴取者の主観的意図の入る余地がある」と疑問を投げかけていた。
 道教大の例を教訓に、今後のアカハラ対処では、臨床心理士や社会福祉士などを調査チームに加え、聞き取ぴ対象の学生らの心身状態も見極めながら調査の信頼性を高める必要がある。
 また、アカハラ行為の定義について各大学は指針で定めるが、抽象的な内容もみられる。具体的な定義=表=を設け、その内容に伴う処分の基準も明示すれば、研究現場が萎縮することもないだろう。
 国内でアカハラが問題になり始めたのは05年頃とされ、NPO法人「アカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク」(大阪市)は現在、年間に約750件の相談を受けるという。「単純な暴力、どう喝などの相談は減っているが、問題が長期化し、処分を受けた側が裁判に訴えるようなこじれた例は増えている」(ネットワーク)という。大学は、教員と学生双方が不安に駆られず研究できる環境を保つよう努めてほしい。

アカハラの具体的な定義  (アカハラ対策が進む広島大の指針から)

・他の教員や学生に対し、正当な理由がないのに研究室の立ち入りを禁止する。
・学生に理由を示さずに単位を与えなかったり卒業・修了の判定基準を恣意(しい)的に変更して留年させたりする。
・指導教員の変更を申し出た学生にし「私の指導が気に入らないなら退学せよ」と言う。
・主任指導教員が、学生の論文原稿を受け取ってから何力月たっても添削指導をしない。
・学生が出したアイデアを使って、教員が無断で論文を書いたり研究費を申請したりする。
・就職希望の学生に冷たく接し、大学院進学志望の学生を優遇する。


2014年04月21日

ブラック大学早稲田、「最低賃金未満、常勤の論文作成に駆り出され、給与や交通費も遅延―これが早稲田大学日本語教育研究センターの実態だ!」

My News Japan(04/18 2014)

最低賃金未満、常勤の論文作成に駆り出され、給与や交通費も遅延――これが早稲田大学日本語教育研究センターの実態だ!

非常勤の日本語インストラクター全員に宛てたBCCメール。過払いをしてしまい、別の月に給与から引くことを告げている。

 鎌田薫総長ら理事18人が刑事告発(不起訴⇒告発人が検察審査会へ申立⇒第四検察審査会受理)されるなど、ここ1年あまり争議が続く早稲田大学では、非常勤講師よりもさらに下の身分に位置付けられた日本語非常勤インストラクター(留学生に日本語を教授する)推定20人が、3月末日に5年上限の就業規程によって雇い止めにされた。それに先立つ2月、雇止めは不当だと、早稲田ユニオンなどが東京都労働委員会に、不当労働行為救済の申し立てをする事態に発展している。これを機に、職を失うことを恐れて匿名ですら取材に応じてこなかった当事者が、初めて口を開き、実質労働時間で計算すると最低賃金を下回る悪条件、交通費振込忘れや給与振込ミスが多発する事務の混乱、常勤インストラクターが他の就職先を探すための論文手伝いを非常勤が無償で強いられるなどの現場の実情を語った。(「不当労働行為救済申立書」はPDFダウンロード可)
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【Digest】
◇10回の給与等振込ミス、交通費振込ゼロという大混乱
◇実質的時給は667円
◇コロコロと変わる担当授業
◇直接雇用に転換しかえって条件悪化
◇常勤の論文作成に非常勤インストラクターが無償で使われる
◇差別スパイラルの最大の被害者は学生と親
◇5年雇止めは大学院ビジネスのためか?

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 →連載単行本化「ブラック大学 早稲田」(同時代社)

◇10回の給与等振込ミス、交通費振込ゼロという大混乱

 国際化を謳う早稲田大学では4331人の留学生や研究生が勉強し、そのうち1590人(2012年秋学期)が学内の「日本語教育研究センター」で日本語を学んでいる。

 同センターは日本最大規模の日本語教育機関であり、留学生に教える教員が「日本語インストラクター」である。

 かつては、大学子会社の㈱早稲田総研インターナショナル(4月1日から株式会社早稲田大学アカデミックソリューション)がインストラクターを募集し、更新期限なく安定的に雇っていたが、2009年4月から大学本体内の「日本語教育研究センター」に移行した。

 そのときに当局は契約期間の通算5年で雇い止めの就業規程を制定したことで様々な問題が噴出し現在に至っている。

 問題の本質に迫る前に、重い口を開いた当事者のひとりAさんから聞いた、混乱を象徴するようなエピソードから紹介しよう。

 「給与明細は毎月2種類が届けられますが、どの授業をいつ何コマ行なったのか明記されていないので、一人ひとりがしっかり管理していないとわからなくなります。私の場合は任期の5年間で10回以上は間違えられました。
 他の大学でも働いたことがありますが、こんなのは初めてです。何コマ分かの給与が払われなかったり、過払いもありました。

 過払いのときは、『翌月の振込で調整します』とお知らせをもらうのですが、辞めてしまった人(あるいは辞めさせられた人)に対してはどうするのでしょうか。

 翌月の分から引く、というメールすら本人に届けられないことになります。現に私は今年の3月で辞めさせられていますし。

 それから、交通費が全く振り込まれていなかったこともあります。一部のインストラクターに対する間違いというのではなく、全インストラクターに対してお金の振込で間違いがあったというのも何度もあるのです」

非常勤インストラクターらによると、日本語教育センターの担当者が振込のデータを給与課に渡すというが、相当混乱しているようである。

 「人の入れ替わりが激しく、担当授業も激変するために、給料振込の間違いが多いんですね。

 一人が、いろいろなレベルの授業を担当すると間違いが生じやすいのではないですか。たとえば、毎回、初級コースだけとか上級だけとか、ある程度決まっていれば間違いも少なくなると思います。

 自分の希望したコマ数がもらえないと、二次募集、三次募集でとにかくコマ数を増やしていろいろな授業を受け持つと、事務の人が大変になってしまうのでしょう。

 ともかく、全員の交通費が複数回まったく支払われなかったことがあるのは、事務処理のダブルチェックをまったくしていないということです」

 普通、企業・学校・組織で給与関係の振込がこれだけ間違うのは、考えられない。その背景には相当な混乱があると見たほうがいいだろう。

給与振込額を間違え、3か月後の振込で清算すると伝えた文書。5年間で10回以上の間違えがあった。混乱を象徴している。

◇実質的時給は667円

 金銭の振込関係の混乱と無関係とは言えない、早稲田大学における身分差別の象徴・非常勤の日本語インストラクターの問題を見ていきたい。さらにAさんの話を続ける。

 「長年、外国人学生に日本語を教える仕事をしていましたが、応募して受かり、早稲田総研インターナショナルと契約して2008年9月から教えるようになりました。当時は任期もなく、待遇は今よりよかったです」
 1授業(2時間とみなされる)4000円から始まり、経験を積んでいくうちに給与が上がるシステムは、Aさんがインストラクターを始めたときと現在も変わらない。
 2年目まで1授業4000円
 3年目     5000円
 4年目     6000円
 5年目     7000円

 他の非常勤講師に合わせて年間講義回数を30回として計算すれば、一コマ担当すると2年目までは年収ベースで12万円。最終の5年目になると年収ベースで21万円となる。

 ちなみに、文部科学省の見解によれば、準備その他を含めると1回(2時間相当)の授業で労働時間は3倍の6時間かかるとみなされる。そうなると、.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。


首都大学東京、教授・准教授の任期制撤廃 助教は2回目の再任を経て無期雇用へ

首都大学東京労組
 ∟●『手から手へ』第2701号(2014年4月1日

教授・准教授の任期制撤廃
助教は、2回目の再任を経て無期雇用へ
非任期教員への給与差別撤廃を要求

 当局提案は、2015 年 4 月採用時から、教授、准教授については採用当初から無期雇用とする、助教については 5年+5年の任期を経て無期雇用とするというものでした。組合は、「今回、教授、准教授について採用当初から無期雇用とする制度改正を行うとの当局の決断を評価したいと思います。助教に任期制が残りますが、2 度の再任審査を経て無期雇用となる点を考慮して、制度改正を受け入れたいと思います。」と回答しました。
 現在在職している教授、准教授と非任期の助教については、「平成27年4月日より改正後の任用制度に切り替える」、任期付助教については、「法人化以降の引続く在職期間をすでに経たものとして取り扱う」ことになります。これにより、法人は発足の 2005 年 4 月に採用された任期付助教も、再任審査を経たうえで 2015 年 4 月から無期雇用となり、順次、採用から 10 年目で再任審査を経て無期雇用に移行します。
 また、法人は移行後の給与については、「現行の給与水準と比べて不利益な変更とならないよう」検討するとも発言しました。
 これに対し組合は、「今後は、現在在職している教員、とりわけ約 1割に上る非任期教員について、新しい制度にどう引き継ぐのかが大きな課題となります。非任期教員は、これまで職務基礎額の昇給がないという給与差別を受けてきました。新制度発足時には、こうした差別が撤廃される必要があります。『失われた 10年』から、本学が立ち直るため、組合との真摯な協議が必要です。」と発言し、給与差別撤廃が最優先課題とし、今後も引続いて協議を行うよう要求しました。

常勤契約職員制度廃止
一括して正規職員へ移行

 組合は、常勤契約職員制度について、これまでも多くの問題点を指摘し、正規職員への早期移行を求めてきました。さらに、労働契約法改正による無期転換権発生などの状況変化もあり、「制度疲労」が起っていると主張してきました。今回の当局提案は、こうした組合の要求に、ほぼ添ったものとなっています。
 今後の非常勤契約職員の内部登用選考の取扱いについては、2015 年度まで現行と同様の登用選考が行われ、合格者は1級格付けの正規職員となります。
 2016 年以降は、正規雇用採用試験に含めた形で選考を行う考えが示されています。非常勤契約職員については、新規採用試験において年齢制限を設けないというものです。この点について、組合は「新卒者を対象とする選考と同じ土俵で選考するという方法では、非常勤契約職員として職場で評価されてきた実績を省みられないという危惧があります。机を並べてともに職務を遂行している現場の職員からも理解される選考とするよう」要求しています。
 また、一般事務の非常勤契約職員の雇用期間を最大 5年とするよう、制度の見直しも求めました。……

【当局】それでは私から申し上げます。

 本日は教職員人事制度の改正について、これまでに皆さんからいただいたご意見や特に教員人事制度に関しては理事協議会、作業部会での検討結果を十分に踏まえた上で、最終案を取りまとめましたので提示いたします。今回提示させていただく改正案につきましては、労働契約法の改正を踏まえつつ、その中でどうしたらより良い仕組みにすることができるかといった観点から検討した結果、かなり踏み込んだ見直しを行っていると考えております。詳細につきましては、資料をご覧いただき、この場では提示内容の概要について申し上げます。

 まず、教員人事制度につきましては、皆さんから強い要求のありました任用制度について申し上げます。 任用制度につきましては、教授、准教授は採用当初から任期の定めのない雇用といたします。助教は採用当初に合計 10 年の任期を設定し、10年目の審査を経て任期の定めのない雇用といたします。また、昇任した場合は当初から任期の定めのない雇用といたします。
 なお、現在在籍しているすべての教員に対する経過措置としまして、平成 27年 4月 1日より改正後の任用制度に切り替えるとともに、任期の定めのある職に切り替える場合は、当該職において、法人化以降の引き続く在職期間をすでに経たものとして取り扱うことといたします。
 また、今後は、給与制度についても、改正後の任用制度を踏まえた見直しを行う必要があると考えております。見直しに当たっては、現行の給与水準と比べて、不利益な変更とならないよう具体的な検討を進めていきます。

 職員人事制度につきましても、皆さんから強い要求のありました常勤契約職員制度について申し上げます。
 常勤契約職員制度につきましては、平成 26 年度いっぱいをもって廃止いたします。
 なお、現在在籍している常勤契約職員につきましては、平成 27年4月 1日をもって正規職員に一括で切り替えます。ただし、従来の正規職員主事との間に一定の区分を設けることは必要であると考えておりますので、常勤契約職員の切り替えに伴い、当該職員が属するものとして、新たに正規職員主事級に細区分として主事 1級を設置します。従来の正規職員主事については主事 2級に位置づけることとします。正規職員主事 1級については、あくまで現在の常勤契約職員の受け皿として設置するため、28 年度以降は新たな登用は行わず、主事1級に属するすべての職員が、昇任もしくは退職した場合には、当該細区分については廃止することとします。
 なお、非常勤契約職員制度についても見直しを行うこととし、新たに定年年齢及び任期の上限年齢を設定いたします。

 今回の改正により、教職員人事制度の見直しについては一定の到達点に達したと考えておりますが、もとより、各種の制度というものは、未来永劫固定されるものではなく、時代情勢の変化や現場の実情等を総合的に勘案し、不断の見直しが求められるものです。教職員人事制度についても、その基本理念を踏まえながら、より一層成熟したものとなるよう、今後も必要に応じて見直しを行っていきます。

 最後に、臨時職員の通勤費の取扱いについてですが、都の動向等を踏まえ、賃金とは別に通勤手当として支給することといたします。

 私からは以上です。


電気通信大学、未払い賃金請求訴訟 第1回口頭弁論(4月23日)

熊本大学教職員組合
 ∟●[3/31] 未払い賃金請求訴訟速報シリーズ No.5 : 電気通信大学

 2 月17日(月)、電気通信大学に働く教職員(組合員)で構成される未払い賃金等請求訴訟原告団 5 人は、東京地方裁判所立川支部に提訴し、同日11 時から立川市役所にて提訴記者会見を行いました。
 会見では、弁護団を代表し平和元弁護士より、給与規程および退職手当規程の変更が労働契約法に反し無効であり、改定前と改定後の差額分、退職金123 万円を含む381 万円を請求すること。その理由として、労働基本権が制限されている国家公務員の代償措置としての人事院勧告が無視され、それを大幅に上回る給与減額がされていることを契機とし、国(文科省)が大学法人に対して要請という形を取りながら労使関係に介入したこと。これを受け大学は、憲法 28 条で保障された労働基本権のある教職員組合や教職員に対し、何ら合理的説明をすることなく、国が言うからということを理由として、合意なく国と同様の給与減額を押しつけたこと。このような対応は高度な理由とは認められず、労働契約法第 9 条、10 条に違反すると述べました。
 また、山本野人原告団長からは、国が大学に対して責任をなすり付けていること、この間給与減額、退職金に続き、55 歳以上の昇給停止、現給保障廃止、福利厚生の後退など労働条件、生活条件の改悪が続いていること。そのため教職員組合は昨年 4 月 24 日に東京都労働委員会に不誠実交渉救済申立をし、係争中であることなどの説明がありました。そして、このような行為に対しもう黙っていてはいけない、こんなことをしていたら日本の教育が駄目になる、社会格差が拡大している現在、みんなの努力が報われるような職場、みんなの気持ちが大事にされる職場になるように、一大ムーブメントを作っていきたい。同時に、裁判を通じて大学職員や学長、理事の意識を変革していき、ひいては国民の皆さんにも行動していくことの重要性を理解いただき、声をあげていけば変わっていくということを実感してもらいたい。一緒に闘っていきましょう、みんなで、国民のみなさんと共に闘っていきましょう、という訴えがありました。
 続いて、全大教の長山泰秀書記長から、全大教としては、全国的な運動方針として、これまで交渉がうまく行かないところでは訴訟を提起し、現在 10 組織の組合が母体となり 523 人が原告として立ちあがっているという報告がされました。
 記者からは、給与減額と震災予算措置との関係、他大学の減額緩和措置などについての質問があり、18日付読売、朝日新聞等に掲載されました。 (電気通信大学教職員組合委員長 水谷 孝男)

【第1回口頭弁論】
第1回口頭弁論は、以下の日程で行われます。傍聴への参加、よろしくお願いします。
日程:2014 年4月23 日13 時30 分
場所:東京地裁立川支部404 号法廷
(傍聴席:48 席)
裁判官:太田武聖 前田英子 須藤隆太
http://www.courts.go.jp/tokyo/saibanin/tatikawa/map_tatikawa/index.html

慈恵医大内科医、他人の論文使い補助金を申請か

読売新聞(2014年04月20日)

 東京慈恵医大の男性内科医が2013年、国に科学研究費補助金(科研費)の申請をした際、他人の論文を自らの研究実績のように装った疑いがあることが20日わかった。

 大学は学内に調査委員会を設け、内科医の聞き取りなどを進めている。科研費を担当する文部科学省によると、申請はすでに不採択になり、大学に通知されたという。

 大学や文科省によると、内科医は数百万円の科研費を申請していた。不正の疑いが見つかったのは、申請書のうち、自分が過去に執筆したものとして記していた一部の論文。論文著者の名前を英語のイニシャルで示していたが、内科医と同じイニシャルになる他の研究者が含まれていたという。

[同ニュース]
■慈恵医大の内科医、科研費不正申請か 研究業績を粉飾?
http://www.asahi.com/articles/ASG4M54P4G4MULBJ004.html

2014年04月19日

「学校教育法と国立大学法人法の一部を改正する法律案」、4月中の閣議決定を目標

■日本私大教連メールニュース

★「学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会」の記者会見の日程が決まりました。

○日時 4月24日(木)16時~
○場所 文部科学省記者会会見場
○記者会見には現段階で、呼びかけ人の大橋英五さん(立教大学元総長)、広渡清吾さん(専修大学教授)、松田正久さん(愛知教育大学前学長)が出席され、事務局団体として日本私大教連、全大教の委員長ほか役員が出席します。

 ◆記者会見までに「アピール署名」を大きく広げてください!
   「アピール署名をすすめる会」HP http://hp47.webnode.jp/
  ※署名活動を開始してから10日が経ちますが、現在ネット、署名用紙合わせて
    1300名程度にとどまっています。大学関係者にもまだまだ知られていません。
  ※メールの転送やツイッターなどで一気に拡散してください。
  ※日本私大教連HPには署名用紙、リーフレットを掲載しています。ご活用ください。
    http://www.jfpu.org/no%20governance%20reform/gakkyohokaiseihanntai.html

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★国会情勢、報道など

●「学校教育法と国立大学法人法の一部を改正する法律案」は4月中の閣議決定を目標にしている――文科省大学振興課

●昨日16日付の読売新聞朝刊は、「国立大 学長選を透明化」という見出しで、国立大学法人法と学校教育法の改正案が「判明した」と報じています(添付)。学教法については、教授会を完全に諮問機関化するとしか読めない記述になっています。
 これについて、法案作成を担当している文科省大学振興課に電話で問い合わせたところ、「諮問機関化する法案ではない」と否定。その上で、「大学によって同じ事柄でも教授会の決議事項になっている大学もあるし、逆に教授会の意見をまったく聴かずに学長が決定している大学もあり、相当幅がある」、「自民党からも、教授会の意見をまったく聴かないようなことではだめだということで、重要事項は教授会の意見を聴くという条文を入れることを検討しており、そのことを読売はこういう記事にしたと思う」と回答しました。
 しかし、経済同友会などからは「教授会の諮問機関化」が執拗に主張されており、予断を許さない状況です。

●本日17日、自民党の文部科学部会で「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」が議論されたとの情報が入りました。

自民党・薗浦健太郎議員は、ツイッターで、
「学校教育法と国立大学法人法の改正案の審議です。学長のリーダーシップを確立して、統治機能を高める内容です。教授会は学長の求めで意見を述べる機関と位置付けます」とツイート。これが本当なら、諮問機関化そのものであり、極めて重大です。

●日本私大教連はこの問題について4月21日(月)に文科省要請を行います。要請の内容はこのニュースでお知らせいたします。


大学長権限強化に賛否両論、大学関係者 「独裁化」への懸念も

■朝日新聞(2014年4月18日)

 文部科学省は17日、大学学長のリーダーシップを強める法改正案を与党に示した。大学運営をトップダウン化して改革を促す狙いで、今国会での成立を目指す。大学関係者には、意思決定が早まることへの期待と、「学長独裁化」への懸念が入り交じる。
 政府や与党内には、「今の制度では教授会の権限が強く大学改革の妨げになっている」との批判が根強い。学長が「秋入学」や学部新設などの改革を提案しても、教授会が反対すれば実現は難しいからだ。
 改正実では、あいまいだった教授会の役割を明確化。「審議する」とだけ書かれていた学校教育法の条文を「学長が決定を行うに当たり意見を述べる」と変更、教授会の権限を限定した。国立大学法人法の改正案には、学長の選定基準を公表することを盛り込んだ。 大学関係者の賛否は分かれている。
 国立大学協会長の松本紘二京都大総長(学長)は意思決定のスピードアップに期待する。一方、愛知県内の国立大元学長は「学長が独裁化すると、強い権限を使って『稼げる学部』に学内予算が偏る心配がある」と指摘する。

「大学長に決定権」明示、文科省改革案 教授会の権限限定

■朝日新聞(2014年4月17日)

 大学長のリーダーシップを強化する制度改革案を文部科学省がまとめた。重要事項の決定権が学長にあることを明確にしたことが大きな特徴だ。グローバル人材の育成など大学の国際競争力を高め、教育の質の向上につながる改革を進めやすくするのが狙いだ。
 文科省は17日、学校教育法と国立大学法人法の改正案を自民党部会で示した。大学のガバナンス(統治)の在り方を変えるため、学長の改革を妨げるとの批判があった教授会の権限を限定することなどが柱。今国会に提出する予定だ。
 文科筈によると、教援会の役割は、国公私立大全てに関係する学校教育法に「重要な事項を審議する」と規定されているだけで実質上、運用は各大学に委ねられていた。
 そのため、大学や学部の運営や予算などについて、本来は学長が決めるはずなのに、「議決」という形で教授会が決定権を持つケースがあった。こうした場合、学長が海外大と入学時期をそろえる「秋入学」の導入や、学部新設などをしようとしても、教授会に反対されれば、なかなか改革が進められなかった。
 学校教育法の改正案では、教援会の役割を「審議する」から「学長に意見を述べる」と表現を改めた。さらに、意見できるのは「学生の入学、卒業、修了、学位授与」についてか、「学長が必要と認めた」場合に限定。すべての決定権が学長にあることを明確にした。
 副学長には学長の改革を後押しする役目を担わせた。学長の指示を受けた事柄について「校務をつかさどる」と定め、現行の「学長の職務を助ける」よりも指導力を強めるのが狙いだ。
 国立大学法人法の改正案には、学内人気や多数派工作だけで学長が選ばれないように、選考基準や結果を公表することなどを盛り込んだ。事前に誰がふさわしいかを聞く「意向投票」を禁止すべきだといった声が自民党内にあったことにも配慮し、付則に「制度全体について検討し必要な措置を講ずる」との表現も入れた。

神戸夙川学院大、15年度から募集停止 定員割れ続き

朝日新聞(2014年4月18日)

 学校法人夙川学院(兵庫県西宮市)は18日、神戸夙川学院大(神戸市中央区)の2015年度以降の募集を停止すると発表した。観光文化学部のみの単科大学として07年4月、ポートアイランドに開学したが、12年度以降、定員割れが続いていた。

 同法人は、少子化などで今後も経営的に必要な現在の入学定員(270人)を確保する見通しが立たないと判断したと説明。17日に文部科学省に報告した。

 同法人はほかに短大、幼稚園、中学、高校を運営。11年には、金融先物取引の失敗による多額の損失を埋めるため、同窓会の預金を無断で教職員給与に流用していたことが明らかになった。

神戸夙川学院大が募集停止 背景に財テク失敗や不祥事

産経新聞(2014.4.18)

 学生の定員割れが続いていた神戸夙川学院大(神戸市中央区)について、運営する学校法人夙川学院(西宮市)は18日、平成27年度から新入生の募集を停止すると発表した。

 神戸夙川学院大は19年に開学した観光文化学部のみの単科大学。24年度から定員割れし、現在は約760人が在籍している。

 同法人は、デリバティブ(金融派生商品)取引で資産運用をしていたが、リーマン・ショックなどで多額の損失が発生。23年には傘下の高校で管理する同窓会名義の定期預金を教職員の給与などに無断流用していたことが発覚。短大の教職員らの給与など約7億円の未払い問題などもあった。

 イメージダウンに加え、少子化による他大学との競争激化などから受験者離れが進み、今年4月の新入生は定員(270人)の6割に満たない157人にとどまった。同法人は「在学生に対し、責任をもって現行のカリキュラムによる教育を維持する」としている。

神戸夙川大 資産運用失敗後に経営問題次々

神戸新聞(2014/4/18)

 開学からわずか7年で、新入生募集停止を決めた神戸夙川学院大学(神戸市中央区)。運営する学校法人夙川学院(西宮市)が資産運用の失敗で多額の損失を出し、経営問題が次々に表面化。少子化の中で激化する他大学との学生の奪い合いにマイナスイメージも重くのしかかり、入学者数の減少に歯止めがかからなかった。

 学校法人夙川学院によると、西宮市で中学や高校なども運営する同法人は資産運用の一環で、デリバティブ(金融派生商品)取引を行っていた。だが、08年のリーマン・ショックなどで多額の損失を出した。

 損失額について同法人は明らかにしていないが、資金繰りが急速に悪化し、11年には同窓会名義の預金から約1億6千万円の無断流用が発覚。短大の教職員らの給与や賞与など約7億円の未払いや、教職員の互助団体の積立金を高校の部活動の遠征費に無断で流用していた問題などが次々と明るみに出た。

 法人は経営陣を刷新し、職員の給与カットや、中高のグラウンドの一部など所有する土地を売却するなどの対策に踏み切った。しかし、増谷昇・法人事務局長が「経営トラブルによるイメージダウンの影響は大きかった」と語るように、大学と短大、中・高の12年度の入学者は全体で前年度より3割以上減った。

 13年に西宮市から神戸・ポートアイランドに移転した短大の入学者数はやや復調傾向にあるが、大学の入学者は11年度の265人から毎年減少。今年4月の新入生は定員の6割に満たない157人まで落ち込んだ。

 大学には観光文化学部しかなく、「開学当初は観光分野に特化して学べる大学は珍しかった。近年は他大学でも学べるようになり、競争が激しくなってきた」と増谷事務局長。15年度の学生募集も模索していたが、「今後も入学者が減り続けた場合、法人がそれをカバーする体力がないと判断した」と声を落とした。(紺野大樹)

神戸夙川大が新入生募集停止 財政悪化、定員割れ

神戸新聞(2014/4/18)

 神戸・ポートアイランドにある神戸夙川学院大学が、2015年度から新入生の募集を停止することが17日、同大を運営する学校法人夙川学院(西宮市)などへの取材で分かった。資産運用の失敗や定員割れが続いていることが理由で、数年以内に募集を再開できなければ閉校することになる。在校生が卒業するまでは存続する。

 同法人は大学と同じポートアイランドで短大、西宮市で中学、高校、幼稚園を運営。資産運用で「デリバティブ(金融派生商品)」取引を行ったが、08年のリーマン・ショックの影響で多額の損失を出したという。

 神戸夙川学院大は07年に開学。観光文化学部だけの単科大で、今月入学した1年生を含む約760人が在籍している。少子化や他校との競争激化のため、12年度から入学定員270人を3年連続で大幅に割り込んでいた。

 同大をめぐっては先月、日本高等教育評価機構が「財政が危機的状況にある」と判断。運営体制の立て直しを進めてきたが、財政計画は「実効性に乏しい」と指摘されていた。

 同法人は17日、文部科学省に経緯を報告し、学生への説明も行った。同大の松井道男学長は神戸新聞社の取材に対し、「在校生や保護者、卒業生のみなさんには申し訳なく、深くおわびしたい。教育内容を維持し、在校生には責任を持って対応する」とした。

 兵庫県内では、尼崎市の聖トマス大学が10年度以降、新入生募集を停止している。(紺野大樹)


学者50人が解釈改憲に反対の会を設立

TBS(2014年4月18日)

 歴代の政権が認めてこなかった集団的自衛権の行使を憲法解釈の変更により、認めようとする安倍政権の姿勢は「危険」だとして、およそ50人の学者が「立憲デモクラシーの会」を発足させ、会見を行いました。

 「立憲デモクラシーの会」は、憲法学や政治学のほか、社会学や人文学など、幅広い分野からおよそ50人の学者が呼びかけ人となり発足したもので、設立趣意書では、「万能の為政者を気取る安倍首相の最後の標的は憲法の解体だ。今必要なことは、憲法に基づく政治を取り戻すことだ」などとして、安倍政権の姿勢を強く批判しています。

 共同代表を務める法政大学の山口二郎教授は、集団的自衛権の行使容認について議論している安倍総理の私的諮問機関「安保法制懇」を念頭に、「非現実的な想定を前提に憲法9条を事実上、なし崩しにするというような一部の学者の議論に対して徹底的に反論していくことが必要だ」と語りました。(18日20:57)

「立憲デモクラシーの会」発足
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140418/k10013859891000.html

2014年04月18日

教授会の役割縮小、大学改革 学長主導へ法改正案

■北海道新聞(2014年4月17日)

学長主導の大学改革を進めるため、政府が今国会で成立を目指す学校教育法と国立大学法人法の改正案が16日、分かった。教授会が審議する事項を学位授与などに限定し、『学長に意見を述べる』機関と位置付けた。
 多くの大学で事実上の意思決定機関となってきた教授会の役割を狭めて、学長がリーダーシップを発揮しやすくするのが目的。しかし「大学の自治」を重視する関係者からは反発を招きそうだ。
 現行の学校教育法は「重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」と規定しており、多くの大学で教授会の意向が大学運営に反映されている。このため、学長が秋入学導入などの改革を進めようとした場合、教授会の反対で実現しないこともあった。
 改正案では「教授会は学長が決定を行うにあたり意見を述べる」と規定。審議事項も①学生の入学、卒業、課程の修了②学位授与③教育研究に関する重要な事項で、学長が教授会の意見を聴くことが必要と認めるもの-に限定した。
 国立大については国立大学法人法を改正。学長選考を透明化し、経営面では外部意見を反映させやすくする。学長選考会議は選考基準をつくり、基準や結果を公表する。
 政府は来週にも閣議決定し、今国会へ提出する予定。成立すれば、来年4月に施行される。

大学図書館、火の車 海外誌値上がりに、円安追い打ち

朝日新聞(2014年4月17日)

 東京は、全国の大学生の4分の1が集まる、学生の街だ。研究のため、世界中の文献を集めた大学図書館で長く時間を過ごす人も多い。しかし、いま、その図書館の台所事情が、火の車になっている。有名な学術雑誌でさえ、リストラせざるをえない状況に追い込まれている。

 慶応義塾大信濃町キャンパス(東京都新宿区)にある北里記念医学図書館。国内外の雑誌が並んでいる棚から1月、ネイチャーやサイエンス、セルといった海外の科学誌が消えた。

 「紙の雑誌は、論文を執筆する時などに閲覧していました。参考文献の書き方などの形式を確認するためです。1冊あると便利だったのですが……」(慶大医学部の遠山周吾助教)

 「紙」の雑誌の内容なら、「電子版」をパソコンなどで読むことができる。多くの大学では、研究室や自宅からアクセスできて便利な電子版への切り替えを進めてきた。しかし有名どころまで「紙」が「リストラ」されたことに、研究者は戸惑いを隠せない。……


私大も親も苦しい懐 競争でコスト増、学費高止まり

朝日新聞(2014年4月17日)

 大学生を持つ親たちの懐事情は厳しい一方で、学費は高止まり――。私立大を巡るそんな現状が文部科学省などの調査で浮かび上がった。大学側は学生獲得に向けてコストを削れない事情を抱え、親たちは負担の重さに悲鳴を上げている。

 「地元の国公立大か、東京の私立大か最後まで迷った」

 東京都内の有名私大に通う男子学生(2年)は、昨年の入試直前まで本命を絞りきれずにいた。ネックは学費だ。親からは、学費が安くて自宅から通える地元・中国地方の国公立大学に行ってほしいと言われていた。しかし、東京の大学で学びたい気持ちが強く、都内の私大を受験した。今は、3種類の奨学金を利用し、週3回のバイトをしながら、年間の学費約100万円を支払っている。この学生は「節約すれば、生活はできます」と話す。……


2014年04月17日

国立大、学長選考基準を明確化…法改正案

読売新聞(2014年04月16日)

 学長主導の国立大学改革に向け、国立大学法人法と学校教育法を一部改正する政府案が判明した。

 今国会中の成立、来年度施行を目指す。改正後も社会や経済の変化に迅速に対応するため、学長選考会議の学外委員を増やすことや組織全体の見直しを視野に入れた付則を設けるのが特徴で、国立大の組織運営の全面的な見直しに布石を打った形だ。

 国立大学法人法では、〈1〉学長選考基準の明確化〈2〉経営に関する重要事項を審議する「経営協議会」の委員の過半数を学長が学外から任命する〈3〉教育・研究に関する学内の代表者機関に、学長を助ける副学長が入る――が大きな改正点。さらに、改正法施行後も、必要があれば学長選考会議の構成などについて検討すると付則に明記する。

 経営協議会は学長が主催、産学連携や業務の効率化などを審議する。構成は副学長ら学内委員のほか、学外から民間企業役員や弁護士らが就いている。学外委員を過半数とすることで外部の意見をさらに反映できる。

 また、学校教育法では、現行で教育課程や人事など「重要事項を審議する」としている教授会を「学長が重要事項を決める際に意見を述べる」役割にとどめた。


5月18日、「大阪府立大学と大阪市立大学の統合問題を考える講演会」

大阪府立大学問題を考える会
 ∟●大阪府立大学と大阪市立大学の統合問題を考える講演会
 ∟●講演会案内チラシ

大阪府立大学と大阪市立大学の統合問題を考える講演会に参加ください
 

 3月に行われた大阪市の「出直し市長選挙」は、橋下前市長が再選されたものの投票率が過去最低となり、得票数は前回の75万から37万と半減しました。「大阪都」構想は民意を得たどころか、これがいかに民意とかけ離れたものであるかを明らかにしました。
こうした中で私たちがはじめた大阪府知事と大阪市長あての「府立大学と私立大学の拙速な統合 はやめてください」の要請署名は4千名近く(3月末)となっています。ご協力にお礼申し上げます。道理のない両大学の統合をやめさせるまで、署名をさらにひろげるための取り組みをすすめています。ひきつづくご協力を訴えます。
 このたび運動を広げるため、「大阪府立大学問題を考える会」と「大阪市立大学の統合問題を考える会」が共催で、統合問題を考える講演会を開催することになりました。会場は、なんば駅近くに昨年4月に開設した府立大学の施設です。ぜひご出席ください。

 ○ と き 5月18日(日)午後1時30分から
 ○ ところ 大阪府立大学 I・siteなんば(2階)
 ○ 講 師 小林宏至 大阪府立大学名誉教授
      森 裕之 立命館大学教授(大阪市立大学卒)

2014年4月2日
大阪府立大学問題を考える会
代表 野崎 清(女子大卒)
代表 中井英二(府立大卒)

2014年04月16日

シンポジウム、「大学のあり方を考える~大学改革,ガバナンス改革を問う」

東海私大教連

名大職組・東海私大教連主催 学習討論会

日時: 5月8日(木) 18時30分開始 20時30分終了予定
テーマ:「大学のあり方を考える~大学改革,ガバナンス改革を問う」(仮題)
問題提起者:中嶋哲彦氏(全大教委員長、名古屋大学)
      新村洋史氏(名古屋芸術大学)
主催:名古屋大学職員組合,東海私大教連
会場:名古屋大学 IB電子情報館のIB015講義室 
  (名古屋市営地下鉄「名古屋大学駅」3番出口 西地区連絡通路階段上がった正面入口入る)
内容:国立,公立,私立各大学教職員,学生からの報告と討論予定

2014年04月15日

「奨学金」返還緩和策に重大な欠陥発覚 機関保証団体「日本国際教育支援協会」通じて300万円+延滞金10%一括請求の野蛮

My News Japan(04/12 2014)

 「奨学金」とは名ばかりで実態は悪質な学生ローンではないか――高まる批判を受け、独立行政法人日本学生支援機構は4月1日から新たな「返還緩和策」を採用した。①返還猶予制度の延長(5年→10年)、②延滞金利率の引き下げ(10%→5%)などである。ところがその一方で、返還猶予が受けられるはずの債権を、「日本国際教育支援協会」(井上正幸理事長)という機関保証を担う団体に移し、同協会を通じて数百万円の一括請求といった過酷な取り立てがなされていることがわかった。別団体なのだから支援機構の返還緩和策など関係ない、耳をそろえて返せ――そういわんばかりの乱暴な手口だ。大学卒業後2年足らずで支援協会から300万円以上の一括請求を受けて途方に暮れるTさん(24歳・無職)の例を報告する。
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【Digest】
◇「奨学金」は「学生ローン」と文科相
◇日本国際教育支援協会
◇困窮状態のところに「300万円一括で払え」
◇「機関保証」の落とし穴
◇同居していた支援機構と支援協会
◇分割案も「2回滞納で一括請求」の重大リスク
◇「奨学金」は「学生ローン」と文科相

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 3月19日の衆議院文部科学委員会でのことだった。日本学生支援機構による過酷な回収を問題視する宮本岳志・衆議院議員(共産)と下村博文・文部科学大臣の間で次のようなやりとりが交わされた。

 宮本岳志・衆議院議員 ……現状の(日本学生支援)機構の奨学金制度にはまだまだ改善すべき問題点が存在する、こういう問題意識は共有していただいているというふうに考えてよろしいですね。
 下村博文・文部科学大臣 これは宮本委員もおっしゃったように、奨学金とは名ばかりの学生ローンだと私は思います。ぜひ本来の奨学金制度にできるだけ早く充実、移管をしていく必要があるというふうに認識しております。

 「奨学金とは名ばかりの学生ローンだと私は思います」――教育の機会均等を確保するための制度だといいながら、訴訟を乱発して高額の延滞金をむしり取る。日本学生支援機構が抱える矛盾は、とうとう文部科学大臣をして「学生ローン」だと答弁させるところまできた。そして4月1日、ようやくあらたな返還緩和策が導入された。緩和策の柱は2つ。
 
①年収300万円以下の利用者を支払猶予の対象とし、期間を従来の最大5年から10年に延長する。
②延滞金を従来の年利10%から同5%に引き下げる(ただし過去に発生した延滞金は10%のまま)。

 延滞金・利息を廃止し、返還猶予は無期限に適用すべきだと考える筆者にとっては不十分だが、それでも一歩前進だ。特に①の「支払い猶予」の改善は効果が期待できる。有効に使えば多くの人が当面の苦境を脱出できるはずだ。返還猶予の間は延滞金や利息がつかない。債権管理回収会社(サービサー)の取り立てに悩むこともなければ裁判を起こされる心配もない。 

 文部科学省の吉田大輔・高等教育局長の答弁によれば、役所の年収証明があれば過去にさかのぼって返還猶予を適用(遡及適用)することもできるという。この答弁どおりに現場が対応するのであれば、支払いが滞ったことで延滞金や利息を加算されている場合でも、返還猶予の遡及適用によってその額が減ることになる。また、収入が乏しいにもかかわらず繰り上げ一括請求されている場合でも、過去にさかのぼって返還猶予を適用することで本来の分割返還に戻るはずだ。

 もっとも、実際そのようにうまくいくかどうかはまだわからない。返還緩和策が有効に機能するのか注視していく必要があるだろう。

 それでも、少なくとも当分は裁判を乱発するようなことはなくなるのではないか。筆者はやや楽観的となった。

◇日本国際教育支援協会

 ところがすぐに、こうした観測が甘かったことに気がついた。支払い猶予の延長も延滞金利率の低減も関係なく、300万円もの金を一括で請求された例を耳にしたのだ。被害者は都内在住のTさん(24歳)である。支払猶予制度が延長されたのに、なぜそんな乱暴なことができるのか。疑問を抱きながらTさんの話を聞くうち、一つの団体の名前が浮かんできた。

 「日本国際学生支援協会」という公益財団法人である。300万円の一括請求をしてきたのは「日本学生支援機」ではなく、この財団法人だった。機関保証を担う団体である。機関保証については後述するとして、まずTさんが「奨学金」を借りる経緯から、順を追って説明したい。

 Tさんは関東の出身で、京都の同志社大学に進学した。文学部で哲学を学び2011年に卒業した。現在求職中である。

 下宿して大学に通うためには、授業料と生活費で少なくとも年間100万円は必要だった。入学金と授業料など大学に払う費用だけで4年間で400万円近くに達した。親からの仕送りはほとんどなかっため、日本学生支援機構から教育資金を借りた。月額6万5000円、4年間で約300万円だ。成績優秀者に割り当てられる無利子の1種だった。

 このほかに大学の授業料免除も受けた。67万2000円の授業料が半額になった。本来なら計3年分受けられたはずなのだが、結局1年分だけで終わった。成績は達していたのに予算削減で採用にならなかったのだ。資産運用の失敗で20億円以上を損失したことが原因らしいと聞いて憤りを覚えた。

 月額6万5000円の「奨学金」だけでは当然不足である。足らない資金を補うため、早朝の時間を使ってセブンイレブンでアルバイトをした。オーナーはひどいパワハラをする男だった。気にいらないことがあると容赦なく罵声を浴びせた。胸倉をつかみ、タバコの煙を吐きかけた。苦痛だったが、授業と両立できるような仕事はほかになかった。

 就職活動の季節がやってきた。厳しかった。...……


2014年04月14日

「ブラック化する大学と教育の危機」、3・29大学シンポへ行われ170名参加

北海道私大教連
 ∟●3・29大学シンポへ行われ170名参加

3月29日、北大内を会場に2回目の大学シンポを開きました。
昨年の前回と同様、道私大教連や法曹関係等で構成する実行委員会の主催。
国公私の大学関係者約60名を含め一般市民計170名が参加。

前半の主催者報告(佐藤博文弁護士)と基調講演(寺本千名夫氏/専修道短大前学長)では、今も増加傾向にある大学での権利事件の現状と、背景にある高等教育政策をめぐる問題点を指摘。
後半のパネル討論は高等教育や労働問題の研究者、大学経営経験者の立場など計5名のパネラーがそれぞれの立場から、フロア発言を交え熱心な議論を繰り広げました。
今回の記録は後に報告集として冊子化される予定です。

ご参集の皆さん、お疲れ様でした。
…大学は公器です。そこで起こる問題を引き続き発信し、将来にわたって必要とされる地場の大学教育づくりを進めていくために今回の成果と参加者の皆さんからの意見を十分に咀嚼して今後とも活動してまいります。


政府 科学技術政策の改革戦略案

NHK(4月13日)

政府は、技術革新を推進して産業競争力の強化を促すため、公的な研究機関が民間企業との連携を強化し、研究の成果を事業化につなげる役割を担うことを明確にするなどとした科学技術政策の改革戦略の案をまとめました。

科学技術政策の改革戦略の案では、「日本から常に技術革新が生まれ、産業競争力の強化につなげるため、大学や公的な研究機関と民間企業との連携を強化し、研究成果を迅速に事業化できるようにすることが重要だ」と指摘しています。
そして、産業技術総合研究所などの公的な研究機関が、研究の成果を事業化につなげる役割を担うことを明確にし、事業化の見通しがついた研究は、民間から資金を得て継続することを原則とするなどとしています。
また、優秀な研究者が、大学や公的な研究機関の間で兼職や異動をしやすくするため、年俸制の導入を推進するとともに医療保険や年金、退職金などの制度も改善するとしています。
さらに、革新的な製品開発を行う中小企業やベンチャー企業に対して、国が財政支援を行うことなども盛り込まれています。
政府は、この改革戦略の案を、14日の総合科学技術会議で決定したうえで、ことし6月に取りまとめる新たな成長戦略に反映させることにしています。


ノーベル平和賞:「憲法9条」が候補に 受賞者は日本国民

毎日新聞(2014年04月11日)

 戦争放棄を定めた憲法9条をノーベル平和賞に推そうと市民団体がインターネットなどで呼び掛け、趣旨に賛同した大学教授らがノーベル賞委員会(ノルウェー)に推薦状を送ったところ、候補として受理したとの連絡があったことが11日、市民団体への取材で分かった。

 市民団体「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会(相模原市)によると、ノーベル賞委員会から9日夜に受理を知らせるメールが届いたという。

 実行委は神奈川県座間市の主婦がインターネットで呼び掛け、共感が広がって発足。平和賞は個人や団体に贈られるため受賞者は「日本国民」とした。(共同)


安倍首相靖国参拝は違憲 市民546人提訴

ytb(04/11 18:43)

安倍総理大臣が、去年、靖国神社を参拝したのは憲法に違反するとして、500人以上の市民が総理に参拝しないよう求める訴えを起こした。提訴したのは、大阪の市民団体の呼び掛けに応じて原告となった546人。安倍総理は、去年12月、現職の総理として、2006年の小泉元総理以来、7年ぶりに靖国神社を参拝した。これについて原告らは「憲法で定めた信教の自由や政教分離の原則に違反し、『戦争の準備行為』にあたる参拝で平和的生存権が侵害された」として、安倍総理に参拝しないよう求めている。原告の吉岡諒さん(26歳・大学院生)は『尖閣であったり慰安婦であったり東アジアの緊張関係が高まっている中で参拝してしまう。非常に怖いという印象を持った』と語った。安倍総理の参拝をめぐる訴訟は全国で初めてで、今月下旬には、東京でも、同様の裁判が起こされる予定。

2014年04月11日

全大教、「大学自治を破壊する学校教育法改正に反対します」

全大教
 ∟●全大教新聞、第298号(2014年4月10日)

大学自治を破壊する学校教育法改正に反対します

 中央教育審議会大学分科会(会長・安西祐一郎氏)が2月12日付で「大学のガバナンス改革の推進について (審議まとめ)」を公表しました。その中では。学校教育法を改正することで教授会の権限を大幅に制限すべきとし、また。学長・学部長の選考過程に教職員が投票などの方法で参加することも否定しています。
 全大教中央執行委員会は、3月9日付で声明を発表し、「審議まとめ」の撤回を求め、学校教育法を「改正」して教授会権限を制限することに反対する立場を表明しました。
 声明を紹介し、「審議まとめ」の危険な性格とそれに対する全大教の立場をお知らせします。声明全文は全大教HPからご参照下さい。
 全人教は今後、広く大学人、市民とともに、今国会に提案するとされている学校教育法改正に反対する運動を行っていきます。

「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)』の撤回を求め、学校教育法の「改正」に反対する(声明の骨子)

※多様性を損ない国民の学ぶ権利の危機をまねく:
「ガバナンス改革」の目的は、国策としての国際競争力強化に奉仕する大学をつくり上げること。「審議まとめ」の大学改革では、大学の教育・研究が経済的利益と経営効率に従属させられ、知と価値の多様性が大きく損なわれてしまうだろう。

※大学自治は不可欠:
学問の自由、そのための大学自治権の保障は、国民全体が学問の自由と高等教育を受ける権利を享受することの保障のため。学校教育法において、大学の蹴要事項を審議するために教授会を置<と定めた背景は、この憲法からの要請を法律上確認したもの。

※大学自治は歴史的・国際的に認められてきたもの:
ユネスコの勧告の中で、学間の自由を保持するためには大学自治の保障が不可欠であることが強調され、これが国際的基準。「審議まとめ」による改革では、日本の大学は国際的には大学とは呼べない人材育成機関になってしまいかねない、

※権力に從俗した学長専制体系でなく、真の学長のリーダーシップ確立を:
日本の大学が抱える問題点の多くは,政府・文科省の誤った政策に基づいた大学の誘導・統制に起因、2004年の国立大学法人化以降、混乱と疲弊が激化している。学長・学部長を大学構成員皆が支持する真のリーダーとして選出することが、今こそ必要。

 中央教育審議会は「審議まとめ」を撤回し、健全な大学運営がなされるような支援方策を打ち出すべき。
 大学自治の根幹といえる教授会の位置づけの変更をめぐる学校教育法改正の動きは重大。法案が提出された場合には、憲法で保障する学問の自由との関係の観点から、国会における徹底した審議が必要。
 全大教は、学校教育法改正を含む「ガバナンス改革」に反対する。学ぶ権利と多様な学問を守り保障するために、危機感を共有しこれらを守る運動をともに行っていくことを。ひろく大学人、市民に呼びかける。


2014年04月10日

佐賀大学退職金引下げ無効訴訟、第3回公判 被告大学側準備書面

ペガサス・ブログ版
 ∟●退職金裁判,被告の準備書面(2014-04-09)

退職金裁判,被告の準備書面

退職金減額は無効との裁判を起こしていますが,あさって11日午後3時から佐賀地裁で第3回の公判が開かれます.前回は3月7日でしたが,その時に出された佐賀大学の「被告準備書面(1)」を公開します*.ただし一部,本筋に関係ない部分を墨塗りしています.
http://ad9.org/pegasus/UniversityIssues/taishokukinsaiban/hikokujunbishomen1-kakou.pdf

この文書の日付からも分かるように,公判日の前日,しかも裁判所閉庁後の夕方という提出でした.あさっての裁判で「その2」が出るはずなのですが,今もって提出されたという連絡がありません.被告はまた裁判長に叱られるのでしょうか.

関連記事
退職金減額は無効と訴訟を起こしました
退職金減額無効訴訟,第一回公判


自民党文部科学部会・日本経済再生本部大学のガバナンス改革で勉強会

全私学新聞(2014年3月23日)

自民党文部科学部会・日本経済再生本部大学のガバナンス改革で勉強会
3氏が意見表明
佐藤桜美林学園理事長「私学の多様性認めて」
学長選考方法や学長補佐体制などが焦点に

 自由民主党の文部科学部会(丹羽秀樹部会長=衆議院議員)と日本経済再生本部(高市早苗本部長=衆議院議員)は、3月14日、東京・永田町の党本部内で、大学のガバナンス改革に関する合同勉強会を開いた。

 この日は、冒頭、塩崎恭久・日本経済再生本部長代行と丹羽部会長があいさつした後、平野俊夫・大阪大学総長、佐藤東洋士・桜美林学園理事長・桜美林大学総長、北城恪太郎・国際基督教大学理事長(日本アイ・ビー・エム株式会社相談役、経済同友会終身幹事)の3氏から、大学のガバナンス改革に関する意見を聴取した。

 この中で平野大阪大学総長は、「研究型大学のガバナンス改革に係る大阪大学の取り組み」と題して、〝世界トップ10〟に向けた同大学の取り組みを紹介。

 その上で世界の大学と競争するためには、学長選考会議で選考と解任の理由を明確化し、学長の業績評価の義務化、運営交付金等の一部を学長に配分、ポストの配置権を学長に与えること、学長を支援する専門組織の充実、各国立大学が策定する中期計画期間(現行6年)の延長(10~12年)等を提案した。

 佐藤桜美林学園理事長は、私立大学は建学の精神を有し、大学のガバナンスについても多様な方策・工夫を講じてきており、私立大学におけるガバナンスを国立大学法人と同様に一律に論じることは必ずしも適切ではないものと考えている、とし理解を求めた。

 桜美林大学においては、教員採用等の人事に関しては、学科単位で実質的に進められ、大学を総括すべき立場の学長の意向が全く反映されない状況にあったことから、学長のリーダーシップの下に全学人事委員会を設置し、大学全体を見渡した計画的採用および人事ができるように改善したこと、教授会の審議事項に関しては、教学、すなわち教育活動、研究活動に限ったこととし、大学経営は理事会とするよう整理したことを報告。その上で文部科学省が検討を進めている学校教育法第93条の改正については賛成の意向だと語った。

 北城国際基督教大学理事長は、大学のガバナンス改革について、1月28日、自由民主党の日本経済再生本部・教育再生実行本部合同会議に次ぐ2度目の意見表明となった。その中で北城理事長は、本来、学長や理事会に最終決定権がある事項について直接責任を負う立場にない教授会が意思決定機関として運営されている大学が多く、学長のリーダーシップによる迅速な大学改革を阻害している、と指摘。学校教育法第93条に関しては、「大学には、教育及び研究に関する学長の諮問機関として教授会を置く」と改めるよう提案。国立大学の学長選考に関しては、学外の意向が反映するよう国立大学法人法第12条を改正し、「学長選考会議の委員の数は、経営協議会に所属する学外委員を過半数とする」とし、「学長選考においては、原則として教職員による意向投票は行わないものとする」との方針を文部科学省令で示すよう求めた。

 また、私立大学の学長の選考に関しては、私立大学も国民の税金によって支援されている社会的存在であることから、私立学校法で、ガバナンスの中心である学長の選考方法を定めることについて検討すべきだ、と語った。

 こうした意見表明に対して、出席の議員からは、「外部が正しく、内部が正しくない、という硬直した話ではないだろう。外部の価値観を取り入れることについてはどういうことがいいのか」といった質問が北城理事長に出された。北城理事長は、「外部の人は、社会の変化を大学に伝えるという点で意味がある。学内を変える時に学外の人をてこに使っている例もある」と回答。

 また別の議員からは、「私学には建学の精神があると言われるが、社会的な役割は大きい。何もやらなくていいとは言っていない。私学は、我々にもわかりやすい具体的な(改革)案を出してほしい」との意見も出された。

 さらに平野大阪大学総長は、「学長には人事権がなく、仮に学長の意向を押し切ってやったとしても今の選挙方法ではその学長は消されてしまう。また学長の権限をバックアップする体制も必要。意向投票については、してもしなくてもいい。一つの要因にすぎない」と語った。

 また、佐藤桜美林学園理事長は、「学外の人を入れるとうまくできるかというと、そうではない。多様性を認めてほしい。(私立大学の)活力をなくさないようにしてほしい」と訴えた。

 自民党の文部科学部会と日本経済再生本部は3月19日にも大学のガバナンス改革に関して3人の有識者からヒアリングを行っており、納谷廣美・明治大学学事顧問らが意見表明している。

 両組織では合同でさらにヒアリングを続け、国公私立大学のガバナンスの在り方を検討することにしている。

 文部科学省では今年2月の中教審大学分科会の審議まとめ「大学のガバナンス改革の推進について」を受けて学校教育法等の改正の準備を進めており、学校教育法等の改正案は政府の成長戦略関連法案としても位置付けられている。


2014年04月09日

ネット署名、「大学の自治を否定する学校教育法改正に反対する緊急アピール」

全大教
■署名はこちらから→<https://business.form-mailer.jp/fms/dc0ab1ea31301

『大学の自治を否定する学校教育法改正に反対する緊急アピール』

 日本の大学と民主主義は、いま重大な危機にさらされています。
 政府・文部科学省は、教授会が審議する事項を学位授与や教育課程の編成等に限定し、教育研究と不可分な人事・予算等を審議させないことで、学長の権限を抜本的に強化するという学校教育法改正法案を今通常国会で成立させるとしています。教職員による学長選挙を否定し、学部長さえも学長の指名にすることを射程に置いています。
 大学は、その歴史を通じて、国家や権力を持った勢力による統制や干渉から学問の自由を守るために大学の自治を確立してきました。大学の自治は、自由で民主的な市民を育成するという大学の使命を果たすために不可欠です。わが国においては、憲法23条が学問の自由を保障し、学校教育法は国公私立大学の別なく「重要な事項を審議するため」に教授会を置くことを定め、教授会を基盤とした大学自治の法的枠組みが整備されています。人事と予算に関する教授会の審議権はその最も重要な制度的保障であり、これを否定する学校教育法の改正は、大学の歴史と大学の普遍的使命に照らして到底認められない暴挙です。
 安倍政権は、財界のグローバル戦略を大学に押しつけ、大学を政府・財界の意向に従属させるための大学破壊を強引に推し進めています。今回の学校教育法改正法案は、教育委員会制度の解体、道徳教育の教科化等と並び、戦後、国民が培ってきた民主的な教育の否定を意図するものです。
 学校教育法改正は、学問の自由と大学の自治を侵害し、国民のための大学を国家目的に奉仕する機関へと変質させるものにほかなりません。人類的課題が山積する困難な時代であればこそ、学術と大学の自由で多様な発展が必要です。私たちは学校教育法改正に反対し、国会で徹底審議のうえ廃案とすることを強く求めます。

2014年4月7日

学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会

 【呼びかけ人】(五十音順)
 芦田 文夫(立命館大学元副総長)   
 池内 了 (名古屋大学名誉教授)
 内田 樹 (神戸女学院大学名誉教授) 
 尾池 和夫(京都造形芸術大学学長)
 大橋 英五(立教大学元総長)     
 今野 順夫(福島大学元学長)
 西谷 敏 (大阪市立大学名誉教授)  
 広渡 清吾(専修大学教授、東京大学元副学長)
 松田 正久(愛知教育大学前学長)   
 森永 卓郎(獨協大学教授)
 矢原 徹一(九州大学大学院教授)

4.20 シンポジウム、「いま、大学の自治を問う」へのご参加を!

京大職員組合
 ∟●京大職組「職員組合ニュース4-7発行

4.20 シンポジウム
「いま、大学の自治を問う」
へのご参加を!

〇“大学は沈没直前のタイタニック号、なのに大学関係者は船内でダンスに励んでいる” !?
 現中教審会長、現京大総長選考会議議長安西祐一郎氏の発言です(2012 年 12 月 22 日読売新聞インタビュー)。発言は京都大学教授山中伸弥氏のノーベル賞受賞式(同年 12 月 10 日)の約 2 週間後。ノーベル賞受賞者輩出の大学を沈没直前のタイタニックに例えて大学教員等は船内でダンスを踊っているなどとは信じられない認識です。大学教職員への侮蔑です。

〇“総長は総長選考会議だけで選ぶ。教職員の投票はいらない”
(学外委員案)
 3 月 18 日の教育研究評議会で総長選考会議学内委員の方が報告し明らかにした総長選出にかかる学外委員案です(職員組合ニュース 2014 年 3 月 19 日付け号外)。「総長選考新方式を決定」との読売報道が事実でないことも報告されました。学外委員案は独裁案と言えるものです。

〇組合の運動と学内外の世論を結集して大学の自治を発展させよう
 4.20 シンポジウムへの協賛団体も日々増えています。京都府公立大学法人労働組合(府立大学、府立医科大学)、高等教育研究会、左京地区労働組合協議会、全大教近畿地区協議会、京都総評、日本科学者会議京都支部等々。4.20 シンポジウムへの多くのみなさんの参加で成功させ、大学自治・自由の学風を守り発展させる良識を大きく示しましょう。

4.20シンポジウム 「いま、大学の自治を問う」
ー京大での総長選挙廃止の動きと大学「改革」ー

日 時:2014年4月20日(日) 13:00?15:30
会 場:京都大学 法経本館 法経第7番教室

プログラム:
    司 会:池田 豊 (ねっとわーく京都)

    開会挨拶:「京大総長選挙をめぐる局面と私たちのとりくみ」
         高山佳奈子
          (京大職組副委員長/京都大学法学研究科 教授)
         
    報告(1) :中教審大学分科会「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」
         (2014.2.12)をめぐって
         報告者:西牟田 祐二
          (京大職組委員長/京都大学経済学研究科 教授)

    報告(2) :経済同友会提言「私立大学におけるガバナンス改革」(2012.3.26)をめぐって
         報告者:鈴木 眞澄
          (日本私大教連 副委員長/京滋私大教連 副委員長/龍谷大学法学部教授)

    報告(3) :国立大学における安倍内閣大学改革の特徴と全大教のとりくみについて
         報告者:中嶋 哲彦
          (全大教 委員長/名古屋大学教育発達科学研究科 教授)

    パネルディスカッション
     パネリスト:中嶋 哲彦/鈴木 眞澄/西牟田 祐二

    閉会挨拶:石倉 康次(京滋私大教連 委員長/立命館大学産業社会学部 教授)

主 催:京都大学職員組合/京滋地区私立大学教職員組合連合 
後 援:全国大学高専教職員組合/日本私立大学教職員組合連合
協 賛:高等教育研究会/日本科学者会議 京都支部/京都総評/左京地区労/全大教近畿/
    京都府公立大学法人労働組合


私立学校法の一部を改正する法律、参議院文教科学委員会の国会附帯決議

■私立学校法の一部を改正する法律
http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/kakutei/detail/1346340.htm
私立学校法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

私立学校法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

平成二十六年三月二十五日
参議院文教科学委員会

 政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

一、私立学校制度は、私立学校の特性に鑑み、その自主性を重んじつつ公共性を高めることによって私立学校の健全な発達を図ることを目的としていることに留意し、学校法人がその自主性及び公共性を十分に発揮できる管理・運営の在り方、特に内部チェック機能の強化、財務・会計関係書類の開示等について検討すること。

二、所轄庁による措置命令等の判断基準を明確化するため、第六十条第一項に規定された「その運営が著しく適正を欠くと認めるとき」の適用事例を具体的に示し、学校法人等に周知徹底すること。

三、措置命令等を発する場合には、所轄庁による恣意的な適用が行われないよう、法的手続の遵守を徹底し、その運用に当たっては、私立学校審議会等の意見を尊重するとともに、所轄庁の判断について公表し、説明責任を果たすこと。

四、学生等が在籍している学校法人に対し解散命令等を発するに当たっては、修学機会確保の観点から、在校生の転学等が円滑に行われるための支援等に積極的に取り組むこと。

五、我が国の学校教育において、私立学校が大きな割合を占め建学の精神に基づく特色ある教育活動を通して重要な役割を果たしていることに鑑み、私学助成の拡充を始めとする私学振興策の充実に努めること。

  右決議する。


教授になれないよ…研究費で赤字補填、大学提訴

読売新聞(2014年04月08日)

 奈良市の奈良教育大で、講座で生じた赤字を研究費で負担させられたとして、60歳代の男性教授が、同大学を相手取り、慰謝料を含め500万円の損害賠償を求める訴訟を地裁に起こしたことがわかった。

 提訴は2日付。

 訴状などによると、男性教授は、助教授だった2003年10月、自身を含め7人の教員が所属していた講座の運営費の累積赤字約480万円について、男性主任教授に自身の研究費で補填ほてんするよう強要されたと主張。主任教授からはまた、「費用を負担しなければ教授にはなれない」と言われるなどのパワーハラスメントを受けたとしている。

 04年度以降、男性教授は大学側から研究費を受け取ることもなく、返済にあてられたとした上で、「本来大学が処理すべき赤字を個人に負担させるのは差別的な扱いで、会計上の不正行為でもある」と話している。

 同大学総務企画課は「訴状を見ていないので、コメントできない」としている。


東京福祉大の元課長、1.1億円余り着服し懲戒解雇

TBSニュース(2014年4月8日)

 東京福祉大学を運営する学校法人の財務担当課長が、大学の運営費など1億1000万円余りを着服していたことが分かりました。大学側は職員を懲戒解雇し、刑事告訴を検討しています。

 懲戒解雇されたのは、東京福祉大学を運営する学校法人「茶屋四郎次郎記念学園」で財務担当課長を務めていた61歳の男性職員です。

 大学側によりますと、元課長は2011年から翌年にかけて定期預金を勝手に解約するなどの手口で、大学の運営費など1億1200万円余りを着服していたということです。

 元課長は通帳や印鑑を1人で管理していて、人事異動で着任した新しい課長が去年、金が引き出されていることに気づいたということです。

 大学側の調べに元課長は着服を認め、去年、懲戒解雇されました。金は返済されておらず、使い道も分かっていないということで、大学側は刑事告訴を検討しています。

[同ニュース]
東京福祉大の元課長、運営費など1億円以上着服 懲戒解雇
学校法人の元財務担当課長、1億1200万着服
学校法人元課長が1億円着服 東京福祉大を運営
学校法人の元課長が1億円着服
東京福祉大運営費など1億円着服 学校法人元課長を懲戒解雇
東京福祉大職員が1億円余着服 解雇
学校法人の元課長、1.1億円着服 公表恐れ告訴せず
東京福祉大:元課長が1億円超着服 告訴せず懲戒解雇

私立5大学の設置を諮問 下村文科相

朝日新聞(2014年4月8日)

 下村博文文部科学相は8日、2015年度の開設を申請した大学5校の審査を、大学設置・学校法人審議会に諮問した。いずれも新設で、私立のみ。申請した大学は次の通り。

 幸福の科学大(千葉県長生村)▽湘南医療大(横浜市)▽長野保健医療大(長野市)▽滋慶大(大阪市)▽鳥取看護大(鳥取県倉吉市)



[同ニュース]
幸福の科学大が設置申請、人間幸福学部など3学部 文科相、私立5校を諮問

2014年04月08日

大阪府立大学問題を考える会、「統合問題を考える講演会」を開催

大阪府立大学問題を考える会
 ∟●大阪府立大学と大阪市立大学の統合問題を考える講演会

大阪府立大学と大阪市立大学の統合問題を考える講演会に参加ください 

 3月に行われた大阪市の「出直し市長選挙」は、橋下前市長が再選されたものの投票率が過去最低となり、得票数は前回の75万から37万と半減しました。「大阪都」構想は民意を得たどころか、これがいかに民意とかけ離れたものであるかを明らかにしました。
 こうした中で私たちがはじめた大阪府知事と大阪市長あての「府立大学と私立大学の拙速な統合はやめてください」の要請署名は4千名近く(3月末)となっています。ご協力にお礼申し上げます。
 道理のない両大学の統合をやめさせるまで、署名をさらにひろげるための取り組みをすすめています。ひきつづくご協力を訴えます。
 このたび運動を広げるため、「大阪府立大学問題を考える会」と「大阪市立大学の統合問題を考える会」が共催で、統合問題を考える講演会を開催することになりました。会場は、なんば駅近くに昨年4月に開設した府立大学の施設です。ぜひご出席ください。

○ と き 5月18日(日)午後1時30分から
○ ところ 大阪府立大学 I・siteなんば(2階)
○ 講 師 小林宏至 大阪府立大学名誉教授
       森 裕之 立命館大学教授(大阪市立大学卒)

2014年4月2日

大阪府立大学問題を考える会
代表 野崎 清(女子大卒)
代表 中井英二(府立大卒)

2014年04月07日

親のスネ 細くなる一方 首都圏 私大生仕送り最低8万9000円

東京新聞(2014年4月6日)

 首都圏を中心とする私立大に二〇一三年度に入学した下宿生への仕送り月額(六月以降の平均)は十三年連続で減少して八万九千円となり、一九八六年度の集計開始以降で過去最低を更新したことが、東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)の調査で分かった。
 調査は昨年五~七月、茨城、栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川の六都県にある十五大学・短大の新入生を対象に実施し、保護者五千四十八人から回答を得た。うち下宿生は千九百五十八人だった。
 下宿生への仕送り額は前年度より五百円減り、ピークだった九四年度の十二万四千九百円から三割近く減少した。仕送り平均額から家賃平均額を引いた生活費は一日当たり九百三十七円となり、過去二番目に低かった。
 一方、自宅生も含めた保護者の平均年収は九百一万九千円で、過去最低だった前年度から約二十七万円増えたが、東京私大教連の担当者は「家庭の経済状況が厳しいことに変わりはなく、仕送りを増やすまでの余裕はないようだ」と話している。
 受験費用のほか初年度納付金、住居費、四~十二月の仕送り額の合計は二百九十三万八千二百二十六円で、年収の三分の一を占めていた。

私大下宿生への仕送り額最低に 月8万9000円

日経新聞(2014/4/4)

 首都圏を中心とする私立大に2013年春に入学した下宿生への仕送り額(6月以降の月平均)は月額8万9千円で、13年連続で減少したことが4日、東京地区私立大学教職員組合連合の調査で分かった。前年度より500円減で、1986年度の調査開始以来の最低を更新。ピークの94年度(12万4900円)と比べると3割近く減った。

 東京私大教連は「世帯収入は伸び悩んでおり、大学生を抱える家庭の厳しい家計が浮き彫りになった」と指摘。学費負担を軽減する給付型奨学金などの助成制度の拡充を国に求めた。

 調査は昨年5~7月、東京や神奈川など6都県にある15大学・短大の新入生の保護者を対象に実施。仕送りをしている1958人の回答を分析した。

 調査によると、仕送りの平均額は11万9300円だった00年度から年々減少。一方、家賃の平均額は同年度の5万9600円から微増傾向が続き、13年度は6万900円になった。

 仕送りから家賃を引いた1カ月の生活費は2万8100円。1日当たり937円で、最も多かった90年度(2460円)の4割にとどまる。受験費用や住居費、4~12月の仕送りなどの合計は293万8226円で、回答した保護者の平均世帯年収(901万4千円)の32%を占めた。

私大生:経済効果は?仕送り過去最低、生活費1日937円

毎日新聞(2014年04月04日)

 首都圏の私立大・短大に昨春入学した自宅外通学生の生活費は1日937円??。東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)が4日、こんな調査結果を発表した。仕送り額は13年連続で減少し過去最低を更新。「アベノミクス」の経済効果が、1人暮らしの大学生を抱える家庭にまでは浸透していない実態が浮き彫りになった。

 調査は早稲田大、明治大など首都圏の15私立大・短大の新入生の保護者を対象に昨年5?7月に実施。5048人から回答を得た。このうち自宅外通学は約4割。仕送り額は月平均8万9000円で、1986年度の調査開始以来過去最低だった前年度より500円下がった。仕送り額から家賃を引いた生活費は1日平均937円。2年連続で1000円を切り、過去最高だった90年度(2460円)の半分以下だ。

 同教連によると、不足分を補うためのアルバイトで疲れ切った学生も珍しくなく、生活費を節約するため安価な学生食堂さえ利用せず、昼食に弁当持参の学生も目立つという。

 文部科学省は奨学金事業の改善を図るとして、今年度予算で、無利子奨学金の貸与人員を前年度より2万6000人増やし45万2000人(1人当たり平均年間68万円)とするなど対策を講じている。同教連は、返済の必要がない給付型奨学金の創設や希望者全員への無利子奨学金貸与を求めている。【三木陽介】


2014年04月04日

4.20緊急シンポジウム、「いま、大がの自治を問う-京大での総長選廃止の動きと大学「改革」-」

京滋私大教連
 ∟●いま、大学の自治を問う―京大での総長選廃止の動きと大学「改革」

【4.20緊急シンポジウム】
いま、大がの自治を問う
-京大での総長選廃止の動きと大学「改革」-

 今、日本の大学と民主主義は、重大な危機に直面しています。政府・文部科学省は、中教審大学分科会組織運営部会の審議を受けて、学校教育法「改正」法案を今通常国会に提出しようとしています。具体的には、教職員による学長選挙(意向投票)の廃止を含む「学長選考方法の見直し」、学長を補佐する「統括副学長」や「高度専門職」の導入などとともに、学校教育法第93 条の教授会が審議する「重要な事項」の範囲を「①学位授与、②学生の身分に関する審査、③教育課程の編成、④教員の教育研究業績等の審査等」に限定し、学部長の選出など教員人事にかかわる教授会の権限を見直すことを主たる内容としています。
 このような事態が進展する中、学校教育法「改正」法案を先取りするような動きが強まっており、京都大学では総長選挙制度廃止をめぐる問題が浮上しています。また私立大学に関しては、経済同友会が学長・理事長のトップダウンを推奨する「ガバナンス改革」を提言していますが、政策決定の「スピード化」に力点を置いた議論がなされるあまり、民間企業における組織運営の問題点や大学組織の特性を踏まえた検討が十分になされないまま、具体的な法改正が進められようとしていることは極めて重大です。
 こうした状況を踏まえて、国立大学と私立大学における組織運営をめぐる問題状況を交流するとともに、今後の取り組みに向けた議論を深めるために「緊急シンポジウム」を開催します。高等教育の真の発展に資する包括的な「ガバナンス」のあり方について、教育・研究の現場を支える教職員をはじめ各層の意見を広く集約し、検討を深めるために、多くの皆さんが本シンポジウムに参加されることを呼びかけます。

◆開催日時:2014 年 4 月 20 日(日)13:00~15:30(12:30~受付)
◆会場:京都大学吉田キャンパス・法経本館7 番教室(1 階)
※会場へのアクセス:https://www.econ.kyoto-u.ac.jp/about/access/campusmap/

◆報告①:中教審大学分科会「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」(2014.2.12)をめぐって
西牟田 祐二氏(京都大学経済学研究科教授/京都大学職員組合中央執行委員長)
◆報告②:経済同友会提言「私立大学におけるガバナンス改革」( ② 2012.3.26)をめぐって(仮題)
鈴木 眞澄氏(龍谷大学法学部教授/日本私大教連副執行委員長・京滋私大教連副執行委員長)
◆報告③:国立大学における安倍内閣「大学改革」の特徴と全大教の取り組みについて
中嶋 哲彦氏(名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授/全国大学高専教職員組合中央執行委員長)
◆パネルディスカッション(司会:NPO 法人「ねっとわーく京都21」代表・池田豊氏)

主催:京都大学職員組合、京滋地区私立大学教職員組合連合
後援:全国大学高専教職員組合、日本私立大学教職員組合連合
協賛:高等教育研究会、日本科学者会議京都支部(他にも要請中)

教員のパワハラ、セクハラ続いた東北大学 「相談窓口」活用で学内浄化進むか

Jcastニュース(2014/4/ 3)

 東北大学で教員の処分の発表が相次いだ。職員に対するパワハラ、さらには他校の女子学生へのわいせつ行為が発覚したという。
 同大学では過去数年の間に助手や教員の自殺もあり、2013年には、弁護士やジャーナリストらが企画した「ブラック企業大賞」で「特別賞」に選ばれている。

わいせつ行為の40代男性講師は懲戒解雇
 東北大学では、過去1か月ほどの間に3件、教員に対する懲戒処分を明らかにしている。直近では2014年4月2日、大学院医学系研究科に所属する60代男性准教授が、図書館職員にクレームをつけて土下座を強要したりサービスカウンターをたたきながら暴言を吐いたりといった行為を2012年9~12月に何度も繰り返したとして、4月1日付で停職1か月の処分を発表した。その2日前には、大学院経済学研究科の40代男性講師が、研究会で知り合った他大学の女子大学院生を飲食に誘い、気分が悪くなったという女子学生をホテルに連れて行ってわいせつな行為を働いたため、懲戒解雇になっている。
 さらに1か月さかのぼった2月28日、大学院工学研究科の50代男性客員教授が職場の懇親会の席上で女性職員にセクハラ行為をはたらき、2月27日付で停職6か月となった。
 学内の不祥事を隠さず、きちんと情報公開しているとは言えるが、これほど重なると教員によるパワハラ、セクハラが横行している印象もぬぐえない。
 実は1年前、世間から厳しい評価が突き付けられていた。「ブラック企業大賞・特別賞」――。不名誉な賞を贈られたのだ。ハラスメントや長時間労働、いじめ、コンプライアンス違反といった組織の負の部分を勘案し、インターネット投票をもとに選ばれた。本来は文字通り企業が対象なのだが、東北大だけが「別枠」で候補に挙がったのだ。2007年、長時間労働や教授による「アカハラ」を苦に薬学部助手が自殺したとして、遺族が大学を相手に訴訟を提起。また2012年には、激務のさなかに「2年以内の研究室閉鎖」を一方的に告げられて精神のバランスを崩したという工学部准教授が自殺したことが、ノミネートの理由となっていた。
 ネット投票では、候補となった8つの組織のなかで2位。一般的にも悪いイメージが広がっていることを裏付けた格好だ。

学内でハラスメント研修会実施も「具体事例聞きたい」
 ただ、教員の不祥事により入学者が激減するような致命的なダメージにはつながっていないようだ。大手予備校の河合塾が発表した2014年度の国公立大学出願状況を見ると、東北大全学部の募集人数合計が1958人だったのに対して出願者は6392人、倍率3.3倍だった。前年度比で志願者は微減しているが、文、経済、歯学部は逆に増加していた。
 コンプライアンスを担当する兵頭英治副学長は、学生が運営する「東北大学新聞」2013年10月24日の記事に登場し、「東北大学として『ブラック』と呼ばれるものを決して許容しないという基本姿勢をキチッと示していく」「大学は皆さんの悩みや困難を真摯に受け止め、秘密厳守で一緒に考えます。一人で悩まないでください。大学は責任を持って皆さんの力になることを約束します」と語っていた。
 2013年9月30日には「大学院教育学研究科ハラスメント防止対策委員会」主催による、学生や教職員を対象とした研修会を実施。弁護士を招いてセクハラやパワハラに関する講義が行われた。参加したのは62人で、終了後のアンケートでは研修の開催自体を評価する声があった半面、「もっと具体的な事例を挙げてほしかった」との意見が複数寄せられた。
 また学内にはハラスメントの相談窓口が設けられ、被害に合った場合に積極的に活用するよう呼びかけている。報道によると直近の2件のパワハラ、セクハラは相談窓口に寄せられた申し立てによって発覚し、処分につながった。こうした取り組みがハラスメント撲滅に貢献し、「ブラック大学」の汚名返上となるだろうか。


[関連ニュース]
机たたき大声・土下座させ…東北大准教授を停職

常葉学園、いじめ訴訟

スポニチ(2014年3月25日)

野球部のいじめ訴訟 常葉学園と少年が和解

 常葉学園菊川高校(静岡県菊川市)硬式野球部の元部員の少年(19)が、当時の先輩部員からいじめを受けて不登校になったとして、経営する学校法人常葉学園と先輩らを相手取って慰謝料など計約2900万円の損害賠償を求めた訴訟は25日までに、横浜地裁で和解が成立した。24日付。

 少年側の弁護士によると和解内容は非公表。常葉学園は「和解内容で定められており、コメントできない」としている。

 訴状によると、少年は野球の特待生として2010年に入学したが、先輩4人から殴られるなどの暴行を受け、寮を追い出されて不登校になったとしていた。

 4人は暴行容疑で書類送検され、静岡地検浜松支部が11年9月、家裁送致。静岡家裁浜松支部は審判不開始とした。日本高校野球連盟は同校野球部を注意した。


2014年04月03日

金城学院大学非常勤講師の雇止め無効を求める裁判の公正判決を求める要請書

名城大学・金城学院大学 非常勤講師裁判
 ∟●金城学院大学非常勤講師の雇止め無効を求める裁判の公正判決を求める要請書

2014年(ネ)第255号地位確認等請求事件

金城学院大学非常勤講師の雇止め無効を求める裁判の公正判決を求める要請書

名古屋高等裁判所民事第1部 御中

要  請  書

 齊藤直美さんは、2005年より6年間金城学院大学(以下、大学とも言います)の英語英米文化学科でスペシヤリストプログラム3、4年生を対象に「翻訳演習」を教えてきましたが、2010年7月20日に突然学科担当教授から呼び出しを受け、次年度からの契約更新をしない旨通告されました。
 上記通告の理由は、「シラバス変更、学生アンケートの結果、出席簿の保管問題とされました。
 しかし、「シラバスの変更」というものの、「翻訳演習」は必須科目で、実際に大学が言うところの翻訳理論の講義もでき、また、実際に、その実質的変更はありませんでした。もともとシラバスの内容は担当教官によって決められるものです。ところが、大学は、シラバスの内容が変わった等という「理由」付けをしました。また、「学生アンケート」はゼミ科目には実施されておらず、理由に挙げられたアンケートは恣意的実施でした。大学は、齊藤さんが2009年の「出席簿」が保管期間の4月末以前に処分したと言っていますが、実際には5月の連休明けまで保管をしていましたし、このことは教務委員長立ち会いのもとで既に決着済みされていました。大学は齊藤さんに対し、「非常勤講師を雇うのも辞めさせるのも専任の一存で決められる」等と言って齊藤さんを雇止めにしました。
 そのため齊藤直美さんは、2011年10月に金城学院大学を提訴し、裁判を闘ってきましたが、2014年2月14日の判決では、「本件雇止め以前には、被告(大学)から、原告(齊藤さん)に対し、契約を更新するか否かに関連させて、原告の非常勤講師としての問題点の指摘などがなされたことはなかったことを考え併せれば、本件雇止めの時点で、原告が、平成 23 年度以降の雇用継続を期待することに合理性があったものと認めることができる。」と「期待権」が認められたものの、上記雇止め理由の不当な事実認定により,雇止め無効と地位確認を求める原告請求は棄却されました。
 この判決は、この雇止めの本当の理由が、専任教授が自分の雇いたい人のために、齊藤直美さんの授業を充当させんがため、斎藤直美さんを雇止めにするため恣意的に後付けした、合理性のない不当な理由であるのであることは明かです。そこで、以下の通り要請いたします。

[要請事項 ]
1.齊藤さんの雇止めが不当な後付け的理由によるものと認め、非常勤講師としての地位を認める公正な裁判をお願いします。
2. 金城学院大学が齊藤さんに与えたいわれのない屈辱と精神的肉体的苦痛に対して相応の慰謝料の支払いを認める公正な裁判をお願いします。


福岡教育大学、これでいいのか、学長選考! これでいいのか、情報公開!

新首都圏ネット
 ∟●福岡教育大学教職員組合ニュース,No.14

これでいいのか、学長選考! これでいいのか、情報公開!
―「疑惑」の情報開示期限延長とその結末―


 周知の通り、2013年 11 月 26 日、学長選考会議は、同日の教職員による意向投票結果を即座に覆して、第 1 位に大差をつけられ第 2 位に甘んじた寺尾愼一氏を学長候補者としました。組合は、このような到底受け入れがたい学長選考会議の決定に対して、抗議のための声明を出し、またビラ配布を行いました。しかし、学長選考会議は、選考理由を説明するどころか当日の会議記録すらいっこうに公表しようとはしませんでした。そこで、組合は、「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」(以下、「情報公開法」)に則り、2014 年 1 月 16 日付で学長宛に「法人文書開示請求書」を提出し、「平成 25 年度第 8 回学長選考会議議事概要」の開示請求を行いました。

 ところが、「樟の葉」13 号でもお伝えしたように、法人側は、情報公開法 10 条 1 項が開示請求から30 日以内と定める開示期限当日の 2 月 17 日になって、「開示請求のあった当該文書の作成に関しては、当該会議において内容を確認した上で作成することとなっていることから、現段階では未作成であるため」という全く理解不能な理由により、開示期限を30 日後の 3 月 17 日に延長する通知をしてきました。確かに、一般論として、情報開示期限延長の例外的措置は、情報公開法10 条 2 項の「事務処理上の困難その他正当な理由があるとき」には可能ですが、今回のケースは、これには該当しません。学長選考から開示請求までには 2 か月近くが経過していたのであり、この間に学長選考会議が法人文書としての会議記録を作成することが「事務処理上の困難」を伴うものでないことは、法人側も認めざるを得ませんでした。それにもかかわらず、学長選考会議が会議記録を作成せず、そのために速やかな情報開示ができなかったとなれば、このことは、むしろ情報公開法における法人文書の開示義務を根底から骨抜きにするものであり、開示期限延長のための「その他正当な理由」というにはあワりにも無理があります。そして、このような事態を招いた責任は、法人文書の開示義務を課された法人の長である寺尾学長が最終的に負うことになります。

 そもそも、寺尾学長は、原則30日以内という開示期限を遵守する努力をしたのでしょうか。今回のケースでは、情報公開法が開示義務の例外とするような情報(例えば個人のプライバシーにかかわる情報)が含まれていることは考えにくく、開示の可否について難しい判断を迫られるような場面は、まったくなかったはずです。したがって、会議記録が作成されてさえいれば、寺尾学長がこの簡単明瞭なケースを速やかに法人の情報公開・個人情報保護委員会の審議に付したうえで、即座に開示できたのであって、ごく簡単に済む話だったはずです。

 ところで、寺尾学長は、2 月 20 日の文科省での辞令交付式の翌日に開かれた教育研究評議会において、別件に関してですが、「これまで用心していたが、昨日辞令をもらったので、もう心配はなくなった」という趣旨の発言をしています。もし寺尾学長のなかに「次期学長の辞令をもらうまでは、用心のために学長選考会議の記録を開示するのはやめておこう」という意識があり、これが会議記録の作成遅延、そして開示期限延長につながったとすれば、学長選考過程に関してなにかやましいものを感じていたのではないかと疑いたくもなりますし、なにより情報公開法に違反することにもなります。

 こうした「疑惑」の開示期限延長をほぼ最大限に活用したあげく、法人は、ようやく 3月 13 日に「平成 25 年度第 8 回学長選考会議議事概要」を開示してきました。これをみると、わずか 50 分程度の会議とはいえ、そして「議事概要」であるとはいえ、法人の最高責任者の選考に関する審議記録としてはあまりに簡素で素っ気ないものとなっています。また、学内電子掲示板を見る限り、法人のスケジュール表にも学長選考会議が開催された形跡はまったくなく、どこの誰がどのような権限と手続によりかくも重要な法人文書を作成したのか不透明なまま、ぬぐいようのない不信感を呼び起こします。学長選考から情報開示に至るまでに4か月になろうとする時間を費やした結末がこんなことになり、「これでいいのか、情報公開!」と怒りを通り越してあきれるばかりです。

 またしかし、このような貧相な開示内容からでも、学長選考過程がいかにずさんなものであったかを垣間見ることができます。学長選考規程では、「学長選考会議は、…所信表明等を基に、…意向投票の結果を参考にし,学長候補者を決定する」となっているにもかかわらず、「あくまで意向投票は意向投票になっており、教職員の意向に関わらず、学長選考会議で決定する」といった意見が幅をきかせ、規程を無視して選考手続が進んだことが見て取れるからです。それが証拠に、所信表明はおろか、意向投票について、これらを審議し吟味した形跡が議事概要には全くありません。しかも、50 分の会議時間には、学長候補者に決定した寺尾氏本人と面談して就任受諾を得る手続も含まれていますから、学長候補者を決定するための実質的な会議時間は、さらに短かったことになります。このように、私たちがそれぞれ強い思いを持って投じた「清き一票」は、私たちひとりひとりの尊厳もろとも、いとも簡単に土足で踏みにじられてしまいました。

 「これでいいのか、学長選考!」という怒りの念は今や確信と変わりましたが、これからも、組合は、粘り強く、できることを、すべきことを続けていきます。

バイト学生に土下座強要、東北大准教授を停職処分

産経新聞(2014.4.2)

 東北大は2日、付属図書館のアルバイト学生に土下座を強要するなどパワーハラスメントを繰り返したとして、大学院医学系研究科の60代男性准教授を停職1カ月の懲戒処分にしたと発表した。1日付。

 東北大によると、准教授は2012年9~12月、土下座の強要のほか、図書館のサービスカウンターをたたいて職員に暴言を吐くなどの行為を繰り返した。ストレスで身体の不調を訴える職員も出た。

 12年10月以降、複数の職員がハラスメント対応窓口に申し立てて発覚。大学側は13年9月、准教授に対し、図書館職員との接触禁止を命じた。准教授は「ハラスメントをした認識はない」と反論しているという。里美進学長は、「再発防止に向けた啓発活動を行う」とのコメントを発表した。


2014年04月02日

河野談話の継承を求める日本の学者、「誠意ある謝罪こそ他国の敬意を得る」

チャイナネット(2014年4月1日)

 「河野談話の維持・発展を求める学者の共同声明」をまとめた大学の研究者らが31日に東京で会見を行った。声明をまとめた関東学院大学の林博史教授(平和学)は同会見で、「安部政権は『河野談話』の見直しを進めており、その動きがこの間、急速に進められている。このような『河野談話』を実質的に否定するような見直しは、韓国や中国のみならず、米国を含めた国際社会との関係でも深刻な緊張を引き起こしてしまうことを危惧している」と語った。
 東京大学、京都大学など日本の有名大学の大学教授16人らは8日に「河野談話の維持・発展を求める学者の共同声明」を発表した。31日午前10時の時点で、提唱者16人を含む大学の研究者1617人が同声明に賛同する著名を行った。
 ネット上で賛同者に著名を求める活動が始まって1カ月後、発起人は専門サイトを立ち上げ、より多くの人の目に触れるようにと、共同声明と賛同者の著名による民意の意見をネットに投稿して公開した。
 イスラエルのシモン・ベレス大統領とオーストリアのハインツ・フィッシャー大統領は30日にウィーン市の中心にあるユダヤ広場に赴き、オーストリアのユダヤ人大虐殺による犠牲者の記念碑に献花し、大虐殺の歴史を反省した。なぜ日本の政治家は歴史を反省しないのかという質問に答えた林氏は、「安部首相は日本が起こした戦争が間違いだったと考えていない。安部首相は慰安婦や南京大虐殺の存在を認めたくないのだ。現在、安倍首相のこのような歴史観を支持する日本人は少なくない。これは日本社会の深刻な問題だ。だからこそ、このような状況が起こった。根本的な要因として、日本の学校で正確な歴史の授業が行われていないことや日本メディアが歴史問題に関して無責任な報道をしていることが大きい」と語った。
 「司法が認定した日本軍「慰安婦」――被害・加害事実は消せない !」(かもがわブックレット、2011年)を出版した研究者・坪川宏子氏は、「現在日本では、慰安婦は売春婦であり、自ら慰安婦となったという暴言を述べる人が少なくないが、これは大きな間違いだ。現在、安部内閣が『河野談話』を見直そうとする中、この本は日本の人々が歴史歪曲発言(報道)に惑わされないように、正確な歴史認識を形成することに非常に大きな役割を果たしている」と指摘する。

 以下は、共同声明の賛同者らの声。
 一橋大学思想文化史の坂元弘子教授:「もし『河野談話』を否定すれば、日中、日韓関係を改善することは不可能となり、現在の日本の若者は世界的に孤立する危険に直面する」
 東京女子大学の油井大三郎教授(歴史学):「日本にとって、近隣諸国との間に協調関係を築くことが21世紀の必須課題だ。日本の人々は歴史を心から反省することを通して、隣国の理解を得ることが非常に重要」
 愛媛大学の魁生由美子助教授(社会学):「日本の戦争責任を追及し、戦争による犠牲者に心からの謝罪を行うことでしか、日本が国際社会から許しを得る手段はない」
 文教大学の奥田孝晴教授:「日本社会の右傾化を非常に心配して、今回の共同声明に賛同した」
 信州大学の院生、中瀬将史氏:「国家が過去に犯した性暴力という恥知らずの犯罪行為を日本政府が否定することに反対する」
 一橋大学の島崎隆名誉教授:「日本はドイツに学ぶべきだ。心からの反省と謝罪を行い、異議を持つ人に毅然とした態度で対峙するべきだ。心からの謝罪なくして、他国からの敬意は得られない」


2014年04月01日

立命館大学ヘイトスピーチ事件の解決を求める有志、「要請書」

rits-antiracism

要請書

 公開質問状に対する回答期限を3月15日としていましたが、いまだ立命館大学からは何の回答もありません。
 立命館大学内外から多くの賛同、関心が集まっているなかでのこのような対応は大変遺憾です。

 この事件に関して、「東京新聞」(2014年3月3日付朝刊)においても、「右傾化する社会:排外主義によるトラブルは他の大学にも広がる」という形で報道されました。同記事での「クレーム恐れ自己規制の渦」という文言の対象は、今回の立命館大学の対応を指しています。
 また、この間、プロサッカーのJリーグでも差別表現事件が大きな問題になり、対応が行われました。

 現在、ヘイト・スピーチに対しては社会的にも学術的にも対応が求められており、今回の件は、多方面から注目されています。

 私たちは、これらの情況を前提にして、今回の公開質問状を送りました。しかし、現在のところ立命館大学からは何の反応もありません。私たちは、大学が事の重大さに気づいていないのではないか、理事会や教職員は関連する新聞記事や、相次いで出版されている書籍に触れていないのではないかと危惧しています。教育機関である大学が社会に対する関心を失い、学ぶことを止めてしまうのは致命的です。

 私たちは、大学側が回答の意思を持ちながらも、年度末であることで対応が遅れているという可能性にも配慮し、あらためて回答期限をもうけたいと考えます。最終締め切り期日は4月20日とします。

 なお、期日までに回答がない場合には、抗議文を別途作成、公開し、マスメディアへの広報および今回の事件を危惧する大学関係者とも連携して、アクションを起こしていく予定です。

 上記を深慮の上、真摯な応答を求めます。

 最終締切期限 4月20日 必着
 回答方法   書留郵便

以上

「立命館大学ヘイトスピーチ事件の解決を求める有志」のblogより

立命館大学の2014年1月15日見解に対する公開質問

私たちは、立命館大学が出した2014年1月15日の見解「授業内における学生団体の要請活動への本学嘱託講師の対応について」(以下「見解」とする)に重大な問題があると考える有志です。以下にこの見解に対する私たちの考えを記すとともに、公開質問状として質問を提示し、回答を要請します。

1.立命館大学の2014年1月15日見解について

私たちは、立命館大学の出した「見解」は、教員や学生に対する誹謗中傷やヘイトスピーチの被害を放置する内容であり、早急に撤回ないし修正の必要があると考えます。
2014年1月10日に立命館大学の講義の受講者と思われる人が、12月13日の講義の様子について、twitter上に文章を公開しました。「「東アジアと朝鮮半島」という授業にて出席カードとともにこんなカードを書かせるから立命は糞」という文章です。また、あわせて担当講師の氏名と、メッセージカードの画像表裏も公開されました。その後、この文章と画像はインターネット上で広く転載され、多くの人が「同講義の担当教員が受講学生に朝鮮学校無償化を求める嘆願書への署名を強要した」などと事実を誤認しました。さらにインターネット上には、担当講師や学生団体に対して誹謗中傷やヘイトスピーチが飛び交うことになりました。担当講師の名前から、本人の画像もインターネット上から検索され、事実誤認とヘイトスピーチとともに転載され続けました。
1月15日に立命館大学が公開した「見解」ではつぎのように事実関係が述べられ、大学は同講師が受講生に誤解を与えたことを、謝罪しています。

2013年12月13日、本学嘱託講師が、授業において朝鮮学校無償化に対するアピールをさせて欲しいとの受講生からの要望を受け、当該受講生が所属する学生団体による説明、嘆願書の配布、回収を許可しました。その際、同講師は嘆願書への署名は任意であること、署名と成績とは無関係であること、そして嘆願書は署名の有無に拘わらず学生団体の担当者が回収することを、受講生に対しアナウンスをしました。なお、学生団体の担当者が回収したため、同講師は嘆願書の提出者や記入内容については関知しておりません。
しかしながら、結果として受講生に同講師が嘆願書への署名を求めたかのような誤解を与えてしまいました。このことは、大学として不適切であったと考え、講師に対し、指導を行いました。なお、受講生に対しては、授業内において改めて説明いたします。
 多くの方にご心配とご迷惑をおかけしましたことを心からお詫び申し上げます。また、今後、このようなことが再発しないように徹底してまいります。

これによると、担当講師が嘆願書への署名を求めたという事実も、出席カードと関連させたという事実もありませんでした。講義内での担当講師と学生団体のあり方に問題はありませんでした。ところが、立命館大学は、学生に誤解を与えたことについて講師を「指導」しました。

2.「見解」の問題点

私たちは、このような立命館大学の対応について、大きく二点、重大な問題があると考えています。
第一に、受講者と思われる者が、適切な配慮を行なっていた講師の話を誤解したからといって、なぜ講師が指導され大学が謝罪しなければならないのでしょうか。私たちは、このような場合に「誤解」を与えたことを理由にして、担当講師を指導するべきでも、大学が誤解を与えたことを謝罪するべきでもないと考えます。
第二に、「見解」は、受講者と思われる者がインターネット上に公開した誤情報から生じた騒動(ヘイトスピーチが拡散したことを含む)をいっさい問題にすることなく、逆にそれらの責任を講師に帰しています。講師を「指導」するということは、立命館大学が、誤情報をネット上で公開するという行為、およびその後のヘイトスピーチに非はなく、逆に、誤情報に基づくヘイトスピーチの対象になった側に非があった、と認識していることを意味するからです。
一般に、授業運営方法または内容に関する誤った情報に基づいて、侮蔑発言を含む不適切な攻撃等があった場合、大学としてまず何よりも行うべきことは、授業(教員および受講生)の物理的な安全確保とともに、誤情報の訂正と、誤情報に基づく攻撃に対する抗議であるはずです。
しかし、今回、立命館大学は事実を説明しただけであり、誤情報の拡散を止めるための行動もとらず、また誤情報に基づくヘイトスピーチに対してもいっさい抗議等を行いませんでした。それどころか逆に、誤解に基づいて誹謗中傷等の攻撃を受けた側を「指導」することで、事態の収拾をはかりました。これは、「被害者非難」と呼ばれうる行為です。
2000年代初頭から日本ではヘイトスピーチを拡散する団体が現れ、多くの差別事件を起こしており、ヘイトスピーチに対する対応には社会的な関心が集まっています。誤情報をネット上に公開した受講生を指導しないままに放置し、それに便乗して誹謗中傷をおこなった者を無視するだけでなく、講師や授業の側に問題があったと認定することは、すべての教員と学生に対して、誤情報に基づいて個人情報が拡散され暴言に晒されたとしても、大学は関知せず、逆に被害者を非難し「謝罪」するのだというメッセージを与えたことになります。
このような対応は、無責任で攻撃的なインターネット上の匿名の暴言等から教学環境を守るという役割を大学が放棄したことを意味し、教学環境を著しく損なう効果をもちます。
また私たちは、今回の対応は、立命館大学のみならず、全国の教育機関で同様の事件が起こったときの悪しき前例になりかねず、全国の大学や教育機関に波及しうる大きな問題であると認識しています。

上記の点を踏まえて、私たちは、以下八項目について公開質問をいたします。なお、この質問はインターネット等でも公開し、広く賛同を呼びかけていく予定です。

3.質問

1) 立命館大学は、当該授業に関する調査を講師への聞き取りだけで終わらせ、「見解」を出しました。しかし、当該授業の受講生への聞き取りなど、当日のことをもっと調査してから見解を出すべきだったのではなかったでしょうか。今後、さらに調査はしないのでしょうか。

2) 今回の対応は、学生の誤解に対する責任は教員にある、という認識を一般化しかねないものです。立命館大学は、講義で教員が話した内容を学生が誤解した場合に、教員が指導され謝罪しなければならないと考えているのでしょうか。

3) 質問 2)について、そのように考えていないならば、今回の「指導」が、何を対象にしたものであり、また、いかなる根拠で行われたのかについて、具体的に説明してください。

4) この「見解」は、立命館大学が、授業に関する誤情報によって暴言を含む攻撃が起こった場合には、誤情報を正し攻撃した側を批判するのではなく、攻撃された側(今回は講師)を指導して謝罪する大学であるということを、広く社会に知らしめました。立命館大学は、twitterで講義の様子を不正確に、かつ文脈からみて意図的な悪意をもって公開した受講生と思しき者を特定し、指導するなどの対応をするのでしょうか。

5) 上記にかかわり、立命館大学は、インターネット上で不正確な情報に基づいて教員や学生団体に誹謗中傷がおこなわれたとしても、これを放置する大学であると認識されています。担当講師と学生団体に対しておこなわれた一連の誹謗中傷とヘイトスピーチに対して、大学としての見解を出さないのでしょうか。または、抗議声明などを公表しないのでしょうか。

6) ヘイトスピーチは被害者の日常を破壊します。担当講師や学生団体の学生らの状況を大学は把握し対応をしているのでしょうか。またさらなる被害もありえます。立命館大学は、担当講師や学生団体への2次被害に対して対応しないのでしょうか。たとえば、インターネット上にはまだ担当講師に対するヘイトスピーチが放置されています。大学はサーバー管理者などにその削除を要求するべきではないでしょうか。

7) 今回の事件は、学生から教員に対して行われたハラスメントと考えることができます。ハラスメントは、教員-学生間の権力関係においてのみならず、社会的な権力構造のなかで、何らかのマイノリティの属性を持つ教員に対して、学生が加害者となって引き起こされるものでもあります。立命館大学は、このような学生の教員に対するハラスメントについて今後どのように対応していくのでしょうか。

8) 各種報道の中には明らかに事実に基づいていないものがあります。例として、夕刊フジの1月21日の新聞には、当該講師について「コリア研究センターの女性研究員」とありますが、事実誤認です。コリア研究センターおよび同センターの研究員にも今後さらなる被害がおよぶかもしれません。立命館大学は、これらメディアの「誤報」を把握しているのでしょうか。また、把握した上で、それに対して修正要求を出さないのでしょうか。

4.期日

回答期日は2014年3月15日必着とし、下記の送付先まで、「配達証明郵便」にてご送付をお願い致します。大学からの回答も公開質問状と同じくインターネットその他で公開します。

以上

2014年2月14日
立命館大学ヘイトスピーチ事件の解決を求める有志

公開質問状共同提起者「立命館大学ヘイトスピーチ事件の解決を求める有志」(103名)

研究者・学生に倫理教育 文科省が義務化、STAP問題受け

日本経済新聞(2014/3/28)

 文部科学省は国内の大学や独立行政法人など研究機関に所属する大学生や研究者に倫理教育を義務付ける方針を固めた。理化学研究所が発表した「STAP細胞」の論文で問題が発覚した点を踏まえ、研究者を育てる大学時代からの教育が不可欠と判断。体制に問題があれば研究機関の人件費などの経費を削減する措置を取る。

 同省は5月にも研究活動の不正行為に関する指針を改正して研究論文に絡む問題の再発を防ぐ。


受験前に現金 東大大学院教授解雇

NHK

東京大学大学院の教授が、担当した入学試験を受けた受験生から受験の前に現金100万円を受け取っていたことが分かり、大学は入学試験の公正性などに疑いを持たせる行為だとして、教授を諭旨解雇の処分にしました。

処分を受けたのは、東京大学大学院に勤めていた50代の男性教授です。
大学によりますと、教授は平成23年度の東京大学大学院の入学試験で口述試験の出題や採点を担当していましたが、このときの受験生の1人から、受験の1年ほど前に教授に就任したお祝いとして現金100万円を受け取りました。このあと、受験生が東京大学大学院への受験を希望していることを知り、「来年、受験して合格してほしいと思っている」と伝えるなど、試験で何らかの優遇があるかのように思わせる態度を取っていたということです。
大学の調査では、教授は現金を受け取ったことは認めましたが、試験で便宜を図るなどの不正な行為は確認されなかったということです。
大学は「入学試験の公正性や厳格性に疑いを持たせる行為だ」として、今月28日付けで教授を諭旨解雇の処分にしました。
これについて、東京大学は「教員としてあるまじき行為で、今後、このようなことがないよう再発防止に当たりたい」とコメントしています。

[同ニュース]
東大教授を諭旨解雇 大学院受験生から100万円受領
東大院教授、受験生から現金受領 100万円、諭旨解雇処分