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2013年05月17日

大産大、約2億円賠償求め前理事長提訴 資産運用で損失

朝日新聞(2013年5月16日)

 資産運用で始めたデリバティブ(金融派生商品)取引で巨額の損失を生じさせたとして、大阪産業大学(大阪府大東市)が、取引にかかわった古谷七五三次(しめじ)・前理事長と元理事ら計3人を相手取り、計約1億9千万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。

 提訴は4月23日付。訴状によると、古谷前理事長らは大学の資産運用の目的で1999年10月~2008年5月、デリバティブ取引を重ねていた。為替の変動で損益が出る仕組みだったが、08年秋のリーマン・ショックの影響で約12億円の損害を出した。

 古谷前理事長はこうした混乱を招いたことと、健康上の理由から09年に辞任。大学側は古谷前理事長らが主導的立場だったと主張し、3人の退職金相当額の賠償を求めている。古谷前理事長は「弁護士に任せているので、コメントは控えたい」と話している。

デリバティブで損失…大産大、元理事長らを提訴

読売新聞(2013年5月16日)

 やらせ受験問題で揺れる学校法人「大阪産業大学」(大阪府大東市)が、仕組み債と呼ばれるデリバティブ(金融派生商品)取引によって巨額の損失を生じさせたとして、取引に関与した古谷七五三次・元理事長ら当時の理事3人を相手取り、約1億9000万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こしていたことがわかった。

 文部科学省によると、私大の資産運用を巡る損失に対し、学校法人が理事の法的責任を問う訴訟は極めて異例という。

 3人は、古谷元理事長と当時の常務理事2人。

 訴状や学校関係者によると、古谷元理事長らは1999年~2008年、大手証券会社数社から、米ドルや豪州ドルの為替で利息が変動する仕組み債などを購入した。しかし、08年秋のリーマン・ショックで円が急騰したため、一部を除いて取引を解約。損害額は約12億円で、保有中の仕組み債の評価損も約11億円ある、という。

 大産大はデリバティブ取引に関する第三者委員会を発足。昨年3月、3人が▽損失リスクを十分認識せずに取引した▽法人の定款に反して、教職員の退職金のための積立金を取り崩して運用していた――などの事実を認定し、「理事としての高度な注意義務を怠った」と結論付け、古谷元理事長らに賠償請求するよう提言していた。

 しかし、支払い能力を考慮して、請求額は古谷元理事長らに支払われた退職金などを対象にしたとみられる。

 提訴は4月23日付。大産大は「提訴は事実だが、内容はコメントできない」と回答。古谷元理事長も、代理人の弁護士を通じ「取材には応じられない」とした。

 一方、元常務理事は、「当時は為替リスクなど考えておらず、円高は想定外だった。注意義務は尽くしたつもりだ」とし、別の元常務理事は提訴前の取材に対し、「取引は理事就任前に始まっており、私が口を挟める状況ではなかった」などと話していた。