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 カテゴリー 2014年01月

2014年01月31日

教職員給与減で福井大は争う姿勢、福井地裁で第1回口頭弁論

福井新聞(2014年1月30日)

 教職員の給与を減額したのは不当として、福井大教職員組合の教職員13人が、国立大学法人福井大に減額分約1300万円の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が30日、福井地裁であった。同大は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

 同大は答弁書で、国立大学として存続していくために「教育の質保証と個性・特色の明確化」が求められている一方、国からの運営費交付金は削減されるなど、大学を取り巻く厳しい状況を説明した。詳細については次回までに書面で認否、反論するとした。

 原告団長の山根清志・同大教育地域科学部教授が意見陳述し「被告は、教職員の生活への打撃を顧みず、大幅な給与減額を一方的に強行した。教職員は労働に関して無権利状態になりかねない」などと訴えた。島田広弁護団長は「賃金など労働者にとって最も重要な労働条件の不利益変更は『高度の合理性』が必要」と述べ、被告に具体的な立証責任があると主張した。

 訴状によると同大は、2012年からの国家公務員の給与減額に合わせ、教職員の給与を4・35~9・77%引き下げたとしている。原告の教職員は、12年6月から13年9月までの減額分の給与や、退職金の減額分などの支払いを求めている。

 弁護団によると、同大の教授ら5人が追加提訴する予定という。


高校~大学の学費1055万円…政策金融公庫調べ

読売新聞(2014年1月30日)

2004年から111万円増

 高校入学から大学卒業までに必要な学費が子ども1人当たり1000万円を超えることが、日本政策金融公庫(東京)の調査でわかった。

 調査は、「国の教育ローン」を貸し付けている同公庫が2013年7月に実施。教育ローンを利用した約2万2000世帯に調査票を送付し、4942世帯から回答を得た。

 回答を基に、同公庫が入学費用や在学費用を累計したところ、子ども1人当たりの学費は高校で344・6万円、大学で711・2万円となり、高校入学から大学卒業までに1055・8万円かかることがわかった。04年調査では944万円だった。

 世帯年収の平均は552・6万円で、12年に比べて5・2万円減。子どもが2人いる世帯では世帯年収に占める学費割合が40・1%となり、比較可能な過去7年分の調査で最高となった。

 教育ローン以外での教育費の捻出方法を複数回答で聞いたところ、「奨学金を受けている」(60%)、「節約」(56%)、「子ども本人がアルバイト」(41%)が上位を占め、子ども本人が教育費を工面するため努力している様子が浮かび上がった。

 「国の教育ローン」は、低所得者でも利用しやすいよう、民間の金融機関に比べて利用要件が緩やかに設定されている。年間の利用は11万件に上り、その約1割を母子家庭世帯が占める。


2014年01月30日

大阪市立大学、「都構想」も行き詰まり 大学統合も「不透明」に

大阪 開業支援室
 ∟●「都構想」も行き詰まり、大学統合も「不透明」に

「都構想」も行き詰まり、大学統合も「不透明」に

大阪市議会において統合スケジュールを前提とした市立大学関連議案が否決(11月22日)されて以来、大学内外で様々な動きが出ています。
西澤市大学長は、年頭あいさつにおいて、この市議会の「否決」について「これは、現在の新大学案では、キャンパスの整備、学部・学域の併設など課題が多くもっと現実的なスケジュールにすべきであるといった理由でありましたが、重要な点は、大学統合そのものが否定されたものではないということです」と、述べています。「あいさつ」で「統合・ガバナンス」問題にほぼ半分を費やし、その意気込みを示しましたが、その内実は不安がいっぱいです。
12月25日には学長が主催し、名誉教授を集めて「説明会」が開催されています。大学総務課にその内容を電話で問い合わせました(1月14日)が、「説明会なので議事録などは公開しない」とのこと。独自に取材してみると、出席者からは、「都構想が行き詰まっているもとで、統合すれば新大学の財政負担はどうなるのか」「大学予算は削られてきた。新大学で増額される保証などないではないか」「統合というが大学内でどのように検討されたのか。設置者がもちだしたものではないか」「国や社会が間違ったとき、これをただすのが大学の役割ではないか」という批判が噴出したことが分かりました。答弁した学長は「都構想が実現し、府・市統合しなければ、法人統合も難しい。財源問題は不透明である。ガバナンス改革を先行させる考えである。今のまま生き残れるのか、厳しい経済状況の下で、大学統合にメリットを認めるものである」と述べるにとどまった模様です。
また、同日には同窓会などへの説明会も開催され、学生にポータルサイトで意見募集を呼びかけています。この意見募集は後日公開される予定とのことですが、市大HPや総務課の担当者の口の端からは「新大学への期待」の声を主に「期待」していることがにじんでいます(募集は1/24まで)。
学長選考は、西澤現学長のみが立候補し、学長選考会議は同氏を推薦することを決定しました。学長選考会議の議事録が公開されていますが、学長・理事長分離の議案が否決されたことについて、「ガバナンス」をめぐる「恨み節」と混乱が延々と述べられています。
なお、卒業生には「大学サポーター」に登録すれば、統合に関する情報をメールで送ってくれます。(詳しくは市大HP「ステークホルダーの皆さまへ」で)
「大阪市立大学の統合問題を考える会」は、「拙速な統合をやめてください」という内容の署名運動を「大阪府立大学問題を考える会」とともに取り組むべく、準備を急いでいます。


日弁連、労働政策審議会建議「労働者派遣制度の改正について」に反対する会長声明

日弁連
 ∟●労働政策審議会建議「労働者派遣制度の改正について」に反対する会長声明

労働政策審議会建議「労働者派遣制度の改正について」に反対する会長声明

本日、厚生労働省労働政策審議会は、「労働者派遣制度の改正について」との建議をとりまとめた。この建議を受けて、本年の通常国会において、労働者派遣法を改正する予定とされている。

上記建議は、2013年8月20日に発表された厚生労働省「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」の報告書(以下「報告書」という。)の考え方を基本的に採用しており、労働者派遣法の根本原則である常用代替防止の考え方を見直し、派遣元で無期雇用されている派遣労働者については、常用代替防止の対象から外すこと、及び、派遣元で有期雇用されている派遣労働者については、①個人レベルで派遣期間を制限することとして、政令指定26業務を含めて、派遣労働者個人単位で上限期間(3年)を設定すること、②派遣期間の上限に達した派遣労働者の雇用安定措置として、派遣元が、派遣先への直接雇用の申入れ、新たな派遣就業先の提供、派遣元での無期雇用化等のいずれかの措置を講じなければならないこと、③派遣先において、有期雇用派遣労働者の交代によって派遣の継続的受け入れが上限を超す場合には、過半数組合か過半数代表者の意見聴取を義務付けることとしている。

しかしながら、このような建議に基づいて労働者派遣法が改正されることになれば、以下のように、無期か有期かにかかわらず、全ての労働者派遣において常用代替防止の理念は事実上放棄され、企業が一般的・恒常的業務について派遣労働者を永続的に利用できることになり、労働者全体の雇用の安定と労働条件の維持、向上が損なわれる事態となる。

すなわち、まず無期雇用の派遣労働者については、派遣元で無期雇用されているからといって、必ずしも派遣労働者の雇用が安定しているわけでもなく、また労働条件が優良であるわけでもない。実効性ある均等待遇の確保策の導入もないままに、無期雇用派遣労働者について派遣可能期間を撤廃すれば、直接雇用労働者が優良な労働条件を確保されない派遣労働者に置き換えられ、常用代替を促進することになりかねない。

次に、有期雇用の派遣労働者についても、上記①の点は、結局のところ、派遣先・派遣元事業者が3年経過するごとに派遣労働者を入れ替えて派遣労働を継続して使うことが可能となり、やはり常用代替防止の理念は果たされないことになり、派遣労働の固定化につながる。また、上記②の雇用安定措置については、派遣先への直接雇用申入れも、派遣元での無期雇用化も、私法的な効力を付与しない限り、実効性を欠き、多くの派遣労働者が失職することを防止できない。上記③の派遣先での意見聴取も、労働組合等が反対しても使用者は再度説明さえすれば導入できる制度となっており、歯止めになり得ない上、36協定締結や就業規則改定における労働者過半数代表の意見聴取制度が多くの事業場で形骸化してしまっている我が国の現実からすれば、派遣労働者の受入上限をいくらでも延長されるおそれが強く、常用代替防止を図る実効性はない。

以上、直接雇用の原則から導かれる常用代替の防止の理念を軽視する建議は非常に問題だといわざるを得ない。

また、労働政策審議会の議論においては、均等待遇の確保策の導入も議論されたが、上記建議においてはその導入も見送られている。

当連合会は、2013年11月21日付け「『今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書』に対する意見書」において、報告書に示される方向性での労働者派遣法改正に反対するとともに、2010年2月19日付け「労働者派遣法の今国会での抜本改正を求める意見書」の方向性を提言することを改めて確認した。しかしながら、上記建議の制度改革の方向は、当連合会が上記意見書で述べた常用代替防止の理念を維持すべき等の意見に反するものといわざるを得ない。

当連合会は、上記建議に従った方向性での労働者派遣法改正に反対するとともに、派遣労働者の雇用安定を確保し、常用代替防止を維持するための労働者派遣法改正を行うよう求める。

 2014年(平成26年)1月29日
  日本弁護士連合会
  会長 山岸 憲司

福井大は全面的に争う姿勢~「未払い賃金」訴訟

福井テレビ(2014/01/30)

福井大は全面的に争う姿勢~「未払い賃金」訴訟

国立大学が法人化したにも関わらず、国家公務員の給与削減に合わせ、大学職員の賃金を引き下げたのは違法だとして、福井大学の教授らが大学を相手に起こした民事裁判の第1回弁論が30日、福井地裁で開かれました。
被告の福井大学側は全面的に争う姿勢を示しました。

提訴したのは福井大学の教授や准教授ら13人です。
訴状によりますと、教授らは国立大学が法人化されたにも関わらず、国家公務員の給与削減に合わせて大学職員の賃金を引き下げたのは違法として、おととし6月からの給与や、去年3月に支払われた退職金について未払い分としてあわせて1300万円の支払いを求めています。
被告の福井大学は答弁書で「原告の主張はいずれも認められない」と全面的に争う姿勢を示しました。
原告側は30日の弁論で「労働者に十分な説明もなく、賃金の引き下げを強行したのは違法だ」と訴えました。
原告団の弁護士によりますと同様の裁判は京都大学や富山大学など全国で相次いでいて、福井大学の訴訟は国立大学法人では7例目ということです。


2014年01月28日

佐賀大学退職金減額無効訴訟、訴状と意見陳述書

ペガサス・ブログ版
 ∟●訴状(2013年(平成25年)11月7日)
 ∟●退職金減額無効訴訟,第一回公判


平成25年(ワ)第443号 退職金請求事件
原 告  豊 島 耕 一 外
被 告  国立大学法人佐賀大学

意見陳述書

2014年1月10日

佐賀地方裁判所民事部 御中

原告  豊島耕一

私は原告の1人,豊島耕一と申します.今回の提訴に踏み切った理由と目的について述べたいと思います.

1 私が退職する直前,昨年1月1日に実施された就業規則の変更によって,退職金が本来の額から約6%減額されました.これは労組や過半数代表者との合意などの手続きを踏むことなく行われ,しかも該当者への通知が実施の数日前というものでした.使用者が一方的に就業規則を変更できる要件を定めた労働契約法10条に該当する事情は見当たらず,したがって同9条が禁止するところの「労働者と合意することなく」行われた不利益変更であり,違法なものと断ぜざるをえません.

この提訴の直接の目的はもちろん,大学当局の不当な行為による私自身の経済的損失を回復することです.しかし同時に,今回の大学の決定の背景にある国立大学と文科省,政府との関係における問題も同時に明らかにしたいと思います.そうしないと今後も同じ過ちが繰り返され,しかもそれは退職金や賃金問題に限られたものではなく,大学の使命という問題にも影響を及ぼすことになるからです.それについて述べたいと思います.

2 大学が今回のような一方的措置を行った背景には,2012年8月7日に閣議決定され,同年11月16日に国会で可決成立した国家公務員退職手当法改正法があります.この閣議決定では,本来,国家公務員退職手当法が適用されるはずのない非公務員型の独立行政法人の職員についても,国家公務員同様に退職金を引き下げるよう各国立大学法人に要請するとされました.文科省を通じてのこの要請に佐賀大学がそのまま従った,というものです.

このような要請にどのような合理性・正当性があるのかは全く判然とせず,少なくとも何らの法的根拠もないことは明らかです.したがってこれを受け入れるのか否かは大学が自主的に判断すべきことです.

しかし大学がこの判断を十分な考慮の上で行ったと言う形跡は見られません.むしろ,政府の言うことに逆らってはいけないと頭から決めてかかったものと思われます.一昨年12月25日の組合との交渉のやり取りを見ると,大学側は「政府の要請に従わなかった場合,リスクが生じると思っている.リスクと言うのは,大学に余分な財源があると文科省や財務省にみなされて,その分をどこかで削減されるおそれがあるのではないかということ」だと述べています.

このことは,なんら強制力のないはずの「要請」が,実は,「言うことを聞かないと予算を減らすぞ」という政府・文科省による脅しとして作用していることを表しています.いわば,政府による大学への「公的なパワハラ」です.

3 この「パワハラ」は,退職金や賃金という労働条件の問題だけではなく,最近では大学の研究・教育内容にまで及んでいます.例えば,「大学のミッション再定義」と称して,文科省が各大学に大学の研究・教育の方針を出させる,つまり言わば「模範解答」を要求する形で,研究・教育・管理運営の在り方に介入しています.つまり「大学の自治」や「学問の自由」という民主社会の基本的な価値まで脅かしています.

4 このような政府による大学介入の背景には,2004年に実施された「独立行政法人」(法人化)というシステムによる影響が大です.この制度はグロテスクなもので,「独立」という名前とは反対にむしろ官僚統制を強める作用を持つものです. 以前からも政府・文部省からの国立大学支配の問題というものはもちろんありましたが,法人化によって予算が国会事項でなくなり,名実共に官僚の裁量に任されることになり,透明性がなくなったのは決定的です.つまりこの制度は「独立」という名前とは反対にむしろ官僚統制を強めるものです.ここに中央官僚による「パワハラ」の余地が拡大された大きな原因の一つがあります.まさにそのパワハラによって今回の退職金減額もなされ,また数年前からの賃金減額もなされているのです.

5 このような背景があるとは言え,しかし法規上はあくまでもそれぞれの国立大学に広汎に自主定な決定権が与えられているのであり,本件の退職金や,あるいは賃金についても同様です.国際的にも,1998のユネスコ高等教育世界宣言に「高等教育機関は,自身の内部問題を管理する自治権を与えられなければならない」(13条b項)と謳われているとおりです.したがって,国立大学には,当然のこととして予想される社会の様々の圧力から自主・自治を守り抜く法的,道義的な責務を負っているのです.今回の佐賀大学当局の行為は,これに全く背くものと言わざるを得ません.

6 私は、自分自身に降り掛かった使用者の違法な行為については,教育者としても,また長年お世話になった佐賀大学への「忠誠」,ひいては大学という文化と制度への責任という意味でも,二重,三重の意味で見逃すことは出来ません.つまり,学生に対しては,自らの権利を守り不正と戦うべしとこれまで語って来たので,今回の事態を放置することはみずからそれを裏切ることになり学生たちに示しがつきません.また,退職したとは言え,これからも大学の自治や学問の自由という価値を擁護し続けたいと思っています.さらには,佐賀大学において正常な労使関係が損なわれることに抵抗し,正常化するための職員の方々の努力に,たとえ微力でも加わりたいと思います.

 私は法学系の人間ではありませんが,イェーリングの「権利のための闘争」という本は法科学生の必読の古典とされているそうです.その中に「倫理的苦痛」という言葉があります.それは,物理的な身体への侵害における肉体的苦痛と同様に,権利侵害に対する警告として与えられるものだそうです.この警告への感性を私は大事にしたいと思います.

7 今回の大学の決定に当たった当事者の方々に悪意があるとは思えません.組合との交渉の席で彼らが述べたように,大学を「リスク」に晒さないようにとの思いからのものでしょう.多くの退職者の方々が不利益を受けたにも関わらず,このように提訴に踏み切る者が少数であるのも,そのような事情を知っておられるからでもありましょう.いわば「思いやり」です.しかし,リスクを避けると称して原則を曲げることが,そしてその集積が,やがて巨大なリスクを発生させるということを,社会のさまざまな事象を通じて私たちは知っています.ですから私はこれは過剰で不適切な「思いやり」であると判断せざるを得ません.

8 政府・官僚による法に基づかない支配の弊害は既に多くの人によって指摘されています.それが社会の根本的な公共財である学問を扱う大学の世界に及ぶとすれば,その社会への影響はまさに根本的です.つまり「リスク」を避けると称して大学が政府の言いなりになるとすれば,それは社会に大きな危険を及ぼすでしょう.そのような事態への警告として,その名を冠した奨学金や日米交流事業で有名なフルブライト上院議員(故人)が残した言葉を引用して,私の意見陳述を締めくくりたいと思います.

「大学が,その本来の目的に背いて政府の付属物になり,目的よりも技術に,理想よりも手段に,新しいアイデアよりも伝統的な権威に傾くならば,大学は,学生に対する責任を果たしていないだけでなく,社会からの信頼をも裏切っていることになる.」


京都大学職員組合、「京都大学総長選考会議、公開させる」

全大教
 ∟●京都大学職員組合「京都大学総長選考会議、公開させる」

京大職組が取り組んでいる総長選挙制度問題、京大職組の運動のもと、世論を背景にした教員層の良識の発揮で、総長選考会議が非公開にしていたドアを開けさせました。そのドキュメントを、職員組合ニュース(2014.1.27)に掲載しています。ご参照ください。京大職組は引き続きこの問題に取り組んでいきます。全国の全大教加盟の単組のみなさんの支援に感謝致します。

京都大学職員組合ニュース(2014年1月27日)は以下。
http://kikanshi.kyodai-union.gr.jp/kumiai_news/13/140127_21th.pdf


新刊紹介、「ブラック大学 早稲田」

「ブラック大学 早稲田」

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2014年01月27日

大学評価学会国際人権A規約第13条問題特別委員会、「無償教育の漸進的導入」原則に反する私立大学授業料の値上げ方針に抗議する声明

大学評価学会
 ∟●「無償教育の漸進的導入」原則に反する私立大学授業料の値上げ方針に抗議する声明

「無償教育の漸進的導入」原則に反する私立大学授業料の値上げ方針に抗議する声明


2014年1月23日 大学評価学会国際人権A規約第13条問題特別委員会


 新聞等の報道によれば、少なくない私立大学が 2014 年 4 月から授業料を値上げするという。「教育環境の充実」が理由とされているようだが、春からの「消費税率の引き上げ」も大きく影響していることは明らかである。したがって、個別大学の責任のみに帰することはできないが、実は条約違反に繋がる重大事態であり、本委員会は厳しく抗議する。

 日本政府は、1979年に国際人権A社会権)規約を批准したにもかかわらず、第13条第2項(b)(c)を留保してきた。すなわち、「無償教育の漸進的導入」(少しずつ無償に近づけていくこと)に係る中等教育および高等教育の箇所である。本委員会のメンバーであった田中昌人(故人・京都大学名誉教授)は『日本の高学費をどうするか』という書を 2005年に世に問い、多くの関係団体が留保撤回を強く主張してきた。国連からも促され、日本政府は 2012年9月11日、留保撤回を行った。したがって、それ以降、外務省ウェブサイト(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/tuukoku_120911.html)にも記載されているように、日本は「無償教育の漸進的導入」原則に拘束される立場となっている。有名私学を含む今回の値上げ方針は、留保時に行われた過去の値上げ措置とは異なり、条約違反に繋がる重大事態と言わざるを得ない。

 高学費に依存する文教政策や大学法人経営のありようは、留保撤回とともに見直され、計画的に「無償教育の漸進的導入」が進められなければならない。留保撤回を契機として、大学関係者は学生・国民とともに、政府に対して「無償教育の漸進的導入」原則にふさわしい予算の増額や政策の転換を求めていくべきである。本委員会は、すでに 2012年3月2日、高等教育予算のGDP比率1.2%OECD 平均)への拡大、給与型奨学金の復活、授業料の半額化などを求める声明を公表している(学会 HP http://www.unive.jp/)。

 ところで、日本と同様に高学費であったお隣の韓国では、国民の運動に押されて「学費負担の軽減」が総選挙や首長選挙、大統領選挙の公約となり、現に登録金の半額化・減額化、給与型の国家奨学金の開始、国の教育予算の増加などが進んでいる(大学評価学会『高等教育における「無償教育の漸進的導入」―授業料半額化への日韓の動向と連帯―』2013年、など)。OECD 諸国の中で日本は、高等教育を含む教育機関への公的支出のGDP比率2010年)が韓国の4.8%にも劣る3.6%であり、なんと4年連続の最下位となっている。

 日本では、大学等進学率は 50%超で頭打ちとなっており、ここ数年は漸減傾向を示している。その背景に、高学費と厳しい家計の状況があることは明らかだ。「消費税率の引き上げ」は、家計にいっそうの負担を強いることとなり、進学機会を奪う事態の拡大にも繋がる。若者の学ぶ権利を侵害すれば、日本社会の未来を危うくすることになろう。

 私立大学は公教育を担う存在であり、日本においては大学生のうち 7 割以上が私立大学に学んでいる。このような点で、今回の私立大学の授業料値上げ表明は、個別大学の問題としてのみ受け止めることは出来ず、看過することはできない。留保撤回以降は、個々の学校法人にも「無償教育の漸進的導入」原則を尊重する大学経営が求められている。このことは大学自らが果たすべき社会的責任の一環でもあり、とりわけ巨額の内部留保を有する大手私立大学の社会的責任は重大であろう。

佐賀大学教職員組合、「退職金引下げ無効訴訟」第1回口頭弁論ならびに報告集会について

全大教
 ∟●佐賀大学教職員組合「退職金引下げ無効訴訟」


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研究開発力強化法の改正騒動

首都圏大学非常勤講師組合
 ∟●控室、第86号

研究開発力強化法の改正騒動

首都圏大学非常勤講師組合 委員長 松村 比奈子


2013 年もそろそろ終わりに近づいた11月 27 日。いわゆる特別秘密保護法を巡る与野党の攻防戦のまっただ中で、国会内外では誰もが秘密保護法の功罪について白熱していたわけだが、ここでひっそりと 1つの、そしてまたとんでもない法案が突如として国会に登場したことを、知っていた人はどのくらいいただろう。いわゆる「研究開発力強化法改正案」である。12月5日には成立してしまったので、この法案は国民に公開されてから成立するまでにたった9日の猶予しかなかった。世論の形成どころか、議員の質疑さえ満足にない法改正だったのである。
背景として、一昨年の労働契約法(以下労契法)改正をきっかけに、それまで事実上無期雇用されていた非常勤講師に対して、逆に有期雇用に転換(?)させようとする動きが、全国の大学に広がりつつあった。大学は、特殊な組織だとの錦の御旗の下で、それまでずさんな労務・財務管理をほしいままに行ってきた。しかしそれを棚に上げて労契法改正にパニックを起こした諸大学が、非常勤講師を切り捨てようと企んだ「新たな騒動」の攻防戦が、昨年 11月から 12月にかけてひそかに繰り広げられていた。今回は、その顛末について報告したい。……以下,省略……(上記サイトでご覧下さい。)

京都大学職員組合、署名中間集約分を提出・署名活動は継続/「(続)民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール」

京都大学職員組合
 ∟●署名中間集約分を提出・署名活動は継続/「(続)民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール」

署名中間集約分を提出・署名活動は継続/「(続)民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール」

京都大学職員組合は、1/21に「(続)民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール」の賛同署名の中間集約分705筆を、京大法人の担当部署に提出しました。

署名提出時の写真撮影を希望しましたが、法人側の承諾を得られませんでした。
替わりに高山副委員長が提出シーンのイラスト↓を描きましたのでご紹介します。


部局の教授会などから、伝え聞くところによると1/17に総長選考会議が開催され、今後、議論はオープンに行われる方向になったとのことです。

また、1/21の教育研究評議会において、教育研究組織改革ついての検討が行われ、大学執行部修正案の承認について動議が提案され、採決が行われたとのこと。
その結果、教育研究組織改革の大学執行部修正案は、規定数の賛成が得られず、1/21の教育研究評議会では了承されなかったそうです。

みなさんが、寄せてくださった署名をはじめとする、学内外の世論が、京都大学を大きく動かし始めています。本当にありがとうございます。

しかし、まだ12/25の総長選考会議の議事録も、まだ非公開のままです。
総長選考会議による強行採決が可能な状況はまだ変わっていません。

京都大学職員組合は、総長選考方法が従来の学内予備投票、学内意向投票が維持されることが確実になるまで、運動を継続します。

第2次集約を1/23までとしていた「(続)民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール」
賛同署名↓についても、延長、継続します。
    https://ssl.form-mailer.jp/fms/6eb563e8281879
    https://ssl.form-mailer.jp/fms/bec9dbef281834

引き続きのご協力をよろしくお願いいたします。


2014年01月23日

中教審、「大学のガバナンス改革の推進について」(審議まとめ)

■中教審
 ∟●「大学のガバナンス改革の推進について」(審議まとめ)

「大学のガバナンス改革の推進について」(審議まとめ)

平成25年12月24日
中央教育審議会大学分科会組織運営部会

「大学のガバナンス改革の推進について」(審議まとめ)(本文1/3) (PDF:1,239KB)
「大学のガバナンス改革の推進について」(審議まとめ)(本文2/3) (PDF:1,567KB)
「大学のガバナンス改革の推進について」(審議まとめ)(本文3/3) (PDF:1,507KB)
「大学のガバナンス改革の推進について」(審議まとめ)(付属資料) (PDF:1,507KB)
「大学のガバナンス改革の推進について」(審議まとめ)(概要) (PDF:126KB)


金城学園大学雇止め事件、裁判報告

名城大学・金城学院大学 非常勤講師裁判
 ∟●ブログ

金城学院大学雇止め裁判報告

 2013年12月13日に、大阪からの私に友人を含め20人の方々が傍聴に来て下さり、その応援を受けて私の最終意見陳述を無事終えることができました。
 2010年10月に金城学院大学を提訴して、翌年2011年1月から裁判が始まり、金城学院大学が雇止めの理由としてあげた「シラバスの変更」「学生アンケートの評価」「出席簿の保管期限以前の廃棄」の3つはいずれも合理的な根拠のない後付的な不当な理由であると主張して、非常勤講師としての地位確認と、教師としての資質までも非難、中傷して精神的、肉体的に苦痛を与えたことに対する損害賠償を求めてこの3年間皆様のご支援を得て裁判を戦って来ました。
 2013年10月4日の証人尋問では、被告側証人として、直接私に雇止めを通告した専任の水野真木子教授が証言をして、シラバスには実質的な変更はなかったことや、学生からの苦情を受け、学科会議で決定して実施したとされる学生アンケートは、2月に作成されていたもので、苦情とも学科会議の決定とも何の関係もなく,雇止めの理由にするため恣意的に実施されたことも明らかにされ、出席簿の保管に関しても、4月末まで保管するべきを4月27日に処分したという言いがかりをつけてのことであると改めて原告齊藤直美は主張し、これに対する決定的な反論はありませんでした。
 裁判開始から3年もの長い年月が過ぎ去り、心身ともに疲れ果てる毎日を過ごしてきましたが、争議団はじめ国民救援会、栄総行動、健康センター、年金者組合、新婦人の会、名水労など各労働組合関連などの皆さんからのトータルで5000筆の署名採、毎回の裁判への傍聴などの心強いご支援を得てここまで頑張って来ることができました。
感謝申し上げます。
 来年2014年2月14日13:10からいよいよこの裁判の判決になります。あとひと踏ん張り皆さんのご支援を受けて、裁判長の公正な判断と、正義を全うしていただけるよう願うものです。そして心身ともに解放されたいと思います。それまで暖かい応援を引き続きお願いします。
                                 
齊藤直美

 

大分大学、シンポ「大分大学の危機-不当労働行為と大分大学の将来-」開催

大分大学教職員組合
 ∟●組合ニュース(2014年1月22日)

 組合は1月14日(火)午後6時から、中央町の全労済ソレイユでシンポジウム「大分大学の危機一不当労働行為と大分大学の将来-」を開催しました。大学外からの参加者を含め、約80名が会場を埋めました。

一部経営陣の大学私物化が問題  
 まず、基調報告として組合の垣田委員長が、この間の経緯と問題点を報告しました。組合室復帰に当たって法人が約束を守らず、「後出しシャンヶン」的に新たな条件を持ち出して復帰を妨害していることが事態の根本にあり、不当労働行為申し立ては光熱水費を出す出さないの問題ではなく、任、説明責任、ひいては大学のコンプライアンスを求めることが目的であると主張しました。……


2014年01月21日

「朝鮮学校の無償化を」 立命大講義で署名集め 許可の講師に「不適切」指導

産経新聞(1月20日)

 立命館大(本部・京都市)の講義で昨年12月、朝鮮学校を高校無償化の対象とするよう求める署名集めの文書が、講義の出欠を確認するシートと同じタイミングで学生に配布されていたことが19日、分かった。大学公認の学生団体が在日系の女性嘱託講師の許可を得て配ったが、大学は「講師が署名を求めたような誤解を与えてしまい不適切だった」として講師に再発防止を指導した。

 大学によると、文書が配布されたのは、びわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市)で行われた東アジアや朝鮮半島について学ぶ教養科目で、複数の教員が担当。昨年12月13日、在日社会の形成史の学習や民族教育の研究などを活動内容とする大学公認の学生団体側から、「朝鮮学校の無償化をアピールさせてほしい」と申し出があり、この日の担当だった女性嘱託講師が許可した。

 講義終了後、出席していた理工学部や生命科学部、薬学部の学生約300人に対し、団体側が趣旨を説明して文書を配布した。文書には国に朝鮮学校無償化を求める内容とともに氏名や所属を記入する欄があったが、講師は「署名は任意で、成績に関係はない」などと説明した。

 この後すぐに団体側が回収したため、どれだけの学生が署名に応じたかは不明だ。

 今月になって、インターネット上で一連の事実を問題視する書き込みが相次いだことなどから、大学は講師に事情を聴いた上で再発防止を指導、「多くの方にご心配、ご迷惑をおかけしたことをおわびします」との謝罪文をホームページに掲載した。

 講師は「成績に響くかもしれないと思って署名した学生がいたかもしれず、配慮が足りなかった」と話しているという。


2014年01月18日

山口大、学部長の選考方法を変更 学長含む役員会が決定

日経新聞(2014/1/17)

 山口大学は16日、学部長と研究科長の選考方法を変更すると発表した。従来は学部や研究科の教授会が選び学長が追認していたが、4月からは学長を含む役員会が決める。学長がリーダーシップを発揮し、大学全体で将来のビジョンを共有して特色ある大学を目指す。このような選考方法は国立大学法人の総合大学では珍しいという。

 役員会は学長と5人の理事で構成する。新たな選考方法は学部、研究科が複数の候補適任者を学長に推薦。学長は所信表明の提出を求め、役員が面接をする。その上で役員会で決定し、学長が任命する。同大には8学部、9研究科があり、一部は学部長が研究科長を兼務している。

 また、学部長、研究科長の在任期間は原則4年までとする。従来は任期は2年で再任の限度は学部などがそれぞれ個別に設定していた。4月以降も任期2年は変わらないが再任は1回までとなる。


2014年01月17日

大学教授会、役割を制限し学長権限強化 文科省が検討

毎日新聞(2014年01月16日)

 文部科学省は、あいまいさがあるとされる大学の教授会の審議事項を明確化して、役割を事実上制限するため、学校教育法改正に向けた検討を始めた。教授会については、大学の経営に関する部分まで審議したり改革に異論を唱えたりするケースがあるなど「学長のリーダーシップを阻害している」との指摘があり、中央教育審議会なども見直しの必要性を指摘している。文科省は今月24日に召集される通常国会の期間中に、改正案を提出したい考えだが、大学関係者からは「学問の自由が失われかねない」と懸念する声が上がっている。

 学校教育法は「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」とし、国公私立大に教授会の設置を義務付けている。具体的には学生の入学や退学、留学などのほか、卒業について審議し、最終的には学長が決定する。文科省などによると「重要な事項」の範囲があいまいなため、教授会が教育関連のみならず、大学の経営に関する部分まで審議しているケースがあるという。また、入試制度の見直しなど、大学全体で取り組みたい施策に対し、学部ごとに設置された教授会の足並みがそろわない場合、結果的に学長がリーダーシップを発揮できない事態になる。

 教授会の役割については現在、中教審大学分科会組織運営部会で協議中。昨年12月に公表された「審議まとめ案」では、教授会が審議すべき事項として、教育課程の編成▽学生の身分に関する審査▽学位授与▽教員の教育研究業績等の審査??など内容を具体的に挙げており、改正案もこれに沿った内容になる見通し。解釈の余地をなくし、教授会の役割を事実上制限する。

 文科省は当初、大学関係者の反発に配慮し、教授会の再定義については省令で対応する方針だった。しかし、国際競争力の向上や留学促進、社会への貢献度アップなど、改革のスピードを速めるためには、学長により強い権限を集める必要があり、抜本的な「教授会改革」は避けられないとし、省令よりも拘束力の強い法改正が必要と判断した。

 文科省は通常国会に十数本の法案を提出する予定で、学校教育法の改正案もその中に含まれる方向。16日に開かれた自民党の文部科学部会でも説明された。【福田隆】

◇教授会

 大学の学部や研究科に設けられる機関で、学校教育法93条で設置が義務付けられている。教授で構成されるのが基本だが、准教授や専任講師も加えることができ、大学の教育課程や人事、学生関連の事項を審議する。教授会の審議を経て、学長が最終決定する。私立大では学校法人の理事会があり、教授会とは別の組織。最終決定権は理事会が持つ。

 ◇名古屋大大学院の中嶋哲彦教授(教育行政学)の話

 大学を運営するときに人事と予算は切り離すことができない。教授会の権限で、予算など経営的な事項を制限すれば、研究なども阻害され学問の自由が失われかねない。教授会の位置付けは現状で良い。

 ◇昨夏に教授会を学長の諮問機関とした追手門学院大(大阪府茨木市)の坂井東洋男(とよお)学長の話

 教授会の権限を「教育」と「研究」に特化したことで、教員が研究に集中できるようになった。そのためか、科学研究費補助金の申請件数が増加し、教員や授業に対する評価もスムーズに進み始めた。他大学からのヒアリングも増えている。

◇名城大大学院の中島英博准教授(高等教育論)の話

 経営手腕があるなど適任者が学長になり、権限が集中されるなら円滑な大学運営が期待できるはずだ。しかし、学部長も持ちまわりで選ばれ、学長も経営手腕などによって選出されていない現状をみると、法改正しても即座に大学の経営改革につながるとは考えにくい。


2014年01月16日

自由法曹団、労働者派遣法を大改悪する公益委員案を撤回し、派遣法の抜本改正にむけて徹底審議することを求める意見書

自由法曹団
 ∟●労働者派遣法を大改悪する公益委員案を撤回し、派遣法の抜本改正にむけて徹底審議することを求める意見書

 2014年1月8日(水)、自由法曹団は、労働者派遣法の改悪の阻止を求めて厚生労働省需給調整課に要請を行いました。
 現在、厚生労働省の労働政策審議会では派遣法の見直しが議論されています。審議会で提出されている公益委員案は、労働者派遣を恒常的・永続的な制度に代えるものであり、そのほかにも登録型派遣・製造業派遣の全面容認、特定行為の解禁等々、極めて多くの問題点を含んでいます。自由法曹団はこの派遣法の大改悪を阻止するのみならず、現在の派遣法の抜本的改正を要求しています。今回の要請では、この公益委員案の問題点を指摘し、労働政策審議会での徹底審議を要請しました。

 意見書本文はこちら


2014年01月15日

サイト紹介、吉見義明さんの裁判闘争を支援するネットワーク「YOいっション」

YOいっション

吉見義明さんの裁判闘争を支援するネットワーク「YOいっション(YOSHIMI裁判いっしょにアクション!)」が2014年1月11日(土)に発足し、公式サイトも開通しました。
http://www.yoisshon.net/

吉見裁判とは

「吉見裁判」とは、中央大学の吉見義明さんが、日本維新の会の桜内文城衆議院議員を名誉毀損で訴えた裁判です。

2013年5月13日、橋下徹大阪市長は、「慰安婦制度が必要なことはだれでもわかる」と発言し、国内外の批判を浴びました。そのため橋下市長は特に外国のメディアに弁明しようと、外国特派員協会で5月27日に記者会見を行いました。
その場において、司会者が吉見義明さんの著書に触れたことに対し、同席していた日本維新の会の桜内文城衆議院議員が、「これはすでにねつ造であるということがいろんな証拠によって明らかとされております」と発言しました。
20 年以上にわたって日本軍「慰安婦」の実態を追求してきた吉見義明さんが、自著を「ねつ造」だと言われたのです。そのため、吉見義明さんは、その発言の撤回 と謝罪を求め、桜内議員に内容証明を送りました。しかし桜内議員がこれに応じなかったため、損害賠償をもとめる裁判を提訴しました。
この裁判が「吉見裁判」と略称している裁判です。

大阪府立大学、奥野理事長が「大阪に公立大学を一つにすることは間違っていないと思う」と会見発言

大阪府立大学教職員組合
 ∟●府大教ニュース(2013.12.26)

奥野理事長が「大阪に公立大学を一つにすることは間違っていないと思う」と会見発言

 2013 年 9 月 18 日、府大教執行部は、8 月 27 日の新大学構想会議で「新大学案(素案)」などが示された中で、新執行部体制となってはじめての理事長会見を行い、改めて大阪市立大学との統合について意見交換を行いました。会見には、法人から奥野理事長、村田理事、辻理事らが出席し、府大教から相田委員長、谷口、河野、中村、山田副委員長、上田書記長、高根書記次長が出席して行われました。
 府大教は5 月の理事長会見の際に「今回の改革では情報を公開する」ことを約束しました。しかし、学内部会の議論においてさえ十分な情報公開が行われているとはいい難いことを指摘したところ、理事長は「確かに情報はできるかぎり公開するように言ったが、思うように行き渡っていないことは申し訳ない。今回は相手(市大)のあることもあって、考えていた以上に制約条件が厳しい。」と弁明しました。
 府大教は、学域体制の完成年度を迎えていない状況において次の改革の議論を行うことはあまりにも拙速であり、この間の進め方は大学の自主性や自律性が損なわれており、その点については法人の長としては発言すべきではなかったのかと意見すると、理事長は「完成年度を迎えるまで変えることができないことは当然で、そのことは発言しており、構想会議の委員も認識し、承知の上で進められている。この流れは止められない。」としました。
 また、8月27日の新大学構想会議に提示された「府大のガバナンス改革」では、あたかも府大の改革がうまくいっているように見えているが、現状を誠実に伝えるべきではないかの質問に、「我々がそのように書いたわけではない。府大ではすべてうまくいっているとは思っていないし、府大のガバナンス改革を美化していることはない。」とし、今回の改革で手直ししたい思いがあると答えました。
 府大教は、理事長と学長の分離についてこれまでの「新大学ビジョン」では「経営と教学の分離」としていたが今回の資料では「経営と執行を分離」するという本質が出されていることへの危機感はないのかについて質問すると、「今回の資料は、現時点の中間段階のものであり理事長と学長の分離については法人統合から大学統合への過程を区別しては書かれておらず、表現も含め整理されていない部分もある」と答えつつも、分離は法人統合へのプロセスに組み込まれている既定路線でやむを得ないとしました。
 また、新大学の財政的な基盤や教職員数なども示されていないことを指摘すると、村田理事から「この状況で議論を進めるのは難しいので、財源を示して欲しいと要望している。」との発言があり、今後は四者(2大学、府と市)で議論を進めていくとしました。
 府大教は、議論の過程で修正される情報をその都度公開することは教職員を混乱させることにもなりかねないとする法人に対し、「変わることを前提としたうえで情報を公開したら良いことであり、何も知らないうちに進められていくことの方がかえって教職員に不安を募らせることになる。安心して働けるようにして欲しい。」と要望しました。以下に会見議事録を報告します。

…以下,略…

2014年01月14日

ネット署名紹介、「特定秘密保護法案に反対する会」

特定秘密保護法案に反対する会

「特定秘密保護法案に反対する会」は、昨年11月28日に「31名の学者の声明」として記者会見を行って発足しました。12月3
日には衆議院での強行採決に抗議して「2006名学者の声明」を発表し、その模様はテレビ(NHK、TBS、日テレ、テレビ朝日)において放映され、新聞各紙も報道いたしました。さらに参議院において強行可決された翌日の12月7日には「3181名学者」(その他、市民・学生・院生746名)の「抗議声明」を発表し、この抗議声明も多くの新聞で取り上げられました。なお、この日から「特定秘密保護法案に反対する会」から「特定秘密保護法に反対する会」に改称し、現在、「5千人の賛同署名」を呼びかけて賛同人を募っています。一年後の施行にいたるまで闘い続けてまいります。

法案が可決されたことにより、今後は、この悪法を無効化する闘いが必要です。年が変わりましたが、一人でも多くの研究者に呼びかけ、一日も早く5千人の賛同者を集めて、より多くの報道を実現することが求められています。まわりの方々に一声、声をかけてくださるよう、是非ともお願いします。
なお、賛同をひろげるために、近く、賛同いただいた研究者のみなさまの一覧をブログ上で公開いたしますので、ご了解ください。その際、所属(大学名や研究所名など、学部以下は割愛します)、職種、専門を表示させていただきます。非常勤講師などで所属が多岐にわたる場合は「大学非常勤講師」と標記します。

署名フォームに所属、専門を未記入だった方は、お知らせいただくようお願いします。氏名以外公表不可、あるいは一切公表不可などの場合は、その旨を1月20日までに事務局(下記)宛にご連絡ください。
よろしくお願いいたします。

特定秘密保護法案に反対する学者の会
連絡先(事務局)
小沢弘明(千葉大学教授、歴史学)

Fax: 043-290-2302 (研究室)
e-mail: ozawa.gakusyanokai@gmail.com
ブログ http://www.anti-secrecy-law.blogspot.jp

佐賀大退職金訴訟、大学側は争う姿勢

佐賀新聞(2014年01月11日)

大学側は争う姿勢 佐賀大退職金訴

 国家公務員退職手当法の改正に合わせ、退職金を引き下げたのは不当として、佐賀大を退職した元教授2人が、同大に引き下げ分の約364万円の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が10日、佐賀地裁で開かれた。大学側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
 原告の豊島耕一元教授は「強制力のない引き下げを政府が要請することは、予算を握っている政府の『公的パワハラ』で、大学自治や学問の自由を脅かす」と意見陳述した。
 訴状などによると、2012年11月に成立した国家公務員退職手当法改正法に伴う国の要請に同大が従い、昨年1月から教職員の退職金を約6%減額。国立大学法人の職員は法が適用されない非公務員型で、事前の周知などもなかったことから「不利益変更ができる労働契約法の例外規定を満たしていない」などと主張している。


慶上智に日大も 私大で相次ぐ「学費値上げ」は妥当なのか

News ポストセブン
 ∟●慶上智に日大も 私大で相次ぐ「学費値上げ」は妥当なのか(2014.01.12)

慶上智に日大も 私大で相次ぐ「学費値上げ」は妥当なのか

 今春から関東・関西の有名私立大学の授業料が軒並みアップする。本当に上げる価値があるのか。親世代がついつい「自分の時代」と勘違いしやすい、大学の授業についてコラムニストのオバタカズユキ氏が考える。
 * * *
 大学受験勉強の追い込み期だ。当事者である受験生のあなたには、「このサイトを見ている暇があったら、英単語の1つでも2つでもいいから頭の中に詰めこみなさい」と言いたいが、その親御さんや大学関係者、大学に関心がある方々には広く知っていただいたほうがいい、ちょっと頭の痛い話がある。
 日経新聞(電子版)では12月14日、朝日新聞(DIGITAL)では12月27日に報じていたけれども、この春からあちこちの私立大学が学費を値上げする。これまでも人知れずちまちま上げていた大学はあった。だが、有名どころが次々と値上げを表明、しかも消費税が上がる年に、という事態はニュースだろう。受験生の保護者はさらなる出費の覚悟をしたほうがいい。
 朝日新聞(DIGITAL)の記事をもとに、具体例をいくつかあげると、最も値上げの率が高く目立っているのは日本大学だ。全14学部のうち6学部で、年間の学費を5万~20万円増額するとしている。古い人にとっての日大は「中小企業の社長の息子が行くボンボン大学」というイメージもあるようだが、実はこの大学には学費を抑えた学部が多く、ここ5年間ほどは値上げをしていなかった。だから、これでついにあの日大の学費も首都圏の他の有名私大並みになってしまった、と捉えたほうがいいかもしれない。
 次いで、目立つのは早稲田大学だ。これまで1、2年次から徴収していた計15万円の「基礎教育充実費」を廃止。そのかわりに、新しく「全学グローバル教育費」年間7万円を徴収。4年間で卒業したとしても28万円かかるので、15万円を引き算して13万円の増額だ。また、政治経済学部の授業料は3万円アップ、他の学部の全学年で年間5~7千円の授業料を値上げする。
 他では、上智大学が「教育充実費」を新設し年間2万円増、授業料等も文系で年間7200円、理系で1万3700円の値上げ。明治大学は、5年ぶりに授業料を文系学部で年間5万円、理系学部で4万円の値上げをする。ただし、入学金は8万円減額とのこと。あとマスコミが伝えるところでは、慶應義塾大学、中央大学、青山学院大学、成蹊大学、関西大学が、率は低めだけれども値上げを決めている。
 逆に値上げを据え置くのは、関東では東京理科大、法政大、立教大、専修大あたり。だが、これらの大学はこの数年間でそれなりの学費値上げを行ってきたので、別に良心的なわけでもない。関西の大学も据え置きが多いが、国公立が非常に強いエリアなので、もとが安めの関大以外の私大は他の出方をうかがっていると見たほうがいい。
 値上げの言い分は大学によっていろいろだが、ざっくりまとめてみると次の2つの理由による。1つは、老朽化が進んだ校舎の建て替えや、遠方からの学生を呼び込むための学生寮の増設費が必要だということだ。寮については納得できないでもないが、私大でそんなに建て替えを急ぐような校舎が多いかな、という気はする。オンボロ校舎のまま頑張っている方々の国公立大学を思えば、「私大はまだ見栄えで人寄せできるつもりか」と首をひねる。

 もう1つの値上げ理由は、少人数授業などきめ細やかな教育体制の充実のために必要だという件。これはたしかに、そうなのだろう。ここ10年ほどの間に、「1年次からゼミをやる」というような大学や学部がずいぶん増えた。大教室での老教授による棒読み講義が減り、グループディスカッションをやる授業や、文系でも実習的な色彩の強い授業が増えている。さんざん批判されてきた「マスプロ教育」は減少方向にある。
 学生個人によりきめ細やかな対応をする教育の実践には、当然、人件費が余計にかかる。大学側からしたら1単位あたりの利益率が減るので、学費そのものを上げざるをえないわけだ。
 しかし、である。そのような教育体制に力を入れ始めてしばらく経つが、成果のほどはいかがか。これはデータでなかなか示せない問題だが、大学生や若手社員を取材していて、「大学の勉強は?」と聞いても、「べつに関係ないですよ」という返答が圧倒的に多いのは昔も今も変わらない。むしろ、きめ細やかになったことで、出欠取りが厳しくなり、「意欲もないのに」授業に出る学生が増えている。これは多くの大学教員もぼやいている件だ。
 もちろん、こうした状況について、今はマスプロ教育から少人数教育への過渡期でいずれ内実のともなった大学教育が実現する、という見方もできよう。だが、話が戻るけれども、そのぶん学費値上げは必至なわけだ。
 文部科学省の平成23年度データによると、私立大文系の授業料の平均額は743,699円で、入学料などを含めた初年度納付金の平均額は1,155,405円だ。理系の場合は、授業料が1,040,472円、初年度納付金が1,497,747円。今回の値上げラッシュで、これらの数字はもっと跳ね上がる。
 コストに見合ったリターンという考え方は教育に当てはめるべきではないかもしれないが、これだけの大枚をはたく価値のある大学教育は本当に必要なのか。大学で職を得ている人以外の誰がその価値を求めているのか。逆に学費を下げられるのなら、むしろ昔流のマスプロ教育を増やして、あとは学生の自主性に任せる、といった大学が出て来たっていいのではないか。具体的にかかる金額を見つめていると、そんなことも考えてしまう。
 いまや同学年の半分が大学に進学する時代。でも、この「常識」だって崩れていくかもしれない。あまり注目されていないのだが、大学進学率は2009年に50%超えして以降、2011年の51・0%がピークで、そこからは下がっている。2012年は50.8%で、2013年は49.9%と、実は僅かながら半分を割っている。
 大学進学率の「頭打ち」の原因が、高卒就職率が改善しているせいなのか、なんなのか、明言できている識者はいない。けれどもこれは単純に、親の懐具合が限界に来た、ということなのではないだろうか。
 ちなみに、これもいまひとつ認識されていない話だからつけ加えておく。国立大学の学費である。上記と同じ平成23年度データでは、授業料は535,800円、初年度納付金は817,800 円。こと文系学部に関してなら、私大とものすごい差があるわけではない。貧乏なうちの子が頑張って国立に合格しても、けっこうなお金がなければ通えない。受験生の親が若かった頃とはまるで状況が異なることを、知っておいたほうがいい。


刑事告訴された前副学長と新大が和解

刑事告訴された前副学長と新大が和解

 新潟大学に刑事告訴された前の副学長が「名誉を傷つけられた」として大学に損害賠償を求めていた裁判で10日、和解が成立した。

 この裁判は、新潟大学の永山庸男教授が大学を相手取り慰謝料など約1100万円の損害賠償を求めていたもの。学長の公印を無断で使い高額な医療装置を契約したとして、大学が永山教授を刑事告訴したが、検察は去年3月、嫌疑不十分で不起訴処分としていた。  
 この裁判で大学側が職務停止命令を撤回、永山教授は請求を見送ることで合意し10日、和解が成立した。永山教授の代理人は「裁判所は契約が独断でないとの認識で、実質的に名誉回復できた」とコメントしている。


2014年01月11日

京都大学職員組合、「(続)民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール」とネット署名(第一次集約1月15日 学外者もOK)

京都大学職員組合
 ∟●(続)民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピールとネット署名

ネット署名サイト
https://ssl.form-mailer.jp/fms/6eb563e8281879

2014年1月10日

京都大学職員組合

(続)民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール

 現在、京都大学総長選考会議(学外委員6名、学内委員6名で構成)において重大な事態が進行しています。昨年(2013年)12月25日の総長選考会議では、教職員の総長選挙廃止反対の大きな世論が沸き起こる中(反対署名はわずか4日間で1065筆に達しました)、会議は学外開催となり、総長選挙廃止の決定は行なわれませんでした。しかし教職員に対して非公開の秘密審議でいつでも強行決定される可能性のある状態は依然変わっていません。昨年12月27日夕刻、京都大学総長選考会議の議事録が3年前の2010年度から昨年11月20日の会議分まで初めて公開されました。それによれば、昨年11月20日の総長選考会議において、「現行規程における総長選考方式である『学内予備投票』及び『学内意向投票』、並びに『総長任期』等に係る在り方について、意見交換が行われ」、「次回【12月25日の意】は集約した意見をもとに検討することとなった」とされています。しかし、それ以外は、次回の会議日程さえ、なおすべて非公開の状態が続いています。

 なぜ会議日程さえ秘密にされるのでしょうか? また現段階において個人名など秘密にされるべき事柄は何もなく、反対に、論議されているのは、総長選考制度の在り方という京都大学全構成員の諸権利に係る、到底秘密にされるべきでない事項なのです。それにもかかわらず、総長選考会議の議事運営は、このように非公開とされ、京都大学の運営に最高度に重要な協議機関であるはずの部局長会議や教育研究評議会にも、また各教授会にも正式には報告されていません。京都大学総長選考会議は、秘密にしてはならないことを秘密にしている極めて異常な状態にあります。そして総長は、1月7日の部局長会議において、「すべては総長選考会議が決めることだ」と居直りの発言をしました。

 京都大学の「基本理念」では、その運営について「人権を尊重した運営を行うとともに、社会的な説明責任に応える」とし、京都大学第1期中期目標・計画は、「管理運営に関する情報を公開し、国民に支えられる大学として国民や社会に対する説明責任を果たす」と明記しています。総長選考会議のこの間の姿勢は、京都大学運営の基本原則への重大な違背行為です。

 京都大学全体の運営体制に直接決定的な影響を与えるこの総長選考会議の議事運営において、公開されるべきことが公開されず、秘匿されるべきでないことが秘匿されている現状をわたくしたちは決して見過ごすことはできません。そしてこの、わずか数名の事実上の総長指名による総長選考会議が、学生・教職員・社会に対する説明責任を無視し、わたくしたち5000名を超える京都大学教職員が自ら京都大学の代表を選出する権利を剥奪しようとすることを、わたくしたちは見過ごすことはできません。

 わたくしたちは以下のことを要求します。

(1) 総長選考会議は、議事運営のうち何ら秘密にされる必要がない、総長選考の制度に関する議事について、直ちに公開の運営とし、部局長会議、教育研究評議会、各教授会をはじめとして広範な京都大学教職員の意見を聞き、議論をする機会を設けること。

(2) 総長選考会議は、総長選考における教職員の学内予備投票および学内意向投票の廃止や、総長任期の延長などの決定を絶対に行なわないこと。

以上

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
★今回のアピール賛同署名について
 12/25の総長選考会議においては、職員組合の署名活動をはじめとする学内の各種とりくみにより、総長選学内予備投票・学内意向投票の廃止・総長再任制の決定はされませんでした。しかし、依然とその可能性はなくなったわけではなく、1月中にも強行の動きがうかがえます。

 前回の署名(2013/12/19-12/24)は、緊急かつ極めて短い期間での呼びかけだったため署名集約も困難で、署名意志がありながら署名できなかった方もおられたと思います。今回の賛同署名では前回に賛同してくださった方はもちろんのこと、前回賛同できなかった方にも署名をお願いします。
 また、前回のアピール賛同署名では、学外の方からも多数お声をお寄せいただきましたので、今回は学外の方も署名できる体裁に改めました。
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★ご注意事項
*本署名の第1次集約は、1月15日(水)とします。
*賛同者の名簿は総長選考会議に提出いたします。
*メール・アドレスはこの署名運動にかかわる情報提供に限り使用し、他の目的には用いません。
*お寄せいただいたメッセージは、匿名で京都大学職員組合の機関紙やWebサイトなどに転載させていただく場合があります。転載不可の場合はその旨をメッセージ欄にお書き添えください。
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★取扱団体:京都大学職員組合
〒606-8317 京都市左京区吉田本町Tel:075-761-8916
Mail:office[at]adm.kyodai-union.org ([at]は@に変換してください)


2014年01月10日

東北大学職員組合、声明「55歳を超える職員の昇給抑制に強く抗議し撤回を求める!」

東北大学職員組合
 ∟●声明 55歳を超える職員の昇給抑制に強く抗議し撤回を求める!

声明 55歳を超える職員の昇給抑制に強く抗議し撤回を求める!

 東北大学は、我々の反対にもかかわらず、国家公務員への準拠を理由として、55歳を超える職員に対する実質的な昇給停止を含む就業規則不利益変更を強行しました(12/24決定、12/26届出・周知)。7.8%臨時賃下げ、退職手当の大幅減額に続く給与削減であり、私たち労働者の生活を脅かすものです。この昇給停止は次のような理由でまったく不当なものです。

1.人事院勧告に準拠する法的根拠はなく、財務上の必要性もない。

 国立大学法人の給与の基準は、独立行政法人通則法63条において、「業務の実績」と「社会一般の情勢に適合」すべきと規定されており、国家公務員とは異なり人勧にそのまま従う必要はなく、業務の実績や財務状況を考慮する必要があります。

 7.8%臨時賃下げや退職手当減額の場合のように減額相当額が運営費交付金から減額された場合とは違って今回の昇給制度の変更は運営費交付金の増減を理由とするものでもなく、財務面からの昇給抑制の必要性は全くありません。

2.現在の給与水準からも昇給抑制の合理性はなく、人材流出につながる。

 東北大学の職員の給与水準は、国家公務員に対する比率(ラスパイレス指数)で94.2(2012年度、東北大公表数値)であり、民間と比較しても決して高くはなく、賃金抑制の合理性はありません。7.8%臨時賃下げや退職手当の大幅減額に加えて55歳昇給停止までもが強行されることにより、教職員の労働意欲が減退し、他国立大学や公・私立大学へ流出する教員が増加し、教育研究水準の低下がもたらされることが強く危惧されます。

3.人事院勧告は一律55歳昇給停止を求めていない。他大学では教員は60歳のところも。

 大学当局が今回の55歳昇給停止の唯一の根拠としている 2012年8月の人事院勧告では、医療職(一)(病院や診療所の医師や歯科医師)、行政職(二)(守衛、用務員等)のように定年年齢が60歳を超える職種については定年年齢を考慮し、昇給停止年齢を57歳に繰り延べたものとなっています。そしてまた、法律上本学と同じく国立大学法人である九州大学では、教員の昇給停止年齢を60歳とするという提案が当局側から行われ、北海道大学でも、交渉の中で58歳とするという修正提案が当局側から行われました。

 「人事院勧告を有力な参考資料」とする(本学職員の給与の取扱いに関する基本方針、2005年、東北大学役員会承認)としたら、この人事院勧告の趣旨を尊重して、65歳定年である本学の教員の昇給停止を少なくとも57歳とすべきです。11月14日の団体交渉において組合がこの点を追及すると、岩瀬人事・労務担当理事は答弁不能に陥り、「そういう意見は合理的だと理解するが、大学としてはこの方針でやらせて頂く」を繰り返すのみとなりました。

 このように人事・労務担当理事自らが合理性を欠くことを認めているような55歳昇給停止を大学当局が強行したことに対して組合は強く抗議し撤回を求めるものです。

2014年1月9日

東北大学職員組合

2014年01月09日

私学経営、公的管理強化へ 立ち入りなど 法改正の方針

朝日新聞(2014年1月5日)

 文部科学省は、経営破綻(はたん)など問題を抱える学校法人の管理を強めるため私立学校法の改正を目指す方針を決めた。国や都道府県による立ち入り検査や改善命令などの措置を新設する。学校の存続に関わる事態が相次いだためで、今春に改正法案を国会に出す予定。

 文科省によると、問題を抱える学校法人に対する行政措置は、今は解散命令のみ。改正案では、経営危機や法令違反など重大な問題のある法人への立ち入り検査を可能にし、資産の横領など不正をした法人役員を解職させる措置も加える。

 学校存続が危うい事態にありながら生徒募集を続ける例もあるため、入学停止や在籍生の転学支援を行政が命じられる制度も新設する。私学経営の独立性を保つため、行政措置に踏み切る際は有識者からの意見聴取を定める考えだ。


文部科学省、世界の頭脳を丸ごと誘致 国立大学を強化

毎日新聞 2014年01月03日

 文部科学省は来年度から、海外の世界トップクラスの大学研究者を研究室スタッフを含めて丸ごと日本の大学に誘致する方針を決めた。「ユニット誘致」と名付け、まず京都工芸繊維大、北海道大の国立2大学で開始予定。国立大の機能強化の一環で、国内初の取り組みとなる。今後、大学のグローバル化を加速させるため、国立大を中心に実施校を広げていく方針だ。

 ユニットは教授、准教授、助教のほか大学院生ら5?10人程度のスタッフで構成し、誘致期間は1ユニット5?10年。誘致する大学にとっては、共同研究・開発が活性化する上、学生が海外留学しなくても世界トップクラスの研究者の指導を受けられる利点がある。

 1級建築士試験の合格者が国公立大でトップ(2012年度)の実績を持つ京都工繊大はデザイン、建築分野で世界最高レベルの研究者がいる英国王立美術大やスタンフォード大(米国)、チューリヒ工科大(スイス)などから計4ユニットを誘致する計画。既に交渉を進めており、早ければ4月にも実現する。

 学内に研究室を設け、日本人大学生向けの講義も想定しているほか、日産自動車やソニー、清水建設など世界有数の国内企業との共同研究プロジェクトも予定し、誘致される研究者側にもメリットがある。古山正雄学長は「これを機にグローバル化をさらに進めたい」と話している。

 北海道大は、がん治療や感染症の分野で著名な研究者がいる米国やオーストラリアなどの大学からの誘致を予定している。

 文科省国立大学法人支援課の担当者は「各大学の強い分野をさらに強化することで、他の部門への波及効果も期待できる」と話している。【三木陽介】


自由法曹団、労働者派遣法を大改悪する派遣法を大改悪する公益委員案を撤回し、派遣法の抜本改正にむけて徹底審議することを求める

自由法曹団
 ∟●労働者派遣法を大改悪する派遣法を大改悪する公益委員案を撤回し、派遣法の抜本改正にむけて徹底審議することを求める

労働者派遣法を大改悪する派遣法を大改悪する公益委員案を撤回し、 派遣法の抜本改正にむけて徹底審議することを求める

2014年1月8日


厚生労働大臣
田 村 憲 久 殿
労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会長
鎌 田 耕 一 殿

東京都文京区小石川2-3-28
DIKマンション小石川201号
TEL03-3814-3971
FAX03-3814-2623
自由法曹団
団 長 篠 原 義 仁



1 公益委員案をめぐる審議の状況 公益委員案をめぐる審議の状況
(1)2013年12月12日の労働力需給制度部会
 2013年12月12日に開催された労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会において、公益委員は、唐突に、「労働者派遣制度の改正について(報告書骨子案(公益委員案))」を提示した。
 この公益委員案に対して、使用者委員は「大変評価できる。」(高橋弘行・経団連労働政策本部長)と賛同したが、労働者委員は「無期雇用でもリーマン・ショックで9割以上が雇い止めされた。労組の意見聴取では実効性あるチェックにならない。」(新谷信幸・連合総合労働局長)、「派遣が例外にとどまらなくなり、使い捨てにされてしまう。」(清水謙一・全建総連書記次長)と反対した。
(2)2013年12月25日の労働力需給制度部会
 次いで、12月25日に開催された労働力需給制度部会で、鎌田耕一部会長は、「部会開催に先がけて、年内の取りまとめに向け、労働者側委員、使用者側委員とそれぞれ議論を行ったが、意見の隔たりが大きく、取りまとめにはいっそうの調整が必要だ。今後の進め方について意見があれば出していただきたい。」と表明した。
 これに対し、労働者委員は、「①有期雇用派遣の期間制限のあり方で、過半数代表者の意見聴取だけになっているが、これでは実効的なチェックができない懸念がある。②無期雇用派遣の労働者の雇用が必ずしも安定しているわけではなく、違法な解雇を回避する手立てが必要だ。③派遣労働者の処遇改善については、均等待遇を求めてきたが、均衡待遇となっており、納得できない。」(新谷信幸・連合総合労働局長)と、公益委員案に反対し、引き続き審議することを要求した。使用者委員は、「次回、公益委員案に肉付けして合意できる内容をお示しいただきたい。」(高橋弘行・経団連労働政策本部長)と発言している。
(3)徹底審議の重要性
 以上のとおり、公益委員案については労働者委員の強い反対があり、しかもその反対の理由は合理的である。このような状況で審議を打ち切り、公益委員案に基づいて労働力需給制度部会の報告書をまとめることは、とうてい許されない。
 以下、その理由を述べる。

2 労働者派遣を恒常的・永続的な制度にし、労働者派遣法を大改悪する公益委員案
(1)労働者派遣を恒常的・永続的な制度に大改悪
ア 歯止めにならない過半数労働組合もしくは過半数代表者の意見聴取
 公益委員案は、「専門26業務の区分及び業務単位での期間制限を撤廃し、有期雇用の派遣労働者の派遣先の同一の組織単位(課等)における派遣受入可能期間は、最長3年とする。この場合、派遣先は、同一の事業所において3年を超えて派遣労働者を受け入れてはならないものとするが、事業所の過半数労働組合もしくは過半数代表者の意見を聴取すれば、引き続き派遣労働者を使用できる。」、「無期雇用の派遣労働者、60歳以上の高齢者、有期プロジェクト業務等への派遣には、派遣期間制限を一切設けない。」としている。
 上記のとおり、公益委員案では、有期雇用の派遣労働者の場合でも、派遣先は、3年ごとに派遣受入の組織単位(課等)を換えれば、同一の派遣労働者を使用し続けることができる。また、同一の組織単位(課等)への派遣でも、派遣労働者を入れ換えれば永続的に派遣労働者を使用できる。
 派遣先の事業所単位の期間制限にとって、事業所の過半数労働組合もしくは過半数代表者の意見聴取は、聴取すればそれで足りるとされるものであり、まったく歯止めにならない。
イ 常用代替防止原則の廃棄
 公益委員案は、「派遣先の常用労働者との代替が起こらないよう、派遣労働は臨時的・一時的な利用に限ることを原則とする。」、「派遣労働者の派遣先での正社員化を推進するための措置を講ずる。」と言っている。
 しかし、公益委員案の提示する制度の下では、派遣先は、派遣労働者を恒常的業務に従事させ、永続的に使用できるのであり、労働者派遣における常用代替防止原則はないがしろにされてしまう。このような制度の下では、無期雇用の派遣労働者はもとより、有期雇用の派遣労働者であっても、直接雇用される契機や機会はまったくなくなり、一生派遣労働者の地位に置かれることになる。
 低賃金・不安定雇用の最たるものである労働者派遣が増大、蔓延し、派遣労働者は派遣先の正社員になる道を永久に閉ざされてしまうことになる。
ウ 実効性のない雇用安定措置
 公益委員案は、「派遣元は、3年の上限に達する有期雇用の派遣労働者に対し、3 ①派遣先への直接雇用の依頼 ②新たな就業機会(派遣先)の提供 ③派遣元における無期雇用 ④その他、安定した雇用の継続が確実に図られる措置のいずれかの雇用安定措置を講ずるものとする。」としている。
 しかし、これらの雇用安定措置は強制力がなく、また、従来、①派遣先への直接雇用、③派遣元における無期雇用はほとんど実行されておらず、その実効性には大きな疑問がある。
(2)常用代替防止原則を踏みにじるキャリアアップ措置
 公益委員案は、一方で、派遣先は派遣労働者を恒常的業務に従事させ、永続的に使用できるとしながら、他方で、派遣元と派遣先が協力して、派遣労働者のキャリアアップ措置を実施すべきとしている。派遣労働者のままでキャリアをアップさせ、正社員と同様の恒常的業務に従事させようという考えである。常用代替防止原則を踏みにじるキャリアアップ措置であり、とうてい容認できない。
 派遣労働者のキャリアアップ措置は、派遣労働者の正社員化のためのものであることを明確にすべきである。
(3)実効性のない均衡待遇原則、均等待遇原則の採用こそ重要
 公益委員案は、派遣労働者の処遇について、均等待遇原則を採用せず、「派遣労働者の賃金について、均衡が図られたものとなるために派遣元及び派遣先が行うことが望ましい事項を指針に規定する。」などと均衡待遇原則を求めるにとどまっている。
 しかし、均衡待遇原則の下では、派遣労働者に対する待遇格差は継続し、低賃金・不安定雇用の労働者派遣はますます増大することになる。貧困と格差の拡大は、派遣労働者の労働条件に最も深刻にあらわれている。この現状を是正するためには、派遣先の正社員との均等待遇原則の採用こそ重要である。
(4)労働者犠牲の登録型派遣・製造業務派遣の全面容認
 公益委員案は、「登録型派遣・製造業務派遣」について、「経済活動や雇用に大きな影響が生じる可能性があることから、禁止しない。」としている。
 しかし、登録型派遣は、派遣先からの注文があってはじめて派遣元は派遣労働者と派遣労働契約を締結するのであり、派遣元は、雇用主としての雇用責任をほとんど果たさない。製造業務派遣では、労働災害と労災かくし、派遣切り等が横行している。これらの実態からして、登録型派遣・製造業務派遣の全面禁止が要請されるのである。
 公益委員案は、企業の経済活動の便宜のために、労働者の雇用と労働条件を犠牲にする提言であり、許されない。
(5)特定目的行為まで容認
 公益委員案は、「無期雇用派遣労働者に対する特定目的行為を可能とする。」と、派遣労働者に対する事前面接等を容認している。
 しかし、事前面接等の特定目的行為の下での労働者派遣は、職業安定法44条で禁止されている労働者供給事業そのものであり、とうてい許されない。

3 公益委員案及び労働者派遣法の抜本改についての徹底審議の重要性
(1)公労使の参加する労働政策審議会での徹底審議の重要性
 ア 労働政策審議会における公労使三者構成の意義・役割
 厚生労働省は、労働政策審議会における公労使三者構成の意義・役割について、下記のように説明している。


 「労使参加の下での政策決定―労働現場のルールは、現場を熟知した当事者である労使が参加して決めることが重要となります。国際労働機関(ILO)の諸条約においても、雇用政策について、労使同数参加の審議会を通じて政策決定を行うべき旨が規定されるなど、数多くの分野で、公労使三者構成の原則をとるように規定されています。そのために、労働分野の法律改正等については、労働政策審議会(公労使三者構成)における諮問・答申の手続が必要とされています。」
イ 労働者委員の反対を無視し、押し切って報告書をまとめることは許されない
「1 報告書骨子案(公益委員案)をめぐる審議の状況」で述べたように、現在、労働者委員は、公益委員案に反対している。しかも、その反対理由は、「無期雇用でもリーマン・ショックで9割以上が雇い止めされた。労組の意見聴取では実効性あるチェックにならない。」(新谷信幸・連合総合労働局長)、「派遣が例外にとどまらなくなり、使い捨てにされてしまう。」(清水謙一・全建総連書記次長)等、極めて合理的である。
 労働者委員の合理的な理由に基づく反対がある中で、その反対を無視し、押し切って労働力需給制度部会の報告書をまとめることは、上記の労働政策審議会における公労使三者構成の意義・役割に反する行為であり、とうてい許されない。
(2)公益委員案の可否及び労働者派遣法の抜本改正の必要性について徹底審議することが重要
 ア 労働者派遣法の抜本改正の重要性
 自由法曹団は、派遣労働を恒常的・永続的な制度にし、労働者派遣法を大改悪する労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会の報告書骨子案(公益委員案)に反対し、その撤回を要求する。
 自由法曹団は、登録型派遣・製造業務派遣の全面禁止、労働者派遣の臨時的・一時的業務への限定、業務単位での派遣期間制限の厳格化、違法派遣の場合の正社員と同一の労働条件での直接雇用みなし制度、派遣労働者と派遣先の正社員との均等待遇等の労働者派遣法の抜本改正を強く要求する。
イ 徹底審議こそ重要
 いま、労働政策審議会労働力需給制度部会に求められていることは、労働者委員の反対を押し切って、公益委員案に基づいて報告書をまとめることではない。
 広く、派遣労働者、労働力需給制度部会に労働者委員を出していない労働組合の代表者、法律家団体の代表者等の意見を聞いて、報告書骨子案としての公益委員案の可否と公益委員案の対極にある上記労働者派遣法の抜本改正の必要性を検討することこそ、労働力需給制度部会に求められている。

以上

2014年01月08日

専修大学教員解雇を容認する不当判決

北海道合同法律事務所
 ∟●「北の峰」第74号(2014年新年号)

専修大学教員解雇を容認する不当判決

弁護士長野 順一

 二〇一三年一二月二日、札幌地裁(民事第一部)は、専修大学が、専修大学北海道短期大学(美唄市)の学生募集停止・廃止を理由として、北海道短大の教員八名を整理解雇したことについて、被告専修大学の主張をほとんどそのまま採用して、解雇を有効とする不当な判決をしました。
 被告、学校法人専修大学は、二〇一〇年四月二一日、学生数の減少を理由として、専修短大の募集停止を決定し、定年退職、任意退職等による退職をせずに残った八名の教員全員を二〇一二年三月付けで整理解雇しました。
 被告は、専修短大の学生募集停止を決定するにあたり、専修短大の教授会の決議すら経なかったばかりでなく、地元美唄市や周辺自治体の意見を聞くこともせず、地元の理解を得る努力も何もしませんでした。
 しかも、私立大学が学生募集停止・学校廃止をする場合に、教職員の雇用の確保の措置を事前に講ずべきことは、文部科学省からも求められているにもかかわらず、事前に何の措置も講じなかったばかりか、募集停止決定後も、専修大学教員の一般公募枠で五名を採用した以外は、若干の退職金の上積みによる任意退職の募集を行っただけで、他にはほとんど何の努力もせずに、残った教員全員を解雇しました。
 ところが、判決は、「被告法人全体の財務状況が悪化しつつあった」などという被告の言い分をそのまま採用して、予算をつけて短大教員の採用を専修大学の学部に要請することすらしなかった被告の対応も「理由がある。」などと正当化し、また教員の配置、採用は「教学事項」であって、被告(理事会)には決定権はないとの理由で、ほとんど解雇回避の名に値しないような措置でも、「解雇回避努力」をしたといえるなどとして、整理解雇が有効であるなどとしました。
 しかし、被告専修大学は財務状況も優良であり八人の教員の雇用すら確保できないような財務状況には全くありません。
 また被告は、「教学事項」を□実にして雇用確保の措置をとらなかっただけで、実際予算を確保して各学部に教員の採用を要請することは、教学権の侵害になどなりません。
 このような、専修大学経営者の無責任な立場をそのまま容認する、今回の判決は、到底許されるものではありません。控訴審で、この不当判決を覆すために、原告のみなさんも弁護団も、全力で頑張る決意です。


文科省、国立大学に年俸制を強要 学問の自由と自治に介入

しんぶん赤旗(2014年1月7日)

国立大学に年俸制を強要
文科省 学問の自由と自治に介入


 文部科学省は来年度から、教員の賃金を「業績評価」によって決める「年俸制」を導入する大学を重点的に支援する方針です。2014年度予算では「導入促進」に24億円を計上しています。これに対して、学問の自由と大学の自治をゆがめるものだとの声が上がっています。

 年俸制導入は、文科省が昨年11月に発表した「国立大学改革プラン」に盛り込まれました。安倍内閣が掲げる「産業競争力強化」に向けて、「持続的な競争力を持ち、高い付加価値を生み出す」大学に「改革」することが目的です。大学の種別化・ランク付け、学長の権限強化などと合わせて打ち出されました。

 具体的には、「国内外の優秀な人材の活用によって教育研究の活性化につながる人事・給与システム」と称して、年俸制を導入する大学に運営交付金を重点配分。15年度までに「1万人規模で年俸制を導入する」との目標を掲げています。これは全教員の約19%に当たります。さらに、「シニア教員から若手・外国人へのポスト振替等を進める」として、1500人分の常勤ポストを確保するためにベテラン教員の追い出しを進めるとしています。

 年俸制について全国大学高専教職員組合(全大教)は、人事制度に文科省が介入するものであり、「教職員の中に過度の格差を生み出し、将来に不安を与える」と批判しています。

 すでに昨年の臨時国会では、大学や研究機関の非常勤講師など有期雇用の研究者が5年を過ぎると正規雇用に転換できる権利を10年に先延ばしする改悪を強行しましたが、「研究者の使い捨てを進め、研究を劣化させるものだ」と指摘されています。

 全大教は、「国立大学改革プラン」について「政府が大学を産業政策の中に組み込み、産業競争力強化の観点だけに立った大学改革を行わせようとするものだ」と批判。「大学の自治を破壊し、国立大学の責任と自主性を蔑(ないがし)ろにする」と強調しています。


国立大 文科省が強化 世界の頭脳、丸ごと誘致

月刊私塾界(1月7日)

 文部科学省は来年度から、海外の世界トップクラスの大学研究者を研究室スタッフを含めて丸ごと日本の大学に誘致する方針を決めた。「ユニット誘致」と名付け、まず京都工芸繊維大、北海道大の国立2大学で開始予定。国立大の機能強化の一環で、国内初の取り組みとなる。今後、大学のグローバル化を加速させるため、国立大を中心に実施校を広げていく方針だ。

福岡教育大准教授を戒告、授業外活動に参加強要

読売新聞(2014年1月7日 )

 福岡教育大(福岡県宗像市)は6日、授業外の活動への参加を学生に強要するアカデミック・ハラスメント(嫌がらせ)を行ったとして、教育学部の50歳代の男性准教授を同日付で戒告の懲戒処分としたと発表した。

 発表によると、准教授は2012年3月と同6月、担当する授業で、本来課すべきでない授業外の活動に参加しないと単位を取らせないという趣旨の発言をして、学生に参加を強要したという。

 大学が学生から相談を受けて発覚。学内の調査委員会が調査し、事実を確認した。大学によると准教授は大筋で認めているという。寺尾慎一学長は「同様の不祥事が二度と起こらないよう信頼の回復に努める」としている。