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2014年05月10日

佐賀大学退職金引下げ無効訴訟、被告大学側準備書面2

ペガサス・ブログ版
 ∟●退職金裁判,被告の準備書面その2

二つ前の記事「退職金裁判,被告の準備書面」で,公判日前に提出が求められていた被告の2番目の準備書面(完結編)が未だに出されていないと書きましたが,結局公判当日にも間にあわず.先月25日にようやく提出されました.以下にこれを公開します.応援のクリック歓迎
ネット上の公開に際しては,本旨に直接関係ない部分に一部モザイク加工をしています.

準備書面2 1~30ページ
http://ad9.org/pegasus/UniversityIssues/taishokukinsaiban/hikokushomen21c.pdf

準備書面2 31ページ?最後まで
http://ad9.org/pegasus/UniversityIssues/taishokukinsaiban/hikokushomen22c.pdf

証拠リストと説明
http://ad9.org/pegasus/UniversityIssues/taishokukinsaiban/otsu-list-of-evidences.pdf

ざっと一読したところ,ひとことで言うと,「国のやることが法である」と見ているようにしか思えません.また,賃金制度に関しては「公務員である」としているかのよう.

2014年04月26日

佐賀大に賠償命令、准教授の統一教会批判で 佐賀地裁

時事通信(2014/04/25)

 佐賀大学の男性准教授が世界基督教統一神霊協会(統一教会)を侮蔑する発言をし、信仰の自由を侵害されたなどとして、信徒の元女子学生(24)と両親が佐賀大と准教授を相手取り、440万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、佐賀地裁(波多江真史裁判長)は25日、大学に計8万8000円の支払いを命じた。
 波多江裁判長は「配慮を欠いた発言で、信仰の自由を侵害した」と指摘。国立大学の職員としての発言であり、大学が賠償責任を負うと述べた。
 一方で、女性が大学側とのやりとりを録音していたことなどを挙げ、「攻撃材料にする目的があったと推認できる。精神的苦痛はさほど大きいとは言えない」と判断した。
 判決によると、准教授は2011年12月から12年2月の間、研究室内で統一教会について「犬猫の教え」などと言い、脱退を勧めた。

2014年04月10日

佐賀大学退職金引下げ無効訴訟、第3回公判 被告大学側準備書面

ペガサス・ブログ版
 ∟●退職金裁判,被告の準備書面(2014-04-09)

退職金裁判,被告の準備書面

退職金減額は無効との裁判を起こしていますが,あさって11日午後3時から佐賀地裁で第3回の公判が開かれます.前回は3月7日でしたが,その時に出された佐賀大学の「被告準備書面(1)」を公開します*.ただし一部,本筋に関係ない部分を墨塗りしています.
http://ad9.org/pegasus/UniversityIssues/taishokukinsaiban/hikokujunbishomen1-kakou.pdf

この文書の日付からも分かるように,公判日の前日,しかも裁判所閉庁後の夕方という提出でした.あさっての裁判で「その2」が出るはずなのですが,今もって提出されたという連絡がありません.被告はまた裁判長に叱られるのでしょうか.

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退職金減額は無効と訴訟を起こしました
退職金減額無効訴訟,第一回公判


2014年03月28日

佐賀大学退職金引き下げ無効訴訟第2回口頭弁論ならびに報告集会について

全大教
 ∟●佐賀大学教職員組合「退職金引下げ無効訴訟 第2回口頭弁論」

佐賀大学退職金引き下げ無効訴訟第2回口頭弁論ならびに報告集会について

 去る3月7日(金)、佐賀地方裁判所にて、佐賀大学退職金引下げ無効訴訟の第2回口頭弁論が行われ、またそれに引き続いて、報告集会が開かれましたので、以下にご報告申し上げます。
 口頭弁論は同日午前 10 時 30 分より、佐賀地裁第一法廷にて行われました。原告側からは、原告の豊島耕一氏(元佐賀大学教職員組合員)と同訴訟弁護団(東島浩幸、梶原恒夫、桑原健、八木大和の各弁護士)が出廷しました。一方、被告の国立大学法人佐賀大学からは弁護士2 名の出廷がありました。原告の応援には、福岡教育大学、大分大学、九州大学の組合員の方も駆け付けてくださいました。また、「佐賀県内のすべての労働者の賃金削減阻止共闘会議」からも大勢の方々に傍聴においでいただきました。約 30 名の傍聴がありましたが、その9 割方は佐賀大学教職員組合の組合員やその他、原告側の応援の方々でした。
 開廷が宣せられた後、裁判官から被告弁護人に対し、準備書面提出の遅れに関して、苦言が呈されました。これは前回の口頭弁論において、2 月 15 日までに提出する約束がなされたにもかかわらず、実際に提出されたのは今次口頭弁論前日の 3 月 6 日、しかも裁判所閉庁後の 18 時 32 分であったことを踏まえての指摘です。これに対し、法人側弁護人から釈明の言葉、ならびに原告弁護人から遺憾の意の表明がありました。続いて、次回口頭弁論の日時が4 月 11 日(金)15 時からという予定が立てられ、審理は終了しました。
 閉廷後、佐賀県弁護士会館に会場を移して、角縁佐賀大学教職員組合書記長の司会により、報告集会が開催されました。参加者は約 30名でした。同組合委員長の鈴木から開会の挨拶と、関係諸団体・支援者への感謝の言葉があった後、原告の豊島氏から提訴の意図の説明と、組合に対する励ましの言葉がありました。
 次いで、東島浩幸弁護士より、第 2 回口頭弁論のポイントについて懇切丁寧な説明が行われました。東島弁護士によりますと、今回提出された準備書面に示された佐賀大学法人の言い分は以下のように要約されるとのことです。すなわち、 ① 国立大学法人は純然たる民間企業とは異なるがゆえに、労働契約法第10 条は今回の事例には直接適用されない。 (裁判所へ向かう原告と支援者) 退職金は国から 100%拠出されており、国の基準が変われば、法人もそれに連動して、変更を行わざるをえない。②国から大学に渡される運営交付金の使途は前もって決められており、それを退職金などの人件費に振り替えることは許されない。③佐賀大学が平成22 年から23年にかけて、約 23 億円の純利益を上げているのは事実であるが、その内の 20 億円は附属病院収入によるものである。この利益は附属病院の改築や医療機器の更新に充てるものであり、人件費に転用する財政的余裕はない。④佐賀大学の全経費に占める人件費の割合は56.4%であるのに対して、同等規模を有する他の国立大学の割合は平均 51.6%である。そうでなくとも高い佐賀大学の人件費率を、更に上げるわけにはいかない。⑤教職員、゚半数代表、組合等への説明や協議は十分だったとは言えないが、文科省からの要請が急であったため、それも致し方なかった。
 これらの諸点について、東島弁護士は鋭い論駁を加え、法人側の主張がいかに論拠薄弱であるかを詳らかにしました。また同弁護士から、法人からの準備書面の提出が大幅に遅れたのは、退職金削減決定時に法人が事前に十分な検討を行っていなかったことの何よりの証左であるとの指摘がありました。すなわち、十分な検討を経た上での止むをえない措置ではなかったため、今になって理論的根拠付けに腐心しており、準備書面の作成に時間を要したものと推察されます。
 ポイント説明について質疑応答が交わされた後、全大教から報告があり、退職金削減の緩和措置を取っている大学が複数存在し、その事実は退職金問題の扱いは、各大学法人の裁量に委ねられる余地があることを示している旨の指摘がなされました。次に全大教九州から、他の国立大学等における訴訟の動向が紹介されました。続いて、福岡教育大学教職員組合より、現在進行中の不払い賃金請求訴訟について報告をいただきました。大学法人側は予算的余裕が十分ありながら、国民の税金であるため、自由に使えないなどと主張して、賃金削減を正当化しようとしているとの話でした。大分大学教職員組合からは、不当労働行為救済申し立て審問について現況報告が行われました。現在、労働委員会から和解を提案されているが、法人側は和解に応じる気色はないとのことです。最後に、「佐賀県内のすべての労働者の賃金削減阻止共闘会議」からご発言いただきました。公務員バッシングの横行する昨今、裁判闘争のみに頼ることなく、広く世論の支持と理解を得るための運動こそが大切であるとのことです。参加者の間で活発な意見と情報の交換が行われ、大変有意義な報告集会となりました。所要時間ヘ1時間30分ほどでした。
 このたびは大勢の方々に傍聴、ならびに報告会にご参加いただき、誠にありがとうございました。4月11日(金)15 時から予定されております第 3 回口頭弁論にも、更なるご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2014年01月28日

佐賀大学退職金減額無効訴訟、訴状と意見陳述書

ペガサス・ブログ版
 ∟●訴状(2013年(平成25年)11月7日)
 ∟●退職金減額無効訴訟,第一回公判


平成25年(ワ)第443号 退職金請求事件
原 告  豊 島 耕 一 外
被 告  国立大学法人佐賀大学

意見陳述書

2014年1月10日

佐賀地方裁判所民事部 御中

原告  豊島耕一

私は原告の1人,豊島耕一と申します.今回の提訴に踏み切った理由と目的について述べたいと思います.

1 私が退職する直前,昨年1月1日に実施された就業規則の変更によって,退職金が本来の額から約6%減額されました.これは労組や過半数代表者との合意などの手続きを踏むことなく行われ,しかも該当者への通知が実施の数日前というものでした.使用者が一方的に就業規則を変更できる要件を定めた労働契約法10条に該当する事情は見当たらず,したがって同9条が禁止するところの「労働者と合意することなく」行われた不利益変更であり,違法なものと断ぜざるをえません.

この提訴の直接の目的はもちろん,大学当局の不当な行為による私自身の経済的損失を回復することです.しかし同時に,今回の大学の決定の背景にある国立大学と文科省,政府との関係における問題も同時に明らかにしたいと思います.そうしないと今後も同じ過ちが繰り返され,しかもそれは退職金や賃金問題に限られたものではなく,大学の使命という問題にも影響を及ぼすことになるからです.それについて述べたいと思います.

2 大学が今回のような一方的措置を行った背景には,2012年8月7日に閣議決定され,同年11月16日に国会で可決成立した国家公務員退職手当法改正法があります.この閣議決定では,本来,国家公務員退職手当法が適用されるはずのない非公務員型の独立行政法人の職員についても,国家公務員同様に退職金を引き下げるよう各国立大学法人に要請するとされました.文科省を通じてのこの要請に佐賀大学がそのまま従った,というものです.

このような要請にどのような合理性・正当性があるのかは全く判然とせず,少なくとも何らの法的根拠もないことは明らかです.したがってこれを受け入れるのか否かは大学が自主的に判断すべきことです.

しかし大学がこの判断を十分な考慮の上で行ったと言う形跡は見られません.むしろ,政府の言うことに逆らってはいけないと頭から決めてかかったものと思われます.一昨年12月25日の組合との交渉のやり取りを見ると,大学側は「政府の要請に従わなかった場合,リスクが生じると思っている.リスクと言うのは,大学に余分な財源があると文科省や財務省にみなされて,その分をどこかで削減されるおそれがあるのではないかということ」だと述べています.

このことは,なんら強制力のないはずの「要請」が,実は,「言うことを聞かないと予算を減らすぞ」という政府・文科省による脅しとして作用していることを表しています.いわば,政府による大学への「公的なパワハラ」です.

3 この「パワハラ」は,退職金や賃金という労働条件の問題だけではなく,最近では大学の研究・教育内容にまで及んでいます.例えば,「大学のミッション再定義」と称して,文科省が各大学に大学の研究・教育の方針を出させる,つまり言わば「模範解答」を要求する形で,研究・教育・管理運営の在り方に介入しています.つまり「大学の自治」や「学問の自由」という民主社会の基本的な価値まで脅かしています.

4 このような政府による大学介入の背景には,2004年に実施された「独立行政法人」(法人化)というシステムによる影響が大です.この制度はグロテスクなもので,「独立」という名前とは反対にむしろ官僚統制を強める作用を持つものです. 以前からも政府・文部省からの国立大学支配の問題というものはもちろんありましたが,法人化によって予算が国会事項でなくなり,名実共に官僚の裁量に任されることになり,透明性がなくなったのは決定的です.つまりこの制度は「独立」という名前とは反対にむしろ官僚統制を強めるものです.ここに中央官僚による「パワハラ」の余地が拡大された大きな原因の一つがあります.まさにそのパワハラによって今回の退職金減額もなされ,また数年前からの賃金減額もなされているのです.

5 このような背景があるとは言え,しかし法規上はあくまでもそれぞれの国立大学に広汎に自主定な決定権が与えられているのであり,本件の退職金や,あるいは賃金についても同様です.国際的にも,1998のユネスコ高等教育世界宣言に「高等教育機関は,自身の内部問題を管理する自治権を与えられなければならない」(13条b項)と謳われているとおりです.したがって,国立大学には,当然のこととして予想される社会の様々の圧力から自主・自治を守り抜く法的,道義的な責務を負っているのです.今回の佐賀大学当局の行為は,これに全く背くものと言わざるを得ません.

6 私は、自分自身に降り掛かった使用者の違法な行為については,教育者としても,また長年お世話になった佐賀大学への「忠誠」,ひいては大学という文化と制度への責任という意味でも,二重,三重の意味で見逃すことは出来ません.つまり,学生に対しては,自らの権利を守り不正と戦うべしとこれまで語って来たので,今回の事態を放置することはみずからそれを裏切ることになり学生たちに示しがつきません.また,退職したとは言え,これからも大学の自治や学問の自由という価値を擁護し続けたいと思っています.さらには,佐賀大学において正常な労使関係が損なわれることに抵抗し,正常化するための職員の方々の努力に,たとえ微力でも加わりたいと思います.

 私は法学系の人間ではありませんが,イェーリングの「権利のための闘争」という本は法科学生の必読の古典とされているそうです.その中に「倫理的苦痛」という言葉があります.それは,物理的な身体への侵害における肉体的苦痛と同様に,権利侵害に対する警告として与えられるものだそうです.この警告への感性を私は大事にしたいと思います.

7 今回の大学の決定に当たった当事者の方々に悪意があるとは思えません.組合との交渉の席で彼らが述べたように,大学を「リスク」に晒さないようにとの思いからのものでしょう.多くの退職者の方々が不利益を受けたにも関わらず,このように提訴に踏み切る者が少数であるのも,そのような事情を知っておられるからでもありましょう.いわば「思いやり」です.しかし,リスクを避けると称して原則を曲げることが,そしてその集積が,やがて巨大なリスクを発生させるということを,社会のさまざまな事象を通じて私たちは知っています.ですから私はこれは過剰で不適切な「思いやり」であると判断せざるを得ません.

8 政府・官僚による法に基づかない支配の弊害は既に多くの人によって指摘されています.それが社会の根本的な公共財である学問を扱う大学の世界に及ぶとすれば,その社会への影響はまさに根本的です.つまり「リスク」を避けると称して大学が政府の言いなりになるとすれば,それは社会に大きな危険を及ぼすでしょう.そのような事態への警告として,その名を冠した奨学金や日米交流事業で有名なフルブライト上院議員(故人)が残した言葉を引用して,私の意見陳述を締めくくりたいと思います.

「大学が,その本来の目的に背いて政府の付属物になり,目的よりも技術に,理想よりも手段に,新しいアイデアよりも伝統的な権威に傾くならば,大学は,学生に対する責任を果たしていないだけでなく,社会からの信頼をも裏切っていることになる.」


2014年01月27日

佐賀大学教職員組合、「退職金引下げ無効訴訟」第1回口頭弁論ならびに報告集会について

全大教
 ∟●佐賀大学教職員組合「退職金引下げ無効訴訟」


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2014年01月14日

佐賀大退職金訴訟、大学側は争う姿勢

佐賀新聞(2014年01月11日)

大学側は争う姿勢 佐賀大退職金訴

 国家公務員退職手当法の改正に合わせ、退職金を引き下げたのは不当として、佐賀大を退職した元教授2人が、同大に引き下げ分の約364万円の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が10日、佐賀地裁で開かれた。大学側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
 原告の豊島耕一元教授は「強制力のない引き下げを政府が要請することは、予算を握っている政府の『公的パワハラ』で、大学自治や学問の自由を脅かす」と意見陳述した。
 訴状などによると、2012年11月に成立した国家公務員退職手当法改正法に伴う国の要請に同大が従い、昨年1月から教職員の退職金を約6%減額。国立大学法人の職員は法が適用されない非公務員型で、事前の周知などもなかったことから「不利益変更ができる労働契約法の例外規定を満たしていない」などと主張している。


2013年11月09日

2元教授、佐賀大を提訴 「退職金引き下げは違法」

毎日新聞(2013年11月08日地方版)

 国からの要請により、大学職員の退職金を引き下げたのは労働契約法などに違反するとして、元佐賀大教授2人が7日、大学を相手取り、退職金の引き下げ額分計約364万円の支払いを求め、佐賀地裁に提訴した。

 訴状などによると、国立大学法人・佐賀大は、国から国家公務員退職手当改正法(昨年11月成立)に基づく退職金引き下げの要請を受け、昨年12月末に職業規則を改正し、引き下げを決定。しかし、同法人職員には労働契約法が適用され、就業規則を不利益変更して労働条件を一方的に引き下げることは認められないとされる。

 原告の一人の豊島耕一・佐賀大名誉教授は「引き下げは適切な手続きを踏むことなく行われ、全く理不尽なもの」と訴えた。

 佐賀大は「事実を確認していないのでコメントできない」としている。【生野貴紀】