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 カテゴリー 2014年12月

2014年12月27日

北星学園大の業務を妨害容疑、弁護士が地検に告発

朝日新聞(2014年12月27日)

 慰安婦問題の記事を書いた元朝日新聞記者の植村隆氏(56)が勤める北星学園大(札幌市厚別区)に電話し、虚偽の内容を話して録音、動画投稿サイトで公開したとして、札幌の弁護士らが26日、氏名不詳の電話主に業務妨害の疑いがあるとする告発状を札幌地検に提出した。弁護士らの呼びかけに賛同した352人が告発人となり、弁護士438人が代理人を務める。

 告発状によると、電話主は8月と10月、同大に電話し、職員に「北星学園大学はね、国賊大学いうことなるんですよ」「犯罪者をね、採用するなんてふざけたことをしなさんな」などと事実に反する内容を話して録音したうえ、動画投稿サイトに投稿し、同大の業務を妨害したとされる。


東大 論文不正に元教授ら11人関与と発表

NHK(12月26日)

東京大学は26日、濱田純一学長らが会見し、ホルモンの働きに関する論文など30本以上に不正が見つかり、元教授や当時学生だった研究員ら11人が不正に関わっていたとする調査結果を発表しました。
東大では、元教授らについて懲戒処分と退職金の返還を検討するほか、学長の報酬の10分の1を3か月間返納するとしています。

この問題は、東京大学分子細胞生物学研究所の加藤茂明元教授のグループが発表したホルモンの働きについての論文など51本に画像の切り張りなどが見つかったものです。
東京大学の濱田純一学長らは26日会見し、問題が指摘された論文のうち33本で、ねつ造と改ざんの不正があったと認定し、すでに辞職した加藤茂明元教授のほか、当時の准教授や研究員の学生ら合わせて11人が不正に関わったとする最終的な調査結果を明らかにしました。
大学では、加藤元教授ら当時の教員に対しては、すでに辞職しているものの懲戒処分に相当する可能性があるとし、退職金の返還を検討するほか、東京大学で学位を取得した当時の学生ら6人についても、学位の取り消しを審議するということです。
会見で、東京大学の濱田純一学長は「不正行為が行われたと認定された論文が多数に上り、学術の健全な発展を大きく揺るがしたことはまことに遺憾です。研究倫理の徹底を図りたい」と述べ、みずからの報酬の10分の1を3か月間返納することを明らかにしました。

元教授「心よりおわび」
今回の調査結果について加藤茂明元教授は、「不適切な論文に関して事態の収拾のためにたくさんの人に膨大な労力をおかけしたことについて、研究室と論文の責任者として心よりおわび申し上げます。また、論文の訂正の方法について不適切な判断があったことも重ねておわび申し上げます。ただ、論文の作成過程などに研究員に対して強制的な態度や過度の要求をしたことはありませんし、そのような意図を持って発言したこともなく、『不正行為が発生する環境を作り上げた』という調査委員会の認定は承服できません」と話しました。


2014年12月26日

青山学院、教職員2割が提訴 「一方的に一時金減額」

毎日新聞(2014年12月25日)

 学校法人「青山学院」(東京都渋谷区)の教職員285人が、一方的な一時金の規定廃止によって支給額を減額されたとして、学院を相手取り、規定との差額にあたる総額約5000万円の支払いを求める訴訟を東京地裁に起こしたことが分かった。原告には大学教授らも名を連ね、学院が設置する大学や高等部、中等部などの教職員全体の2割に達するという。

 訴状などによると、教職員の一時金は1953年以降、就業規則で定める規定に基づいた額が支給されていた。しかし学院側は2013年7月、「財務状況が非常に厳しい。取り崩し可能な資金にも余裕がない」などとして、規定の削除と一時金の減額を教職員の組合に提案。その後、組合の合意を得ないまま就業規則から規定を削除した。2014年夏の一時金は、規定より0.4カ月分低い2.5カ月分にとどまった。

 学院側は教職員側に対し、少子化や学校間の競争激化を理由に挙げ、「手当の固定化は時代にそぐわない」などと主張。一方、教職員側は「経営状態の開示は不十分で、一方的な規定削除には労働契約法上の合理的な理由がない。学院と教職員が一体となって努力する態勢が作れない」などと訴えている。

 教職員側によると、14年冬の一時金支給も規定に基づいておらず、その差額も追加提訴する方針。原告の大学教授の1人は「このままでは経営側の好き放題を許すことになる。建設的な話し合いができる関係を再構築する必要があると考え、提訴した」と語った。

 学院は「コメントを差し控える」としている。


2014年12月16日

科学研究の健全性向上のための共同声明

国大協
 ∟●科学研究の健全性向上のための共同声明

科学研究の健全性向上のための共同声明

 我が国の研究機関は、種々の学術分野で世界の拠点の一角を占め、数多くの 重要な成果を挙げてきた。このことは、我が国の研究者がノーベル賞をはじめ とする国際的な学術賞の受賞者に数多く含まれていることからも明らかである。
 その中にあって大学は、高等教育を通じて広く人材を育成するとともに、研 究活動の拠点として重要な役割を果たし、優れた研究成果を挙げてきた。
 学術分野における国際協力と競争が進む中で、我が国の大学が果たす役割は、 これからもますます重要さを増すと考えられる。

 一方で、研究費の不正使用、データのねつ造や改ざん、盗用に代表される研 究活動における不正行為が後を絶たないという問題が存在している。最近も、 研究費の不適切な使用、データねつ造等の論文作成における不適切な行為等の 研究活動に対する社会的な不信を招く事案が大学等の研究機関で多発している のは、残念ながら事実である。
 これまで、日本学術会議は、平成18年10月に声明「科学者の行動規範」を公表し、平成 25年1月にその改定を行うなど、研究不正問題に関して、科学者 コミュニティの代表機関として取組を進めてきた。また、各大学においても学 内に倫理委員会が設置され、研究不正の防止や疑惑が生じた際の対応を行う体 制が整備されてきた。
 政府においても、総合科学技術・イノベーション会議が、科学技術の研究に 関わる各主体に研究不正行為に対する不断の取組を求める意見具申「研究不正 行為への実効性ある対応に向けて」を決定した(平成 26 年 9 月 19 日)。また、 研究機関を所管する各府省により取組が進められ、例えば、文部科学省は、先 般、従来の研究における不正行為や研究費の不正使用に関わるガイドラインを 格段に充実させ、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(文部科学大臣決定) 」の策定(平成 26 年 8 月 26 日)及び「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」の改正(平成 26 年 2月 18 日)を行ったところである。

 一般社団法人国立大学協会、一般社団法人公立大学協会、日本私立大学団体 連合会及び日本学術会議は、我が国の学術界が、日常的な研究活動における研 究の健全性を飛躍的に強化するとともに、研究者の育成において一人ひとりの 研究者の規範意識を高めるための対策を講じることによって、我が国及び国際 社会における学術研究に対する信頼性を回復して、さらにそれを高めていくことが急務であると考え、以下のとおり決意を表明し、我が国の学術界の責務と して、各団体が協力して研究の健全性向上のために活動することを宣言する。

1 大学等の研究機関は、世界における研究活動の中心の一つとしての役割を さらに高めていくため、研究活動における不正行為、研究費の不正使用を許 さず、世界の範たる健全な研究を遂行する。もし疑惑が生じた場合には、第 三者の協力を得つつ、組織の責任として、適切な方法で迅速・的確に対処す る。

2 研究活動における不正行為、研究費の不正使用の防止には予防的な措置が 不可欠であり、大学等の研究機関は、すべての研究者が健全な研究活動を実 践できるよう、広く研究の倫理を含めて、適切な学習プログラムの履修を義 務付けるとともに、これらが実効性あるよう、継続的に評価・審議していく。

3 大学等の研究機関及び日本学術会議は、我が国の科学者コミュニティの主 要な一員として、研究活動における不正行為、研究費の不正使用に対する厳 正な対処・予防のための学習プログラムの開発と普及に向けて相互に協力し、 我が国の科学研究に対する国内外の信頼を高めるために全力で取り組む。

平成26年12月11日

一般社団法人国立大学協会会長 里見進
一般社団法人公立大学協会会長 木苗直秀
日本私立大学団体連合会会長 清家篤
日本学術会議会長 大西隆

2014年12月13日

大産大やらせ受験、大学側の関与認める

YTVニュース(2014/12/12)

入学する意思のない生徒が入試を受験したとされる大阪産業大学のやらせ受験問題で、12日、大学側は改めて会見を開き、初めて大学が関与していたことを認めた。この問題は、大阪産業大学の2009年度の経営学部の一般入試で大学側が附属高校の生徒に受験を依頼し、謝礼を支払っていたとされるもの。これまで大学は、附属高校の当時の教頭が行ったことで、大学側は関与していないとしていたが、きょうの会見で一転、大学側の関与を認めた。大学が調査を続けた結果、附属高校の生徒、9人全員が同じ学科を受験していることから元教頭と大学が何らかの情報交換をしていたと結論付けたという。大学は、不合格になった受験生に対し謝罪し、再発防止に努めたいとしている。

慈恵医大、新たに不自然データ 理事長ら給与返上

共同通信(2014/12/12)

 ノバルティスファーマ(東京)の降圧剤ディオバンを使った臨床研究のデータ操作問題で、東京慈恵医大は12日、狭心症などの発生数がディオバンに有利になる不自然な偏りがあったとの最終報告を公表した。

 研究責任者で既に退職した望月正武元教授の客員教授の称号を取り消し、栗原敏理事長、松藤千弥学長がそれぞれ給与の20%、10%を3カ月間返上すると明らかにした。

 大学の調査委員会が新たに入手したデータを基に検証した結果、不自然な偏りが判明。望月元教授が扱った症例に多く、基準に合わない症例を解析に含めていたケースも調査対象の半数近くに上っていた。


山梨大、論文の捏造・改ざんで元教授を諭旨解雇処分

毎日新聞(2014年12月12日)

 山梨大は12日、同大大学院医学工学総合研究部の教授が過去に公表した論文計4本で実験データの捏造(ねつぞう)や改ざんが判明し、諭旨解雇処分にしたと発表した。

 昨年10月に医学部の別の教授から申し立てがあり調査。その結果、4本のうち2本については、別の実験で得られた画像を使い回す「捏造」、2本で画像の明るさや縦横比を変更したりする「改ざん」が意図的に行われたと判断した。

 調査に対し、元教授は「画像を分かりやすく見せるためで不正だとは思っていなかった」と説明したといい、同大は元教授が論理をより明快に展開することにより、業績を高めようとしたことが動機とみている。

 同大の調査委員会は「論文の結論は変わらない」と結論付けたが、「研究倫理に反する」として、4本全てについて論文の取り下げを勧告する。また、同大は約30万円の研究費の返還を求める。元教授は昨年12月に退職しており、処分は今年11月4日付。


2014年12月12日

日本私大教連、2014総選挙に向けた公開質問と各党の回答

日本私大教連
 ∟●2014総選挙に向けた公開質問と各党の回答

2014総選挙に向けた公開質問と各党の回答

日本私大教連中央執行委員会は、衆議院選挙に向けて、私立大学・短期大学に関する基本的政策について大きく5つの分野の7項目に絞り各党に対し公開質問を行いました。11月26日付で各党に質問状を送付し、12月9日現在で自民・共産・公明・社民・生活・民主の6党から回答がありました(回答のあった順)。
以下、質問事項をクリックすると回答一覧を見ることができます。

【質問1】 私立大学等経常費補助の拡充について

 私立大学の経常費に対する国庫補助である私立大学等経常費補助は、1975年の私立学校振興助成法制定時の参議院附帯決議において、経常費の2分の1補助を速やかに達成することが要請されたにもかかわらず、実際の補助率は1980年の29.5%をピークに減少の一途をたどり、2012年度にはわずか10.4%にまで落ち込んでいます。政府は「基盤経費を確実に確保する」と枕詞のように述べていますが、予算削減に歯止めがかかりません。私立大学等経常費補助の拡充について、貴党のお考えをお示しください。

【質問2】 公的奨学金制度の拡充について

①給付型奨学金の創設について

 文部科学省は2012(平成24)年度予算概算要求において、大学生を対象とした給付型奨学金を初めて計上しました。しかし制度創設はしりぞけられ、それ以来、文科省は概算要求で給付型奨学金の予算要求を行っていません。ご案内の通り、OECD加盟国で高等教育の授業料が有償でかつ給付型奨学金制度を整備していないのは日本のみであり、国際的にみても非常に後進的です。大学生を対象とした給付型奨学金制度の創設について、貴党のお考えをお示しください。

②無利子奨学金の大幅拡大について

 日本育英会法(1984年)および独立行政法人日本学生支援機構法(2003年)制定時の国会附帯決議はいずれも、無利子奨学金を根幹または基本とすることを求めていました。政府は2012(平成24)年度予算においてようやく無利子奨学金の大幅な拡大方針を打ち出し、2013年度予算では有利子奨学金が制度創設以来はじめて縮減に転じました。しかし、2014年度予算においても貸与人員は無利子44万1千人、有利子95万7千人と、なお有利子奨学金が主となっています。無利子奨学金の貸与人員を大幅に拡大することについて、貴党のお考えをお示しください。

③無利子奨学金の私立国立間格差の是正について

 現行の無利子奨学金の採用状況には、私立大学と国立大学の間に大きな格差があります。例えば、入学者数に占める無利子奨学金採用人数の割合は、私立大学では12.2%であるのに対し国立大学では20.7%と1.7倍もの開きがあります(2012年度)。このため私立大学では、貸与基準に合致していても無利子奨学金を受給できないことが珍しくありません。このような格差を生じしめる合理的根拠はまったくなく、早急に解消すべきものと考えます。無利子奨学金の採用における私立国立間の格差について、貴党のお考えをお示しください。

【質問3】 各大学が実施する授業料減免事業に対する公財政支援について

 経済的に就学困難な学生を対象として各大学が実施している授業料減免等に対して、政府は私立大学に対しては経常費補助を通じ、国立大学に対しては運営費交付金を通じて、財政支援を行っています。しかしその額には私立国立間で非常に大きな格差があります。2014年度予算では、私立大学に57億円(対象学生数約5.4万人)、国立大学には254億円(同約5.0万人)が計上されています。私立大学と国立大学の学生数の比率(77:23)に鑑みれば、極めて重大な格差が政策的に設けられていると言わざるを得ません。経済的困難を抱える学生に対する支援という意味では、私立も国立も同等であるべきです。授業料減免事業に対する私立大学への支援を大幅に引き上げることについて、貴党のお考えをお示しください。

【質問4】 高等教育の漸進的無償化について

 日本政府は2012年9月11日付で、国際人権規約社会権規約第13条2項c(いわゆる高等教育の漸進的無償化条項)に対する留保を撤回しました。これにより政府は「無償教育の漸進的な導入」に向けた具体的な政策立案・実施の責務を負うこととなりました。高等教育の漸進的無償化に関する具体的施策について、貴党のお考えをお示しください。

【質問5】 学校教育法の改正に関して

 本年6月に成立した改正学校教育法は、これまで教授会が果たしてきた役割を否定するとともにその権限を縮減し、大学自治を大きく侵害するものと私たちは考えています。今般の学校教育法改正について、貴党がどのようにお考えになっているかお示しください。


研究不正防止へ共同声明、学術会議と国公私立大学団体

時事通信(2014/12/11)

 日本学術会議と国立大学協会、公立大学協会、日本私立大学団体連合会は11日、「科学研究の健全性向上のための共同声明」を発表した。大学や研究機関が研究上の不正行為や研究費の不正使用を許さず、疑惑が生じた場合は迅速・的確に対処することや、協力して不正防止学習プログラムを普及させ、全研究者に履修を義務づけることを目指す。
 日本学術会議の大西隆会長(豊橋技術科学大学長)は文部科学省で記者会見し、赤崎勇名城大教授らがノーベル物理学賞を受賞したように、世界的に重要な成果が数多く上がっている一方で、理化学研究所のSTAP細胞論文などの不正行為や研究費の不正使用が後を絶たないと説明した。

慶応大学の有名准教授を収賄容疑で逮捕

ABCwebnews2014/12/11

 徳島大学病院の医療システムの調達をめぐり、業者から賄賂を受け取ったとして慶応大学の准教授が大阪地検特捜部に逮捕されました。……

2014年12月11日

自民県連、佐野幹事長が大阪成蹊学園理事長に要請文

志賀報知新聞(平成26年12月10日)

嘉田側近「個人の行動への封殺だ」と激怒
衆院選終盤戦に影響大

 自民党滋賀県連の佐野高典幹事長は八日、びわこ成蹊スポーツ大学(学長=嘉田由紀子前知事)を運営する学校法人大阪成蹊学園の石井茂理事長に対し「今回の衆議院選で、3区の小川泰江候補(民主公認)の街頭活動に参加するなど民主党公認候補の支援を活発に展開する嘉田学長に対し、節度ある行動を喚起していただきたい」という異例の抗議ともいえる要請文書を送付した。これに対し、嘉田氏側近は「恫喝(どうかつ)とも受け取れる内容であり、断じて許すわけにいかない」と激高している。選挙戦終盤に大きな影響を与えそうだ。
 文書では「嘉田学長が小川候補の後援会長に就任し、公示後も小川候補の街頭活動や自身の応援ビデオを上映するなど支援を活発にしている」と現状を訴えて、「多額の税が私学振興のために交付されているわけだが、嘉田学長の行為は教育の『政治的中立性』を大きく損なう行為である」と抗議。
 そのうえで「この件については、自民党本部、および日本私立大学協会とも協議を重ねており、しかるべき対応を取らざるを得ない場合も生じるかと存じる。東京オリンピックや滋賀県の二巡目国体を控えて、大きな危惧を抱かざるをえない。嘉田学長に対しては、節度ある行為を喚起していただきたい」と強圧的な内容になっている。
 これについて、佐野自民党県連幹事長は「あくまでお願いをしたものであって、決して恫喝的な内容のものでない。清水克実県連事務局長が党本部の顧問弁護士と十分協議して作成しており、法的な問題は一切ない。いずれにせよ嘉田氏の今回の選挙応援は、公平中立であるべき大学の学長のとるべき姿とはとても考えられない」と反論した。
 要請文をもらった学園側では「女子教育のメッカとして発足した大阪成蹊学園としては嘉田学長の女性の社会参画への意気込みに大きな期待している。嘉田学長の研究者として、あるいは社会人としての個人の行動を制約するだけの権限は学園にはない」との考えを示した。
 また嘉田氏側近は「日本社会の国民的課題である少子化や女性の輝く社会づくりというテーマは、嘉田氏の重要な理念であり、それに基づいて行動している。学長としての地位利用と思われる行動は一切しておらず、今回の手紙は嘉田氏の社会的な行動を政権与党の権限を振りかざして封殺しようとするものである。今夏の知事選挙における政権与党の高圧的な姿勢と全く変わっていない」と憤っていた。


2014年12月10日

日本科学者会議、緊急シンポジウム声明「安倍政権の高等教育政策と改正学校教育法等にもとづく各大学の学内規則改正に対する声明」

日本科学者会議
 ∟●東北地区シンポジウム「安倍政権の高等教育政策と改正学校教育法等にもとづく 各大学の学内規則改正に対する声明」

安倍政権の高等教育政策と改正学校教育法等にもとづく
各大学の学内規則改正に対する声明

 日本の大学は歴史的な転換点にある。「大学のガバナンス改革」を掲げた最近の一連の政府・文部科学省 の高等教育政策は、2004 年の国立大学法人化の意図を本格的に実現し「総仕上げ」をはかる内容となっている。

 その究極的なねらいは、安倍政権の国家戦略を支える大学づくりにある。経済同友会や経団連といった財界諸団体の各提言、政府が閣議決定した「日本再興戦略」や中央教育審議会答申をふまえた「国立大学改革 プラン」(2013 年 11 月文科省策定)は、グローバル化に対応できる人材育成、科学技術イノベーションの拠 点化、ガバナンス機能の強化を提起した。これらはグローバル企業など大企業を中心とする財界が、台頭す る新興国を含む国際競争に打ち勝つために大学に求めた内容にほかならない。

 従来の高等教育政策と異なるのは、その手法にもある。昨年度までに各国立大学の学部などを分野別に類 型化して文科省が実施した「ミッションの再定義」では、大学の自主的判断よりも同省の意向が強く反映さ れた。上記の提起が各大学・学部のミッションに挿入され、特に人文系や教員養成系の学部に対しては組織 の改廃を同省が書き込んだ。大学教員給与制度に業績評価による年俸制の導入も提起され、各大学には同省 が示した数値目標通りの導入が指示された。2016年度からの第3期中期目標期間では運営費交付金の3~4割を各大学の改革達成度に応じた配分に充てるとした。行政指導のレベルがより直接介入的なものに高められ、かつ大学予算の基本部分に食い込むレベルの財政誘導を行うという、極めて強権的な手法といえる。

 また、今年8月に公布された改正学校教育法は、戦後日本の「大学の自治」の基盤となってきた教授会の 権限を「教育研究に関する事項」について学長に意見を述べることに制限した。教員採用などの人事権を教 授会から取り上げ学長が決定するとした。文科省は「改正法の趣旨」を徹底するべく省令により施行規則を 改正し、さらには施行通知と学内規則見直しのチェックリストの作成まで行い、各大学への「行政指導」を 強めている。これにより、法人化後も従来通り教授会審議が尊重されてきた国立大学の意思決定過程や運営 システムを学長に権限を集中させる形態に徹底して改変することが目指されている。教授会を「改革を妨げ る勢力」と決めつけて斥け、少数の管理職によるトップダウンを一方的に強化する改革の発想は、一般の教 職員の協同や創造性・主体性に信頼を置かないものと言わざるをえない。

 改正国立大学法人法では外部委員が半数を占める学長選考会議が学長選考の「基準」を定めることが規定 された。その「基準」はその時々の政府の政策方針に従う大学づくりを行える資質を学長候補に求めるもの となることが予想される。改正学校教育法もあわせた一連の法改正のもとでの各大学における学内規則改正 案では、学長選考会議による学長の選考・任命の徹底、学長による学部長の任命制などが盛り込まれつつあ る。そこでは、各大学の一般の教職員が選挙で学長や学部長を選出する方法が排除され、「学長のビジョン を共有できる学部長の任命」(中教審答申)を趣旨としてトップダウンで大学・学部の執行部を任免すること が目指されている。教授会のあらゆる議決権の廃止も規定され、一般の教職員は意見を述べられるが決定に は参画できない。まさに、「選ばれた」少数の管理職による専制的な大学運営が実行できる体制づくりである。これら一連のガバナンス改革が文字通り各大学に貫徹したならば、多様な考えや価値の共存共生という 大学の特性の確保・発展や一般の教職員の組織(大学・学部など)に対する能動的主体性の発揮、あるいは 管理職の正統性や支持の獲得などといった、およそ組織の運営において不可欠な基盤・条件は喪失ないし著しく制約されるだろう。一般の教職員は自らの手でこの大学をつくり担っているという自覚を持てず、主体的な意欲の喪失と無責任からくる倫理的な退廃が各大学で進行することが予想される。

 さらに注意すべきは、軍学共同の動きである。政府による「集団的自衛権」の解釈改憲にもとづく閣議決定には世界展開するグローバル企業の施設・資産の保全や市場の安定確保も視野に入っている。アメリカや 軍需関連企業などの要求をふまえて武器禁輸三原則を撤廃し特定秘密保護法を成立させた安倍政権は、2013 年 12 月に閣議決定した防衛計画大綱などで大学や研究機関との巨額な資金による軍学共同研究の推進を提起した。実際に大学・研究機関と防衛省防衛技術研究本部との軍学共同研究の協定は 2013 年以降だけで9件 にものぼり急増しつつある。今年5月に軍事研究を拒否する判断を東京大学が行ったが、改正学校教育法に もとづくガバナンス改革はそうした動きを封じ込め各大学において軍事研究を推進しやすい体制をつくり出 すことに結果するおそれがある。

 このように日本の大学は安倍政権による「国策に従う大学づくり」に直面している。高等教育政策にみら れる強権的な手法は、もはや「大学の自治」や「大学の自律性・自主性」を尊重する政策スタンスにはない。 そこでは、戦前・戦中において日本の大学が自由な学問研究と社会批判を封じられ軍事研究に動員されたこ との痛切な反省から、日本国憲法で「学問の自由」を規定しそれを保障するものとして「大学の自治」と教 授会審議を尊重してきた戦後日本の大学観は、かなぐり捨てられている。こうした動向は最高法規たる日本 国憲法の理念に実質的に抵触すると言わざるをえない。そして、今回の学内規則改正では、法人化後も事実 上各大学の学内規則で残っていた、教育公務員特例法の規定と類似する事項(教員の採用・昇任・転任・降 任・免職など人事権を含む)を教授会や教育研究評議会の審議事項から一切排除することが施行通知やチェ ックリストで文科省より指示された。こうした「行政指導」は改正学校教育法では直接言及されていない範 囲にまで及びつつある。これらのことが文字通り行われたならば、一般の教員による健全な批判精神にもと づく政治・社会への言論、体制や権威を恐れず真理を追究する学問的姿勢は抑制され、結局は創造的な学問 研究と主体的な学生教育を衰退させると考えられる。こうした事柄については既に、中世ヨーロッパ以来の 大学の歴史を紐解くまでもなく、日本でも戦前・戦中において、人類は幾度も辛酸を舐め経験してきたので はないか。大学を死に至らしめる過ちを繰り返してはならない。

 われわれは、日本国憲法に規定された「学問の自由」・「大学の自治」の精神を遵守する立場から、安倍 政権の一連の高等教育政策に反対する。各大学はこれら一連の施策に迎合することなく、大学の主体性を発 揮し、学内における民主的な議論にもとづき、構成員の主体性を可能な限り尊重した大学運営を実現する見 地から、学内規則の改正に対応していくことを求める。

以上

2014年11月29日

緊急シンポジウム「大学は今-学校教育法・国立大学法人法と大学の現状」参加者一同

給与削減めぐり追加提訴 山形大の教職員33人 3千万円の支払い求める

産経(2014/12/09)

 国家公務員の賃下げに合わせて給与を削減したのは不当だとして、山形大の教授らが削減分の支払いを大学側に求めた訴訟で、新たに33人が9日、山形地裁に追加提訴した。原告は計40人になり、今後、一緒に審理される見通し。

 原告団によると、追加提訴したのは、いずれも「山形大学職員組合」に加入する教授ら教員29人と技術職員4人。平成24年7月~26年1月までの削減分、計約3千万円の支払いを求めている。

 同様の訴訟は12年以降、福岡教育大や富山大、京都大などの教職員が起こしている。


2014年12月05日

北海道教育大、「意向投票」存続求め元副学長ら要望書

■北海道新聞(2014/12/04)

「意向投票」存続求め元副学長ら要望書 道教大学長選考会議に

 次期学長選考から教職員による「意向投票」の廃止を決めた北海道教育大の学長選考会議に対し、副学長経験者ら道教大の退職教員8人が連名で3日、投票存続を求める要望書を提出した。

 要望書の中で、意向投票は「大学の自治の核心の一つ」とし、制度廃止で「学問研究の発展や地域社会への貢献に否定的な影響が生じかねない」と指摘。民主的な大学運営のため、制度を残すよう要請した。

 意向投票廃止をめぐり、同大では教授51人も10月、制度存続を求める要請文を提出するなど反発が根強い。

 本間謙二・現学長は3期目で任期は来年9月末まで。同大によると、次期選考では意向投票を廃止する代わり、学長候補者について教職員からメールで意見を聴く制度などを設ける。

 国立大学法人の学長選考は、学外有識者も含めた学長選考会議が選んだ学長候補者を文部科学相が任命する。多くの国立大学法人は教職員による意向投票を実施し、学長選考会議がその結果を尊重して学長候補者としている。


パワハラ、「解雇は不当」提訴へ 元教授が群大を相手取り

毎日新聞(2014年12月03日)

 部下の教員5人にパワーハラスメントや暴言、過剰な叱責を繰り返したとして群馬大を懲戒解雇された40代の男性教授が、解雇は不当として大学を訴える方針を固めたことが分かった。今週中にも地位確認と賃金支払いを求め、前橋地裁に提訴する予定。……以下,略…

2014年12月04日

神大アカハラ訴訟が和解 元准教授に解決金 大阪高裁

神戸新聞(2014/12/3)

 神戸大大学院医学研究科の准教授だった男性(59)が、教授(当時)から不当に退職を迫られたとして損害賠償を求めた訴訟の控訴審は、大学と教授が計125万円の解決金を支払うことなどを内容とする和解が3日までに、大阪高裁(小松一雄裁判長)で成立した。

 和解は11月7日付。解決金のほか、大学が「遺憾の意」を表し、ハラスメントの再発防止に努めることなどが含まれる。一審神戸地裁判決は、退職勧奨に応じないことへの嫌がらせとして診療や研究の制限があったと認め、計275万円の支払いを命令。大学と教授が控訴していた。

 一審判決によると、男性は2007年に准教授に着任し、08年以降、教授に退職を強要された。断ると組織再編に合わせて配置異動させられるなどし、10年に解任された。

[同ニュース]
■神戸大アカハラ訴訟が和解 元准教授に解決金支払い(朝日新聞201412/3)
http://www.asahi.com/articles/ASGD335CKGD3PTIL004.html

2014年12月03日

全大教、第26回教研集会記念講演「市民社会と学術・大学-大学とは何かを考える-」

全大教
 ∟●全大教時報「Vol.38-No.5」より

記念講演

専修大学法学部教授、元日本学術会議会長
広渡 清吾

市民社会と学術・大学-大学とは何かを考える-

 全大教でお話をさせていただくことになりました。私は以前、国立大学に勤務しており全大教の組合員でありましたし、現在は私大教連傘下の専修大学教員組合の組合員です。今日のタイトル、「市民社会と学術・大 学jは書記長の長山さんからいただいたのですが、このタイトルの下で何を 話そうかと考え、サブタイトルを付け、「大学とは何かを考える」としました。
 ご承知のように、安倍政権の下で「戦後レジーム脱却J型の改革が進行しています。「戦後レジームからの脱却」は安倍さん自身のキーワードですが、 憲法の観点からすると、ほとんど反動的改革と言わざるを得ない。昨年 12 月、特定秘密保護法が成立させられました。行政機関の長が特定するとそれ が秘密となり、それに近づいたり漏らしたりすると懲役 10年。これが法治 主義の下での法制度のあり方かということで、非常に大きな議論が起こりま した。集団的自衛権を 9条の強引な解釈変更で認めるという問題も同じです。
 一言でいうと、安倍政権の政策と閣僚のパフォーマンスは憲法的なタガが外れている。今年(2014年)6月に大学のあり方に介入する学校教育法・国立大学法人法の改正が成立しました。これも、タガが外れた一つの見本です。 しかし、こういうときに情勢対応型の議論をしているだけでは全体の見通し がつきにくいので、back to the basic、基本に帰り、大学とは何かに立ち返っ て考えてみよう、これが今日の報告の趣旨です。
 そこで、「学術」と「市民社会」という 2つの視点からアプローチして、 大学のあり方を「大学の社会的責任」というコンセプトに集約させて考えて みたい。後で申しますが、「大学の社会的責任」は改正法の施行について文科 省が出した「通知」の中にも出てきます。「大学の社会的責任」をめぐって、 原理原則から議論を戦わせる土俵ができたというわけです。

……以下,省略……

2014年12月01日

サイト紹介、「今、岡山大学で何が起きているのか?」

サイト紹介
今、岡山大学で何が起きているのか?
http://seesaawiki.jp/rebirth_okayama/

はじめてこのページに訪問される方へ

このサイトは、平成26年9月25日に薬学部学部長である森山芳則教授、副学部長である榎本秀一教授の両名が、薬学部教員に対するハラスメント行為をはたらいたという理由により9月の懲戒処分を受けたことについて、その背景を解説するために設けられました。森田潔学長をはじめとする岡山大学執行部のこれまでの運営の問題点を明らかにすることを通じて、心あるみなさまとともに新たな岡山大学の未来を創ることを目標としています。

事件の概要:
・平成26年9月25日に薬学部学部長である森山芳則教授、副学部長である榎本秀一教授の両名が、薬学部教員に対するハラスメント行為をはたらいたという理由により9月の懲戒処分を受けた。
・二名の教授を告発した薬学部教員は、いずれも学生に対するハラスメント、あるいは予算執行の不正といった問題を抱えており、薬学部教授会を中心とした調査、是正に向けた取り組みが進められていた。
・大学執行部による懲戒処分は、研究不正を告発していた二名の教授を封じるために学部内のハラスメント問題を利用した疑いがある。

岡山大学における研究不正問題:
・薬学部教授会は平成24年1月に医歯薬学総合研究科の博士学位論文において、研究の実態がないにも関わらず、研究室内の修士の学生の研究成果をつなぎ合わせることによって作成された博士論文が、川崎博己元教授の研究室に複数存在することを見出し、谷本光音研究科長の指示により榎本副研究科長(当時)がこれを大学法人監査室に告発した。
・平成24年12月、許南浩理事により森山学部長の第二期学部長選挙の出馬断念要請、および榎本副研究科長更迭が命じられた。
・平成25年12月に、森山学部長と榎本副学部長が医学部における研究論文不正を大学法人監査室と文部科学省に告発した。
・多重投稿により医学部准教授が懲戒処分を受けているが、それ以外の研究不正についての調査状況は明らかにされておらず、処分もない。

岡山大学の問題点:
・大学執行部による懲戒処分は学部内のハラスメントという理由であるが、実際には岡山大学における研究不正問題を告発した二名の教授に対する懲罰的措置であった可能性が高い。
・ハラスメントとして認定された事実は、薬学部教授会として対処した事案に対するものであり、不十分な調査のもと極めて重い懲戒処分が拙速に決定されている。
・研究不正問題の隠蔽、ハラスメント事案の恣意的な調査、薬学部教員に対する度重なる恫喝的な対応、事務職員による不法侵入など、学長のもつ権力を背景に恣意的な大学運営がまかり通っている。
・国立大学の運営に欠かせない、コンプライアンス意識、高潔な道徳観、大学人としての見識というものが、学長をはじめ執行部、周辺の教職員に欠けている。

マスコミ報道一覧
■内部告発者の「懲戒」で言論統制強める岡山大の「窮状」(集中Confidential 20141121)
http://medical-confidential.com/confidential/2014/11/post-858.html
■岡山大が「不正論文」疑いで調査 柏倉衆院議員が執筆(47News 共同通信 20141106)
http://www.47news.jp/CN/201411/CN2014110601001068.html
■岡山大医学部と製薬会社の癒着を告発した2教授が停職処分に(Newsポストセブン 20141021)
http://www.news-postseven.com/archives/20141021_282629.html
■岡山大不正が白日の下にさらした理事会の「当事者意識」(集中Confidential 20141014)
http://medical-confidential.com/confidential/2014/10/post-798.html
■岡山大薬学部の正副学部長「懲戒処分」は「裁判の意趣返し」との見方(集中Confidential 20140929)
http://medical-confidential.com/confidential/2014/09/post-775.html
■研究不正告発した薬学部長を解任 岡山大 森山教授に停職9ヶ月の懲戒、不当処分で提訴(RISFAX(医薬経済社)20140929)
http://image01.seesaawiki.jp/r/a/rebirth_okayama/ad26a7746f4e1af9.pdf
■岡山大2教授に停職処分 教員に嫌がらせ(朝日新聞デジタル 20140926)
http://www.asahi.com/articles/ASG9V2W0SG9VPPZB006.html

私大の定員超過抑制へ 文科省検討、大都市で助成厳格化

朝日新聞(2014年11月30日)

 文部科学省は、大都市圏の私立大学について、入学定員を超過して学生を集めた場合のペナルティーを厳しくする方向で検討に入った。大学生全体の4分の3を占める私大生のうち、5割程度が首都圏に集中している現状を変え、地方の過疎化に歯止めをかけるのが狙い。

地方の大学、魅力向上がカギ
 文科省の学校基本調査によると、東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県の私立大、短大、大学院は全国の学生数の48%を占める。大阪、京都、兵庫の3府県と愛知県を加えた3大都市圏でみると、総人口比47%(2013年)に対し、学生数は75%にのぼった。

 都市部の私大が定員を大きく超えて学生を集めることで、地元への就職が比較的多い地方大学に通う学生が減り、地方企業に人材が集まらない悪循環に陥っている。

 このため、文科省は私学助成金の交付要件を変えて学生の都市部への集中を防ぐ検討を始めた。現行のルールでは、入学者が定員の130%以上、全体の定員が8千人以上なら120%以上だと助成金を交付しない。この基準をそれぞれ120%、110%に10ポイントずつ下げる案が軸になる見通しだ。変更の範囲は首都圏など都市部になる予定で、実施時期は未定だが早ければ、今年度中にもルール変更を決める見通し。

 私大にとっては助成金は収入の1割を占めるため、要件変更によって事実上、過度の超過分の削減を迫られることになる。定員自体は現在、私大の経営判断である程度自由に設定ができるうえ、国は抑制を強制することはできないが、都市部では定員自体を簡単には増やせないような仕組みも今後検討される見込みだ。

 例えば、都内では定員110%以上の超過部分だけで学生数は約1万2千人、学部は173にのぼる。文科省は要件変更により、一定の数の学生が地方に流れることを想定している。

 文科省が定員超過に厳しい態度をとるのは、教員数が定員数に基づき決まり、定員を超過するほど、教育の質の悪化につながりかねないからだ。私大にとっては定員を抑えたままなるべく多くの学生を獲得した方が経営にプラスになるという事情もある。

 日本私立学校振興・共済事業団が全国578大学を対象に行った調査では、14年春の入学者の入学定員に占める割合は東京都で110%、大阪府105%、愛知県104%といずれも超過した。これに対し、宮城県を除く東北5県は82%、四国が90%など、地方では「定員割れ」が目立つ。