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2020年07月02日

京大iPS研の元非常勤職員、懲戒解雇の無効求め提訴へ

朝日新聞(2020/07/02)

 京都大iPS細胞研究所(山中伸弥所長)を懲戒解雇された50代の元非常勤職員が、解雇処分の取り消しを求める訴えを3日にも京都地裁に起こすことがわかった。代理人弁護士は「理由のない懲戒解雇を受けた」と主張している。

 京大は、元職員が勤務していた研究室の教授のメールを無断で見たり、機密書類を持ち出したりしたことなどが、大学の秩序・風紀を乱す行為を禁じた規則に違反したとして、3月31日付で懲戒解雇処分にした。

 一方、元職員の代理人弁護士によると、処分理由の記載が抽象的だったため、京大に詳細な日時や内容を求めたが、回答が得られなかった。訴訟では、京大側に処分理由に該当した行為を具体的に特定させた上で、事実の有無や、懲戒処分にあたりうるかを争う方針。

 元職員は、2007年度から1年間の雇用契約更新を繰り返し、19年4月に雇用期間の定めのない契約に変わった。17年から執拗(しつよう)な退職勧奨の嫌がらせを受けていたとしている。訴訟では100万円の慰謝料も求める。

 元職員は「労働者が提訴するのは費用や転職の面でハードルが高いが、このような問題は京大だけではないと思う。iPS細胞は人類の希望を大きく担うもので、辞めさせられた人間が申し上げるのはおかしいが、iPS細胞の研究については応援してほしい」と話している。


懲戒解雇の京大iPS研元職員、パワハラで大学提訴へ 慰謝料など求め

毎日新聞(2020年7月2日)

 懲戒解雇された京都大iPS細胞研究所(京都市左京区)元職員の50代女性が、男性教授からパワハラを受け続けた末に理由なく解雇されたとして、京大に地位確認や慰謝料など約530万円の支払いを求め、3日にも京都地裁に提訴する。

 代理人の弁護士によると、女性は2007年4月から同研究所に勤務し、男性教授の研究室に勤めていた。17年2月以降、教授から「何で辞めへんの」「居座ってどうするん」などと繰り返し退職を迫られた。女性は20年3月、「教授の機密情報が記載されたメールを無断で閲覧した」などとして懲戒解雇された。

 女性は処分歴はなく、解雇の理由も「どのメールの件を問題にしているのか全く分からない」と主張。5月には処分の理由を説明するよう京大に文書で求めたが、明確な回答はなかったという。代理人の弁護士は「大学側が圧力をかけたが辞めなかったので処分を利用した。不当な解雇だ」と主張。一方、京大は「訴えの内容が分からないので、コメントすることはない」としている。


2019年11月29日

京大元職員の解雇は無効 京都地裁、50歳女性勝訴

毎日新聞(2019年11月25日)

 精神的不調を認識していたにもかかわらず、正当な理由のない欠勤として扱い懲戒解雇にした処分は裁量権を逸脱しており違法として、京都大元職員の女性(50)が大学側に地位確認を求めた訴訟の判決で、京都地裁(藤田昌宏裁判長)は25日、請求を認め解雇は無効と判断した。……

2019年11月26日

京大職員136日欠勤で解雇は「無効」 地裁判決「精神不調疑うことできた」

京都新聞(2019/11/25)

 136日間の長期欠勤を理由とした懲戒解雇処分は不当だとして、京都大元職員の女性(50)が京大に対して、懲戒処分の取り消しを求めた訴訟の判決が25日、京都地裁であった。藤田昌宏裁判長は、京大側が女性の精神的不調の回復に向けた対応を検討していなかったとして「懲戒解雇は無効」と判断し、元職員の訴えを認めた。
 判決によると、女性は1991年から京大で事務職員として勤務。2015年10月末ごろから、幻覚や妄想などの精神的不調が生じ、京大側から精神科受診を勧められていた。その後、職場のパワーハラスメントなどを理由に17年3月から欠勤。京大側は、女性に聴取するなどの懲戒手続きを行い、正当な理由なく長期間欠勤を繰り返しているとして、18年2月2日付で懲戒解雇処分とした。
 藤田裁判長は判決理由で、女性の欠勤は「15年10月末ごろからの精神的不調と連続性を有する」と推認。懲戒手続きの段階でも不調を疑うことは可能だったとして「精神科医への受診を再度勧めたり、受診を命じたりするなどの働き掛けや回復に向けて休職を促す対応を採ることが考えられた」と指摘した。
 その上で、京大側がそうした対応を検討せず懲戒解雇としたのは、京大の就業規則の禁止事項「みだりに勤務を欠くこと」には当たらないとして、「懲戒解雇は懲戒事由を欠き、無効」と結論づけた。
 京都大広報課は「判決文を読んでおらず、コメントできない」としている。

2018年12月09日

琉球遺骨返還、京大を提訴 「盗掘し権限なく占有」

京都新聞(2018年12月8日)

 昭和初期に京都帝国大(現京都大)の人類学者が沖縄県今帰仁(なきじん)村にある地元の首長を葬った「百按司(むむじゃな)墓」から研究目的で遺骨を持ち去ったとされる問題で、首長の子孫や沖縄県出身の大学教授らが4日、遺骨を保管している京都大に対して返還や慰謝料を求める訴えを京都地裁に起こした。研究目的で持ち出された遺骨の返還訴訟は、北海道のアイヌ民族の訴訟に続き全国で2例目。

 訴状によると、返還を求める遺骨は、京都帝国大医学部解剖学教室助教授だった金関(かなせき)丈夫氏(1897~1983年)が、1928~29(昭和3~4)年に百按司墓から持ち出した26体(男性15体、女性11体)の骨。金関氏が墓を管理する親族らの許可を得ずに、盗掘したとしている。遺骨は、現在も京大が人骨標本の研究材料として、何ら権限なく占有していると訴えている。

 原告は、15世紀に琉球王朝を開き、同墓に埋葬されたとされる王族「第一尚氏」の子孫2人と、沖縄県出身で琉球民族遺骨返還研究会代表の松島泰勝・龍谷大教授ら計5人。沖縄では、先祖の霊魂は骨に宿るとして遺骨そのものが崇拝の対象となっているとし、遺骨が本来あるべき場所にないため、憲法が保障する信仰の自由や民族的、宗教的自己決定権が侵害されたと主張する。

 持ち出された遺骨が誰なのかが判明していないため、訴訟では、原告に遺骨の返還を求める権利があるのか(原告適格)が争点となるとみられる。

 京都大広報課は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。


2015年09月09日

京都大学一方的賃下げ無効・未払い賃金請求事件、控訴審 第1回口頭弁論

京都大学職員組合
 ∟●10/13(火) 控訴審第1回口頭弁論 傍聴のご参加を...

京都大学一方的賃下げ無効・未払い賃金請求事件

                  
控訴審 第1回口頭弁論

日 時:2015年10月13日(火) 11:00?

場 所:大阪高等裁判所 本館 第202号法廷(傍聴席91席)

控訴審第1回口頭弁論報告会

同日11:30 大阪弁護士会館 にて

傍聴にご参加ください

 5月7日、京都地方裁判所第6民事部は、京都大学職員組合の組合員ら115名が組合の支援を受けて国立大学法人京都大学を提訴した未払い賃金請求事件において、原告の請求を棄却する判決を言い渡しました。

 判決では、私たち原告が主張した賃下げの不当性の数々の論点が認定されました。

1.原告らは賃下げに同意をしていない(被告の「黙示の同意論」を否定)。
2.運営費交付金が減額されても、賃下げを回避できる財源が京大にはあった。
3.国は国立大学法人に賃下げを強制していない。
4.京大の賃下げ率計算式は不合理(運営費交付金削減額が小さくなると賃下げ率が大きくなる)。
5.賃下げの損害額は小さくない。
6.国家公務員や国立大学法人などの賃下げを原資とした震災復興予算は、関係のない事業に投じられた。

 これだけの原告の主張を認定しながら京都地裁の裁判官は、「国の再三の要請があった」「全ての国立大学が賃下げに応じるという社会一般情勢があった」「賃下げの計算式が不合理であったとしても、大学財政が賃下げの理由ではない」として、原告の請求を棄却する判決を言い渡したのです。これでは法律も判例もあったものではありません。この論理なら「万引きも多数で行えば適法」となってしまうでしょう。また、政府の要請に無条件に従うことが国立大学の社会的責任であるという結論であり、裁判官が司法の存在意義を自ら掘り崩す愚行と言わざるをえません。こうしたことから当判決は、あらゆる面において、私たち労働者の権利だけでなく国家としての日本の国際的信頼をも著しく傷つけるものであります。私たちは、こうした法治主義に反し基本的人権を侵害するこの事態を到底是認することはできず、司法の正当な判をまた、法廷だけにとどまらず、国内外にも問題提起をしていく所存です。

 これまでご支援頂いたみな様方には、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。舞台は大阪高裁に移り、これまでより、さらにご足労をおかけすることになりますが、引き続きのご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。


2015年06月30日

京大職組、定期大会特別決議「日本の真の民主主義実現に向け大学人の役割を果たすために」

京大職組
 ∟●日本の真の民主主義実現に向け大学人の役割を果たすために

日本の真の民主主義実現に向け大学人の役割を果たすために-京大職組第92回定期大会 特別決議

特別決議-日本の真の民主主義実現に向け大学人の役割を果たすために-

 誰もが知るとおり、現在、日本社会は大きな岐路に立っています。国会では、憲法学者がそろって違憲と明言する集団的自衛権行使を容認する安全保障関連法案を、安倍首相が先に米国議会で行なった「この夏までに成就するという約束」を果たすために9月27日までの95日間の会期延長を行なってまで、強引な審議を行ない通そうとしています。国民の信を問うことなく行なわれようとしているこの行為は、約一年半前の政府による一方的な情報管理を定めた特定秘密保護法や約一年前の内閣の閣議決定のみによる集団的自衛権行使に関する解釈改憲と連動して、日本の「法にもとづく社会」という根本秩序を崩壊させるものです。

 そして誰もが知るとおり、現在、京都大学を含む日本の大学もまた大きな岐路に立っています。約一年前に国会で可決された「学校教育法改正」は大学の運営の意思決定を学長の専権事項に変えてしまいました。そして今度は政府による運営費交付金を理由として、文部科学大臣の単なる「要請」により、国立大学の入学式・卒業式における「日の丸」掲揚・「君が代」斉唱を事実上押し付けようとしています。さらには国立大学の人文社会科学系学部・大学院の廃止提言等々、現在の政府は、あらゆる手段を使った大学への圧力により、日本社会に起きうる異論をあらかじめ封じる統制体制を導入しようとしているかのようにさえ受け止められます。こんなことになれば、国境を越え、言葉も越え、普遍的に真実をどこまでも追い求めようとする大学の理想像からなんと大きくかけ離れてしまうことでしょう。

 こうして明らかに、日本社会と日本の大学とは、軌を一にして同時に危機にさらされているのです。

 思えば、約2年前より私たちが闘ってきました「東日本大震災復興支援」を単なる口実とした不当な国立大学法人教職員の賃金引下げに対する裁判闘争や、ほぼ一年半前から行なわれた京都大学における民主的総長選挙存続のための闘争は、今起こってきているより大きな、全社会的な危機に対する闘争の“前哨戦”だったのではないでしょうか?
 危機は私たちの眼前にあります。しかし“前哨戦”を闘ってきた私たちにはそれに立ち向かうエネルギーが蓄積されています。

 私たちは決して屈しません。日本社会そして大学の理想をわがものとして実現する日まで、決して屈せず、日々の課題に全力で身を投じることを誓います。

 以上、決議します。

2015年6月27日 京都大学職員組合 第92回定期大会

2015年06月02日

京滋私大教連、京都大学未払い賃金請求訴訟の闘いを引き続き支援します!

京滋私大教連
 ∟●京都大学未払い賃金請求訴訟の闘いを引き続き支援します!

京都大学未払い賃金請求訴訟の闘いを引き続き支援します!

2015年5月22日
京滋地区私立大学教職員組合連合

 5月7日、京都地方裁判所第6民事部は、京都大学に所属する教職員115名の原告団が提訴した未払い賃金請求に対し、原告の請求を棄却する判決を言い渡しました。

 本訴訟は、2012 年2 月29 日の国家公務員給与臨時特例法によって、同年4 月から2 年間にわたって国家公務員の給与減額が実施される中、国が全国の国立大学法人に対して賃金の減額を要請し、被告法人においても賃金の減額が実施されたことを受けて、原告が減額された賃金の支払いを求めたものです。

 京都地裁は、被告・法人側に財源のあったことや、賃金引き下げ率の算定方法が不合理であったことを認めるとともに、原告が訴訟の提起に至るまで、給与減額措置について特段の意義を申し立てることもなく給与を受領していたことをもって、被告は「黙示の合意」があった旨を主張したものの、そのような合意は認められないと断じるなど、原告の主張をほぼ認める判決姿勢を示しました。

 しかしながら、国からの給与減額の要請に応じないことは「公的機関としての社会的責任を放棄するものである」とともに、他の国立大学法人や国会公務員の給与減額が実施されていた状況(社会一般情勢)に照らせば、「教職員の給与減額を実施すべき高度の必要性が存した」と判断して原告の請求を棄却しました。

 国立大学法人法上、国立大学の教職員は公務員ではなく、民間の労働法制が適用され、個々の経営事情を踏まえた適切な司法判断がなされるべきです。

 今回の判決は、国からの要請に従うことが大学の「社会的責任」であるかように断じている点から見て、国から経常費補助等が交付される私立大学にも同様の問題が生じる恐れがあり、極めて重大な問題があると言わざるをえません。

 原告団は今回の不当判決に対して、直ちに控訴する意向を表明し、控訴手続きを進めていますが、私たちも大阪高裁での公正な判決を求めて、引き続きその闘いを支援していきます。

以上

2015年05月07日

京都大学職員組合、声明「京都大学未払い賃金請求訴訟第一審判決について」

京都大学職員組合
 ∟●京都大学未払い賃金請求訴訟第一審判決について

2015 年5 月7 日

声明

京都大学未払い賃金請求訴訟第一審判決について

京都大学職員組合・原告団

 本日、京都地方裁判所第6 民事部は、京都大学職員組合の組合員ら115 名が組合の支援を受けて国立大学法人京都大学を提訴した未払い賃金請求事件において、原告の請求を棄却する判決を言い渡した。

 本件訴訟は、2012 年2 月29 日の国家公務員給与臨時特例法による同年4 月から2 年間の国家公務員の給与減額に乗じ、国が全国の国立大学法人に対して賃下げを要請したことを受け、被告法人において減額された賃金の支払いを原告が請求したものである。

 今般の不当判決は、あらゆる面において、私たち労働者の権利だけでなく国家としての日本の国際的信頼をも著しく傷つけるものである。

 そもそも、今回の賃下げは復興財源の確保を口実としたが、会計検査院が2013 年10 月31 日に公表した報告書「東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関する会計検査の結果について」は、被災地と直接関係のない事業に振り向けられていた予算額が、復興特別会計のうち約3000 億円、また復興予算で造成された「全国向け事業に係る基金」のうち1 兆円以上に上ったとしている。

 被告法人においてはこの口実に従って国からの運営費交付金が削減されたが、資金面の余裕があり、賃下げを強行する必要性は皆無であった。

 国立大学法人法上、国立大学教職員は公務員ではなく、民間労働法制の適用を受ける。労働契約法9 条は、労使の合意のない労働条件の不利益変更を禁じており、10 条はその例外の要件として「就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものである」ことを定める。法律上、この要件を充足したことの挙証責任は被告にある。ところが、被告は挙証責任を果たそうとすらしなかった。すなわち、被告における賃下げ率が、運営費交付金の減額が大きいほど賃金削減幅が小さくなるという、理解困難な計算方法によって決められていたことを認めた。準備書面等においては定期預金が210 億円あったとし、証人尋問では財務について供述できる者を証人とすることを拒否して、証人に「財務のことはわかりません」と証言させている。

 本判決は、被告に財源のあったことを認め、賃下げ率の算定方法が不合理であったことを認めながら、国の要請という国家権力からの介入があれば従わざるをえないことを実質的な請求棄却の理由としており、これでは、学問の自由や大学の自治という憲法上の権利は全くないがしろにされてしまう。

 また、法律上、国立大学法人教職員は公務員としての地位を奪われ、民間の労働者と同様に扱われるものとされているにもかかわらず、本判決によれば、民間の労働者であれば適用されるべき労働法による保護すらも受けられないこととなり、劣悪な地位に置かれたことになる。私たちは本日の不当判決に対して直ちに控訴するとともに、法治主義に反し基本的人権を侵害するこの事態について、広く国内外に問題提起する所存である。


2015年05月01日

京都大学一方的賃下げ無効・未払い賃金請求事件、5月7日判決言い渡し

京都大学職員組合
 ∟●5/7(木)14:00- 請求訴訟判決、傍聴に多数ご参...

京都大学一方的賃下げ無効・未払い賃金請求事件

                  
判決言渡

日 時:2015年5月7日(木) 14:00?
場 所:京都地方裁判所 第101号法廷

判決弁論報告会
同日14:30 京都弁護士会館 3階大会議室

傍聴に多数ご参加ください

 国家公務員に横並びでの賃下げによって、京都大学では 2012 年 8 月から2014 年3月まで、常勤教職員のほとんどが一方的な賃下げの対象とされました。教授職で約 70 万円、准教授や一般職掛長クラスで約 30 万円の減収でした。職員組合はこの賃下げに対して、2013年 6 月11 日に高山佳奈子・京都大学職員組合委員長(当時)を原告団長に未払い賃金請求訴訟を京都地裁に提起しました。当初、96 人だった原告団も、その後参加が相次ぎ、115 人に達しました。これまで 10回の口頭弁論が行われ、来たる5月7日に判決言渡の日を迎えます。

 この間の裁判闘争において、賃下げの不当性は明瞭になりました。まず東日本大震災の「復興財源」という国家公務員賃下げの大義名分が破綻していることは、会計検査院の 2013 年の報告書が示す通りです(2012 年度の「復興財源」のうち1 兆 3000 万 円 が 被 災 地 と 直 接 関 係 の な い 予算!)。さらに、わたしたち国立大教職員は国立大の法人化以降、公務員ではなく、民間の労働法制の適用対象となっており、国には賃下げを強制する権限がありません。国の事実上の強制という京大法人の主張はまったく根拠がありません。しかも、京大の収入のうち国の交付金が占める割合は 3 割にすぎず、この間にも京大全体の収入は増加しています。賃下げの財政的な必要性はまったくないのです。実際、団体交渉で、京大法人側は「財源がないから賃金を下げる」という主張を一度もしておりません。それどころか、京大法人は準備書面等において、定期預金が210億円あったとし、証人尋問では財務について供述できる者を証人とすることを拒否して、証人に「財務のことはわかりません」と証言させています。

 国家公務員でない国立大学教職員に適用される労働契約法の第9条では、労使の合意のない労働条件の不利益変更を禁じており、同第10条はその例外の要件として「就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものである」ことを定めています。また、民事訴訟法は、「裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない」(246条)とするとともに、判決「主文が正当であることを示すのに必要な主張を摘示しなければならない」(253条2項)としています。

 これらのことから、口頭弁論、準備書面、書証において、賃下げの合理的な理由を挙証し得なかった京大法人に軍配を上げる理由を見出すことはできず、私たち原告団の勝訴を確信するところです。


2015年04月22日

京都大学職組賃金請求訴訟、5月7日判決

京都大学職組
 ∟●職員組合ニュース(2015年4月21日)

 2013 年 6 月 11 日に、京大教職員ら 96 名は、2012 年 8 月から減額された賃金の支払いを大学法人(被告)に対して求める訴訟を京都地裁に提起しました。その後、賃下げは2014 年 3 月まで続き、原告は 115 名にまで増加しました。裁判は 2015 年 3 月 2 日に結審し、5 月 7 日 14 時に京都地裁 101 号法廷において判決が言い渡される予定です。
 労働契約法は一方的な賃下げを禁止しており、その例外を定める 10 条は、①労働者の受ける不利益の程度、②労働条件の変更の必要性、③変更後の就業規則の内容の相当性、④労働組合等との交渉の状況等、を考慮要素とした合理性が必要だとしています。民事訴訟法では、この合理性を被告側が立証できない限り、原告が勝訴するルールになっています。
 ところがこれに対し、被告京大法人は、証明責任を果たすどころか、遂に裁判の結審に至るまで、真?な応答を拒み続けました。そればかりではなく、法令の内容や事実に明らかに反する主張までをも数多く行っています。また、裁判を通じて、驚愕すべき事実も明らになりました。このことを教職員・学生を始めとする多くの方々に知っていただくため、本裁判へのこれまでの大学側の対応を紹介します。………

2014年11月10日

京都大学職員組合賃金請求訴訟、第2回証人尋問傍聴記

京都大学職員組合
 ∟●第2回証人尋問傍聴記 ー賃金請求訴訟ー

第2回証人尋問傍聴記 ー賃金請求訴訟ー

 11月5日、京都地裁第101号法廷において未払い賃金請求訴訟の第二回目の証人尋問が行われた。前回が被告側証人への尋問であったのに対して、今回は、原告側の三人の証人として石田前書記長、高山原告団長、西牟田委員長が登場し、堂々と賃金引き下げの不当性を主張した。尋問は、石田前書記長、高山原告団長、西牟田委員長の順で、それぞれに、原告側弁護士による主尋問と被告側弁護士による反対尋問が行われ、途中に10分間の休憩を挟んで行われ、3時半におよぶものとなった。

 今回の証人尋問のポイントは、前回の被告側証人尋問で被告側が主張した論点が無効であることを、われわれ原告側が事実関係に基づいていかに説得的に明らかにできるのかという点にあったが、三人の証人と主尋問を行う弁護士との入念な打ち合わせによって次のように尋問は進められた。まず石田前書記長が団体交渉における法人側の対応が交渉と言えるような内容を持っておらず、法人による教職員への賃下げの周知方法も不十分であったことを明らかにし、続く高山原告団長はこの点に加えて賃金引き下げが教職員の生活はもちろん教育研究全般に深刻な悪影響を及ぼしたことを具体的に示した。そして最後に、西牟田委員長が、京都大学の財政分析に基づいて「運営交付金の減額(30億円余り)に対処するには、人件費の削減が不可欠であった」という法人側の主張を突き崩した。

 以上の尋問によって、法人側の主なる論点(事実上の国の強制、引き下げのための十分な手続き、人件費削減に財政的な必要性など)はほぼ完璧に反論されたわけであるが、これに対して、法人側弁護士は、些末とも言える細かな文言や記憶に関連した反対尋問を試みた。たとえば、賃金引き下げ対象となった教職員数に対して原告団へ参加している教職員数が少ないことなどを指摘して、教職員が賃金引き下げに対して「暗黙の同意」を行ったかの印象を作り出そうとしたが、しかし、高山原告団長の証言の前にこの被告側の試みはみごとに破綻したと言わざるを得ないであろう。

 今回の証人尋問で、賃下げという「不利益変更」を強行した法人側に求められていたのは、その合理的かつ十分な理由を説明することであった。しかし、以上からもわかるように、法人側はこの合理的な理由を何ら提示することはできなかった。むしろ、三人の証人の主張は、反対尋問に応えることを通して、大学の社会的責任とは政府の「要請」にひたすら応えることなのではなく、国の政策が誤っている場合には、それを説得的に批判することなのだという論点を明確にし、そのために、大学の自治、研究教育の自由が不可欠であることを裁判の場で示すものとなった。

 これからの裁判の日程は、来年1月22日午前10時からの最終弁論を経て、いよいよ結審へと向かうことになる。今回は70人あまりの傍聴人の見守る中で証人尋問が行われ、証人は大いに勇気づけられた。次回1月22日も京都地裁第101号法廷がいっぱいの傍聴人で埋め尽くされるよう、傍聴行動への参加をお願いしたい。


大学の自治に一石 京大私服警官取り押さえ印刷用画面を開く

京都新聞(2014年11月09日)

 京都大(京都市左京区)構内で京都府警の私服警官が学生とみられる男性に取り押さえられた4日の騒ぎは、国家権力から距離を置いた大学の自治の在り方に一石を投じた。過去にも警官による大学への立ち入りをきっかけにした事件が起きているが、司法は大学の自治を認めてきた。識者も警察がルールを尊重する必要性を指摘する。

 今回の騒ぎを受け、1952年の「東大ポポロ事件」があらためて注目を集めている。東京大で開かれた演劇発表会に入場した私服警官を取り押さえ、警察手帳を奪うなどしたとして学生が暴力行為処罰法違反の罪に問われた。

 最高裁は63年の判決で「大学における学問の自由を保障するために、伝統的に大学の自治が認められている」と言及、大学の自治について初の判断を下した。一方で演劇については「実社会の政治的社会的活動であり、かつ公開の集会またはこれに準じる」と指摘し、大学の自治の範囲外に当たるとして、無罪とした一、二審判決を破棄した。

 51年の「愛知大学事件」では、大学の自治をより重んじる司法判断が示された。愛知大(名古屋市)に立ち入った制服警官を拘束し、殴ったとして、学生が公務執行妨害や暴力行為処罰法違反などの罪で起訴された。

 二審の名古屋高裁は70年、大学における情報収集活動を含む警察活動は大学当局の許諾が必要とする原則を示した上で、公務執行妨害罪は成立しないとの判決を言い渡した。最高裁も検察側の上告を棄却した。

 戦前の京大でも、大学の自治が問われた事件が起きている。25年、府警察部が大学側への通告や法的手続きを経ず吉田寮(左京区)に入り、左翼運動をしていた学生を連行した「京都学連事件」だ。

 「京都大学百年史」によると、事件直後の学生大会は「警察のとった処置に対し府当局と内務大臣に弁明を求む」などとする決議を採択。法学部教授会は「大学の使命たる研究と教育を妨げるものだ」との意見書を出した。当時の荒木寅三郎総長は内務相と文部相に捜査の不法性を訴えた。

 今回のケースで、京大は警官が大学構内に立ち入る場合は府警から事前に通告を受け、大学職員か学生が立ち会うと取り決めているとして、遺憾の意を表明した。一方、府警本部は「取り決めの存在の有無も含め調査している」とする。

 立命館大法学部の倉田玲教授(憲法)は「ポポロ事件の前、日本における大学の自治は教員人事を念頭に置いたものだった。63年の最高裁判決で、学問の自由を保障するための自律的な組織運営という広い概念となった」と説明。その上で「自治のある大学に権力が土足で踏み込まないようにするための取り決めがあったとすれば、警察側が一方的に破ったことに対して京大が異議を唱えるのは当然のことだ」と話す。


2014年11月06日

京都大学未払い賃金請求訴訟、第1回証人尋問傍聴記

京都大学職員組合
 ∟●第1回証人尋問傍聴記1 ー賃金請求訴訟ー(2014/10/31)

第1回証人尋問傍聴記1 ー賃金請求訴訟ー

 10月29日、京都地裁第101号法廷において未払い賃金請求訴訟の証人尋問が行われた。これまでの口頭弁論における原告被告双方の主張が証人の証言によっていかに裏付けられるかが争点となる。裁判もいよいよ山場を迎えたわけである。29日の尋問は被告側の二人の証人に対して、まず被告側の弁護士が主尋問を行い、次に原告側の弁護士が反対尋問を行う、という順で進められた(4時間近く)。主尋問は後の反対尋問をいわば予測する形で個々の論点を確認する仕方で進められ、反対尋問はその矛盾点を突くという攻防となった。

 わたしたち原告側から言えば、今回の証人尋問の目的は次の点にあった。反対尋問によって被告側の主張を切り崩すことよって裁判を優位に進めることと、被告側の論点を顕わにすることによって、一週間後11月5日の二回目の証人尋問(原告側の三人、石田前書記長、高山原告団長、西牟田委員長が登場)に備えることである。

 第一回目の証人尋問で明らかになったのは、被告側の論点は結局次の点に尽きているという点である。

1.給与引き下げという国の要請は事実上の強制であった。文言による強制ではないが、京都大学当局は強制と受け取った。この要請=強制に従わない場合、大学はその社会的な責任を果たしていないと言うことで、マスコミや世間(?)からの批判に晒されることになることを恐れた。

2.給与引き下げを実施するために、手続きに則った説明が行われた。つまり、部局長会議、教育研究評議会、経営協議会、役員会の一連の会議で審議し、教職員には一斉メール、グループウェア、ホームページによって周知し、組合とも団交などで説明した。

3.国の要請=強制に対応して、他大学と比べて減額率を圧縮することを、京都大学は自主的に行った。

4.運営交付金の減額(30億円余り)に対処するには、人件費の削減が不可欠であった。交付金のうちの物件費は人件費に回すことができず、外部資金の間接経費や寄付金からも人件費は支出できない。交付金における人件費の減額=給与削減しかなかった。

 以上の論点はこれまで被告側が述べてきたことの繰り返しであり、この論点をつぶす作業が次回の証人尋問のテーマとなる。被告側の立論から確認すべきは、次の点である。まず、給与削減はそもそも前提であった(給与削減ありき)。そしてこの前提は国の要請に応えることこそが大学に使命であるという公務員時代の発想へのとらわれからの帰結である。この前時代的意識こそが人件費削減を回避することの柔軟な検討を放棄させ、教職員と組合への対応の不誠実さの元凶となった。国の政策が誤っているときに、それを批判し質すことが大学の真の社会的責任であることを、もはや公務員ではない大学教職員は自覚しなければならない。ここに根本的な争点がある。

 第一回の証人尋問が終わり、山の4合目までは進むことはできた。後は、再度法廷を傍聴人で埋め尽くすことによって、第二回目の証人尋問に勝利するという山の頂上を目指すことのみである。11月5日の証人尋問への傍聴行動への参加を求めたい。


私服警官、京大でつかまる 大学「通告なく立ち入り遺憾」印刷用画面を開く

京都新聞(2014年11月04日)

 4日午後0時20分ごろ、京都市左京区吉田二本松町の京都大吉田南構内で、京都府警の男性警官1人が学生とみられる男性に取り押さえられる騒ぎがあった。大学関係者も加わり話し合った結果、警官は約3時間後に大学を退去した。

 府警の説明では、警官は極左暴力集団などの犯罪捜査に当たる警備2課の巡査部長で別の捜査員とともに私服で勤務中だった。構内では、2日に東京都内でデモ行進していた京大生が警視庁に公務執行妨害の疑いで逮捕されたとして、抗議活動が行われていた、という。

 京大の学生担当理事の杉万俊夫副学長によると、学生からの連絡で駆け付けると、警官は吉田南構内の講義室におり、20~30人の学生がいたという。杉万副学長が警官から事情を聴いたが、詳しいやりとりは「明かせない」としている。

 京大は、警官が大学構内に立ち入る場合は府警から事前に通告を受け、大学職員か学生が立ち会う取り決めにしているという。杉万副学長は「事前通告なしに立ち入ることは誠に遺憾。事実関係を調査し、府警に申し入れをする可能性もある」としている。

 府警は「捜査の内容や構内に立ち入った経緯は明らかにできない」とした上で、「捜査の都合上、大学への通告なしに構内に立ち入ることはある。捜査員から事情を聴いている」としている。警官が構内にいる間、京大付近に一時、数十人の機動隊員を乗せた車両が待機した。


2014年10月26日

京都大学職員組合、大学自治を基本とした学内規則の改正を

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース(2014年10月22日)

大学自治を基本とした学内規則の改正を

 学長リーダーシップ強化を名目に、大学自治を担う教授会から重要事項の審議権(実質上の決定権)を奪い、学長の諮問機関にするとの学校教育法等改正は、私たちの反対にも関わらず、6月20日に参院本会議で可決、 27日公布され、来年4月1日施行です。現在、法改正により、それに則った学内規則の変更について、政府の意図する学長専権体制の方向か、それとも大学自治を基本とする改正かが問われる状況となっています。

「京大の組織に関する規程」は教授会権限を保障

 改正前の学校教育法は、第93条1項で、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」として、教授会設置を義務づけ、重要事項審議の権限を明確にしていました。京都大学でもこのことに基づき、「京都大学の組織に関する規程」において、次のように重要事項を具体化した規程を作っています。
 「第17条 研究科に、学校教育法第93条第1項に定める教授会を置く。/第18条 教授会は、研究科に係る次の各号に掲げる事項について審議する。/ (1)教育課程の編成に関する事項/ (2) 学生の入学、課程の修了その他学生の在籍に関する事項及び学位の授与に関する事項/ (3)研究科長の選考及び解任に関する事項/ (4)教授、 准教授、講師及び助教並びに助手 (以下「教員」という。) の採用、昇任及び懲戒処分に関する事項その他国立大学法人京都大学教員就業特例規則の規定によりその権限に属するものとされた事項/ (5)その他教育又は研究に関する重要事項/ 2 教授会は、特定の事項を審議するため、研究科会議を 置くことができる。」

改正学校教育法の記述は学生の 入学卒業等と学位授与だけ

 しかし、改正学校教育法は、「大学に、教授会を置く」だけとし(93 条)、「教授会は、学長が次に掲げる事項について決定を行うに当たり意見を述べるものとする」として 諮問機関的位置付けにし(同条第②項)、具体的事項は、「一学生の入学、卒業及び課 程の修了/二 学位の授与」の2つしか記 載していません。カリキュラム編成、研究科長選考、教員人事等々、部局の教育研究と一体である最も重要な教授会権限は不要であると言わんばかりです。

改正学校教育法でも存在する 教授会での重要事項の審議

 一方で、同条第②項の三では、要旨「前2 号のほか、教育研究の重要な事項で学長が教授会意見を聞くことが必要なもの」には意見を述べることができるとし、第③項でも、要旨「教授会は前項規程のほか、学長等がつかさどる教育研究事項を審議し、意見を述べることができる」とし、私たちの運動の反映と大学自治の基本のもと、教授会は重要事項を審議するとの条文は消されず明確に存在しています。
 学内規則の重要事項を何とするかは大学の権限です。政府・文部科学省は、「大学における内部規則・運用見直しチェックリスト」等々を提示するなど教授会権限縮小を迫って細かな指示を乱発しています。

総長選結果を反映した学内規則 改正が教職員の意志

 京都大学は10月14日の部局長会議で、 学内諸規定の総点検・見直しワーキンググループ要綱案とスケジュールを確認しました。部局長会議に2回報告、12月に文科省へ進捗状況報告、1月部局長会議に最終報告、決定というものです(下表)。
 7月の総長選挙結果は、教職員が、大学自治のもと、学内の意見を聞く、教授会審議尊重の運営を求めていることを、はっきりと示しました。その立場を明確にして選出された新総長のもと、新たな学内規則についても京大の民主的運営を保障する内容となることが強く求められています。


京都大学職員組合、賃金訴訟請求 山場を迎える

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース(2014年10月22日)

賃金訴訟請求 山場を迎える

京都地裁101号法廷
証人尋問
10月2日 (水)13:10~16:30
11月5日 (水)13:10~16:30

 国家公務員に横並びでの賃下げによって、京都大学では 2012年8月から2014 年3月まで、常勤教職員のほと んどが一方的な賃下げの対象とされました。教授職で約70万円、准教授や一般職掛長クラスで約30万円の減収でした。職員組合はこの賃下げに対して、昨年6月11日に高山佳奈子・京都大学職員組合委員長(当時)を原告団長に未払い賃金請求訴訟を京都地裁に提起しました。当初、96人だった原告団も、その後参加が相次ぎ、115人に達しています。これまで6回の口頭弁論が行われ、最大の山場である証人尋問が目前に迫っています。

 この間の裁判闘争において、賃下げの不当性は明瞭になりました。まず東日本大震災の「復興財源」という国家公務員賃下げの大義名分が破綻していることは、会計検査院の2013年の報告書が示す通りです(2012年度の「復興財源」のうち 1 兆3000万円が被災地と直接関係のない予算!)。さらに、わたしたち国立大教職員は国立 大の法人化以降、公務員ではなく、民間の労働法制の適用対象となっており、国には賃下げを強制する権限がありません。国の事実上の強制という京大法人の主張はまったく根拠がありません。しかも、京大の収入のうち国の交付金が占める割合は3割にすぎず、この間にも京大全体の収入は増加しています。賃下げの財政的な必要性はまったくないのです。実際、団体交渉で、京大法人側は「財源がないから賃金を下げる」という主張を一度もしておりません。

 賃下げの不当性はあらゆる観点から疑いないところですが、勝訴を勝ち取るためには、10月29日(水)と 11 月5日(水)の証人尋問に勝利することが必要です。組合は弁護団とも打合せを重ねて入念な準備を進めていますが、廷内を包む雰囲気が裁判官の判断に与える影響も決して小さくありません。証人尋問が行われる京都地裁101号法廷(傍聴席91席)を傍聴人で埋め尽くすことによって、裁判勝利に向けたわたしたちの意志をはっきりと示したいと思います。賃金訴訟の正念場です。すべての力を裁判に結集しようではありませんか。


2014年10月20日

「京都大学による一方的賃下げ無効・未払い賃金請求裁判」第6回口頭弁論 傍聴報告

神戸大学職員組合
 ∟●月刊しょききょく,10月号

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「京都大学による一方的賃下げ無効・未払い賃金請求裁判」第6回口頭弁論 傍聴報告

書記次長 大倉直起

 9 月 3 日 10 時から、京都地方裁判所 208 号法廷で行われた賃金請求訴訟の第 6 回口頭弁論の傍聴行動に参加してきました。傍聴席は各地からの応援で48 名の定員が満席となりました。
 この日は本来、次回からの事務的な手続きのみで終わる予定でしたが、急遽被告側から予定に無かった現財務部長からの意見書が提出されたことから、これに対して「明らかに陳述書であるのに、これでは反対尋問が出来ないではないか。」と原告側から異議申し立てを行いました。裁判長は「それなりに扱う」との素人には良く分からない回答で、次回予定通り証人調べが行われることになりました。
 口頭弁論後の報告集会では、今後この「それなりに扱う」ことについて引き続き注視していくこと、京都大学では財政的に余裕があったことは明らかだが、賃下げ期間中に不適切な支出がなかったか確認していくことも報告されました。
 裁判も次回からは証人調べが始まります。証人は原告側から高山原告団長、西牟田委員長、石田書記次長(当時、書記長)の3名、法人側から当時の人事課長、人事課長補佐の2名)です。京都地裁で一番大きい101 号法廷(91 名定員)で行われます。
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2014年08月06日

京都大学未払い賃金訴訟、第6回口頭弁論は9月3日 原告団115名に!

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース(2014年8月4日)

原告団115名に! 多数の傍聴ご参加を

 昨年6月11日の賃金訴訟提起から1年余が経過し、5回の口頭弁論が行われました。当初96人だった原告団も、その後参加が相次ぎ、現在115人にまで達しています。2012年8月から2014年3月までの1年8ヵ月間の賃下げによる損害額は、教授職で60万円超、准教授や一般職掛長クラスで約30万円に至っています。
 9月3日の第6回口頭弁論を終えると、「証人尋問」にステージは移ります。10月29日には被告(大学側)への証人尋問、11月5日には原告側への証人尋問が予定されています。……

 私たち原告団の「財政的根拠も高度の必要性もない賃金引下げである」との主張に、法人は〝震災復興に必要、政府の要請、賃下げへの異議申出は原告団長以外誰もいない(黙示の同意)〟等を繰り返すばかりです。財政面においては「運営費交付金削減の場合、他の収入源からの補填は容易でなく賃下げは不可避だった」と京大法人は主張していますが、本当でしょうか?
 臨時給与減額に伴う運営費交付金の減額は単年度につき28億円とされており、このうち10億円を教職員の給与減額、残り18億円を研究費などを含む物件費から充てられています。

 京都大学の財務諸表を見ると、2012年度には32億円の目的積立金が積み立てられ、累計で216億円の積立金がありました。目的積立金は、目的の変更が法律で認められており、財源が不足した場合には取り崩すことができます。貸借対照表によれば、「現金及び預金」と「有価証券」だけで750億円を越える資産があり、キャッシュフロー計算書では運営に使用されるのは500億円にとどまっている現実のもと、賃金も教育・研究費も減らすことなく運営費交付金の削減に対処できたことは明らかです。第一に賃金、第二に教育研究費を削減するというこの姿勢は、法律および大学のあるべき運営の原則に真っ向から反しています。
 9月3日の第6回口頭弁論や、それに続く10月29日(水)、11月5日(水)の証人尋問においては、こうした京都大学の財務面からも尋問、陳述を展開する予定です。また、これまでと同様に口頭弁論終了後に、隣の弁護士会館にて報告集会を開催予定しています。こちらの報告集会にも多数のご参加をお待ちしています。


2014年07月12日

京都大学職員組合、学内世論の一致が生み出した新総長 総長選を振り返って

京都大学職員組合
 ∟●学内世論の一致が生み出した新総長 総長選を振り返って

学内世論の一致が生み出した新総長
ー 総長選を振り返って ー

京都大学職員組合 中央執行委員長 談話

 「現総長の京大運営は根本的に間違っている。」わたくしたち京都大学職員組合中央執行委員会は、未払い賃金請求裁判を闘う中で、京大法人の文部科学省への従属性、自治放擲、法を守らぬ姿勢に早くから気付いていました。しかし同時に、定員削減に苦しむ事務職員、5年雇用期限の不条理に憤る時間雇用教職員、「組織改革」に振り回される部局長・教育研究評議員、常に置いてきぼりを食らう一般教員、全ての蚊帳の外に置かれた学生たち、・・・京都大学のあらゆる諸階層が並行して、同じことを感じていたのです。その集約点にして爆発点が京大総長選挙廃止問題でした。たった3日間で1065名にのぼる12月の署名者たちが求めた民主的総長選挙の存続が決まったあの4月の瞬間、すでに今日7月初めの「みんなに支持される新総長の選出」への道筋は開かれていたのかもしれません。まさしく学内あらゆる諸階層のどれを欠いても成立しなかったに違いない世論の一致が必然的に生み出した今回の学内体制転換に、京都大学職員組合も一つの役割を果たせたと喜んでおります。

 わたくしたち京都大学職員組合は、京都大学法人との間で対等な交渉に基づくまっとうな労使関係を確立する日をめざし、これからも努力していく所存です。この運動の中で組合員が増えています。さらに多くのみなさんが京都大学職員組合に加入して、「動けば変わる!」をモットーに、わたくしたちと共に活動していただけることを切に願っております。


2014年07月05日

京都大、次期学長に山極寿一教授 ゴリラ研究の第一人者

毎日新聞(2014年07月04日)

 京都大は4日、9月末で任期を終える松本紘学長の後任に、前大学院理学研究科長の山極寿一教授(62)=人類学・霊長類学=を選出したと発表した。3日にあった教職員による投票(意向調査)で1位になり、4日の学長選考会議で正式に決まった。任期は10月から6年。

 山極氏は東京都国立市出身で、1975年に京大理学部を卒業。日本モンキーセンターリサーチフェローなどを経て2002年、理学研究科教授に就任。11年4月から2年間、理学研究科長と理学部長を兼任した。ゴリラ研究の第一人者で知られ、国際霊長類学会長も務めた。

 山極教授は記者会見で「国際化の荒波の中、京都大の伝統である自由の学風や創造の精神をどう生かせるのか、多数の世界的科学者を生み出してきた土壌をどう支えるのか、全学体制で作り上げていきたい」と語った。また、任期途中に教職員が学長を評価する「リコール制度」の必要性にも言及した。【野口由紀】


2014年06月28日

京都大総長選挙で学内掲示板をビラが埋め尽くす、「山極教授に投票しないで!」と書いた意外な理由

Jcastニュース(2014/6/27)

 京都大学の敷地内にある掲示板のいたるところに、おびただしい数のビラが張られているのが2014年6月26日夜に見つかった。ビラには大きく「山極」という文字が描かれ、「投票しないで」となっている。
大学は今、次の総長選考の真っ最中で、このビラは山極壽一(やまぎわ じゅいち)理学研究科教授を総長に選ばないでほしい、と訴えているのだ。「ツイッター」にも同じ内容のつぶやきが多数出ている。ただし、誹謗中傷するものでもなく、京都大学もこのビラの撤去はしないと話している。いったい何が起こったのか。

ツイッターで「山極教授は愛されている」

現総長の松本紘氏が14年9月に任期を終えるため京都大学では後任となる総長の選考が進められている。今回は様々なドタバタ劇があった。まず、「学内民主主義の象徴」といわれていた学内投票を通じての総長選びを廃止しようという動きがあったほか、総長を国際公募する、などといった話が大手新聞各紙に取り上げられた。しかし「大学の自治のためには投票が必要」という意見が根強く、結局はこれまで通りに落ち着くことになる。
京大総長の選任までのプロセスは、まず教職員約5千人による「予備投票」で学内から10人程の候補を選出する。そして選考会議が推薦する学外者を入れて6人に絞り、講師以上の教員による「意向投票」を行う。その結果をふまえ、選考会議によって総長が決められる。現在その6人に残っているのが山極壽一理学研究科教授なのだ。
山極教授は研究者として教育者として、学生や京大職員からの評価が高いらしい。それならば総長に適任だと考えられるのに、「山極教授に投票しないで」と書かれたビラで京大中の掲示板が埋め尽くされてしまった。なぜかといえば、山極教授はニホンザルやゴリラの研究に40年以上取り組んできた「霊長類研究の宝」であり、総長になって研究職を退いてしまったら世界の霊長類学、ひいては京大にとって大きな損失になる、という理由からなのだという。だから総長にはならずにずっと研究に打ち込んでもらいたいし自分たちを指導し続けてもらいたいのだそうだ。
こうした展開にネットでは、
「山極教授愛されてるのねw」
「山極教授カッコイイなぁ。どんだけ信頼置かれてるんやろか」
「山極教授の研究凄すぎるもんな」
などと言った意見がツイッターに出ている。

京大の担当者「今回のビラは不問、撤去はしない」

では誰がこうした大量のビラを撒いたのだろうか。京都大学全学自治会同学会中央執行委員会のホームページを見ると、14年6月26日夜に文学研究科、理学研究科の学生有志の文責によるビラが、吉田南から農学部までの掲示板を埋め尽くすかたちで張り出された、と書かれている。京都大学理学研究科人類進化論研究室の赤いハンコも押してあり、切実さが伝わってくる。
 「特定の候補者に投票しない運動がこういう形で出るとは思っていませんでした。悪い人に(総長に)なってほしくない系で宣伝されるかと思っていたのですが・・・」といった感想も添えられている。
京大ではこうしたビラはどういった扱いになるのだろうか。総長選考選挙を担当する部署に話を聞いてみたところ、
 「個人を誹謗中傷したり貶めたりするものでない限りは問題ありません」ということでビラの撤去などは行わないという。新総長は7月初めにも決定するという。


2014年05月21日

総長選挙廃止問題と安倍内閣大学改革④

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース、第29号(2014年5月20日)

総長選挙廃止問題と安倍内閣大学改革④

民主的総長選挙の存続守った京都大学教職員の良識

 昨年 12 月、総長選考会議の一部学外委員による総長選挙廃止の動きを察知して機敏に立ち上がった京大職組の民主的総長選挙の存続求める運動は、学内外の世論の支持・賛同の大きな広がりをみせました。この運動は京大の教育研究評議会教員、総長選考会議学内委員の良識の発揮と結びつき、4/23( 水 ) の総長選考会議が全会一致で従来どおり総長選挙の実施を決定する状況に結実しました。次期総長選出について総長選考会議は 5/12( 月 )、予備投票を 6/2( 月 )<8:30~12:00>に、意向投票を 7/3( 木 ) に行うことを公示。投票権を行使して政府言いなりの上からの「リーダーシップ」でなく大学自治に基づくボトムアップの自主性発揮する総長の選出が求められます。

大学自治破壊の学校教育法・国立大学法人法改悪案が国会上程

 総長選挙は存続させましたが、今度は政府が大学自治破壊・学問の自由侵害の法案を国会に上程 (4/25)。学校教育法と国立大学法人法の改悪案です。また、両法案の陰に隠れていますが、既に上程された独立行政法人通則法改正に伴う国立大学法人法改正案も大学自治破壊の改悪案です。

教授会の審議権奪う学校教育法改悪案

 現行の学校教育法は 93 条1項で「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」とし、大学の基本的権限を教授会に委ねています。京大でも「組織に関する規程」で「研究科に、学校教育法第 93 条第 1 項に定める教授会を置く」( 第 17 条 ) とし、教授会の審議事項として、“(1) 教育課程編成、(2) 学生の入学、課程修了その他学生の在籍及び学位授与、(3) 研究科長の選考・解任、(4) 教授、准教授、講師及び助教並びに助手の採用、昇任及び懲戒処分その他教員就業特例規則によりその権限に属するもの、(5) その他教育又は研究に関する重要事項” ( 要旨 )と明確に規定しています ( 第 18 条 )。ところが政府案は同項を「大学に、教授会を置く」のみに改変。教授会は置かれるだけの存在に。完全な審議権、権限の剥奪です。(次号に続く)


2014年05月02日

京都大学職員組合、声明「京都大学の民主的な総長選挙制度の存続を歓迎する」

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース,第28号(2014年4月30日)

声明

2014年4月30日
京都大学職員組合中央執行委員会

 4月23 日に開催された京都大学総長選考会議は、新議長(学内委員)のもと、次期京大総長(現総長の任期は9 月30 日まで)の選出に関し、京都大学の教職員による民主的な総長選挙制度(予備投票および意向投票)を基礎とした現行方式の選出を引き続き行うことを決定しました。

 関係規程の一部修正も行い「(1) 総長選考会議は、学内意向投票の結果を基礎に、総長候補者を選考」の個所を、「総長選考会議は、意向調査の結果を基礎に、第一次総長候補者に関する事項を総合的に判断して、総長候補者を選考」に変更、(2) 現行の「総長選考規程」を「総長選考規程」、「総長選考意向調査規程」、「予備投票実施細則」及び「意向投票実施細則」に分割、(3) 「総長選考規程」で「意向調査」という表現を使用、(4) 6 人の候補者の中の学外者の人数を、「2 人まで可能」から「3 人まで可能」に変更)今後の運用に留意は必要ですが実質的な変更ではなく、教職員の予備投票・意向投票の権利は守られたものです。

 思えば、昨年11 月20 日の総長選考会議において密かに総長選挙制度の廃止が提案されてから約5ヵ月、このことが京都大学職員組合の活動、とくに12 月24 日の学内緊急集会と「総長選挙廃止反対」ネット署名、によって、全国世論の喚起も伴いつつ京都大学の学内にあまねく周知されるようになってから約4ヵ月、ついに決着がつきました。わたくしたちは京都大学の民主的な総長選挙制度を守る闘いに勝利いたしました。

 総長選考会議は、12 月25 日、1月17 日、27 日、2 月15 日、3月10 日、27 日と開かれて行きましたが、1 月17 日以後議事がやっと教育研究評議会に報告されるようになってからも、選考会議内の議論は総長選挙廃止を求める学外委員案と民主的な総長選挙制度の存続を求める学内委員案が拮抗状態を続けました。  しかしながら3 月から4 月にかけて事態は急展開致しました。  4 月16日に開かれた新年度第1 回の総長選考会議において、新しい議長(学内委員)が選出され、そのもとで基本的に総長選挙制度を存続するという提案が行われ、4月23 日の総長選考会議において、京都大学次期総長選考に関して、従来の予備投票、意向投票による学内総長選挙を実施し、それを基礎に総長選考会議が最終的な決定を行うことが全会一致で決定されました。

 こうして京都大学の教職員、学生・院生を含む圧倒的な学内世論が民主的な総長選挙を守ろうとする中にあって、総長選考会議の新旧学内委員の驚異的な粘りによって、ついにわたくしたちの、京都大学の代表を自ら選ぶ自治の制度が守り抜かれたと言えるでしょう。

 次は、それにふさわしい新しい総長を自ら選ぶ段階です。次期総長選挙は、5 月12 日に公示、6 月2 日に予備投票、そして7 月3 日に意向投票および開票の日程でおこなわれます。みなさん清き一票を!そして京都大学にふさわしい総長を自ら選出することによって京都大学の一層の発展に向かうことを願ってやみません。


2014年04月29日

京都大次期総長、7月3日に投票 海外からの推薦も受け付け

産経(2014.4.28)

 京都大の松本紘総長の任期が今年9月で終了することに伴う次期総長の選考で、同大は28日、教員による投票を7月3日に実施すると発表した。投票後、選考会議が面接を行い、次期総長を決定。教職員による投票は廃止も検討されていたが従来通り行い、7月中にも決める見通し。海外を含めた他大学の学長らからの推薦を受け付けることも正式に表明した。

2014年04月25日

京大総長、従来通り教職員投票に

京都新聞(2014年04月24日)

 京都大の次期総長の選考で教職員による投票の廃止が検討されていた問題で、学内外の委員でつくる「総長選考会議」は23日、従来通り教職員投票を実施することを決めた。強いリーダーシップを発揮できる人材を幅広く求めるべきだとの学外委員の意見を受け、海外を含めた学外候補枠を現在の最大2人から3人に増やす。

 大学関係者によると、今回決まった次期総長の選考法は、従来通り、学内で選んだ10人の候補者と選考会議が学外から選んだ最大3人の候補者の中から、選考会議が6人に絞る。さらにこれまでと同様に教職員の投票で総長候補1人を決め、文部科学相が任命する。

 昨年11月の選考会議で、学内のしがらみを排するなどの観点から投票の廃止が提案され、学外委員の賛同を集めていた。しかし、学内の反発は強く、議論が続いていた。

 国立大は2004年の法人化以降、学内の教員と学外の有識者で構成する選考会議が学長(総長)を選んでいる。ほとんどの大学は法人化前の方法を踏襲し、教職員の投票結果を選考の最も重要な判断材料としている。

 京大の松本紘総長の任期は9月末まで。それまでに次期総長が決められる。

■「自由の学風」守る道選択

 大学改革が叫ばれる中、約100年前に日本の大学で初めて総長選を実施した京都大は、「自由の学風」の源流とも言える伝統を守る道を選んだ。教授会の権限縮小など大学自治の在り方をめぐり、国などで行われている議論にも一石を投じることになる。

 京大の総長選考会議で、教職員の投票の廃止の議論は当初、「賛成」の学外委員と「反対」の学内委員で意見が真っ二つに分かれた。その影響で、次期総長の選考法の決定は大幅に遅れ、手続き上の期限が迫り、時間切れの決着となった一面もある。

 学内の投票は事実上、規模の大きな学部・研究科の「数の論理」で決まるという批判は強い。教職員が人物本位で投票することができなければ、また同様の議論が起きるだろう。

京大総長選は教職員投票継続 「時間切れ決着」…外部候補枠は増員

産経(2014.4.24)

 京都大総長の選考をめぐって教職員投票の廃止が検討されていた問題で、学内外の委員による「総長選考会議」が、ほぼ従来通り投票を行うと決めたことが24日、関係者への取材でわかった。選考会議が推薦できる海外を含めた外部候補枠は、現行の2人から3人に増やすという。

 総長選考をめぐっては、「学内のしがらみに縛られず経営能力のある人物を選ぶべきだ」との観点から、昨年11月の選考会議で投票の廃止が議題に挙がった。一方で「学問の自由や大学の自治のためには投票が必要だ」との声も根強く、議論が続いていた。

 大学関係者によると、23日の選考会議で、ほぼ従来通りの制度で5月中旬にも選考作業を始め、7月初旬ごろまでに次期総長を決めることで合意したという。現在の松本紘(ひろし)総長は、9月末に任期を終える。

 現行制度では、まず教職員約5千人による「予備投票」で学内から10人程度の候補を選出。選考会議が推薦する学外者を含めて6人に絞り、講師以上の教員らによる「意向投票」の結果をふまえ、最終的に選考会議が決める。

 関係者は「総長の任期切れが迫り、今回は時間切れの決着となった面が強いのでは」と話した。京都大は約100年前に日本の大学で初めて教員による総長選挙を実施した。


2014年04月04日

4.20緊急シンポジウム、「いま、大がの自治を問う-京大での総長選廃止の動きと大学「改革」-」

京滋私大教連
 ∟●いま、大学の自治を問う―京大での総長選廃止の動きと大学「改革」

【4.20緊急シンポジウム】
いま、大がの自治を問う
-京大での総長選廃止の動きと大学「改革」-

 今、日本の大学と民主主義は、重大な危機に直面しています。政府・文部科学省は、中教審大学分科会組織運営部会の審議を受けて、学校教育法「改正」法案を今通常国会に提出しようとしています。具体的には、教職員による学長選挙(意向投票)の廃止を含む「学長選考方法の見直し」、学長を補佐する「統括副学長」や「高度専門職」の導入などとともに、学校教育法第93 条の教授会が審議する「重要な事項」の範囲を「①学位授与、②学生の身分に関する審査、③教育課程の編成、④教員の教育研究業績等の審査等」に限定し、学部長の選出など教員人事にかかわる教授会の権限を見直すことを主たる内容としています。
 このような事態が進展する中、学校教育法「改正」法案を先取りするような動きが強まっており、京都大学では総長選挙制度廃止をめぐる問題が浮上しています。また私立大学に関しては、経済同友会が学長・理事長のトップダウンを推奨する「ガバナンス改革」を提言していますが、政策決定の「スピード化」に力点を置いた議論がなされるあまり、民間企業における組織運営の問題点や大学組織の特性を踏まえた検討が十分になされないまま、具体的な法改正が進められようとしていることは極めて重大です。
 こうした状況を踏まえて、国立大学と私立大学における組織運営をめぐる問題状況を交流するとともに、今後の取り組みに向けた議論を深めるために「緊急シンポジウム」を開催します。高等教育の真の発展に資する包括的な「ガバナンス」のあり方について、教育・研究の現場を支える教職員をはじめ各層の意見を広く集約し、検討を深めるために、多くの皆さんが本シンポジウムに参加されることを呼びかけます。

◆開催日時:2014 年 4 月 20 日(日)13:00~15:30(12:30~受付)
◆会場:京都大学吉田キャンパス・法経本館7 番教室(1 階)
※会場へのアクセス:https://www.econ.kyoto-u.ac.jp/about/access/campusmap/

◆報告①:中教審大学分科会「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」(2014.2.12)をめぐって
西牟田 祐二氏(京都大学経済学研究科教授/京都大学職員組合中央執行委員長)
◆報告②:経済同友会提言「私立大学におけるガバナンス改革」( ② 2012.3.26)をめぐって(仮題)
鈴木 眞澄氏(龍谷大学法学部教授/日本私大教連副執行委員長・京滋私大教連副執行委員長)
◆報告③:国立大学における安倍内閣「大学改革」の特徴と全大教の取り組みについて
中嶋 哲彦氏(名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授/全国大学高専教職員組合中央執行委員長)
◆パネルディスカッション(司会:NPO 法人「ねっとわーく京都21」代表・池田豊氏)

主催:京都大学職員組合、京滋地区私立大学教職員組合連合
後援:全国大学高専教職員組合、日本私立大学教職員組合連合
協賛:高等教育研究会、日本科学者会議京都支部(他にも要請中)

2014年03月20日

京都大、世論誘導する一方的報道 総長選考会議内では学外委員案と学内委員案が並立

京都大学職員組合
 ∟●3/16総長選考方法にかかる報道は一方的、総長選考会議...
 ∟●職員組合ニュース号外(2014.3.19)

世論誘導する一方的報道
総長選考会議内では学外委員案と学内委員案が並立
読売新聞が伝えたのは学外委員案のみ

 3 月 18 日教育研究評議会が開かれました。問題となっておりました総長選考会議の学内委員の選考方法に関し、総長から、従来と異なって 4 月 1 日に新しいメンバーによる臨時の教育研究評議会を開催し、そこで学内委員を決めたいと提案がありました。それに対し従来のように 3 月中に決めるべきだという意見が多く出され、3 月 26 日に臨時の教育研究評議会が開かれることになりました。

 教育研究評議会の総長提案議題が終わった後、総長選考会議の学内委員が次のような主旨の発言をしました。

・総長選考会議において新しい選考制度が決まったかのような報道がなされているが、そのような事実はない。
・前回の総長選考会議(3/10)ではなにも決定していない。
・総長選考会議では、議長案と学内委員案が並立している。

●安西案は総長選挙廃止案!
 ここに見られますように、学外委員案は、学内投票を、予備投票も意向投票も完全に廃止する案です。「学内の意向の調査の仕方」は、ただ「絞り込んだ候補者に関し、教育研究評議会と経営協議会に意見を求める」というだけです。つまり、3 月 16 日に読売新聞の第一面を使って発表された京都大学総長選考会議の「方針が決まった」という内容は、総長選考会議の議長(安西祐一郎現中央教育審議会会長)をはじめとする学外委員案のたんなる一方的報道であったわけです。しかもその新聞報道にある背景説明も、「学長のリーダーシップ」、「学内のしがらみ」等々従来の産業競争力会議や中央教育審議会の主張そのものです。

 最大手の報道機関である読売新聞の第一面がこうした偏向報道に使われたという明らかな事実をわたくしたちはよく押さえる必要があります。


2014年03月17日

京大、学長「国際公募」の狙い

読売新聞(2014年03月16日)

京大、学長を国際公募…しがらみ離れ指導力期待

 京都大学の総長(学長)選考会議は、次期学長について、国内だけでなく世界から公募する方針を決めた。

 世界中の優秀な研究者や学生が集う大学を実現するために、学部など部局のしがらみから離れた強いリーダーシップを発揮できる人材が必要と判断した。文部科学省によると、国立大学が学長を国際公募する例はなく、日本トップクラスの京大の判断が他大学に与える影響は大きい。

 現在の松本紘学長は今年9月30日に任期満了となる。関係者によると、早ければ4月中に米・ハーバードや英・ケンブリッジ、東京大などの学長らに学長候補者の推薦を依頼する。教職員50人以上の推薦などがあれば学内からも推薦することができる。

 推薦を受け、門川大作京都市長ら学外の6人と学内の教員6人でつくる選考会議が、世界をリードできる京大の学長にふさわしいかどうかを審査し、最終決定する。最初に絞られた候補者を対象に、教職員の意向を探る調査の実施も検討している。


[同ニュース]
京都大学、総長を「国際公募」へ 競争力強化を狙う

2014年03月05日

「京都大学組織改革(案)」の本質を問う-総長選挙廃止問題と安倍内閣大学改革②-

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース,[第24号]発行:2014年3月4日

「京都大学組織改革(案)」の本質を問う
-総長選挙廃止問題と安倍内閣大学改革②-

(前号より続く)
「総長選考制度改革」と一対の「京大組織改革」

 なぜ総長選考会議はこれだけの強い批判があるにもかかわらず、総長選挙制度の廃止と任期延長・再任制度導入の検討を続けているのでしょうか?
 それは現在これと並行して行なわれており、いまや検討の最終局面(3月4日の臨時教育研究評議会で再採決の予定)を迎えている「京都大学組織改革(案)」の進行と併せて考えなければなりません。京都大学における「総長選考制度改革」と「大学組織改革」は車の両輪のようにタイアップして進行しているのです。
 背景は、現安倍内閣のもとで 2013 年 1 月に発足した「産業競争力会議」が、大学を経済成長の手段として明確に位置付けたことにあります。それによれば、大学は①「グローバル人材の育成機関」、かつ②「イノべーション推進機関」であり、それ以外の機能は必要ないというわけです。大学をこうした政策遂行機関に完全に変えてしまうのに最も必要とされているのが、「学長に従う大学(教員)」と「政府に従う学長」の組み合わせです。わたくしたちが何度も聞かされる「学長のリーダーシップ」の意味内容はまさにこれです。「日本の大学にはびこる “民主主義幻想”、その最たるものが学長選挙だ。」、(こうした大学の)「機動力奪う “民主主義”」を変えなければ未来はない。(『日本経済新聞』特集「大学は変われる か ―「決める組織へ」(1)、(2)2013年8月20日~)などという目を疑うようなキャンペーンも大々的に張られています。

大学自治こそ大学のガバナンスに相応しい

 しかし、ちょっと待って下さい。大学におけるリーダーシップとは、教育・研究の現場からの発信によるリーダーシップが主体なのであり、学長はそれを見守るべき存在なのではないでしょうか。教育・研究の環境変化・社会的ニーズの変化をキャッチする一番のアンテナをもっているのも教育・研究の現場であり、学長にはそれはないとはっきり言えるのではないでしょうか。この明確な理由から、「自治」こそが大学にふさわしいガバナンスのあり方だとされてきたのです。「学問の自由」の「制度的保障」としての「大学の自治」が全世界の大学のガバナンスとして認められてきた理由です。ところが現在の「学長のリーダーシップ・キャンペーン」はこの根幹を突き崩してしまうことを明確に目標にしています。その具体的な攻撃目標が、「学長」と「教授会」なのです。

教授会の審議会化は「大学自治」の破壊

 文部科学省の諮問機関である中央教育審議会(現会長は安西祐一郎氏=現京都大学総長選考会議議長)が12月24日にまとめた「大学のガバナンス改革の推進について」(審議まとめ)は、興味深い論理を展開しています。
 曰く「国立大学の法人化以降、国立大学の教員は公務員ではない。従って以前に教授会の自治(従って大学の自治)を規定していた教育公務員特例法は現在の国立大学法人には適用されない。つまり教授会の自治など今は法的根拠がないのだ。従って、この際(これを奇貨として)、教授会の役割を本来の審議機関としての機能に限定し、決定機関としての学長の役割を明記するために学校教育法を改正し、教授会自治の法的根拠を完璧に廃止すべきだ。」等々。
 国立大学法人法に教授会に関する規定がない現状を逆手にとって教授会の自治(従って大学の自治)そのものをなくしてしまおうというまったく転倒した論理です。

「教授会自治廃止」と本質は変わらない「京大組織改革 ( 案)」

 現在提起されている「京都大学組織改革(案)」は、6 月における総長側の最初の提案から、複数部局連名による「対案」の提出を経て、修正を繰り返し、相当妥協的とも言える「折衷案」になってはいますが、「学域・学系の設置および教育研究組織(部局)からの人事・定員管理機能の分離」すなわち「部局教授会自治の廃止」という本質は何も変わっていません。つまりこれは今国会に提出される予定である、中央教育審議会による学校教育法改正による「教授会自治の廃止」を先取りするものなのです。

教特法の精神を学内規則に ( 長尾元総長 )

 他方で、法人化当時の総長であった長尾元総長は、当時「京都大学の法人化についての総長所感」(2003 年 8 月京大広報号外)を発表し、その中の 9項目にわたる基本的方向の提言で、特に次のことを強調しておられました。
①学問の自由を守るために教育公務員特例法の精神(つまり教授会の自治)を学内規則に反映させること
②学長のリーダーシップを各部局の意思との間で調和させるために、部局長会議を重視し、役員会と部局長会議の意思疎通がはかられるよう工夫すること
③自由意思に基づく基礎的・萌芽的研究が安定的に行なわれるように、研究分野にかかわらず一定水準の基盤的研究費を保証する一方、大学として支持すべき分野に弾力的に研究費を配分できる方法を工夫すること
④経営協議会や役員、あるいは職員などへの学外者の登用については、真に京都大学のために献身してくれる人を選ぶこと、等々です。

学校教育法改正先取りの「京大組織改革 ( 案 )」

 これらの内の幾つもの点が、現在松本総長の下でまったく対立する政策にとって代わられています。
 国際高等教育院の設置が、「グローバル人「京都大学組織改革(案)」の本質を問う? 総長選挙廃止問題と安倍内閣大学改革② ?材育成計画」を先取りしたものであったのと同様に、「京都大学組織改革(案)」は学校教育法改正による「教授会自治の廃止」を先取りするものであり、これと「総長選挙制度の廃止」を組み合わせれば、所期の目標である政府による大学の従属機関化は完成します。
 「京都大学組織改革(案)」を「国際高等教育院の設置」と同じ経過にしていいのでしょうか?「大学改革支援型補助金」の獲得のために大学の自治の本質を売り渡すことは将来にわたり大きな禍根を残すことになるでしょう。いま必要なことは、政府・国会や国民の広範な層を巻き込んだ大学と社会についての広範な議論の展開なのです。


京都大学一方的賃下げ無効・未払い賃金請求事件、第4回口頭弁論

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース,[第24号]発行:2014年3月4日

京都大学一方的賃下げ無効・未払い賃金請求事件

第4回口頭弁論

2014 年 3 月 14 日(金)15:00~ 京都地裁第 101 号法廷
第4回口頭弁論報告会 15:30~ 弁護士会館地下ホール

 賃金請求訴訟の口頭弁論は第 4 回目を迎えます。毎回、大勢の方に傍聴参加をいただきますことに、御礼申し上げます。被告の京大法人は、賃下げの根拠を十分に示すことができず、原告団優位に訴訟が進んでいます。この勢いを維持し、より優勢に訴訟を進めていくためにも、引き続き多数の傍聴参加をお願いするところです。
 なお、傍聴を希望される方の数が傍聴席数を超える場合には、当日の混乱を避けるため、原告、組合員、関係団体を優先いたします。また、予めご連絡をいただいた方も配慮いたします。その旨ご了承ください。第 4 回口頭弁論の傍聴を希望される方は、下記 URL のフォームよりお申し込みください。https://www.kyodai-union.gr.jp/sosho

賃金訴訟の応援歌「声を束ねて」をリリース! 京大職組書記局の佐藤大介さんが作詞作曲「♪~さあ ともに声を上げよう。沈黙は同意とみなされる~ 」是非ご試聴ください!
http://youtu.be/YsZBsPhh_Ql


2014年02月25日

京都大学職員組合、総長選挙廃止問題と安部内閣大学改革①

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース(2014年2月か21日)

総長選挙廃止問題と安部内閣大学改革①

〇総長選挙制度改悪の狙いを頓挫させている
学内外の世

 昨年12月、京大総長選考会議(学外委員6人、学内委員 6 人。計 12 人。)が、総長選挙廃止と総長再任に繋がる総長選考方法・任期について検討していることが判明しました。京大職組は大学の自治を守る立場から、民主的な総長選挙の存続を求める運動に取り組みました。12 月 11 日から平日の毎日、朝・昼の宣伝行動を行い、同時に民主的な総長選挙の存続を求める賛同ネット署名をよびかけ、12 月24 日には 200 人規模の緊急集会を開催。ネット署名は 4 日間で 1065 筆が集まり、12 月25 日に組合が総長選考会議宛に提出。世論を反映して総長選考会議は 12 月には総長選挙制度を改悪することを思いとどまりました。秘密裏に進められていた総長選考会議の議論についても、①2010 年から公開されていなかった議事録の公開(12 月 27 日)や、②総長選考会議での議論を、学内委員選出母体である 教育研究評議会に説明し意見を聴取することとする(1 月)などの措置がとられ、一部公開が実現するに至っています。

〇なお続く総長選考会議の総長選挙制度検討
 しかし、総長選考会議は今も、「総長の任期、再任の可否」や「候補者に関する学内構成員の意向を確認する方法」について検討を進めています(総長選考会議議事録)。総長任期を延長して投票を廃止するなどは現総長の独裁に繋がるとして、学内はもちろん、卒業生をはじめとして学外からも強い批判がわき起こっているものです。

〇背景は安倍内閣による産業界のための大学改革
 なぜ、総長選考会議はこれだけの強い批判があるにもかかわらず、検討を続けているのでしょうか。背景は、安倍内閣のもとで 2013年 1 月に発足した産業競争力会議が日本の「産業競争力を強化することが重要」としてそのために大学での教育研究と人材養成を強く要請していることにあり、体制として学長のリーダーシップ強化を求めていることにあります。次号に続く…


2014年02月07日

京都大学一方的賃下げ無効・未払い賃金請求事件、第三回口頭弁論報告

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース(2014年2月4日)

第三回口頭弁論報告
-京都大学一方的賃下げ無効・未払い賃金請求事件-

京大職組 副委員長 髙山 佳奈子
(法科大学院教授)

 京大賃金訴訟では第 2 回・第 3 回の口頭弁論が 2013年11月19日と 2014年1月14日に京都地裁で行われ、いずれの回も最大の 101 号法廷の傍聴席をほぼ原告の支援者で埋めることができ、終了後の報告集会にも多数のご参加をいただきました。この2 回を通じ、被告側からは第 1 準備書面、原告側からは第 2 準備書面の提出がありました。
 本件における被告の第1の主張は、原告が賃下げに同意しているという、他に類を見ない内容となっています。
 第 2 の主張は他大学にも共通の、賃下げに合理性があるとするものです。しかし京大の場合、財政面では 32億円の目的積立金と 216億円の積立金があり、代償措置を実施しないことを団体交渉の場で明言し、賃金減額率の算定に関する資料も非公開にしていました。それにもかかわらず、被告側は準備書面で、財源がなかった、代償措置を行った、教職員への周知徹底を図った、等の事実に反する主張を並べています。
 虚偽であることがすぐにわかる内容を除くと、被告の実質的な主張は、「国からの交付金を得ている以上、国の方針に従わないことは不可能」とする点のみになっています。これは、法人化以前にすらありえなかった、大学の自治の否定そのものです。そもそも、国が出した文書自体、賃下げを強制する効力はなく、労使の自主的な判断を求めていたにすぎません。事実、京大では看護師などの医療職の賃下げは全く行われませんでした。賃下げを実施しなかった場合に何らかの制裁が予定されたという事実はありません。早大・慶大のような大規模私大は国から年 100 億円近い補助金を得ていますが、賃金削減を求められていませんし、会計検査院は 2013年10月31日の報告書で、2012年度に復興財源とされたもののうち 1兆 3000億円が被災地と直接関係のない予算であったと指摘しています。私たち原告は、賃下げの合理性を裏付ける事実が皆無であることを引き続き主張していきます。
 次回、第 4 回口頭弁論は、3 月 14 日(金)15 時から、同じく京都地裁 101 号法廷にて行われます。みなさまの応援をどうぞよろしくお願いします。


京都大学職員組合、5年雇止めの撤廃を!

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース(2014年2月4日)

5年雇止めの撤廃を!

 京都大学では、2005 年 4 月以降に採用された時間雇用教職員について、雇用通算期間の上限を5年までとする規則が適用されています。職員組合は、この制度の導入以前から一貫して 5年雇止めに反対し、制度撤廃を求めています。この運動が 2009年に高まりを見せ、2010 年には、部局が特に必要と認める場合には、5年を超えて採用することができる例外制度が導入されました。以後、各部局において適宜例外措置がとられ、5年を超えて勤務する時間雇用教職員の方も少なからず見られるようになりました。

 2012年10月に労働契約法の改正により、有期雇用契約の反復更新により通算雇用期間が 5年を越えた場合、労働者の申込みにより無期労働契約への転換がみとめられるようになりました。これは「雇用の安定」を主旨とするものですが、法改正施行後まもなく、一部の大手私立大学で、非常勤講師の雇用期限を突如 5年までに制限する脱法行為がなされ、労使紛争が生じています。
 京都大学においても、部局から共通事務部に配置転換した後に「例外措置はとらない」と通告された事案が報告され、職員組合が対応に乗り出した事例もありました。
 これまでも繰り返し述べてきたように、仕事も継続的にあり、雇う予算がありながら、その業務に精通した時間雇用教職員の方を 5年で退職させてしまうルールは不合理で、京都大学にとって大きな損失です。
 また、5 年雇止めを正当化する理由として「5 年期限を明示して採用しており、1 年前には延長がないことも通知しているので、雇用継続の期待も生じず、次の就職の準備もできる」という話を耳にします。全く現在の雇用情勢を無視したナンセンスな言い分です。ならば、仮に常勤職員が 1 年前に雇用終了を予告されていたとして、「すぐに今と同じだけの収入が得られる職を見つけられる」と言える人がどれほどいるのでしょうか? 
 常勤職員、非常勤職員を問わず、雇用が断たれることは、生活の術も断たれるということです。この当たり前で、かつ深刻な問題に京都大学は良識をもって正面から向き合うべきです。延長すべきは総長の任期ではなく、時間雇用教職員の雇用期間です。


2014年01月28日

京都大学職員組合、「京都大学総長選考会議、公開させる」

全大教
 ∟●京都大学職員組合「京都大学総長選考会議、公開させる」

京大職組が取り組んでいる総長選挙制度問題、京大職組の運動のもと、世論を背景にした教員層の良識の発揮で、総長選考会議が非公開にしていたドアを開けさせました。そのドキュメントを、職員組合ニュース(2014.1.27)に掲載しています。ご参照ください。京大職組は引き続きこの問題に取り組んでいきます。全国の全大教加盟の単組のみなさんの支援に感謝致します。

京都大学職員組合ニュース(2014年1月27日)は以下。
http://kikanshi.kyodai-union.gr.jp/kumiai_news/13/140127_21th.pdf


2014年01月27日

京都大学職員組合、署名中間集約分を提出・署名活動は継続/「(続)民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール」

京都大学職員組合
 ∟●署名中間集約分を提出・署名活動は継続/「(続)民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール」

署名中間集約分を提出・署名活動は継続/「(続)民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール」

京都大学職員組合は、1/21に「(続)民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール」の賛同署名の中間集約分705筆を、京大法人の担当部署に提出しました。

署名提出時の写真撮影を希望しましたが、法人側の承諾を得られませんでした。
替わりに高山副委員長が提出シーンのイラスト↓を描きましたのでご紹介します。


部局の教授会などから、伝え聞くところによると1/17に総長選考会議が開催され、今後、議論はオープンに行われる方向になったとのことです。

また、1/21の教育研究評議会において、教育研究組織改革ついての検討が行われ、大学執行部修正案の承認について動議が提案され、採決が行われたとのこと。
その結果、教育研究組織改革の大学執行部修正案は、規定数の賛成が得られず、1/21の教育研究評議会では了承されなかったそうです。

みなさんが、寄せてくださった署名をはじめとする、学内外の世論が、京都大学を大きく動かし始めています。本当にありがとうございます。

しかし、まだ12/25の総長選考会議の議事録も、まだ非公開のままです。
総長選考会議による強行採決が可能な状況はまだ変わっていません。

京都大学職員組合は、総長選考方法が従来の学内予備投票、学内意向投票が維持されることが確実になるまで、運動を継続します。

第2次集約を1/23までとしていた「(続)民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール」
賛同署名↓についても、延長、継続します。
    https://ssl.form-mailer.jp/fms/6eb563e8281879
    https://ssl.form-mailer.jp/fms/bec9dbef281834

引き続きのご協力をよろしくお願いいたします。


2014年01月11日

京都大学職員組合、「(続)民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール」とネット署名(第一次集約1月15日 学外者もOK)

京都大学職員組合
 ∟●(続)民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピールとネット署名

ネット署名サイト
https://ssl.form-mailer.jp/fms/6eb563e8281879

2014年1月10日

京都大学職員組合

(続)民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール

 現在、京都大学総長選考会議(学外委員6名、学内委員6名で構成)において重大な事態が進行しています。昨年(2013年)12月25日の総長選考会議では、教職員の総長選挙廃止反対の大きな世論が沸き起こる中(反対署名はわずか4日間で1065筆に達しました)、会議は学外開催となり、総長選挙廃止の決定は行なわれませんでした。しかし教職員に対して非公開の秘密審議でいつでも強行決定される可能性のある状態は依然変わっていません。昨年12月27日夕刻、京都大学総長選考会議の議事録が3年前の2010年度から昨年11月20日の会議分まで初めて公開されました。それによれば、昨年11月20日の総長選考会議において、「現行規程における総長選考方式である『学内予備投票』及び『学内意向投票』、並びに『総長任期』等に係る在り方について、意見交換が行われ」、「次回【12月25日の意】は集約した意見をもとに検討することとなった」とされています。しかし、それ以外は、次回の会議日程さえ、なおすべて非公開の状態が続いています。

 なぜ会議日程さえ秘密にされるのでしょうか? また現段階において個人名など秘密にされるべき事柄は何もなく、反対に、論議されているのは、総長選考制度の在り方という京都大学全構成員の諸権利に係る、到底秘密にされるべきでない事項なのです。それにもかかわらず、総長選考会議の議事運営は、このように非公開とされ、京都大学の運営に最高度に重要な協議機関であるはずの部局長会議や教育研究評議会にも、また各教授会にも正式には報告されていません。京都大学総長選考会議は、秘密にしてはならないことを秘密にしている極めて異常な状態にあります。そして総長は、1月7日の部局長会議において、「すべては総長選考会議が決めることだ」と居直りの発言をしました。

 京都大学の「基本理念」では、その運営について「人権を尊重した運営を行うとともに、社会的な説明責任に応える」とし、京都大学第1期中期目標・計画は、「管理運営に関する情報を公開し、国民に支えられる大学として国民や社会に対する説明責任を果たす」と明記しています。総長選考会議のこの間の姿勢は、京都大学運営の基本原則への重大な違背行為です。

 京都大学全体の運営体制に直接決定的な影響を与えるこの総長選考会議の議事運営において、公開されるべきことが公開されず、秘匿されるべきでないことが秘匿されている現状をわたくしたちは決して見過ごすことはできません。そしてこの、わずか数名の事実上の総長指名による総長選考会議が、学生・教職員・社会に対する説明責任を無視し、わたくしたち5000名を超える京都大学教職員が自ら京都大学の代表を選出する権利を剥奪しようとすることを、わたくしたちは見過ごすことはできません。

 わたくしたちは以下のことを要求します。

(1) 総長選考会議は、議事運営のうち何ら秘密にされる必要がない、総長選考の制度に関する議事について、直ちに公開の運営とし、部局長会議、教育研究評議会、各教授会をはじめとして広範な京都大学教職員の意見を聞き、議論をする機会を設けること。

(2) 総長選考会議は、総長選考における教職員の学内予備投票および学内意向投票の廃止や、総長任期の延長などの決定を絶対に行なわないこと。

以上

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
★今回のアピール賛同署名について
 12/25の総長選考会議においては、職員組合の署名活動をはじめとする学内の各種とりくみにより、総長選学内予備投票・学内意向投票の廃止・総長再任制の決定はされませんでした。しかし、依然とその可能性はなくなったわけではなく、1月中にも強行の動きがうかがえます。

 前回の署名(2013/12/19-12/24)は、緊急かつ極めて短い期間での呼びかけだったため署名集約も困難で、署名意志がありながら署名できなかった方もおられたと思います。今回の賛同署名では前回に賛同してくださった方はもちろんのこと、前回賛同できなかった方にも署名をお願いします。
 また、前回のアピール賛同署名では、学外の方からも多数お声をお寄せいただきましたので、今回は学外の方も署名できる体裁に改めました。
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★ご注意事項
*本署名の第1次集約は、1月15日(水)とします。
*賛同者の名簿は総長選考会議に提出いたします。
*メール・アドレスはこの署名運動にかかわる情報提供に限り使用し、他の目的には用いません。
*お寄せいただいたメッセージは、匿名で京都大学職員組合の機関紙やWebサイトなどに転載させていただく場合があります。転載不可の場合はその旨をメッセージ欄にお書き添えください。
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★取扱団体:京都大学職員組合
〒606-8317 京都市左京区吉田本町Tel:075-761-8916
Mail:office[at]adm.kyodai-union.org ([at]は@に変換してください)


2013年12月25日

京大の自治が死ぬ!総長選挙の教職員投票廃止か ~京都大学教職員緊急集会

IWJ Independent Web Journal

 京都大学の総長選挙において、学内教職員による意向投票を廃止して、京都大学総長選考会議(学内6名・学外6名で構成)だけで総長を選出し、またその任期を、現在の6年からさらに再任できるようにするという議題が、総長選考会議で検討されていると判明した。これを受け、12月24日(火)、「教職員意向投票廃止に反対する京都大学教職員緊急集会」が、京大時計台前広場で行われた。

2013年12月24日

京大職組、民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール

京大職組
 ∟●民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール

2013年12月20日
京都大学職員組合中央執行委員会

民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール

 京都大学職員組合が京都大学総長選考会議(学内委員6名、学外委員6名によって構成)の学内委員複数名から確認したところによると、先日開催された総長選考会議において総長選における学内教職員による意向投票を今後廃止し、総長選考会議のみの議決によって京都大学総長を選出すること及び総長の任期を現在の6年からさらに再任できるようにするという議題が提出されたということである。そして、なんと来週12月25日(水)13:00~15:00に開かれる次回総長選考会議においてこの議題についての採決を強行しようとしていることが判明した。この新選出方法によって現総長の松本紘氏がさらに再任され総長を続けることも可能になるという。

 言うまでもなくこれらのことは学内の他のどんな会議にも、部局長会議にも、教育研究評議会にも、各教授会にも、一切議題として出たことはない。すなわち学外委員6名、学内委員6名のわずか12人の総長指名委員が京都大学の5千名を超える教職員の自ら京都大学の代表を選出する権利をひそかに一挙に奪ってしまおうとしているのである。

 これは京都大学全教職員を愚弄するものである。もしこのようなことが決定されるならばわたくしたちがその胸に抱いているような京都大学はその後はもはや存在しなくなるだろう。京都大学の自治、民主主義のないところに京都大学の自主性すなわち創造力の源泉は存在しなくなるだろう。京都大学総長選考会議が総長選挙における教職員の投票権剥奪の暴挙に出ることをわたくしたちは絶対に容認しない。松本 紘 総長は、「産業競争力会議」、文部科学省の中央教育審議会による虚構の「学長のリーダーシップ」キャンペーンからいい加減に目を覚ますべきだ! それは制度としての大学をなくしてしまう暴挙以外の何ものでもない。

 職員組合(※署名では「私たち」となります)は、12月25日の総長選考会議において
(1) 総長選挙の教職員意向投票廃止を強行しないこと、
(2) 総長選考会議が直ちにその議事経過を公開すること、
(3) 京都大学全教職員に対し意見を聞く場を設定する

ことを求める。

京大、総長選考の教職員投票廃止検討 「学風に反する」声も印刷用画面を開く

京都新聞(2013年12月21日)

 京都大の総長を決めるのに最も重要な判断材料となる教職員による投票の廃止を、学内外の委員でつくる「総長選考会議」が検討していることが20日分かった。学内からは「『自由の学風』に反する」と反対する声が上がっている。

 国立大は2004年の法人化以降、学内の教員や学外の有識者の委員でつくる選考会議が学長(総長)を選んでいる。京大などほとんどの大学は法人化前のやり方を踏襲し、教職員による投票結果を参考に選出しているが、東北大など一部は投票を廃止している。

 大学関係者によると、11月に開かれた京大の総長選考会議で教職員による投票の廃止が提案された。学外委員の賛同を集めており、早ければ年内に開かれる会議で廃止が決定される可能性があるという。京大の松本紘総長の任期は来年9月末で、それまでに次期総長が決まる。

 京都大職員組合はこの動きに反発し、24日に学内で反対集会を開く。執行委員長を務める西牟田祐二・経済学研究科教授は「教職員による投票がなければ、京大に民主主義は存在し得ない」と話す。

 教職員による投票をめぐっては、「大学運営に能力のある人が選ばれる保証がない」などとして廃止すべきとの意見がある一方、大学自治の観点から残すべきとの声も根強い。大阪市立大は、橋下徹大阪市長の意向を受けて廃止を決めた。

[関連記事](京都新聞(2013年09月22日)

39公立大が教員投票制廃止
学長選考、制度維持で賛否印刷用画面を開く

 地方自治体が設立した公立大のうち法人運営に移行した65校の過半数に当たる39校が、教員らの投票を経て学長を決める「意向投票」制度を廃止していることが21日、公立大学協会のアンケートで分かった。

 国立大の大半が学内自治を尊重して投票制を維持しているのとは対照的。投票廃止で学長を柔軟に選べるメリットがある一方、大学の民主的伝統として残すべきだとの声もあり、賛否は分かれている。

 アンケートは8月、公立大83校のうち法人化した65校を対象に行った。学長選考で意向投票を実施しているのは京都府立大など24校で、39校が実施していない。2校は「検討中」などとした。(共同通信)


2013年12月20日

京大職組、総長選挙にかかる緊急アピール 「京大法人、総長選挙廃止を強行か!? 京大の自治・民主主義破壊を許さない」

京大職組
 ∟●総長選挙にかかる緊急アピール

総長選挙にかかる緊急アピール

京大法人、総長選考会議(12/25)で総長選挙廃止を強行か!?
京大の自治・民主主義破壊を許さない
教職員の力でSTOPを!

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1.総長選考会議は総長選挙廃止を強行するな!
2.総長選考会議は直ちに議事経過を公開すること!
3.京大全教職員の意見を聞く場を設定すること!
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緊急アピール

2013年12月19日

京都大学職員組合中央執行委員会

〇教職員の陰に隠れて少数で総長選挙廃止強行を狙う
 京都大学職員組合が京都大学総長選考会議(学内委員6名、学外委員6名によって構成)の学内委員複数名から確認したところによると、先日開催された総長選考会議において総長選における学内教職員による意向投票を今後廃止し、総長選考会議のみの議決によって京都大学総長を選出すること及び総長の任期を現在の6年からさらに延長するという議題が提出されたということである。そしてさらに来週12月25日(水)13:00~15:00に開かれる次回総長選考会議においてこの議題についての採決を強行しようとしていることが判明した。この新選出方法によって現総長の松本紘氏がさらに任期を延長して総長を続けることも可能になるという。

〇部局長会議や教授会等学内の他の会議に一切諮られていない
―選挙権を有する教職員5千名以上の権利を密かに一挙に奪うもの―
 言うまでもなくこれらのことは学内の他のどんな会議にも、部局長会議にも、教育研究評議会にも、各教授会にも、一切議題として出たことはない。すなわち学外委員6名、学内委員6名のわずか12人の総長指名委員が京都大学の5千名を超える教職員の自ら京都大学の代表を選出する権利をひそかに一挙に奪ってしまおうとしているのである。

〇大学の自治、民主主義破壊の暴挙
―京大法人は総長選挙廃止を強行してはならない―
 これは京都大学全教職員を愚弄するものである。もしこのようなことが決定されるならばわたくしたちがその胸に抱いているような京都大学はその後はもはや存在しなくなるだろう。京都大学の自治、民主主義のないところに京都大学の自主性すなわち創造力の源泉は存在しなくなるだろう。京都大学総長選考会議が総長選挙廃止の暴挙に出ることをわたくしたちは絶対に容認しない。松本紘総長は、「産業競争力会議」、文部科学省の中央教育審議会による虚構の「学長のリーダーシップ」キャンペーンからいい加減に目を覚まさなければならない。それは制度としての大学をなくしてしまう暴挙以外の何ものでもない。

〇総長選考会議議事の公開、全教職員意見聴取の場の設定を要求する
 京都大学職員組合は、12月25日総長選考会議で少数者による総長選挙廃止を強行しないこと、総長選考会議が直ちにその議事経過を公開すること、京都大学全教職員に対し意見を聞く場を設定することを求める。

〇京大法人に総長選挙廃止をするなと要求しよう!
―12月24日京大職組昼休み緊急集会(時計台前)に参加を―
 京都大学の全教職員のみなさん、京大法人、京都大学総長に、総長選考会議に総長選挙廃止強行をやめるよう要求しましょう。部局長会議、教授会、さらに全学で議論を行いましょう。これを要求するために来る12月24日(火)昼(12:00-13:00)に時計台前広場で京都大学教職員の緊急集会を開催します。京都大学職員組合の組合員の皆様だけでなく、広くこの問題に関心を持つあらゆる京都大学構成員の皆様にお集まりを呼びかけます。


2013年12月12日

京都大学職組、賃金請求訴訟 第2回口頭弁論

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース2013年度第19号

賃下げには一片の道理もない
賃金請求訴訟 第2回口頭弁論  11/19 京都地裁101 号法廷

 京大法人による昨年8月からの賃下げについて、その無効を確認し未払い賃金を請求する裁判の第2回口頭弁論は、11月19日(火)午後2時から京都地裁で行われました。

○支払能力に口をつむぐ責任放棄の京大法人
 法人は提訴に対し、反対しているのは高山原告団長だけであるとし、他の原告らを含む教職員全ては異議を申し立てなかったので賃下げに同意している(「黙示の同意」)という驚くべき主張を、11月12日提出の第1準備書面においても述べています。賃下げの理由についても、東日本大震災復興に必要、運営費交付金減額という主要2点の強調であり、支払い能力については一言も述べないという責任放棄の態度をとっています。

○賃下げではなく「物件費の配分見直し」を検討していた
 口頭弁論は、原告の高山副委員長と西牟田委員長が陳述を行い、弁護団が京大法人に求釈明書への回答を求めたもの。傍聴には約60人が参加しました。
 高山原告団長は要旨、賃下げによる減収は教授層で50万円にも達していること、法人は当初、昨年8月以降についても賃下げでなく「物件費の配分見直し」を検討していたこと、賃下げを決定した7月24日の経営協議会はメール持ち回り審議であったこと、会計検査院の報告書(10月31日)によって復興予算の被災地以外への支出が公に明らかになったこと、法人が8回に及ぶ京大職組との団体交渉でも十分な説明や一枚の資料の提示もなく不誠実に終始したこと等を述べて、賃下げに一片の道理もないことを明らかにし、法人に対し労働法の遵守と教職員への誠実を強く求めました。

○京大法人には膨大な利益剰余金がある
 西牟田委員長も、「黙示の同意」論は教職員を愚弄するものだとして厳しく糾弾しました。また、京大の財源についても、平成24年度末で膨大な利益剰余金の残高があることを指摘し、財源問題での徹底した審理を裁判所に求めました。

○「傍聴者が多いから具体的な事は言えない」
 法廷において法人側は、「傍聴者が多い中では具体的なことは言えない」と信じられない答弁をし、「答弁書と準備書面記載のとおりなので、意見があれば次回に答える」との 返答のみでした。

 次回口頭弁論は1月14日(火)午後4時、京都地裁101号法廷での開催です。


2013年10月01日

京大職組、55歳超教職員の昇給抑制を実施しないことを求める要求書

京大職組
 ∟●55歳超教職員の昇給抑制を実施しないことを求める要求書

55歳超教職員の昇給抑制を実施しないことを求める要求書

2013年9月26日

京都大学総長 松本  紘 殿

京都大学職員組合
中央執行委員長 西牟田祐二

55歳超教職員の昇給抑制を実施しないことを求める要求書

 京都大学職員組合は、人事院勧告での「55歳を超える国家公務員の昇給抑制」を本学教職員にもあてはめ、労使の合意形成の努力をすることもなく、一方的に2014年1月1日付けで実施することを9月25日の本学役員会で決定したことに対して異議を表明し、「強行実施」をしないことを強く求めます。
 
 特に教員の雇用開始年齢は高く、大学院修了後、各種研究員等を経てようやく常勤教員に雇用されることが一般的な状況となっており、生涯賃金等への影響も大きいものがあります。

 国家公務員との給与水準比では教職員の賃金が低いことを大学法人自ら公表しており、私立大学と比べても低い賃金水準にあるにもかかわらず、何の問題意識もなく、このような昇給抑制をそのまま実施することには反対します。教育・研究を支える人材確保をさらに困難にする措置であり、この観点からも撤回を強く求めます。

以上

2013年07月20日

京大職組、「国の違法・不当は認められない」 未払い賃金1183万円の支払を求める訴訟

全大教
 ∟●【京大職組】未払賃金請求訴訟・高山副委員長インタビュー

国の違法・不当は認められない

京都大学職員組合中央執行副委員長 高山佳奈子

 京都大学の教職員96人は先月11日、国立大学法人・京都大学(松本紘総長)による一方的賃下げは違法であるとして、未払い賃金計1183万円の支払いを求める訴訟を京都地裁に起こしました。原告で京大職組中央執行副委員長の高山佳奈子・同大法科大学院教授に裁判の意義について聞きました。

 労働のルールに従わない賃下げ

 私たちの基本的な主張というのは合理的根拠のない賃下げは許せないという当たり前のことです。
 国立大学の教職員は、2004年に大学が法人化されたことによって、従来の国家公務員法制ではなく民間のの労働法制が適用されることになりました。賃金労働条件は労使の交渉によって決定することになりました。ところが、京都大学は、国の「要請」を理由として、教職員組合や職員となんら合意することもなく、京大病院の看護師さんなど一部の職を除いて常勤教職員の賃下げを昨年8月1日から実施してきたのです。国は国立大学法人の労働条件・労使関係に介入することは許されません。大学としても国の「要請」はあくまでも「お願い」であり、義務でないため、拒否することは可能でした。労働者の最も基本的な労働のルールに従わない形の賃下げは、大学においても認めるわけにはいきません。

 景気回復に逆行するもの

 国による賃下げ「要請」は国家公務員の賃下げ強行を契機としたものですが、この国家公務員の賃下げ強行そのものが違法・不当であり、景気回復に逆行する措置であり、容認できません。
 国は昨年2月、東日本大震災復興を口実」として国家公務員の給与を引き下げる「臨時特例法」を成立させ、同年4月から賃下げを強行しました。人事院総裁から「遺憾の意」が表明されるほど大幅な削減率でした。人事院勧告にもとづかない賃下げは労働者の団体交渉権などを定めた憲法28条や国家公務員法にも違反しています。
 景気の問題で言えば、国家公務員をはじめ公務員や国立大学職員の数は多いですし、賃金を下げれば経済全体でみると負のインパクトになると思います。政府は景気を高揚させようと言っているのに自ら足を引っ張ることになります。景気回復に向けてがんばつている民間の人たちの努力を無にする政策です。
 昔は公務員部門をたたけば人気が上がるという政治家がいましたが、国民の反発も少しずつ生まれています。国家公務員の賃下げ反対裁判をたたかっている人が路上で演説をすると街頭の反応がだんだん良くなっていると聞きました。

 国立大学の役割を守る

 今回の国の措置は、「裕福ではないけれど意欲と能力がある人が本当に好きな勉強が出来る」という国立大学の本来のあり方を変えてしまうものである、という点を強調したいと思います。
 国による賃下げ「要請」の狙いは、「国家公務員の給与削減か同等の給与削減相当額を算定し、運営交付金等から減額をされたい」との安住前財務大臣の発言(昨年5月)にあるように国が国立大学法人に拠出している基礎的基盤的経費である運営交付金を削減することにありました。
 そもそも運営交付金は、国立大学法人の自主的、自立運営に差し障りのないよう、国が公費にかえて大学法人に支出するもので、法人化の際の国会審議でT運営交付金等の算定にあたっては、…法人化前の公費投入額を十分確保し、必要な運営費交付金等を措置するよう努めること」と衆参の付帯決議がつけられるなど、国の一時的な政策による安易な減額は戒められていました。今回の運営費交付金の削減は国の責務を放棄したものです。
 これによって大学はますます学費値上げをせざるを得なくなります。
 そもそも、欧米では授業料が無料であるところが多い。ところが日本の現状は、OECD加盟国の中で国内総生産に占める高等教育予算の割合は非常に低く、最低ランクです。さらに削減していこうというのが今回の措置です。客観的には「国立大学つぶし」に近いことが行われています。アジアの国々が教育に力を入れて人材を育成しているときに日本は先細りになってしまう。将来の国を支える人々が育てられるのかという危機が迫っています。亡国の施策と言わざるを得ません。

 100%真理はわれわれに

 全国の109の国公立大学・国立研究機関、国立高専の教職員組合で構成する全大協(全国大学高専教職員組合)は昨年フ月、史上初めて全国的な裁判闘争を行うことを決定しました。現在、京都大学をはじめ、全国7組合が提訴しています。検討しているところも含めると今後10組合で訴訟が展開されることになります。
 京都大学では7月末に原告をさらに追加し、100人以上を組織することにしています。提訴の記者会見以後、様々な労働組合から激励のメッセージをいただきました。提訴するだけでこれほどの反応があるのかと驚いています。
 真理は100%私たちの側にあり、絶対負けません。全国の大学、民間の労働者、そして国民と共同してたたかっていきたいと思います。


2013年07月04日

京大職組、提訴にあたっての声明

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース2012年度第11号

提訴にあたっての声明

2013年6月17日
京都大学職員組合 中央執行委員会

○ご協力に御礼申し上げます
 京都大学職員組合の組合員計 96 名は、6 月 11 日 15 時半に、国立大学法人京都大学に対し、未払い賃金約 1,200 万円を請求する訴訟を京都地裁に提起しました。第 1 次原告団にご参加くださった組合員のみなさま、支部での運動を率先して進めてくださった組合員のみなさまに心から御礼申し上げます。
○労働法が認めていない高度の必要性の無い賃下げ
 国立大学法人の教職員は公務員ではなく、民間と同じ労働法の適用を受けます。公務員の賃下げが行われたとしても、それと同じ措置を受ける法律の根拠はありません。労働法の基本原則によれば、高度の必要性がない限り、賃下げは許されません。
 京都大学では、外部資金を多く獲得できているため、収入のうち、国からの交付金に依存する率は半分以下になっています。交付金が削減されても、教職員の給料を支払う財政的能力のあることを、法人側は団体交渉で認めています。財政的余裕があるのに賃下げを行うことは、法律に反するのです。
○不明瞭な賃金削減額の使途
 また、法人側は、復興財源確保を賃下げの理由としていますが、実際には、賃下げ分の金額がどこに行ったのかは不明です。しかも、2012 年度と 2013 年度では、国からの交付金の削減額は同じなのに、2013 年度の賃下げ額は 2012 年度の 1.5 倍になりました。このような不合理な措置が許されるはずがありません。
○社会的にも疑問の声が高まる賃金引き下げ
 OECD の調査によれば、日本は GDP に占める高等教育予算の割合が、主要国の中で最低ランクに位置しています。学生の経済的負担も多大なものとなっています。さらに、京都大学を含む国立大学では、私立大学よりはるかに低い賃金で働いている教職員が少なくありません。政府の進める景気浮揚策から考えても、公務員や国立大学の賃下げにはその足を引っ張る効果しかなく、社会的にも疑問の声が高まってきています。
○学生、教職員にとってより良い京都大学を作るために
 法人化によって政府から切り離された国立大学は、毎年考えられないほどの規模で国からの交付金の削減を受け続けています。存続するため、運営における独自の切り詰めを余儀なくされています。国立大学がこのまま政府の要請に唯々諾々と従い続ければ、日本の産業を支え、将来の人材を育成するべき教育・研究機関としての国立大学という制度自体が消滅するでしょう。私たちはこの訴訟を通じて、国立大学のあり方について社会に問題を提起したいと考えます。
 良質な教育環境、高水準の研究、安全な医療を提供するためには、人材の流出しない勤務条件を保障し、大学運営を支える教職員が安心して働けるよう、賃金水準を維持・改善することが大学法人の不可欠の責務です。今回の訴訟提起は、より良い京都大学を作っていく取組みです。また、教職員の賃金引き上げをはじめとする労働条件改善は、団体交渉で実現を迫ります。
 私たちの生活と、労働法の基本原則、そして、国立大学の将来を守るために、1 人でも多くの方々が訴訟に参加してくださるよう、心から呼びかけます。


2013年06月24日

京都大学職員組合、未払い賃金請求訴訟を提起

全大教HP
記者会見の模様(YouTube)

 6/11(火)15:30、京大職組が組織する組合員ら96人による原告団は、京都大学による就業規則の一方的不利益変更(賃下げ)が違法・無効であるとして、未払い賃金請求訴訟を京都地裁に提起しました。
 提訴後に、同地裁内にある記者クラブにおいて記者会見を実施しました。会見には数社の新聞記者(朝日、読売、毎日、産経、共同、時事、京都、赤旗など)と在阪TV局(読売テレビ、朝日放送、毎日放送)が取材に入りました。
 記者会見の冒頭に、森田全大教副委員長が国立大学における臨時賃金減額の概況および問題点の解説と全大教の紹介をしました。続いて、髙山京大職組委員長(写真左)が原告団を代表して発言し、「合理的な根拠のない賃下げは許せない」「ノーベル賞学者も月数万円の賃下げとなっている」「教職員は公務員ではなく、多くの私大と比べても給与水準が低い」「法人は『引き下げた賃金は復興財源に充てられる』としているが、実際どのように使われているかわからない」などの問題点を指摘しました。その後、担当弁護士の岩橋多恵氏(写真中央)が法律上の争点について解説を行い、記者からの質問に移りました。多数の記者から様々な質問が寄せられ、会見終了後も個別取材が熱心に続けられました。(京大職組HPより転載)